JP2002231421A - セラミックヒータ - Google Patents

セラミックヒータ

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JP2002231421A
JP2002231421A JP2001048978A JP2001048978A JP2002231421A JP 2002231421 A JP2002231421 A JP 2002231421A JP 2001048978 A JP2001048978 A JP 2001048978A JP 2001048978 A JP2001048978 A JP 2001048978A JP 2002231421 A JP2002231421 A JP 2002231421A
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Japan
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resistance heating
heating element
ceramic substrate
ceramic
temperature
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JP2001048978A
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Yasutaka Ito
康隆 伊藤
Hiroyuki Sakaguchi
洋之 坂口
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Ibiden Co Ltd
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Ibiden Co Ltd
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Priority to US09/926,714 priority patent/US20040149718A1/en
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  • Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコンウエハの加熱面の温度を均一化する
ことができ、シリコンウエハの破損を防止することがで
きるセラミックヒータを提供すること。 【解決手段】 円板形状のセラミック基板の表面または
内部に抵抗発熱体が形成されてなるセラミックヒータで
あって、上記セラミック基板の外周部分には、円周方向
に分割された少なくとも2以上の回路からなる抵抗発熱
体が形成されるとともに、外周部分に配置された上記抵
抗発熱体の内側に、別の回路からなる抵抗発熱体が形成
されていることを特徴とするセラミックヒータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の詳細な説明〕
【0002】
【従来の技術】半導体製品は、半導体ウエハ上に感光性
樹脂をエッチングレジストとして形成し、半導体ウエハ
のエッチングを行う工程等を経て製造される。この感光
性樹脂は液状であり、スピンコーターなどを用いて半導
体ウエハ表面に塗布されるのであるが、塗布後に乾燥さ
せなければならず、塗布した半導体ウエハをヒータ上に
載置して加熱することになる。従来、このような用途に
使用される金属製のヒータとしては、アルミニウム板の
裏面に抵抗発熱体を配置したものが採用されている。
【0003】ところが、このような金属製のヒータは、
以下のような問題があった。まず、金属製であるため、
セラミック基板の厚みは、15mm程度と厚くしなけれ
ばならない。なぜなら、薄い金属板では、加熱に起因す
る熱膨張により、反りや歪みが発生してしまい、金属板
上に載置した半導体ウエハが破損したり傾いたりしてし
まうからである。しかしながら、セラミック基板の厚み
を厚くすると、ヒータの重量が重くなり、また、かさば
ってしまう。
【0004】また、抵抗発熱体に印加する電圧や電流量
を変えることにより、加熱温度を制御するのであるが、
金属板が厚いために、電圧や電流量の変化に対してセラ
ミック基板の温度が迅速に追従せず、温度制御しにく
い。
【0005】そこで、特公平8−8247号公報などで
提案されているように、発熱体が形成された窒化物セラ
ミックを使用し、発熱体近傍の温度を測定しながら、温
度制御する技術が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
技術を用いて半導体ウエハを加熱しようとした際、セラ
ミックヒータの加熱面に温度差が発生し、特に、同心円
形状または渦巻き状のパターンに抵抗発熱体が形成され
たセラミックヒータを用いると、加熱された半導体ウエ
ハに中心部分と外周部分とで温度差が大きくなり、半導
体ウエハ上の樹脂硬化物の硬化度が不均一になったり、
ヒータ表面の温度差に起因する熱衝撃で半導体ウエハが
破損してしまうという問題が発生した。
【0007】そこで、本発明者らは、このような半導体
ウエハ上の樹脂硬化物の硬化度が不均一になったり、半
導体ウエハが破損してしまう原因について鋭意研究した
結果、温度制御を行っているにも拘わらず、このような
問題が発生する理由は、単一の温度制御を行っても、加
熱面が均一な温度にならず、半導体ウエハに場所による
温度差が生じてしまうからであるという事実を突き止め
た。また、セラミック基板の外周部分(セラミック基板
の半径の1/2から外側の部分)では、セラミック基板
の外縁部からの放熱により、温度が不均一になりやす
く、特に、温度が上昇する過程(過渡特性)で、その傾
向が顕著に現れるという事実を突き止めた。さらに、こ
のような温度の不均一化は、放熱の大きいセラミック基
板の外周部分ほど大きくなり、窒化物セラミックや炭化
物セラミックのような熱伝導率が高いセラミック基板を
用いると、温度の不均一化の傾向が強くなるという事実
も新たに突き止めた。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはさ
らに検討を重ね、セラミック基板の外周部分(セラミッ
ク基板の半径の1/2から外側の部分)に、2以上の回
路からなる抵抗発熱体を配置するとともに、セラミック
基板の内側部分(セラミック基板の半径の1/2から内
側の部分)に別の回路からなる抵抗発熱体が形成された
セラミックヒータを用い、細かい発熱量制御を行うこと
により、半導体ウエハ等の被加熱物の加熱面(以下、加
熱面という)の温度差を小さくすることができ、半導体
ウエハの破損を防止することができることを見出した。
【0009】さらに、セラミック基板の直径と抵抗発熱
体の回路の総数との関係を、一定の式に基づいて決定す
ることにより、加熱面の温度をより均一にすることがで
きることを見出し、以下に示す内容を要旨構成とする本
発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明のセラミックヒータは、円板
形状のセラミック基板の表面または内部に抵抗発熱体が
形成されてなるセラミックヒータであって、上記セラミ
ック基板の外周部分には、円周方向に分割された少なく
とも2以上の回路からなる抵抗発熱体が配置されるとと
もに、外周部分に配置された上記抵抗発熱体の内側に、
別の回路からなる抵抗発熱体が形成されていることを特
徴とするセラミックヒータである。
【0011】なお、上記セラミック基板に設けられた抵
抗発熱体の回路の総数nと、上記セラミック基板の直径
r(mm)との間には、下記の(1)式の関係が成り立
つことが望ましい。 n≧r1.94×0.5×10-4・・・(1)
【0012】また、上記別の回路からなる抵抗発熱体
は、同心円または渦巻き形状であることが望ましい。
【0013】また、上記別の回路からなる抵抗発熱体
は、同心円または渦巻き形状と、円周方向に分割された
抵抗発熱体の混成であることが望ましい。
【0014】また、上記セラミックヒータは、100〜
800℃で使用されることが望ましい。
【0015】また、上記セラミックヒータには、上記セ
