JP2002241214A - 抗汚染剤としての細胞光保護複合物の使用 - Google Patents

抗汚染剤としての細胞光保護複合物の使用

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JP2002241214A
JP2002241214A JP2002028612A JP2002028612A JP2002241214A JP 2002241214 A JP2002241214 A JP 2002241214A JP 2002028612 A JP2002028612 A JP 2002028612A JP 2002028612 A JP2002028612 A JP 2002028612A JP 2002241214 A JP2002241214 A JP 2002241214A
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パスカル・ペルティエ
Philippe Catroux
フィリップ・カトルー
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚染の有害な作用に対してケラチン物質を保
護するための、局所適用における抗汚染剤としての細胞
光保護複合物の使用及び、汚染の有害な作用に対してケ
ラチン物質を保護するための美容処理方法を提供する。 【解決手段】 ケラチン物質に局所適用するための組成
物中において、少なくとも一のアミノ酸と少なくとも一
のヌクレオシド及び/または一のヌクレオチドとを含む
混合物を含む細胞光保護複合物を、抗汚染化粧剤として
使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗汚染剤としての
細胞光保護複合物の局所適用における使用に関し、汚染
の作用に対して身体を保護するための美容処理方法であ
って、生理学的に許容される媒体中に細胞光保護複合物
を有効量で含有する組成物をケラチン物質に適用するこ
とからなる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市の環境は、常に最高度の汚染にさら
されている。日常の環境における個人は、特に都市部に
おいては、特に皮膚、頭皮、及び髪などのケラチン物質
を多様な空気伝搬汚染物質によって攻撃する要因全般に
さらされているといえる。燃焼の一次的及び二次的産物
が大部分を占める大気汚染物質は、環境酸化的ストレス
の主要原因である。都市の汚染は、様々なタイプの化学
的及び生体異物の産物、及び粒子を含む。皮膚及び髪に
有害な作用を与える、三つの主要なカテゴリーの汚染物
質は、以下の通りである:ガス、重金属、及びその表面
上に非常に多数の有機化合物が吸着した燃えがらである
粒状成分。
【0003】環境毒素に最初に且つ直接曝されるのは、
最外組織である。皮膚は、直接且つ頻繁に酸化促進環境
に曝される。皮膚は、酸化的ストレスの作用に特に感受
性であり、その最外層は起こりうる酸化被害に対する障
壁としての役割を果たす。多くの状況において、酸化剤
は一般的にケラチン物質との反応後に中性化されるが、
形成される反応生成物は、細胞及び組織への攻撃の原因
になりうる。角質層は皮膚の障壁であって、空気と皮膚
組織との間の接触部位である。脂質/タンパク質の二相
構造は、この皮膚の障壁機能の重要な要素である。これ
ら構成部分は、酸化剤と反応して損なわれる恐れがあ
り、これによって剥離現象を促進するであろう。
【0004】観察される都市の環境汚染ガスには、対流
オゾンがあるが、その生成は、多環式芳香族炭化水素、
酸化窒素、空気、及びUV光線の間の相互作用に起因す
る(Free Radical Biology Medecine, 1990, 9, 24
5)。この光酸化汚染物質は、皮膚の表面(皮脂、角
質)に位置する多様な生物学的標的(脂質、タンパク
質)と反応することが既知である。オゾンによって誘発
される脂質過酸化は、皮膚を以下の二つの方式で損なう
恐れがある。1/角質の脂質の酸化及び分解により、角
質の障壁機能が損なわれうる。外部脂質及びタンパク質
の構成の破壊は、多くの皮膚病の誘発要因であるようで
ある(乾癬、アトピー性皮膚炎、刺激性皮膚炎);2/
皮膚の上層において脂質酸化産物の生成が増大すること
により、隣接皮膚層における攻撃が誘発されうる。オゾ
ン(O3)の不飽和脂質との反応には、二重結合への付
加反応が含まれる。このプロセスは、第二段階において
脂質鎖の開裂及びヒドロペルオキシド、アルデヒド、及
び過酸化水素の形成に至る。これは、従来既知の脂質過
酸化機構とは異なる特定の機構であり、ラジカルによっ
て仲介されるものである。オゾンによって誘発される二
次及び三次脂質酸化産物は、オゾンに対する反応性が低
減されているがより長い寿命を有するものであって、オ
ゾン作用を伝搬可能である。その相対的安定性のため、
脂質酸化及び過酸化産物、すなわちコレステロール酸化
物及びアルデヒドは、直接オゾンに曝されない遠位にお
いて細胞を損なう可能性を有する。角質の上層における
著しい酸化攻撃は、その下に局在化した炎症性プロセス
