JP2002219552A - 消失模型鋳造法 - Google Patents

消失模型鋳造法

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JP2002219552A JP2001316341A JP2001316341A JP2002219552A JP 2002219552 A JP2002219552 A JP 2002219552A JP 2001316341 A JP2001316341 A JP 2001316341A JP 2001316341 A JP2001316341 A JP 2001316341A JP 2002219552 A JP2002219552 A JP 2002219552A
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Takeshi Narishima
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熔湯の吹き戻し等がなくスムーズな鋳込みが
でき、鋳物品質に優れた鋳物が得られる消失模型鋳造法
を提供する。 【解決手段】 鋳物砂内に貫通孔が形成されている模型
を埋設してなる鋳型に注湯し、注湯した該湯によって前
記模型を消失させながら製品を鋳造する際に、前記模型
の消失により発生した気体を、排出気体抑制手段を備え
た排出通路を介して前記鋳型の外部に徐放させつつ鋳造
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消失模型の鋳造法
に関し、特に消失模型から発生する気体を排出通路を介
して鋳型外へ徐放させつつ鋳造を行う消失模型鋳造法に
関する。
【0002】
【従来の技術】消失模型鋳造法はフルモールド法とも言
われ、一般に、ポリスチレン発泡体等より成る消失模型
を砂鋳型の中に埋設し、熔湯を注湯して湯の熱で消失模
型を気化消失させるとともに、生じた空隙に熔湯を充填
して、鋳造品を作る鋳造法であり、特にプレス金型の製
作に広く利用されている。
【0003】消失模型鋳造法は、正確な形状に鋳造でき
る等、多くの利点を有しているが、その反面、ガス抜き
調整不良による鋳造欠陥の発生、模型強度が低く変形が
起こりやすく、模型が傷つきやすいので強い砂込めがで
きず、充填密度が不足して鋳型強度の不足や焼着を引き
起こす等の欠点がある。
【0004】なお、ガス抜きに関する技術として、特開
平5−261470号公報には消失模型の内部に、排気
口と連通する通気経路を設ける方法が、また、特開平8
−206777号公報には外部気体を吸引しながら、鋳
物砂を通して発生ガスを外部に強制的に排出する方法
が、更に、特開平11−90583号公報にも発生する
ガスをスムーズに鋳型外に排出できるフルモールド鋳造
法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平5−2
61470号公報、特開平8−206777号公報、特
開平11−90583号公報のように、消失模型から発
生するガスをより効率良く鋳型外へ排出し、欠陥の少な
い鋳造品を得ようとする方法では、燃焼ガスの排出速度
が速すぎるため、鋳型内に発生したガス層の圧力分布が
大きくなり、通気経路に沿って熔湯が吹き上がる。その
結果、鋳型内での熔湯の乱れが大きくなり、残渣や発生
ガスが熔湯内に巻き込まれ、欠陥発生を助長する場合が
あった。
【0006】本発明の課題は、鋳型内のガス層の圧力分
布を調整することで、残渣欠陥の少ない優れた品質の鋳
物が得られる、改良された消失模型鋳造法を提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋳物砂内に貫
通孔が形成されている模型を埋設してなる鋳型に注湯
し、注湯した該湯によって前記模型を消失させながら製
品を鋳造する消失模型鋳造法であって、前記模型の消失
により発生した気体を、排出気体抑制手段を備えた排出
通路を介して前記鋳型の外部に徐放させつつ鋳造を行う
消失模型鋳造法に関する。また、本発明は、鋳物砂内に