ラミック基板の温度を測定する測温素子と、上記複数の
回路からなる抵抗発熱体に電力を供給する制御部と、上
記測温素子により測定された温度データを記憶する記憶
部と、上記温度データから上記抵抗発熱体に必要な電力
を演算する演算部とが備えられており、上記抵抗発熱体
の複数の回路には、それぞれ異なる電力が供給されるよ
うに構成されていることが望ましい。
【0016】さらに、上記セラミック基板は、窒化物セ
ラミックまたは炭化物セラミックから構成されているこ
とが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明のセラミックヒータ
について説明する。本発明のセラミックヒータは、円板
形状のセラミック基板の表面または内部に抵抗発熱体が
形成されてなるセラミックヒータであって、上記セラミ
ック基板の外周部分には、円周方向に分割された少なく
とも2以上の回路からなる抵抗発熱体が配置されるとと
もに、外周部分に配置された上記抵抗発熱体の内側に、
別の回路からなる抵抗発熱体が形成されていることを特
徴とする。
【0018】上記セラミックヒータによれば、温度の不
均一化が大きくなるセラミック基板の外周部分に、円周
方向に分割された2以上の回路からなる抵抗発熱体が配
置されているため、放熱量が大きく、温度が不均一にな
り易いセラミック基板の外周部でより細かい発熱量の制
御を行うことができ、加熱面の温度を均一にすることが
できる。従って、被加熱物を均一に加熱することがで
き、その結果、例えば、半導体ウエハ上の樹脂硬化物の
硬化度を均一にすることができ、また、半導体ウエハの
破損を防止することができる。
【0019】本発明のセラミックヒータは、セラミック
基板の外周部分に、円周方向に2以上の回路に分割され
た抵抗発熱体を有しているが、このような構成としたの
は、例えば、同心円のみで構成される回路では、加熱面
の温度を制御することが困難であるからである。このよ
うに、上記抵抗発熱体を円周方向に2以上の回路に分割
して制御を行うことにより、同一円周上の温度分布の不
均一さを無くすことができ、被加熱物を加熱する面(加
熱面)の温度を均一化することができるのである。特に
外周付近では、放熱のために温度が不均一化しやすいた
め、外周部分は、円周方向に2以上の回路に分割されて
いる抵抗発熱体とする。この場合、円周方向に2以上の
回路に分割された上記抵抗発熱体は、外周部分の全体に
存在している必要はなく、外周部分の領域に存在してい
ればよい。また、外周部分の円周方向に分割された抵抗
発熱体は、最外周のパターンであることがより望まし
い。最外周の部分が、最も温度が不均一となりやすく、
この部分の温度を制御する必要があるからである。ただ
し、このことは、外周部分に形成された、円周方向に分
割された抵抗発熱体のさらに外周に抵抗発熱体を形成す
ることを否定するものではない。さらに、円周方向に2
以上の回路に分割された抵抗発熱体は、外周部分のみな
らず、内側部分に存在していてもよい。
【0020】ただし、特開平8−125001号公報に
おけるセラミックヒータのように、抵抗発熱体82a〜
82kが内側部分と外側部分とで連続しており、かつ、
円周方向に分割された回路である場合(図9参照)は、
本発明のセラミックヒータには含まれない。このような
構成のセラミックヒータは、セラミック基板の内側部分
の直径方向で温度が不均一となるとともに、上記セラミ
ック基板の反りが発生しやすいからである。
【0021】上記セラミック基板の反り量は、60μm
以下であることが望ましい。上記反り量が60μmを超
えると、被加熱物である半導体ウエハとセラミック基板
との間で距離のばらつきが大きくなるため、半導体ウエ
ハを均一に加熱することができないからである。
【0022】また、半導体ウエハを加熱する方法として
は、上記半導体ウエハをセラミック基板に直接載置し、
加熱する方法と、上記半導体ウエハと上記セラミック基
板とを5〜5000μm離間させて加熱する方法の2種
類があるが、いずれにせよ、セラミック基板の反り量は
60μm以下がよい。
【0023】また、本発明のセラミックヒータは、外周
部分に配置された抵抗発熱体の内側に、別のパターンの
回路からなる抵抗発熱体が形成されている。このような
抵抗発熱体としては、同心円または渦巻きパターンの抵
抗発熱体が望ましい。セラミック基板の直径方向の温度
の不均一を解消することができるとともに、セラミック
基板の反りも防止することができるからである。特に内
側部分(セラミック基板の半径の1/2から内側の部
分)では、円周方向よりも直径方向の温度が不均一化し
やすいため、内側部分の回路は、同心円または渦巻きパ
ターンであることが望ましい。
【0024】また、上記セラミック基板の内側部分に
は、同心円または渦巻きパターンの抵抗発熱体と円周方
向に2以上の回路に分割された抵抗発熱体とを混成させ
ることが望ましい。セラミック基板の内側部分の温度の
不均一が解消されるとともに、セラミック基板の反りも
防止することができるからである。
【0025】従って、本発明のセラミックヒータでは、
外周部分に、円周方向に2以上の回路に分割された抵抗
発熱体を形成し、内側部分には、同心円または渦巻きパ
ターンの抵抗発熱体を形成することが望ましい。これら
の抵抗発熱体が一体的に作用することにより、セラミッ
ク基板の加熱面の温度が均一となるとともに、セラミッ
ク基板に反りが発生せず、セラミック基板と半導体ウエ
ハとの距離が一定となり、半導体ウエハを均一に加熱す
ることができる。また、本発明のセラミックヒータで
は、特に、温度が上昇する過程(過渡特性)において生
じるセラミック基板の加熱面での温度の不均一を解消す
ることができる。
【0026】図1および図8は、本発明のセラミックヒ
ータの一例を模式的に示す底面図であり、図2は、その
一部を示す部分拡大断面図である。
【0027】このセラミックヒータ10では、円板状に
形成されたセラミック基板11の加熱面11aの反対側
である底面11bに、抵抗発熱体12(12a〜12
h)が形成されている。
【0028】また、抵抗発熱体12は、加熱面11aの
全体の温度が均一なるように加熱するため、セラミック
基板11の最外周に、同心円の一部を描くように繰り返
して形成された円弧パターンが配置され、その内部に一
部が切断された同心円パターンが配置されている。
【0029】最外周の抵抗発熱体12aは、同心円を円
周方向に4分割した円弧状のパターンが繰り返して形成
され、隣り合う円弧の端部は、屈曲線により接続され一
連の回路を構成している。そして、これと同パターンで
ある抵抗発熱体12a〜12dの4つの回路が、外周を
取り囲むように近接して形成され、全体的に円環状のパ
ターンを構成している。
【0030】また、抵抗発熱体12a〜12dの端部
は、クーリングスポット等の発生を防止するために、円
環状パターンの内側に形成されており、そのため、外側
の回路の端部は内側の方に向かって延設されている。
【0031】最外周に形成された抵抗発熱体12a〜1
2dの内側には、そのごく一部が切断された同心円パタ
ーンの回路からなる抵抗発熱体12e〜12hが形成さ
れている。この抵抗発熱体12e〜12hでは、隣り合
う同心円の端部が、順次直線からなる抵抗発熱体で接続
されることにより一連の回路が構成されている。
【0032】また、抵抗発熱体12a〜12d、12
e、12f、12g、12hの間には、帯状(円環状)
の発熱体非形成領域が設けられており、中心部分にも、
円形の発熱体非形成領域が設けられている。
【0033】従って、全体的に見ると、円環状の抵抗発
熱体形成領域と発熱体非形成領域とが、外側から内側に
交互に形成されており、これらの領域をセラミック基板
の大きさ(口径)や厚さ等を考慮して、適当に設定する
ことにより、加熱面の温度を均一にすることができるよ
うになっている。
【0034】また、抵抗発熱体12(12a〜12h)
は、その両端に入出力の端子となる外部端子33が金属
被覆層120を介して接続されている。また、中央に近
い部分には、半導体ウエハ39を支持するリフターピン
36を挿通するための貫通孔15が形成され、さらに、
測温素子としての熱電対17を挿入するための有底孔1