を開始して食細胞の漸増を引き起こし得るが、前記食細
胞は、酸化剤を発生させることによって、当初の酸化プ
ロセスを増幅するものである。
【0005】都市の汚染においては、オゾン及びUV光
線への同時暴露により、相乗酸化的ストレスが引き起こ
されうる。同様に、オゾンと燃焼に由来する有機化合物
との間の作用には相乗作用があることを考慮しても良
い。
【0006】ケラチン物質に有害な作用を与えうる汚染
物質の中では、オゾン、一酸化炭素、酸化窒素、または
酸化硫黄等の毒性ガスが汚染物質の主要な構成物であ
る。これらの毒性ガスは、ケラチン物質の剥離を促進し
て前記ケラチン物質を「疲労」させ、すなわちこれらの
つやを消し、汚すことが判明している。同様に、前記ケ
ラチン物質の細胞窒息が観察されている。
【0007】したがって、汚染物質のケラチン物質への
有害な作用は、これらのケラチン物質の細胞呼吸に影響
するが、これは、つやのない顔色及び早期の皺もしくは
小皺の形成を伴う皮膚老化の促進に反映され、さらにつ
やのない外観を与える髪の活力の減少に反映される。さ
らに、汚染によって皮膚及び髪はより迅速に汚れる。さ
らにまた、汚染は、刺激及びアレルギー現象及び炎症を
皮膚に引き起こし得る。
【0008】汚染物質のこれらの作用に対抗するため
に、多様な抗汚染剤が開示されている。EP-A-557
718には、環境汚染物質に対する皮膚及び髪の保護の
ためのスフィンゴ脂質の使用が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】汚染の増加に伴い、ケ
ラチン物質への汚染物質の有害な作用に効果的に対抗す
るための他の剤を見い出し、ケラチン物質へのこれらの
汚染物質の付着を防ぎ、特に細胞呼吸の低下、特に皮膚
等のケラチン物質の剥離及び老化の加速を回避し、さら
につやのない顔色及び皮膚上での早期の皺及び小皺の形
成に対抗し、髪がつやのない外観を呈して汚れることを
回避し、並びに皮膚の刺激、更に皮膚アレルギー現象及
び皮膚炎症を回避する必要性がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】出願人は、ここに、全く
驚くべきことに、細胞光保護複合物の使用により、汚染
物質の作用に対してケラチン物質の保護が可能になるこ
とを見いだした。
【0011】明らかに、局所適用組成物、特に、例えば
皮膚を構成する機能性細胞(特にランゲルハンス細胞)
をUV光線に対して保護する目的で、皮膚への適用を企
図した化粧品組成物中における細胞光保護複合物の使用
は、既知であり実践されている(FR-2 634 374及びCosm
etics & Toiletries, 1996, 111, 47を参照のこと)。
しかしながら、これらの化合物が汚染物質に対してケラ
チン物質を保護する特性を備えうると記載している文献
はない。
【0012】
【発明の実施の形態】かくして、本発明の主題の一つ
は、ケラチン物質に局所適用するための組成物中におけ
る、抗汚染化粧剤としての、少なくとも一のアミノ酸と
少なくとも一のヌクレオシド及び/または一のヌクレオ
チドとを含む混合物を含む細胞光保護複合物の美容のた
めの使用である。
【0013】本発明はまた、汚染の有害な作用に対して
ケラチン物質を保護するための局所適用組成物の調製の
ための、少なくとも一のアミノ酸と少なくとも一のヌク
レオシド及び/または一のヌクレオチドとを含む混合物
を含む細胞光保護複合物の使用に関する。
【0014】「細胞光保護複合物」なる表現は、少なく
とも一のアミノ酸と少なくとも一のヌクレオシド及び/
または一のヌクレオチドとを含む混合物をを意味し、該
混合物は、その構成成分の性質によって、天然、合成及
び/またはバイオテクノロジー由来のものであってよ
い。
【0015】本発明の有利な態様の一つにおいては、使
用する細胞光保護複合物は天然由来のものとする。
【0016】本発明の実施に特に好適な細胞光保護複合
物の一つは、Photonylの名でLaboratoires Serobiologi
quesにより市販の製品である。この製品は、特にアルギ
ニン、マンニトール、ピリドキシンヒドロクロライド、
ヒスチジンヒドロクロライド、加水分解されたRNA、
ナトリウムアデノシントリホスフェート、フェニルアラ
ニン、及びチロシンの混合物を含む。
【0017】「抗汚染剤」なる表現は、皮膚及びケラチ
ン物質を保護して、オゾンなどの毒性ガスの有害な作用
を防止、緩和、及び/または除去するような剤を意味す
る。
【0018】本発明の内容上、「ケラチン物質」なる表
現は、皮膚、頭皮、髪、睫、眉毛、爪、及び粘膜を意味
する。
【0019】「局所適用」なる表現は、ここでは特に皮
膚、頭皮、睫、眉毛、爪、及び粘膜であるケラチン物質
への外用を意味する。
【0020】本発明によって使用される組成物は、局所
適用を企図し、然るに生理学的に許容される媒体、すな
わち、皮膚、頭皮、睫、眉毛、爪、及び粘膜等の皮膚組
織と適合性である媒体を含有する。よって、該組成物
は、人の身体全体に適用してもよい。
【0021】本発明により抗汚染剤として使用される天
然の細胞光保護複合物は、十分量であると有利である。