貫通孔が形成されている模型を埋設してなる鋳型に注湯
し、注湯した該湯によって前記模型を消失させながら製
品を鋳造する際に、前記模型の消失により発生した気体
を、排出気体抑制手段を備えた排出通路を介して前記鋳
型の外部に徐放させつつ鋳造を行う、消失模型鋳造法に
おける湯乱れの防止方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の消失模型鋳造法を図1に
基づいて説明する。鋳型は、鋳枠4と鋳枠4の内部の鋳
物砂7と鋳物砂7に埋設された模型1等からなり、模型
1に連通した湯口5が左上方に設けられている。模型1
は、発泡ポリスチレンによって製品と同一形状に形成さ
れており、貫通孔2が設けられている。鋳物砂7は、
5.5号硅砂であり、粘結剤を適量含有させてある。鋳
型の形成は、まず、模型1の表面に耐火性に優れた塗型
剤3を塗布し、その後充分乾燥させる。そして鋳枠4に
湯道6を形成した後、模型1を固定し鋳物砂7で埋設
し、湯口5を設置する。その際、貫通孔2の内部は空間
にしておき、貫通孔2に連通する排出管を設け排出通路
8とする。排出通路8となる排出管はセラミック製で、
排出気体抑制手段としてバインダーで成型されたアルミ
ナ等の耐火物粒子9が充填され、貫通孔2と大気とを連
通させるように鋳物砂7に埋設される。
【0009】湯口5から熔湯を注湯すると湯は模型1を
溶融させて、鋳型内に溜る。一方、排出通路8からは、
湯によって溶融、燃焼された模型1の気体が排出される
のが確認されるが、耐火物粒子が充填されているので、
気体は徐放される。
【0010】このように、本発明では、模型の燃焼・消
失により発生した気体(以下、発生気体という)を鋳型
の外部に徐放させる。ここで、徐放とは、発生気体をそ
の発生とほぼ同時に強制的に排出するのではなく、その
排出量を抑制しつつ排出することをいう。このように発
生気体を鋳型の外部に徐放することで、鋳型内における
熔湯の乱れを制御できる。また、排出気体抑制手段と
は、該手段を設けることで上記徐放を達成し得る通気性
を有する手段であり、耐火物粒子及びその層、背圧弁、
中空細管等が挙げられ、熔湯の吹き出し防止や鋳物品質
の点から、耐火物粒子及びその層、背圧弁がより好まし
い。
【0011】本発明においては、排出通路を通過する気
体の第一の圧力損失(計算値)が0.05〜5000g
/cm2であることが好ましく、より好ましくは0.1
〜1000g/cm2であり、更に好ましくは0.5〜
100g/cm2であり、特に好ましくは1〜50g/
cm2である。ここで圧力損失とは、排出気体抑制手段
の前後(気体流路の上流、下流)の圧力差であり、排出
通路の排気側の圧力は何れでもよいが、好ましくは大気
圧である。なお、第一の圧力損失(計算値)は次のよう
な手順に則り、計算により求められる。まず図2に示し
たように、コンプレッサーから通気量(通常1〜10L
/分の範囲)を変動させて加圧空気を流通させた時のそ
れぞれの圧力を求め、それに基づき検量線を作成する。
鋳込み時間と予想される気体発生量Vから単位時間あた
りの気体発生量(L/分)を求め、検量線をその気体流
量に一次近似外挿することで第一の圧力損失(計算値)
が求まる。ここで、「鋳鍛造と熱処理」(1995年8
月号)の第27頁図3によれば、1000℃における熱
分解気体発生量として、ポリスチレンで650cm3
g、ポリメチルメタクリレートで980cm3/gであ
る。これら以外の材質を用いる場合は計測してVを求め
る。この第一の圧力損失(計算値)は、実験が容易で簡
便に求められるという利点がある。
【0012】また、本発明においては、排出通路を通過
する気体の第二の圧力損失(実測値)が0.5〜500
0g/cm2であることが好ましく、更に好ましくは5
〜1000g/cm2であり、特に好ましくは10〜5
00g/cm2である。この第二の圧力損失(実測値)
は、排出気体抑制手段の入り口側の圧力変化を圧力計
(ゲージ圧力)により測定したときの最大値である。こ
の第二の圧力損失(実測値)は、第一の圧力損失に比べ
