JP2002221254A - 内燃機関を備えたパワーユニット - Google Patents

内燃機関を備えたパワーユニット

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JP2002221254A
JP2002221254A JP2001016762A JP2001016762A JP2002221254A JP 2002221254 A JP2002221254 A JP 2002221254A JP 2001016762 A JP2001016762 A JP 2001016762A JP 2001016762 A JP2001016762 A JP 2001016762A JP 2002221254 A JP2002221254 A JP 2002221254A
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mass
power unit
housing
independent
combustion engine
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JP2001016762A
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Inventor
Rentaro Kato
錬太郎 加藤
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造で、複数の乃至は広い周波数域の
振動に対して有効な制振効果を発揮し得る防振機構を有
する、内燃機関を備えたパワーユニットを提供すること
を目的とする。 【解決手段】 ユニットブロック20に対してマス収容
空間(34)を有するマスハウジング32を固設し、か
かるマスハウジング32の位置が、水平面への投影でパ
ワーユニット重心よりもユニットブロック20の外方端
部に近くなるように設定すると共に、パワーユニット質
量の1〜5%を有する独立マス部材(36)を、マス収
容空間(34)に収容配置して、マスハウジング32に
対して非接着で相対変位可能とし、独立マス部材(3
6)のマスハウジング32に対する打ち当たりに基づい
て、制振効果が発揮されるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、自動車やオートバイ,発電機,
空調用室外機などに採用される、内燃機関を備えたパワ
ーユニットに係り、特に、複数の乃至は広い周波数域に
亘る振動に対して、簡単な構造で優れた制振効果を発揮
し得る防振機構を備えた、新規な構造の内燃機関を備え
たパワーユニットに関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、自動車等のパワーユニットにお
いては、機械エネルギを容易に継続して得ることが出来
ることから、ガソリンエンジン等の内燃機関が動力源と
して広く採用されており、一般に、内燃機関を構成する
シリンダブロックやシリンダヘッド等に対して必要に応
じてギヤボックス等が固定的に連結されることによって
構成された一つのユニットブロックを含んで、パワーユ
ニットが構成されている。
【0003】ところで、内燃機関は、圧縮と膨張を繰り
返す熱力学サイクルに基づいてエネルギ変換を継続的に
実現するものであることから、ユニットブロックにおけ
る衝撃的な振動の発生が避けられず、かかる振動が、パ
ワーユニットの作業性や操作性,環境,耐久性等に関し
て問題となる場合がある。
【0004】そこで、パワーユニットにおいては、その
ような振動の問題に対処するために、周知の通り、シリ
ンダブロックやシリンダヘッド等を含むユニットブロッ
クを、複数の防振マウントを介して、所定の支持架台に
防振支持せしめた構造が、採用されている。
【0005】しかしながら、このように防振マウントに
よってユニットブロックを支持せしめて、パワーユニッ
トから支持架台への振動伝達率を下げるだけでは、要求
される防振特性を達成することが難しい場合があった。
特に、内燃機関は、各種条件に応じて回転数を変化させ
て運転することがあり、回転数の変化に伴って振動周波
数等が変化することから、従来構造の防振マウントにお
いて、例えば、低周波数域の振動に対して有効な防振効
果を得るように設定した場合には、高周波数域の振動に
対して十分な防振効果を得ることが難しくなるという問
題があった。
【0006】なお、このような問題を解決するために、
例えば、ユニットブロックに対して金属マスをゴム弾性
体によって弾性支持せしめて副振動系を構成し、かかる
副振動系における共振作用を利用して防振効果を得るよ
うにしたダイナミックダンパを装着することも考えられ
る。
【0007】ところが、かかるダイナミックダンパにお
いては、副振動系に予めチューニングされた特定の振動
周波数域でしか有効な制振効果が発揮され得ないことか
ら、上述の如く防振すべき振動周波数が複数乃至は広い
周波数域に亘っている場合には、有効な制振効果を得る
ことが難しいという問題がある。また、副振動系の共振
作用を利用して防振効果を得るものであることから、マ
ス質量を大きくしなければ十分な制振効果を得ることが
難しく、パワーユニットの数十パーセントものマス質量
が必要となるため現実的ではない。しかも、パワーユニ
ットの内燃機関における発熱によって副振動系を構成す
るゴム弾性体のばね特性が変動し易く、それに伴って、
副振動系の固有振動数が変化してしまうおそれがあると
共に、目的とする制振効果を安定して得難い等の問題が
あり、決して有効な方策ではなかったのである。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、簡単な構造で、複数の乃至は広い周波数域
の振動に対して有効な制振効果を発揮し得る防振機構を
備えた、新規な構造の内燃機関を備えたパワーユニット
を提供することにある。
【0009】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
【0010】すなわち、本発明は、内燃機関を構成する
シリンダブロックやシリンダヘッド等に対して必要に応
じてギヤボックス等が固定的に連結されることによって
構成されて、複数の防振マウントを介して所定の支持架
台に防振支持せしめられる一つのユニットブロックを備
えたパワーユニットにおいて、前記ユニットブロックに
対してマス収容空間を有する剛性のマスハウジングを固
設して、該マスハウジングの位置が、水平面への投影で
パワーユニット重心よりも該ユニットブロックの外方端
部に近くなるようにすると共に、パワーユニット質量の
1〜5%の総質量を備えた独立マス部材を該マス収容空
間に収容配置せしめて該マスハウジングに対して非接着
で相対変位可能とし、該独立マス部材が該マスハウジン
グに対して少なくとも一つの防振すべき振動入力方向で
直接的且つ弾性的に当接せしめられるようにしたことを