「十分量」(または「有効量」)なる表現は、ここで
は、汚染物質に対する保護が確実な量を意味する。この
量とは、例えば、汚染防止化合物活性剤が、当該組成物
全重量に対して0.01乃至10重量%、好ましくは
0.05乃至2重量%の範囲であってよい。
【0022】本発明により使用される局所適用組成物、
とりわけ化粧品組成物は、生理学的に許容される媒体、
すなわち皮膚、唇、頭皮、睫、目、爪、及び/または髪
と適合性である媒体を含有する。この生理学的に許容さ
れる媒体は、とりわけ水と、任意の、例えば1乃至8の
炭素原子、特に1乃至6の炭素原子を含む低級アルコー
ル、例えばエタノール、イソプロパノール、プロパノー
ル、及びブタノール;6乃至80のエチレンオキシドを
含むポリエチレングリコール;ポリオール、例えばプロ
ピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレング
リコール、グリセリン、及びソルビトールより選択され
る生理学的に許容される有機溶媒とからなる。これはま
た、無水媒体であっても、特にオイル及び/またはオイ
ル以外の脂肪物質を含有する油性媒体であってもよい。
【0023】生理学的に許容される媒体が水性媒体であ
る場合、これは皮膚と適合性のpH、好ましくは3乃至
8、更に好適には4乃至7の範囲のpHを有する。
【0024】該組成物が水性または水−アルコール性媒
体を含む場合、この媒体に脂肪(油性)相を添加して、
本発明の組成物をより滑らかで滋養のあるものとするこ
とができる。
【0025】このように、上記の抗汚染剤を含有する本
発明による組成物は、局所適用のために従来用いられて
いるあらゆる製薬形態、特に水性、水−アルコール性、
または油性の溶液、水中油型(O/W)または油中水型
(W/O)または多相(三相:W/O/WまたはO/W
/O)のエマルジョン、水性または油性のゲル、液状、
ペースト状、または固体の無水製品、あるいは球状体の
補助により水相中に脂肪相の分散物としてよいが、これ
らの球状体はナノスフェア及びナノカプセル等のポリマ
ーナノ粒子、あるいはイオン性及び/または非イオン性
タイプの脂質小胞であってよい。これらの組成物は、定
法に従って調製される。
【0026】更に、本発明により使用される組成物は、
多少によらず流動性であり、白色または有色のクリー
ム、軟膏、乳剤、ローション、漿液、ペースト、または
ムースの外観を有していて良い。これらは任意にエアロ
ゾルの形態で皮膚に適用しても良い。これらはまた、固
体形態で、例えばスティックの形態であってもよい。
【0027】本発明による組成物が油性相を含む場合、
この相は好ましくは少なくとも一のオイルを含有する。
これは、他の脂肪物質も含有してもよい。
【0028】本発明の組成物中に使用可能なオイルとし
ては、例えば以下のものを挙げることができる: ・動物由来の炭化水素ベースのオイル、例えばペルヒド
ロスクアレン; ・炭化水素ベースの植物オイル、例えば炭素原子4乃至
10の脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタン酸
またはオクタン酸のトリグリセリド、あるいはまた、例
えばサンフラワーオイル、コーン油、大豆油、マロウオ
イル(marrow oil)、グレープシードオイル、ゴマ油、
ヘーゼルナッツオイル、アプリコットオイル、マカダミ
アオイル、アララオイル、ヒマシ油、アボカドオイル、
Stearineries Dubois社により市販のものまたはDynamit
Nobel社によりMiglyol 810、812、及び818の名で市販
のもの等のカプリル/カプリン酸トリグリセリド、ホホ
バオイル、またはカリテバターオイル; ・合成エステル及びエーテル、特に脂肪酸のもの、例え
ば式R1COOR2及びR 1OR2において、式中R1は8
乃至29の炭素原子を含有する脂肪酸残基を表し、R2
は3乃至30の炭素原子を含む分枝状または非分枝状炭
化水素ベースの鎖を表すオイルであって、例えばパーセ
リンオイル、イソノニルイソノナノエート、イソプロピ
ルミリステート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-
オクチルドデシルステアレート、2-オクチルドデシル
エルカート、またはイソステアリルイソステアレート;
ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテ
ート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデ
シルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレー
ト、トリイソセチルシトレート、並びに脂肪アルキルの
ヘプタノエート、オクタノエート、及びデカノエート;
ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオ
クタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエー
ト、またはジエチレングリコールジイソノナノエート;