4が形成されている。
【0035】図4は、本発明のセラミックヒータの別の
一例を模式的に示す底面図であり、図5は、その一部を
示す部分拡大断面図である。このセラミックヒータ50
では、円板状に形成されたセラミック基板51の内部に
抵抗発熱体52(52a〜52h)が形成されている。
【0036】セラミックヒータ50の最外周に、4分割
された屈曲線の繰り返しパターンからなる抵抗発熱体5
2a〜52dが配置され、その内側に、同心円パターン
の回路からなる抵抗発熱体52e〜52hが、一定の間
隔を置いて配置されている。
【0037】また、図1に示したセラミックヒータと同
様に、複数の貫通孔55が形成されるとともに、複数の
有底孔54が形成され、抵抗発熱体52a〜52hの端
部の直下には、スルーホール58が形成され、さらに、
このスルーホール58を露出させる袋孔59が底面51
bに形成され、袋孔59には外部端子53が挿入され、
ろう材(図示せず)で接合されている。
【0038】また、図8では、セラミック基板71の内
側部分に、円周方向に分割された抵抗発熱体12i、1
2jが形成されている。この場合、セラミック基板71
の内側部分における円周方向の温度の不均一を解消する
ことができる。本発明のセラミックヒータは、100〜
800℃で使用されることが望ましい。
【0039】図1、図4では、抵抗発熱体12a〜12
d、52a〜52dが最外周に配置された抵抗発熱体で
あるが、このような最外周の抵抗発熱体は、外周から中
心までの距離に対し、中心から50%以上の領域に形成
されていることが望ましい。50%未満であると、最外
周に形成された抵抗発熱体の領域が広くなりすぎるた
め、加熱面の温度の制御が難しくなるからである。
【0040】円周方向に分割されたパターンとは、セラ
ミック基板の中心から外周に向けて複数の線分を引き、
その線分により分割された領域に形成されたパターンを
指す。通常、その領域は全て同じ大きさが好ましい。ま
た、分割数は、図1に示したように、4分割に限定され
ず、2分割以上であれば、3分割でも5分割でもよい。
通常、セラミック基板の大きさが大きくなるに従って、
分割数を多くすることが好ましい。例えば、直径が25
0mmの基板では、抵抗発熱体の回路を2〜4分割する
ことが望ましく、直径が300mmの基板では、2〜8
分割することが望ましい。
【0041】抵抗発熱体のパターンとしては、セラミッ
ク基板の最外周に、円周方向に分割された少なくとも2
以上の回路からなる抵抗発熱体が配置され、最外周に配
置された上記抵抗発熱体の内側に、別の回路が形成され
ていれば、その形状等は特に限定されず、例えば、図1
に示した、円弧の繰り返しパターンと同心円形状のパタ
ーンとを併用したパターン、図4に示した、最外周に屈
曲線の繰り返しパターンである抵抗発熱体52a〜52
dが形成され、その内部に同心円形状のパターンである
抵抗発熱体52e〜52hが形成されたパターン等が挙
げられる。また、例えば、渦巻き状のパターン、偏心円
状のパターン、屈曲線の繰り返しパターン等も用いるこ
とができ、これらを併用してもよく、これらと図1また
は図4に示したパターンとを併用してもよい。さらに、
円周方向に分割された抵抗発熱体のパターンは、セラミ
ック基板の最外周に限らず、その内部にも形成してもよ
い。
【0042】本発明のセラミックヒータ10における抵
抗発熱体12は、セラミック基板11に設けられた抵抗
発熱体12の回路の総数nと、セラミック基板11の直
径r(mm)との間には、下記の(1)式の関係が成り
立つことが望ましい。 n≧r1.94×0.5×10-4・・・(1) (1)式の関係が成り立つように抵抗発熱体を形成する
と、セラミック基板の加熱面の面積に対する抵抗発熱体
の回路の総数が充分に多くなり、一回路が加熱する面積
が適切な範囲となるため、一回路内における発熱量のば
らつきを小さくすることができる。その結果、各回路に
異なる電流を供給することで、細かい発熱量の制御を容
易に精度よく行うことが可能となり、加熱面11aの温
度を均一にすることができる。
【0043】逆に(1)式の関係が成り立たない場合
は、セラミック基板の加熱面の面積に対する抵抗発熱体
の回路の総数が少ないため、一回路が加熱する面積が広
く、各回路に異なる電流を供給しても、一回路内におい
て発熱量のばらつきが発生する。その結果、全体として
発熱量を精度よく制御することが困難となり、加熱面1
1aの温度を均一にすることができない可能性がある。
【0044】(1)式について、例を挙げて説明する
と、以下のようになる。図1に示したセラミックヒータ
10において、抵抗発熱体12の回路の総数nは、最外
周の抵抗発熱体12a〜12dの4回路と、その内部の
抵抗発熱体12e〜12hの4回路とで、8回路であ
る。セラミック基板の直径が200(mm)以上では、
総回路数は3以上、直径が210(mm)以上では、総
回路数は4以上、直径が300(mm)以上では、総回
路数は7以上であることが望ましい。ここで、セラミッ
ク基板11の直径が300(mm)であるとすると、n
≧3.2となる。すなわち、総回路数は4以上であれば
よく、セラミックヒータ10は上記(1)式の関係を満
たすことになる。一方、セラミック基板11の直径が5
00(mm)であるとすると、n≧8.6となる。すな
わち、総回路数は9以上必要であり、セラミックヒータ
10は上記(1)式の関係を満たさず、さらに小さな回
路に分割される必要があることが分かる。
【0045】すなわち、上記(1)式の関係を満たすに
は、セラミック基板の直径が大きくなるにつれて、抵抗
発熱体の総回路数を増加させる必要があるということに
なる。また、最外周に形成する抵抗発熱体の回路数と、
その内部に形成する抵抗発熱体の回路数とは、±1以内
であることが望ましい。最外周の回路数が極端に多い
と、その内部の回路数が少ないことになるため、セラミ
ック基板内部で精度よい発熱量制御をすることが困難と
なり、最外周の回路数が少なければ、外周部での精度よ
い温度制御をすることができないからである。
【0046】本発明においては、抵抗発熱体をセラミッ
ク基板の表面(底面)に形成してもよく、抵抗発熱体を
セラミック基板の内部に埋設してもよい。抵抗発熱体を
セラミック基板11の表面に形成する場合には、金属粒
子を含む導電ペーストをセラミック基板11の表面に塗
布して所定パターンの導体ペースト層を形成した後、こ
れを焼き付け、セラミック基板11の表面で金属粒子を
焼結させる方法が好ましい。なお、金属の焼結は、金属
粒子同士および金属粒子とセラミックとが融着していれ
ば充分である。
【0047】セラミック基板11の表面に抵抗発熱体を
形成する場合には、この抵抗発熱体の厚さは、1〜30
μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。また、
セラミック基板11の内部に抵抗発熱体を形成する場合
には、その厚さは、1〜50μmが好ましい。
【0048】また、セラミック基板11の表面に抵抗発
熱体を形成する場合には、抵抗発熱体の幅は、0.1〜
20mmが好ましく、0.1〜5mmがより好ましい。
また、セラミック基板11の内部に抵抗発熱体を形成す
る場合には、抵抗発熱体の幅は、5〜20μmが好まし
い。
【0049】抵抗発熱体は、その幅や厚さにより抵抗値
に変化を持たせることができるが、上記した範囲が最も
実用的である。抵抗値は、薄く、また、細くなる程大き
くなる。抵抗発熱体は、セラミック基板11の内部に形
成した場合の方が、厚み、幅とも大きくなるが、抵抗発
熱体を内部に設けると、加熱面と抵抗発熱体との距離が
短くなり、表面の温度の均一性が低下するため、抵抗発
熱体自体の幅を広げる必要があること、内部に抵抗発熱
体を設けるために、窒化物セラミック等との密着性を考
慮する必要性がないため、タングステン、モリブデンな
どの高融点金属やタングステン、モリブデンなどの炭化
物を使用することができ、抵抗値を高くすることが可能
となるため、断線等を防止する目的で厚み自体を厚くし
てもよい。そのため、抵抗発熱体は、上記した厚みや幅
とすることが望ましい。
【0050】抵抗発熱体の形成位置をこのように設定す
ることにより、抵抗発熱体から発生した熱が伝搬してい