て実験が難しくなるが、鋳物品質との相関性がより高い
という利点がある。
【0013】また、排出気体抑制手段が耐火物の充填に
より構成される場合、すなわち排出気体抑制手段が耐火
物の層からなる場合、該排出気体抑制手段は、第一の通
気度(検量線外挿気体流量からの計算値)が0.5〜2
000、更に5〜1000、特に50〜800であるこ
とが好ましい。通気度は、JACT試験法M−1「通気
度試験法」に準じて測定されるものである。この試験法
では、通気度は、(V×h)/(P×A×t)で算出さ
れる。本発明において、Vは上記検量線外挿から計算さ
れた熱分解気体の発生量(cm3)、hは耐火物等の充
填厚さ(cm)、Pは排出通路における排出気体の第一
の圧力損失(計算値)(g/cm2)、Aは排出通路の
断面積(cm2)、tは鋳込み時間(秒)とする。
【0014】更に本発明では、第二の通気度(空気流量
2L/分における計算値)が100〜10,000,0
00、更に200〜1,000,000、特に250〜
500,000、特に更には300〜100,000で
ある排出気体抑制手段を用いることが好ましい。この第
二の通気度は、空気流量を2L(2000ml)/分と
した時の通気度であり、2000×h/(P×A)によ
り求める。
【0015】通気性のある耐火物層としては、耐火物粒
子をバインダー等を添加して成型させたものや、ウレタ
ンフォームにセラミックススラリーを浸漬しその後焼成
した、いわゆるセラミックスフォームフィルター等を使
用することもでき、好ましくは前者である。耐火物粒子
の平均粒径は0.1〜10mm、更に0.5〜5mmが
好ましく、金属又はその酸化物の粒子、例えばアルミ
ナ、珪砂、ジルコン砂、クロマイト砂、合成セラミック
砂等が挙げられる。耐火物は、排出通路の面積、形状に
もよるが、厚さが0.5〜20cm、更に1〜10cm
となる量で充填されることが好ましい。
【0016】また、背圧弁とは、気体の流れ方向の圧力
を弁の前側(気体流路の上流)に比して後側(気体流路
の下流)を低く設定できる弁のことであり、バネ式低圧
バルブ、ニードル式等何れを用いてもよく、これらを排
気通路に設置することで排出気体抑制手段が形成され
る。
【0017】排出通路となる排出管の径、設置位置、数
等は、模型の形状や大きさにより決められる。排出通路
は、直径30cm以下、好ましくは1〜10cmの円筒
状の、好ましくはセラミック製の排気管により形成され
るのが好ましい。その本数については所望の通気度を確
保できるように適宜決定すればよいが、発泡体1千〜1
0万cm3、好ましくは1千〜1万cm3あたり、1本設
けるのが好ましい。
【0018】なお、中空細管を排出気体抑制手段とする
場合、該細管を模型に接するように設置してもよい。中
空細管は排出通路を兼ねることができる。中空細管は、
内径0.1〜5cm、長さ30cm〜5m、好ましくは
内径0.5〜2cm、長さ40cm〜2mで、金属等の
耐火性のある材質で構成されるものが好ましい。
【0019】模型は、合成樹脂発泡体からなるものが使
用される。合成樹脂発泡体としては、ポリスチレン、ポ
リメタクリル酸メチル、又はこれらの共重合体等の発泡
体が用いられる。
【0020】模型には、貫通孔が形成されている。特
に、図1のように、排出気体抑制手段を備えた排出通路
8、更に湯道6に連通する貫通孔を形成することが好ま
しい。熱分解ガスの徐放を精度良くコントロールするた
めには、排出気体抑制手段に集中的にガスを導く必要が
ある。そのため、模型には排出通路、更に湯道に連通す
る貫通孔を形成することが好ましい。貫通孔は、模型作
製時に形成してもよいし、模型作製後、加熱した金属棒
等、あるいはドリル、レーザーにより形成してもよい
し、カッターナイフ等で切れ込みを入れた後、接着テー
プ等を模型表面に貼り付けることで形成させてもよい。
貫通孔の径、形成位置、数等は、模型の形状や大きさに
より決める。
【0021】模型には塗型剤により塗型層が形成され
る。本発明では塗型膜を通じてのガス排出の必要が少な
いため、塗型剤としては、市販のもののほか、従来フル