及びペンタエリスリトールエステル、例えばペンタエリ
スリチルテトライソステアレート; ・鉱物または合成由来の直鎖状または分枝状炭化水素、
例えば揮発性または不揮発性流動パラフィン及びその誘
導体、ワセリン、ポリデセンまたは水素化ポリイソブテ
ン、例えばパーリームオイル; ・8乃至26の炭素原子を含有する脂肪アルコール、例
えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びこ
れらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチ
ルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシル
デカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイ
ルアルコールまたはリノレニルアルコール; ・部分的に炭化水素ベースの、及び/またはシリコーン
ベースのフッ化油、例えば文献JP-A-2295912
に記載されたもの; ・シリコーンオイル、例えば直鎖状または環状のシリコ
ーン鎖を含む揮発性または不揮発性ポリジメチルシロキ
サン(PDMS)であって、室温にて液状またはペース
ト状であるもの、特に、シクロポリジメチルシロキサン
(シクロメチコーン)、例えばシクロヘキサシロキサ
ン;ペンダントまたはシリコーン鎖の末端にアルキル、
アルコキシ、またはフェニル基を含むポリジメチルシロ
キサンであって、これらの基が2乃至24の炭素原子を
含むもの;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメ
チコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチル
シロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコー
ン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-
フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、及びポ
リメチルフェニルシロキサン; ・これらの混合物。
【0029】上記のオイルのリスト中、「炭化水素ベー
スのオイル」なる表現は、主に炭素及び水素原子を含
み、さらに任意にエステル基、エーテル基、フルオロ
基、カルボン酸基及び/またはアルコール基を含むあら
ゆるオイルを意味する。
【0030】油性相中に存在しうる他の脂肪物質は、例
えば、8乃至30の炭素原子を含む脂肪酸、例えばステ
アリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、及びオレイン
酸;ワックス、例えばラノリン、蜜蝋、カルナウバワッ
クス、カンデリラワックス、パラフィンワックス、亜炭
ワックス、またはミクロクリスタリンワックス、セレシ
ンまたはオゾケライト、合成ワックス、例えばポリエチ
レンワックス及びフィッシャー-トロプシュワックス;
シリコーン樹脂、例えばトリフルオロメチルC1-4-ア
ルキルジメチコーン及びトリフルオロプロピルジメチコ
ーン;及びシリコーンエラストマー、例えばShin-Etsu
社より"KSG"の名で市販の製品、Dow Corning社より"Tre
fil"、"BY29"、または"EPSX"の名で市販の製品、あるい
はGrant Industries社により"Gransil"の名で市販の製
品である。
【0031】これらの脂肪物質は、所望の特性を有す
る、例えば稠度またはテクスチャー特性を有する組成物
の調製のために、当業者により様々な方式で選択されて
良い。
【0032】本発明の独自の実施例の一つによれば、抗
汚染化合物を含有する組成物は、油中水型(W/O)ま
たは水中油型(O/W)のエマルジョンである。該エマ
ルジョンの油性相の割合は、当該組成物全重量に対して
5乃至80重量%、好ましくは5乃至50重量%の範囲
をとりうる。エマルジョン形態の組成物中に使用される
オイル、乳化剤、及び共乳化剤は、化粧品または皮膚科
において従来使用されているものから選択される。該乳
化剤及び共乳化剤は、一般に、当該組成物全重量に対し
て0.3乃至30重量%、好ましくは0.5乃至20重
量%の範囲の割合で該組成物中に存在する。該エマルジ
ョンはまた、脂質小胞を含んでも良い。
【0033】エマルジョンは、一般的に、両性、アニオ
ン性、カチオン性、または非イオン性の乳化剤から単独
または混合物として選択される少なくとも一の乳化剤を
含有する。該乳化剤は、得ようとするエマルジョン(W
/OまたはO/Wエマルジョン)によって、適切な方法
によって選択される。
【0034】W/Oエマルジョン用には、例えば乳化剤
としては、Dow Corning社により"DC5225 C"の名で市販
のシクロメチコーンとジメチコーンコポリオールとの混
合物等のジメチコーンコポリオール、Dow Corning社に
より"Dow Corning 5200 Formulation Aid"の名で市販の
ラウリルメチコーンコポリオール等のアルキルジメチコ
