JP2002234798A - ランガサイト単結晶の作製方法およびランガサイト単結晶 - Google Patents

ランガサイト単結晶の作製方法およびランガサイト単結晶

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JP2002234798A JP2001024937A JP2001024937A JP2002234798A JP 2002234798 A JP2002234798 A JP 2002234798A JP 2001024937 A JP2001024937 A JP 2001024937A JP 2001024937 A JP2001024937 A JP 2001024937A JP 2002234798 A JP2002234798 A JP 2002234798A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二次結晶相がなく、かつ不要な部分がない、
長尺化が可能なランガサイト単結晶の作製方法を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 ランガサイト単結晶の作製方法が、ラン
ガサイト種結晶Sを白金るつぼ1の下部に充填し、かつ
前記ランガサイト種結晶Sの上にランガサイト原料Gを
充填して、前記ランガサイト種結晶Sと前記ランガサイ
ト原料Gとを垂直方向に温度勾配を有する垂直な炉内で
溶融させた後、前記白金るつぼ1を垂直に移動させてラ
ンガサイト単結晶Sを育成するランガサイト単結晶Sの
作製方法であって、前記ランガサイト原料Gは、白金る
つぼ1にランガサイト粉を充填し、融解した後に、固化
したものである方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面弾性波デバイ
スなどの圧電デバイス用基板に好適に用いられるランガ
サイト単結晶の作製方法およびランガサイト単結晶に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、ランガサイト(Langasite) 単結
晶は、温度による弾性波伝搬速度、周波数の変化率が小
さく、圧電性の大小を表す電気機械結合係数(電気エネ
ルギーと機械エネルギーの相互変換効率を示す係数)が
大きいことから、表面弾性波(Surface Acoustic Wave:
SAW)フィルタ等の圧電デバイス用の基板材料として
研究が行われている(例えば、H.Tanaka,K.Shimamura,
V.I.Chani,T.Fukuda,Effect of starting melt composi
tion on crystal growth of La3Ga5SiO14,J.Crystal Gr
owth 197(1999)204. 等)。すなわち、このランガサイ
ト単結晶は、水晶と同等の温度特性を持ち、しかも電気
機械結合係数が水晶の約3倍あり、携帯電話などに多用
されているSAWフィルタの広帯域化と小型化を図るこ
とが可能になる。例えば、特開平10−126209号
公報などにランガサイト単結晶を用いた表面弾性波デバ
イスが記載されている。なお、ランガサイトは、化学式
La3Ga5SiO14で示される化合物のことである。従
来、このランガサイト単結晶を育成するには、化学量論
比の組成に基づいた原料ペレットを融解して単結晶を育
成していた。
【0003】また、単結晶を製造する別の方法としてチ
ョクラルスキー法が広く行われる。チョクラルスキー法
を行う炉の一例の概略の断面図を図4に示す。この方法
での単結晶育成は、るつぼ11を用いて行い、るつぼ1
1の外側と上方にアルミナおよびジルコニアの断熱材2
を設け、ホットゾーンを形成する。断熱材2の外側に
は、加熱用の高周波ワークコイル3を設置する。なお、
るつぼ11底部には、熱電対12が設置されている。育
成の際に、るつぼ11の中に焼成されたペレットをチャ
ージし、加熱、融解させて所定温度の融液Lとする。そ
して、ランガサイトの種結晶Sを引き上げ軸13に固定
