JP4334643B2 - 再剥離性粘着剤組成物、その製造方法及び該再剥離性粘着剤組成物を用いた再剥離性粘着体 - Google Patents

再剥離性粘着剤組成物、その製造方法及び該再剥離性粘着剤組成物を用いた再剥離性粘着体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、再剥離性粘着剤組成物、その製造方法及び該再剥離性粘着剤組成物を用いた再剥離性粘着体に関し、更に詳しくは、粘着性に優れ、テープ、ラベル、シート、表面保護フィルム等に好適に使用でき、多様な環境下で貼着・剥離を繰り返しても被着体に対して十分な貼着性・剥離性を安定に示す再剥離性粘着剤組成物、その製造方法、及び、該再剥離性粘着剤組成物を用いたことにより、繰り返しの貼着性・剥離性に優れる再剥離粘着体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から粘着シートは、ラベル、シール、ステッカー、ワッペン等に加工されて、商業用、事務用、家庭用等、非常に広範囲にわたって使用されている。前記粘着シートは、通常、粘着剤層を有する基材と、該粘着剤層に剥離可能に粘着される剥離シートとを有してなる。
なお、前記基材には、紙、フィルム、金属箔等が用いられ、前記剥離シートには、グラシン紙等の高密度原紙、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート原紙等にシリコーン化合物や弗素化合物等の剥離剤を塗布したものが用いられ、前記粘着剤層には、ゴム系、アクリル系、ビニルエーテル系等のエマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型の各種粘着剤が用いられている。
【0003】
前記粘着シートは、前記粘着剤層に用いられる粘着剤によりその性質、用途等が異なってくることから、該粘着剤は、該粘着シートを特長づける重要な要素になっている。
【0004】
ところで、前記粘着剤の中でも、従来においては溶剤型粘着剤がよく使用されていたが、地球環境、労働環境の改善の観点から、最近では、環境への影響の少ない水性のエマルジョン型粘着剤が現在では多く使用されるに至っている。
この水性のエマルジョン型粘着剤としては、例えば、主に乳化重合法で製造された、炭素数8以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするエマルジョンが、汎用ラベル用途で利用されている。
【0005】
前記粘着シートには、商品等の被着体に永続的に貼着されたまま利用される永久粘着性のもの(永久粘着シート)と、商品等の被着体に貼着された後、所定の目的達成後に該被着体から剥離され破棄される再剥離粘着性のもの(再剥離粘着シート)とがあるが、前記水性のエマルジョン型粘着剤を用いたものは、前記再剥離粘着シートに主に分類される。
【0006】
前記再剥離粘着シートは、特に資源の有効利用の観点から、近年、前記粘着シートの中でも注目されてきている。例えば、段ボールの梱包に現在使用されている粘着シートは、剥がし難いため、段ボールの効率的なリサイクルを妨げる原因の一つとなっており、資源の有効利用の観点からも問題がある。
【0007】
しかしながら、従来の再剥離粘着シートに用いられている水性のエマルジョン型粘着剤には、再剥離性はある程度足りるものの接着性が不足して実用に耐えなかったり、使用初期には十分な接着性・再剥離性を具備していても、高温下に晒されると経時的に粘着力が増大して再剥離性が不良となる問題があった。具体的には、特開平10−183083号公報、特開平10−46118号公報、特開昭62−129374号公報等に記載された、水性のエマルジョン型粘着剤の場合、アルコキシシリル基含有単量体やラジカル重合性界面活性剤が使用されており、該粘着剤を使用した再剥離粘着シートは、長期間高温下に放置されると、剥がれ難くなるという問題があった。
【0008】
前記再剥離粘着シートは、近時、貼り替えの多い値札や工程管理用のラベル等として多用されてきている。この再剥離粘着シートには、最終的に剥離される際に被着体を汚染させないこと、換言すれば、粘着剤が商品である被着体に残存しない(糊残りのない)状態で容易に剥離できること、更には、被着体の材質に関係なく、使用初期のみならず繰り返し使用後においても糊残りのない状態で剥離でき再剥離性に優れることが、基本的性能として要求されるが、かかる基本的性能を十分に備えたものは未だ提供されていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、粘着性に優れ、テープ、ラベル、シート、表面保護フィルム等に好適に使用でき、多様な環境下で貼着・剥離を繰り返しても被着体に対して十分な貼着性・剥離性を安定に示す再剥離性粘着剤組成物とその製造方法、及び、該再剥離性粘着剤組成物を用いたことにより、繰り返しの貼着性・剥離性に優れる再剥離粘着体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1>表層部(シェル)及び内部(コア)が架橋された粘着性のアクリル系ポリマー粒子を含有し、かつ親水性架橋剤及び親油性架橋剤を併用して得られる合成樹脂エマルジョンを主剤とすることを特徴とする再剥離性粘着剤組成物である