特徴とする。
【0011】このような本発明に従う構造とされたパワ
ーユニットにおいては、振動が入力された際に、独立マ
ス部材が、ユニットブロックに固設されたマスハウジン
グに対して直接的且つ弾性的に繰り返して当接せしめら
れる。その結果、独立マス部材のマスハウジングへの打
ち当たり(当接)に基づいて、ユニットブロックに対し
て有効な制振効果が発揮されることとなって、広い周波
数域乃至は複数の周波数域に亘ってユニットブロックの
振動を抑えることが出来るのであり、それによって、支
持架台に伝達される振動も低減され得る。
【0012】また、本発明において、マスハウジング
は、パワーユニット重心よりもユニットブロック外方端
部に近い位置に固設されていることから、マスハウジン
グに対して大きな振動が効率的に及ぼされ得るのであ
り、それによって、独立マス部材が効率的にマスハウジ
ングに対して相対変位せしめられることとなって、独立
マス部材のマスハウジングに対する打ち当たり(当接)
に基づく制振効果がより効率的に発揮され得るのであ
る。
【0013】なお、本発明におけるユニットブロック
は、一般に、aシリンダブロック,シリンダヘッド,ク
ランクケースを含んで構成されるエンジンブロックと、
b内燃機関における回転軸を適当な回転数とトルクに調
節して出力せしめる出力軸を備えたギヤボックスとを、
含んで構成される。具体的には、例えば、自動車におい
て、ユニットブロックは、エンジンハウジングとトラン
スミッションハウジングによって構成されており、更に
必要に応じてクラッチハウジングやファイナルギヤハウ
ジングを含んで構成される。また、ユニットブロックを
構成する各部材は、ボルト等によって一体的に連結固定
されて相互に剛結されている。
【0014】また、本発明における所定の支持架台とし
ては、例えば、自動車においては、ボデーやフレームに
よって構成される。更に、内燃機関としては、熱力学サ
イクルに基づいて動力を得ることの出来る各種の内燃機
関が採用され、例えば、従来から公知のレシプロ式の2
サイクルや4サイクルのガソリン機関,ディーゼル機
関,ロータリ式のガソリン機関等が採用され得る。ま
た、本発明は、例えば、自動車用エンジンの他、オート
バイ用エンジン,発電機,空調用室外機等のパワーユニ
ットに対して、何れも、適用可能である。
【0015】また、マスハウジングは、ユニットブロッ
クに一体的に形成したり、或いは、別部材を用いて別体
形成し、かかる別体形成品をユニットブロックに固定す
ることも可能である。更に、パワーユニット重心とは、
ユニットブロックを含んで構成されて一つの振動体と考
えられるパワーユニットの所定部分の重心を言うものと
し、また、パワーユニット質量とは、ユニットブロック
を含んで構成されて一つの振動体と考えられるパワーユ
ニットの所定部分の質量のことを言うものとする。
【0016】また、本発明において、独立マス部材の総
質量は、パワーユニット質量の1〜5%、より好ましく
は1〜3%となるように設定されることが望ましい。蓋
し、かかる独立マス部材の総質量が、パワーユニット質
量の1%より小さいと有効な制振効果を得ることが難し
い場合があり、一方、5%を越えると独立マス部材を配
したことに起因するパワーユニットの質量増加が問題と
なり易いからである。なお、パワーユニットが複数の独
立マス部材を有している場合には、それら複数の独立マ
ス部材の総計の質量をいう。
【0017】また、本発明において、独立マス部材とマ
スハウジングを相互に弾性的に連結せしめる部材は存在
していない。即ち、独立マス部材の全外表面がマスハウ
ジングにおけるマス収容空間の内表面に対して完全に独
立せしめられており、独立マス部材をマス収容空間の略
中央に位置せしめた状態下では、独立マス部材の外表面
がマス収容空間の内表面に対して所定の隙間を隔てて離
隔位置せしめられるようになっているのであり、それに
よって、独立マス部材がマスハウジングに対して非接着
で相対変位可能とされているのである。
【0018】また、本発明において、マスハウジング
は、例えば、鉄,アルミニウム合金等の金属材や合成樹
脂材等で形成することが可能であり、特に、独立マス部
材を支持するための剛性と制振効果を有利に確保するた
めには、少なくとも独立マス部材の当接せしめられる部
分において、弾性率が5×104 MPa以上の剛性材が
好適に採用される。
【0019】また、本発明において、独立マス部材は、
その全体をゴム弾性体や合成樹脂材、或いはそれらの発
泡材で形成したり、補強的に金属等の剛性材を固着する
ことも可能であるが、その他、独立マス部材を金属や石
等の高比重の剛性材で形成することも可能であり、独立
マス部材を剛性材で形成する場合には、独立マス部材の
当接面とマスハウジングの当接面の少なくとも一方が、
ゴム弾性体や合成樹脂材等の弾性材によって形成される
ことが望ましい。
【0020】また、本発明においては、前記マスハウジ
ングの位置を、水平面への投影でパワーユニット慣性主
軸上に設定することが望ましく、それによって、特に、
パワーユニットにおける高周波数域の振動や、多気筒の
内燃機関を備えたパワーユニットの振動に対しても、有
効な制振効果を容易に得ることが出来るのである。
【0021】また、本発明においては、前記マスハウジ
ングの位置を、水平面への投影でパワーユーニット慣性
主軸を挟んだ両側において略対称位置するように設定す
ることが望ましく、それによって、特に、パワーユニッ
トにおける低〜中周波数域の振動に対しても、有効な制
振効果を容易に得ることの出来るのである。
【0022】また、本発明においては、前記マスハウジ
ングの前記ユニットブロックに対する固設位置を、前記
パワーユニット重心よりも前記ユニットブロックにおけ
る前記防振マウントの取付位置に近くなるように設定す
ることが望ましい。即ち、一般に、防振マウントは、パ
ワーユニットを安定支持するために、パワーユニット重
心から離隔したユニットブロック外周縁部に取付位置が
設定されることから、そのような振動が大きくなる防振
マウントの取付位置付近にマスハウジングを装着するこ
とによって、ユニットブロックの振動がマスハウジング
に効率的に及ぼされる。その結果、独立マス部材がマス
ハウジングに対して効率的に相対変位せしめられること
となり、独立マス部材のマスハウジングに対する打ち当
たり(当接)に基づく制振効果がより有効に発揮され得
る。
【0023】また、本発明においては、前記独立マス部
材を球状の外周面形状とする一方、該独立マス部材を前
記マスハウジングに対して、鉛直方向両側で直接的且つ
弾性的に当接せしめられるようにすると共に、水平方向
においてパワーユニット慣性主軸が延びる方向と、該パ
ワーユニット慣性主軸に直交する方向で、それぞれ直接
的且つ弾性的に当接せしめられるようにすることが望ま
しい。それによって、パワーユニットにおける複数の振
動に対して、複合的な振動を含めて、効率的な制振効果
を得ることが出来るのである。
【0024】また、上述の如き球状外周面形状を有する
