JP2002234949A - 耐熱成形体 - Google Patents

耐熱成形体

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JP2002234949A
JP2002234949A JP2001032040A JP2001032040A JP2002234949A JP 2002234949 A JP2002234949 A JP 2002234949A JP 2001032040 A JP2001032040 A JP 2001032040A JP 2001032040 A JP2001032040 A JP 2001032040A JP 2002234949 A JP2002234949 A JP 2002234949A
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fiber
fibers
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resistant molded
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Yoshiaki Tanaka
喜昭 田中
Katsuaki Murakami
克明 村上
Eiji Hara
永治 原
Toshihiko Yamashita
利彦 山下
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FUJI SENI SHIZAI KOGYO KK
Lignyte Co Ltd
Original Assignee
FUJI SENI SHIZAI KOGYO KK
Lignyte Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性や耐炎性、耐摩耗性、耐衝撃性などに
優れ、また高剛直性を有するものと、表面がビロード様
で柔軟性を有するもののいずれにでも形成することがで
きる耐熱成形体を提供する。 【解決手段】 芳香族ポリアミド、ポリフェニレンベン
ツビスオキサゾール、ポリフェニレンベンツビスチアゾ
ールの各有機繊維から選ばれる少なくとも一種と、少な
くとも一種の無機繊維とから構成される繊維基材に、熱
硬化性樹脂を含浸・硬化させて耐熱成形体を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窯業や金属加工業
などにおいて用いられる断熱性の耐熱成形体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】例えば、窯業や金属加工の分野では、加
工した直後の高温の製品を冷却する工程、移送する工
程、貯蔵する工程などで、高温の製品を保持したり搬送
したりするために、板状やブロック状、ロール状などの
断熱性の耐熱材が多く用いられている。
【0003】この耐熱材は、少なくとも300℃以上、
多くの場合は500℃以上の耐熱性と耐炎性が要求さ
れ、さらに耐摩耗性、耐衝撃性、高剛直性などの性能が
要求される。また加工直後の製品は熱軟化状態にあるこ
とが多く傷が付き易いので、特にガラスやアルミニウム
の加工では、表面がビロード様で柔軟性を有することが
必要とされる。そしてこのような耐熱材として、アスベ
スト繊維やガラス繊維を基材とする樹脂加工材、カーボ
ン材、アラミド繊維からなるフェルト材などが従来から
使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらは耐熱
性が十分でなく、強度的にも脆弱で低寿命であるなどの
問題があった。またアスベストはこれらの中で最も耐熱
性に優れているが、発ガン性を有するために使用が制限
されつつあり、実用性に欠けるものである。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、耐熱性や耐炎性、耐摩耗性、耐衝撃性などに優れ
た耐熱成形体を提供することを目的とするものであり、
また高剛直性を有するハードタイプのものと、表面がビ
ロード様で柔軟性を有するソフトタイプのもののいずれ
にでも形成することができる耐熱成形体を提供すること
