JP2002228522A - 色彩測定方法、色彩測定装置、色彩変換装置、色彩値を求める手順を実行させるためのプログラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体。 - Google Patents

色彩測定方法、色彩測定装置、色彩変換装置、色彩値を求める手順を実行させるためのプログラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体。

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JP2002228522A
JP2002228522A JP2001022350A JP2001022350A JP2002228522A JP 2002228522 A JP2002228522 A JP 2002228522A JP 2001022350 A JP2001022350 A JP 2001022350A JP 2001022350 A JP2001022350 A JP 2001022350A JP 2002228522 A JP2002228522 A JP 2002228522A
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Kazutomi Sakatani
一臣 坂谷
Tetsuya Ito
哲也 伊藤
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Minolta Co Ltd
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Minolta Co Ltd
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  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 測色光学系による固有の色彩測定値から、試
料の表面状態に依存しない人の視覚で認識される色彩に
近い普遍性のある視覚基準の色彩値を求めることができ
る色彩測定方法、色彩測定装置、色彩変換装置、色彩値
を求める手順を実行させるためのプログラム、及びその
プログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体を提供
する。 【解決手段】 所定の照明及び受光の幾何学的条件を備
えた測色光学系により試料の色彩値を測定する測色部2
と、試料の光沢度を測定する光沢度測定部5と、視覚基
準の色彩値を規定する所定の式に、上記測色部2により
測定された色彩測定値と光沢度測定部5により測定され
た光沢度を代入して、視覚基準の色彩値を求める色彩算
出部3Bとを有する構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、視覚基準による試
料の色彩を求める色彩測定方法、色彩測定装置、色彩変
換装置、色彩値を求める手順を実行させるためのプログ
ラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータ可読
記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】色彩測定装置は、一般に試料の色彩を測
定するときの照明及び受光の幾何学的条件によって大き
い影響を受ける。この照明及び受光の幾何学的条件であ
る測色光学系は45度系、拡散系の2つに大別され、具
体的には、CIE(国際照明委員会)が推奨し、日本工
業規格「JIS Z8722:色の測定方法」に規定さ
れている45/0方式、0/45方式、d/0方式、0
/d方式のいずれかの測色光学系が、色彩測定装置に採
用されている。
【0003】ここで、d/0方式は、試料をあらゆる方
向から均等に照明し、試料面の法線とのなす角度が10
度以下の反射光を受光するものである。従って、例え
ば、試料面の法線とのなす角度が8度の反射光を受光す
るd/8方式は、このd/0方式に包含される。また、
0/d方式は、試料面の法線に対して光軸がなす角度が
10度を越えない1つの光線束で試料を照明し、あらゆ
る方向へ反射する反射光を受光するものである。
【0004】更に、拡散系であるd/0方式及び0/d
方式は、光トラップの有無による正反射光成分の取り扱
いによって、正反射光成分を含んで色彩を測定するSC
I(Specular Component Incl
uded)方式と、正反射光成分を除去して色彩を測定
するSCE(Specular ComponentE
xcluded)方式に分けられている。
【0005】通常、光沢のあまりない試料の色彩を測定
する場合には、上記の45度方式、SCI方式及びSC
E方式の3方式により測定される色彩値は、ほぼ同じ値
を示すため、測定方式の違いをあまり意識することなく
各方式で測定された複数の試料間で色彩値の比較をする
のに用いられている。
【0006】また、試料の光沢度の測定については、日
本工業規格「JIS Z8741:鏡面光沢度−測定方
法」に規定されており、試料の種類や表面状態により入
射角度、受光角度の測定条件を適宜選択して光沢度の測
定が行われている。
【0007】具体例として、例えば、図23及び図24
は、照明及び受光の幾何学条件の異なる45度照明系と
拡散照明系(SCI方式、SCE方式)における2度視
野D50光源により各階調パッチを測定した明度測定結
果の一例を、横軸に階調No.を、縦軸に明度をとって
示したものである。尚、75度方式の光沢度計を用いて
測定した光沢度も併せてプロットしている。
【0008】図23は、用紙と記録剤に低光沢仕様のも
のを使用した場合を示しており、ほぼハイライトからシ
ャドーまでほぼフラットな低光沢の特性を示すことが分
かる。図24は、用紙と記録剤に高光沢仕様のものを使
用した場合を示しており、全般的に光沢度が高く、しか
もハイライトとシャドーの両側で光沢度が増す略U字形
の特性を示すことが分かる。尚、図23と図24は、そ
れぞれ異なるプリンタで出力した測定結果を示す。
【0009】図23からも自明なように、一般に試料の
光沢度が低い場合には、45度方式、SCE方式、SC
I方式の各光学系の測色値はほぼ同じ値を示す。これに
対し、試料の光沢度が高い場合には、図24に示すよう
に、45度方式、SCE方式、SCI方式の各光学系の
測色値は異なる値を示すようになる。しかも、こうした
傾向はシャドー側ほど顕著なことが分かる。すなわち、
黒っぽい色を光沢のある用紙に出力すると、測色光学系
によって測色値が大きく異なるということが分かる。
【0010】また、明度レベルでは、通常0/45方式
<SCE方式<SCI方式の関係が成立している。これ
は、試料の光沢に応じて、45度方式では拡散照明の成
分が全く考慮されず、しかも正反射光成分も考慮しない
ため、SCE方式やSC1方式の拡散照明系に比較して
センサに受光される光量が少ないことに起因する。また
SCI方式では、正反射光成分も全て含まれるため、正
反射光成分を光トラップと呼ばれる積分球壁面に設けた
穴で逃がすSCE方式よりもセンサに受光される光量が
増えることに起因すると考えられている。従って、正反
射光成分を除去するSCE方式が効果的に光沢(つや)
の影響を考慮し、人の視覚で認識される色彩に近い色彩
値を示す光学系であると理論的には考えられているが、
規格や印刷業界の伝統などの影響により、主流は45度
系となっているのが実情である。
【0011】また、光沢のある試料の正反射光成分を定
義することは事実上困難であり、村上色彩研究所などの
解析結果によれば、試料の濃さや鮮やかさなどによって
正反射光分布が変化することも知られている。言い換え
れば、試料が光沢を伴う場合、厳密な幾何学的条件の定
義によって、光沢の影響を取り除いて人の視覚で認識さ
れる色彩を測定することは困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、光沢
度の高い試料では、上記3種の測定方式により測定され
た各色彩値は異なる値を示す傾向があり、特に高光沢か
つ低濃度の試料の場合には、同じ試料の測定でも、各測
定方式により測定された色彩値はほとんど一致しない。
【0013】このため、光沢特性が異なる試料の場合に
は、異なる測定方式で測定された複数の試料間で色彩値
の比較をすることができない点で問題があった。
【0014】また、従来の色彩測定装置では、色彩値が
光沢度とは独立した値で扱われているため、人の視覚で
認識された色彩と測定装置で測定された色彩値とが必ず
しも一致しない点で問題があった。
【0015】本発明は、こうした従来技術の課題を解決
