JP2002221084A - 内燃機関のピストン構造 - Google Patents

内燃機関のピストン構造

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JP2002221084A JP2001018483A JP2001018483A JP2002221084A JP 2002221084 A JP2002221084 A JP 2002221084A JP 2001018483 A JP2001018483 A JP 2001018483A JP 2001018483 A JP2001018483 A JP 2001018483A JP 2002221084 A JP2002221084 A JP 2002221084A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンの摺動抵抗の低減とスラップ音の抑
制との両立を有効に達成する。 【解決手段】 ピストンのスカート部の外形を、ピスト
ンリング側のスカート上端部から中途高さ部位までは下
方にいくにつれて徐々に張出し、中途高さ部位からスカ
ート下端部にかけては下方にいくにつれて徐々に張出し
量が少なくなるような、いわゆる樽型とする。とくに、
スカート上端部から下方へいくにつれ張出し量が徐々に
大きくなって最大値に到達する高さ位置である張出し量
最大到達高さ位置Mが、ピストンの高さ方向においてピ
ンボス中心高さ位置Bよりもスカート下端部の位置Lに
近くなるような湾曲形状にスカート部外形を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のピスト
ン構造に関し、より詳しくは、スカート部の外形が上端
部から中途高さ部位まで徐々に張出し、中途高さ部位か
ら下端部にかけて徐々に張出し量が少なくなる湾曲形状
とされたピストン構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関においてピストンの摺動抵抗が
大きいと、フリクションロスによる燃費悪化、出力低
下、機関の耐久性悪化などを招く。そこで、内燃機関に
おけるピストンの摺動抵抗低減等のため、ピストンリン
グ下方のスカート部の外形を、上端部から中途高さ部位
まで徐々に張出し、中途高さ部位から下端部にかけて徐
々に張出し量が少なくなる湾曲形状(いわゆる樽型)と
したピストン構造は従来から知られている。
【0003】例えば、特開平6−185405号公報に
示されたピストンのスカート部は、上方部所定範囲内で
下方にいくに従い径が増大する(張出し量が大きくな
る)凸状の湾曲部と、この湾曲部に連なる最大径部と、
この最大径部に連なり下方にいくにつれて径が小さくな
るスカート下方のテーパー部とを有し、上記最大径部は
ピンボス中心高さ位置付近に設けられている。そして、
テーパー部のピストン軸芯に対する傾斜角が冷間時にお
いて0.0015〜0.02ラジアンに設定されてお
り、上記公報にはこの構成による効果として、上記テー
パー部の傾斜角が0.0015ラジアン以上であること
により摺動抵抗が低減され、また、0.02ラジアン以
下であることによりピストンスラップ音の増大が抑制さ
れると記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のピストン構造では、実際にはピストンの摺
動抵抗の低減とスラップ音の抑制とを両立させることが
難しい。
【0005】すなわち、上記のような従来の樽型形状に
おいて、最大径部でのスカート部外周とシリンダ内周壁
とのクリアランスを大きくすると、摺動抵抗低減には有
利となるが、後述のような上死点付近でのピストンの首
振り動作により生じるスラップ音は増大し易くなるた
め、スラップ音低減のためにはクリアランスをできるだ
け小さくすることが要求される。
【0006】ところが、スラップ音を実車で問題となら
ないレベルまで低減させるように上記クリアランスを小
さくすると、摺動抵抗が増大し、樽形形状としたことに
よる摺動抵抗低減の効果が打ち消されていしまう。とく
に、最大径部がピンボス中心高さ位置付近に設けられて