独立マス部材を採用することにより、独立マス部材がマ
スハウジングに対して相対変位する際に、独立マス部材
のマスハウジングに対する摺接面積が小さくされて、引
掛り的な変位抵抗も低減されることから、振動入力時に
独立マス部材が効率的にマスハウジングに対して相対変
位することとなって、独立マス部材のマスハウジングに
対する打ち当たり(当接)に基づく制振効果がより効率
的に発揮され得るのである。
【0025】また、球状の外周面形状を有する独立マス
部材を採用することにより、独立マス部材のマスハウジ
ング内での方向性等がなくなることから、独立マス部材
のマスハウジングに対する当接状態が安定化され得るの
であり、その結果、独立マス部材のマスハウジングに対
する打ち当たり(当接)に基づいて発揮される制振効果
の安定化が図られ得る。
【0026】また、本発明において、独立マス部材とマ
スハウジングの少なくとも一方の当接面は、当接音の軽
減と制振効果を有利に得るために、ASTM規格D22
40のショアD硬さが、好ましくは80以下、より好ま
しくは20〜40に設定される。
【0027】また、本発明において、独立マス部材とマ
スハウジングの少なくとも一方の当接面は、当接音の軽
減と制振効果の向上のために、圧縮弾性率が、好ましく
は1〜104 MPa、より好ましくは1〜103 MPa
で、損失正接(tanδ)が、好ましくは10-3以上、
より好ましくは0.01〜10とされる。
【0028】また、本発明においては、独立マス部材に
おける単体の質量を50〜5000gに設定することが
望ましく、より好適には100〜3000gに設定され
る。即ち、独立マス部材単体の質量を5000g以下、
より好ましくは3000g以下とすることにより、振動
入力時における独立マス部材のマスハウジングに対する
相対変位、例えば鉛直方向における独立マス部材の飛び
跳ね変位も一層容易乃至は効率的に生ぜしめられて、独
立マス部材のマスハウジングへの当接が一層有利に惹起
され得るのであり、また、独立マス部材単体の質量を5
0g以上、より好ましくは100g以上とすることによ
り、独立マス部材のマスハウジングに対する打ち当たり
(当接)に基づいて、より有効な制振効果を得ることが
可能となるのである。なお、複数の独立マス部材を備え
ている場合には、各一つの独立マス部材における単体の
質量が、上述の如く設定されることが望ましい。
【0029】特に、本発明において、振動体となるパワ
ーユニット質量は、当然に或る程度大きくなり、そこに
おいて有効な制振効果を得るためには、独立マス部材の
質量が大きくなるが、その場合には、例えば独立マス部
材を複数に分割して、それら複数の独立マス部材の合計
質量によって、パワーユニット質量の1〜5%の独立マ
ス質量を確保しつつ、各独立マス部材の単体の質量を、
上述の如く50〜5000gに設定することが、有効な
制振効果を得るために効果的とされるのである。
【0030】また、本発明において、独立マス部材のマ
スハウジングに対する当接面間における往復可動距離
は、有効な制振効果を得るために、制振すべき振動の入
力方向において、好ましくは0.2〜1.6mm、より
好ましくは0.2〜1.0mmとされる。なお、独立マ
ス部材のマスハウジングに対する当接面間における往復
可動距離とは、マス収容空間で独立マス部材を一方向に
変位させた際における、一方のマスハウジング当接位置
から他方のマスハウジング当接位置までの距離をいう。
【0031】また、本発明においては、マスハウジング
において、独立マス部材が鉛直下方に当接せしめられる
当接部位を、該独立マス部材の鉛直方向の当接荷重によ
って剪断変形せしめられる弾性材で形成した構成を採用
することも可能である。このような構成を採用すれば、
鉛直上下方向に振動が入力された際に、独立マス部材を
弾性材の弾性力(復元力)によって、容易に、マスハウ
ジングに対して飛び跳ね変位させることが可能となり、
それによって、質量の大きな独立マス部材を採用した場
合においてもマスハウジングに対して効率的に当接させ
ることが出来るのであり、その結果、鉛直方向の振動に
対しても、独立マス部材のマスハウジングに対する打ち
当たり(当接)に基づく制振効果がより効率的に発揮さ
れ得るのである。
【0032】また、このように独立マス部材の当接によ
って剪断変形せしめられる弾性材によってマスハウジン
グの鉛直下方の当接部位を構成した場合には、独立マス
部材の当接によって圧縮変形せしめられる弾性材を採用
する場合に比して、弾性材の材質を特別に変更しなくて
も独立マス部材とマスハウジングの当接時におけるばね
特性を柔かく設定することが出来るのであり、それ故、
独立マス部材の大形化や弾性材の耐久性の低下を伴うこ
となく、独立マス部材のマスハウジングへの打ち当たり
(当接)に基づいて発揮される制振効果を、低周波数域
まで容易にチューニングすることが可能となって、低周
波数域の振動に対しても有効な制振効果を得ることが出
来るといった利点もある。
【0033】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。
【0034】先ず、図1には、本発明の第一の実施形態
としてのFR型自動車用のパワーユニット10の全体平
面図が、概略的に示されている。かかるパワーユニット
10は、内燃機関としてのエンジンユニット12とギヤ
ボックスとしてのミッションユニット14から構成され
ており、エンジンユニット12で発生した出力やトルク
を、ミッションユニット14の歯車列で車両走行に必要
な出力やトルクに調節して出力軸(図示せず)に出力し
て、該出力軸から図示しないプロペラシャフトに対して
回転駆動力を伝達するようになっている。
【0035】より詳細には、エンジンユニット12は、
良く知られているように、アルミニウム合金等の剛性材
によって形成されたシリンダブロックやシリンダヘッ
ド,クランクケース等がボルト連結されることによって
一体的に構成されたエンジンハウジング16を含んで構
成されている。また、シリンダブロックには、複数個の
シリンダが形成されており、各シリンダ内を往復動する
ピストンの動きを、コネクティングロッドを介して、ク
ランクケースに収容されたクランク軸の回転運動に変換
し、かかるクランク軸の回転運動を、ミッションユニッ
ト14の歯車列に伝達するようになっている。なお、こ
のことから明らかなように、本実施形態におけるエンジ
ンユニット12は、ピストンの往復動を、コネクティン
グロッドを介して、クランク軸の回転運動に変換するレ
シプロ式エンジンとされている。また、ミッションユニ
ット14は、アルミニウム合金等の剛性材によって形成
されたミッションハウジング18内に、クラッチおよび
歯車列を備えており、それらクラッチおよび歯車列を介
して、クランク軸の回転運動を出力軸からプロペラシャ
フトに伝達するようになっている。そして、ミッション
ハウジング18の一方の端部、即ち、クラッチが収容さ
れている方の端部が、エンジンハウジング16の一方