し、所定の回転数と引き上げ速度で融液Lからランガサ
イト単結晶Cを育成する。単結晶の直径は、引き上げ軸
13につながる重量センサ14で検出した結晶の重量変
化信号により行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、チョク
ラルスキー法では、種結晶から結晶育成するときに肩部
の形成を行うが、その部分はインゴットをウェハに加工
するときに無駄な部分となる。また、肩部を形成すると
きに内部応力が発生するため、結晶にクラックが発生す
る原因となっていた。さらに、細い種結晶よりネッキン
グを形成させるため、単結晶がある重量以上になると、
重さに耐えかねて、ネッキング部分よりおれてしまうこ
とがあった。従って、直胴部分を長尺化させるのに限界
があった。また、他の単結晶製造法としていわゆる垂直
ブリッジマン法が挙げられる。ブリッジマン法は、原料
融液の入った容器を温度の低いゾーンに移動させて冷
却、固化し、結晶を育成する方法である。
【0005】ブリッジマン法における、一般的な酸化物
単結晶の原料作製は、原料酸化物の混合、仮焼、粉砕、
プレス成型、燒結、ペレット作製の順序で行われる。と
ころが、この方法によって作製されたランガサイト原料
を用いてランガサイト単結晶を育成した場合、原料酸化
物を十分に混合後に仮焼したとしても、ランガサイトが
3成分系の組成であるために、未反応成分が残る。その
ため、完全なるランガサイト粉末を合成することは不可
能であり、LaGaO3 (ランタンガリウム)、La2
Si27 (ランタンシリゲイド)も合成される。
【0006】ブリッジマン法では、単結晶を育成するる
つぼは上部の方が高温であり、融液の対流が起こらず、
攪拌されない。そのため、ランガサイト以外の化合物を
含んだペレットを用いて単結晶を育成しようとしても、
ランガサイト以外の化合物が融液内に残り、育成したイ
ンゴットにランタンガリウム、ランタンシリゲイドの組
成の異なる相ができる可能性が高い。また、このペレッ
トの表面はもろく、かけらが発生しやすい。そのため、
白金るつぼ内にペレットを充填する前に、かけらが種結
晶の上に落ちたり、白金るつぼと種結晶との隙間に入
り、単結晶育成中にそのかけらに融液が付着し、多結晶
化しやすい。多結晶相になるとクラックが入りやすいな
ど、品質に問題が生じる。また、プレス圧を大きくして
ペレット状に成型を行っても、密度を大きくすることに
は限界があり、るつぼ内を融液で完全に満たすことはで
きず、ランガサイト単結晶のインゴットを長尺化させる
ことは困難であった。
【0007】本発明は、前記課題を解決するためになさ
れたものであり、二次結晶相が形成せず、長尺化が可能
なランガサイト単結晶の作製方法およびランガサイト単
結晶を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るランガサイ
ト単結晶の作製方法は、ランガサイト種結晶を単結晶育
成用白金るつぼの下部に充填し、かつ前記ランガサイト
種結晶の上にランガサイト原料を充填して、前記ランガ
サイト種結晶と前記ランガサイト原料とを垂直方向に温
度勾配を有する垂直な炉内で溶融させた後、前記単結晶
育成用白金るつぼを垂直に移動させてランガサイト単結
晶を育成するランガサイト単結晶の作製方法であって、
前記ランガサイト原料は、原料作製用白金るつぼにラン
ガサイト粉を充填し、融解した後に、固化したものであ
る方法である。このため、粉体の発生が抑制され、粉体
を核とする二次結晶相の形成を抑制することができる。
前記ランガサイト粉は、酸化ランタンと酸化ガリウムと
シリカとを混合し、1100〜1300℃で焼成した後
に粉砕したものであることが好ましい。このようにする
ことにより、Ga23がGaOに変化して気化すること
を防止することができる。前記融解が、不活性ガスと、
不活性ガスに対して2〜4体積%の酸素とを混合した雰
囲気中で行われることが好ましい。このようにすること
により、揮発性の高いGaの飛散を防ぐことができる。
本発明に係るランガサイト単結晶は、上記本発明に係る