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
耐熱成形体は、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンベン
ツビスオキサゾール、ポリフェニレンベンツビスチアゾ
ールの各有機繊維から選ばれる少なくとも一種と、少な
くとも一種の無機繊維とから構成される繊維基材に、熱
硬化性樹脂が含浸・硬化されて成ることを特徴とするも
のである。
【0007】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、繊維基材は、有機繊維の短繊維と無機繊維の短繊維
とからなる不織布であることを特徴とするものである。
【0008】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、繊維基材は、有機繊維と無機繊維の混合質量比
が10:90〜90:10であることを特徴とするもの
である。
【0009】また請求項4の発明は、請求項1乃至3の
いずれかにおいて、有機繊維がポリフェニレンベンツビ
スオキサゾールであり、無機繊維が玄武岩を原料とする
鉱物繊維であることを特徴とするものである。
【0010】また請求項5の発明は、請求項1乃至4の
いずれかにおいて、熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であ
ることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0012】本発明で用いる繊維基材は、有機繊維と無
機繊維とから形成されたものであり、有機繊維として
は、主鎖に芳香環あるいは異節環(複素環)を含む高分
子繊維を用いることができる。具体的には芳香族ポリア
ミド繊維、ポリフェニレンベンツビスオキサゾール繊
維、ポリフェニレンベンツビスチアゾール繊維を用いる
ことができるものであり、これらの有機繊維は1種を単
独で用いる他、複数種を混合して用いることもできる。
ポリフェニレンベンツビスオキサゾールとポリフェニレ
ンベンツビスチアゾールの化学構造式を[化1]に示
す。
【0013】
【化1】
【0014】上記の芳香族ポリアミドとしては、アラミ
ド繊維と通称されるものを用いることができるものであ
り、ケブラー、テクノーラ、コーネックスなどの商品名
で市販されているものを用いることができる。本発明に
おいては上記の芳香族ポリアミド繊維、ポリフェニレン
ベンツビスオキサゾール繊維、ポリフェニレンベンツビ
スチアゾール繊維のなかでも、ポリフェニレンベンツビ
スオキサゾール繊維が、弾性率や強度が高い点で望まし
い。
【0015】また無機繊維としては、カーボン繊維、ガ
ラス繊維、鉱物繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、
スチール繊維などを挙げることができるものであり、こ
れらの無機繊維は1種を単独で用いる他、複数種を混合
して用いることもできる。上記の鉱物繊維は鉱物を原料
として繊維化したものであり、例えば玄武岩を原料と
し、玄武岩を溶融紡糸して得られる玄武岩繊維を用いる
ことができる。この玄武岩繊維は安価で、非常に高い耐
熱性を有するので、本発明において特に有用である。玄
武岩繊維の化学組成は、SiO2:47.0〜52.0
質量%、CaO:8.0〜11.0質量%、Al23
14.0〜18.0質量%、FeO+Fe 23:7.0
〜13.5質量%、MgO:3.5〜10.0質量%、
Na2O+K2O:2.5〜6.0質量%、TiO2
0.2〜2.0質量%、MnO:0.2質量%以下、S
3:0.2質量%以下、P25:0.3〜0.8質量
%、Cr23:0.01〜0.04質量%、有機物:
0.2〜0.8質量%である。
【0016】そして本発明において繊維基材としては、
上記の有機繊維と無機繊維とからなる不織布を用いるこ
とができるものであり、不織布のなかでも厚手のフェル
トが適している。有機繊維と無機繊維はそれぞれ短繊維
であることが好ましく、各短繊維の繊維長は特に制限さ
れるものではないが、有機繊維の短繊維の繊維長は30
〜100mmの範囲、無機繊維の短繊維の繊維長は20
〜100mmの範囲であることが望ましい。