ーンコポリオール、Goldschmidt社により"Abil EM 90
(登録商標)"の名で市販のセチルジメチコーンコポリ
オールを挙げることができる。W/Oエマルジョン用に
さらに使用してもよい界面活性剤には、少なくとも一の
オキシアルキレン化基を含む架橋弾性固形ポリオルガノ
シロキサン、例えばUS-A-5412004の実施例
3、4、及び8の操作に従って得られるもの、US-A-
5811487の実施例の操作に従って得られるもの、
特にUS-A-5412004の実施例3(合成例)の生
成物、及び、例えばShin Etsu社によりKSG 21のリファ
レンスで市販の製品が含まれる。
【0035】O/Wエマルジョン用には、例えば乳化剤
としては、非イオン性乳化剤を挙げることができ、例え
ば、グリセリンのオキシアルキレン化(とりわけポリオ
キシエチレン化)脂肪酸エステル;ソルビタンのオキシ
アルキレン化脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オ
キシエチレン化及び/またはオキシプロピレン化)脂肪
酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化及
び/またはオキシプロピレン化)脂肪アルコールエーテ
ル;及び蔗糖ステアレート等の糖エステル;及び、グリ
セリルステアレートとPEG-40ステアレートとの混合物等
のこれらの混合物がある。
【0036】既知の方法においては、本発明の化粧品ま
たは皮膚科用組成物はまた、化粧品または皮膚科におい
て一般的な補助剤、例えば親水性または親油性のゲル化
剤、親水性または親油性の活性剤、保存料、酸化防止
剤、溶媒、香料、充填剤、UVスクリーン剤、殺菌剤、
臭気吸収剤、染料、植物抽出物、及び塩を含んでも良
い。これらの様々な補助剤の量は、かかる分野において
従来使用されている通りであり、例えば当該組成物全重
量に対して0.01乃至20%である。その性質によ
り、これらの補助剤を、脂肪相に、水相に、及び/また
は脂質球状体に導入しても良い。
【0037】本発明の組成物中に使用しても良い充填剤
としては、例えば、顔料の他にも、シリカ粉末;タル
ク;ポリアミド粒子、特にAtochem社によりOrgasolの名
で市販のもの;ポリエチレン粉末;アクリルコポリマー
を主成分とするミクロスフェア、例えばDow Corning社
によりPolytrapの名で市販の、エチレングリコールジメ
タクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー製の
もの;中空ミクロスフェア等の発泡粉末、特にKemanord
Plast社によりExpancelの名で市販のミクロスフェアま
たはMatsumoto社によりMicropearl F 80 EDの名で市販
のミクロスフェア;シリコーン樹脂ミクロビーズ、例え
ばToshiba Silicone社によりTospearlの名で市販のも
の;及びこれらの混合物を挙げることができる。これら
の充填剤は、当該組成物全重量に対して0乃至20重量
%、好ましくは1乃至10重量%の量で存在しても良
い。
【0038】本発明の好ましい実施態様の一つによれ
ば、本発明によって使用される組成物は、少なくとも一
のUVスクリーン剤(またはサンスクリーン)を含有す
るが、これは化学的スクリーン剤または物理的サンブロ
ックまたはこうしたスクリーン剤の混合物であってよ
い。
【0039】詳説のためであって、非限定的意味におい
て、以下の群を挙げることができる(名称は、スクリー
ン剤についてのCTFA名に相当する):アントラニレ
ート、特にメチルアントラニレート;ベンゾフェノン、
特にベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-3、ベンゾフ
ェノン-5、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-8、
ベンゾフェノン-9、及びベンゾフェノン-12、好まし
くはベンゾフェノン-2(オキシベンゾン)またはベン
ゾフェノン-4(BASF社により市販のUvinul MS40);ベ
ンジリデンカンファ、特に3-ベンジリデンカンファ、
ベンジリデンカンファスルホン酸、カンファベンズアル
コニウムメソスルフェート、ポリアクリルアミドメチル
ベンジリデンカンファ、テレフタルイリデンジカンファ
スルホン酸、好ましくは4-メチルベンジリデンカンフ
ァ(Merck社より市販のEusolex 6300);ベンズイミダ
ゾール、特にベンズイミダジレート(Haarmann & Reime
r社より市販のNeo Heliopan AP)またはフェニルベンズ
イミダゾールスルホン酸(Merck社より市販のEusolex 2
32);ベンゾトリアゾール、特にドロメトリゾールトリ
シロキサン又はメチレンビス−ベンゾトリアゾリルテト
ラメチルブチルフェノール(Cibaから市販されているTi
nosorb M);シンナメート、特にシノキセート、DEA
メトキシシンナメート、ジイソプロピルメチルシンナメ
ート、グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシン
