JP2002234344A - 車両における開口部のシール構造 - Google Patents

車両における開口部のシール構造

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JP2002234344A JP2001030505A JP2001030505A JP2002234344A JP 2002234344 A JP2002234344 A JP 2002234344A JP 2001030505 A JP2001030505 A JP 2001030505A JP 2001030505 A JP2001030505 A JP 2001030505A JP 2002234344 A JP2002234344 A JP 2002234344A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フロントドアあるいはリアドアを閉める際のフ
ィーリングを向上することのできる車両における開口部
のシール構造を提供する。 【解決手段】ドアウエザストリップ20は、全体として
環状をなし、基部23と中空状のシール部24とを基本
的な構成要素として備える。そして、ドアウエザストリ
ップ20におけるフロントドアのドアサッシュ部のセン
タピラー部側上部の角部に対応する部分を型成形部と
し、それ以外の部分を連続的に形成した押出成形部とす
る。車両本体のフロントドア用開口部の開口縁部18に
おける下辺部以外の部分に、その縁部に沿った凸部19
を設ける。フロントドア12の閉状態で、凸部19の頂
部19aに対してその両方向に押し広げられるようにシ
ール部24を弾性変形させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のフロントド
アまたはリアドアの周縁部に装着されるウエザストリッ
プを用いて、車両本体と前記フロントドアまたは前記リ
アドアとの間をシールするようにした車両における開口
部のシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のシール構造では、車両の
フロントドアあるいはリアドアの周縁に取着されて、こ
れらドアと車両本体との間をシールするドアウエザスト
リップが用いられている。そして、前記フロントドアに
取着されるフロントドアウエザストリップとしては、例
えば図6及び図7に示すものがある。なお、図6は同ウ
エザストリップの側面図であり、図7の(a)は図6の
7a−7a線断面図、(b)は図6の7b−7b線断面
図、(c)は図6の7c−7c線断面図である。
【0003】図6に示すように、このフロントドアウエ
ザストリップ100は、ほぼ直線状に延びる複数(この
例では3本)の押出成形部、すなわち、第1の押出成形
部101、第2の押出成形部102、及び第3の押出成
形部103とを備えている。そして、それら各押出成形
部101〜103の端縁同士が複数(この例では3個)
の型成形部104で接続されている。ここで、第1の押
出成形部101は、図示しないフロントドアにおける上
部及び前方側部の略上半分に、第2の押出成形部102
は、同ドアにおける前方側部の略下半分に、そして第3
の押出成形部103は、同ドアにおける下部及び後方側
部にほぼ対応するように形成されている。
【0004】また、図7(a)〜(c)に示すように、
同フロントドアウエザストリップ100は、その各押出
成形部101〜103において、基部105と中空状の
シール部106と、同シール部106から外方に向かっ
て突出する背面シール107とを共通して備えている。
なお、図示はしていないが、前記各型成形部104にお
いても、これに接続される押出成形部101〜103の
基部105とシール部106と背面シール107とのそ
れぞれに連続する基部とシール部と背面シールとを備え
ている。
【0005】また、第1の押出成形部101には、その
背面シール107の中程から外方に向かって突出するシ
ールリップ108が一体形成されている。ただし、同シ
ールリップ108は、第2の押出成形部102及び第3
の押出成形部103には形成されておらず、第1の押出
成形部101と第2の押出成形部102とを接続する型
成形部104において、シールリップ108の長さが連
続的に徐変されている。
【0006】このようなフロントドアウエザストリップ
100は、前記フロントドアを開状態から閉状態に移行
させると、そのシール部106が前記車両本体の開口縁
部110に接触した状態で弾性変形する。このようにし
て、前記車両本体と前記フロントドアとの間において、
車室の内外がフロントドアウエザストリップ100を介
して、気密及び水密にシールされるようになる。