<2>親水性架橋剤が、シリル基を有する単量体であり、親油性架橋剤が、ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する単量体である前記<>に記載の再剥離性粘着剤組成物である。
>親水性架橋剤が、ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する重合性界面活性剤であり、親油性架橋剤が、シリル基を有する単量体である前記<>に記載の再剥離性粘着剤組成物である。
<4>表層部(シェル)及び内部(コア)が架橋された粘着性のアクリル系ポリマー粒子を含有する合成樹脂エマルジョンを主剤とする再剥離性粘着剤組成物の製造方法であって、親水性架橋剤及び親油性架橋剤を併用した乳化重合により合成樹脂エマルジョンを得ることを特徴とする再剥離性粘着剤組成物の製造方法である。
<5>前記<1>から<>のいずれかに記載の再剥離性粘着剤組成物を基材上に有することを特徴とする再剥離性粘着体である。
【0011】
前記<1>に記載の再剥離性粘着剤組成物においては、表層部(シェル)及び内部(コア)が架橋された粘着性のアクリル系ポリマー粒子を含有し、かつ親水性架橋剤及び親油性架橋剤を併用して得られる合成樹脂エマルジョンを主剤とするので、長期高温条件下に晒されても再剥離性が低下しない。即ち、該アクリル系ポリマー粒子は、熱によって運動し易い状態になるが、内部も表層部も架橋されているので、熱運動が効果的に抑制される。該アクリル系ポリマー粒子が架橋されていない場合、長期高温条件下では、前記熱運動が抑制されず、該粒子が、流動化し被着体との濡れ性が向上し、被着体の表面の凹部にまで入り込みアンカー効果を発揮するため、粘着性が増し、剥離性が低下してしまう。ところが、前記アクリル系ポリマー粒子の場合、その内部が架橋されており、更に表層部も粘着性に悪影響のない範囲で架橋されているので、粒子全体の熱運動が効果的に抑制されるため、長期高温条件下でも剥離性は低下しない。
また、合成樹脂エマルジョンが、親水性架橋剤及び親油性架橋剤を併用して得られるので、アクリル系ポリマー粒子の内部及び表層部が架橋される。該アクリル系ポリマー粒子の重合中、前記親水性架橋剤は、粒子表層近傍に存在し易く、逆に前記親油性架橋剤は、粒子内部に存在し易く、両者の作用により、粒子の内部及び表層部がそれぞれ架橋されたアクリル系ポリマー粒子が得られる。その結果、該粒子全体の熱運動が効果的に抑制されるため、長期高温条件下でも剥離性は低下しない。
【0012】
前記<2>に記載の再剥離性粘着剤組成物においては、親水性架橋剤が、シリル基を有する単量体であり、親油性架橋剤が、ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する単量体であるので、粒子の内部及び表層部の架橋がより強力であり、得られるアクリル系ポリマー粒子全体の熱運動がより効果的に抑制されるため、長期高温条件下でも剥離性は低下しない。
【0013】
前記<3>に記載の再剥離性粘着剤組成物においては、親水性架橋剤が、ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する重合性界面活性剤であり、親油性架橋剤が、シリル基を有する単量体であるので、粒子の内部及び表層部の架橋がより強力であり、得られるアクリル系ポリマー粒子全体の熱運動がより効果的に抑制されるため、長期高温条件下でも剥離性は低下しない。しかも、乳化剤が、ラジカル重合によりポリマーと結合しているため、再剥離時の被着体の汚染や糊残り等が効果的に抑制される。
【0014】
前記<4>に記載の再剥離性粘着剤組成物の製造方法においては、親水性架橋剤及び親油性架橋剤を併用した乳化重合により合成樹脂エマルジョンを得るので、アクリル系ポリマー粒子の内部(コア)を該親油性架橋剤が架橋し、表層部(シェル)を該親水性架橋剤が架橋し、内部と表層部とがそれぞれ架橋されたアクリル系ポリマー粒子が得られる。即ち、粒子の内部及び表層部の架橋がより強力であり、得られるアクリル系ポリマー粒子全体の熱運動がより効果的に抑制されるため、長期高温条件下でも剥離性は低下しない
【0015】