ナメート、イソプロピルメトキシシンナメート及びイソ
アミルシンナメート、優先的にはエトクリレン(BASFか
ら市販されているUvinul N35)、オクチルメトキシシン
ナメート(Hoffmann La Rocheから市販されているParso
l MCX)又はオクトクリレン(BASFから市販されているU
vinul 539);ジベンゾイルメタン、特にブチルメトキ
シジベンゾイルメタン(Parsol 1789);イミダゾリ
ン、特にエチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキ
ソイミダゾリン;PABAs、特にエチルジヒドロキシ
プロピルPABA、エチルヘキシルジメチルPABA、
グリセリルPABA、PABA及びPEG−25PAB
A、及び優先的にジエチルヘキシルブタミドトリアゾン
(3V Sigmaから市販されているUvasorb HEB)、エチル
ヘキシルトリアゾン(BASFから市販されているUvinul T
150)、又はエチルPABA(ベンゾカイン);サリチレー
ト、特にジプロピレングリコールサリチレート、エチル
ヘキシルサリチレート、ホモサレート、又はTEAサリチ
レート;トリアジン、特にアニソトリアジン(Cibaから
市販されているTinosorb S);ドロメトリゾールトリシ
ロキサン、酸化亜鉛、及び二酸化チタンが挙げられる。
【0040】本発明における使用に特に適したUVスク
リーン剤の例としては: −特にParsol 1789の名でHoffmann-LaRoche社により市
販されているブチルメトキシジベンゾイルメタン、 −特にUvinul N539の名でBASF社により市販されている
オクトクリレン、 −特にNeo Heliopan OSの名でHaarmann-Reimer社から市
販されているオクチルサリチレート、 −特にParsol MCXの名でHoffmann-LaRoche社により市販
されているオクチルメトキシシンナメート、 −特にEusolex 232の名でMerck社により市販されている
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、 −オキシベンゾン、例えばベンゾフェノン−3、−4、
又は−5、 −ベンゾトリアゾールシリコーン、特にドロメトリゾー
ルトリシロキサン、 −テレフタリリデンジカンファスルホン酸、及び −酸化チタン又は酸化亜鉛、任意に被覆されているミク
ロ粒子又はナノ粒子の形態 を挙げることができる。
【0041】ベンゾフェノン−3、テレフタリリデンジ
カンファスルホン酸、オクチルメトキシシンナメート、
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ドロメトリゾ
ールトリシロキサン、4−メチルベンジリデンカンフ
ァ、アニゾトリアジン、オクトクリレン、ブチルメトキ
シジベンゾイルメタン、酸化亜鉛及び/又は二酸チタン
が、本発明の組成物におけるスクリーン剤として好まし
く用いられる。
【0042】スクリーン剤の量は、意図する最終的な使
用によって決められる。例えば、組成物の全重量に対し
て、1%乃至20重量%、より好ましくは2乃至10重
量%で、変わり得る。
【0043】本発明の別の好ましい態様において、組成
物は抗酸化活性剤(例えばビタミンE)をも含む。
【0044】本発明に使用される組成物は、特にケラチ
ン物質のための、とりわけ皮膚のためのケア製品及び/
又はメイクアップ製品を構成することができる。それら
は特に、汚染の作用に対して人体、特にケラチン物質を
保護するために、特に、細胞呼吸を改善するために、及
び/又は剥離を減少させるために、及び/又はケラチン
物質、特に皮膚のつやが失われ又は汚れるのを防ぐため
に用いることができる。
【0045】こうして、本発明の別の主題は、生理学的
に許容される媒体中に前述のような細胞光保護複合物を
含有する組成物をケラチン物質に適用することを含む、
汚染の作用に対してケラチン物質を保護するための美容
処理方法を構成する。
【0046】本発明の主題はまた、細胞呼吸の改善及び
/または剥離の低減及び/または、つや喪失及び/また
は汚れの防止のためのケラチン物質の美容処理方法であ
って、この方法は、生理学的に許容される媒体中に上述
の細胞光保護複合物を含有する組成物をケラチン物質に
適用する工程を含む。
【0047】以下の実施例は、本発明を例示するために
示されるものであり、本発明を全く制限するものではな
い。場合に応じて、命名は、化学名又はCTFA(Internat
ional Cosmetic Ingredient Dictionary and Handboo
k)名であり、特記のない限り量は重量%である。
【0048】
【実施例】(実施例1)代表的ガス状汚染物質であるオ
ゾンに対する、天然細胞光保護剤の複合物の、インビト
ロでのヒトケラチノサイトへの保護作用の証明
【0049】・実験プロトコルの概要 原理:利用した方法(2,7-ジクロロフルオレセイン
ジアセテート試験(LeBel C.P. et al., 1992, Zhu H.