(図1中下方)の端部にボルト連結等によって固定され
ており、それによって、エンジンユニット12とミッシ
ョンユニット14によって構成された一つのユニットブ
ロック20が形成されている。
【0036】また、ユニットブロック20を構成するエ
ンジンユニット12は、図示しない自動車ボデーに対し
て溶接等によって固定された支持架台としてのサブフレ
ーム(フロントサイドメンバ等)22に対して、防振マ
ウントとしての複数個(本実施形態では4個)のエンジ
ンマウント24によって載置状態で防振支持せしめられ
ていると共に、ユニットブロック20を構成するミッシ
ョンユニット14は、自動車ボデーに対して防振マウン
トとしての一つのミッションマウント26によって載置
状態で防振支持せしめられている。要するに、ユニット
ブロック20は、合計5個の防振マウントを介して、サ
ブフレーム22を含む自動車ボデーによって弾性支持さ
れているのである。
【0037】特に、本実施形態では、4個のエンジンマ
ウント24が、パワーユニット10における重心:Gを
通る慣性主軸28を挟んだ両側で、軸方向に離隔して略
対称的に配設されて、水平面への投影でエンジンユニッ
ト12の四角近くに位置せしめられていると共に、ミッ
ションマウント26が、水平面への投影において、エン
ジンユニット12における重心:Gを通る慣性主軸28
上で、ミッションユニット14の車両後方(図1中下
方)端部に配設されている。なお、フロント側(図1中
上方)に配設された一対のエンジンマウント24a,2
4aには、例えば特開昭63−289349号公報等に
記載された従来から公知の構造の円筒型のマウントが採
用され得ると共に、リヤ側に配設された一対のエンジン
マウント24b,24bには、例えば特開平7−180
743号公報や特開平8−144778号公報等に記載
された従来から公知の構造の載置型マウントが採用され
得る。また、ミッションマウント26には、例えば特開
昭63−289349号公報等に記載された従来から公
知の円筒型のマウントが好適に採用される。なお、これ
らのエンジンマウント24やミッションマウント26
は、何れも、従来から公知のものであるから、それらの
詳細な説明は省略する。
【0038】そして、このようなユニットブロック20
には、特定構造の制振装置30が組み付けられている。
この制振装置30は、図2,3に示されているように、
マスハウジング32によって形成されたマス収容空間3
4内に独立マス部材36が収容配置された構造とされて
いる。なお、以下の説明において上下方向とは、原則と
して、装着状態下で略鉛直方向とされる、図2中の上下
方向をいうものとする。
【0039】より詳細には、マスハウジング32は、マ
スハウジング本体38と蓋体40によって構成されてい
る。マスハウジング本体38は、合成樹脂材やアルミニ
ウム合金材等の硬質材によって形成されており、全体と
して厚肉の長手ブロック形状を有している。また、マス
ハウジング本体38には、一つの面に開口する収容穴4
2が、相互に独立して長手方向に複数個(本実施形態で
は2個)形成されている。かかる収容穴42は、それぞ
れ、一つの面に開口して一定の円形断面で高さ方向(図
2中の上下方向)に延びるように形成されていると共
に、その深さ寸法は、収容穴42の内径寸法と略同じと
されている。即ち、本実施形態では、2つの収容穴42
の内面形状が、互いに同一寸法で同一形状とされてお
り、内径寸法と深さ寸法が略同じとされた円筒形状とさ
れて、それぞれの中心軸が互いに平行とされている。
【0040】また、マスハウジング本体38の対向位置
する長手方向両側縁部には、外方に向って広がる一対の
取付片44,44が、略平板形状で一体形成されてい
る。なお、本実施形態において、各取付片44の下端面
は、マスハウジング本体38の開口端面よりも下方に位
置せしめられるように、各取付片44の長手方向内側縁
部は、マスハウジング本体38における収容孔42,4
2の軸方向下端部から軸方向下方に向かって僅かに延び
出して突出せしめられている。また、各取付片44に
は、貫通孔46が設けられていると共に、かかる貫通孔
46には、金属製のカラー48が固着されており、この
カラー48に挿通されるボルトによって、マスハウジン
グ本体38がユニットブロック20に対してボルト固定
されて装着されるようになっている。
【0041】また、蓋体40は、合成樹脂材によって形
成されており、マスハウジング本体38における開口部
の形状に対応した平板形状を有している。そして、蓋体
40は、マスハウジング本体38の開口部に重ね合わせ
られて、接着剤や圧入、或いはボルト等によって固定さ
れている。なお、蓋体40がマスハウジング本体38の
開口部に固定された状態において、蓋体40の下端面
は、各取付片44の下端面よりも上方に位置せしめられ
ており、各取付片44のユニットブロック20への取付
面が、蓋体40から突出位置せしめられている。また、
蓋体40には、各収容穴42の形成された位置におい
て、円形の窓50が形成されており、蓋体40がマスハ
ウジング本体38の開口部に固定された状態において、
各収容穴42が、窓50を通じて下方に開口せしめられ
ている。
【0042】ここにおいて、各窓50は、収容穴42と
同一中心軸上に位置せしめられていると共に、窓50の
内径寸法が、収容穴42の内径寸法よりも小さくされて
いる。特に、本実施形態では、窓50が、収容穴42の
内径寸法の略2/3の内径寸法で形成されている。ま
た、窓50の内周面の軸方向中央部分には、径方向内方
に所定の高さで突出する突出片52が、全周に亘って連
続して環状に一体形成されている。
【0043】さらに、蓋体40に設けられた窓50に
は、弾性材としての弾性壁54が配設されている。この
弾性壁54は、ゴム弾性体によって形成されており、マ
スハウジング32を構成する蓋体40の厚さ寸法と略同
じの略一定の厚さ寸法で広がる円板形状を有している。
そして、かかる弾性壁54は、蓋体40の窓50内で板
面方向(径方向)に広がった状態で配設されており、ゴ
ム弾性壁54の外周面が、蓋体40の窓50の内周面に
対して、全体に亘って加硫接着等で固着されている。こ
れにより、弾性壁54は、外周面を全周に亘って連続し
て窓50の内周面で固定的に支持されて、展張状態で窓
50に配設されており、窓50が弾性壁54で閉塞され
ている。それによって、マスハウジング32には、互い
に独立した複数個(本実施形態では2個)のマス収容空
間34が形成されている。なお、ゴム弾性壁54の外周
部分には、蓋体40の窓50に突設された突出片52が
差し込まれた状態で固着されており、ゴム弾性壁54の
蓋体40に対する固着強度の向上が図られている。
【0044】また、本実施形態において、弾性壁54を
形成しているゴム弾性体としては、ASTM規格D22
40のショアD硬さが、好ましくは80以下、より好ま
しくは20〜40を有するものが好適に採用される。具
体的な材質としては、天然ゴムやスチレンブタジエンゴ