【0017】ここで、上記の有機繊維は耐摩耗性、耐衝
撃性、剛直性は十分である。しかし他の有機繊維と比較
すると高いものの、耐熱性や耐炎性は不十分である。他
方、無機繊維は耐熱性、耐炎性、剛直性は十分である
が、耐摩耗性や耐衝撃性に難点があり、さらに断熱性に
も問題がある。さらに無機繊維はソフトな表面になるよ
うに柔軟性を発現させることが難しい。このために、本
発明では繊維基材として有機繊維の短繊維と無機繊維の
短繊維を混合して複合化した不織布を用いるものであ
る。有機繊維と無機繊維の混合比は、用途や使用場所な
どに応じて要求される性能に合わせるように任意に調整
されるものであって、特に制限はないが、無機繊維が極
端に多いと不織布化することが困難になるので、絡み材
として有機繊維が少なくとも10質量%必要である。ま
た無機繊維が極端に少ないと基本性能である耐熱性を保
持できなくなるので、無機繊維は少なくとも10質量%
必要である。従って、有機繊維と無機繊維は10:90
〜90:10の範囲内で混合質量比を調整するのが好ま
しく、高い耐熱性が要求される場合は無機繊維リッチ
に、表面のソフトな柔軟性が要求される場合は有機繊維
リッチに調整するようにすればよい。
【0018】また、本発明に係る耐熱成形体は用途や使
用場所などに応じて、表面が硬いハードタイプであるこ
とが必要な場合と、表面がビロード様の柔軟性を有する
ソフトタイプであることが必要な場合とがあるが、繊維
基材が織布の場合には、表面が硬いハードタイプの耐熱
成形体を作製することはできても、ビロード様の柔軟性
を有するソフトタイプの耐熱成形体を作製することはで
きない。これに対して、繊維基材が不織布の場合、特に
厚手のフェルトの場合には、熱硬化性樹脂の含浸量の調
整や、圧縮比のコントロールによる繊維密度の調整によ
って、表面が硬いハードタイプの耐熱成形体でも、表面
がビロード様の柔軟性を有するソフトタイプの耐熱成形
体でも、容易に作り分けすることができる。さらに複数
枚の繊維基材を積層して耐熱成形体を作製するにあたっ
て、繊維基材として織布を用いる場合に、熱硬化性樹脂
の含浸量が少ないときには、層間剥離などによって強度
が極端に低下するおそれがあるが、不織布、特にフェル
トの場合には低含浸量でも高い強度を保持することがで
きる。従って本発明では繊維基材として不織布、特に厚
手のフェルトを用いるのが好ましい。
【0019】また本発明において、繊維基材に含浸させ
る樹脂は硬化して熱不融性になるものである必要があ
り、熱硬化性樹脂が用いられる。この熱硬化性樹脂とし
ては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、
ケイ素樹脂、ポリイミドなどを用いることができるが、
なかでもフェノール樹脂が、強度、耐熱性、耐炎性(難
燃性であり、自己消化性を有する)、高残炭量性、電気
絶縁性等に優れ、安価であるために、最も適している。
【0020】そして、繊維基材に熱硬化性樹脂ワニスな
どの熱硬化性樹脂液を含浸させ、繊維基材に熱硬化性樹
脂液を浸漬した後に乾燥して、熱硬化性樹脂をBステー
ジ化したプリプレグを作製する。このとき、熱硬化性樹
脂液を含浸した繊維基材を所定の間隔に調整した2本の
ロール間に通して、余分な熱硬化性樹脂液を絞って除去
することによって、繊維基材に対する熱硬化性樹脂の含
浸量を調整することができる。表面が硬いハードタイプ
の耐熱成形体を作製する場合には、ワニス濃度を40〜
55質量%に調製した熱硬化性樹脂ワニスを用い、繊維
基材に対する熱硬化性樹脂の含浸量が40〜50質量%
になるように調整するのがよい。また表面がビロード様
の柔軟性を有するソフトタイプの耐熱成形体を作製する
場合には、ワニス濃度を18〜22質量%に調製した熱
硬化性樹脂ワニスを用い、繊維基材に対する熱硬化性樹
脂の含浸量が15〜30質量%になるように調整するの
がよい。
【0021】上記のようにしてプリプレグを作製した
後、このプリプレグを加熱し、熱硬化性樹脂を硬化させ
て熱不融状態にすることによって、本発明に係る耐熱成
形体を得ることができるものである。ここで、プリプレ
グを金型間で加圧しながら加熱することによって、所定
の厚みや所定の繊維密度に調整しながら耐熱成形体の成