【0007】ところで、前記型成形部104は、そのシ
ール部の厚さを薄くするには自ずと限界があり、同シー
ル部が押出成形部101〜103のシール部106に比
べて肉厚になりがちであった。これにより、同型成形部
104のシール部の剛性が大きくなって、前記フロント
ドアを閉じる際のドア閉力に対して、型成形部104の
シール部による反力、すなわちフロントドアを閉状態か
ら開状態へと移行する方向に作用する力が大きくなる。
この結果、フロントドアを閉める際の抵抗が大きくなっ
て、そのドアを閉める際のフィーリングが低下するおそ
れがあった。特に、図6及び図7に示したフロントドア
ウエザストリップ100のように、型成形部104を複
数備える場合には、ドアを閉める際のフィーリングの低
下はより顕著なものとなる。
【0008】なお、図6において、前側の2ヶ所の型成
形部104を廃止し、可変押出成形により、各押出成形
部101〜103を1本にしてドアの閉まり性をよくし
たものも提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、それら
のフロントドアウエザストリップにおいて、図6及び図
7に示したものを例にとると、前記フロントドアを閉め
るべくシール部106と開口縁部110とを接触させる
と、フロントドアウエザストリップ100のシール部1
06は、例えば図7中に破線で示した態様で、その全体
が中心線mに対して一方向側に傾倒しながら弾性変形す
るようになっている。このため、シール部106と開口
縁部110との接触部で滑り摩擦が生じ、フロントドア
を閉める際にさらなる抵抗が生じることとなり、その閉
める際のドア閉力が高くなるとともに、ドア閉時のフィ
ーリングがさらに低下するという問題がある。また、中
空状のシール部106の側壁部分と開口縁部110との
平面的な圧接のため、へたり等によりシール性が低下す
るおそれがある。
【0010】なお、前記フロントドアの場合に限らず、
前記リアドアの場合にあっても、こうした実情は概ね共
通したものとなっている。本発明は、このような従来の
技術に存在する問題点に着目してなされたものである。
その目的としては、フロントドアあるいはリアドアを閉
める際のフィーリングを向上させるとともに、シール部
の移動を防止して、へたり等を抑制し、シール性を向上
させることのできる車両における開口部のシール構造を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、車両における開口部のシール構造に係る本願請求項
1に記載の発明は、車両のフロントドアまたはリアドア
の周縁部に装着される基部と、同基部に一体的に形成さ
れて、前記フロントドアまたは前記リアドアの閉状態で
車両本体の開口縁部に弾性的に当接する中空状のシール
部とを備えたウエザストリップを用いて、前記車両本体
と前記フロントドアまたは前記リアドアとの間をシール
する車両における開口部のシール構造において、前記ウ
エザストリップは、前記フロントドアまたは前記リアド
アにおける前記車両本体の開口縁部の一部をなすセンタ
ピラー部側上部の角部に対応する部分が型成形法により
成形された型成形部からなり、それ以外の部分は、押出
成形法により連続的に形成された押出成形部からなるも
のであり、前記開口縁部には、その少なくとも一部の縁
部に沿うように凸部を設け、前記フロントドアまたは前
記リアドアの閉状態では、前記シール部が前記凸部によ
り同凸部の頂部に対してその両方向に押し広げられなが
ら弾性変形するようにしたことを要旨とするものであ
る。
【0012】この本願請求項1に記載の発明では、各ド
アを閉める際に、ウエザストリップのシール部が、車両
の開口縁部に形成した凸部の頂部に対してその両方向に
押し広げられながら弾性変形されるため、シール部と開
口縁部との間に滑り摩擦力が生じにくくなる。この結
果、各ドアを閉める際のドア閉力を抑制することができ
るとともに、そのフィーリングを向上することができ
る。また、シール部の変形態様が大きく傾動せず、シー
ル部がその取付位置において圧縮方向での変形のため、
シール部の移動に伴うシール性の低下が防止され、シー
ル性を向上させることができる。
【0013】また、本願請求項2に記載の発明は、前記
請求項1に記載の発明において、前記フロントドアまた
は前記リアドアには、それらの上部及び側部の少なくと
も一部において、前記ウエザストリップとは別に形成さ
れたシール部材を装着することを要旨とするものであ
る。
【0014】ここで、先の図7に示したように、従来の
ウエザストリップ100にあっては、シール性、遮音性
等を向上するためにシールリップ108を形成すること
がある。しかしながら、同シールリップ108は、その
高さが比較的大きく、しかも、長手方向の両端部におい