ランガサイト単結晶の作製方法で作製されたものであ
る。すなわち、このランガサイト単結晶は、長尺で高品
質なものとなり、SAWデバイス用材料として好適であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のランガサイト単結晶の作
製方法およびランガサイト単結晶の一例を図1と図2を
用いて説明する。図1は本実施形態のランガサイト単結
晶作製に使用される炉の断面図である。この炉は、ラン
ガサイト種結晶とランガサイト原料とを充填する単結晶
育成用白金るつぼ1と、断熱材2と、加熱を行う高周波
ワークコイル3と、可動用ロッド4が設けられたるつぼ
受け5とから概略構成されている。
【0010】本発明で使用される炉は、垂直方向にラン
ガサイト単結晶の育成が可能な温度勾配をつけることが
可能で、単結晶育成用白金るつぼ1を垂直に移動させる
ことができれば、特に制限はなく、公知の炉を使用する
ことができる。また、炉の加熱方法も温度勾配をつける
ことができれば、特に制限はない。単結晶育成用白金る
つぼ1には、白金箔製ゴミ落下防止用蓋7がかぶせられ
ている。また、炉内ではるつぼ受け5の上に載せられて
いる。このとき、単結晶育成用白金るつぼ1を保護する
ために硬質のチューブ8を用いてもよい。るつぼ受け5
には可動用ロッド4が設けられており、ロッド4を上下
させることにより単結晶育成用白金るつぼ1を炉内で上
下させることができる。
【0011】本発明におけるランガサイト原料Gは、以
下のように作製される。まず、酸化ランタン(La
23)と酸化ガリウム(Ga23)とシリカ(Si
2 を混合して、この混合物をるつぼに充填し、るつ
ぼを加熱して焼成する。このときの温度は1100〜1
300℃であることが好ましい。この温度範囲であるこ
とにより、Ga23がGaOに変化して気化することを
防止することができる。
【0012】冷却した後、これを粉砕し合成粉末とし、
この合成粉末を原料作製用白金るつぼ1が全容積満たさ
れるように充填する。これを加熱することで上記酸化物
を融解し、さらに原料作製用白金るつぼ内で融液の対流
の起こる熱環境にする。冷却後、粉体の隙間にあった空
気がなくなり、原料作製用白金るつぼ上部には空間を有
している。ここに再び前記合成粉末を充填し、加熱す
る。これを数回繰り返して、るつぼ内部を満たした後、
るつぼを剥がして、得られた円柱状固形物をランガサイ
ト原料Gとして用いる。このようなランガサイト原料を
使用することで、原料全体が均一な組成となり、原料か
ら発生するかけらがないので、多結晶が発生することが
ない。なお、原料作製用白金るつぼは単結晶育成用白金
るつぼよりもランガサイト種結晶の分の高さだけ短くな
っている。これにより、ランガサイト原料Gとランガサ
イト種結晶Sとの体積と、単結晶作製用白金るつぼ1の
容積とが同じになるため、長尺の単結晶を作製すること
ができる。
【0013】炉の温度は図2に示されるように、炉の上
方はランガサイトの融点以上に上げ、炉の下方になるに
従い温度を下げ、単結晶を育成するのに必要な温度勾配
がつくられている。なお、炉内のガス雰囲気は、酸素と
不活性ガスとを含む混合ガスのガス雰囲気であり、かつ
酸素濃度が2〜4体積%であることが好ましい。このガ
ス雰囲気の条件により、揮発性の高いGaの飛散を抑制
することができる。さらに、ランガサイト種結晶Sの育
成開始前の昇温速度は100℃/hr以下であることが
好ましい。昇温速度を100℃以下にすることにより、
ランガサイト種結晶Sの熱歪みによるクラックを抑制す
ることができる。
【0014】ランガサイト種結晶Sを作製するためのシ
ーディングは、ランガサイト種結晶S上部とランガサイ
ト原料Gとを融解させて安定した固液界面を形成させる
ことにより行われるが、その固液界面の温度およびその
温度での保持時間がシーディングにおいて重要な要素と
なる。これは、ランガサイト種結晶Sの表面近傍に、加
工時に形成された破砕層を有しており、この粉砕層を融
解させておく必要があるためである。また、ランガサイ