前記<5>に記載の再剥離性粘着体は、前記<1>から<>のいずれかに記載の再剥離性粘着剤組成物を基材上に有するので、長期高温条件下でも剥離性は低下せず、繰り返しの貼着性、再剥離性に優れる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の再剥離性粘着剤組成物は、表層部(シェル)及び内部(コア)が架橋された実質的に粘着性のアクリル系ポリマー粒子を含有し、かつ親水性架橋剤及び親油性架橋剤を併用して得られる合成樹脂エマルジョンを主剤とし、必要に応じて選択したその他の成分を含有する。また、本発明の再剥離性粘着体は、前記本発明の再剥離性粘着剤組成物を基材上に有する。以下、本発明の再剥離性粘着剤組成物及び再剥離性粘着体について説明する。
【0017】
(合成樹脂エマルジョン)
前記合成樹脂エマルジョンは、粘着性のアクリル系ポリマー粒子を含有する。前記合成樹脂エマルジョンは、単量体組成物を、重合性界面活性剤を乳化剤として用いて乳化重合することにより得られる。
【0018】
−単量体組成物−
前記単量体組成物は、架橋性単量体、主モノマー、その他の成分などを含有する。
【0019】
−−架橋性単量体−−
前記架橋性単量体としては、公知の中から適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する単量体、シリル基を有する単量体、などが好適に挙げられる。
【0020】
前記ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する単量体としては、例えば、ジビニル化合物、ジ(メタ)アクリレート化合物、トリ(メタ)アクリレート化合物、テトラ(メタ)アクリレート化合物、ジアリル化合物、トリアリル化合物、テトラアリル化合物などが挙げられる。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリットトリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルジシアヌレート、テトラアリルオキシエタンなどが挙げられる。
これらの中でも、共重合のし易さ、重合安定性、均一な架橋の点で、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが好ましい。
【0021】
前記シリル基を有する単量体としては、例えば、オルガノアルコキシシリル基含有モノマーなどが好適に挙げられ、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルジメトキシシラン等のエポキシアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトアルコキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、などが挙げられる。
【0022】
これらの架橋性単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、、これらの架橋性単量体の中でも、前記ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する単量体の各種、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトアルコキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、などを親油性架橋剤として用いることができる。該親油性架橋剤を用いると、アクリル系ポリマー粒子の内部を架橋させることができる点で好ましい。
また、これらの架橋性単量体の中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシエトキシシランなどを親水架橋剤として用いることができる。これらは、アクリル系ポリマー粒子の表層部を架橋させることができる点で好ましい。
【0023】
前記架橋性単量体の使用量としては、全単量体に対し0.01〜5重量%が好ましい。
前記使用量が、0.01重量部未満であると、高温下での粘着力の経時変化が大きくなり、再剥離性が損なわれることがあり、5重量%を超えると、粘着性が低下し(特に初期粘着力が低下し)良好な再剥離性粘着体が得られないことがある。
【0024】
−−主モノマー−−
前記主モノマーは、前記粘着性のアクリル系ポリマー粒子の骨格を形成するモノマー成分であり、具体的には、炭素数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが好適に挙げられ、具体的には、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−,t−,iso−の各ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、本発明の効果を害しない範囲内で目的に応じて適宜選択することができ、例えば、共重合可能な単量体、重合開始剤、水性媒体、反応緩衝剤、連鎖移動剤、増粘剤、濡れ剤、防腐剤、粘着付与剤、消泡剤、着色剤、顔料など、通常エマルジョンを合成する際に使用されるもの、また、粘着剤組成物を製造する際に使用されるものであれば、特に制限はなく使用することができる。