いる従来の樽型形状では、後に詳述するように運転中に
スカート上部が大きく熱膨張することで外方に張出して
シリンダ内周壁に押し付けられ、これにより摺動抵抗が
増大する。このため、上記のようにスカート下方のテー
パー部の傾斜角を調整しても、充分に摺動抵抗を低減す
ることは困難である。
【0007】本発明は上記の事情に鑑み、運転中にスカ
ート上部が熱膨張した状態でも、摺動抵抗の低減とスラ
ップ音の抑制との両立を有効に達成することができる内
燃機関のピストン構造を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ピストンリン
グ下方のスカート部の外形を、ピストンリング側のスカ
ート上端部から中途高さ部位までは下方にいくにつれて
徐々に張出し、中途高さ部位からスカート下端部にかけ
ては下方にいくにつれて徐々に張出し量が少なくなるよ
うにした内燃機関のピストン構造であって、スカート上
端部から下方へいくにつれ張出し量が徐々に大きくなっ
て最大値に到達する高さ位置である張出し量最大到達高
さ位置が、ピストンの高さ方向においてピンボス中心高
さ位置よりもスカート下端部の位置に近くなるような湾
曲形状にスカート部外形を形成したものである。
【0009】この構成によると、スカート部において張
出し量最大の位置がピンボス中心高さ位置付近にある従
来の樽型形状のものと比べ、スカート上部の張出し量が
小さくなることにより、運転中にスカート上部が大きく
熱膨張しても張出しが充分に抑えられる。これにより、
上死点付近での摺動抵抗の低減効果が高められる。ま
た、このようにスカート上部の張出し量が小さくなる
と、ピストンの上下動に伴うスラスト・反スラスト方向
へのピストンの傾きが大きくなり易いが、上死点付近で
ピストンの傾きが変ったときにもピストン外周がシリン
ダ内周壁に滑らかに当って衝撃が小さく抑えられること
により、スラップ音も充分に抑制される。
【0010】この発明において、スカート部の高さ方向
寸法をピストン径の1/2以下とすることが好ましい。
さらに、ピンボス中心高さ位置からスカート下端部まで
の高さ方向寸法を、ピンボス中心高さ位置からピストン
上端部までの高さ方向寸法よりも小さくすることが好ま
しい。
【0011】このようにすると、スカート部の高さ方向
寸法が小さくなることにより、シリンダ内周壁との接触
面積が減少して摺動抵抗低減に有利となり、その一方で
ピストンの傾きが大きくなり易いが、上記のようにスカ
ート部外形が形成されていることでスラップ音は充分に
抑制される。
【0012】また、本発明において、少なくとも張出し
量最大到達高さ位置における横断面を、ピンボス軸線方
向と直交するスラスト・反スラスト方向に長径を有し、
偏平率が異なる少なくとも2つの楕円を複合させた複合
楕円形状であって、長径方向両側に位置する部分が偏平
率小、この部分よりもピンボス寄りに位置する部分が偏
平率大となる形状とすることが好ましい。
【0013】このようにすると、耐スカッフ性の悪化が
防止されつつ、摺動抵抗がより一層低減される。
【0014】また、本発明はアルミ合金製のシリンダブ
ロックにピストンが嵌装されるものに適用した場合に特
に効果的である。すなわち、シリンダブロックがアルミ
合金製である場合、温間時にシリンダブロックの熱膨張
によりスカート部外周とシリンダ内周壁とのクリアラン
スが増大するので、それを考慮すると設計上の上記クリ
アランスはできるだけ小さくすることが要求されるが、
上記のような本発明のピストン構造によれば、このよう
な要求を満足するように上記クリアランスを小さくして
も充分に摺動抵抗が低減される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0016】図1は本発明のピストン構造が適用される
エンジン(内燃機関)のシリンダ部分の断面構造を概略
的に示したものである。この図において、1はエンジン
のシリンダを構成するシリンダブロックであり、例えば
アルミ合金により形成されている。
【0017】このシリンダブロック1に設けられたシリ
ンダボア2内にピストン10が嵌装され、このピストン