てその高さが徐変するように形成されるため、可変口金
を用いた可変押出成形法においても、シールリップ10
8を形成するのに高度な技術が要求されていた。
【0015】これに対して本願請求項2に記載の発明で
は、前記請求項1に記載の発明の作用に加えて、シール
リップと同等の役割を果たすシール部材を、ウエザスト
リップとは別に形成することで、ウエザストリップにシ
ールリップを形成する必要がなくなる。このため、ウエ
ザストリップにおける型成形部以外の部分が、その断面
形状を大きく変化させることなく、可変口金を用いた可
変押出成形法により容易に形成される。
【0016】また、本願請求項3に記載の発明は、前記
請求項1または請求項2に記載の発明において、前記フ
ロントドアまたはリアドアの閉状態において、それら各
ドアのベルトライン部の近傍よりも下方部分における前
記シール部の弾性変形量を、それ以外の部分よりも小さ
く設定したことを要旨とするものである。
【0017】この本願請求項3に記載の発明では、前記
請求項1または請求項2に記載の発明の作用に加えて、
各ドアを閉める際、シール部と開口縁部との間で生じる
滑り摩擦力がより小さくなる。このため、各ドアを閉め
る際のドア閉力を小さくし、ドア閉時のフィーリングを
より向上することができる。なお、各ドアのベルトライ
ン部近傍よりも下方部分に求められるシール性は、その
他の部分に比べて小さいため、このようにシール部の弾
性変形量を小さくしてもシール性に支障を生じない。
【0018】また、本願請求項4に記載の発明は、前記
請求項3に記載の発明において、前記フロントドアまた
はリアドアのベルトライン部の近傍よりも下方部分にお
ける前記シール部の高さをそれ以外の部分よりも低く設
定したことを要旨とするものである。
【0019】また、本願請求項5に記載の発明は、前記
請求項3に記載の発明において、前記フロントドアまた
はリアドアのベルトライン部の近傍よりも下方部分に対
応する前記車両本体の開口縁部における前記凸部の突出
高さをそれ以外の部分よりも低く設定したことを要旨と
するものである。
【0020】これら本願請求項4または請求項5に記載
の発明では、前記請求項3に記載の発明の作用に加え
て、シール部の高さ、あるいは各ドアの周縁部における
凸部の突出高さを前述のように設定することで、ベルト
ライン部の近傍よりも下方部分におけるシール部の弾性
変形量が小さくなる。
【0021】また、本願請求項6に記載の発明は、前記
請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明に
おいて、前記ウエザストリップは、その前方側部及び後
方側部の少なくとも一方の前記フロントドアまたはリア
ドアのベルトライン部に対応する部分の近傍における断
面形状が徐変するように形成されていることを要旨とす
るものである。
【0022】この本願請求項6に記載の発明では、前記
請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明の
作用に加えて、シール性の要求度合の異なるウエザスト
リップのベルトライン部近傍の上方部分と下方部分とを
滑らかに連続させることが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下に、本発
明のシール構造を具体化した第1の実施形態について、
図1〜図3を参照して説明する。なお、図2は、右側の
フロントドアに装着されるフロントドアウェザストリッ
プを車室内側から見た正面図であり、図3(a)〜
(d)は、図2の、それぞれ3a―3a線、3b―3b
線、3c―3c線、3d―3d線における拡大断面図で
ある。
【0024】図1に示すように、このシール構造が採用
される車両10の車両本体11には、そのフロント側側
部に一対のフロントドア12、リア側側部に一対のリア
ドア13(図1では共に左側のドアのみ図示)がそれぞ
れ開閉可能に支持されている。そして、前記車両本体1
1には、フロントドア12に対応した位置にフロントド
ア用開口部14、リアドア13に対応した位置にリアド
ア用開口部15が形成されており、これら開口部14,
15の間には、それらの開口縁部の一部をなすセンタピ
ラー部16が形成されている。
【0025】前記フロントドア12は、ドア本体部12
aと同ドア本体部12aの上部にて逆U字状に設けられ
たドアサッシュ部12b等とを備えている。また、フロ
ントドア12には、その車内側の周縁部17にウエザス
トリップとしてのフロントドアウエザストリップ(以
下、単に「ウエザストリップ」という)20が図示しな
い両面接着テープやクリップを介して装着されている。
そして、フロントドア12を開状態(図1に示した状