するものであり、測色光学系による固有の色彩測定値か
ら、試料の表面状態に依存しない人の視覚で認識される
色彩に近い普遍性のある視覚基準の色彩値を求めること
ができる色彩測定方法、色彩測定装置、色彩変換装置、
色彩値を求める手順を実行させるためのプログラム、及
びそのプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体
を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の色彩測定方法
は、視覚基準の色彩値を規定する所定の式に、所定の照
明及び受光の幾何学的条件を備えた測色光学系により測
定された試料の色彩測定値と、試料の光沢度とを代入し
て、視覚基準の色彩値を求める構成を有する。
【0017】上記測色光学系は、例えば、45/0方
式、0/45方式、d/0方式又は0/d方式のいずれ
かである構成とすることができる。
【0018】ここで、d/0方式は、試料をあらゆる方
向から均等に照明し、試料面の法線とのなす角度が10
度以下の反射光を受光するものである。従って、例え
ば、試料面の法線とのなす角度が8度の反射光を受光す
るd/8方式は、このd/0方式に包含される。また、
0/d方式は、試料面の法線に対して光軸がなす角度が
10度を越えない1つの光線束で試料を照明し、あらゆ
る方向へ反射する反射光を受光するものである。
【0019】上記構成によれば、所定の照明及び受光の
幾何学的条件を備えた測色光学系により測定された試料
の色彩測定値と、試料の光沢度とを、視覚基準の色彩値
を規定する所定の式に代入して、測色光学系による固有
の色彩測定値から、試料の表面状態に依存しない人の視
覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準の色彩
値を求めることが可能となる。
【0020】上記の色彩測定方法において、上記式が、
色彩測定値の対数項と光沢度の累乗項を含む相関式で定
義されている構成にすると、測色光学系による固有の色
彩測定値から、試料の表面状態に依存しないより一層人
の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準の
色彩値を求めることが可能となる。
【0021】本発明の色彩測定装置は、SCE方式とS
CI方式の測色光学系により試料の色彩値を測定する第
1測定手段と、該第1測定手段により測定されたSCE
方式とSCI方式の各色彩測定値を、両方式による色彩
測定値の差分と光沢度との関係を規定した相関式に代入
して光沢度を算出する光沢度算出手段と、視覚基準の色
彩値を規定する所定の式に、上記第1測定手段により測
定された色彩測定値と光沢度算出手段により算出された
光沢度とを代入して、視覚基準の色彩値を求める色彩算
出手段とを有する。
【0022】上記構成によれば、第1測定手段によって
SCE方式とSCI方式の測色光学系により試料の色彩
測定値を測定し、光沢度算出手段によってこの第1測定
手段により測定されたSCE方式とSCI方式の各色彩
測定値を、両方式による色彩測定値の差分と光沢度との
関係を規定した相関式に代入して光沢度を算出し、色彩
算出手段によって、試料の色彩測定値と光沢度とを、視
覚基準の色彩値を規定する所定の式に代入して、SCE
方式又はSCI方式の測色光学系による固有の色彩測定
値から、試料の表面状態に依存しない人の視覚で認識さ
れる色彩に近い普遍性のある視覚基準の色彩値を求める
ことが可能となる。
【0023】本発明の他の色彩測定装置は、所定の照明
及び受光の幾何学的条件を備えた測色光学系により試料
の色彩値を測定する第2測定手段と、試料の光沢度を測
定する第3測定手段と、視覚基準の色彩値を規定する所
定の式に、上記第2測定手段により測定された色彩測定
値と第3測定手段により測定された光沢度を代入して、
視覚基準の色彩値を求める色彩算出手段とを有する。
【0024】上記測色光学系は、例えば、45/0方
式、0/45方式、d/0方式又は0/d方式のいずれ
かである構成とすることができる。
【0025】上記構成によれば、第2測定手段によって
所定の照明及び受光の幾何学的条件を備えた測色光学系
により試料の色彩値を測定すると共に、第3測定手段に
よって試料の光沢度を測定し、色彩算出手段によって、
試料の色彩測定値と光沢度とを、視覚基準の色彩値を規
定する所定の式に代入して、測色光学系による固有の色
彩測定値から、試料の表面状態に依存しない人の視覚で
認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準の色彩値を
求めることが可能となる。
【0026】上記の各色彩測定装置において、上記式
が、色彩測定値の対数項と光沢度の累乗項を含む相関式
で定義されている構成にすると、測色光学系による固有
の色彩測定値から、試料の表面状態に依存しないより一
層人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基
準の色彩値を求めることが可能となる。
【0027】本発明の色彩変換装置は、所定の照明及び
受光の幾何学的条件を備えた測色光学系により測定され
た試料の色彩測定値と測定された試料の光沢度とを入力
する入力手段と、視覚基準の色彩値を規定する所定の式
に、上記入力手段により入力された色彩測定値と光沢度
を代入して、視覚基準の色彩値に変換する色彩変換手段
とを有する。
【0028】上記測色光学系は、例えば、45/0方
式、0/45方式、d/0方式又は0/d方式のいずれ
かである構成とすることができる。
【0029】上記構成によれば、入力手段によって試料
の色彩測定値と光沢度を入力し、色彩変換手段によっ
て、試料の色彩測定値と光沢度とを、視覚基準の色彩値
を規定する所定の式に代入して、測色光学系による固有
の色彩測定値を、試料の表面状態に依存しない人の視覚
で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準の色彩値
に変換することが可能となる。
【0030】本発明の他の色彩変換装置は、SCE方式
とSCI方式の測色光学系により測定された試料の色彩
測定値を入力する入力手段と、該入力手段により入力さ
れたSCE方式とSCI方式の各色彩測定値を、両方式
による色彩測定値の差分と光沢度との関係を規定した相
関式に代入して光沢度を算出する光沢度算出手段と、視
覚基準の色彩値を規定する所定の式に、上記入力手段に
より入力された色彩測定値と光沢度算出手段により算出
された光沢度とを代入して、視覚基準の色彩値に変換す
る色彩変換手段とを有する。
【0031】上記構成によれば、入力手段によってSC
E方式とSCI方式の測色光学系により測定された試料
の色彩測定値を入力し、光沢度算出手段によってこの入
力手段により入力されたSCE方式とSCI方式の各色
彩測定値を、両方式による色彩測定値の差分と光沢度と
の関係を規定した相関式に代入して光沢度を算出し、色
彩変換手段によって、試料の色彩測定値と光沢度とを、
視覚基準の色彩値を規定する所定の式に代入して、SC
E方式又はSCI方式の測色光学系による固有の色彩測
定値を、試料の表面状態に依存しない人の視覚で認識さ
れる色彩に近い普遍性のある視覚基準の色彩値に変換す
ることが可能となる。
【0032】上記の各色彩変換装置において、上記式
が、色彩測定値の対数項と光沢度の累乗項を含む相関式
で定義されている構成にすると、測色光学系による固有
の色彩測定値を、試料の表面状態に依存しないより一層
人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準
の色彩値に変換することが可能となる。
【0033】本発明のプログラムは、視覚基準の色彩値
を規定する所定の式に、所定の照明及び受光の幾何学的
条件を備えた測色光学系により測定された試料の色彩測
定値と、試料の光沢度とを代入して、視覚基準の色彩値
を求める手順を実行させるものである。
【0034】このプログラムを、一般のコンピュータに
インストールするだけで、上記の各色彩測定装置や色彩
変換装置を簡単に構成することが可能となり、上述した
作用効果を奏する。例えば、色彩変換装置を、電気通信
回線を通じてネットワーク上に接続し、インターネット
等を利用して視覚基準の色彩値を提供するサービスを行
うことも可能となる。
【0035】本発明のコンピュータ可読記録媒体は、視
覚基準の色彩値を規定する所定の式に、所定の照明及び
受光の幾何学的条件を備えた測色光学系により測定され
た試料の色彩測定値と、試料の光沢度とを代入して、視
覚基準の色彩値を求める手順を実行させるためのプログ
ラムが記録されている。
【0036】この記録媒体を用いて、上記の各色彩測定