【0026】
前記共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、分枝カルボン酸のビニルエステル等のビニルエステル類、ビニルホスフェート、アクリロニトリル、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタアクリレート、2−ヒドロキシアルキルアクリレート、アクリル酸アルコキシエチル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、得られるアクリル系ポリマー粒子が、粘着性を示すためには、換言すればガラス転移点温度(Tg)が−20℃〜−60℃になるようにするには、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートを組み合わせるのが好ましく、これらに加えて、合成樹脂エマルジョン中のアクリル系ポリマー粒子の分散安定性の点で、メタクリル酸、アクリル酸を使用するのが好ましい。メタクリル酸、アクリル酸の使用量としては、全単量体に対し0.2〜10重量%が好ましい。前記メタクリル酸、アクリル酸の使用量が、0.2重量部未満であると、高温下での粘着力の経時変化が大きくなり、再剥離性が損なわれることがあり、10重量%を超えると、粘着性が低下し(特に初期粘着力が低下し)良好な再剥離性粘着体が得られないことがある。
【0027】
前記重合開始剤としては、通常の乳化重合に使用できるものであれば特に制限なく使用でき、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、及びこれらと還元剤とを組み合わせたレドックス系重合開始剤等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリマーの重合度を上昇させ、粘着力の経時変化を抑えることができる点で、レッドックス系重合開始剤が好ましい。
【0028】
前記水性媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水とアルコールなどの水溶性溶剤混合液などが挙げられる。
【0029】
前記反応緩衝剤としては、例えば、酢酸ソーダ、酢酸アンモニウム、第二リン酸ソーダなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、アセトフェノン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等の炭素数2〜8のカルボン酸類、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル(TGO)、チオグリセロール等のメルカプタン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、澱粉誘導体、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリカルボン酸樹脂、アルカリ増粘性アクリル樹脂エマルジョンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記濡れ剤としては、例えば、表面張力低下能を有するアルコール等の有機溶剤、表面張力低下能を有する界面活性剤、などが挙げられるが、臭気及び安全性の点で、前記表面張力低下能を有する界面活性剤が好ましい。
前記表面張力低下能を有する界面活性剤としては、例えば、アニオン性フッ素系界面活性剤(例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等)、カチオン性フッ素系界面活性剤(例えば、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等)両性フッ素系界面活性剤(例えば、パーフルオロアルキルベタイン等)、ノニオン性フッ素系界面活性剤(例えば、パーフルオロアルキルアミンオキシド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物等)、アルキルスルホコハク酸塩(例えば、ジオクチルスルホコハク酸塩等)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル(例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等)、アルキルアリルスルホン酸塩及びその縮合物、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、アニオン性フッ素系界面活性剤、ノニオン性フッ素系界面活性剤が好ましい。
【0033】
−乳化剤−