態)から閉状態へと移行させて前記フロントドア用開口
部14を塞ぐと、ドアウエザストリップ20の後述する
中空状のシール部24がフロントドア用開口部14の開
口縁部18に弾性的に当接するようになっている。これ
により、フロントドア12が閉じられた状態で車両10
の車室内外が気密及び水密にシールされるようになって
いる。
【0026】また、ドアウエザストリップ20は、例え
ば、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPD
M)等の弾性材料から形成されている。そして、図2に
示すように、このウエザストリップ20は、全体として
環状に形成されており、型成形法により略L字形に形成
された1つの型成形部21と、それ以外の部分であっ
て、可変口金を用いた可変押出成形法により連続的に形
成された押出成形部22とから構成されている。ここ
で、型成形部21は、前記ドアサッシュ部12bの後方
上部、すなわち、前記センタピラー部16側上部の角部
に対応するように形成されている。
【0027】図3に示すように、押出成形部22は、前
記フロントドア12の周縁部17に装着される基部23
と、同基部23に一体的に形成された中空状のシール部
24とを基本的に備えている。また、図示はしないが、
前記型成形部21にも、押出成形部22の基部23及び
シール部24に連続するように形成された基部とシール
部とを備えている。すなわち、このドアウエザストリッ
プ20は、基部とシール部とを基本的な構成要素として
備え、全周に亘ってほぼ同一の基部23及びシール部2
4を備えた断面形状となるように形成されている。
【0028】また、ドアウエザストリップ20の押出成
形部22において、その基部23内には中空状の肉盗み
部25が形成されている。また、押出成形部22におい
て、その前方側部(図2中にAで示した部分)以外のシ
ール部24の外面に背面リップ26が外方に向かって突
出するように形成されている。なお、背面リップ26
は、押出成形部22の前記前方側部の両端部近傍におい
て、その高さが徐変するように形成されている。このよ
うなドアウエザストリップ20を用いることで、フロン
トドア12を閉じると、シール部24が前記フロントド
ア用開口部14の開口縁部18の全周に亘って弾性的に
当接し、車室の内外が気密及び水密にシールされるよう
になる。
【0029】本実施形態では、前記開口縁部18におけ
る前方部分以外の縁部に沿うように凸部19(図3参
照)を形成している。そして、図3(a)、(c)、
(d)に示すように、フロントドア12を閉じた状態に
おいて、前記凸部19が形成されている部分では、ドア
ウエザストリップ20のシール部24が凸部19の頂部
19aに対してその両方向に押し広げられながら圧縮す
る方向に弾性変形するようにしている。
【0030】また、前記フロントドア12のドア本体部
12aとドアサッシュ部12bとの接続部であるベルト
ライン部L1の近傍よりも下方部分に対応するシール部
24の前記凸部19の侵入方向vにおける高さH2,H
3を、その上方部分に対応するシール部24の高さH
1,H4よりも小さく設定している。
【0031】また、シール部24の高さHを前述のよう
に変更するため、押出成形部22の断面形状を、図2中
でB及びDにて示した前記ベルトライン部L1に対応す
る部分の近傍で徐変するようにしている。すなわち、B
で示した部分では、ドアウエザストリップ20の断面形
状が、図3(a)で示したものから図3(b)に示した
ものへと徐々に変化するようになっている。また、Dで
示した部分では、その断面形状が図3(c)で示したも
のから図3(d)で示したものへと徐々に変化するよう
になっている。
【0032】さらに、図2中でCで示した部分は、押出
成形部22が大きく曲げられることとなるため、シール
部24がつぶれやすく、シール性が不足がちになりやす
い。このようなシール性の低下を抑制するため、この部
分が大きく曲げられた状態でも、フロントドア12の閉
状態において、車両本体11のフロントドア用開口部1
4の開口縁部18における凸部19により、シール部2
4が所定量だけ弾性変形されるようになっている。つま
り、図2中のCで示した部分のシール部24は、他の部
分に比べて若干高くなるように形成されている。また、
このシール部24の高さは、前記前方側部から前記下辺
部側に向かって徐々に大きくなり、屈曲部の中央で最大
となって、また徐々に小さくなっている。しかも、この
Cで示した部分は、その断面形状が図3(b)で示した
ものから図3(d)で示したものへと徐変されている。
【0033】また、図3(a)に示すように、前記フロ
ントドア12には、そのドアサッシュ部12bの少なく
とも一部にドアウエザストリップ20とは別に形成され