装置や色彩変換装置を簡単に構成することが可能とな
り、上述した作用効果を奏する。
【0037】好ましくは、上記式が、色彩測定値の対数
項と光沢度の累乗項を含む相関式で定義されている構成
とする。
【0038】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面に基づいて具体的に説明する。
【0039】本発明の色彩測定方法は、視覚基準の色彩
値を規定する所定の式(例えば、下記(1)式)に、所
定の照明及び受光の幾何学的条件を備えた測色光学系に
より測定された試料の色彩測定値YXと、試料の光沢度
Gとを代入して、測色光学系による固有の色彩測定値Y
Xから、試料の表面状態に依存しない人の視覚で認識さ
れる色彩に近い普遍性のある視覚基準の色彩値YSを求
めることを可能とするものである。
【0040】上記測色光学系は、例えば、45/0方
式、0/45方式、d/0方式又は0/d方式のいずれ
かである構成とすることができる。
【0041】ここで、d/0方式は、試料をあらゆる方
向から均等に照明し、試料面の法線とのなす角度が10
度以下の反射光を受光するものである。従って、例え
ば、試料面の法線とのなす角度が8度の反射光を受光す
るd/8方式は、このd/0方式に包含される。また、
0/d方式は、試料面の法線に対して光軸がなす角度が
10度を越えない1つの光線束で試料を照明し、あらゆ
る方向へ反射する反射光を受光するものである。
【0042】上記視覚基準の色彩値を規定する所定の式
は、例えば、詳細を後述する重回帰分析により得られる
回帰式とすることができ、視覚基準の色彩値YSが色彩
測定値YX及び光沢度Gの相関式で表わされる。具体的
には、視覚基準の色彩値YSは、ある測色光学系により
実測された色彩測定値YX、光沢度G、係数s、係数
t、定数u、乗数kを用いて、色彩測定値YXの対数項
と光沢度Gの累乗項を含む下記(1)式、 −log10(YS/1OO)=s×−log10(YX/1OO)+t×Gk+u……(1) で表される。
【0043】ここで、光沢度Gの累乗項における乗数
k、線形変換における色彩測定値YXの対数項の係数
s、光沢度Gの累乗項の係数t及び定数uは、使用され
る測色光学系における三刺激値である色彩値YXを人の
視覚で評価実験を行い、光沢度Gとの相関について重回
帰分析を行って最適化した値を用いる。すなわち、係数
s、係数t、乗数k及び定数uは、後述するように測色
光学系の種類によって異なる値となる。また、評価実験
の条件によっても変わるものである。
【0044】尚、視覚基準の色彩値YS及び上記(1)
式の意義の詳細については後述する。
【0045】(第1の実施形態)図1は、上記色彩測定
方法を採用した本発明の第1の実施形態による色彩測定
装置1の構成例を示す。
【0046】この色彩測定装置1は、複数のカラーサン
プル31が印刷された試料30における測色したいカラ
ーサンプル31上へ測色部2を移動させて測色を行うこ
とで、視覚基準の色彩値YSを規定する所定の式(例え
ば、上記(1)式)に基づく所定の演算処理が実行さ
れ、測色部2に採用された測色光学系による固有の色彩
測定値YXから、試料30の表面状態に依存しない人の
視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準の色
彩値YSが表示部4に表示されるようになっている。
【0047】測色部2は、d/0方式の拡散照明系とし
て、例えば、図2に示すように、積分球23によって試
料30を拡散照明し、試料30の表面の法線nに対して
8度の方向に配設された受光部25で受光するd/8方
式とする。このd/8方式では、試料30の表面の法線
nに対して−8度方向に相当する積分球23の内壁の部
分領域23cに開閉可能な光トラップ24を設け、この
光トラップ24を開閉させることによってSCI方式と
SCE方式の測色が可能になっている。
【0048】すなわち、図2(a)に示すSCI方式で
は、光トラップ24を閉じた状態で測色を行い、光源2
1から発した光が積分球23の内壁面23aで拡散し、
拡散を繰り返した光が試料30を照明し、試料30の表
面の法線nに対して8度方向に取り付けられた受光部2
5によって試料30で反射した光が受光される。他方、
図2(b)に示すSCE方式では、光トラップ24を開
いた状態で正反射光成分が除去されるようにして上記と
同様の測色を行う。
【0049】より具体的には、上記拡散照明系による色
彩測定装置1は、図3に示すように、光源部20が、光
源21、発光回路22等から構成され、積分球23の光
源用開口23bの近傍に配設されている。光源21は、
Xeフラッシュ等が用いられ、積分球23内に光束を供
給するものであり、発光回路22は、光源21を発光さ
せるもので、演算制御部3からの制御信号により動作す
る。
【0050】積分球23の内壁23aには、高拡散で高
反射率の材料、例えばBaSO4等が塗布されている。
この積分球23には、試料30の表面の法線nに対して
8度方向に受光光学系26の受光用開口23dが設けら
れている一方、法線nに対して−8度方向に相当する積
分球23の内壁の部分領域23cには開閉可能な光トラ
ップ24が設けられている。
【0051】受光光学系26は、レンズ等からなり、受
光軸Laが試料30表面の法線nに対して8度だけ傾斜
した方向に設定されたd/8光学系を形成しており、試
料30からの8度方向の反射光を試料用分光部27の受
光面に集束するものである。試料用分光部27は、試料
30の反射光の分光強度を測定するもので、得られた測
定データは演算制御部3に送られる。
【0052】また、積分球23にはライトガイド29が
取り付けられている。このライトガイド29は、光ファ
イバ等からなり、入射端に入射する積分球23内の照明
光の一部をモニタ用分光部28に導くものである。モニ
タ用分光部28は、照明光の分光強度をモニタするもの
で、得られたデータは演算制御部3に送られる。
【0053】演算制御部3は、CPU、RAM、ROM
等からなり、ROMには測定のための制御プログラムな
どが記憶されていて、測色部2の動作を制御する。すな
わち、この演算制御部3は、発光回路22を介して光源
21の点灯を制御すると共に、試料用分光部27及びモ
ニタ用分光部28から送られるデータを用いて所定の演
算処理を行ってSCI方式及びSCE方式の反射特性を
算出するものである。
【0054】上記色彩測定装置1の測色部2において、
光源部20の光源21を点灯すると、光源21からの光
束は、開口23bから積分球23内に入射し、積分球2
3の内壁23aの広い部分領域23eが、光源21の最
初の直接照射域として照射され、内壁23aで多重反射
して、試料用開口23fに配置された試料30はあらゆ
る方向からほぼ一様に拡散照明される。
【0055】試料30からの反射光は、受光用開口23
dを通って受光光学系26を介して試料用分光部27に
導かれ、同時に拡散照明光の一部がライトガイド29に
よって取り込まれてモニタ用分光部28に導かれる。そ
して、試料用分光部27及びモニタ用分光部28の出力
が、演算制御部3に入力され所定の演算処理が行われ
て、試料30のSCI方式及びSCE方式における分光
反射率が測定される。
【0056】より詳しくは、この色彩測定装置1は、図
4に示すように、SCE方式とSCI方式の測色光学系
により試料30の色彩値YSCE、YSCIを測定する測色部
2(第1測定手段)と、この測色部2により測定された
SCE方式とSCI方式の各色彩測定値YSCE、Y
SCIを、両方式による色彩測定値YSCE、YSCIの常用対
数の差ΔYと光沢度Gとの関係を規定した相関式(下記
(2)式)に代入して光沢度Gcalを算出する光沢度算
出部10と、視覚基準の色彩値YSを規定する所定の式
(例えば、上記(1)式)に、上記測色計2により測定
された色彩測定値YSCE(又はYSCI)と光沢度算出部1
0により算出された光沢度Gcalとを代入して、視覚基
準の色彩値YSを求める色彩算出部3Aを包含する演算
制御部3と、この演算制御部3によって算出された色彩
値YSを表示する表示部4とを有する。
【0057】ここで、上記光沢度Gcalは、各実測値Y
SCEとYSCIの常用対数の差ΔYから下記(2)式及び
(3)式 Gcal=f×ΔYj……(2) ΔY=|(−log10(YSCE/1OO))−(−log10(YSCI/1OO))|…(3) で表される。ここで、(2)式における係数f,乗数j
は、使用される測色光学系の種類に合わせて異なる値が
設定される。尚、これらの式の意義の詳細については後
述する。
【0058】演算制御部3に包含される色彩算出部3A
は、上記光沢度算出部10と、測色部2により測定され
た色彩測定値YSCE(又はYSCI)を対数変換する対数変
