JP2002226823A - 感熱性粘着剤組成物及び感熱性粘着シート又はラベル - Google Patents

感熱性粘着剤組成物及び感熱性粘着シート又はラベル

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JP2002226823A
JP2002226823A JP2001023321A JP2001023321A JP2002226823A JP 2002226823 A JP2002226823 A JP 2002226823A JP 2001023321 A JP2001023321 A JP 2001023321A JP 2001023321 A JP2001023321 A JP 2001023321A JP 2002226823 A JP2002226823 A JP 2002226823A
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Japan
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sensitive adhesive
heat
polymer
monomer
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Application number
JP2001023321A
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Inventor
Hideo Ota
英男 太田
Toshiya Seko
敏也 世古
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Chuo Rika Kogyo Corp
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Chuo Rika Kogyo Corp
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】常温では非粘着性であり、離型紙や基材裏面の
離型処理を行うことなく使用が可能であり、常温での耐
ブロッキング性に優れ、加熱時の粘着特性に優れる感熱
性ディレードタック型粘着剤組成物および感熱性粘着シ
ート又はラベルを提供する。 【解決手段】酸価が30〜300mgKOH/gで且つ
ガラス転移温度(Tg)が30℃以上の重合体(A)、
示差走査熱量測定法による融点又は軟化点が30〜10
0℃、凝固点が融点又は軟化点より10℃以上低い化合
物(B)及びガラス転移温度(Tg)が−20℃以下の
重合体(C)からなる水性エマルジョンであって、上記
(A)、(B)及び(C)の各成分の重量比が次の式
(1)及び(2)を満足することを特徴とする感熱性粘
着組成物。 【数1】 (A)/(C)=15/85〜50/50・・・・・・・・(1) [(A)+(C)]/(B)=100/0.5〜100/20・・・(2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱性粘着剤組成
物および感熱性粘着シート又はラベルに関し、詳しく
は、常温では粘着性を示さないが、一定温度以上に加熱
することによって粘着性を発現するエマルジョン型粘着
剤組成物及び当該粘着剤組成物を主成分とする粘着剤層
を有する感熱性粘着シート又はラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】通常、粘着シート又はラベルは、粘着面
に剥離紙(離型紙)を被覆して、保存、流通、販売など
がなされている。また、粘着テープの様な巻き上げ式の
製品では、使用時に巻き戻しが可能な様に、裏面に剥離
処理を施した基材が使用されている。剥離紙は、粘着シ
ートを物品に貼った後には不要品となるので、省資源の
点や低コスト化等の理由から、剥離紙を要しない粘着シ
ートが求められている。更に、粘着テープにおいても裏
面に剥離処理を施していない基材を使用することが出来
れば、粘着テープ基材の製造工程を簡略化することが出
来、しかも、低コスト化が可能になる。
【0003】剥離紙の不要な粘着シートとしては、ディ
レードタック型粘着剤を塗工した感熱粘着シートが知ら
れている。従来の感熱性ディレードタック型粘着剤は、
「接着便覧」(第12版、昭和55年、高分子刊行会発
行)に具体的な実例が記載されている様に、基本的には
熱可塑性樹脂と常温で固体の結晶性可塑剤および粘着付
与剤を含有している。熱可塑性樹脂は、粘着力・接着力
の根源となるものであり、結晶性可塑剤は、常温では固
体であり樹脂に可塑性は与えないが、加熱により溶融し
て樹脂を膨潤あるいは軟化させて粘着性を発現させ、ま
た、粘着付与剤は、粘着性を向上させる働きをする。感
熱性ディレードタック型粘着剤中の結晶性可塑剤は、加
熱により溶融した後はゆっくり結晶化するため、粘着性
を長時間持続させる。
【0004】固体可塑剤を使用するディレードタック型
粘着剤としては、特公昭62−21835号、特開平6
−57233号、特開平6−100848号公報などの
公報に記載のものが知られている。同公報には、ディレ
ードタック型粘着剤として、エチレン−酢酸ビニル共重
合体などの熱可塑性樹脂にフタル酸ジシクロヘキシル等
の固体可塑剤を混合した粘着剤が開示されている。そし
て、これらの先行文献には、斯かる粘着剤は、常温では
非粘着性であり、加熱により可塑剤が融解し粘着力が発
現すると記載されている。
【0005】しかしながら、固体可塑剤及び/又は粘着
付与剤の配合された上記の如き従来のディレードタック
型粘着剤においては以下の(1)〜(6)に挙げる様な
種々の問題があり、限られた特殊な用途にしか使用でき
ないのが現状である。
【0006】(1) 固体可塑剤及び/または粘着付与
剤の結晶化が進んだ後は、粘着力がなくなるため、一度
被着体から剥がすと再度被着体に貼着することができな
い。 (2) 粘着性を発現させる加熱温度が固体可塑剤の融
点及び/又は粘着付与剤の軟化点に依存するため、加熱
温度を自由に設定できない。 (3) 結晶化が進んだ後は粘着剤が硬くなり柔軟性を
失うため、粘着シートを被着体に貼着した後に被着体を
曲げたり被着体に振動を与えたりすると、粘着剤層が被
着体に追随できず剥離する危険がある。 (4) 粘着シートに使用される基材が上質紙などの場
合には、当該粘着シートの加熱時にシート表面に可塑剤
が滲み出しやすい。 (5) 固体可塑剤及び/または粘着付与剤が粘着剤組
成物中で充分に相溶していないため、粘着剤層の透明性
が悪くフィルムなどの透明素材を基材として用いること
ができない。 (6) 粘着剤層中に多量の固体可塑剤または粘着付与
剤を含有するため、低温下に放置した場合に、著しく粘
着力が低下することがある。
【0007】一方、上記の問題を解決するために、結晶
性可塑剤を使用しないディレードタック型の粘着剤とし
て、特開平8−269420号、特開平10−3678
8号、特開平11−5959号などの各公報には、粘着
シートの保管時などにおける粘着性の発現を抑制するた
め、一定温度以上のガラス転移温度を有する非粘着性の
樹脂[成分(X)]と、加熱処理によってこの粘着シー
トに粘着性を発現させ得るアクリル酸エステル等のラジ
カル重合性単量体を共重合した粘着性を有する樹脂エマ
ルジョン[成分(Y)]とからなる粘着性組成物が開示
されている。上記の公報には、斯かる粘着剤組成物を比
較的低温で乾燥させることにより非粘着性の粘着剤層が
得られ、これを加熱処理することにより粘着性を発現さ
せると記載されている。
【0008】しかしながら、この場合、常温での粘着性
を抑えようとするには成分(X)のガラス転移温度を比
較的高くし、成分(X)の含有量を高くする必要があ
る。ガラス転移温度(Tg)を高くすると、粘着性を発
現するためにはガラス転移温度(Tg)以上の高い温度
で再加熱する必要があり、熱エネルギー的に不利であ
り、また、熱に弱い基材を使用することが出来ないとい
った問題が生じる。また、成分(X)の量を多くする