たシール部材30を設けている。同シール部材30は、
ドアサッシュ部12bに設けられたリテーナ33に装着
される基部31と、前記開口縁部18に弾性的に当接す
るリップ部32とを備えている。
【0034】次に、ウエザストリップ20の製造手順に
ついて簡単に説明する。なお、かかる製造に使用する装
置等については、ここでは図示を省略する。先ず、押出
成形機を用いて前記押出成形部22の断面形状を有する
弾性材料を所定の開口部を有するダイより押出す。この
とき、可変押出機構により押出成形部22に対し上述し
た特徴を有してなる各種断面形状を付与せしめる。その
後、金型装置を用いて、押出成形部22の両端部を接続
するように型成形部21を成形する。
【0035】従って、本実施形態によれば、以下のよう
な効果を得ることができる。 (1)このシール構造に用いるドアウエザストリップ2
0は、型成形部21を1つのみ備える。このため、フロ
ントドア12を閉める際、型成形部21のシール部によ
る反力、すなわちフロントドア12を閉状態から開状態
へと移行させる方向に作用する力の増大が抑制される。
また、開口縁部18には、その縁部に沿うよう凸部19
を設け、フロントドア12の閉状態では、ドアウエザス
トリップ20のシール部24が凸部19の頂部19aに
対してその両方向に押し広げられながら圧縮方向に弾性
変形するようにした。これにより、シール部24は、そ
の取付位置から大きく移動しないで変形し、また、シー
ル部24と開口縁部18との間に滑り摩擦力が生じにく
くなる。これらの結果、フロントドア12を閉める際の
ドア閉力の低下及びドア閉時のフィーリングを向上する
ことができる。
【0036】(2)従来では、シール性、遮音性等を向
上するため、ドアウエザストリップにシールリップを形
成することがある。しかしながら、同シールリップは、
その大きさが比較的大きく、しかも、長手方向の両端部
においてその高さが徐変するように形成されているた
め、可変口金を用いた可変押出成形法においても、同シ
ールリップを形成するのに高度な技術が要求されてい
た。これに対して、このシール構造では、フロントドア
12のドアサッシュ部12bの少なくとも一部にドアウ
エザストリップ20とは別に形成されたシール部材30
を装着した。このため、ドアウエザストリップ20に前
記シールリップを形成する必要がなくなる。これによ
り、ドアウエザストリップ20における押出成形部22
の断面形状の変化が小さくなり、ドアウエザストリップ
20を、可変口金を用いた可変押出成形法により容易に
形成することができる。
【0037】(3)このシール構造では、フロントドア
12のベルトライン部L1の近傍よりも下方部分におけ
るシール部24の高さH2,H3を、ベルトライン部L
1の近傍よりも上方部分におけるシール部24の高さH
1,H4よりも低く設定した。このため、ベルトライン
部L1の近傍よりも下方部分におけるシール部24の弾
性変形量を小さくすることができて、フロントドア12
を閉める際にシール部24と開口縁部18との間で生じ
る滑り摩擦力をより小さくすることができる。この結
果、フロントドア12を閉める際のフィーリングをより
向上することができる。なお、フロントドア12のベル
トライン部L1近傍よりも下方部分に求められるドアウ
エザストリップ20のシール性は、ベルトライン部L1
の上方部分に求められるシール性に比べて小さいため、
このようにシール部24の高さHを小さくしてもそのシ
ール性に支障を生じない。
【0038】(4)このシール構造では、ドアウエザス
トリップ20におけるベルトライン部L1に対応する部
分の近傍でその断面形状を徐変するようにした。このた
め、シール部24の高さHを徐変することにより、シー
ル性の要求の高い前記上方部分とシール性の要求が比較
的低い前記下方部分との断面形状を滑らかに連続させる
ことができる。この結果、ドアウエザストリップ20に
おけるこれら両部分に段差が生じたりすることなく、シ
ール部24によるベルトライン部L1近傍のシール性を
良好に保つことができる。
【0039】(第2の実施の形態)つぎに、本発明の第
2の実施形態について、前記第1の実施形態と異なる部
分を中心に、図1、図4及び図5を参照して説明する。
なお、図4は、右側のリアドアドアに装着されるリアド
アウェザストリップを車室内側から見た正面図であり、
図5(a)〜(d)は、図4の、それぞれ5a―5a
線、5b―5b線、5c―5c線、5d―5d線におけ
る拡大断面図である。なお、図4及び図5において、先
に示した図2及び図3と同一の構成については同一の符
号を付している。
【0040】本第2の実施形態のシール構造では、車両
本体とリアドアとの間に設けられるリアドアウエザスト