形を行なうことができるものであり、また複数枚のプリ
プレグを重ねた状態でこのような加熱・加圧成形を行な
うことによって、所望の厚みの耐熱成形体を得ることが
できるものである。
【0022】このようにプリプレグを金型間で加圧・加
熱して成形を行なうにあたって、所定厚みのスペーサを
用いて、このスペーサの厚みになるように成形を行なう
ことによって、所定の圧縮比(=成形体の厚み/プリプ
レグの厚み)に圧縮した状態の耐熱成形体を得ることが
できるものであり、圧縮比が小さいほど、すなわち大き
く圧縮して成形したものほど、耐熱成形体は緻密になる
ため、表面の硬度が高いハードタイプの耐熱成形体を得
ることができる。また圧縮比が大きいほど、すなわちあ
まり圧縮しないで成形したものほど、耐熱成形体の緻密
の程度が低いため、表面の硬度が低く柔軟性を有するソ
フトタイプのものになる。そしてソフトタイプの耐熱成
形体の表面層を研磨して削ることによって、繊維基材を
露出させて起毛させ、表面にビロード状の柔軟性を付与
することができるものである。耐熱成形体は表面硬度
(ショアーD)が85以上のものが、一般的にハードタ
イプ成形体として使用するのに好ましく、またこのハー
ドタイプ成形体の曲げ強さは118MPa以上(より好
ましくは147MPa以上)であることが望ましい。ソ
フトタイプ成形体の場合は、耐熱成形体の表面硬度(シ
ョアーD)が75以下(より好ましくは70以下)であ
ることが望ましく、またこのソフトタイプ成形体の曲げ
強さは20MPa以上であることが望ましい。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0024】(実施例1)ポリフェニレンベンツビスオ
キサゾールの短繊維(繊維径11.7μm、繊維長64
mm)と玄武岩の短繊維(繊維径9μm、繊維長44m
m)とを25:75の質量比で混合して抄造した厚み1
0mm、目付け量4.2kg/m2のフェルトを繊維基
材として用いた。そして樹脂分濃度48質量%のレゾー
ル型フェノール樹脂ワニスにこのフェルトを浸漬し、フ
ェルト内部から気泡が出なくなるまで含浸させた。次に
フェルトをワニスから引き上げ、間隔を7mmに調整し
た2本のロール間に通して絞ることによって、フェルト
中のフェノール樹脂の含浸量を44質量%に調整し、さ
らにこれを50℃で2時間加熱して乾燥することによっ
て、プリプレグを作製した。
【0025】次に、凹の下型と凸の上型からなる金型を
155±5℃に加熱し、下型に上記のプリプレグを2枚
重ねて入れ、上型を型締めしてプリプレグを30秒間加
圧し、次いで型を開いて10秒間ガス抜きをした後、再
度加圧して30分間保持した。このとき、スペーサを配
置することによって上型と下型の間の間隔が8mmにな
るように調整することによって、圧縮比を0.4に設定
しながら加圧を行なった。そして成形体を金型から取り
出し、成形体が変形しないように平滑な金属板で挟んで
定盤上で荷重をかけながら冷却することによって、厚み
8mm、比重1.67のハードタイプの耐熱成形体を得
た。
【0026】(実施例2)繊維基材として実施例1と同
じフェルトを用い、そして樹脂分濃度20質量%のレゾ
ール型フェノール樹脂ワニスにこのフェルトを浸漬し、
フェルト内部から気泡が出なくなるまで含浸させた。次
にフェルトをワニスから引き上げ、間隔を7mmに調整
した2本のロール間に通して絞ることによって、フェル
ト中のフェノール樹脂の含浸量を21質量%に調整し、
さらにこれを50℃で2時間加熱して乾燥することによ
って、プリプレグを作製した。
【0027】次に、凹の下型と凸の上型からなる金型を
155±5℃に加熱し、下型に上記のプリプレグを1枚
入れ、上型を型締めしてプリプレグを30秒間加圧し、
次いで型を開いて10秒間ガス抜きをした後、再度加圧
して30分間保持した。このとき、スペーサを配置する
ことによって上型と下型の間の間隔が7mmになるよう
に調整することによって、圧縮比を0.7に設定しなが
ら加圧を行なった。この成形体を金型から取り出し、成
形体が変形しないように平滑な金属板で挟んで定盤上で
荷重をかけながら冷却することによって、厚み7mm、
比重0.97の耐熱成形体を得た。そしてさらに表面を