と、相対的に粘着性を発現する成分(Y)が少なくなる
ため、充分な接着力が得られないといった問題点があ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
のような従来技術の欠点を改良し、常温では非粘着性で
あり、離型紙や基材裏面の離型処理を行うことなく使用
が可能であり、常温での耐ブロッキング性に優れ、加熱
時の粘着特性に優れる感熱性ディレードタック型粘着剤
組成物および感熱性粘着シート又はラベルを提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
の要旨は、酸価が30〜300mgKOH/gで且つガ
ラス転移温度(Tg)が30℃以上の重合体(A)、示
差走査熱量測定法による融点又は軟化点が30〜100
℃、凝固点が融点又は軟化点より10℃以上低い化合物
(B)及びガラス転移温度(Tg)が−20℃以下の重
合体(C)からなる水性エマルジョンであって、上記
(A)、(B)及び(C)の各成分の重量比が次の式
(1)及び(2)を満足することを特徴とする感熱性粘
着剤組成物に存する。
【0011】
【数2】 (A)/(C)=15/85〜50/50・・・・・・・・(1) [(A)+(C)]/(B)=100/0.5〜100/20・・・(2)
【0012】本発明の好ましい態様においては、上記の
成分(A)がカルボキシル基またはスルホン酸基を有す
るラジカル重合性単量体(a1)4〜50重量%と該単
量体(a1)と共重合可能なラジカル重合性単量体(a
2)96〜50重量%を界面活性剤存在下で乳化重合し
た後、塩基により中和して得られる共重合体であるこ
と;成分(B)が重合体(C)の合成に用いられる単量
体の何れかに溶解し、示差走査熱量測定法による融点又
は軟化点が30〜100℃、凝固点が融点又は軟化点よ
り10℃以上低く、且つ80℃以下である化合物からな
ること;成分(C)がその合成に用いる単量体に成分
(B)を溶解し、乳化重合するか、或いは成分(A)を
高分子乳化剤とする乳化重合により得られる重合体であ
ること;成分(C)が、その合成に用いる単量体を、成
分(A)及び成分(B)の存在下に乳化重合することに
より得られる重合体であること;及び成分(A)、
(B)及び(C)の合計重量100重量部に対し、軟化
点が100℃より高く180℃以下の粘着付与剤(D)
を2〜30重量%配合してなることを挙げることができ
る。
【0013】そして、本発明の第2の要旨は、基材表面
に上記の感熱性粘着剤組成物を主成分とする粘着剤層を
形成して成ることを特徴とする感熱性粘着シート又はラ
ベルに存する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において、アクリル及び/又はメタクリルを
「(メタ)アクリル」と、アクリレート及び/又はメタ
クリレートを「(メタ)アクリレート」という。また、
本明細書中において重合体の「ガラス転移温度」(以
下、「Tg」という。)とは、以下の計算式から求めら
れる値をいう。なお、この計算式中に使用されるTgの
みは絶対温度(K)で表し、明細書中の他の部分におい
て使用されるTgは摂氏温度(℃)で表す。また、計算
式中の符号の意味は以下に示す通りである。
【0015】
【数3】1/Tg={W(a)/Tg(a)}+{W(b)/Tg
(b)}+{W(c)/Tg(c)}+・・・
【0016】Tg :重合体のTg(K) W(a) :重合体における単量体(a)から成る構造単位の
重量分率 W(b) :重合体における単量体(b)から成る構造単位の
重量分率 W(c) :重合体における単量体(c)から成る構造単位の
重量分率 Tg(a):単量体(a)の単独重合体のガラス転移温度
(K) Tg(b):単量体(b)の単独重合体のガラス転移温度
(K) Tg(c):単量体(c)の単独重合体のガラス転移温度
(K)
【0017】(1)成分(A)について:本発明におけ
る成分(A)は、酸価が30〜300mgKOH/gで
且つガラス転移温度(Tg)が30℃以上の重合体であ
る。斯かる重合体は、水に分散または溶解し、水中で凝
集しない。
【0018】(1−1)組成:成分(A)としては、上
記の酸価を有するカルボキシル基またはスルホン酸基を
有するラジカル重合性単量体(a1)及び他のラジカル
重合性単量体(a2)などを共重合して得られる共重合
体などが挙げられる。
【0019】上記のラジカル重合性単量体(a1)中の
カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、アク
リル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸など
のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の1種または2
種以上が好適に使用される。これらの中では、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸が好ましい。一方、スル
ホン酸基を有する単量体としては、アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸など
が挙げられる。単量体(a1)の使用量は、使用する不
飽和カルボン酸などの種類によって異なるが、成分
(A)の合成に使用される全単量体の合計重量に対し、
通常4〜50重量%、好ましくは5〜30重量%であ
る。
【0020】上記の他のラジカル重合性単量体(a2)
としては、水100gに対する溶解度が2g以下である
疎水性ラジカル重合性単量体が好適に使用される。斯か
る単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イ
ソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メ
タ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル
酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキ
シル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アク
リル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、
(メタ)アクリル酸イソノニル等の(メタ)アクリル酸
アルキル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトル
エン等のビニル芳香族系単量体;酢酸ビニル等のビニル
エステル;(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
単量体(a2)の使用量は、成分(A)の合成に使用さ
れる全単量体の合計重量に対し、通常50〜96重量
%、好ましくは70〜95重量%である。
【0021】本発明においては、成分(A)の合成の
際、更に、上記単量体(a1)及び(a2)以外の他の
親水性ラジカル重合性単量体(a3)を使用することが
できる。斯かる単量体としては、例えば、(メタ)アク
リル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−
ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、N−メ
チロールアクリルアミド、メタクリル酸グリシジル等の
親水性ラジカル重合性単量体が好適に使用される。単量
体(a3)の使用量は、成分(A)の合成に使用される
全単量体の合計重量に対し、通常30重量%以下、好ま
しくは20重量%以下であり、また、その下限は通常1
重量%である。
【0022】上記の成分(A)はグラフト共重合体の塩
基中和物であってもよい。このグラフト共重合体として
は、親水性主鎖及び疎水性側鎖から成るグラフト共重合
体または疎水性主鎖及び親水性側鎖から成るグラフト共
重合体が好適に使用される。何故ならば、上記共重合体