ム,イソプレンゴム,アクリロニトリルブタジエンゴ
ム,クロロプレンゴム,ブチルゴムやそれらのブレンド
ゴム等の公知の各種ゴム材が、使用条件等に応じて選択
的に採用され得る。
【0045】また、独立マス部材36は、中実の球形状
を有する金属マス58の全表面に対して、略一定の肉厚
寸法を有するゴム弾性体からなる被覆ゴム層60が被着
された構造とされている。なお、被覆ゴム層60の材質
としては、マスハウジング32への当接面において、上
述の弾性壁54と同様に、ASTM規格D2240のシ
ョアD硬さが、好ましくは80以下、より好ましくは2
0〜40を有するものが望ましい。
【0046】なお、本実施形態において、独立マス部材
36は、各マス収容空間34に収容されて合計二つ採用
されており、それら二つの合計質量として、パワーユニ
ット10の質量の1〜5%、より好ましくは1〜3%と
なるように設定されている。これにより、各単一の独立
マス部材36の質量を抑えつつ、合計のマス質量として
大きな質量が設定されているのである。
【0047】そして、このような構造とされた独立マス
部材36は、マスハウジング32のマス収容空間34に
対して、それぞれ、一個ずつ収容配置されている。ま
た、独立マス部材36がマス収容空間34に収容配置さ
れた状態において、独立マス部材36とマス収容空間3
4の周壁面の間には、独立マス部材36の全周囲に亘っ
て、所定の隙間が形成されており、独立マス部材36が
マス収容空間34の周壁面に対して相対変位可能となっ
ている。
【0048】ここにおいて、図2,3に示されている如
き独立マス部材36の静置状態においては、マス収容空
間34の水平方向で対向位置する左右および前後の各壁
面とそれら各壁面に当接せしめられる独立マス部材36
の表面との隙間寸法:δ´が、それぞれ、好ましくは
0.1〜0.8mm、より好ましくは0.1〜0.5m
mとされていると共に、マス収容空間34の鉛直方向で
対向位置する上部壁面とかかる壁面に当接せしめられる
独立マス部材36の表面との隙間寸法:δが、好ましく
は0.2〜1.6mm、より好ましくは0.2〜1.0
mmとされている。即ち、独立マス部材36をマス収容
空間34内の中央に位置せしめた状態下では、独立マス
部材36の外周面とマス収容空間34の軸方向(深さ方
向)両側内面との対向面間、および独立マス部材36の
外周面とマス収容空間34の筒状周壁内面との間におい
て、何れも、上記:δ´の隙間が形成されるようになっ
ている。これにより、独立マス部材36におけるマスハ
ウジング32への当接面間での往復可動距離が、鉛直方
向および各水平方向において、何れも、0.2〜1.6
mm、より好ましくは0.2〜1.0mmとされているので
ある。
【0049】而して、上述の如き構造とされた制振装置
30は、図1に示されているように、水平面への投影に
おいて、パワーユニット重心:Gを通る慣性主軸28上
で配設されており、パワーユニット重心:Gから車両後
方に離隔位置せしめられたミッションユニット14のミ
ッションハウジング18の鉛直上面に形成された取付座
面に対して、マスハウジング32の取付片44,44が
重ね合わせられて、ミッションハウジング18にボルト
固定されて装着されている。それによって、マスハウジ
ング32がミッションハウジング18に固設されてい
る。
【0050】ここにおいて、マスハウジング32の取付
位置は、図1に示されている如き平面への投影で、ミッ
ションハウジング18において、パワーユニット10の
慣性主軸28上で、且つ、車両後方側端部付近に位置す
るように設定されていると共に、パワーユニット重心:
Gからミッションハウジング18の車両後方先端部まで
の距離の1/2よりも車両後方側とされており、特に、
本実施形態では、パワーユニット重心:Gからミッショ
ンハウジング18の車両後方先端部までの距離の略2/
3よりも更に車両後方側に位置せしめられている。
【0051】なお、マスハウジング32がミッションハ
ウジング18に固定された状態においては、マスハウジ
ング32に形成されたマス収容空間34の軸方向は、略
鉛直方向とされていると共に、マスハウジング32に設
けられた弾性壁54が鉛直下方に位置せしめられるよう
になっている。
【0052】このような制振装置30を備えた構造とさ
れたパワーユニット10においては、ユニットブロック
20を構成するエンジンユニット12が駆動せしめられ
ると、それによって振動が生ぜしめられ、かかる振動が
ミッションユニット14に伝達されてミッションハウジ
ング18が加振されることとなる。そこにおいて、ミッ
ションハウジング18が加振されると、そこに固設され
たマスハウジング32も略一体的に加振されることとな
り、その結果、独立マス部材36がマスハウジング32
に対して相対変位せしめられて、マスハウジング32に
対して打ち当たり(当接)せしめられることとなるので
あり、かかる独立マス部材36のマスハウジング32へ
の繰り返しの打ち当たり(当接)に基づいて、ミッショ
ンハウジング18延いてはユニットブロック20に対し
て有効な制振効果が発揮され得るのである。
【0053】また、かかるパワーユニット10において
は、ミッションユニット14は、慣性主軸28上で、且
つ、パワーユニット重心:Gから車両後方に突出するよ
うに取り付けられており、特に、制振装置30が固設さ
れたミッションユニット14の車両後方部分には、大き
な振動が惹起され易い傾向にあるが、ミッションハウジ
ング18に固設された制振装置30によって、かかるミ
ッションハウジング18に対して有効な防振効果が発揮
され得るのである。それによって、ユニットブロック2
0の振動が低減されることによって、サブフレーム2
2、延いては、車両ボデーに伝達される振動を低減する
ことが出来るのである。
【0054】特に、本実施形態では、マスハウジング3
2の水平面への投影位置がパワーユニット20の慣性主
軸28上に設定されていることから、振動モードの観点
から、パワーユニット20における高周波数域の振動に
対して有効な制振効果を発揮することが出来るのであ
る。
【0055】また、本実施形態では、球状外周面を有す
る独立マス部材36を採用したことにより、独立マス部
材36がマスハウジング32に対して相対変位する際
に、マスハウジング32に対する摺接面積が小さくされ
て引掛り的な変位抵抗も軽減されることから、振動入力
時に独立マス部材36が一層効率的にマスハウジング3
2に対して相対変位せしめられることとなり、独立マス
部材36のマスハウジング32に対する打ち当たり(当
接)に基づく制振効果がより効率的に発揮され得るので
ある。
【0056】また、本実施形態においては、球状外周面
を有する独立マス部材36を採用したことにより、独立
マス部材36のマスハウジング32内での方向性等がな
くなって、独立マス部材36のマスハウジング32に対
する当接状態が安定化され得るのであり、その結果、独
立マス部材36のマスハウジング32に対する打ち当た