サンドペーパー(粒度AA−100)を付したフリーサ
ンダーで1mm削って起毛することによって、ビロード
様の表面を有するソフトタイプの耐熱成形体を得た。
【0028】(比較例1)芳香族ポリアミドの短繊維
(ケブラー繊維:繊維径12μm、繊維長38mm)を
抄造した厚み10mm、目付け量2.8kg/m2のフ
ェルトを繊維基材として用いた。そして樹脂分濃度48
質量%のレゾール型フェノール樹脂ワニスにこのフェル
トを浸漬し、フェルト内部から気泡が出なくなるまで含
浸させた。次にフェルトをワニスから引き上げ、間隔を
7mmに調整した2本のロール間に通して絞ることによ
って、フェルト中のフェノール樹脂の含浸量を44質量
%に調整し、さらにこれを65℃で2時間加熱して乾燥
することによって、プリプレグを作製した。
【0029】次に、凹の下型と凸の上型からなる金型を
155±5℃に加熱し、下型に上記のプリプレグを2枚
重ねて入れ、上型を型締めしてプリプレグを30秒間加
圧し、次いで型を開いて10秒間ガス抜きをした後、再
度加圧して30分間保持した。このとき、スペーサを配
置することによって上型と下型の間の間隔が8mmにな
るように調整することによって、圧縮比を0.4に設定
しながら加圧を行なった。そして成形体を金型から取り
出し、成形体が変形しないように平滑な金属板で挟んで
定盤上で荷重をかけながら冷却することによって、厚み
8mm、比重1.14のハードタイプの耐熱成形体を得
た。
【0030】(比較例2)繊維基材として比較例1と同
じフェルトを用い、そして樹脂分濃度20質量%のレゾ
ール型フェノール樹脂ワニスにこのフェルトを浸漬し、
フェルト内部から気泡が出なくなるまで含浸させた。次
にフェルトをワニスから引き上げ、間隔を7mmに調整
した2本のロール間に通して絞ることによって、フェル
ト中のフェノール樹脂の含浸量を21質量%に調整し、
さらにこれを65℃で2時間加熱して乾燥することによ
って、プリプレグを作製した。
【0031】次に、凹の下型と凸の上型からなる金型を
155±5℃に加熱し、下型に上記のプリプレグを1枚
入れ、上型を型締めしてプリプレグを30秒間加圧し、
次いで型を開いて10秒間ガス抜きをした後、再度加圧
して30分間保持した。このとき、スペーサを配置する
ことによって上型と下型の間の間隔が7mmになるよう
に調整することによって、圧縮比を0.7に設定しなが
ら加圧を行なった。この成形体を金型から取り出し、成
形体が変形しないように平滑な金属板で挟んで定盤上で
荷重をかけながら冷却することによって、厚み7mm、
比重0.47の耐熱成形体を得た。そしてさらに表面を
サンドペーパー(粒度AA−100)を付したフリーサ
ンダーで1mm削って起毛することによって、ビロード
様の表面を有するソフトタイプの耐熱成形体を得た。
【0032】上記のようにして実施例1,2及び比較例
1,2で得た耐熱成形体について、曲げ強さ(JIS K 72
03)、曲げ弾性率(JIS K 7203)、表面硬度(JIS K 72
15)を測定した。結果を表1に示す。尚、比較例2では
曲げ弾性率が低過ぎて測定をすることができなかった。
【0033】
【表1】
【0034】次に、実施例1及び比較例1で得た耐熱成
形体について、耐熱性や耐炎性を評価するために、燃焼
試験を行なった。試験は、図3に示すように、耐熱成形
体によって作製した10cm×10cm×厚さ5mmの
試験片1を支持台2の上に垂直に固定し、アセチレンバ
ーナー3から噴出させた先端部が1000℃の炎4を試
験片1の片面の中央部に垂直に当てることによって行な
い、試験片1が着火するまでの時間、燃焼の状態、炎4
が試験片1を貫通するまでの時間、炎4が試験片1を貫
通した後、炎4を取り去ってから消火するまでの時間を
測定した。これらの結果を表2に示す。また試験後の試
験片1の状態を観察したところ、実施例1のものでは、
炎4を当てた側は黒褐色、裏面側は褐色に変色したもの
の、変形は発生していなかった。一方、比較例1のもの
では、炎4を当てた側の表面には亀甲状の無数の亀裂が
発生し、変形も大きく発生していた。
【0035】
【表2】
【0036】また、実施例1で使用したポリフェニレン
ベンツビスオキサゾール繊維と玄武岩繊維を25:75