の疎水性部分を後述する成分(C)との親和性が高い
為、液安定性に優れる感熱性粘着剤組成物が得られるか
らである。
【0023】(1−2)製造方法:上記の成分(A)が
ラジカル重合性単量体の重合による重合体である場合、
この成分(A)を得るための重合法としては種々の重合
法が採用できる。例えば、放射線照射による重合法、ラ
ジカル重合開始剤を使用する方法などの公知の方法を採
用できる。これらの中では、ラジカル重合開始剤を使用
する重合法は、重合操作の容易性や得られる中和前共重
合体における分子量調節の容易性などの点から好適に採
用される。また、重合型式としては、溶液重合法、バル
ク重合法、懸濁重合法、乳化重合法、沈殿重合法などが
挙げられるが、溶液重合法または乳化重合法が好適に採
用される。
【0024】溶液重合法においては、有機溶媒にラジカ
ル重合性単量体を溶解し、適当なラジカル重合開始剤を
使用して重合を行うことにより成分(A)を円滑に得る
ことができる。
【0025】有機溶媒としては、ケトン系、酢酸エステ
ル系、芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系、アルコー
ル系などから選択される1種または2種以上の有機溶媒
を使用可能であるが、60〜100℃の沸点を有し、且
つ水溶性の有機溶媒が好ましい。斯かる有機溶媒として
は、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタ
ノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
【0026】また、ラジカル重合開始剤としては、一般
のラジカル重合に使用されているものの何れもが使用可
能であり、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ム、等の過硫酸塩系重合開始剤、アゾビスイソブチロニ
トリル等のアゾ系重合開始剤、レドックス系重合開始剤
などが挙げられる。重合開始剤の使用量は、単量体の合
計重量に対し、通常0.05〜5重量%、好ましくは
0.3〜3重量%である。
【0027】乳化重合法による場合は、例えば、特開平
6−271779号公報に開示されているように、乳化
剤と共にラジカル重合性単量体を水に混合分散して単量
体のプレエマルジョンを調製し、上記のラジカル重合開
始剤を使用して反応器に連続添加して重合を行う。
【0028】成分(A)を製造するための重合温度は、
通常30〜120℃、好ましくは50〜100℃であ
る。また、重合時間は、通常1〜24時間、好ましくは
3〜10時間である。
【0029】上記重合法で得られる成分(A)の重量平
均分子量は、通常2,000〜100,000、好まし
くは3,000〜30,000である。重量平均分子量
が2,000未満の場合は、感熱性粘着シート又はラベ
ルにおける粘着剤層の耐水性が不足し易くなり、また、
加熱前のブロッキング性が問題となる。一方、重量平均
分子量が100,000を超える場合は、高粘度となっ
て成分(A)の製造が困難となると共に、成分(A)の
水に対する親和性が不十分となって組成物の液安定性が
低下したり、成分(A)の存在下において成分(C)の
乳化重合を行う場合に重合が不安定になったりする。ま
た、成分(A)の流動性が低下するため、感熱性粘着シ
ート又はラベルの粘着剤層の加熱によって充分な粘着性
が得られない場合がある。数平均分子量の調節のため、
アルキルメルカプタン、チオグリコール酸エステルの様
な連鎖移動剤を重合系に添加してもよい。添加量は、成
分(A)の合成に使用される単量体の合計重量に対し、
通常0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%で
ある。
【0030】成分(A)がグラフト共重合体の塩基中和
物である場合、中和に使用する塩基としては、アンモニ
ア;アルキルアミン、アリルアミン、アルカノールアミ
ン等のアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
のアルカリ金属水酸化物;マグネシウム、カルシウム等
のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。これらの中で
は、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン
等の沸点100℃以下の塩基が好ましく、特にアンモニ
アが好ましい。何故ならば、感熱性粘着シート又はラベ
ルの塗工後の乾燥工程において粘着剤層から塩基が除去
され易くなるため、耐水性に優れた粘着層を得ることが
出来る。
【0031】成分(A)がグラフト共重合体の塩基中和
物の場合、必ずしも完全中和物である必要はないが、水
分散性または水溶性となる程度に中和されている必要が
ある。斯かる中和度は、成分(A)のもつ酸性基の通常
40モル%以上、好ましくは60モル%以上の中和によ
って達成される。酸性基の中和量が40モル%未満の場
合は次のような問題がある。即ち、成分(A)の水に対
する親和性が不足すると経時により液が分離するなど、
粘着剤組成物が不安定となり易く、また、成分(A)の
界面活性能が低くなり、この成分(A)の存在下におい
て成分(C)を乳化重合させる場合に重合が不安定とな
り易い。
【0032】なお、成分(A)は、架橋密度が低いか或
いは実質的に非架橋であることが好ましい。成分(A)
が過度に架橋している場合は次のような問題がある。す
なわち、成分(A)の水に対する親和性が不十分となり
易い。また、感熱性粘着シート又はラベルの粘着剤層に
おいて、成分(A)を構成する分子鎖の移動が制限さ
れ、加熱処理を行っても粘着性を発現し難い場合があ
る。
【0033】(1−3)酸価:本明細書中において、
「酸価」とは、常法により算出された理論酸価をいう
が、重合体が塩基により中和されている場合には、中和
前における酸価を指す。酸価の単位として使用する「m
gKOH/g」は、重合体の固形分1g中の中和に必要
とする水酸化カリウムのミリグラム数を表す。
【0034】成分(A)の酸価は、30〜300mgK
OH/gでなければならない。この酸価が30mgKO
H/g未満である場合は、成分(A)の水に対する親和
性が不足するため、この成分(A)を含む粘着剤組成物
の安定性が不十分となったり、成分(A)の存在下にお
いて成分(C)の乳化重合を行う場合の乳化安定性が不
十分となる。更に、成分(A)のアルカリ溶解性または
膨潤性が不足するため、アルカリ剥離性粘着剤組成物の
調製の際に十分なアルカリ剥離性を付与することができ
ない。一方、成分(A)の酸価が300mgKOH/g
を超える場合は、粘着剤層の耐水性が不足する。上記の
成分(A)の酸価は、好ましくは50〜200mgKO
H/gである。
【0035】(1−4)ガラス転移温度(Tg):成分
(A)はそのTgが30℃以上でなければならない。成
分(A)のTgは、40〜140℃が好ましく、60〜
120℃が更に好ましい。成分(A)のTgが30℃未
満の場合は、加熱処理前における粘着剤層の粘着力が高
くなり過ぎ、剥離紙や基材裏面の剥離処理などの様な粘
着剤層に対する剥離処理を行うことが必要になる。一
方、Tgが140℃を超える場合、粘着性を発現させる
ために必要な加熱温度が高くなるためにエネルギーコス
トが嵩む上、熱に弱い基材を使用することが出来ない傾
向がある。
【0036】(2)成分(B)について:本発明におけ
る成分(B)は、示差走査熱量測定法による融点又は軟
化点が30〜100℃、凝固点が融点又は軟化点より1
0℃以上低い化合物である。すなわち、示差走査熱量計
による加熱時の融点又は軟化点が30℃〜100℃で冷
却時の凝固点が融点又は軟化点より10℃以上低く、好
ましくは80℃以下の化合物であり、粘着性発現のため
の成分である。また、後述するように成分(B)を、成
分(C)の原料単量体に溶解して乳化重合することによ
り、生成した成分(C)のエマルジョンを含む感熱性粘
着剤組成物は、その透明性や耐ブロッキング性が向上す
る。