10とコンロッド3の上端部(小端部)とがピストンピ
ン4により連結されている。また、ピストン10の上部
には複数のピストンリングが嵌着され、図示の実施形態
では気密を保つための第1,第2の圧縮リング5A,5
Bとオイル掻き落としのためのオイルリング5Cとから
なる3本のピストンリグが嵌着されている。なお、上記
コンロッド3の下端部(大端部)は図外のクランクシャ
フトに連結されている。また、シリンダブロック1の上
方にはシリンダヘッド6が設置されている。
【0018】図2および図3は本発明の一実施形態によ
る上記ピストン10を示し、また図4は本発明の特徴と
するプロフィールを誇張してピストン10を模式的に示
している。これらの図に示すように、ピストン10は、
上端のピストンヘッド11と、このピストンヘッド11
に連なって、外周にピストンリング5A,5B,5Cを
嵌着するためのリング溝12A,12B,12Cを有す
る円筒状部分と、その下方に連なるスカート部13と、
スカート部13の形成範囲内のピストン径方向両側に設
けられた一対のピンボス14とを一体に備え、アルミ合
金等により形成されている。上記ピンボス14は、ピス
トンピン4を挿通するピン穴15を有している。
【0019】上記スカート部13は、摺動抵抗低減等に
有利なように高さ方向寸法(スカート高さH1)が小さ
くされており、例えば、スカート高さH1がピストン径
Dの1/2以下に設定されている。さらに、ピンボス中
心高さ位置からスカート下端部までの高さ方向寸法H2
が、ピンボス中心高さ位置からピストン上端部までの高
さ方向寸法H3よりも小さく設定されている。また、こ
のようにスカート高さH1およびピンボス中心高さ位置
からスカート下端部までの高さ方向寸法H2を小さくす
るために、スカート部下端内周部に形成される加工治具
嵌合用のいんろう16は必要最小限に短くされ、例えば
1mm程度とされている。
【0020】上記スカート部13のプロフィールは、ス
カート上端部から中途高さ部位までは下方にいくにつれ
て徐々に張出し、中途高さ部位からスカート下端部にか
けては下方にいくにつれて徐々に張出し量が少なくなる
ような形状(いわゆる樽型)であって、張出し量を拡大
して示すと図5のような形状となっている。
【0021】すなわち、図5は、オイルリング下距離
(スカート上端部からの距離)をmm単位で表して縦軸
に取る一方、長径縮小量(の1/2)をμm単位で表し
て横軸に取ることにより、高さ方向に対して長径方向に
拡大したスカート部のプロフィールを示している。ここ
で、長径縮小量とは、後述のような楕円形断面を有する
スカート部の長径の最大値を基準長径として、この基準
長径に対しスカート部の各部位の長径がどれだけ小さい
かを表す量であり、最大長径(基準長径)のところで長
径縮小量が0となり、長径が小さくなるにつれて長径縮
小量がマイナス方向に変化する。
【0022】この図のように、スカート上端部からスカ
ート下端寄りの所定高さ位置までは下方にいくにつれて
長径縮小量がマイナスの値から次第に0に近づき、換言
すると、張出し量が徐々に大きくなる。そして、スカー
ト部の範囲内のピンボス中心高さ位置Bよりさらに下方
にまでわたって張出し量が徐々に大きくなり、張出し量
が最大値(長径縮小量が0)に到達する高さ位置M(以
下、「張出し量最大到達高さ位置M」と呼ぶ)が、ピス
トンの高さ方向においてピンボス中心高さ位置Bよりも
スカート下端部の位置Lに近くなるような湾曲形状にス
カート部の外形が形成されている。ここで、上記張出し
量最大到達高さ位置Mは、張出し量が最大となる部分が
ある程度の範囲にわたる場合はその範囲のうちの上端の
位置を意味する。
【0023】上記のように張出し量最大到達高さ位置M
が、スカート部の範囲内のピンボス中心高さ位置Bとス
カート下端部の位置Lとの中間位置よりもスカート下端
寄りにあることにより、張出し量最大到達高さ位置がピ
ンボス中心高さ位置に近い従来構造(図5中に二点鎖線
で示す)と比べ、スカート上部側の張出しが抑制された
形状となっている。なお、スカート上端部の0.5mm
程度の範囲には面取りが施され、スカート下端部の0.