ト種結晶が全て融解してしまう前に、固液界面を形成さ
せておく必要があるためでもある。
【0015】上記の要件を満足させるために、単結晶育
成用白金るつぼ1をランガサイト種結晶Sとランガサイ
ト原料Gとの界面Pの温度Tが1496〜1516℃に
なるような位置にセットする。さらに温度Tは1502
〜1510℃であることが好ましい。その温度で規定時
間保持し、ランガサイト種結晶Sの上部とランガサイト
原料Gとを融解させ、シーディングを行う。ランガサイ
ト種結晶Sは、結晶育成の核となるものであり、ランガ
サイト種結晶Sはランガサイト原料Gと一体化させるた
めに一部を融解させるが、全部を融解させないようにし
なければならない。なお、前記ランガサイト種結晶Sと
前記ランガサイト原料Gとの界面の温度を、前記界面と
同一平面上、かつ単結晶育成用白金るつぼ1外側近傍の
位置に設置した熱電対により測定することが好ましい。
これにより、ランガサイト種結晶Sとランガサイト原料
Gとの界面の温度を、高精度に測定することができる。
【0016】シーディングが終了した後、単結晶育成用
白金るつぼ1を徐々に降下させ、温度勾配を通過させ
る。このようにして、ランガサイト種結晶Sの結晶方位
に従い原料を冷却固化させることにより、ランガサイト
単結晶Cが作製される。なお、結晶育成後は、急激な降
温を行わない方が好ましい。急激な降温を行うと、単結
晶にストレスが生じるため、クラックが発生する場合が
ある。
【0017】このように、本実施形態のランガサイト単
結晶作製方法では、ランガサイトの融点1500℃に対
してランガサイト種結晶Sとランガサイト原料Gとの界
面の温度Tを1496〜1516℃にして溶融を行うの
で、ランガサイト種結晶Sの上部数ミリほどの部分とラ
ンガサイト原料Gとが融解し、ランガサイト原料Gとラ
ンガサイト種結晶Sとを一体にすることができる。な
お、ランガサイト種結晶Sとランガサイト原料Gとの界
面の温度Tが1516℃を超えると、ランガサイト種結
晶Sの底面まで融解するので好ましくない。
【0018】また、ランガサイト種結晶Sの上部とラン
ガサイト原料Gの融解は、1時間以上保持するのが好ま
しい。この時間保持することにより、ランガサイト種結
晶Sとランガサイト原料Gとの固液界面を安定化させる
ことができるので、品質の高い単結晶を作製することが
できる。また、4〜6時間保持することはさらに好まし
い。すなわち、4時間以上保持すれば、おおむねシーデ
ィングに関する反応は進行しており、6時間以下でおお
むね反応は終了している。したがって、4〜6時間保持
することにより、生産性を低下させずに、安定なシーデ
ィングが行える。
【0019】
【実施例】[実施例1]以下、本発明のランガサイト単
結晶Cの作製方法の実施例について説明する。まず、化
学量論比でLa23が30mol%、Ga23が50m
ol%、SiO2 が20mol%になるよう各酸化物を
天秤した。これらを、混合機によって十分に混合した
後、この混合粉末を1100〜1300℃で5時間焼成
した。この粉末の粉末X線回折を測定した結果を図3に
示す。ランガサイト結晶(201)面21のピークの他
に、ランタンガリウム結晶22およびランタンシリゲイ
ド結晶23と思われるピークが見られた。この粉末を、
厚さ0.15mm、内径52mm、高さ170mmの原
料作製用白金るつぼに全容積充填し、1480〜155
0℃の温度で5時間保持して融解を行った。融解を行う
炉内には、不活性ガスであるアルゴンに対して体積比2
〜4%の比率で酸素を混合して炉内に流した。
【0020】炉内では原料作製用白金るつぼの底部分を
多孔質のアルミナ炉材で保温した。そのため、融液中の
原料作製用白金るつぼ底の温度が上がり、融液内部で自
然対流現象が起こった。融解後、冷却すると粉末の隙間
にあった空気がなくなるので、原料作製用白金るつぼ上
部に空間が生じた。この空間に再度ランガサイト紛を全
容積充填し、前回と同様な条件で加熱融解を行った。こ
の作業を3回程繰り返した後に原料作製用白金るつぼを
剥がした。このようにして、単結晶育成用白金るつぼ1