【0037】(2−1)組成:成分(B)としては、ロ
ジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、変性テルペン樹
脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石
油樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹
脂、クマロン−インデン樹脂、ケトン樹脂、スチレン系
樹脂、アルキルナフタレン、ジアリルアルカン、アルキ
ルビフェニル、水添ターフェニル、トリアリルジメタ
ン、フェニレンオキサイド、アルキルベンゼン、ベンジ
ルナフタレン、リン酸トリフェニル、ポリエステルポリ
オール、フタレート系化合物などが挙げられ、常温での
耐ブロッキング性向上のため、融点又は軟化点が50℃
以上のものが好ましい。特に好ましくはロジン誘導体、
変性テルペン樹脂、脂環族系石油樹脂、水添ターフェニ
ル、ジシクロヘキシルフタレートなどである。
【0038】これらの成分(B)としては、市販品の中
から適宜選択して使用するのが簡便である。具体的な商
品としては「スーパーエステルA−75」、「A−10
0」(以上荒川化学工業(株)製)などのロジン誘導体、
「クリアロンP−85」、「M−105」(以上ヤスハ
ラケミカル(株)製)などの水添テルペン樹脂、「エスコ
レッツE1271」、「E1310」(以上トーネック
ス(株)製)などの脂肪族系石油樹脂、「エスコレッツ
E5380」、「ECR231A」(以上トーネックス
(株)製)などの脂環族系石油樹脂、「o-ターフェニ
ル」、「m-ターフェニル」(以上新日鐵化学(株)製)な
どの水添ターフェニル、「HS2H−350S」(豊国
製油(株)製)などのポリエステルポリオール、「DCH
P」(ジシクロヘキシルフタレート;大阪有機化学工業
(株))などが挙げられる。これらは2種以上組み合わせ
て使用することも可能である。
【0039】(2−2)融点又は軟化点:成分(B)の
示差走査熱量測定法による融点又は軟化点(以下、軟化
点等と略称する。)は30℃〜100℃でなければなら
ない。軟化点等が100℃より高い場合は、粘着性発現
のための加熱温度、時間を充分にとらないと粘着成分の
塑性流動が不充分となり粘着性発現が不充分となる。ま
た加熱を充分にとる場合は基材の熱変形、着色などの問
題が起こり、良好な感熱性粘着シート又はラベルを得る
ことができない場合がある。また、軟化点等が30℃未
満の場合は、常温でも徐々に粘着性が発現してしまうた
めに剥離紙や離型剤が必要となる。成分(B)の軟化点
等は、好ましくは50℃〜100℃である。
【0040】(2−3)凝固点:成分(B)の示差走査
熱量測定法による凝固点は、軟化点等より10℃以上低
くなければならず、特に80℃以下であるのが望まし
い。軟化点等との差異が10℃未満の場合、加熱終了後
直ちに凝固してしまい充分な塑性流動が得られず粘着性
発現が不充分となる。また、80℃以上の場合も同様
に、加熱終了後の放冷ですぐに凝固点以下となるので粘
着性発現が不充分となる。成分(B)の凝固点は、好ま
しくは軟化点等より20℃以上低く50℃以下である。
【0041】(2−4)測定方法:上記融点、軟化点及
び凝固点の測定は示差走査熱量測定法による。測定は、
常温下でシリカゲルなどの乾燥剤を用いて24時間以
上、水分除去した試料をアルミニウム製オープン試料容
器に約10mg秤量し、同じくアルミニウム製カバーを
かけ、サンプルシーラーでクリンプする。同様にして酸
化アルミニウム(Al 23)をクリンプしたものをリフ
ァレンスとして用いる。これらを示差走査熱量計(DS
C;例えばセイコー電子工業(株)製、DSC220C)
を用いて−50℃で10分間置いた後、10℃/分で1
50℃まで昇温し、即座に引き続き10℃/分で−50
℃まで冷却することにより測定することができる。
【0042】(3) 成分(C)について:本発明にお
ける成分(C)はTgが−20℃以下の重合体である。
【0043】(3−1)組成:成分(C)としては、例
えば、ラジカル重合性単量体を乳化重合することにより
得られ、上記範囲のTgを有する種々の重合体を使用す
ることが出来る。例えば、(メタ)アクリル酸エステル
を主成分とするラジカル重合性単量体(以下、「アクリ
ル系単量体」という。)の乳化重合物、エチレン及びビ
ニルエステルを主成分とするラジカル重合性単量体(以
下、「エチレン−ビニルエステル系単量体」という。)
の乳化重合物、共役ジエン単量体およびこの共役ジエン
単量体と共重合可能な単量体を主成分とするラジカル重
合性単量体(以下、「共役ジエン系単量体」という。)
の乳化重合物などが挙げられる。成分(B)がエチレン
−ビニルエステル系単量体または共役ジエン系単量体の
乳化重合物である場合は、感熱性粘着シート又はラベル
の加熱後の粘着剤層がポリオレフィン系樹脂に対して良
好な粘着力を示す粘着剤組成物が得られ易い利点があ
る。一方、成分(C)がアクリル系単量体の乳化重合物
である場合は、耐候性や透明性に優れた粘着剤層が得ら
れる。
【0044】上記の「エチレン−ビニルエステル系単量
体」における「ビニルエステル系単量体」としては、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン
酸ビニル、ラウリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等
が挙げられる。また、上記の「共役ジエン系単量体」に
おける「共役ジエン単量体」としては、ブタジエン、イ
ソプレン、クロロプレン、イソブチレン等が挙げられ
る。
【0045】そして、上記の「アクリル系単量体」とし
ては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分と
し、必要に応じ、他のラジカル重合性単量体(以下、こ
れを「共重合性単量体」ということがある。)を少量併
用した混合単量体が好適に使用される。
【0046】上記の「(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル」としては、アルキル基の炭素数が1〜12でる
(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適に使用され
る。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、
(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸
n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)
アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)
アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオク
チル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリ
ル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル及び(メ
タ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。これらの(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルは2種以上を使用する
ことも出来る。特に、本発明では、成分(C)の製造に
使用するラジカル重合性単量体としてアルキル基の炭素
数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル、特に(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オ
クチルの群がら選択される1種または2種以上を主成分
として使用することが好ましい。
【0047】また、上記の「共重合性単量体」として