換部11と、光沢度算出部10により算出された光沢度
calを累乗変換する累乗変換部12と、対数変換され
た色彩測定値YSCE(又はYSCI)と累乗変換された光沢
度Gcalによって線形変換を行い色彩値YSの対数値を算
出する線形変換部13と、この線形変換部13より出力
される色彩値YSの対数値を逆対数変換して色彩値YS
算出する逆対数変換部14と、この逆対数変換部14に
よって算出された色彩値YSを表示部4に出力する色彩
値出力部15とにより構成されている。
【0059】この色彩測定装置1では、光沢度計を構成
することなく、測色部2によってSCE方式とSCI方
式の測色光学系による試料30の色彩測定値YSCE、Y
SCIが測定され、この測色部2により測定されたSCE
方式とSCI方式の各色彩測定値YSCE、YSCIが光沢度
算出部16に入力される。光沢度算出部16では、両方
式による色彩測定値YSCE、YSCIの常用対数の差ΔYと
光沢度Gとの関係を規定した相関式(上記(2)式)に
基づいて、測色部2より出力されるSCE方式とSCI
方式の各色彩測定値YSCE、YSCIを用いて光沢度Gcal
が算出される。
【0060】そして、色彩算出部3Aでは、視覚基準の
色彩値YSを規定する所定の式(例えば、上記(1)
式)に基づいて、測色部2より出力されるSCE方式
(又はSCI方式)の測色光学系による固有の試料30
の色彩測定値YSCE(又はYSCI)が対数変換部11に入
力されて対数変換されると共に、光沢度算出部10より
出力される光沢度Gcalが累乗変換部12に入力されて
累乗変換される。対数変換された色彩測定値YSCE(又
はYSCI)と累乗変換された光沢度Gcalが線形変換部1
3に入力されて線形変換が行なわれて色彩値YSの対数
値が算出される。この線形変換部13より出力される色
彩値YSの対数値が逆対数変換部14に入力され逆対数
変換されて色彩値YSが算出される。逆対数変換部14
より出力される色彩値YSが色彩値出力部15を介して
表示部4に出力され、試料30の表面状態に依存しない
人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準
の色彩値YSが表示部4に表示される。
【0061】図5及び図6は、上記のように算出される
視覚基準の色彩値YSを評価するために、横軸に階調N
O.、縦軸に明度、光沢度をとって、この視覚基準の色
彩値に相当する明度Lcalと、SCE方式とSCI方式
の各光学系の測色値と、光沢度Gとの関係を示してい
る。
【0062】図5は、用紙と記録剤に低光沢仕様のもの
を使用した場合を示しており、算出された視覚基準の色
彩値YSに相当する明度Lcalが、SCE方式、SCI方
式の各光学系の測色値とほぼ同じ値になっていることが
分かる。
【0063】図6は、用紙と記録剤に高光沢仕様のもの
を使用した場合を示しており、算出された視覚基準の色
彩値YSに相当する明度Lcalは、SCE方式とSCI方
式の間でSCE方式よりの値を示していることが分か
る。
【0064】この結果から、上記のように算出される視
覚基準の色彩値YSが信頼性の高いものであることがわ
かる。
【0065】尚、上記色彩測定装置1は、図7に示すよ
うに、測色部2を測定器7とし、色彩算出部3Aをコン
ピュータ8に構成して、両者をケーブルで接続した色彩
測定装置1’の形態としてもよい。
【0066】また、上記では、測色光学系による固有の
試料30の三刺激値である色彩測定値YSCE(又は
SCI)から、視覚基準の色彩値YSを求める構成例を示
したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各測
色光学系で測定される三刺激値を、測定光源の完全拡散
反射面の三刺激値で割った値である光源補正値を用い
て、視覚基準の光源補正値を求める構成としてもよい。
【0067】この構成によれば、ニュートラルグレー試
料においては光源依存性が無くなり、光沢度Gの累乗項
における乗数k、線形変換における色彩測定値Y
SCE(又はYSCI)の対数項の係数s、光沢度Gの累乗項
の係数t及び定数uは、全ての光源で同じ値を適用する
ことができるようになり、汎用性が向上する。
【0068】(第2の実施形態)図8及び図9は、本発
明の第2の実施形態による色彩測定装置1Bの構成例を
示す。この色彩測定装置1Bは、図9に示すように、上
述した第1の実施形態による色彩測定装置1に対し、測
色光学系の異なる測色部2Bと、図4に示す光沢度算出
部10に代えて光沢度測定部5を構成している点で主に
相違し、その他の構成は第1の実施形態による色彩測定
装置1とほぼ同様の構成からなる。従って、以下では、
相違点について説明し、上述した第1の実施形態による
色彩測定装置1と同一の構成部分については、同一の符
号を付して、その説明を省略する。
【0069】この色彩測定装置1Bでは、測色部2Bと
光沢度測定部5とが一体化されている図9に示す光学系
を用いている。この光学系はフラットベッドスキャナな
どで採用されているものである。
【0070】図9(a)に示す形態では、試料30の表
面の法線nに対し45度方向に配置された光源41が色
彩値及び光沢度の測定に共用する光源であり、法線n方
向に配置された受光部43が色彩値を測定するためのセ
ンサであり、法線nに対し−45度方向に配置された受
光部44が光沢度を測定するためのセンサである。この
受光部44では、光源41からの試料30の正反射光を
受光するように構成されている。
【0071】図9(b)に示す形態では、試料30の表
面の法線nに対し45度方向に配置された光源41が色
彩値測定用光源であり、法線nに対し60度方向に配置
された光源42が光沢度測定用光源である。法線n方向
に配置された受光部43が色彩値を測定するためのセン
サであり、法線nに対し−60度方向に配置された受光
部44が光沢度を測定するためのセンサである。この受
光部44では、光源42からの試料30の正反射光を受
光するように構成されている。尚、この光学系の詳細に
ついては、例えば、特開平9−238237号公報等に
開示されている。
【0072】上記測色部2Bは、先に図3を用いて説明
した拡散照明系による測色部2と照明及び受光の幾何学
的条件が相違するのみであり、受光光学系26、試料用
分光部27、モニタ用分光部28及び演算制御部3等は
同様の構成からなる。
【0073】この色彩測定装置1Bでは、測色部2B
(第2測定手段)によって所定の照明及び受光の幾何学
的条件を備えた測色光学系により試料30の色彩値YX
を測定すると共に、光沢度測定部5(第3測定手段)に
よって試料30の光沢度Gを測定する。そして、色彩算
出部3Bによって、視覚基準の色彩値YSを規定する所
定の式(例えば、上記(1)式)に、試料30の色彩測
定値YXと光沢度Gとを代入して、測色光学系による固
有の色彩測定値YXから、試料30の表面状態に依存し
ない人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚
基準の色彩値YSが求められ、この算出された色彩値YS
が表示部4に表示される。
【0074】尚、上述した光源補正値を用いて、視覚基
準の光源補正値を求める構成としてもよい。
【0075】また、上記では、測色部2と光沢度測定部
5とが一体化された光学系を用いる構成例を示したが、
測色部2と光沢度測定部5を個別の光学系で構成しても
よい。
【0076】例えば、測色部2に図10に示す45度照
明系を用い、光沢度測定部5に図11に示す75度照明
系を用いてもよい。
【0077】図10(a)に示す0/45方式では、光
源41は試料30の表面を法線n方向から照明し、法線
nから45度方向に取り付けられた受光部42によっ
て、試料30で反射した光を受光して測色できるように
構成されている。
【0078】図10(b)に示す45/0方式では、法
線nから45度方向に取り付けられた光源41は試料3
0を照明し、試料30の表面に対して法線n方向に取り
付けられた受光部42によって、試料30で反射した光
を受光して測色できるように構成されている。
【0079】図11に示す75度方式では、試料30の
表面に対して法線nから75度方向に取り付けられた光
源41と、鏡面反射を検出するために対象位置である法
線nから−75度方向に取り付けられた受光部42によ
って、試料30の光沢度が測定できるように構成されて
いる。
【0080】尚、上記測色部2の測色光学系として、上
記以外のd/0方式又は0/d方式を用いてもよい。ま
た、光沢度測定部5の照明光学系として、上記以外の2
0度方式、60度方式、80度方式等を用いてもよい。
【0081】尚、上記色彩測定装置1Bは、図7に示す