の質量比で混合した繊維基材、実施例1で得た耐熱性成
形体、比較例1で使用した芳香族ポリアミ繊維の繊維基
材、比較例1で得た耐熱性成形体について、それぞれ熱
重量測定を行なった。測定は、試料を1分間当り10℃
の昇温速度で加熱しながら、試料の質量を測定してその
重量減少を計測することによって行なった。結果を図
1,2及び表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】図2のイは比較例1の繊維基材の重量減少
曲線を示すものであり、約490℃で熱分解が始まり、
600℃前後で質量が50質量%減少し、表3にみられ
るように1000℃昇温時点では重量減少率は97.1
%であって、残量は3%弱になっている。また図2のロ
は比較例1の耐熱成形体の重量減少曲線を示すものであ
り、この場合も熱分解温度が若干低くなる他は、ほぼ同
様な傾向で重量減少が進行し、残量は9%程度である。
比較例1では、繊維基材は芳香族ポリアミド繊維が10
0%であるので、繊維基材も耐熱成形体もいずれも有機
物が100%であり、1000℃昇温時点では殆どが分
解されて残量が10%以下になっているのは予想される
通りである。
【0039】一方、図1のイは実施例1の繊維基材の重
量減少曲線を示すものであり、約600℃で熱分解が始
まり、約690℃で重量減少が停止し、表3にみられる
ように1000℃昇温時点では重量減少率は25.8%
であって、残量は約74%である。実施例1の繊維基材
はポリフェニレンベンツビスオキサゾール繊維と玄武岩
繊維の質量比が25:75であるので、有機成分のポリ
フェニレンベンツビスオキサゾール繊維は分解されて消
失し、分解されずに残る無機成分の玄武岩繊維の比率と
一致する。実施例1の繊維基材の耐熱性が比較例1のも
のより高いというのがこの点から確認される。
【0040】また、図1のロは実施例1の耐熱成形体の
重量減少曲線を示すものであり、熱分解開始温度は約3
0℃程度低下するものの、その後の重量減少は繊維基材
単独のイよりも小さい。そして表3にみられるように1
000℃昇温時点では重量減少率は22.3%であっ
て、残量は約78%である。実施例1の耐熱成形体の有
機成分は繊維基材中のポリフェニレンベンツビスオキサ
ゾール繊維とフェノール樹脂の合計58%であり、無機
成分の玄武岩繊維は42%であるので、1000℃昇温
時点では重量減少率が58%程度、残量が42%程度に
なるはずであるが、このように残量が78%もあるとい
うのは、1000℃昇温時点においても、無機成分の玄
武岩繊維の他に、有機成分のフェノール樹脂の約80%
が分解されずに残存しているためであると考えられる。
その理由は明らかではないが、実施例1の耐熱成形体で
は繊維基材とフェノール樹脂の複合化効果によって耐熱
性が飛躍的に向上し、フェノール樹脂の多くが何らかの
形で系内に残存したと考えられるものであり、例えば、
フェルトを構成する繊維成分、特に玄武岩繊維に由来す
る成分と、フェノール樹脂とが結合し、セラミックス的
な無機バインダー成分として残留したと考えることが可
能である。
【0041】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係る耐
熱成形体は、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンベンツ
ビスオキサゾール、ポリフェニレンベンツビスチアゾー
ルの各有機繊維から選ばれる少なくとも一種と、少なく
とも一種の無機繊維とから構成される繊維基材に、熱硬
化性樹脂を含浸・硬化させたものであるので、耐熱性や
耐炎性、耐摩耗性、耐衝撃性などに優れた耐熱成形体を
得ることができるものであり、しかも有機繊維と無機繊
維から構成される繊維基材によって、高剛直性を有する
ものと、表面がビロード様で柔軟性を有するもののいず
れにでも形成することができるものである。
【0042】また請求項2の発明は、、繊維基材は、有
機繊維の短繊維と無機繊維の短繊維とからなる不織布で
あるので、高剛直性を有するものと、表面がビロード様
で柔軟性を有するもののいずれにでも容易に形成するこ
とができるものである。
【0043】また請求項3の発明は、繊維基材は、有機
繊維と無機繊維の混合質量比が10:90〜90:10