et al., 1994))により、酸化的ストレスの全測定を、
リアルタイムで行うことができた。脂質過酸化物及びさ
らに脂質酸化プロセスの間に発生した過酸化水素は、ペ
ルオキシダーゼの存在下において2,7-ジクロロフル
オレセイン(非蛍光還元形態)を酸化することができ
た。酸化により生成した2,7-ジクロロフルオレセイ
ンは、その励起及び発光の波長がそれぞれ480nm及び
530nmである発光化合物である。
【0050】細胞(不死化されたヒトケラチノサイト)
の接種:細胞DK7−NR(NESTEC)を、48ウェルプ
レートにおいて、500μlの培地(ウシ血清を含まな
い規格培地、Biofluids)中、5000細胞/cm2の割合
の集密点まで接種した。その後これを、湿潤環境下、3
7℃及び5%CO2にてインキュベートした。
【0051】ケラチノサイトの処置:試験物質を、半値
非細胞毒性濃度(half-maximal non-cytotoxic concent
ration)に相当する濃度にて培地中に調製した。その後
これを前記細胞と18時間接触させた。オゾンに曝す前
に、前記細胞を洗浄した。その後細胞をDCHF(PBS
中、320μM)と37℃にて30分間接触させた。
【0052】オゾンへの暴露:非導入標識をリンスして
除去した後、前記細胞を、インキュベーター(37℃、
湿潤環境)中において、(保護剤の存在下にて)様々な
期間に亘り、オゾンに暴露した。オゾン濃度は10ppm
であった。
【0053】DCHFの外観(蛍光励起:485、蛍光
発光:530)を、様々な暴露時間(0、5、10、2
0分間)の後に測定した。
【0054】各ウェルの蛍光の増大(誘導された酸化的
ストレスと関連)を、蛍光分光光度計にて運動論的に観
察した。結果は、蛍光ユニットにおいて、非保護のコン
トロールに対して表した。
【0055】結果:細胞を、0.025%にて天然細胞
光保護剤の複合物(Photonyl(登録商標))と18時間
接触させ、その後オゾン(1ppm)との接触の間は0.