り(当接)に基づいて発揮される制振効果も一層安定し
て発揮され得る。
【0057】また、本実施形態においては、被覆ゴム層
60が独立マス部材36の外周面に被着形成されている
ことから、マス収容空間34の内面に被覆ゴム層等を被
着形成する場合に比して、マスハウジング32内での独
立マス部材36の回転によって、被覆ゴム層60におけ
る荷重入力点が、全体に略等しく変化することとなっ
て、被覆ゴム層60、延いては、制振装置30の耐久性
の向上が図られ得る。
【0058】また、本実施形態においては、マスハウジ
ング32において、独立マス部材36が鉛直下方に当接
せしめられる当接部位が、独立マス部材36の鉛直方向
の当接荷重によって剪断変形せしめられる弾性壁54で
形成されていることから、マスハウジング32に対し
て、鉛直上下方向に振動が入力された際に、独立マス部
材36を、弾性壁54の弾性力(復元力)により、容易
にマスハウジング32に対して飛び跳ね変位せしめるこ
とが可能となる。それによって、本実施形態のように質
量の大きな独立マス部材36を採用した場合において
も、マスハウジング32に対して独立マス部材36が効
率的に飛び跳ね変位せしめられ得て、独立マス部材36
のマスハウジング32に対する打ち当たり(当接)に基
づく制振効果がより有効に発揮され得るのである。
【0059】また、本実施形態においては、マスハウジ
ング32におけるミッションハウジング18側の当接部
が、外周縁部を蓋体40によって固定的に支持された弾
性壁54によって形成されており、この弾性壁54の中
央部分に対して、弾性壁54に直交する方向、即ち、上
下方向に独立マス部材36の当接荷重が入力されると、
弾性壁54が、主として剪断方向に弾性変形せしめられ
ることとなる。
【0060】従って、独立マス部材36のマスハウジン
グ32への当接時には、弾性壁54の剪断変形に基づい
て、低ばね剛性が発揮されるのであり、それによって、
独立マス部材36のマスハウジング32への打ち当たり
(当接)に基づいて発揮される制振効果における共振作
用的なピーク領域が、低周波数域に有利に設定可能とな
るのであり、以て、低周波数域の振動に対しても有効な
制振効果を得ることが可能となる。
【0061】また、図4には、本発明の第二の実施形態
としてのFF型自動車用のパワーユニット62が概略的
に示されている。かかるパワーユニット62は、内燃機
関としてのエンジンユニット64とギヤボックスとして
のトランスアクスル66から構成されており、エンジン
ユニット64で発生した出力やトルクを、トランスアク
スル66の歯車列で車両走行に必要な出力やトルクに調
節すると共に、かかる出力やトルクを図示しないドライ
ブシャフトに伝達するようになっている。
【0062】より詳細には、エンジンユニット64は、
アルミニウム合金等の剛性材によって形成されたシリン
ダブロックやシリンダヘッド,クランクケース等がボル
ト連結されることによって一体的に構成されたエンジン
ハウジング68を有している。また、シリンダブロック
には、複数個のシリンダが形成されており、かかるシリ
ンダ内を往復動するピストンの動きを、コネクティング
ロッドを介して、クランクケースに収容されたクランク
軸の回転運動に変換し、かかるクランク軸の回転運動
を、トランスアクスル66の歯車列に伝達するようにな
っている。なお、このことから明らかなように、本実施
形態では、エンジンユニット64は、ピストンの往復動
を、コネクティングロッドを介して、クランク軸の回転
運動に変換するレシプロ式エンジンによって構成されて
いる。更に、トランスアクスル66は、アルミニウム合
金等の剛性材によって形成されたハウジング70内に、
クラッチおよび歯車列を有しており、それらクラッチ及
び歯車列によって、クランク軸の回転運動をドライブシ
ャフトに伝達するようになっている。そして、ハウジン
グ70の一方の端部が、エンジンハウジング68の一方
(図4中右方)の端部にボルト連結等によって固定され
ており、それによって、エンジンユニット64とトラン
スアクスル66によって構成された一つのユニットブロ
ック72が形成されている。
【0063】また、かかるユニットブロック72は、パ
ワーユニット重心:Gを通る慣性主軸74上において、
ユニットブロック72の慣性主軸方向両端部が、ライト
マウント76およびレフトマウント78を介して、図示
しない車両ボデーによって吊り下げ支持されていると共
に、慣性主軸74を挟んだ両側において、フロントマウ
ント80およびリヤマウント82を介して、図示しない
車両ボデーに弾性支持せしめられている。なお、ライト
マウント76およびレフトマウント78としては、例え
ば特開平7−180743号公報や特開平8−1447
78号公報等に記載されている従来から公知の吊り下げ
タイプのエンジンマウントが採用され得ると共に、フロ
ントマウント80及びリヤマウント82としては、例え
ば特開昭63−289349号公報等に記載されている
従来から公知の円筒型のエンジンマウントが採用され得
る。なお、これらのマウントは、いずれも従来から公知
のものであるから、それらの詳細な説明は省略する。
【0064】さらに、かかるユニットブロック72に
は、2個の制振装置84,84が組み付けられている。
この制振装置84は、図5,6に示されているように、
マスハウジング86によって形成されたマス収容空間8
8内に独立マス部材90が収容配置された構造とされて
いる。なお、以下の説明において上下方向とは、原則と
して、装着状態下で略鉛直方向とされる、図5,6中の
上下方向をいうものとする。
【0065】より詳細には、マスハウジング86は、マ
スハウジング本体92と蓋体94によって構成されてい
る。マスハウジング本体92は、アルミニウム合金等の
剛性材によって形成されており、全体として厚肉の矩形
ブロック形状を有している。また、マスハウジング本体
92には、水平方向一方の面(図6中、右側の面)に開
口する収容穴96が、相互に独立して長手方向に複数個
(本実施形態では2個)形成されている。かかる収容穴
96は、それぞれ、一定の円形断面で水平方向に延びる
ように形成されていると共に、その深さ寸法は、収容穴
96の内径寸法と略同じとされている。即ち、本実施形
態では、2つの収容穴96の内面形状が、互いに同一寸
法で同一形状とされており、内径寸法と深さ寸法が略同
じとされた円筒形状とされて、それぞれの中心軸が互い
に平行とされている。
【0066】また、蓋体94は、アルミニウム合金等の
剛性材によって形成されており、マスハウジング本体9
2における開口端面に対応した矩形平板形状を有してい
る。そして、蓋体94は、マスハウジング本体92の開
口端面に重ね合わせられて溶接等によって固定されるこ
とにより、マスハウジング本体92の各収容穴96の開
口部が覆蓋されており、それによって、マスハウジング
86には、互いに独立した複数個(本実施形態では2
個)のマス収容空間88が形成されている。
【0067】また、独立マス部材90は、中実の球形状