リップを用いて車室の内外をシールする点で、前記第1
の実施形態と異なる。
【0041】本実施形態のシール構造で用いられるリア
ドアウエザストリップ(以下、単に「ウエザストリッ
プ」という)40は、図1で示したリアドア13の車内
側の周縁部において、図示しない両面接着テープやクリ
ップを介して装着されている。同リアドア13は、ドア
本体部13aと同ドア本体部13aの上部にて逆U字状
に設けられたドアサッシュ部13b等とを備えている。
そして、リアドア13を開状態から閉状態へと移行させ
て前記リアドア用開口部15を塞ぐと、ドアウエザスト
リップ40の後述するシール部44がリアドア用開口部
15の開口縁部58に弾性的に当接するようになってい
る。これにより、リアドア13が閉じられた状態で車両
10の車室内外がシールされるようになっている。
【0042】図4に示すように、このウエザストリップ
40は、全体として環状に形成されており、型成形法に
より略L字形に形成された1つの型成形部41と、それ
以外の部分であって、可変口金を用いた可変押出成形法
により連続的に形成された押出成形部42とから構成さ
れている。ここで、型成形部41は、前記ドアサッシュ
部の前方上部、すなわち、前記センタピラー部16(図
1参照)側上部の角部に対応するように形成されてい
る。
【0043】図5に示すように、押出成形部42は、前
記リアドア13の周縁部57に装着される基部43と、
同基部43に一体的に形成された中空状のシール部44
とを基本的に備えている。また、図示はしないが前記型
成形部41にも押出成形部42の基部43及びシール部
44に連続するように形成された基部とシール部とを備
えている。すなわち、このドアウエザストリップ40
は、基部とシール部とを基本的な構成要素として備え、
全周に亘ってほぼ同一の基部43及びシール部44を備
えた断面形状となるように形成されている。
【0044】また、ドアウエザストリップ40の押出成
形部42において、その基部43内には中空状の肉盗み
部45が形成されている。また、押出成形部42におい
て、その前方下部(図4中にEで示した部分)以外のシ
ール部44の外面に背面リップ46が外方に向かって突
出するように形成されている。なお、背面リップ46
は、押出成形部42の前記前方下部の両端部近傍におい
て、その高さが徐変するように形成されている。このよ
うなドアウエザストリップ40を用いることで、リアド
ア13を閉じると、シール部44が前記リアドア用開口
部15の開口縁部58の全周に亘って弾性的に当接し、
車室の内外が気密及び水密にシールされるようになる。
【0045】本実施形態では、前記開口縁部58におけ
る前方下部以外の縁部に沿うように凸部59を形成して
いる。そして、図5(a)、(b)、(d)に示すよう
に、リアドア13を閉じた状態において、前記凸部59
が形成されている部分では、ドアウエザストリップ40
のシール部44が凸部59の頂部59aに対してその両
方向に押し広げられながら圧縮方向に弾性変形するよう
にしている。
【0046】また、リアドア13のドア本体部13aと
ドアサッシュ部13bとの接続部であるベルトライン部
L2の近傍よりも下方部分に対応するシール部44の前
記凸部59の侵入方向における高さH7,H8を、その
上方部分に対応するシール部44の高さH5,H6より
も小さく設定している。
【0047】また、シール部44の高さHを前述のよう
に変更するため、押出成形部42の断面形状を、図4中
でF及びGにて示した前記ベルトライン部L2に対応す
る部分の近傍で徐変するようにしている。すなわち、F
で示した部分では、ドアウエザストリップ40の断面形
状が、図5(b)で示したものから図5(c)に示した
ものへと徐々に変化するようになっている。また、Gで
示した部分では、その断面形状が図5(d)で示したも
のから図5(a)で示したものへと徐々に変化するよう
になっている。
【0048】さらに、図4中のIで示した部分のシール
部44は、他の部分に比べて若干高くなるように形成さ
れている。また、このシール部44の高さは、前記セン
タピラー部16側からリア側に向かって徐々に大きくな
り、屈曲部の中央で最大となって、また徐々に小さくな
っている。しかも、このIで示した部分は、その断面形
状が図5(c)で示したものから図5(d)で示したも
のへと徐変されている。
【0049】また、図5(a)に示すように、前記リア
ドア13には、そのドアサッシュ部13bの少なくとも
一部にドアウエザストリップ40とは別に形成されたシ
ール部材30を設けている。
【0050】従って、本実施の形態によれば、前記第1
実施の形態における(1)〜(4)に記載の効果に準じ
た効果を得ることができる。 (変形例)なお、本発明の各実施形態は、以下のように