モールド法では通常使用することのできなかった、粒径
10μm以下、好ましくは1〜10μmの細粒径の耐火
性骨材を含有するものをも使用することが可能となる。
これにより、塗型膜の表面平滑性が向上し、鋳物の表面
平滑性も向上する。従来、細粒径の耐火性骨材を含有す
る塗型剤を消失模型鋳造法に使用すると、塗型膜の通気
性が低下し、残渣欠陥やガス欠陥の増加が見られていた
が、本発明の消失模型鋳造法ではこのような問題は解消
される。また、2〜10mmという厚膜の塗型層を形成
して高強度の塗型膜とすることで、大粒径(1mm以
上)の耐火性粒子を用い、充填性を向上させることもで
きる。塗型剤中の耐火性骨材としては、例えば黒鉛、ジ
ルコン、マグネシア、アルミナ、シリカなどがある。ま
た塗型剤の粘結剤として、水系ではポリアクリル酸ナト
リウム、澱粉、メチルセルロース、ポリビニルアルコー
ル、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性高
分子や酢酸ビニル系等の各種の樹脂のエマルションを、
またアルコール系ではアルコール可溶もしくは分散する
各種樹脂を添加するのが、塗型強度の点から好ましい。
添加量は耐火性骨材100重量部に対し、好ましくは
0.5〜10重量部である。
【0022】鋳造に用いる鋳物砂としては、石英質を主
成分とする珪砂の他、ジルコン砂、クロマイト砂、合成
セラミック砂等の新砂又は再生砂が使用される。鋳物砂
は粘結剤を添加せずに用いることもでき、その場合には
充填性が良好であるが、強度が必要な場合には、粘結剤
を添加し、硬化剤により硬化させるのが好ましい。
【0023】本発明の方法では、発生ガスを外部に徐放
させることにより、注湯時の湯乱れを抑制しつつ鋳造を
行うことができる。これは、注湯に適度な背圧、好まし
くは前記第一、第二の圧力損失を達成できる程度の背圧
が、第一、第二の通気度を有する排出気体抑制手段を用
いて、負荷されることにより、湯乱れ(鋳込み時の熔湯
の吹き戻し等)の発生防止と速やかな注湯とが実現され
ているためと考えられる。
【0024】
【発明の効果】本発明では発生気体が強制的に排出され
ることもなく徐放されるため、鋳型内の気体層の圧力分
布が小さくなり、従来法と比較して残渣欠陥が飛躍的に
低減される。
【0025】更なる効果として、従来のフルモールド法
と比較して気体排出性がコントロールされるため、鋳込
み時の吹き戻しや、気体排出口からの熔湯の吹き上がり
が抑制され、作業安全性が向上する。
【0026】また、従来のフルモールド法の如く、塗型
膜を通してのガス排出の必要性が少ないため、細粒径の
耐火性骨材を含有する塗型剤を用いて鋳物の表面平滑性
を向上させたり、厚膜の塗型層を形成して塗型膜を高強
度とすることができる。
【0027】
【実施例】実施例1 120mm×80mm×250mmHの発泡模型1(発
泡ポリスチレン製)に、直径3mmの金属棒を加熱し、
図1のように貫通孔2を形成した。貫通孔2の直径は約
4mmであった。
【0028】内径4cmの円筒形の陶管(長さ30c
m)に、エステル硬化性フェノール樹脂を含有する直径
2mmの球状アルミナ9を厚さ(h)2.5cmとなる
ように充填し硬化させ排出通路8とした。
【0029】この排出通路8について、圧力損失Pを、
図2のように測定した。その結果、空気通気速度1L/
分ではP=0.02g/cm2、空気通気速度3L/分
ではP=0.08g/cm2、空気通気速度5L/分で
はP=0.15g/cm2であった。本実施例では、鋳
込み時間(t)を10秒としたため、単位時間あたりの
気体排出量は約172L/分となる。よって172L/
分の時の第一の圧力損失Pは6g/cm2となる。
【0030】なお、本実施例の発泡模型1の重量は44
gであり、先に示したポリスチレンの1000℃におけ
る熱分解気体発生量の文献値から、この発泡模型の熱分
解気体発生量Vは28600cm3となり、気体排出量
は28.6L/10秒≒172L/分と計算される。
【0031】以上から、本実施例では、V=28600
cm3、h=2.5cm、P=6g/cm2、A=12.