を有する金属マス98の全表面に対して、略一定の肉厚
寸法を有するゴム弾性体からなる被覆ゴム層100が被
着された構造とされている。なお、被覆ゴム層100の
材質としては、マスハウジング86への当接面におい
て、前記第一の実施形態における被覆ゴム層(60)と
同様に、ASTM規格D2240のショアD硬さが、好
ましくは80以下、より好ましくは20〜40を有する
ものが望ましい。
【0068】また、本実施形態においては、独立マス部
材90の質量は、パワーユニット62の質量の1〜5
%、より好ましくは1〜3%とされており、比較的大き
な質量を有している。
【0069】そして、このような構造とされた独立マス
部材90は、マスハウジング86のマス収容空間88に
対して、それぞれ、一個ずつ収容配置されている。ま
た、独立マス部材90がマス収容空間88に収容配置さ
れた状態において、独立マス部材90とマス収容空間8
8の周壁面の間には、独立マス部材90の全周囲に亘っ
て、所定の隙間が形成されており、独立マス部材90が
マス収容空間88の周壁面に対して相対変位可能となっ
ている。ここにおいて、図5,6に示されている如き独
立マス部材90の静置状態においては、マス収容空間8
8の水平方向で対向位置する前後の壁面とその壁面に当
接せしめられる独立マス部材90の表面との隙間寸法:
δ´が、好ましくは0.1〜0.8mm、より好ましく
は0.1〜0.5mmとされていると共に、マス収容空
間88の鉛直方向で対向位置する上部壁面とかかる壁面
に当接せしめられる独立マス部材90の表面との隙間寸
法:δが、好ましくは0.2〜1.6mm、より好まし
くは0.2〜1.0mmとされている。即ち、独立マス
部材90をマス収容空間88内の中央に位置せしめた状
態下では、独立マス部材90の外周面とマス収容空間8
8の軸方向(深さ方向)両側内面との対向面間、および
独立マス部材90の外周面とマス収容空間88の筒状周
壁内面との間において、何れも、上記:δ´の隙間が形
成されるようになっている。
【0070】而して、上述の如き構造とされた制振装置
84は、図4に示されているように、パワーユニット7
2の慣性主軸74を挟んだ両側に設けられたフロントマ
ウント80及びリヤマウント82のパワーユニット側ブ
ラケット102,104に対して溶接等によって固定さ
れて装着されている。これらのブラケット102,10
4は、何れも、パワーユニット62のユニットブロック
72に対して、ボルト等によって直接に剛結されるもの
であり、制振装置84がブラケット102,104に固
定されることによって、実質的に、制振装置84は、パ
ワーユニット62のユニットブロック72に対して固定
的に取り付けられているのである。
【0071】なお、制振装置84がパワーユニット側ブ
ラケット102,104に固定された状態においては、
マスハウジング86のマス収容空間88における軸方向
が、慣性主軸74方向に延びる略水平方向とされてい
る。
【0072】このような構造とされた本実施形態のパワ
ーユニット62においても、第一の実施形態と同様な効
果が発揮され得るのである。即ち、ユニットブロック7
2を構成するエンジンユニット64が駆動せしめられる
と、それによって、慣性主軸74回りのロール振動が生
ぜしめられ、かかるロール振動によってパワーユニット
側ブラケット102,104が加振されることとなる。
そこにおいて、パワーユニット側ブラケット102,1
04が加振されると、そこに固設されたマスハウジング
86,86も略一体的に加振されることとなり、その結
果、独立マス部材90がマスハウジング86から独立し
て、マス収容空間88内でマスハウジング86に対して
相対変位せしめられて、マスハウジング86に対して打
ち当たり(当接)せしめられることとなるのであり、か
かる独立マス部材90のマスハウジング86への繰り返
しの打ち当たり(当接)に基づいて、ユニットブロック
72に対して有効な制振効果が発揮され得るのである。
【0073】従って、本実施形態のパワーユニット62
においては、パワーユニット側ブラケット102,10
4に固設された制振装置84,84によって、かかるパ
ワーユニット側ブラケット102,104に対して有効
な防振効果が発揮されるのであり、それによって、ユニ
ットブロック72の振動が低減されて、車両ボデーに伝
達される振動を低減することが出来るのである。
【0074】特に、本実施形態では、マスハウジング8
6の水平面への投影位置がパワーユニット62の慣性主
軸74を挟んだ両側に設定されていることから、パワー
ユニット62におけるロール方向に発生し易い低〜中周
波数域の振動に対しても有効な制振効果を発揮すること
が出来るのである。
【0075】また、本実施形態においては、マスハウジ
ング86は、フロント側及びリヤ側のエンジンマウント
80,82のパワーユニット側ブラケット102,10
4を介して、パワーユニット62に対して実質的に剛結
されて取り付けられていることから、パワーユニット側
ブラケット102,104を利用して取付スペースや取
付構造を、設計上で有利に確保することが出来るといっ
た利点がある。
【0076】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、
かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、
限定的に解釈されるものではない。
【0077】例えば、前記実施形態おいて、独立マス部
材36,90とマスハウジング32,86の当接面間に
弾性材層を介在させることに代えて、独立マス部材の全
体を所定の弾性を有するゴム弾性体や合成樹脂材等によ
って形成することも可能である。
【0078】また、一つのマス収容空間内に複数個の独
立マス部材を収容することも可能である。その際、同じ
大きさを有する複数の独立マス部材を収容しても良い
し、大きさの異なる複数個の独立マス部材を収容しても
良い。また、それら複数個の独立マス部材は、振動入力
方向で直列であっても良いし、並列であっても良い。
【0079】さらに、前記実施形態では、複数形成され
た独立マス部材36,90とマスハウジング32,86
が、同一形状および同一寸法とされていたが、互いに形
状や寸法の異なる独立マス部材とマスハウジングの複数
を、一つの制振装置に形成するようにしても良い。即
ち、異なる大きさのマス収容空間を有するマスハウジン
グに、それぞれのマス収容空間の大きさに対応する独立
マス部材を収容配置した構造を採用することも可能であ
り、それによって、異なる振動周波数に対してより有利
に対応することが可能となる。
【0080】また、マス収容空間の内面形状や独立マス
部材の外周面形状は、前記実施形態のものに限定される
ことなく、制振装置の装着スペース等を考慮して適宜に
設定されるものであり、例えば、多角形形状や球形状の
マス収容空間や、平板形状の独立マス部材等を採用する
ことも可能である。
【0081】また、マスハウジングの内面に薄肉のゴム