変形してもよい。
【0051】・前記各実施形態では、押出成形部22,
42の前方側部と後方側部との両部分におけるベルトラ
イン部L1,L2の近傍でその断面形状を徐変するよう
にした。しかし、徐変する部分は、必ずしも前記両部分
である必要はなく、押出成形部22,42の断面形状に
よっては、これら両部分のうちどちらか一方の部分のみ
で徐変してもよい。
【0052】・また、このように徐変する部分は、必ず
しも前記ベルトライン部L1,L2近傍である必要はな
く、押出成形部22,42におけるベルトライン部L
1,L2近傍以外の部分であってもよい。そのようにし
た場合、その徐変する部分の位置及び数は、押出成形部
22,42の断面形状に応じて適宜設定することができ
る。特に、曲がりの大きな部分は、シール部24,44
のつぶれによるシール性の不足を補うため、シール部2
4,44の高さを徐変させることが望ましい。
【0053】・また、前記各実施形態では、押出成形部
22,42におけるベルトライン部L1,L2の近傍よ
りも下方部分のシール部24,44の高さH2,H3,
H7,H8を、同下方部分の上部のシール部24,44
の高さH1,H4,H5,H6よりも低く設定した。し
かし、これら各部分のシール部24,44の高さHを必
ずしもこのように設定する必要なはい。これを例えば、
押出成形部22,42における下辺部分のシール部2
4,44の高さH3,H8をそれ以外の部分のシール部
24,44の高さH1,H2,H4〜H7よりも低く設
定するようにしてもよい。
【0054】・また、このシール部24,44の高さH
を前述のように設定する代わりに、例えば、ベルトライ
ン部L1,L2の近傍よりも下方部分に対応する車両本
体11の開口縁部18,58における凸部19,59の
突出高さh(図3及び図5参照)をそれ以外の部分の高
さよりも低く設定するようにしてもよい。要は、ドア1
2,13の閉状態において、ベルトライン部L1,L2
の近傍よりも下方部分におけるシール部24,44の弾
性変形量T(図3及び図5参照)をそれ以外の部分の弾
性変形量よりも小さく設定してあればよい。なお、図3
及び図5では、前記弾性変形量として、凸部19,59
の進入方向におけるシール部24,44の弾性変形前後
の変化幅を用いたが、この変化幅に代えて、例えば、同
シール部24,44の弾性変形により減少する体積等を
用いてもよい。
【0055】・また、前記各実施形態では、シール部材
30を備える構成としたが、このシール部材30を省略
してもよい。 ・また、前記各実施形態では、一対のフロントドア12
と一対のリアドア13とを備えた車両の例を示した。し
かし、本実施形態は、一対のサイドドアを備えた車両
(いわゆる、2ドア車、3ドア車)におけるそのサイド
ドア、一対のフロントドアと1つのリアドアとを備えた
車両、一対のフロントドアと車両の側部に沿ってスライ
ドするスライドドアとを備えた車両、及び一対のフロン
トドアと1つのリアドアと1つのスライドドアとを備え
た車両におけるそのフロントドア、サイドドアあるいは
リアドア等にドアウエザストリップ20,40を装着す
る場合に適用してもよい。このようにした場合、一対の
サイドドアを備えた車両にあっては、そのサイドドアの
後方側に設けられるピラー部をセンタピラー部16とす
る。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、本願請求項1に記
載の発明によれば、フロントドアあるいはリアドアのド
ア閉時において中空状のシール部と開口縁部との間に滑
り摩擦力を生じにくくすることができる。この結果、ド
アを閉める際のドア閉力の低下及びドア閉時のフィーリ
ングを向上することができる。また、ドア閉時における
シール性を向上させることもできる。
【0057】また、本願請求項2に記載の発明によれ
ば、前記請求項1に記載の発明の効果に加えて、ウエザ
ストリップにおける型成形部以外の部分を、可変口金を
用いた可変押出成形法により容易に形成することができ
る。
【0058】また、本願請求項3に記載の発明によれ
ば、前記請求項1または請求項2に記載の発明の効果に
加えて、ドアを閉める際、シール部と開口縁部との間で
生じる滑り摩擦力をより小さくすることができて、ドア
を閉める際のフィーリングをより向上することができ
る。
【0059】また、本願請求項4または請求項5に記載
の発明によれば、前記請求項1〜請求項3のうちいずれ
か一項に記載の発明の効果に加えて、ベルトライン部の
近傍よりも下方部分におけるシール部の弾性変形量を小
さくすることができる。
【0060】また、本願請求項6に記載の発明によれ
ば、前記請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載