6cm2(3.14×2×2)、t=10秒であり、排
出気体抑制手段である球状アルミナ充填層の第一の通気
度は、(V×h)/(P×A×t)=(28600×
2.5)/(6×12.6×10)=95となる。
【0032】また、空気通気速度を2L/分とした時の
圧力損失は0.05g/cm2であり、それにより第二
の通気度は、(2000×2.5)/(0.05×1
2.6)=7937と計算される。
【0033】貫通孔を形成した模型1表面に塗型剤3
(80ボーメ)を塗布し乾燥後、図1に準じて造型を行
った。鋳鉄の材質はFC−250、鋳込み温度は140
0℃であった。鋳込み時の状況及び得られた鋳物の品質
(鋳肌の状態)を評価した。
【0034】鋳込み時に、排出気体抑制手段である球状
アルミナ充填層9を備えた排出通路8の入り口側の圧力
変化を圧力計(ゲージ圧力)により測定し、第二の圧力
損失を得た。
【0035】評価結果と鋳込み時間、第一の圧力損失
(計算値)、第二の圧力損失(実測値)、及び排出気体
抑制手段の第一の通気度(検量線外挿気体流量からの計
算値)、第二の通気度(空気流量2L/分における計算
値)を表1に示す。なお、塗型剤の組成は、シリカ粉
(平均粒径8μm)40重量%、鱗状黒鉛10重量%、
酢酸ビニル系バインダー5重量%、水40重量%、非イ
オン界面活性剤0.5重量%、ベントナイト4.5重量
%であった。
【0036】実施例2〜4 鋳込み時間、圧力損失及び排出気体抑制手段の通気度を
表1のように変えた以外は実施例1と同様に鋳込みを行
い、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0037】なお、実施例2では、直径0.5mmの球
状アルミナを厚さ2cmとなるように充填した。その排
出通路における圧力損失Pは、空気通気速度1L/分で
はP=0.47g/cm2、空気通気速度3L/分では
P=1.41g/cm2、空気通気速度5L/分ではP
=2.36g/cm2であった。
【0038】また、実施例3では、直径5mmの球状ア
ルミナを厚さ2cmとなるように充填した。その排出通
路における圧力損失Pは、空気通気速度1L/分ではP
=0.0033g/cm2、空気通気速度3L/分では
P=0.0099g/cm2、空気通気速度5L/分で
はP=0.0165g/cm2であった。
【0039】また、実施例4では、直径0.1mmの球
状アルミナを厚さ2.5cmとなるように充填した。そ
の排出通路における圧力損失Pは、空気通気速度1L/
分ではP=1.36g/cm2、空気通気速度3L/分
ではP=1.72g/cm2、空気通気速度5L/分で
はP=2.22g/cm2であった。
【0040】実施例5 排出気体抑制手段として内径8.8mm、長さ600m
mのステンレス製細管を用い、排出通路を設けない(前
記細管が排出通路を兼ねる)以外は実施例1と同様に鋳
込みを行い、同様の評価を行った。該細管は模型の貫通
孔と連通するように設置した。この排出通路における圧
力損失Pは、空気通気速度1L/分ではP=0.02g
/cm2、空気通気速度3L/分ではP=0.09g/
cm2、空気通気速度5L/分ではP=0.16g/c
2であった。結果を表1に示す。
【0041】比較例1 実施例1において、排出通路8を設けない以外は同様に
鋳込みを行い、同様の評価を行った。結果を表1に示
す。
【0042】比較例2 実施例1において、排出通路にアルミナボールを充填し
ない以外は同様に鋳込みを行い、同様の評価を行った。
結果を表1に示す。
【0043】比較例3 実施例1において、貫通孔が形成されていない模型を用
いた以外は同様に鋳込みを行い、同様の評価を行った。
結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】(注1):実施例5、比較例2では、アル
ミナボールを充填していないため、充填厚さが規定でき
ず、通気度は求められなかった。
【0046】(注2):排出気体抑制手段を用いていな