ように、測色部2B及び光沢度測定部5を測定器7Bと
して構成し、色彩算出部3Bをコンピュータ8に構成し
て、両者をケーブルで接続した色彩測定装置1B’の形
態としてもよい。また、測定器7Bは、測色部2Bを測
色計とし、光沢度測定部5を光沢度計として個別に構成
してもよい。
【0082】(第3の実施形態)図12は、本発明の第
3の実施形態による色彩変換装置1Cの構成例を示す。
この色彩変換装置1Cは、上述した第1の実施形態によ
る色彩測定装置1に対し測定機能をなくし、図4に示す
測色部2に代えて入力部6を構成している点で相違し、
その他の構成は第1の実施形態による色彩測定装置1と
ほぼ同様の構成からなる。従って、以下では、相違点に
ついて説明し、上述した第1の実施形態による色彩測定
装置1と同一の構成部分については、同一の符号を付し
て、その説明を省略する。
【0083】この色彩変換装置1Cでは、実測した光沢
度Gのデータがなくても、別構成である測色計で予め測
定されたSCE方式とSCI方式の測色光学系により測
定された試料の色彩測定値YSCE、YSCIを入力部6(入
力手段)によって入力すれば、光沢度算出部16によっ
て、この入力部6によって入力されたSCE方式とSC
I方式の各色彩測定値YSCE、YSCIを、両方式による色
彩測定値YSCE、YSCIの常用対数の差ΔYと光沢度Gと
の関係を規定した相関式(上記(2)式)に代入して光
沢度Gcalが算出される。そして、色彩変換部3Cによ
って、視覚基準の色彩値YSを規定する所定の式(例え
ば、上記(1)式)に、試料の色彩測定値YSCE(又は
SCI)と光沢度Gcalとが代入され、SCE方式又はS
CI方式の測色光学系による固有の色彩測定値Y
SCE(又はYSCI)が、試料の表面状態に依存しない人の
視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準の色
彩値YSに変換される。
【0084】この色彩変換装置1Cは、上述した視覚基
準の色彩値YSを求める手順を実行させるためのプログ
ラムを、一般のコンピュータにインストールするだけ
で、簡単に構成することができる。また、この色彩変換
装置1Cを、電気通信回線を通じてネットワーク上に接
続し、インターネット等を利用して視覚基準の色彩値Y
Sを提供するサービスを行うこともできる。
【0085】(第4の実施形態)図13は、本発明の第
4の実施形態による色彩変換装置1Dの構成例を示す。
この色彩変換装置1Dは、上述した第2の実施形態によ
る色彩測定装置1Bに対し測定機能をなくし、図8に示
す測色部2B、光沢度測定部5に代えて入力部6を構成
している点で相違し、その他の構成は第2の実施形態に
よる色彩測定装置1Bとほぼ同様の構成からなる。従っ
て、以下では、相違点について説明し、上述した第2の
実施形態による色彩測定装置1Bと同一の構成部分につ
いては、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0086】この色彩変換装置1Dでは、別構成である
測色計や光沢度計で予め測定された試料の色彩測定値Y
Xと光沢度Gを入力部6によって入力する。そして、色
彩変換部3Dによって、視覚基準の色彩値YSを規定す
る所定の式(例えば、上記(1)式)に、試料の色彩測
定値YXと光沢度Gとが代入され、測色光学系による固
有の色彩測定値YXが、試料の表面状態に依存しない人
の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準の
色彩値YSに変換される。
【0087】この色彩変換装置1Dは、上述した視覚基
準の色彩値YSを求める手順を実行させるためのプログ
ラムを、一般のコンピュータにインストールするだけ
で、簡単に構成することができる。また、この色彩変換
装置1Dを、電気通信回線を通じてネットワーク上に接
続し、インターネット等を利用して視覚基準の色彩値Y
Sを提供するサービスを行うこともできる。
【0088】(視覚基準の色彩値及び回帰式の意義の詳
細)以上、視覚基準の色彩値YSを規定する所定の式
に、所定の照明及び受光の幾何学的条件を備えた各測色
光学系により測定された試料の色彩測定値YXと、試料
の光沢度Gとを代入して、試料の表面状態に依存しない
人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準
の色彩値YSを求める色彩測定方法、色彩測定装置及び
色彩変換装置について説明してきた。
【0089】ここで、視覚基準の色彩値YSを規定する
所定の式の一例として、複数の試料の色彩を人の視覚で
評価した結果を回帰分析して得られた視覚基準の色彩値
S、色彩測定値YX及び光沢度Gの相関を表す回帰式
(上記(1)式)を導出する方法について、詳述する。
【0090】尚、係数s、係数t、乗数k及び定数uの
数値は、使用される測色光学系の種類によって異なる値
となる。また、評価実験の条件によっても変わるもので
あり、より多くの統計データを集めて、より精度の高い
値に適宜修正することが可能である。従って、以下では
具体的な数値を用いずに説明する。
【0091】測色計は、45度系と拡散系の2種類を使
用した。拡散系の測色計は、前述したSCE方式とSC
I方式の2つの測定方式を有している。また、濃度測定
には、基本的な光学系が45度系である反射濃度計を使
用した。光沢度の測定には、75度方式の光沢度計を用
いた。
【0092】測定する画像サンプルとして、機種の異な
る複数のプリンタを使用して、12階調のグレースケー
ル(K単色)を、MTペーパー、CFペーパー、CFコ
ート紙等の用紙タイプの異なる28種の用紙に各々プリ
ント出力し、総個数にして336(=12×28)個の
画像パッチを準備した。プリンタ機種と用紙タイプを組
み合わせることで、比較的多様な光沢特性を有するサン
プル群を構成している。また、記録方式としては電子写
真式が主であるが、インクジェット式やサーマル式も取
り混ぜている。これらの全てのパッチについて上記測定
器を用いて5箇所の測定を行い、その平均値を測定値と
した。具体的には、1つのパッチに付き、三刺激値であ
るXYZ(0/45)、XYZ(SCE)及びXYZ
(SCI)と、反射濃度d、光沢度Gの5組の物理量を
測定した。なお、三刺激値XYZの観察条件として、印
刷業界の標準でもあるIS013655で規定された2
度視野、D50光源を用いている。
【0093】図14は、上記全サンプルの三刺激値XY
Z(0/45,SCE,SCI)の実測値Yから、CI
Eの定めた公式に従い各明度Lを計算して、SCE方式
を基準とした場合の明度差ΔLを明度L(SCE)に対
してプロットしたグラフである。ハイライトからシャド
ーの全領域において様々な光沢特性を有しているサンプ
ル群であるが、このグラフからも自明なように、明度L
(SCE)が低く色彩の濃いサンプルほど測定値のばら
つきは大きく、概ねその明度の測定値は、SCI方式>
SCE方式>0/45方式となる傾向を示すことが分か
る。しかし、おおよそ明度L(SCE)が高く色彩の薄
いサンプルでは測定値のばらつきは比較的小さいことが
わかった。
【0094】従って、効率良く視覚評価実験を行うこと
を目的に、全336サンプルの中からまず高明度(例え
ば、明度70以上)のサンプルを除き、さらに光沢特性
を考慮して抽出した126サンプルを視覚評価実験の対
象サンプルとした。
【0095】図15は、抽出した視覚評価対象サンプル
の明度L(SCE)と光沢度Gの関係を示す。
【0096】視覚評価対象サンプルは、各々の用紙上か
ら切り出し、用意したカード(約70mm×100m
m)上に貼り、さらにその上を約10mm角の窓を設け
た用紙で覆った。これらのカードと窓を設けた用紙は共
に、光沢のほとんどない白い用紙とした。
【0097】視覚評価実験は、5名の評価者が行った。
手法としては、各サンプルを1対1で比較する行為を総
当たりで行う一対比較法を採用した。例えば、n個のサ
ンプルの場合、{n(n−1)/2}回の比較判断を行
うことになる。従って、今回の126サンプルでは、7
875回の比較判断を各人が行っている。色彩が濃いと
判断したときは“−1”とし、色彩が同じと判断したと
きは“0”とし、色彩が薄いと判断したときは“+1”
とする三段階での比較判断を行い、結果として得られる
視覚スケールS(評価値)は各サンプルの勝率のような
ものに相当する。5人の結果は傾向的には類似してお
り、ここでは、5人の視覚スケールSの平均値を平均評
価値SAVEとして採用した。この平均評価値SAVEは、−
1から+1までの範囲の値を取り、その値が小さいほど
色彩が濃いと判断されたことを意味する。
【0098】図16は、全336サンプルの三刺激値X