くうちに、セラミック基板全体に拡散し、被加熱物(半
導体ウエハ)を加熱する面の温度分布が均一化され、そ
の結果、被加熱物の各部分における温度が均一化され
る。
【0051】抵抗発熱体は、断面が矩形であっても楕円
であってもよいが、偏平であることが望ましい。偏平の
方が加熱面に向かって放熱しやすいため、加熱面の温度
分布ができにくいからである。断面のアスペクト比(抵
抗発熱体の幅/抵抗発熱体の厚さ)は、10〜5000
であることが望ましい。この範囲に調整することによ
り、抵抗発熱体の抵抗値を大きくすることができるとと
もに、加熱面の温度の均一性を確保することができるか
らである。
【0052】抵抗発熱体の厚さを一定とした場合、アス
ペクト比が上記範囲より小さいと、セラミック基板11
の加熱面方向への熱の伝搬量が小さくなり、抵抗発熱体
のパターンに近似した熱分布が加熱面に発生してしま
い、逆にアスペクト比が大きすぎると抵抗発熱体の中央
の直上部分が高温となってしまい、結局、抵抗発熱体の
パターンに近似した熱分布が加熱面に発生してしまう。
従って、温度分布を考慮すると、断面のアスペクト比
は、10〜5000であることが好ましいのである。
【0053】抵抗発熱体をセラミック基板11の表面に
形成する場合は、アスペクト比を10〜200、抵抗発
熱体をセラミック基板11の内部に形成する場合は、ア
スペクト比を200〜5000とすることが望ましい。
【0054】抵抗発熱体は、セラミック基板11の内部
に形成した場合の方が、アスペクト比が大きくなるが、
これは、抵抗発熱体を内部に設けると、加熱面と抵抗発
熱体との距離が短くなり、表面の温度均一性が低下する
ため、抵抗発熱体自体を偏平にする必要があるからであ
る。
【0055】本発明の抵抗発熱体をセラミック基板11
の内部に偏芯して形成する場合の位置は、セラミック基
板11の加熱面11aに対向する底面11bに近い位置
で、加熱面11aから底面11bまでの距離に対して5
0%を超え、99%までの位置とすることが望ましい。
50%以下であると、加熱面に近すぎるため、温度分布
が発生してしまい、逆に、99%を超えると、セラミッ
ク基板11自体に反りが発生して、半導体ウエハが破損
するからである。
【0056】また、抵抗発熱体をセラミック基板11の
内部に形成する場合には、抵抗発熱体形成層を複数層設
けてもよい。この場合は、各層のパターンは、相互に補
完するようにどこかの層に抵抗発熱体が形成され、加熱
面の上方から見ると、どの領域にもパターンが形成され
ている状態が望ましい。このような構造としては、例え
ば、互いに千鳥の配置になっている構造が挙げられる。
【0057】導体ペーストとしては特に限定されない
が、導電性を確保するための金属粒子または導電性セラ
ミックが含有されているほか、樹脂、溶剤、増粘剤など
を含むものが好ましい。
【0058】上記金属粒子としては、例えば、貴金属
(金、銀、白金、パラジウム)、鉛、タングステン、モ
リブデン、ニッケルなどが好ましく、中でも、貴金属
(金、銀、白金、パラジウム)がより好ましい。また、
これらは、単独で用いてもよいが、2種以上を併用する
ことが望ましい。これらの金属は、比較的酸化しにく
く、発熱するに充分な抵抗値を有するからである。上記
導電性セラミックとしては、例えば、タングステン、モ
リブデンの炭化物などが挙げられる。これらは、単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】これら金属粒子または導電性セラミック粒
子の粒径は、0.1〜100μmが好ましい。0.1μ
m未満と微細すぎると、酸化されやすく、一方、100
μmを超えると、焼結しにくくなり、抵抗値が大きくな
るからである。
【0060】上記金属粒子の形状は、球状であっても、
リン片状であってもよい。これらの金属粒子を用いる場
合、上記球状物と上記リン片状物との混合物であってよ
い。上記金属粒子がリン片状物、または、球状物とリン
片状物との混合物の場合は、金属粒子間の金属酸化物を
保持しやすくなり、抵抗発熱体と窒化物セラミック等と
の密着性を確実にし、かつ、抵抗値を大きくすることが
できるため有利である。
【0061】導体ペーストに使用される樹脂としては、
例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ
る。また、溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコ
ールなどが挙げられる。増粘剤としては、セルロースな
どが挙げられる。
【0062】導体ペーストには、上記したように、金属
粒子に金属酸化物を添加し、抵抗発熱体を金属粒子およ
び金属酸化物を焼結させたものとすることが望ましい。
このように、金属酸化物を金属粒子とともに焼結させる
ことにより、セラミック基板である窒化物セラミックま
たは炭化物セラミックと金属粒子とを密着させることが
できる。
【0063】金属酸化物を混合することにより、窒化物
セラミックまたは炭化物セラミックと密着性が改善され
る理由は明確ではないが、金属粒子表面や窒化物セラミ
ック、炭化物セラミックの表面は、わずかに酸化されて
酸化膜が形成されており、この酸化膜同士が金属酸化物
を介して焼結して一体化し、金属粒子と窒化物セラミッ
クまたは炭化物セラミックとが密着するのではないかと
考えられる。
【0064】上記金属酸化物としては、例えば、酸化
鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素(B 23 )、アル
ミナ、イットリアおよびチタニアからなる群から選ばれ
る少なくとも1種が好ましい。
【0065】これらの酸化物は、抵抗発熱体の抵抗値を
大きくすることなく、金属粒子と窒化物セラミックまた
は炭化物セラミックとの密着性を改善することができる
からである。
【0066】上記酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ
素(B23 )、アルミナ、イットリア、チタニアの割
合は、金属酸化物の全量を100重量部とした場合、重
量比で、酸化鉛が1〜10、シリカが1〜30、酸化ホ
ウ素が5〜50、酸化亜鉛が20〜70、アルミナが1
〜10、イットリアが1〜50、チタニアが1〜50で
あって、その合計が100重量部を超えない範囲で調整
されていることが望ましい。これらの範囲で、これらの
酸化物の量を調整することにより、特に窒化物セラミッ
クとの密着性を改善することができる。上記金属酸化物
の金属粒子に対する添加量は、0.1重量%以上10重
量%未満が好ましい。
【0067】また、抵抗発熱体を形成した際の面積抵抗
率は、0.1〜10Ω/□が好ましい。面積抵抗率が
0.1Ω/□未満の場合、発熱量を確保するために、抵
抗発熱体パターンの幅を0.1〜1mm程度と非常に細
くしなければならず、このため、パターンのわずかな欠
け等で断線したり、抵抗値が変動し、また、面積抵抗率
が10Ω/□を超えると、抵抗発熱体パターンの幅を大
きくしなければ、発熱量を確保できず、その結果、パタ
ーン設計の自由度が低下し、加熱面の温度を均一にする
ことが困難となるからである。
【0068】抵抗発熱体がセラミック基板11の表面に
形成される場合には、抵抗発熱体の表面部分に、金属被
覆層(図2参照)120が形成されていることが望まし
い。内部の金属焼結体が酸化されて抵抗値が変化するの
を防止するためである。形成する金属被覆層120の厚
さは、0.1〜10μmが好ましい。
【0069】金属被覆層120を形成する際に使用され
る金属は、非酸化性の金属であれば特に限定されない
が、具体的には、例えば、金、銀、パラジウム、白金、
ニッケルなどが挙げられる。これらは、単独で用いても
よく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、
ニッケルが好ましい。
【0070】抵抗発熱体12には、電源と接続するため
の端子が必要であり、この端子は、半田を介して抵抗発
熱体12に取り付けるが、ニッケルは、半田の熱拡散を
防止するからである。接続端子としては、例えば、コバ
ール製の外部端子33が挙げられる。
【0071】なお、抵抗発熱体をセラミック基板11の