に完全充填可能で、高密度なランガサイト原料Gを作製
した。
【0021】ランガサイト単結晶を育成するために、厚
さ0.15mm、内径52mm、高さ200mmの単結
晶作製用白金るつぼ1に高さ30mmのランガサイト種
結晶Sを挿入した。その上にランガサイト原料Gを置
き、単結晶作製用白金るつぼ1の上に白金箔でできたご
み落下防止用の蓋7をかぶせた。次に、このランガサイ
ト種結晶Sとランガサイト原料Gとが入った単結晶育成
用白金るつぼ1を、多孔質アルミナ製のるつぼ受け5の
上に置いた。単結晶育成用白金るつぼ1の厚さは薄いた
め、単結晶育成用白金るつぼ1の周りには硬質のアルミ
ナチューブ8をかぶせて保護した。このアルミナチュー
ブ8の一箇所には穴を開けておき、そこから熱電対6を
挿入して、熱電対6の接点を単結晶育成用白金るつぼ1
に接触させた。その熱電対接触点はランガサイト種結晶
Sとランガサイト原料Gと同一平面上かつ単結晶育成用
白金るつぼ1近傍に位置するようにした。
【0022】この白金るつぼを、炉内の最下部にセット
した後、不活性ガスであるアルゴンに対して体積比2〜
4%の比率にて酸素を混合して炉内に流した。炉のヒー
タは高温加熱可能とするスーパーカンタル製で上、中、
下段の3ゾーンヒータを独立に制御することが可能であ
り、各ヒータの長さは200mmであった。上段ヒータ
の温度を1550℃、中段ヒータの温度を1500℃、
下段ヒータの温度を1450℃の温度幅で設定し、昇温
を行った。昇温が終了して炉内の温度が安定した後、単
結晶育成用白金るつぼ1を緩やかな速度にて上昇させ
た。炉内には上下方向に温度勾配がつくられているの
で、炉の上部に移動するに従って、るつぼ内の温度が上
昇し、原料が融解してランガサイト融液が形成した。
【0023】融液が形成した単結晶育成用白金るつぼ1
の位置付近で、熱電対接触点の位置の温度をモニターし
ながら、単結晶育成用白金るつぼ1の位置を数mm上昇
させ、温度を安定させた。その工程を繰り返して、温度
が安定した状態で1496〜1516℃の範囲になるよ
う単結晶育成用白金るつぼ1を上昇させた。数時間の保
持を行った後、0.5mm/hで、単結晶育成用白金る
つぼ1を降下させて育成を開始した。降下距離は220
mmであり、約18日間で育成が終了した。育成終了
後、単結晶育成用白金るつぼ1を剥がしてランガサイト
単結晶Cのインゴットを取り出した。インゴットの長さ
は170mmであった。
【0024】[比較例1]本実施例以外の育成用原料を
使用して育成を行ったので表1に例示する。まず、ラン
ガサイトを構成するLa23(30mol/%)、Ga
23(50mol/%)、SiO2 (20mol/%)
の粉末を天秤した。これらを混合し、その混合紛末をラ
ンガサイト種結晶Sを充填した単結晶育成用白金るつぼ
1内に、完全充填した。実施例1と同じ育成条件で育成
を行ったところ、育成後のインゴットはランガサイト以
外に成分元素の酸化物、ランタンガリウム、ランタンシ
リゲイドが検出された。このような結果は、融液の対流
がないため、各成分同士での反応が起こりにくかったの
が原因である。また、粉体1粒子あたりの密度も低い為
に、単結晶育成用白金るつぼ1に密に充填ができず、育
成後のインゴットの長さは、白金るつぼの長さの半分以
下の70mmであった。
【0025】[比較例2]ランガサイトを構成する酸化
物の粉末を混合して仮焼した。これを粉砕して、合成粉
末を作製し、それを育成用白金るつぼに充填した。この
方法により育成を行ったところ、大部分がランガサイト
の組成の多結晶であり、一部にランタンガリウム、ラン
タンシリゲイドの異相も現われた。この結果も、融液の
対流が無いため、合成粉末に残ったランタンガリウム、
ランタンシリゲイド粉末の未反応成分が残ったためであ
る。また、比較例1よりも粒子の密度が大きい為、育成
用るつぼへの充填率も高く、長尺な結晶な結晶とはなっ
たが、まだ、るつぼが使用されていない部分が多く、実
施例1と比較するとインゴットの長さは短く、80mm
であった。
【0026】[比較例3]比較例2の合成粉末をプレス