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン等のビニル芳香族系単量体;(メタ)アクリル
酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マ
レイン酸等の不飽和カルボン酸;イタコン酸モノエチル
エステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モ
ノブチルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキ
ルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ポリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸
基含有ビニル単量体;(メタ)アクリロニトリル、(メ
タ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、
メタクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩
化ビニリデン等が挙げられる。これら共重合性単量体は
2種以上を使用することも出来る。
【0048】上記の「共重合性単量体」の使用割合は、
成分(C)の製造に使用するラジカル重合性単量体の合
計重量に対し、30重量%以下であることが好ましい。
使用割合が30重量%を超える場合は、感熱性粘着シー
ト又はラベルの加熱後の粘着剤層の粘着性能が不足し易
くなる。
【0049】(3−2)製造方法:上記の成分(C)を
得る方法の一例として、従来公知の界面活性剤を乳化剤
とする通常の乳化重合法を挙げることができる。ここで
使用する界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エス
テルナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリ
ウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナト
リウム塩、などの陰イオン界面活性剤;ポリオキシエチ
レンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレンブロック共重合体などの非イオン性
界面活性剤が挙げられる。更に、アリルアルキルスルホ
ン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホコハク酸塩、ポ
リオキシエチレンアルキルアリルグリセリンエーテルサ
ルフェート等のラジカル重合性陰イオン界面活性剤も使
用し得る。
【0050】また、成分(C)を得る他の方法として
は、成分(A)の存在下において成分(C)の製造に使
用するラジカル重合性単量体を乳化重合させる方法が挙
げられる。この乳化重合法においては、成分(A)が界
面活性剤(高分子乳化剤)として機能するため、乳化重
合時に保護コロイドや他の界面活性剤などの乳化剤の使
用量を通常の乳化重合の場合よりも少量にできる。その
結果、通常の乳化重合によって成分(C)を製造した場
合に比し、感熱性粘着シート又はラベルの粘着剤層の耐
水性を向上させることができる。
【0051】また、上記の乳化重合法によれば、粘着性
を有する成分(C)の周りを、非粘着性の成分(A)が
保護コロイドとして取り巻く粒子構造を取り易くなるた
め、常温での耐ブロッキング性が向上するという利点が
ある。更には、感熱性粘着剤組成物の貯蔵安定性に優れ
るという利点がある。すなわち、成分(A)と成分
(C)とを配合した場合、配合によっては、この混合液
の貯蔵安定性が損なわれる場合があり、著しい場合には
混合液がゲル化して塗工不能となる恐れがあるが、この
ような問題が防止される。
【0052】更に、成分(A)の存在下において成分
(C)の製造に使用するラジカル重合性単量体を乳化重
合させた場合、成分(A)及び成分(C)の両方を含む
エマルジョンが得られる。従って、この場合は、別途に
成分(A)を加える操作を省略できる利点がある。勿
論、こうして得られたエマルジョンに、成分(A)を更
に加えることもできる。
【0053】更に、本発明における成分(C)を製造す
る方法において、成分(C)の合成に使用するラジカル
重合性単量体を乳化重合する際、成分(B)をこれらの
単量体に溶解し、乳化重合するのが好ましい。このよう
にして得られる成分(C)のエマルジョンを本発明の感
熱性粘着シート又はラベルの感熱性粘着剤組成物に使用
した場合は、(A),(B)及び(C)の各成分を配合
して組成物を調製する場合よりも成分(B)の使用量を
低減することが出来る。特に、上記のように成分(A)
の存在下において成分(C)の製造に使用するラジカル
重合性単量体を乳化重合させる場合、成分(A)と成分
(B)とを併存させて乳化重合することもできるが、そ
の単量体に成分(B)を溶解させて得られる成分(C)
のエマルジョンが液安定性に優れ、感熱性粘着シート又
はラベルの粘着剤層の透明性、粘着性能も向上する。
【0054】成分(C)を得るための乳化重合に使用し
得る重合開始剤としては、乳化重合に一般に使用されて
いる重合開始剤の何れもが使用可能であり、成分(A)
を得るためのラジカル重合開始剤の例として前述したも
のと同様の有機過酸化物、無機過酸化物、アゾ系化合物
などを使用することができる。重合開始剤の使用量は、
単量体の合計量に対し、通常0.05〜5重量%、好ま
しくは0.1〜2重量%である。
【0055】(3−3)酸価:成分(C)の酸価は、3
0mgKOH/g以下であることが好ましく、15mg
KOH/g以下であることが更に好ましい。成分(C)
の酸価が30mgKOH/gを超える場合は、感熱性粘
着シート又はラベルの粘着剤層の耐水性が不足する場合
がある。また、成分(C)の酸価は、成分(A)の酸価
に対し、10mgKOH/g以上低いことが好ましく、
20mgKOH/g以上低いことがより好ましい。成分
(A)の酸価と成分(C)の酸価との差が10mgKO
H/g未満の場合、加熱前の粘着剤層において成分
(A)と成分(C)とが混ざり合い、常温での耐ブロッ
キング性に劣る場合がある。
【0056】(3−4)ガラス転移温度(Tg);成分
(C)のTgは、−20℃以下でなければならず、−4
0℃以下であることが好ましい。成分(C)のTgが−
20℃を超える場合は、感熱性粘着シート又はラベルの
加熱後の粘着剤層において十分な粘着性能を得ることが
できない。
【0057】成分(A)と成分(C)の重量比:本発明
の感熱性粘着剤組成物における成分(A)/成分(C)
の重量比は、15/85〜50/50でなければなら
ず、20/80〜40/60であることが好ましい。成
分(A)が15重量%未満の場合は、感熱性粘着シート
又はラベルの加熱処理前の粘着剤層において不必要に粘
着力が発揮される場合がある。一方、成分(A)が50
重量%を超える場合は、粘着剤層の耐水性が低下すると
共に粘着力が不足しやすくなる。また、成分(A)の重
量比が高すぎる場合は、成分(A)を高分子乳化剤とし
て成分(C)を乳化重合する際に、樹脂エマルジョンの
粘度が高くなりすぎ、塗工適性に優れた感熱性粘着剤組
成物が得られない場合がある。
【0058】成分(B)の重量比:成分(B)の重量比
は成分(A)と成分(C)の合計量を100重量%とし
たとき、0.5〜20重量%でなければならず、1〜1
0重量%であることが好ましい。成分(B)が0.5重
量%未満の場合は、粘着剤層の粘着成分の塑性流動が不
充分となり粘着性発現が不充分となる。一方、成分
(B)が20重量%を超える場合は、加熱後の成分
(B)の偏在化による皮膜の透明性低下や、低温下での
凝固による粘着力低下、高温下での保持力低下などの問
題が起こり、良好な感熱性粘着シート又はラベルを得る
ことができない場合がある。
【0059】(4)粘着付与剤(D):本発明において
使用する粘着付与剤は、その軟化点が100℃より高く
180℃以下のものである。このような粘着付与剤とし