内部に形成する場合には、抵抗発熱体表面が酸化される
ことがないため、被覆は不要である。抵抗発熱体をセラ
ミック基板11内部に形成する場合、抵抗発熱体の一部
が表面に露出していてもよく、抵抗発熱体を接続するた
めのスルーホールが端子部分に設けられ、このスルーホ
ールに端子が接続、固定されていてもよい。
【0072】接続端子を接続する場合、半田としては、
銀−鉛、鉛−スズ、ビスマス−スズなどの合金を使用す
ることができる。なお、半田層の厚さは、0.1〜50
μmが好ましい。半田による接続を確保するのに充分な
範囲だからである。
【0073】また、本発明のセラミックヒータは、セラ
ミック基板の温度を測定する測温素子と、上記複数の回
路からなる抵抗発熱体に電力を供給する制御部と、上記
測温素子により測定された温度データを記憶する記憶部
と、上記温度データから上記抵抗発熱体に必要な電力を
演算する演算部とを備え、上記抵抗発熱体の複数の回路
には、それぞれ異なる電力が供給されるように構成され
ていることが望ましい。演算部を有するため、急激な温
度変化(外乱)があった場合でも、測温結果に基づい
て、発熱体の各回路に必要な電力を正確に演算できるた
め、所望の設定温度に制御することができるからであ
る。
【0074】図3は、本発明の一例であるセラミックヒ
ータ40の概略を示したブロック図である。セラミック
ヒータ40において、セラミック基板41は、円板状に
形成されており、セラミック基板41の加熱面41aの
全体の温度が均一になるように加熱するため、セラミッ
ク基板41の底面41bの最外周には、同心円が円周方
向に分割され形成された、円弧の繰り返しパターンの抵
抗発熱体42aが外周を取り囲むように配設され、その
内側には同心円形状のパターンの抵抗発熱体42bが形
成されている。なお、抵抗発熱体42(42a、42
b)は、その両端に入出力の端子となる外部端子43が
金属被覆層420を介して接続されている。また、外部
端子43には、ソケット20が取り付けられ、このソケ
ット20は、電源を有する制御部に接続されている。ま
た、中央に近い部分には、半導体ウエハ39を支持する
リフターピン36を挿通するための貫通孔45が形成さ
れ、さらに、測温素子としての熱電対47を挿入するた
めの有底孔44が形成されている。
【0075】また、セラミック基板41には、底面41
b側から有底孔44が設けられ、この有底孔44の底に
は、測温素子としての熱電対47が固定されている。こ
の熱電対47は、記憶部21に接続され、各熱電対47
の温度を一定時間毎に測定し、そのデータを記憶するこ
とができるようになっている。そして、この記憶部21
は、制御部23に接続されるとともに、演算部22に接
続され、記憶部21に記憶されたデータに基づき、演算
部22で制御する電圧値等の計算を行い、これに基づ
き、制御部23から各抵抗発熱体42に対して所定の電
圧を印加し、加熱面41aの温度を均一化することがで
きるようになっている。
【0076】次に、上記したセラミックヒータ40の動
作について、説明する。まず、制御部23を作動させる
ことによりセラミックヒータ40に電力を投入すると、
セラミック基板41自体の温度が上がり始めるが、外周
部の方の表面温度がやや低温になる。
【0077】熱電対47で測温したデータは、記憶部2
1に一端格納される。次に、この温度データは演算部2
2に送られ、演算部22において、各測定点における温
度の差ΔTを演算し、さらに、加熱面41aの温度の均
一化のために必要なデータΔWを演算する。
【0078】例えば、抵抗発熱体42aと抵抗発熱体4
2bにおける温度差ΔTがあり、抵抗発熱体42aの方
が低ければ、ΔTを0にするような電力データΔWを演
算し、これを制御部23に送信して、これに基づいた電
力を抵抗発熱体42aに投入して昇温させるのである。
【0079】電力の計算アルゴリズムについては、セラ
ミック基板41の比熱と加熱域の重量から昇温に必要な
電力を演算する方法が最も簡便であり、これに抵抗発熱
体パターンに起因する補正係数を加味してもよい。ま
た、予め、特定の抵抗発熱体パターンについて昇温試験
を行い、測温位置、投入電力、温度の関数を予め求めて
おき、この関数から投入電力を演算してもよい。そし
て、演算部22で演算された電力に対応する印加電圧と
時間とを制御部23に送信し、制御部23でその値に基
づいて各抵抗発熱体42に電力を投入することになる。
【0080】また、温度制御方法については、上記方法
を用いることが望ましいが、例えば、抵抗発熱体の各回
路毎で、所定の設定温度を超えると電力の供給が停止
し、所定の設定温度未満となると電力の供給を再開する
制御等を用いてもよく、供給する電力については、演算
等を行わず、供給時は電力を一定とする制御等を用いて
もよい。また、温度制御方法については、これらに限定
されない。
【0081】本発明のセラミックヒータ10を形成する
セラミックは、窒化物セラミックまたは炭化物セラミッ
クであることが望ましい。窒化物セラミックや炭化物セ
ラミックは、熱膨張係数が金属よりも小さく、機械的な
強度が金属に比べて格段に高いため、セラミック基板1
1の厚さを薄くしても、加熱により反ったり、歪んだり
しない。そのため、セラミック基板11を薄くて軽いも
のとすることができる。さらに、セラミック基板11の
熱伝導率が高く、セラミック基板自体が薄いため、セラ
ミック基板の表面温度が、抵抗発熱体の温度変化に迅速
に追従する。即ち、電圧、電流値を変えて抵抗発熱体1
2の温度を変化させることにより、セラミック基板の表
面温度を制御することができるのである。また、窒化物
セラミックや炭化物セラミックは、熱伝導率が高いた
め、発熱体パターンに起因する温度のばらつきが生じや
すいため、酸化物セラミックに比べて、本発明の構成が
有効に機能する。
【0082】上記窒化物セラミックとしては、例えば、
窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタ
ン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0083】また、炭化物セラミックとしては、例え
ば、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化
タンタル、炭化タングステン等が挙げられる。これら
は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0084】これらのなかでは、窒化アルミニウムが最
も好ましい。熱伝導率が180W/m・Kと最も高く、
温度追従性に優れるからである。
【0085】なお、セラミック基板として窒化物セラミ
ックまたは炭化物セラミック等を使用する際、必要によ
り、絶縁層を形成してもよい。窒化物セラミックは酸素
固溶等により、高温で体積抵抗値が低下しやすく、また
炭化物セラミックは特に高純度化しない限り導電性を有
しており、絶縁層を形成することにより、高温時あるい
は不純物を含有していても回路間の短絡を防止して温度
制御性を確保できるからである。
【0086】上記絶縁層としては、酸化物セラミックが
望ましく、具体的には、シリカ、アルミナ、ムライト、
コージェライト、ベリリア等を使用することができる。
このような絶縁層としては、アルコキシドを加水分解重
合させたゾル溶液をセラミック基板にスピンコートして
乾燥、焼成を行ったり、スパッタリング、CVD等で形
成してもよい。また、セラミック基板表面を酸化処理し
て酸化物層を設けてもよい。
【0087】上記絶縁層は、0.1〜1000μmであ
ることが望ましい。0.1μm未満では、絶縁性を確保
できず、、1000μmを超えると抵抗発熱体からセラ
ミック基板への熱伝導性を阻害してしまうからである。
さらに、上記絶縁層の体積抵抗率は、上記セラミック基
板の体積抵抗率の10倍以上(同一測定温度)であるこ
とが望ましい。10倍未満では、回路の短絡を防止でき
ないからである。
【0088】セラミック基板11の厚さは、0.5〜5
mmが好ましい。0.5mmより薄いと、強度が低下す
るため破損しやすくなり、一方、5mmより厚くなる
と、熱が伝搬しにくくなり、加熱の効率が悪くなる。
【0089】また、セラミック基板11の直径は、20