して、ペレットを作製後、燒結させた。これをランガサ
イト原料として単結晶育成用白金るつぼ1に完全充填し
た。このようにすると、ランガサイト粉末とランガサイ
ト種結晶とがシーディングされた部分があり、種結晶と
同方位で成長した部分があったが、一部は別の方位で成
長する多結晶も現われた。また、ランタンガリウム、ラ
ンタンシリゲイドによる異相も結晶の一部に確認され
た。この結果は、ランガサイト原料を単結晶育成用白金
るつぼ1に充填するとき、ランガサイト粒子がランガサ
イト種結晶と単結晶育成用白金るつぼ1との隙間に入り
こみ、その粒子が不正核となり方位にそれぞれの結晶が
成長したためである。また、融液の対流が無いため、ペ
レット内にあるランタンガリウム、ランタンシリゲイド
による異相が発生した。比較例3のランガサイト単結晶
インゴットの長さは比較例2よりも長くはなったが、ま
だ単結晶育成用白金るつぼ1が使用されてない部分が多
く、実施例1よりもインゴットの長さは短く、110m
mであった。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明に係るランガサイト単結晶の作製
方法およびランガサイト単結晶によれば、ランガサイト
原料が、白金るつぼにランガサイト粉を充填し、融解し
た後に、固化して造られる方法であるため、二次結晶相
がないランガサイト単結晶を長尺で高品質に作製するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るランガサイト単結晶の作製方法
の一実施形態で用いる炉を示す断面図である。
【図2】 本発明に係るランガサイト単結晶の作製方法
の一実施形態で用いる炉の温度勾配を示すグラフであ
る。
【図3】 本発明に係るランガサイト単結晶の作製方法
の一実施形態で用いるランガサイト粉の粉末X線回折を
示す図である。
【図4】 従来のランガサイト単結晶の作製方法を行う
ための炉の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1.単結晶育成用白金るつぼ G.ランガサイト原料 S.ランガサイト種結晶 C.ランガサイト単結晶
フロントページの続き (72)発明者 干川 圭吾 長野県長野市西長野6の口 信州大学教育 学部構内 Fターム(参考) 4G077 AA02 BD15 CE02 EA06 EC02 HA11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ランガサイト種結晶を単結晶育成用白金
    るつぼの下部に充填し、かつ前記ランガサイト種結晶の
    上にランガサイト原料を充填して、前記ランガサイト種
    結晶と前記ランガサイト原料とを垂直方向に温度勾配を
    有する垂直な炉内で溶融させた後、前記単結晶育成用白
    金るつぼを垂直に移動させてランガサイト単結晶を育成
    するランガサイト単結晶の作製方法であって、 前記ランガサイト原料は、原料作製用白金るつぼにラン
    ガサイト粉を充填し、融解した後に、固化したものであ
    ることを特徴とするランガサイト単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ランガサイト粉は、酸化ランタンと
    酸化ガリウムとシリカとを混合し、1100〜1300
    ℃で焼成した後に、粉砕したものであることを特徴とす
    る請求項1に記載のランガサイト単結晶の作製方法。
  3. 【請求項3】 前記融解が、不活性ガスと、該不活性ガ
    スに対して2〜4体積%の酸素とを混合した雰囲気中で
    行われることを特徴とする請求項1または2に記載のラ
    ンガサイト単結晶の作製方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のランガ
    サイト単結晶の作製方法により作製されたことを特徴と
    するランガサイト単結晶。
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