前記乳化剤としては、通常の乳化重合において使用することができるものであれば特に制限はなく、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性保護コロイド、アニオン性保護コロイド、カチオン性保護コロイドなどが挙げられる。これらの乳化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
これらの乳化剤の中でも、前記アニオン性界面活性剤及び前記ノニオン性界面活性剤の少なくとも1種を使用するのが、前記主モノマーである(メタ) アクリル酸アルキルエステルを乳化重合するに好適である。
【0035】
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸ソーダ等のアルキル又はアルキルアリルスルホン酸塩、アルキル又はアルキルアリル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、などが挙げられる。
【0036】
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル型、ポリオキシエチレングリコール又はポリオキシプロピレングリコール型、などが挙げられる。
【0037】
また、ラジカル重合性不飽和結合を有する重合性界面活性剤も好適に使用でき、これらの具体例としては、以下に示す化合物(1)〜(5)が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
化合物(1)
【化1】
Figure 0004334643
【0039】
化合物(2)
【化2】
Figure 0004334643
【0040】
化合物(3)
【化3】
Figure 0004334643
【0041】
化合物(4)
【化4】
Figure 0004334643
【0042】
化合物(5)
【化5】
Figure 0004334643
【0043】
前記ラジカル重合性不飽和結合を有する重合性界面活性剤の中でも、ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する重合性界面活性剤は、本発明においては架橋剤、特に親水性架橋剤として好適に用いることができ、これを用いると、被着体を汚染させず、糊残りを少なくすることができる点で好ましく、該ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する重合性界面活性剤を前記乳化剤の一部に使用すると、該ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する重合性界面活性剤が親水性架橋剤と同様の作用を示し、アクリル系ポリマー粒子の表層部を架橋させることができ、再剥離性粘着剤組成物の接着力の経時変化を効果的に抑えることができ、再剥離性が良好にすることができる点で好ましい。
【0044】
前記乳化剤の使用量としては、前記主モノマーに対して、0.5〜5.0重量%が好ましい。
前記使用量が、0.5重量%未満であると、前記乳化重合中に凝集物が発生することがあり、重合安定性が不良となることがあり、5.0重量%を超えると、前記再剥離性粘着剤組成物を用いた再剥離性粘着体の剥離の際に、糊が被着体に残ってしまうことがある。
【0045】
−乳化重合−
前記乳化重合の手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができるが、例えば、重合缶に、前記乳化剤、水、前記架橋性単量体及び主モノマーを仕込み、昇温して、適宜、前記重合開始剤等を加えて重合を進行させるバッチ重合方式や、重合缶に、前記乳化剤、水、及び前記架橋性単量体を仕込み、昇温して、前記主モノマーを滴下するモノマー滴下法、あるいは、前記モノマー滴下法において、滴下する前記主モノマーを予め前記乳化剤と水とで乳化させた後、滴下する乳化モノマー滴下法などが挙げられる。これらの中でも、重合安定性の面で、乳化モノマー組成物を滴下する方法が好ましい。本発明においては、前記乳化重合の際に、前記親油性架橋剤と、前記親水性架橋剤とを、併用する。この場合、アクリル系ポリマー粒子の内部(コア)を該親油性架橋剤が架橋し、アクリル系ポリマー粒子の表層部(シェル)を該親水性架橋剤が架橋し、内部と表層部とがそれぞれ架橋されたアクリル系ポリマー粒子が得られる点で好ましい。前記乳化重合の際、前記親油性架橋剤及び前記親水性架橋剤の使用量としては、全単量体に対し0.01〜3重量%であることが好ましい。前記使用量が、0.01重量%未満であると糊残り等することがあり、3重量%を超えると粘着性や投錨性が低下することがある。この乳化重合により、前記合成樹脂エマルジョンが得られる。
【0046】
−粘着性のアクリル系ポリマー粒子−