ては、ロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、変性テル
ペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂などが
挙げられる。この成分(D)を加えることにより、接着
力の発現を早め、かつ持続力を向上させ、凝集力を高く
することができる。これらの粘着付与剤は、成分
(A),(B)及び(C)の合計重量を100重量%と
したとき、2〜30重量%の範囲で添加される。上記成
分(C)が成分(A)の存在下、乳化重合して製造され
る場合には、成分(B)及び粘着付与剤の添加量を低減
することができる。
【0060】その他の成分;本発明の感熱性粘着剤組成
物には、その用途に応じ、一般的な粘着剤に通常使用さ
れる消泡剤、界面活性剤,防カビ剤、香料、中和剤、増
粘剤、レベリング調整剤、凍結防止剤、発泡剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤、補強剤、充填剤、顔料、蛍光増白
剤、帯電防止剤、抗ブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、
滑剤、有機溶剤、着色剤などの1種または2種以上を含
有していてもよい。
【0061】水分散液性状;本発明の感熱性粘着剤組成
物の固形分濃度は、30〜70重量%であることが好ま
しい。40〜60重量%であることが更に好ましい。固
形分濃度が30重量%未満の場合は乾燥工程に時間が掛
かり過ぎる、70重量%を超える場合は製造が困難とな
ると共に組成物の粘度が高くなりすぎ、塗工適性に劣
る。
【0062】感熱性粘着シート又はラベルについて;本
発明の感熱性粘着シート又はラベルは、素材表面に本発
明の感熱性粘着剤組成物から形成された粘着剤層を形成
してなり、加熱処理前においては粘着力が極めて低い。
従って、この状態では剥離紙や基材裏面の剥離処理など
のような粘着剤層に対する剥離処理を行わなくても商品
としてそのまま取り扱うことができる。斯かる感熱性粘
着シート又はラベルは、一定温度以上の加熱処理を行う
ことにより初めて粘着力を発現する。
【0063】基材;基材の種類は、感熱性粘着シート又
はラベルの加熱処理温度に耐える材質であれば時に制限
されす用途などに応じて適当なものを使用すればよい。
例えば、布、紙、皮革、木材、金属、ガラス、各種プラ
スチック等からなるフィルム、シート、板、発泡プラス
チックシート等などが挙げられる。基材の厚さは、通常
10μm〜1mm、好ましくは30μm〜100μmで
ある。上記のプラスチックとしては、ポリエステル、ポ
リアミド、塩化ビニル系重合体、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリウレタン等が挙げられる。また、基材の
形状は、長尺体、所定の寸法に切断した基材(例えば方
形、円形、楕円形、その他の形状に予め切断した基材)
等の何れであってもよい。
【0064】粘着材層 粘着材層の厚さは、用途などに応じて適宜調節すること
が出来るが、通常1〜300μm、好ましくは10〜1
00μmである。斯かる厚さにより、加熱処理後におい
て粘着材層に良好な粘着性を発現さあせることが可能で
ある。粘着剤層の厚さが余りに薄い場合は良好な接着力
が得られず、余りに厚い場合は、粘着剤の乾燥に時間が
掛かる上、コスト的にも不利である。
【0065】製造方法 本発明の感熱性粘着シート又はラベルは、基材の一方ま
たは両方の面に本発明の感熱性粘着剤組成物を塗布した
後に適当な方法で乾燥する方法によって製造することが
出来る。上記の塗布方法としては、特に制限されず、例
えば、ロールコーター塗布、バーコーター塗布、ナイフ
コーター塗布、スプレー塗布、流延塗布、ドクターブレ
ード塗布、ハケ塗り等の任意の方法を採用することが出
来る。上記の乾燥は、最終的に得られる感熱性粘着シー
ト又はラベルにおいてその粘着剤層が常温で粘着性を発
現しない様な温度以下で行う必要がある。具体的な乾燥
温度は、通常、成分(A)のTg+20℃以下、好まし
くは成分(A)のTg以下、更に好ましくは、成分
(A)のTg−20℃以下である。
【0066】使用方法 本発明の感熱性粘着シート又はラベルは、常温で粘着性
を示さないか又は常温における粘着力が極めて小さいた
め、従来汎用の粘着シート等とは異なり、その粘着剤層
に対する剥離処理を施すことなく、通常の粘着性をもた
ない製品と同じ様に単にそのまま包装し、または包装せ
ずに、保存、流通、販売することが出来る。その際、本
発明でいう「剥離処理を施さない」とは、粘着剤層上を
剥離紙で被覆しないことを意味する。勿論、必要によ
り、例えば極わずかな粘着力が問題となる様な場合、例
えばシート等の用途では剥離処理を施して使用してもよ
い。
【0067】本発明の感熱性粘着シート又はラベルを被
着体に貼着させるに当たっては、粘着剤層および/又は
被着体側を加熱する。加熱温度は、成分(A)のTgに
依存し、通常、そのTgよりも高い温度、好ましくは2
0℃以上高い温度が適している。加熱温度が高すぎる場
合は、粘着シート等の貼り付け作業性や熱効率が低下し
たり、基材が変質または変形したりする恐れがある。こ
のため、上記加熱温度は、通常60〜180℃、好まし
くは80〜140℃である。
【0068】一旦、被着体に貼着された粘着シート等
は、温度が常温に戻ったことにより自然に剥がれてしま
うことがなく、その粘着性を失わずに被着体に良好に貼
着している。そして、被着体から粘着シート等を剥がし
たいときには、汎用の粘着シートと同様に、手などで引
っ張ることによって被着体から容易に剥離することが出
来、剥離した粘着シート等は、粘着剤層が粘着性を保っ
ているため、同じ被着体または別の被着体に再度貼着す
ることができる。
【0069】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明を更
に詳細に説明する。なお、以下の各例において、特に断
らない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」
及び「重量%」を示す。また、以下において使用する略
号及びその内容を下記表1に示す。更に、本明細書にお
いて重合体のTgを算出するために使用した、各単量体
の単独重合体のTgを併せて示す。また、実施例中の重
合体の分子量はGPCにより測定した、ポリスチレン換
算の分子量である。
【0070】
【表1】
【0071】[1]粘着剤組成物の調製: <成分(A)の製造> [乳化重合による成分(A)の製造]本発明の成分
(A)を下記製造例A−1及びA−2に記載の乳化重合
法により合成し、製造した重合体をそれぞれ成分(A−
1)及び(A−2)とする。
【0072】(製造例A−1)単量体としてのMMA7
5部、ST12.5部及びMAA12.5部に、連鎖移動
剤としてチオグリコール酸ブチル6部を混合して単量体
混合物とした。この単量体混合物に重合用乳化剤として
のラウリル硫酸ナトリウム1部及び脱イオン水50部を
加え、攪拌により乳化させて単量体乳化物を調製した。
【0073】攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素導
入管を備えたフラスコに、脱イオン水59部、ラウリル
硫酸ナトリウム1部、過硫酸アンモニウム(APS)1
部を仕込み、窒素雰囲気下において反応器内を70℃に
保ちながら上記の単量体乳化物を2時間かけて滴下し
た。滴下終了から更に2時間同温度に維持した後、反応
系を冷却して重合を終了させ、固形分含量50%の水性
重合体エマルジョンを得た。これは上述した成分(A)
に相当する重合体(A−1)からなるエマルジョンであ
る。重合体(A−1)の酸価は81mgKOH/gであ
った。分子量は、重量平均分子量が5800であった。
上記エマルジョンを攪拌しながら25%アンモニア水を
徐々に加えることにより重合体(A−1)におけるカル
ボキシル基の中和を行って重合体水溶液を得た。この水
溶液をさらに脱イオン水で希釈し固形分25%の水性重