0mm以上が望ましい。大きな直径を持つセラミック基
板ほど加熱面の温度が不均一化しやすいため、本発明の
構成が有効に機能するからである。また、このような大
きな直径を持つ基板は、大口径の半導体ウエハを載置す
ることができるからである。セラミック基板の直径は、
特に12インチ(300mm)以上であることが望まし
い。次世代の半導体ウエハの主流となるからである。
【0090】本発明のセラミックヒータ10において、
セラミック基板11には、被加熱物を載置する加熱面1
1aの反対側から加熱面11aに向けて有底孔14を設
けるとともに、有底孔14の底を抵抗発熱体12よりも
相対的に加熱面11aに近く形成し、この有底孔14に
熱電対17等の測温素子を設けるとが望ましい。
【0091】また、有底孔14の底と加熱面11aとの
距離は、0.1mm〜セラミック基板の厚さの1/2で
あることが望ましい これにより、測温場所が抵抗発熱体12よりも加熱面1
1aに近くなり、より正確な半導体ウエハの温度の測定
が可能となるからである。
【0092】有底孔14の底と加熱面11aとの距離が
0.1mm未満では、放熱してしまい、加熱面11aに
温度分布が形成され、厚さの1/2を超えると、抵抗発
熱体の温度の影響を受けやすくなり、温度制御できなく
なり、やはり加熱面11aに温度分布が形成されてしま
うからである。
【0093】有底孔14の直径は、0.3mm〜5mm
であることが望ましい。これは、大きすぎると放熱性が
大きくなり、また小さすぎると加工性が低下して加熱面
11aとの距離を均等にすることができなくなるからで
ある。
【0094】有底孔14は、図1に示したように、セラ
ミック基板11の中心に対して対称で、かつ、十字を形
成するように複数配列することが望ましい。これは、加
熱面全体の温度を測定することができるからである。
【0095】上記測温素子としては、例えば、熱電対、
白金測温抵抗体、サーミスタ等が挙げられる。また、上
記熱電対としては、例えば、JIS−C−1602(1
980)に挙げられるように、K型、R型、B型、S
型、E型、J型、T型熱電対等が挙げられるが、これら
のなかでは、K型熱電対が好ましい。
【0096】上記熱電対の接合部の大きさは、素線の径
と同じが、または、それよりも大きく、0.5mm以下
であることが望ましい。これは、接合部が大きい場合
は、熱容量が大きくなって応答性が低下してしまうから
である。なお、素線の径より小さくすることは困難であ
る。
【0097】上記測温素子は、金ろう、銀ろうなどを使
用して、有底孔14の底に接着してもよく、有底孔14
に挿入した後、耐熱性樹脂で封止してもよく、両者を併
用してもよい。上記耐熱性樹脂としては、例えば、熱硬
化性樹脂、特にはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビス
マレイミド−トリアジン樹脂などが挙げられる。これら
の樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても
よい。
【0098】上記金ろうとしては、37〜80.5重量
%Au−63〜19.5重量%Cu合金、81.5〜8
2.5重量%:Au−18.5〜17.5重量%:Ni
合金から選ばれる少なくとも1種が望ましい。これら
は、溶融温度が、900℃以上であり、高温領域でも溶
融しにくいためである。銀ろうとしては、例えば、Ag
−Cu系のものを使用することができる。
【0099】次に、本発明のセラミックヒータの製造方
法について説明する。図6(a)〜(d)は、セラミッ
ク基板の底面の抵抗発熱体が形成されたセラミックヒー
タの製造方法を模式的に示した断面図である。
【0100】(1) セラミック基板の作製工程 上述した窒化アルミニウムや炭化珪素などの窒化物等の
セラミックの粉末に必要に応じてイットリア(Y2
3 )やB4 C等の焼結助剤、Na、Caを含む化合物、
バインダ等を配合してスラリーを調製した後、このスラ
リーをスプレードライ等の方法で顆粒状にし、この顆粒
を金型などに入れて加圧することにより板状などに成形
し、生成形体(グリーン)を作製する。次に、この生成
形体を加熱、焼成して焼結させ、セラミック製の板状体
を製造する。この後、所定の形状に加工することによ
り、セラミック基板11を作製するが、焼成後にそのま
ま使用することができる形状としてもよい(図6
(a))。
【0101】加圧しながら加熱、焼成を行うことによ
り、気孔のないセラミック基板11を製造することが可
能となる。加熱、焼成は、焼結温度以上であればよい
が、窒化物セラミックや炭化物セラミックでは、100
0〜2500℃である。また、酸化物セラミックでは、
1500℃〜2000℃である。
【0102】次に、セラミック基板11に、必要に応じ
て、半導体ウエハを支持するためのリフターピンを挿入
する貫通孔15となる部分や熱電対17等の測温素子を
埋め込むための有底孔14となる部分を形成する。
【0103】(2) セラミック基板に導体ペーストを印刷
する工程 導体ペーストは、2種以上の貴金属等からなる金属粒
子、樹脂、溶剤からなる粘度の高い流動物である。この
導体ペーストをスクリーン印刷などを用い、セラミック
基板11の最外周に、円周方向に分割された少なくとも
2以上の回路となるように導体ペースト層を形成すると
もに、最外周に印刷された上記導体ペースト層の内側
に、別の回路となる導体ペースト層を形成する。
【0104】このとき、セラミック基板11に設ける抵
抗発熱体12の回路の総数nと、セラミック基板11の
直径r(mm)との間に、下記の(1)式の関係が成り
立つ抵抗発熱体パターンとなる導体ペースト層を形成す
ることが望ましい。 n≧r1.94×0.5×10-4・・・(1)
【0105】なお、抵抗発熱体パターンとして、セラミ
ック基板の最外周に形成するパターンは、例えば、図1
に示した円弧の繰り返しパターン、図4に示した屈曲線
の繰り返しパターン等が挙げられる。また、その内部に
形成するパターンは、例えば、同心円形状のパターン等
が挙げられる。また、導体ペースト層は、焼成後の抵抗
発熱体12の断面が、方形で、偏平な形状となるように
形成することが望ましい。
【0106】(3) 導体ペーストの焼成 セラミック基板11の底面に印刷した導体ペースト層を
加熱焼成して、樹脂、溶剤を除去するとともに、金属粒
子を焼結させ、セラミック基板11の底面に焼き付け、
抵抗発熱体12を形成する(図6(b))。加熱焼成の
温度は、500〜1000℃が好ましい。導体ペースト
中に上述した酸化物を添加しておくと、金属粒子、セラ
ミック基板および酸化物が焼結して一体化するため、抵
抗発熱体とセラミック基板との密着性が向上する。
【0107】(4) 金属被覆層の形成 抵抗発熱体12表面には、金属被覆層120を設ける
(図6(c))。金属被覆層120は、電解めっき、無
電解めっき、スパッタリング等により形成することがで
きるが、量産性を考慮すると、無電解めっきが最適であ
る。
【0108】(5) 端子等の取り付け 抵抗発熱体12のパターンの端部に電源との接続のため
の端子(外部端子33)を半田で取り付ける。また、有
底孔14に銀ろう、金ろうなどで熱電対17を固定し、
ポリイミド等の耐熱樹脂で封止し、セラミックヒータの
製造を終了する(図6(d))。なお、本発明のセラミ
ックヒータでは、静電電極を設けて静電チャックとして
もよく、チャップトップ導体層を設けてウエハプローバ
としてもよい。
【0109】
【実施例】以下、本発明をさらに詳細に説明する。 (実施例1)窒化アルミニウム製のセラミックヒータ
(図1、2参照)の製造 (1) 窒化アルミニウム粉末(平均粒径:1.1μm)1
00重量部、イットリア(平均粒径:0.4μm)4重
量部、アクリル系バインダ12重量部およびアルコール
からなる組成物のスプレードライを行い、顆粒状の粉末
を作製した。
【0110】(2) 次に、この顆粒状の粉末を金型に入
れ、平板状に成形して生成形体(グリーン)を得た。 (3) 加工処理の終った生成形体を1800℃、圧力:2
0MPaでホットプレスし、厚さが3mmの窒化アルミ
ニウム板状体を得た。次に、この板状体から直径310
mmの円板体を切り出し、セラミック製の板状体(セラ