YZ(0/45,SCE,SCI)の実測値Yから、C
IEの定めた公式に従い各明度Lを計算して、SCEを
基準とした場合の明度差ΔLを光沢度Gに対してプロッ
トしたグラフである。低光沢から高光沢の全領域におい
て様々な明るさを有しているサンプル群であるが、光沢
度が高いサンプルほど測定値のばらつきが大きくなる傾
向は、特にSCI方式時に顕著なことが分かる。しか
し、おおよそ低光沢域では測定値のばらつきは小さく、
光沢の影響は比較的少ない。従って、視覚評価の対象と
した126サンプルの中から低光沢(ここでは光沢度1
0以下とした)のサンプル39個を抽出し、上記視覚ス
ケールである平均評価値SAVEとの関係を調べた。ここ
では、視覚スケールSを正数として取り扱うために、全
ての平均評価値SAVEに1を加算した値を視覚評価値m
(=SAVE+1)としている。
【0099】図17は、低光沢サンプルの三刺激値XY
Zの0/45、SCE、SCIの3方式による各実測値
の平均である平均実測値YAVEと視覚評価値mの関係を
表し、下記(4)式で表現される曲線が、視覚評価値m
から目標とする視覚値YSへの変換式になる。尚、ここ
では、低光沢時の平均実測値YAVEは、人の視覚で認識
される色彩に近い視覚基準の視覚値YSと等しいものと
想定している。
【0100】YS=αm3+βm2+γm+δ……(4) ここで、係数α,β,γ,及び定数δは、使用される測
色光学系の種類によって異なる値となる。
【0101】上記(4)式は、単調増加関数である必要
があるが、その導関数は常に正であり、この条件を満足
している。
【0102】ここで、視覚評価値mを、明度Lではなく
視覚値YSに変換した理由は、CIEの定める公式にお
ける1/3乗や三刺激値の値が極低い時の場合分けの必
要がなく、より単純な計算となるように考慮したためで
ある。さらに、XやZの他の三刺激値への拡張(カラー
測色への拡張)もより簡素に行うことを可能とするため
である。
【0103】視覚評価を行った全126サンプルの視覚
値YSと実測値Yとの相関関係(1次)を調べた。
【0104】図18は、実測値Y(O/45)、Y(S
CE)、Y(SCI)、CIEの公式に基づいて変換し
た明度L(0/45)、L(SCE)、L(SCI)、
反射濃度d、各実測値Y(O/45)、Y(SCE)、
Y(SCI)の常用対数値である−log10(Y(O/45)/1
OO)、−log10(Y(SCE)/1OO)、−log10(Y(SCI)/1
OO)の全10種のデータに対する相関係数RYを示す。
当然ながら、いずれも相関関係RYは十分に高いが、最
も相関が高かったのは各実測値Yの常用対数値であっ
た。これは、1/3乗よりも対数スケールの方がより
「濃さ」の感覚量として適していることを意味してい
る。従って、以下では所望の関数を得るための計算処理
として、実測値Yの常用対数値−1og10(Y/100)を用
いる。
【0105】そして、測色光学系としては拡散照明系
で、かつ正反射光成分を除去するSCE方式が、0/4
5方式やSCI方式よりも人の視覚により認識される色
彩に近いことが図18のグラフからも分かる。従って、
以下では基本的にはSCE方式による実測値Yをべ一ス
に視覚値YSへの変換を考えることとする。
【0106】視覚判断を行った全126サンプルにおけ
る視覚値YSは、各画像パッチの視覚評価値m(=SAVE
+1)を、上記(4)式に代入することで求められる。
【0107】すなわち、重回帰分析を行う一般式は、
s、tを係数、uを定数、kを乗数とし、各画像パッチ
の実測値YXを各測色光学系における実測値Y0/45、Y
SCE又はYSCIとし、光沢度の実測値をGとすると、下記
(1)式で表される。
【0108】 −log10(YS/1OO)=s×−log10(YX/1OO)+t×Gk+u…(1) この(1)式を変形すると、視覚値YSは下記(5)式
で表される。
【0109】
【数1】
【0110】尚、係数s、係数t、乗数k及び定数u
は、測色光学系の種類によって異なる値となる。
【0111】ここで、光沢度Gに関連する項を累乗の関
数で表現しているのは、光沢度Gをそのまま用いるより
も相関が上がることが確認されたためである。例えば、
実測値YSCEと光沢度Gから知覚される視覚値YSを予測
する場合、図19に示すように、光沢度Gに関する項に
対する相関係数RGは、光沢度Gの乗数k=kaで最大値
Gmaxが得られた。尚、光沢度Gの相関関数はこれに限
定されるものではなく、より適した光沢度Gの相関関数
が特定された場合には、それを用いればよい。
【0112】実際に、0/45方式、SCE方式、SC
I方式の3種類の測定方式に対して、重回帰分析を行
い、実測値Yに関する項に対する相関係数RYと、光沢
度Gに関する項に対する相関係数RGを求めて比較し
た。その結果、視覚値YSの関数と相関が高かったの
は、実測値項、光沢度項ともにSCE方式であり、次い
で、0/45方式、SCI方式の順となった。
【0113】つまり、例えば、SCE方式で測定した実
測値YSCEと光沢度G75との両者から予測される視覚値
Sは、下記(6)式で表される。
【0114】
【数2】
【0115】ここで、係数sa、係数ta、乗数ka及び
定数uaは、測色光学系がSCE方式であるときの所定
値である。
【0116】但し、視覚値YSの予測式は、0/45方
式、SCI方式の場合も含め、光沢度Gが10以上、又
は明度Lが70以下の条件を満足するサンプルに対して
のみ適用する。そして、上記条件からはずれるサンプル
については、各々測定した実測値そのものを視覚値YS
として取り扱うこととする。
【0117】図20は、全336サンプルの三刺激値X
YZ(0/45、SCE、SCI)の実測値Yから各係
数sa、ta、定数ua、乗数kaを用いて、光沢度Gの実
測値G75と各測定方式における実測値Yから視覚値YS
を推定し、さらにCIEの定めた公式に従いそれぞれの
明度Lを計算し、SCE方式を基準とした場合の明度差
ΔLを光沢度Gに対してプロットしたグラフである。図
16と比較して、0/45方式からの予測値及びSCE
方式からの予測値について、SCE方式との明度差ΔL
が減少していることがわかる。
【0118】また、SCI方式からの予測値とSCE方
式からの予測値との差は、依然として高光沢のサンプル
においてやや大きくなっていることがわかる。SCI方
式では、光沢による正反射光成分を除去しないで測定し
ているため、極端な場合には、明らかに濃さの異なる低
光沢サンプルと高光沢サンプルの測定において、実測と
視覚で色調の判定に逆転が生じることも有り得る。つま
り、対象画像の光沢が高い場合には、その三刺激値の実
測値は十分に低くなりきれず飽和してしまうと考えられ
る。従って、SCI方式による測定値Yと光沢度Gから
実際に知覚される明度Lを予測することは、他の2つの
測定方式である0/45方式やSCE方式よりも困難で
あると言え、SCI方式では高光沢試料の視覚的な色調
の変化は本質的に検知できないものと考えられる。ま
た、こうした傾向は他の三刺激値のXやZにもほぼ同様
のことが言えると考えられる。
【0119】次に、SCE方式とSCI方式の各測定値
から光沢度Gを算出する相関式(上記(2)式)につい
て説明する。
【0120】これまでの検証結果から、SCE方式とS
CI方式の出力値は、低光沢サンプルではハイライト域
からシャドー域まで差はあまり生じないのに対し、高光
沢サンプルではシャドー域ほどその差が拡大する傾向に
ある。
【0121】こうした関係を考慮して、有効的に光沢と
関連性の高い情報を得るために、下記(3)式に示す各
実測値YSCEとYSCIの常用対数の差ΔYに着目する。
【0122】 ΔY=|(−log10(YSCE/1OO))−(−log10(YSCI/1OO))|…(3) 図21は、各実測値YSCEとYSCIの常用対数の差ΔYと
光沢度G75の関係を示す。累乗関数で近似しているが、
相関係数としてはそれほど高い値が得られているわけで
はない。とりわけΔYが小さな領域でのばらつきが大き
くなっていることがわかる。これは、薄い領域ではその
光沢に関わらず、SCI方式とSCE方式による測定値
差はあまりないことに起因しているものと推測できる。
しかしながら、この傾向は光沢の影響を比較的受けにく
いハイライト域での光沢度項の寄与を低くできるなどか
えって好都合でもある。
【0123】また、ここでは75度系の光沢度計で測定
した光沢度G75との相関を高めることは本題ではない。
と言うのも、本来、光沢度G自体の測定光学系も一義的
には定まっておらず、今回用いた75度系の他に、20
度系、60度系、80度系などの他の光学系も存在す
る。また、あくまでもSCE方式とSCI方式による測
定値YSCE及びYSCIから、人の視覚で認識される色彩に