1mm程度の範囲にも面取りが施されている。
【0024】また、スカート部の少なくとも張出し量最
大到達高さ位置Mにおける横断面が、ピンボス軸線方向
と直交するスラスト・反スラスト方向に長径を有する概
略楕円形状とされ、当実施形態ではスカート部の高さ方
向全体にわたって横断面が概略楕円形状されるととも
に、前述のように長径の寸法が高さ方向各部位で変えら
れている(図4参照)。
【0025】上記スカート部の横断面形状は、特に好ま
しくは図6に示すような複合楕円形状とされる。すなわ
ち、図6はスカート部13の横断面を誇張した形(長径
と短径の偏差を拡大した形)で表しており、この図のよ
うに、上記横断面の外形は、少なくとも2つの楕円を複
合させたものであって、長径方向両側に位置する部分1
3aは比較的偏平率の小さい第1の楕円E1の一部で構
成され、この部分よりピンボス寄りに位置する部分13
bは上記第1の楕円E1よりも偏平率の大きい第2の楕
円E2の一部で構成されている。上記第1の楕円E1
は、例えば楕円量(長径と短径との差)が430μm程
度とされている。
【0026】以上のような当実施形態のピストン構造の
作用を以下に説明する。
【0027】図4の模式図に示すように、圧縮行程でピ
ストン10が上死点に達するまで上向きに動くとき、ピ
ストン10は頂部が反スラスト側(図4で右側)に傾
く。また、ピストン10が上死点を過ぎて膨張行程に移
行したとき、図4中に矢印で示すようにピストン10は
頂部がスラスト側(図4で左側)に傾くように首振り動
作する。
【0028】そして、一般的傾向として、ピストン10
のストローク途中ではピストンスピードが速いためシリ
ンダ内周面に付着した潤滑オイルの油膜上をピストン1
0が滑って摩擦力(摺動抵抗)が小さくなるが、上死点
付近では、ピストンスピードが遅くなるため、上記のよ
うな反スラスト側やスラスト側へのピストン10の傾き
によりスカート部13の上部または下部がシリンダ内壁
面に押し付けられて油膜切れが生じ易くなり、摩擦力が
増大し易くなる。また、上死点付近では、上述のような
ピストン10の首振り動作でスカート部13の一部がシ
リンダ内周壁に衝突することによりをスラップ音を発生
する。
【0029】これらの傾向は、圧縮上死点付近だけでな
く、吸気上死点付近でも生じる。
【0030】これらの傾向に対し、摩擦力の低減のため
には、ピストン10のスカート部の概略形状としてはい
わゆる釣り鐘型(スカート部の上端近傍部から下端部に
わたって一定断面形状)と比べて当実施形態のようない
わゆる樽型の方がシリンダ内周壁に対する接触面積を小
さくできて好ましい。また、ピストン10とシリンダ内
周壁とのクリアランスを大きくするほど摩擦力が低減さ
れるが、クリアランスを大きくすると上記スラップ音が
増大し易くなる。従って、張出し量最大の部位でのスカ
ート部とシリンダ内周壁とのクリアランスはスラップ音
を充分に抑制し得る程度に小さくすることが望まれる。
とくに、シリンダブロックがアルミ合金製である場合、
温間時にシリンダブロックの熱膨張により上記クリアラ
ンスが増大するので、それを考慮すると設計上の上記ク
リアランスはできるだけ小さくすることが望まれる。
【0031】しかし、図5に二点鎖線で示すような張出
し量最大到達高さ位置がピンボス中心高さ位置に近い従
来の樽型構造では、クリアランスを小さくすることに伴
い、摩擦力低減効果が損なわれてしまう。これに対し、
本発明の構造によると、スラップ音を充分に抑制しなが
ら、摩擦力低減効果を高めることができる。この効果を
図7によって説明する。
【0032】図7は、従来樽型構造(図5に二点鎖線で
示すプロフィール)で、張出し量最大の部位でのスカー
ト部とシリンダ内周面とのクリアランスをスラップ音を
充分に抑制し得る程度の小さな値(14μm程度)に設
定したものと、当実施形態の構造(図5に実線で示すプ
ロフィール)で、張出し量最大の部位でのスカート部と
シリンダ内周面とのクリアランスを従来樽型構造と同等
としたものとにつき、エンジン1サイクル中の摩擦力の
変化を計測したデータを示しており、太線は当実施形態
の構造による場合のデータ、細線は従来樽型構造による
場合のデータである。この図において、摩擦力が0のラ