こうして得られた合成樹脂エマルジョン中には、実質的に粘着性のアクリル系ポリマー粒子が含まれている。ここでいう「実質的に粘着性」とは、アクリル系ポリマー粒子を含有する合成樹脂エマルジョンを、塗布し乾燥した後、その層が常温下で指触タックにより粘着性を示すことを意味し、該粘着性を示す目安としては、ポリマーのFox式による計算上のガラス転移点(Tg)が、−20℃〜−60℃であることが好ましい。
前記ガラス転移点温度(Tg)が、−20℃より高いと、粘着力が不足することがあり、−60℃より低いと、粘着力の経時変化が増大することがある。
【0047】
前記アクリル系ポリマー粒子においては、表層部(シェル)及び内部(コア)は架橋構造を有している。
該架橋構造の有無を検証するには、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、前記合成樹脂エマルジョンのフィルムを作成して、該フィルムにトルエンを付与し、未架橋のポリマー分を抽出し、抽出できない残分の比率(%)、つまりトルエン不溶分率(%)を算出することによって行うことができ、フィルムの溶解浸漬時の状態と、トルエン不溶分率(%)とにより、表層部(シェル)及び内部(コア)の架橋構造を検証することができる。
【0048】
前記トルエン不溶分率が、10%未満で全体が膨潤状態あると、表層部(シェル)のみが架橋している状態にあり、90%未満で部分的に膨潤状態あると、内部(コア)のみが架橋している状態にあり、90〜100%の場合は、フィルムがほとんど溶解・膨潤せず、表層部(シェル)も内部(コア)も架橋している状態にあると推定される。
【0049】
本発明の再剥離性粘着剤組成物は、前記合成樹脂エマルジョンを主剤とするが、該合成樹脂エマルジョンの再剥離性粘着剤組成物中の含有量としては、70〜100重量%が好ましく、90〜100重量%がより好ましい。
本発明の再剥離性粘着剤組成物は、本発明の効果を害しない範囲内で、必要に応じて選択したその他の成分を含有していてもよく、該その他の成分としては、前記単量体組成物中に含まれるその他の成分と同様のものが挙げられる。
【0050】
本発明の再剥離性粘着剤組成物は、目的に応じて適宜選択した基材上に、公知の手法、条件に従って塗布し、乾燥することにより、所望の粘着剤層を形成することができる。本発明の再剥離性粘着剤組成物による粘着剤層は、粘着性に優れ、多様な環境下で貼着・剥離を繰り返しても被着体に対して十分な貼着性・剥離性を安定に示すことができ、被着体に貼着後長期間高温下に放置されても、容易に剥離でき、一度剥離しても再度貼着可能である。
【0051】
前記本発明の再剥離性粘着体は、前記再剥離性粘着剤組成物を基材上に有してなる。該基材としては、その大きさ、形状、構造、材質等について、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記基材の材質を、紙、プラスチックフィルム等とすることにより、該再剥離性粘着体を、各種のテープ、ラベル、シート、表面保護フィルム等とすることができる。該再剥離性粘着体は、繰り返しの貼着性・剥離性に優れる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0053】
(実施例1)
−乳化モノマー組成物の調製−
ステンレス製の反応器に下記成分を配合して、ミキサーで攪拌しながら乳化させた。
Figure 0004334643
【0054】
−乳化重合−
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素導入管を備えたフラスコに、水27重量部、リン酸水素2ナトリウム1.0重量部を仕込み、窒素雰囲気下で55℃に昇温した後、予め調製した乳化モノマー組成物の5%及び10%過硫酸アンモニウム溶液1.0重量部、5%酸性亜硫酸ナトリウム水溶液1重量部を加え40分間、初期重合を行った。
続いて、残りの乳化モノマー組成物及び10%過硫酸アンモニウム水溶液2重量部、5%酸性亜硫酸ナトリウム水溶液4部を連続滴下した。滴下終了後、同温度でさらに1.5時間反応を継続し、重合を完結させた。その後、10%アンモニア水2.5重量部を加えて中和し、合成樹脂エマルジョンを得た。
【0055】
−再剥離性粘着剤組成物の製造−
得られた合成樹脂エマルジョンに、消泡剤、濡れ剤、防腐剤を添加し、不揮発分55%になるように加水調節し、増粘剤にて粘度が4000〜6000(BL型粘度計,12rpmになるように調整して、再剥離性粘着剤組成物を得た。
【0056】
(実施例2〜5)
実施例1において、乳化モノマー組成物を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にした。
【0057】
(比較例1〜2)
実施例1において、乳化モノマー組成物を表2のように変更した以外は、実施例1と同様にした。
【0058】
《評価》
得られた再剥離性粘着剤組成物について、以下の評価を行い、その結果を表3及び表4に示した。
【0059】
<架橋性の検証>