の発明の効果に加えて、シール性の要求度合の異なるウ
エザストリップのベルトライン部近傍の上方部分と下方
部分とを滑らかに連続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のシール構造が採用される車両
の部分斜視図。
【図2】図1のフロントドアウェザストリップを示す正
面図。
【図3】(a)〜(d)は、図2の、それぞれ3a―3
a線、3b―3b線、3c―3c線、3d―3d線にお
ける拡大断面図。
【図4】第2の実施形態で用いられるリアドアウエザス
トリップの正面図。
【図5】(a)〜(d)は、図4の、それぞれ5a―5
a線、5b―5b線、5c―5c線、5d―5d線にお
ける拡大断面図。
【図6】従来のフロントドアウエザストリップの正面
図。
【図7】(a)〜(c)は、図6の、それぞれ7a―7
a線、7b―7b線、7c―7c線における拡大断面
図。
【符号の説明】
10…車両、11…車両本体、12…フロントドア、1
3…リアドア、14…フロントドア用開口部、15…リ
アドア用開口部、16…センタピラー部、17,57…
周縁部、18,58…開口縁部、19,59…凸部、1
9a,59a…頂部、20…フロントドアウエザストリ
ップ、21,41…型成形部、22,42…押出成形
部、23,43…基部、24,44…シール部、25,
45…肉盗み部、30…シール部材、40…フロントド
アウエザストリップ、T1〜T8…シール部の弾性変形
量、H1〜H8…シール部の高さ、h…凸部の突出高
さ、L1,L2…ベルトライン部。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両のフロントドアまたはリアドアの周縁
    部に装着される基部と、同基部に一体的に形成されて、
    前記フロントドアまたは前記リアドアの閉状態で車両本
    体の開口縁部に弾性的に当接する中空状のシール部とを
    備えたウエザストリップを用いて、前記車両本体と前記
    フロントドアまたは前記リアドアとの間をシールする車
    両における開口部のシール構造において、 前記ウエザストリップは、前記フロントドアまたは前記
    リアドアにおける前記車両本体の開口縁部の一部をなす
    センタピラー部側上部の角部に対応する部分が型成形法
    により成形された型成形部からなり、それ以外の部分
    は、押出成形法により連続的に形成された押出成形部か
    らなるものであり、前記開口縁部には、その少なくとも
    一部の縁部に沿うように凸部を設け、前記フロントドア
    または前記リアドアの閉状態では、前記シール部が前記
    凸部により同凸部の頂部に対してその両方向に押し広げ
    られながら弾性変形するようにしたことを特徴とする車
    両における開口部のシール構造。
  2. 【請求項2】前記フロントドアまたは前記リアドアに
    は、それらの上部及び側部の少なくとも一部において、
    前記ウエザストリップとは別に形成されたシール部材を
    装着することを特徴とする請求項1に記載の車両におけ
    る開口部のシール構造。
  3. 【請求項3】前記フロントドアまたはリアドアの閉状態
    において、それら各ドアのベルトライン部の近傍よりも
    下方部分における前記シール部の弾性変形量を、それ以
    外の部分よりも小さく設定したことを特徴とする請求項
    1に記載の車両における開口部のシール構造。
  4. 【請求項4】前記フロントドアまたはリアドアのベルト
    ライン部の近傍よりも下方部分における前記シール部の
    高さを、それ以外の部分よりも低く設定したことを特徴
    とする請求項3に記載の車両における開口部のシール構
    造。
  5. 【請求項5】前記フロントドアまたはリアドアのベルト
    ライン部の近傍よりも下方部分に対応する前記車両本体
    の開口縁部における前記凸部の突出高さをそれ以外の部
    分よりも低く設定したことを特徴とする請求項3に記載
    の車両における開口部のシール構造。
  6. 【請求項6】前記ウエザストリップは、その前方側部及
    び後方側部の少なくとも一方の前記フロントドアまたは
    リアドアのベルトライン部に対応する部分の近傍におけ
    る断面形状が徐変するように形成されていることを特徴
    とする請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の
    車両における開口部のシール構造。
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