イン(一点鎖線)より上側はピストン上昇時に生じる摩
擦力、下側はピストン下降時に生じる摩擦力を表してい
る。
【0033】この図のように、従来樽型構造では、圧縮
上死点(クランク角360°)の直前および直後と、吸
気上死点(クランク角0°、720°)の直前および直
後とにおいて摩擦力が著しく増大し、これに対して当実
施形態の構造では、圧縮上死点の直前および直後と吸気
上死点の直前および直後とにおいてハッチングで示した
分だけ従来樽型構造と比べて摩擦力が低減される。その
理由としては次のようなことが考えられる。
【0034】上死点付近においてピストンが反スラスト
側またはスラスト側に傾くときに、スカート上部が張出
すとこの部分がシリンダ内周壁に押し当って油膜切れが
生じ易くなり、この傾向を是正するためにスカート部が
樽型とされるが、ピストンヘッドに近いスカート上部は
運転中に下部側より温度が高くなり、かつ、厚肉である
ため、運転中にスカート上部が大きく熱膨張することに
より張出し、樽型であっても張出し量最大到達高さ位置
がピンボス中心高さ位置に近い位置にある従来構造で
は、上記のようなスカート上部の熱膨張による張出しを
充分に抑えきれない。
【0035】これに対し、当実施形態の構造によると、
張出し量最大到達高さ位置Mがピストンの高さ方向にお
いてピンボス中心高さ位置Bよりもスカート下端部の位
置Lに近くなるような湾曲形状とされることにより、ス
カート上部の張出し抑制(長径縮小)の度合が大きくな
るため、運転中にスカート上部が大きく熱膨張しても張
出しが充分に抑えられる。これによって上死点付近での
摩擦力の低減効果が高められることとなる。
【0036】一方、このようにスカート上部の張出し量
の抑制(長径の縮小)によってピストンが傾き易くな
る。また、従来ではピストンの傾きを抑制するためにス
カート部のスラスト側及び反スラスト側に下方への延出
部分を設けたりスカート部全体を上下方向に長く形成し
たりしているが、当実施形態の構造では摺動抵抗低減に
有利なようにシリンダ内周壁に対する接触面積を小さく
するため、下方への延出部分を削除し、スカート部全体
を短く形成しており、このようにしたことによってもピ
ストンが傾き易くなる。
【0037】このため、上死点の前後でピストンの傾き
が変るときに生じるスラップ音が増大しや易くなるので
はないかという懸念が生じる。しかし、スカート外形は
張出し量が徐々に変化する滑らかな湾曲形状となってい
るため、上死点付近でピストンの傾きが変るときにもシ
リンダ内周壁に滑らかに当って衝撃が小さく抑えられる
ことによりスラップ音が充分に低減される。実際にスラ
ップ音を測定しても、従来と比べて殆どスラップ音が増
大することはなく、実車で問題となるようなレベルのス
ラップ音の発生はなかった。
【0038】また、当実施形態では、シリンダ内周壁に
対する接触面積を小さくして摺動抵抗を低減するため
に、上述のようにスカート部が短くされるとともに、ス
カート部の横断面が概略楕円形とされ、とくに、図6に
示すような複合楕円形状とされることにより、耐スカッ
フ性の悪化が防止されつつ摺動抵抗が低減される。
【0039】すなわち、スカート部の横断面を概略楕円
形として、その偏平率を大きくするほどシリンダ内周壁
に対する接触面積が小さくなるが、偏平率が増大すると
シリンダ内周壁との接触部分である長径方向両側の部分
が尖ってスカッフ(部分的な焼付きによる傷)が生じ易
くなる。
【0040】これに対し、当実施形態のようにスカート
部の横断面を長径方向両側に位置する部分が偏平率小、
この部分よりもピンボス寄りに位置する部分が偏平率大
となる複合楕円形状とすると、シリンダ内周壁と接触す
る長径方向両側の部分が偏平化しすぎることがなくて耐
スカッフ性が良好に保たれ、かつ、ピンボス寄りの部分
の偏平率が大きいことにより摺動抵抗低減効果が高めら
れることとなる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のピストン
構造は、スカート部がいわゆる樽型のものにおいて、ス
カート上端部から下方へいくにつれ張出し量が徐々に大
きくなって最大値に到達する高さ位置である張出し量最
大到達高さ位置が、ピストンの高さ方向においてピンボ