近い視覚基準の視覚値Y Sを推定することが目的であ
り、上記(1)式における光沢度項に対して、計算で求
めた特性値を用いることで高い相関が得られれば問題は
ない。よって、図21に示した近似式に従い、光沢補正
関数により算出される光沢度Gcalの予測式は、各実測
値YSCEとYSCIの常用対数の差ΔYから下記(2)式で
表される。
【0124】Gcal=f×ΔYj……(2) ここで、係数f,乗数jは、図21に示す光沢補正関数
を規定する値である。
【0125】この光沢補正関数により算出される光沢度
calを用いて同様の重回帰分析を行った。尚、実測光
沢度G75から求める場合には、低光沢あるいは高明度の
サンプルデータを除外して処理したが、ここでは全サン
プルデータから解析を行っている。その結果、光沢度項
に関する相関係数RGが更に向上し、前述したように、
光沢補正関数により算出される光沢度Gcalを用いて高
い相関関係を得るという目的は達成できているものと考
えられる。
【0126】従って、上記(1)式より、SCE方式で
測色した実測値YSCEと光沢補正関数により算出される
光沢度Gcalの両者から、視覚値YSは、下記(7)式で
予測される。なお、実測光沢度G75から予測した場合と
異なり、下記(7)式による場合には、光沢や明るさに
よらず全てのサンプルに対して適用可能である。
【0127】
【数3】
【0128】ここで、係数sb、係数tb、乗数kb及び
定数ubは、測色光学系がSCE方式であり、かつ、光
沢度Gcalを用いる場合における所定値である。
【0129】図22は、全336サンプルについて、実
測光沢度G75から予測する視覚値Y Sと、光沢補正関数
により算出される光沢度Gcalから予測する視覚値YS
をそれぞれ明度Lに変換して対比している。グラフ内に
示した回帰式からも分かるように、ばらつきは小さく、
傾きも1を確保できており、光沢補正関数により算出さ
れる光沢度Gcalが信頼性の高いものであることを実証
する結果である。
【0130】以上、本発明の色彩測定方法、色彩測定装
置、色彩変換装置は、上記した各実施形態の具体的構成
や手順に限定されるものではなく、必要に応じ適宜構成
や手順を変形、追加又は削除した構成としてもよいこと
は言うまでもない。
【0131】例えば、上記色彩測定装置において、視覚
基準の色彩値と実測値とを選択的にに表示させる構成と
してもよい。また、測定する試料の表面状態に応じて視
覚基準の色彩値と実測値とを内部処理で選択させて表示
させる構成としてもよい。
【0132】また、上記では、視覚基準の色彩値YS
規定する所定の式の一例として、複数の試料の色彩を人
の視覚で評価した結果を回帰分析して得られた回帰式
(上記(1)式)を用いる例を示したが、本発明はこれ
に限定されるものではない。すなわち、測色光学系によ
る固有の色彩測定値から、試料の表面状態に依存しない
人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準
の色彩値を求めることができる変換式として定義される
ものであれば、どのような式であってもよい。
【0133】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の色彩測定
方法、色彩測定装置、色彩変換装置によれば、測色光学
系による固有の色彩測定値から、試料の表面状態に依存
しない人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視
覚基準の色彩値を求めることができる。
【0134】より詳しくは、本発明の色彩測定方法によ
れば、視覚基準の色彩値を規定する所定の式に、所定の
照明及び受光の幾何学的条件を備えた測色光学系により
測定された試料の色彩測定値と、試料の光沢度とを代入
して、測色光学系による固有の色彩測定値から、試料の
表面状態に依存しない人の視覚で認識される色彩に近い
普遍性のある視覚基準の色彩値を求めることができる。
【0135】上記の色彩測定方法において、上記式が、
色彩測定値の対数項と光沢度の累乗項を含む相関式で定
義されている構成にすると、測色光学系による固有の色
彩測定値から、試料の表面状態に依存しないより一層人
の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準の
色彩値を求めることができる。
【0136】本発明の色彩測定装置によれば、第1測定
手段によってSCE方式とSCI方式の測色光学系によ
り試料の色彩測定値を測定し、光沢度算出手段によって
この第1測定手段により測定されたSCE方式とSCI
方式の各色彩測定値を、両方式による色彩測定値の差分
と光沢度との関係を規定した相関式に代入して光沢度を
算出し、色彩算出手段によって、視覚基準の色彩値を規
定する所定の式に、試料の色彩測定値と光沢度とを代入
して、SCE方式又はSCI方式の測色光学系による固
有の色彩測定値から、試料の表面状態に依存しない人の
視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準の色
彩値を求めることができる。
【0137】本発明の他の色彩測定装置によれば、第2
測定手段によって所定の照明及び受光の幾何学的条件を
備えた測色光学系により試料の色彩値を測定すると共
に、第3測定手段によって試料の光沢度を測定し、色彩
算出手段によって、視覚基準の色彩値を規定する所定の
式に、試料の色彩測定値と光沢度とを代入して、測色光
学系による固有の色彩測定値から、試料の表面状態に依
存しない人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある
視覚基準の色彩値を求めることができる。
【0138】上記の各色彩測定装置において、上記式
が、色彩測定値の対数項と光沢度の累乗項を含む相関式
で定義されている構成にすると、測色光学系による固有
の色彩測定値から、試料の表面状態に依存しないより一
層人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基
準の色彩値を求めることができる。
【0139】本発明の色彩変換装置によれば、入力手段
によって試料の色彩測定値と光沢度を入力し、色彩変換
手段によって、視覚基準の色彩値を規定する所定の式
に、試料の色彩測定値と光沢度とを代入して、測色光学
系による固有の色彩測定値を、試料の表面状態に依存し
ない人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚
基準の色彩値に変換することができる。
【0140】本発明の他の色彩変換装置によれば、入力
手段によってSCE方式とSCI方式の測色光学系によ
り測定された試料の色彩測定値を入力し、光沢度算出手
段によってこの入力手段により入力されたSCE方式と
SCI方式の各色彩測定値を、両方式による色彩測定値
の差分と光沢度との関係を規定した相関式に代入して光
沢度を算出し、色彩変換手段によって、視覚基準の色彩
値を規定する所定の式に、試料の色彩測定値と光沢度と
を代入して、SCE方式又はSCI方式の測色光学系に
よる固有の色彩測定値を、試料の表面状態に依存しない
人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準
の色彩値に変換することができる。
【0141】上記の各色彩変換装置において、上記式
が、色彩測定値の対数項と光沢度の累乗項を含む相関式
で定義されている構成にすると、測色光学系による固有
の色彩測定値を、試料の表面状態に依存しないより一層
人の視覚で認識される色彩に近い普遍性のある視覚基準
の色彩値に変換することができる。
【0142】尚、視覚基準の色彩値を求める手順を実行
させるためのプログラムを記録したコンピュータ可読記
録媒体を提供し、この記録媒体を用いて、上記の各色彩
測定装置や色彩変換装置を簡単に構成することができ、
上述した作用効果を奏する。
【0143】更には、色彩変換装置を、電気通信回線を
通じてネットワーク上に接続し、インターネット等を利
用して視覚基準の色彩値を提供するサービスを行うこと
もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る色彩測定装置の構成例を示す外観
図である。
【図2】積分球を用いた拡散照明系を示す説明図であっ
て、(a)にSCI方式、(b)SCE方式をそれぞれ
表す。
【図3】拡散照明系を採用した色彩測定装置の構成例を
示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による色彩測定装置の
構成例を示すブロック図である。
【図5】横軸に階調No.、縦軸に明度、光沢度をとっ