膜を形成することも可能であり、その場合には、独立マ
ス部材にゴム膜で被覆されていない剛性材を直接採用す
ることも可能である。
【0082】また、本発明において、独立マス部材とマ
スハウジングの間の往復可動距離は、有効な制振効果を
得ると共に、当接音軽減のためには、独立マス部材のマ
スハウジングへの各当接方向で0.2〜1.6mmに設
定されることが望ましいが、防振すべき振動入力方向以
外における独立マス部材とマスハウジングの間の往復可
動距離は、大きくても特に問題はない。具体的には、前
記第二の実施形態における制振装置84においては、マ
ス収容空間88の軸方向における防振を特性目的としな
いのであれば、マス収容空間88の軸方向両端壁面とか
かる壁面に当接する独立マス部材90の表面との間に形
成される隙間:δ′は、十分に大きく設定することが可
能である。
【0083】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもない。
【0084】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた内燃機関を備えたパワーユニットに
おいては、振動が入力された際に、ユニットブロックに
設けられたマスハウジングに対して、該マスハウジング
のマス収容空間に配設された独立マス部材が、直接的且
つ弾性的に当接せしめられることに基づいて、制振効果
が発揮されることとなる。その結果、広い周波数域に亘
ってユニットブロックの振動を抑えることが可能とな
り、支持架台に伝達される振動を低減することが出来る
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての内燃機関を備
えたパワーユニットを概略的に示す図である。
【図2】図1に示されたパワーユニットに採用されてい
る制振装置の縦断面図であり、図3におけるII−II
断面に相当する図である。
【図3】図2におけるIII−III断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態としての内燃機関を備
えたパワーユニットを概略的に示す図である。
【図5】図4に示されたパワーユニットに採用されてい
る制振装置の縦断面図であり、図6におけるV−V断面
に相当する図である。
【図6】図5におけるVI−VI断面図である。
【符号の説明】
10 パワーユニット 12 エンジンユニット 14 ミッションユニット 20 ユニットブロック 22 サブフレーム 24 エンジンマウント 26 ミッションマウント 28 慣性主軸 32 マスハウジング 34 マス収容空間 36 独立マス部材

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関を構成するシリンダブロックや
    シリンダヘッド等に対して必要に応じてギヤボックス等
    が固定的に連結されることによって構成されて、複数の
    防振マウントを介して所定の支持架台に防振支持せしめ
    られる一つのユニットブロックを備えたパワーユニット
    において、 前記ユニットブロックに対してマス収容空間を有する剛
    性のマスハウジングを固設して、該マスハウジングの位
    置が、水平面への投影でパワーユニット重心よりも該ユ
    ニットブロックの外方端部に近くなるようにすると共
    に、パワーユニット質量の1〜5%の総質量を備えた独
    立マス部材を該マス収容空間に収容配置せしめて該マス
    ハウジングに対して非接着で相対変位可能とし、該独立
    マス部材が該マスハウジングに対して少なくとも一つの
    防振すべき振動入力方向で直接的且つ弾性的に当接せし
    められるようにしたことを特徴とする内燃機関を備えた
    パワーユニット。
  2. 【請求項2】 前記マスハウジングの位置を、水平面へ
    の投影でパワーユニット慣性主軸上に設定した請求項1
    に記載の内燃機関を備えたパワーユニット。
  3. 【請求項3】 前記マスハウジングの位置を、水平面へ
    の投影でパワーユニット慣性主軸を挟んだ両側において
    略対称位置するように設定した請求項1又は2に記載の
    内燃機関を備えたパワーユニット。
  4. 【請求項4】 前記マスハウジングの前記ユニットブロ
    ックに対する固設位置を、前記パワーユニット重心より
    も前記ユニットブロックにおける前記防振マウントの取
    付位置に近くなるように設定した請求項1乃至3の何れ
    かに記載の内燃機関を備えたパワーユニット。
  5. 【請求項5】 前記独立マス部材を球状の外周面形状と
    する一方、該独立マス部材を前記マスハウジングに対し
    て、鉛直方向両側で直接的且つ弾性的に当接せしめられ
    るようにすると共に、水平方向においてパワーユニット
    慣性主軸が延びる方向と、該パワーユニット慣性主軸に
    直交する方向で、それぞれ直接的且つ弾性的に当接せし
    められるようにした請求項1乃至4の何れかに記載の内
    燃機関を備えたパワーユニット。
  6. 【請求項6】 前記独立マス部材と前記マスハウジング
    の少なくとも一方の当接面を、ショアD硬さ80以下と
    した請求項1乃至5の何れかに記載の内燃機関を備えた
    パワーユニット。
  7. 【請求項7】 前記独立マス部材の単体の質量を50〜
    5000gとした請求項1乃至6の何れかに記載の内燃
    機関を備えたパワーユニット。
  8. 【請求項8】 前記独立マス部材における前記マスハウ
    ジングへの当接面間での往復可動距離を、独立マス部材
    の振動入力方向において0.2〜1.6mmとした請求項
    1乃至7の何れかに記載の内燃機関を備えたパワーユニ
    ット。
  9. 【請求項9】 前記マスハウジングにおいて、前記独立
    マス部材が鉛直下方に当接せしめられる当接部位を、該
    独立マス部材の鉛直方向の当接荷重によって剪断変形せ
    しめられる弾性材で形成した請求項1乃至8の何れかに
    記載の内燃機関を備えたパワーユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007255549A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Tokai Rubber Ind Ltd 内燃機関用制振装置

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JP2007255549A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Tokai Rubber Ind Ltd 内燃機関用制振装置

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