であるので、耐熱性を確保しつつ、表面がビロード様で
柔軟性を有するもののいずれにでも容易に形成すること
ができるものである。
【0044】また請求項4の発明は、有機繊維がポリフ
ェニレンベンツビスオキサゾールであり、無機繊維が玄
武岩を原料とする鉱物繊維であるので、耐熱性や耐炎
性、耐摩耗性、耐衝撃性などに特に優れた耐熱成形体を
得ることができるものである。
【0045】また請求項5の発明は、熱硬化性樹脂がフ
ェノール樹脂であるので、強度、耐熱性、耐炎性、高残
炭量性、電気絶縁性等に特に優れ、安価な耐熱成形体を
得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱重量測定の結果を示すグラフであり、イは実
施例1の繊維基材の重量減少率を、ロは実施例1の耐熱
成形体の重量減少率をそれぞれ示す。
【図2】熱重量測定の結果を示すグラフであり、イは比
較例1の繊維基材の重量減少率を、ロは比較例1の耐熱
成形体の重量減少率をそれぞれ示す。
【図3】燃焼試験を示す正面図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 277:00 B29K 277:00 281:00 281:00 309:00 309:00 C08L 61:04 C08L 61:04 (72)発明者 村上 克明 大阪府堺市築港新町2丁5番リグナイト株 式会社内 (72)発明者 原 永治 大阪府堺市築港新町2丁5番リグナイト株 式会社内 (72)発明者 山下 利彦 大阪府堺市新金岡町1−3−4−105 Fターム(参考) 4F072 AA02 AB05 AB06 AB08 AB09 AB29 AB33 AD13 AG03 AH02 AL01 4F204 AA36 AA37 AD02 AD16 AD25 AG03 FA01 FB01 FG09 FN11 FN12 FN17

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミド、ポリフェニレンベン
    ツビスオキサゾール、ポリフェニレンベンツビスチアゾ
    ールの各有機繊維から選ばれる少なくとも一種と、少な
    くとも一種の無機繊維とから構成される繊維基材に、熱
    硬化性樹脂が含浸・硬化されて成ることを特徴とする耐
    熱成形体。
  2. 【請求項2】 繊維基材は、有機繊維の短繊維と無機繊
    維の短繊維とからなる不織布であることを特徴とする請
    求項1に記載の耐熱成形体。
  3. 【請求項3】 繊維基材は、有機繊維と無機繊維の混合
    質量比が10:90〜90:10であることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の耐熱成形体。
  4. 【請求項4】 有機繊維がポリフェニレンベンツビスオ
    キサゾールであり、無機繊維が玄武岩を原料とする鉱物
    繊維であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    に記載の耐熱成形体。
  5. 【請求項5】 熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の耐熱
    成形体。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008106194A (ja) * 2006-10-27 2008-05-08 Sumitomo Bakelite Co Ltd 熱硬化性樹脂成形材料
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JP2017538809A (ja) * 2014-11-14 2017-12-28 ハチンソン 熱硬化性の多孔性マトリックスを持つ複合パネル、製造方法、及びパネルの集合体から形成される壁を覆うための構造体
JP2018523080A (ja) * 2015-07-06 2018-08-16 ベバスト エスエーWebasto SE 多孔質燃料処理エレメント

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