て、用紙と記録剤に低光沢仕様のものを使用した場合に
おけるSCE方式、SCI方式の各光学系の測色値と、
算出された視覚基準の色彩値に相当する明度Lcalと、
光沢度Gとの関係を示すグラフである。
【図6】横軸に階調No.、縦軸に明度、光沢度をとっ
て、用紙と記録剤に高光沢仕様のものを使用した場合に
おけるSCE方式、SCI方式の各光学系の測色値と、
算出された視覚基準の色彩値に相当する明度Lcalと、
光沢度Gとの関係を示すグラフである。
【図7】本発明に係る色彩測定装置の他の構成例を示す
外観図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による色彩測定装置の
構成例を示すブロック図である。
【図9】測色と光沢度測定の光学系が一体化されている
測定光学系を示す説明図である。
【図10】測色における45度照明系を示す説明図であ
って、(a)に0/45方式、(b)45/0方式をそ
れぞれ表す。
【図11】光沢度測定における75度方式による照明系
を示す説明図である。
【図12】本発明の第3の実施形態による色彩変換装置
の構成例を示すブロック図である。
【図13】本発明の第4の実施形態による色彩変換装置
の構成例を示すブロック図である。
【図14】45度方式、SCI方式の各光学系による実
測値から計算した明度と、SCE方式による実測値から
計算した明度との明度差ΔLと、SCE方式の明度Lと
の関係を示すグラフである。
【図15】SCE方式の明度Lと光沢度Gとの関係を示
すグラフである。
【図16】実測値によるSCE方式を基準とした場合の
明度差ΔLと光沢度Gとの関係を示すグラフである。
【図17】低光沢試料についての0/45、SCE、S
CIの3方式による各実測値の平均である平均実測値Y
AVEと視覚評価値mとの関係を示すグラフである。
【図18】実測値Y(O/45)、Y(SCE)、Y
(SCI)、明度L(0/45)、L(SCE)、L
(SCI)、反射濃度d、各実測値Y(O/45)、Y
(SCE)、Y(SCI)の常用対数値である−log10
(Y(O/45)/1OO)、−log10(Y(SCE)/1OO)、−log
10(Y(SCI)/1OO)の全10種のデータに対する相関係
数RYを示すグラフである。
【図19】光沢度Gの乗数kと相関係数RGとの関係を
示すグラフである。
【図20】視覚値によるSCE方式を基準とした場合の
明度差ΔLを光沢度Gとの関係を示すグラフである。
【図21】実測値YSCEと実測値YSCIの常用対数の差Δ
Yと光沢度G75との関係を示すグラフである。
【図22】実測光沢度G75から予測する視覚値YSと、
光沢補正関数により算出された光沢度Gcalから予測す
る視覚値YS’との関係を、明度Lに変換して対比した
グラフである。
【図23】用紙と記録剤に低光沢仕様のものを使用した
場合における45度方式、SCE方式、SCI方式の各
光学系の測色値と光沢度Gとの関係を示すグラフであ
る。
【図24】用紙と記録剤に高光沢仕様のものを使用した
場合における45度方式、SCE方式、SCI方式の各
光学系の測色値と光沢度Gとの関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1,1’,1B,1B’ 色彩測定装置 1C,1D 色彩変換装置 2 測色部(第1測定手段) 2B 測色部(第2測定手段) 3A,3B 色彩算出部(色彩算出手段) 3C,3D 色彩変換部(色彩変換手段) 5 光沢度測定部(第3測定手段) 6 入力部(入力手段) 10 光沢度算出部(光沢度算出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G020 AA08 DA04 DA06 DA13 DA22 DA24 DA31 DA34 DA35 DA42 2G059 AA01 AA02 BB08 EE02 EE13 FF06 GG10 HH02 JJ01 JJ11 JJ16 JJ17 KK01 MM01 MM03 MM10 MM14 PP04

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 視覚基準の色彩値を規定する所定の式
    に、所定の照明及び受光の幾何学的条件を備えた測色光
    学系により測定された試料の色彩測定値と、試料の光沢
    度とを代入して、視覚基準の色彩値を求めることを特徴
    とする色彩測定方法。
  2. 【請求項2】 上記式が、色彩測定値の対数項と光沢度
    の累乗項を含む相関式で定義されている請求項1記載の
    色彩測定方法。
  3. 【請求項3】 上記測色光学系が、45/0方式、0/
    45方式、d/0方式又は0/d方式のいずれかである
    請求項1記載の色彩測定方法。
  4. 【請求項4】 SCE方式とSCI方式の測色光学系に
    より試料の色彩値を測定する第1測定手段と、 該第1測定手段により測定されたSCE方式とSCI方
    式の各色彩測定値を、両方式による色彩測定値の差分と
    光沢度との関係を規定した相関式に代入して光沢度を算
    出する光沢度算出手段と、 視覚基準の色彩値を規定する所定の式に、上記第1測定
    手段により測定された色彩測定値と光沢度算出手段によ
    り算出された光沢度とを代入して、視覚基準の色彩値を
    求める色彩算出手段とを有することを特徴とする色彩測
    定装置。
  5. 【請求項5】 所定の照明及び受光の幾何学的条件を備
    えた測色光学系により試料の色彩値を測定する第2測定
    手段と、 試料の光沢度を測定する第3測定手段と、 視覚基準の色彩値を規定する所定の式に、上記第2測定
    手段により測定された色彩測定値と第3測定手段により
    測定された光沢度を代入して、視覚基準の色彩値を求め
    る色彩算出手段とを有することを特徴とする色彩測定装
    置。
  6. 【請求項6】 上記式が、色彩測定値の対数項と光沢度
    の累乗項を含む相関式で定義されている請求項4又は請
    求項5記載の色彩測定装置。
  7. 【請求項7】 上記測色光学系が、45/0方式、0/
    45方式、d/0方式又は0/d方式のいずれかである
    請求項5記載の色彩測定装置。
  8. 【請求項8】 所定の照明及び受光の幾何学的条件を備
    えた測色光学系により測定された試料の色彩測定値と測
    定された試料の光沢度とを入力する入力手段と、 視覚基準の色彩値を規定する所定の式に、上記入力手段
    により入力された色彩測定値と光沢度を代入して、視覚
    基準の色彩値に変換する色彩変換手段とを有することを
    特徴とする色彩変換装置。
  9. 【請求項9】 上記測色光学系が、45/0方式、0/
    45方式、d/0方式又は0/d方式のいずれかである
    請求項8記載の色彩変換装置。
  10. 【請求項10】 SCE方式とSCI方式の測色光学系
    により測定された試料の色彩測定値を入力する入力手段
    と、 該入力手段により入力されたSCE方式とSCI方式の
    各色彩測定値を、両方式による色彩測定値の差分と光沢
    度との関係を規定した相関式に代入して光沢度を算出す
    る光沢度算出手段と、 視覚基準の色彩値を規定する所定の式に、上記入力手段
    により入力された色彩測定値と光沢度算出手段により算
    出された光沢度とを代入して、視覚基準の色彩値に変換
    する色彩変換手段とを有することを特徴とする色彩変換
    装置。
  11. 【請求項11】 上記式が、色彩測定値の対数項と光沢
    度の累乗項を含む相関式で定義されている請求項8又は
    請求項10記載の色彩変換装置。
  12. 【請求項12】 視覚基準の色彩値を規定する所定の式
    に、所定の照明及び受光の幾何学的条件を備えた測色光
    学系により測定された試料の色彩測定値と、試料の光沢
    度とを代入して、視覚基準の色彩値を求める手順を実行
    させるためのプログラム。
  13. 【請求項13】 視覚基準の色彩値を規定する所定の式
    に、所定の照明及び受光の幾何学的条件を備えた測色光
    学系により測定された試料の色彩測定値と、試料の光沢
    度とを代入して、視覚基準の色彩値を求める手順を実行
    させるためのプログラムを記録したコンピュータ可読記
    録媒体。
  14. 【請求項14】 上記式が、色彩測定値の対数項と光沢
    度の累乗項を含む相関式で定義されている請求項13記
    載のコンピュータ可読記録媒体。
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