合体(A−1)とした。
【0074】(製造例A−2)単量体としてのMMA3
7.5部、n-BA50部及びMAA12.5部に、連鎖移
動剤としてチオグリコール酸ブチル4部を混合して単量
体混合物とした以外は上記製造例A−1と同様な方法に
より重合体(A−2)のエマルジョンを製造した。得ら
れた重合体(A−2)の酸価は81mgKOH/gであ
った。分子量は、重量平均分子量が6500であった。
上記エマルジョンを攪拌しながら25%アンモニア水を
徐々に加えることにより重合体(A−2)におけるカル
ボキシル基の中和を行って重合体水溶液を得た。この水
溶液をさらに脱イオン水で希釈し固形分25%の水性重
合体(A−2)とした。
【0075】[溶液重合による成分(A)の製造]本発
明の成分(A)を下記製造例A−3に記載の溶液重合法
により合成し、製造した重合体を成分(A−3)とす
る。
【0076】(製造例A−3)単量体としてのMMA9
0部及びAA10部、連鎖移動剤としてラウリルメルカ
プタン3部、有機溶剤としてメチルエチルケトン150
部からなる混合液に重合開始剤としてのAIBNを2部
溶解し、攪拌機、コンデンサ、温度計及び窒素導入管を
備えたフラスコに仕込み、窒素雰囲気下において80℃
に4時間加熱して重合させた。その後、更に0.5部の
AIBNを投入して同温度に2時間加熱し、固形分含量
40%の共重合体のメチルエチルケトン溶液を得た。上
記の共重合体(A−3)の酸価は78mgKOH/g、
重量平均分子量は12000であった。得られた共重合
体のメチルエチルケトン溶液250部に、攪拌下で28
%アンモニア水を徐々に加えることにより、共重合体の
カルボキシル基の中和を行って反応液のpHを7〜8と
した。その後、温度50℃の減圧下でメチルエチルケト
ンを除去し、カルボキシル基の中和された成分(A−
3)の水溶液を得た。この水溶液の固形分含量は25%
であった。
【0077】上記製造例による成分(A)の物性を纏め
て以下の表−2に示す。
【表2】
【0078】[II]成分(A)、成分(B)及び成分
(C)を含むエマルジョンの調製 <成分(C)の製造> [製造方法1・・成分(A)及び成分(B)存在下での
乳化重合による成分(C)の製造]上記合成例により得
られた成分(A)及び成分(B)の存在下において、成
分(C)の製造に使用するラジカル重合性単量体を乳化
重合させることにより、成分(A)、成分(B)及び成
分(C)を含有する水性重合体エマルジョンを合成す
る。
【0079】実施例1 2EHA90部、ST6部、n-BA3部及びMAA1部
を混合して単量体混合物とした。攪拌機、コンデンサ
ー、温度計及び窒素導入管を備えたフラスコに、脱イオ
ン水47部、合成例1で得た成分(A−1)の水溶液8
0部(固形分として20部)及び成分(B)として、細
かく粉砕した「エスコレッツE5830」(トーネック
ス(株)製)10部を仕込み、窒素雰囲気下で70℃に昇
温した後、t−ブチルハイドロパーオキサイドの10%
水溶液5部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラ
ート二水塩(製鉄化学株式会社製、商品名「ロンガリッ
トC」:以下、単に「ロンガリット」という。)の10
%水溶液5部および上記単量体混合物80部を3時間か
けて滴下した。滴下終了から更に2時間同温度を維持し
た後、反応系を冷却して重合を終了させ、アンモニア水
により中和してpHを7〜8とし、固形分含量50%の
水性重合体エマルジョンを得た。
【0080】実施例2 上記の実施例1において、使用した成分(A−1)、成
分(B)及び成分(C)の種類及び使用量を下記表−3
に示す通りに変更し、上記の実施例1と同様の方法によ
り水性重合体エマルジョンを合成した。
【0081】[製造方法2・・成分(A)存在下、成分
(B)を含有する単量体の乳化重合による成分(C)製
造]上記合成例により得られた成分(A)の存在下にお
いて、成分(B)を溶解含有させた成分(C)の製造に
使用するラジカル重合性単量体を乳化重合させることに
より、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有す
る水性重合体エマルジョンを合成した。
【0082】実施例3 2EHA90部、MMA8部、MAA1部及びHEMA
1部を混合して単量体混合物としたものの80部に、成
分(B)である「o-ターフェニル」(新日鐵化学(株)
製)を5重量%溶解し、単量体等混合物とした。攪拌
機、コンデンサー、温度計及び窒素導入管を備えたフラ
スコに、脱イオン水42部、合成例1で得た成分(A−
1)の水溶液80部(固形分として20部)を仕込み、
窒素雰囲気下で70℃に昇温した後、t−ブチルハイド
ロパーオキサイドの10%水溶液5部、「ロンガリッ
ト」の10%水溶液5部および上記単量体等混合物85
部を3時間かけて滴下した。滴下終了から更に2時間同
温度を維持した後、反応系を冷却して重合を終了させ、
アンモニア水により中和してpHを7〜8とし、固形分
含量50%の水性重合体エマルジョンを得た。
【0083】[製造方法3・・成分(B)を含有する単
量体の乳化重合による成分(C)の製造]成分(B)を
溶解含有させた成分(C)の製造に使用するラジカル重
合性単量体を乳化重合させることにより、成分(B)及
び成分(C)を含有する水性重合体エマルジョンを合成
した後、これに成分(A)を配合し、成分(A)、成分
(B)及び成分(C)を含有する水性重合体エマルジョ
ンを調製した。
【0084】実施例4 単量体としてのMMA8部、2EHA88部、AN2部
及びAA2部を混合して単量体混合物としたものの80
部に成分(B)である「DCHP」(大阪有機化学工業
(株))を5重量%溶解した。この単量体等混合物85部
に重合用乳化剤としてのラウリル硫酸ナトリウム1部及
び脱イオン水50部を加え、攪拌により乳化させて単量
体混合物を調製した。攪拌機、コンデンサ、温度計、窒
素導入管を備えたフラスコに脱イオン水50部、ラウリ
ル硫酸ナトリウム1部、APS0.5部を仕込み、窒素
雰囲気下において反応器内を70℃に保ちながら上記単
量体乳化物を3時間かけて滴下した。滴下終了から更に
2時間同温度を維持した後、反応系を冷却して重合を終
了させ、固形分含量50%の水性重合体エマルジョンを
得た。上記エマルジョンを攪拌しながら、25%アンモ
ニア水を徐々に加えることにより、上記重合体の中和を
行ってpHを8とした。得られた水性重合体エマルジョ
ンに前述した合成法により製造された成分(A−1)を
172部配合して成分(A)、成分(B)及び成分
(C)を含有する水性重合体エマルジョンを調製した。
【0085】実施例5 上記の実施例3において、使用した成分(A−1)、成
分(B)及び成分(C)の種類及び使用量を下記表−3
に示す通りに変更し、上記の実施例3と同様の方法によ
り水性重合体エマルジョンを合成した。
【0086】実施例6 上記の製造方法1において、使用した成分(A−1)、
成分(B)及び成分(C)の種類及び使用量を下記表−
3示す通りに変更し、上記の製造方法2と同様の方法に
より水性重合体エマルジョンを合成した。
【0087】比較例1〜9 上記の製造方法1〜3において、使用した成分(A−
1)、成分(B)及び成分(C)の種類及び使用量を下
記表−4示す通りに変更し、上記の製造方法と同様の方
法により水性重合体エマルジョンを合成した。
【0088】<粘着剤組成物の評価>上記の実施例1〜
6及び比較例1〜9により得られた粘着剤組成物から形
成された粘着剤層または粘着シートにつき、下記(1)
〜(6)の測定または評価を行った。その結果を下記の
表−3及び表−4に示す。これらの表中において、「成
分(C)の種類」の略号は、それぞれ以下の意味を表
す。 E5830:エスコレッツE5380(商品名:トーネ
ックス(株)製);脂環族系石油樹脂 o−TP:o-ターフェニル(商品名:新日鐵化学(株)
製);水添ターフェニル DCHP:ジシクロヘキシルフタレート(大阪有機化学
工業(株)製) P−85:クリアロンP−85(商品名:ヤスハラケミ