ミック基板)11とした。
【0111】この成形体にドリル加工を施し、半導体ウ
エハを支持するリフターピンを挿入する貫通孔15とな
る部分、熱電対およびウエハを支持する支持ピンを埋め
込むための有底孔14となる部分(直径:1.1mm、
深さ:2mm)を形成した(図6(a))。
【0112】(4) 上記(3) で得たセラミック基板11
に、スクリーン印刷にて導体ペーストを印刷した。印刷
パターンとして、図1に示したように、最外周に同心円
が円周方向に分割され形成された円弧の繰り返しパター
ンと、その内側に同心円状のパターンとを形成した。ま
た、パターン内の回路の総数は8とした。なお、円周方
向に分割されたパターンは、セラミック基板の半径の1
/2より外側の部分に形成した。これは、セラミック基
板11に設けた抵抗発熱体12の回路の総数nとセラミ
ック基板11の直径r(mm)との間に、下記の(1)
式の関係が成り立つように設定した値である。 n≧r1.94×0.5×10-4・・・(1)
【0113】導体ペーストとしては、プリント配線板の
スルーホール形成に使用されている徳力化学研究所製の
ソルベストPS603Dを使用した。この導体ペースト
は、銀−鉛ペーストであり、銀100重量部に対して、
酸化鉛(5重量%)、酸化亜鉛(55重量%)、シリカ
(10重量%)、酸化ホウ素(25重量%)およびアル
ミナ(5重量%)からなる金属酸化物を7.5重量部含
むものであった。また、銀粒子は、平均粒径が4.5μ
mで、リン片状のものであった。
【0114】(5) 次に、導体ペーストを印刷したセラミ
ック基板11を780℃で加熱、焼成して、導体ペース
ト中の銀、鉛を焼結させるとともにセラミック基板11
に焼き付け、抵抗発熱体12を形成した(図6
(b))。銀−鉛の抵抗発熱体12は、厚さが5μm、
幅2.4mm、面積抵抗率が7.7mΩ/□であった。
【0115】(6) 硫酸ニッケル80g/l、次亜リン酸
ナトリウム24g/l、酢酸ナトリウム12g/l、ほ
う酸8g/l、塩化アンモニウム6g/lの濃度の水溶
液からなる無電解ニッケルめっき浴に上記(5) で作製し
たセラミック基板11を浸漬し、銀−鉛の抵抗発熱体1
2の表面に厚さ1μmの金属被覆層(ニッケル層)を析
出させた(図6(c))。
【0116】(7) 電源との接続を確保するための端子を
取り付ける部分に、スクリーン印刷により、銀−鉛半田
ペースト(田中貴金属社製)を印刷して半田層を形成し
た。ついで、半田層の上にコバール製の外部端子33を
載置して、420℃で加熱リフローし、外部端子33を
抵抗発熱体12の表面に取り付けた。
【0117】(8) 温度制御のための熱電対を有底孔14
にはめ込み、セラミック接着剤(東亜合成社製 アロン
セラミック)を埋め込んで固定しセラミックヒータ10
を得た(図6(d))。さらに、電源を有する制御部、
記憶部、および演算部を備えた温調器(オムロン社製
E5ZE)を用意し、セラミックヒータ10に、外部端
子33を介して制御部23からの配線を接続するととも
に、熱電対17からの配線を記憶部21に接続し、セラ
ミックヒータ10の製造を終了した。
【0118】(実施例2)窒化アルミニウム製のセラミ
ックヒータ(図4参照)の製造 セラミック基板にスクリーン印刷により導体ペーストを
印刷する際、印刷パターンとして、図4に示したよう
に、最外周に円周方向に分割し形成した屈曲線の繰り返
しパターンと、その内側に同心円状のパターンとを形成
したほかは、実施例1と同様にして、セラミックヒータ
50を製造し、上記温調器を接続した。ただし、実際の
屈曲線の繰り返しパターンは、図4に示したものより間
隔が狭く、従って繰り返し回数も多く、その幅も広いも
のであった。また、パターン内の回路の総数は8とし
た。これは、セラミック基板51に設けた抵抗発熱体5
2の回路の総数nとセラミック基板51の直径r(m
m)との間に、上記(1)式の関係が成り立つように設
定した値である。
【0119】(実施例3)炭化珪素製のセラミックヒー
タの製造 平均粒径1.1μm(屋久島電工社製 ダイヤシック
C−1000)の炭化珪素を使用し、焼結温度を190
0℃とし、得られたセラミック基板の表面を1500℃
で2時間焼成して表面に厚さ1μmのSiO2 層を形成
したほかは、実施例1と同様にし、炭化珪素製のセラミ
ックヒータを製造し、上記温調器を接続した。
【0120】(実施例4)窒化アルミニウム製のセラミ
ックヒータの製造 抵抗発熱体のパターンについて、回路の総数が、最外周
に円周方向に分割され形成された円弧の繰り返しパター
ンが4と、その内側に同心円状のパターンが2とで、総
数6とした以外は、実施例1と同様にしセラミックヒー
タを製造し、上記温調器を接続した。これは、セラミッ
ク基板に設けた上記抵抗発熱体の回路の総数nと上記セ
ラミック基板の直径r(mm)との間に、上記(1)式
の関係が成り立つように設定した値である。
【0121】(実施例5)窒化アルミニウム製のセラミ
ックヒータ(図8参照)の製造 セラミック基板にスクリーン印刷により導体ペーストを
印刷する際、印刷パターンとして、図8に示したよう
に、セラミック基板の内側部分に円周方向に2分割され
たパターンを形成したほかは、実施例1と同様にし、セ
ラミックヒータを製造し、上記温調器を接続した。ま
た、パターン内の回路の総数は9とした。これは、セラ
ミック基板71に設けた抵抗発熱体12の回路の総数n
とセラミック基板71の直径r(mm)との間に、上記
(1)式の関係が成り立つように設定した値である。
【0122】(比較例1)窒化アルミニウム製のセラミ
ックヒータ(図7参照)の製造 セラミック基板にスクリーン印刷により導体ペーストを
印刷する際、印刷パターンとして、図7に示したよう
に、同心円状のパターンを形成したほかは、実施例1と
同様にし、セラミックヒータ60を製造し、上記温調器
を接続した。また、パターン内の回路の総数は8とし
た。これは、セラミック基板61に設けた抵抗発熱体6
2の回路の総数nとセラミック基板61の直径r(m
m)との間に、上記(1)式の関係が成り立つように設
定した値である。
【0123】(比較例2)窒化アルミニウム製のセラミ
ックヒータの製造 抵抗発熱体のパターンについては、回路の総数を3と
し、外側部分に2つの円周方向に分割された回路を形成
し、内側部分には、1つの渦巻き状のパターンを形成し
た以外は、実施例1と同様にし、また、製造方法につい
ては、実施例1と同様にし、窒化アルミニウム製のセラ
ミックヒータを製造し、上記温調器を接続した。これ
は、セラミック基板に設けた上記抵抗発熱体の回路の総
数nと上記セラミック基板の直径r(mm)との間に、
上記(1)式の関係が成り立たないように設定した値で
ある。
【0124】(比較例3)窒化アルミニウム製のセラミ
ックヒータの製造(図9参照) 特開平8−125001号公報に記載されているよう
に、抵抗発熱体のパターンを、セラミック基板の内側部
分と外側部分で連続した回路であるとともに、円周方向
で分割されているような構成(図9参照)とし、回路の
総数を12とした以外は実施例1と同様にし、セラミッ
クヒータを製造し、上記調温器を接続した。これは、セ
ラミック基板に設けた上記抵抗発熱体の回路の総数nと
セラミック基板の直径r(mm)との間には、上記
(1)式の関係が成り立つものの、同心円または渦巻き
状のパターンの回路がないものである。
【0125】(試験例)セラミック基板の直径を150
mmとした以外は、比較例1と同様にし、セラミックヒ
ータを製造し、上記調温器を接続した。これは、セラミ
ック基板に設けた上記抵抗発熱体の回路の総数nとセラ
ミック基板の直径r(mm)との間には、上記(1)式
の関係が成り立つものの、円周方向に分割された回路が
ないパターンとしたものである。
【0126】上記工程を経て得られた実施例1〜5、比
較例1〜3、および、試験例に係るセラミックヒータに
ついて、以下の指標で評価した。その結果を表1に示
す。
【0127】評価方法 (1)加熱面内温度均一性 17ポイント白金抵抗体測温素子つきのシリコンウエハ
を使用して、面内温度の分布を測定した。温度分布は、
200℃設定での最高温度と最低温度との温度差で示