ス中心高さ位置よりもスカート下端部の位置に近くなる
ような湾曲形状にスカート部外形を形成しているため、
運転中にスカート上部が大きく熱膨張してもこの部分の
張出しを充分に抑えて、摺動抵抗を低減することがで
き、しかも、上死点付近でピストンの傾きが変るときの
衝撃を小さく抑えることができる。
【0042】従って、摺動抵抗低減による燃費、出力性
能等の向上とスラップ音の抑制との両立を効果的に達成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のピストン構造が適用される内燃機関の
主要部の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態のピストン構造におけるピ
ストンの正面図である。
【図3】上記ピストンの断面図である。
【図4】上記ピストン構造を模式的に示す説明図であ
る。
【図5】ピストンのスカート部のプロフィールを示す図
である。
【図6】ピストンのスカート部の横断面形状を誇張して
示す図である。
【図7】本発明の一実施形態の構造による場合と従来の
構造による場合とにつき、エンジン1サイクル中の摩擦
力の変化を計測したデータを示すグラフである。
【符号の説明】
1 シリンダブロック 10 ピストン 13 スカート部 14 ピンボス H1 スカート高さ D ピストン径 H1 ピンボス中心高さ位置からスカート下端部までの
高さ方向寸法 H2 ピンボス中心高さ位置からピストン上端部までの
高さ方向寸法 M 張出し量最大到達高さ位置 B ピンボス中心高さ位置 L スカート下端部の位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗原 明 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 樫山 謙二 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3J044 AA02 AA04 AA05 CA15 DA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストンリング下方のスカート部の外形
    を、ピストンリング側のスカート上端部から中途高さ部
    位までは下方にいくにつれて徐々に張出し、中途高さ部
    位からスカート下端部にかけては下方にいくにつれて徐
    々に張出し量が少なくなるようにした内燃機関のピスト
    ン構造であって、スカート上端部から下方へいくにつれ
    張出し量が徐々に大きくなって最大値に到達する高さ位
    置である張出し量最大到達高さ位置が、ピストンの高さ
    方向においてピンボス中心高さ位置よりもスカート下端
    部の位置に近くなるような湾曲形状にスカート部外形を
    形成したことを特徴とする内燃機関のピストン構造。
  2. 【請求項2】 スカート部の高さ方向寸法をピストン径
    の1/2以下としたことを特徴とする請求項1記載の内
    燃機関のピストン構造。
  3. 【請求項3】 ピンボス中心高さ位置からスカート下端
    部までの高さ方向寸法を、ピンボス中心高さ位置からピ
    ストン上端部までの高さ方向寸法よりも小さくしたこと
    を特徴とする請求項2記載の内燃機関のピストン構造。
  4. 【請求項4】 少なくとも張出し量最大到達高さ位置に
    おける横断面を、ピンボス軸線方向と直交するスラスト
    ・反スラスト方向に長径を有し、偏平率が異なる少なく
    とも2つの楕円を複合させた複合楕円形状であって、長
    径方向両側に位置する部分が偏平率小、この部分よりも
    ピンボス寄りに位置する部分が偏平率大となる形状とし
    たことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の内
    燃機関のピストン構造。
  5. 【請求項5】 アルミ合金製のシリンダブロックにピス
    トンが嵌装されていることを特徴する請求項1乃至4の
    何れかに記載の内燃機関のピストン構造。
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