カル(株)製);水添テルペン樹脂 DMP: ECR228F:(商品名:トーネックス(株)製);
【0089】(1)粘着シートの加熱前粘着力:厚さ5
0μmのポリエステルフィルムを基材として、そのコロ
ナ処理前に、50μmのアプリケーターを使用し、乾燥
後の塗膜の厚さが25μmとなる様に粘着剤組成物を塗
布し、50℃で5分間乾燥して粘着シートを作成した。
この粘着シートを幅25mmに裁断した試験片(以下、
「加熱処理前試験片」という。)について、JIS Z
0237に規定する180 ゜引き剥がし法に準じて
粘着力を測定した。すなわち、温度23℃、湿度65%
の条件下において。試験板である研磨したステンレス板
に上記試験片を貼り、2Kgのゴムローラーを一往復し
て圧着した。圧着から30分後に、300mm/min
の引張速度で、試験板に対する180 ゜引き剥がし粘
着力を測定した。測定結果は以下に記載の4段階で表−
3及び表−4に示した。
【0090】 ×:100g/25mm以上 △:10g/25mm以上、100g/25mm未満 ○:3g/25mmを超えて10g/25mm未満 ◎:3g/25mm以下
【0091】(2)粘着シートの加熱後粘着力:上記の
加熱処理前試験片に対して120℃で1分及び2分間、
140℃で1分及び2分間の加熱処理を行った後に温度
23℃湿度65%の雰囲気下に24時間放置した試験片
(以下、「加熱処理済試験片」という。)について、
圧着から30分後に上記と同一条件で180 ゜引き剥
がし粘着力を測定した。測定結果は以下に記載の4段階
で表−3及び表−4に示した。
【0092】 ×:500g/25mm以上 △:300g/25mm以上、500g/25mm未満 ○:100g/25mmを超えて300g/25mm未
満 ◎:100g/25mm以下
【0093】(3)粘着シートの低温粘着力 加熱処理前試験片に対して140℃で2分間加熱処理し
た加熱処理済試験片を圧着直後から−5℃雰囲気下に3
0日間、重ね合わさないようにして水平に静置する。こ
れをそのまま5℃雰囲気下で、同様に300mm/mi
n.の引張速度で、試験版に対する180°引き剥
がし粘着力を測定した。測定結果は上記に記載の4段階
で表−3及び表−4に示した。
【0094】(4)保持力:140℃で2分間加熱処理
した上記試験片を貼り付け部分の面積が25mm×25
mmとなるようにステンレス板に貼り付けた後、60℃
の雰囲気下でステンレス板を垂直に固定し、試験片に1
Kgの荷重を掛け、落下するまでの時間を測定した。測
定結果は以下に記載の4段階で表−3及び表−4に示
す。
【0095】 ◎:3600sec以上 ○:1800sec以上、3600sec未満 △:300sec以上、1800sec未満 ×:300sec以下
【0096】(5)塗膜透明性(常態) 加熱処理前試験片に対して140℃で2分間加熱処理し
た加熱処理済試験片を新聞紙の上におき塗膜下の活字の
見え方で評価し、その結果を下記に記載の4段階で表−
3及び表−4に示した。 ◎:非常に細かい活字も問題なく見える ○:活字の非常に細かい部分は識別できない △:活字の存在位置はわかるが文字として識別できない ×:活字の存在が識別できない
【0097】(6)塗膜透明性(低温) 加熱処理前試験片に対して140℃で2分間加熱処理し
た加熱処理済試験片を−5℃雰囲気下に30日静置した
ものを上記同様に新聞紙の上におき塗膜下の活字の見え
方で評価した。評価結果は上記(5)に記載の4段階で
表−3及び表−4に示した。
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【00100】
【発明の効果】本発明によれば、成分(B)として挙げ
られるような特定の融点又は軟化点を有する成分の使用
により、塗膜の透明性に優れると共に、常温においては
非粘着性で耐ブロッキング性に優れ、加熱後においては
温度に依存しないより優れた粘着力と保持力を有するバ
ランスのとれた粘着特性を有する感熱性粘着剤組成物を
得ることができる。また、本発明によれば、加熱前にお
いては実質的に非粘着性であり、加熱後においては優れ
た粘着力を発揮することができる感熱性粘着シートまた
はラベルが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 世古 敏也 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 Fターム(参考) 4J004 AA02 AA07 AA10 AB01 AB03 4J040 BA202 DF011 DF021 DG001 DG021 DN032 GA07 GA25 JA03 JB01 JB09 LA02 LA08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸価が30〜300mgKOH/gで且つ
    ガラス転移温度(Tg)が30℃以上の重合体(A)、
    示差走査熱量測定法による融点又は軟化点が30〜10
    0℃、凝固点が融点又は軟化点より10℃以上低い化合
    物(B)及びガラス転移温度(Tg)が−20℃以下の
    重合体(C)からなる水性エマルジョンであって、上記
    (A)、(B)及び(C)の各成分の重量比が次の式
    (1)及び(2)を満足することを特徴とする感熱性粘
    着剤組成物。 【数1】 (A)/(C)=15/85〜50/50・・・・・・・・(1) [(A)+(C)]/(B)=100/0.5〜100/20・・・(2)
  2. 【請求項2】成分(A)がカルボキシル基またはスルホ
    ン酸基を有するラジカル重合性単量体(a1)4〜50
    重量%と該単量体(a1)と共重合可能なラジカル重合
    性単量体(a2)96〜50重量%を界面活性剤存在下
    で乳化重合した後、塩基により中和して得られる共重合
    体であることを特徴とする請求項1記載の感熱性粘着剤
    組成物。
  3. 【請求項3】成分(B)が重合体(C)の合成に用いら
    れる単量体の何れかに溶解し、示差走査熱量測定法によ
    る融点又は軟化点が30〜100℃、凝固点が融点又は
    軟化点より10℃以上低く、且つ80℃以下である化合
    物からなることを特徴とする請求項1又は2記載の感熱
    性粘着剤組成物。
  4. 【請求項4】成分(C)がその合成に用いる単量体に成
    分(B)を溶解し、乳化重合することにより得られる重
    合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の感熱性粘着剤組成物。
  5. 【請求項5】成分(C)が、その合成に用いる単量体に
    成分(B)を溶解し、且つ成分(A)を高分子乳化剤と
    する乳化重合により得られる重合体であることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の感熱性粘着剤組成
    物。
  6. 【請求項6】成分(C)が、その合成に用いる単量体
    を、成分(A)及び成分(B)の存在下に乳化重合する
    ことにより得られる重合体であることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の感熱性粘着剤組成物
  7. 【請求項7】成分(A)、(B)及び(C)の合計重量
    100重量部に対し、軟化点が100℃より高く180
    ℃以下の粘着付与剤(D)を2〜30重量%配合してな
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の感
    熱性粘着剤組成物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の感熱性粘
    着剤組成物を主成分とする粘着剤層を形成して成ること
    を特徴とする感熱性粘着シート又はラベル。
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