05%とした。前記生成物の存在下で測定された、酸化
的ストレスの顕著な減少は、天然細胞光保護剤の複合物
の著しい保護作用を示している。この作用は、オゾンに
暴露して20分間まで安定であり、該気体によって誘発
された酸化的ストレスの減少は、コントロールに対して
63.4乃至62.3%であった。その後保護作用は、
認識可能な値を維持したとはいえ、以下の表に示したと
おり、時間の関数として減少した。
【0056】
【表1】
【0057】 組成物の実施例 (実施例2:O/Wエマルション) A相(脂肪相): モノジグリセリルステアレート 3g 流動ワセリン 3g セチルアルコール 5g B相(水相) エチレンオキシド50molでオキシエチレン化された ポリエチレングリコール 3g 水 100gとする残量 C相 Photonyl(登録商標) 5g 水 10g
【0058】方法:脂肪相(A)と水性相(B)を別々
に調製し、70℃に加熱した。脂肪相を水性相中に、攪
拌しながら注いだ。乳化を10分間連続し、ついで混合
物を攪拌しながら徐々に40℃の温度まで冷却した。C
相を添加し、冷却を続けた。汚染の作用に対して皮膚を
保護するために皮膚に塗布することのできるクリームが
得られた。
【0059】(実施例3)定法により以下の組成物を調
製した。 細胞光保護複合物(Photonyl(登録商標)) 1g オクチルパルミテート 10g グリセリルイソステアレート 4g 流動ワセリン 20g ソルビトール 2g ビタミンE 1g グリセリン 3g 水 100gとする残量
【0060】 (実施例4:ゲル) A相: 水 10g Photonyl(登録商標) 5g B相: ヒドロキシプロピルセルロース 0.10g Carbopol Ultrez 10 0.25g エチレンオキシド50molでオキシエチレン化された ポリエチレングリコール 3g 水 100gとする残量 C相 トリエタノールアミン pH7とする量 D相 Timiron(チタン被覆されたマイカ) 0.5%
【0061】方法:B相のゲル化剤を、激しく攪拌しな
がら、A相中に分散させた。得られた混合物をC相で中
和した。最後にゆっくりと攪拌しながらD相を分散させ
た。汚染の作用に対して皮膚を保護するために皮膚に塗
布可能なゲルが得られた。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 7/00 A61K 7/00 R Fターム(参考) 4C083 AB242 AC012 AC072 AC131 AC422 AC542 AC581 AD042 AD282 AD601 AD631 BB46 BB47 BB60 CC01 CC02 CC31 DD33 DD41 EE10 EE12 EE17 EE29

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケラチン物質に局所適用するための組
    成物中における、抗汚染化粧剤としての、少なくとも一
    のアミノ酸と少なくとも一のヌクレオシド及び/または
    一のヌクレオチドとを含む混合物を含む細胞光保護複合
    物の美容のための使用。
  2. 【請求項2】 汚染の有害な作用に対してケラチン物
    質を保護するための局所適用組成物の調製のための、少
    なくとも一のアミノ酸と少なくとも一のヌクレオシド及
    び/または一のヌクレオチドとを含む混合物を含む細胞
    光保護複合物の使用。
  3. 【請求項3】 使用される細胞光保護複合物が、天然
    由来であることを特徴とする、請求項1または2に記載
    の使用。
  4. 【請求項4】 細胞保護複合物の量が、前記組成物全
    重量に対して0.01乃至10重量%の範囲であること
    を特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
    使用。
  5. 【請求項5】 細胞光保護複合物の量が、前記組成物
    全重量に対して0.05乃至2重量%の範囲であること
    を特徴とする、請求項4に記載の使用。
  6. 【請求項6】 細胞光保護複合物が、アルギニン、マ
    ンニトール、ピリドキシン、ヒドロクロライド、ヒスチ
    ジンヒドロクロライド、加水分解されたRNA、ナトリ
    ウムアデノシントリホスフェート、フェニルアラニン、
    及びチロシンの混合物を含むことを特徴とする、請求項
    1乃至5のいずれか一項に記載の使用。
  7. 【請求項7】 前記組成物が、少なくとも一の抗酸化
    活性剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1乃
    至6のいずれか一項に記載の使用。
  8. 【請求項8】 前記組成物が、少なくとも一のUVス
    クリーン剤をさらに含有することを特徴とする、請求項
    1乃至7のいずれか一項に記載の使用。
  9. 【請求項9】 生理学的に許容される媒体中に少なく
    とも一のアミノ酸と少なくとも一のヌクレオシド及び/
    または一のヌクレオチドとを含む混合物を含む細胞光保
    護複合物を含有する組成物を、ケラチン物質に適用する
    工程を含む、汚染の作用に対してケラチン物質を保護す
    るための美容処理方法。
  10. 【請求項10】 生理学的に許容される媒体中に少な
    くとも一のアミノ酸と少なくとも一のヌクレオシド及び
    /または一のヌクレオチドとを含む混合物を含む細胞光
    保護複合物を含有する組成物を、ケラチン物質に適用す
    る工程を含む、細胞呼吸の改善及び/または剥離の低減
    及び/または、つや喪失及び/または汚れの防止のため
    の、ケラチン物質の美容処理方法。
  11. 【請求項11】 使用される細胞光保護複合物が、天
    然由来であることを特徴とする、請求項9または10に
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記組成物が、少なくとも一の抗酸
    化活性剤をさらに含有することを特徴とする、請求項9
    乃至11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記組成物が、少なくとも一のUV
    スクリーン剤をさらに含有することを特徴とする、請求
    項9乃至11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記ケラチン物質が皮膚であること
    を特徴とする、請求項9乃至13のいずれか一項に記載
    の方法。
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