得られた再剥離性粘着剤組成物を、乾燥させフィルム化してその重量を測定し、これを室温で24時間トルエン抽出して残存フィルムの状態及び重量を測定する。これを、下記式によりトルエン不溶分率(%)を算出して、下記基準にて評価した。
トルエン不溶分率<10%・・・・・・・・・・・ ×:架橋不良
10%≦トルエン不溶分率<90% ・・・・・・ △:架橋性不充分
90%≦トルエン不溶分率<100%・・・・・・ ○:架橋性良好
【0060】
【数1】
Figure 0004334643
【0061】
<接着力及び再剥離性>
得られた再剥離性粘着剤組成物を、紙製の基材にバーコーターにて、20g/m2 (ドライ) に塗工して、100℃で1分間乾燥させ再剥離性粘着体(再剥離性粘着シート)を作製した。
これを、ダンボールに貼着して、2kgf/m2 で圧着した。この再剥離性粘着シートを貼着した後、室温下で24時間後、及び、50℃×24時間後に、剥離してその接着力をオートグラフ(島津製作所(株)製、PCS−2000)を用いて測定した。
ここで、経時後の接着力の上昇が2.0N/25mm未満のものを、熱エージング後の再剥離性が良好であるとして、再剥離性について評価した。
【0062】
【表1】
Figure 0004334643
【0063】
【表2】
Figure 0004334643
【0064】
なお、表1及び2において、メタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、水及び乳化剤の成分表示は省略した。
また、表1及び表2において、「BA」は、ブチルアクリレートを意味し、「2EHA」は、2−エチルヘキシルアクリレートを意味し、「架橋剤a」は、ビニルトリエトキシシラン(親水性)を意味し、「架橋剤b」は、ビニルメトキシエトキシシラン(親水性)を意味し、「架橋剤c」は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(親油性)を意味し、「架橋剤d」は、ジビニルベンゼン(親油性)を意味し、「架橋剤e」は、トリアリルイソシアヌレート(親油性)を意味し、「架橋剤f」は、エチレングリコールジメタクリレート(親油性)を意味する。
【0065】
【表3】
Figure 0004334643
【0066】
【表4】
Figure 0004334643
【0067】
表3及び表4の結果からも明らかなように、本発明の再剥離性粘着剤組成物及びそれを用いた再剥離性粘着体の場合、トルエン不溶分率がいずれも100%であり、架橋性に富み、アクリル系ポリマー粒子の内部及び表層部が架橋されていることがわかった。そして、この粒子を含むことにより、初期の粘着力(接着力)が良好であり、更に異なる環境下での経時後であっても、粘着力が増して剥離が困難になることもなく、剥離性に優れ、繰り返しの貼着性・剥離性に富むものであった。
一方、比較例の場合には、アクリル系ポリマー粒子の架橋性が十分でなく、再剥離性粘着剤組成物の剥離性に劣り、異なる環境下での経時後に粘着力が大幅に上昇したため、繰り返しの貼着性・粘着性に劣っていた。
【0068】
【発明の効果】
本発明によると、前記従来における諸問題を解決することができる。また、本発明によると、粘着性に優れ、テープ、ラベル、シート、表面保護フィルム等に好適に使用でき、多様な環境下で貼着・剥離を繰り返しても被着体に対して十分な貼着性・剥離性を安定に示す再剥離性粘着剤組成物とその製造方法、及び、該再剥離性粘着剤組成物を用いたことにより、繰り返しの貼着性・剥離性に優れる再剥離粘着体を提供することができる。

Claims (5)

  1. 表層部(シェル)及び内部(コア)が架橋された粘着性のアクリル系ポリマー粒子を含有し、かつ親水性架橋剤及び親油性架橋剤を併用して得られる合成樹脂エマルジョンを主剤とすることを特徴とする再剥離性粘着剤組成物。
  2. 親水性架橋剤が、シリル基を有する単量体であり、親油性架橋剤が、ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する単量体である請求項に記載の再剥離性粘着剤組成物。
  3. 親水性架橋剤が、ラジカル重合性不飽和結合を2以上有する重合性界面活性剤であり、親油性架橋剤が、シリル基を有する単量体である請求項に記載の再剥離性粘着剤組成物。
  4. 表層部(シェル)及び内部(コア)が架橋された粘着性のアクリル系ポリマー粒子を含有する合成樹脂エマルジョンを主剤とする再剥離性粘着剤組成物の製造方法であって、親水性架橋剤及び親油性架橋剤を併用した乳化重合により合成樹脂エマルジョンを得ることを特徴とする再剥離性粘着剤組成物の製造方法。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の再剥離性粘着剤組成物を基材上に有することを特徴とする再剥離性粘着体。
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