す。 (2)過渡時面内温度均一性 室温〜190℃までの昇温した時の面内温度の分布を測
定した。温度分布は、昇温中における最高温度と最低温
度との温度差の最大値で示す。 (3)セラミック基板の反り量 セラミック基板の反り量をレーザ変位計(キーエンス社
製)で測定した。 (4)セラミック基板の外周から10mm以内の面内温
度分布 外周に10ポイントの測温素子が付いたシリコンウエハ
を使用し、加熱面の面内温度分布を測定した。温度分布
は、200℃設定での最高温度と最低温度との温度差で
示す。 (5)シリコンウエハの温度分布 シリコンウエハをセラミック基板から100μm離間さ
せて、温度分布をサーモビュアで測定した。温度分布
は、200℃設定での最高温度と最低温度との温度差で
示した。
【0128】
【表1】
【0129】表1より明らかなように、実施例1〜5に
係るセラミックヒータは、いずれも定常時および過渡時
の面内温度分布が小さかった。また、セラミックヒータ
の外周部における温度のばらつきも小さかった。これ
は、温度の不安定化が大きくなるセラミック基板の最外
周に、円周方向に分割された4つの回路からなる抵抗発
熱体を形成したことにより、セラミック基板の外周部で
より細かい発熱量制御を行うことが可能となり、その結
果、加熱面の温度が均一にすることができたためである
と考えられる。
【0130】一方、比較例1〜3に係るセラミックヒー
タは、定常時および過渡時の面内温度分布が大きかっ
た。特に、比較例2に係るセラミックヒータは定常時お
よび過渡期の面内温度分布が著しく大きかった。特に、
セラミックヒータの外周部における温度のばらつきが顕
著に現れた。これは、同心円形状のパターンの抵抗発熱
体を形成したことで、温度の不安定化が大きくなるセラ
ミック基板の外周部で細かい発熱量制御を行うことが困
難となり、その結果、加熱面の温度が不均一になってし
まったためであると考えられる。
【0131】また、実施例4と比較して、実施例1が、
比較例2と比較して、比較例1が、定常時および過渡時
の面内温度分布が小さかった。これは、実施例1および
比較例1に係るセラミックヒータは、セラミック基板に
設けた抵抗発熱体の回路の総数nとセラミック基板の直
径r(mm)との間の好適な関係を示す下記(1)式を
満たすように、抵抗発熱体が形成されていたためである
と考えられる。 n≧r1.94×0.5×10-4・・・(1) また、比較例1から理解されるように、加熱面の温度分
布は、外周の温度分布により生じており、実施例や比較
例2の温度差は、内側と外側の温度分布に起因する。比
較例3に係るセラミックヒータでは、抵抗発熱体が円周
方向に分割されたパターンのみであったため、セラミッ
ク基板の反りが大きく、シリコンウエハを均一に加熱す
ることができなかったものと考えられる。さらに、試験
例に係るセラミックヒータから、直径が200mm未満
のセラミック基板を有するセラミックヒータでは、同心
円パターンの抵抗発熱体のみの場合であっても、温度分
布が小さいことがわかる。従って、直径が200mm以
上のセラミック基板を有するセラミックヒータにおい
て、本発明のような調整が必要であると考えられた。
【0132】
【発明の効果】以上説明したように本発明のセラミック
ヒータによれば、細かい発熱量制御を容易に高精度で行
うことが可能であるため、半導体ウエハの加熱面の温度
を均一化することができる。結果として、半導体ウエハ
上の樹脂硬化物の硬化度を均一にすることができ、ま
た、半導体ウエハの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックヒータにおける抵抗発熱体
のパターンを模式的に示した底面図である。
【図2】図1に示したセラミックヒータの部分拡大断面
図である。
【図3】本発明のセラミックヒータの他の一例を模式的
に示すブロック図である。
【図4】本発明のセラミックヒータにおける抵抗発熱体
のパターンを模式的に示した底面図である。
【図5】図4に示したセラミックヒータの部分拡大断面
図である。
【図6】(a)〜(d)は、本発明の底面に抵抗発熱体
が形成されたセラミックヒータの製造工程の一部を模式
的に示す断面図である。
【図7】同心円状のパターンからなる抵抗発熱体が形成
されたセラミックヒータを模式的に示す底面図である。
【図8】本発明のセラミックヒータにおける抵抗発熱体
のパターンを模式的に示した底面図である。
【図9】特開平8−125001号公報におけるセラミ
ックヒータの抵抗発熱体のパターンを模式的に示した底
面図である。
【符号の説明】
10、40、50、60、70 セラミックヒータ 11、41、51、61、71 セラミック基板 11a、41a 加熱面 11b、41b 底面 12(12a〜12j)、42(42a、42b)、5
2(52a〜52h)抵抗発熱体 120、420 金属被覆層 14、44、54 有底孔 15、45、55 貫通孔 17、47 熱電対 18、36、56 支持ピン 20 ソケット 21 記憶部 22 演算部 23 制御部 33、43 外部端子 36 リフターピン 39 半導体ウエハ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 3/16 H05B 3/18 3/18 3/20 393 3/20 393 H01L 21/30 567 Fターム(参考) 3K034 AA02 AA16 AA21 AA37 BB06 BC04 BC12 DA04 DA05 HA10 JA02 JA10 3K058 AA86 CA12 CA23 CA46 CA61 CA69 CE12 CE19 CE23 3K092 PP20 QA05 QB08 QB12 QB43 QB44 QB51 QB74 QB76 QC19 QC52 RF03 RF17 UA05 UA06 VV22 5F031 CA02 HA02 HA18 HA33 HA37 JA46 MA24 MA26 MA29 PA11 PA20 PA30 5F046 KA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円板形状のセラミック基板の表面または
    内部に抵抗発熱体が形成されてなるセラミックヒータで
    あって、前記セラミック基板の最外周には、円周方向に
    分割された少なくとも2以上の回路からなる抵抗発熱体
    が配置されるとともに、外周部分に配置された前記抵抗
    発熱体の内側に、別の回路からなる抵抗発熱体が形成さ
    れていることを特徴とするセラミックヒータ。
  2. 【請求項2】 前記セラミック基板に設けられた抵抗発
    熱体の回路の総数nと、前記セラミック基板の直径r
    (mm)との間には、下記の(1)式の関係が成り立つ
    請求項1記載のセラミックヒータ。 n≧r1.94×0.5×10-4・・・(1)
  3. 【請求項3】 前記別の回路からなる抵抗発熱体は、同
    心円または渦巻き形状である請求項1または2に記載の
    セラミックヒータ。
  4. 【請求項4】 前記別の回路からなる抵抗発熱体は、同
    心円または渦巻き形状と、円周方向に分割された抵抗発
    熱体の混成である請求項1〜3のいずれか1に記載のセ
    ラミックヒータ。
  5. 【請求項5】 前記セラミックヒータは、100〜80
    0℃で使用される請求項1〜4のいずれか1に記載のセ
    ラミックヒータ。
  6. 【請求項6】 前記セラミック基板の温度を測定する測
    温素子と、前記複数の回路からなる抵抗発熱体に電力を
    供給する制御部と、前記測温素子により測定された温度
    データを記憶する記憶部と、前記温度データから前記抵
    抗発熱体に必要な電力を演算する演算部とを備えてな
    り、前記抵抗発熱体の複数の回路には、それぞれ異なる
    電力が供給されるように構成されている請求項1〜5の
    いずれか1に記載のセラミックヒータ。
  7. 【請求項7】 前記セラミック基板は、窒化物セラミッ
    クまたは炭化物セラミックからなる請求項1〜6のいず
    れか1に記載のセラミックヒータ。
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