いため数値無し。この比較例1は、圧力損失が限りなく
大きい排出気体抑制手段を設置した系と同等と見なすこ
とができる。
【0047】(注3):排出気体抑制手段を用いていな
いため数値無し。この比較例1は、通気度が限りなく小
さい排出気体抑制手段を設置した系と同等と見なすこと
ができる。
【0048】(注4):排出気体抑制手段を通過する熱
分解気体量を把握できないため、計算できなかった。
【0049】(注5):総合評価は、◎が最良で、以下
○、△、×の順に評価が下がることを意味する。×は実
用上、問題のあるレベルである。
【0050】なお、表1中、実施例1とほぼ同じ圧力損
失を生じている実施例5で鋳物品質がやや低下している
のは、実施例5では細管を用いているため該細管内の中
央と壁面で排出気体の流速に差異が生じ、これが影響し
ているものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消失模型鋳造法の一例を示す概略図
【図2】通気抵抗の測定方法を示す概略図
【符号の説明】
1 模型 2 貫通孔 8 排気通路 9 耐火物粒子
フロントページの続き (72)発明者 高城 栄政 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 成島 毅 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 船田 等 愛知県豊橋市明海町4−51 花王株式会社 研究所内 Fターム(参考) 4E093 GA08 GB16 GD04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳物砂内に貫通孔が形成されている模型
    を埋設してなる鋳型に注湯し、注湯した該湯によって前
    記模型を消失させながら製品を鋳造する消失模型鋳造法
    であって、前記模型の消失により発生した気体を、排出
    気体抑制手段を備えた排出通路を介して前記鋳型の外部
    に徐放させつつ鋳造を行う消失模型鋳造法。
  2. 【請求項2】 排出通路を通過する気体の第一の圧力損
    失(計算値)が0.05〜5000g/cm2である請
    求項1記載の消失模型鋳造法。
  3. 【請求項3】 排出通路を通過する気体の第二の圧力損
    失(実測値)が0.5〜5000g/cm2である請求
    項1又は2記載の消失模型鋳造法。
  4. 【請求項4】 排出気体抑制手段の第一の通気度(検量
    線外挿気体流量からの計算値)が0.5〜2000であ
    る請求項1〜3の何れか1項記載の消失模型鋳造法。
  5. 【請求項5】 排出気体抑制手段の第二の通気度(空気
    流量2L/分における計算値)が100〜10,00
    0,000である請求項1〜4の何れか1項記載の消失
    模型鋳造法。
  6. 【請求項6】 排出気体抑制手段が耐火物粒子からなる
    請求項1〜5の何れか1項記載の消失模型鋳造法。
  7. 【請求項7】 排出気体抑制手段が背圧弁からなる請求
    項1〜5の何れか1項記載の消失模型鋳造法。
  8. 【請求項8】 粒径10μm以下の耐火性骨材を含有す
    る塗型剤が塗布された模型を用いる請求項1〜7の何れ
    か1項記載の消失模型鋳造法。
  9. 【請求項9】 発生ガスを外部に徐放させることによ
    り、注湯時の湯乱れを抑制しつつ鋳造を行う請求項1〜
    8の何れか1項記載の消失模型鋳造法。
  10. 【請求項10】 鋳物砂内に貫通孔が形成されている模
    型を埋設してなる鋳型に注湯し、注湯した該湯によって
    前記模型を消失させながら製品を鋳造する際に、前記模
    型の消失により発生した気体を、排出気体抑制手段を備
    えた排出通路を介して前記鋳型の外部に徐放させつつ鋳
    造を行う、消失模型鋳造法における湯乱れの防止方法。
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