JP2002218721A - 高速回転体、この高速回転体を用いた光偏向器およびそのバランス修正方法 - Google Patents

高速回転体、この高速回転体を用いた光偏向器およびそのバランス修正方法

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JP2002218721A JP2001005626A JP2001005626A JP2002218721A JP 2002218721 A JP2002218721 A JP 2002218721A JP 2001005626 A JP2001005626 A JP 2001005626A JP 2001005626 A JP2001005626 A JP 2001005626A JP 2002218721 A JP2002218721 A JP 2002218721A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バランス修正のための部材を付加することな
くバランスの修正を可能にして、バランス調整後の温度
上昇などによるバランスの狂いを無くすことができ、ま
た、コストの低廉化を図ることができる高速回転体、こ
の高速回転体を用いた光偏向器およびそのバランス修正
方法を得る。 【解決手段】 バランス修正のための切削痕21、2
2、23、34、25を軸方向に少なくとも2箇所に有
し、切削痕は軸中心に向かって切削されている高速回転
体。高速回転体はミラー部9を有するとともにロータ磁
石11が固定されてモータのロータ12を構成し、ロー
タ12はステータに対向して回転自在に支持され、ロー
タとステータとの間の電磁力によりロータ12がミラー
部9と一体に回転駆動される光偏向器。高速回転体に、
バランス修正箇所を軸方向に少なくとも2箇所設け、バ
ランス修正箇所において軸中心に向かい切削する高速回
転体のバランス修正方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速回転体、この
高速回転体を用いた光偏向器およびそのバランス修正方
法に関するもので、例えば空気動圧ラジアル軸受によっ
て回転自在に支持される光偏向器用ロータハウジングな
どに適用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、光偏向器として用いられる
いわゆるポリゴンスキャナに適用可能な中空回転体のバ
ランス修正方法に関して特許出願をした。特開平7−1
67731号公報記載の発明がそれである。この発明
は、外周部の円周方向に案内溝が形成されたバランスリ
ングを中空回転体の外周に取り付け、この中空回転体を
バランス修正冶具の受座上に載置し、チャック部材によ
りチャッキングして固定し、固定された中空回転体に取
り付けられている上記バランスリングのバランス修正位
置において、上記案内溝にドリルの先端を案内し、ドリ
ルでバランス修正位置を切削して中空回転体のバランス
を調整するものである。
【0003】ポリゴンスキャナに適用可能な中空回転体
の場合、中空回転体の内周側は空気動圧軸受を構成して
いて、固定軸の外周面と微小な間隙をおいて対向してい
るため、中空回転体内部に塵埃類が侵入することは未然
に防止されなければならない。その点、上記中空回転体
のバランス修正方法によれば、バランス修正によって発
生した切粉などの塵埃類が中空回転体の内部に侵入する
ことがなく、低コストでバランス修正を行うことができ
る。また、ねじ孔加工などを行う必要もないので、バラ
ンス修正を容易にかつ精度よく行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記中
空回転体のバランス修正方法によれば、案内溝が形成さ
れたバランスリングを中空回転体に付加するものである
ため、部品数が多くなり、高精度にバランス調整を行っ
ても、モータの発熱などによって温度が上昇すると、中
空回転体とバランスリングとの間にずれが生じ、バラン
スが狂う要因となっていた。上記中空回転体とバランス
リングとのずれが微小量であったとしてもバランスが狂
う要因となる。また、部品数が多くなることによってコ
スト高の要因ともなっている。
【0005】本発明は以上のような従来技術の問題点を
解消するためになされたもので、バランス修正のための
部材を付加することなくバランスの修正を可能にして、
バランス調整後の温度上昇などによるバランスの狂いを
無くすことができ、また、コストの低廉化を図ることが
できる高速回転体、この高速回転体を用いた光偏向器お
よびそのバランス修正方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
高速回転体に関するもので、バランス修正のための切削
痕を軸方向に少なくとも2箇所に有し、この切削痕は軸
中心に向かって切削されていることを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、高速回転体は、光偏向器用ロータハウジン
グであって、ミラー部が形成されたフランジ部を有する
とともに、ロータ磁石が固定されていることを特徴とす
る。請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明におい
て、アルミ合金素材からなり、切削痕がミラー部を除く
ロータハウジング外周面にあることを特徴とする。
【0008】請求項4記載の発明は、請求項1、2また
は3記載の発明において、切削痕は軸中心に向かって斜
めに切削されていることを特徴とする。請求項5記載の
発明は、請求項4記載の発明において、高速回転体は、
軸方向に彫られた円周溝を有し、この円周溝内に切削痕
があることを特徴とする。請求項6記載の発明は、請求
項1から5までのいずれかに記載の発明において、複数
の切削痕が軸線方向に1列に並んでいることを特徴とす
る。
【0009】請求項7記載の発明は、請求項1から6ま
でのいずれかに記載された高速回転体を用いた光偏向器
であって、高速回転体はミラー部を有するとともにロー
タ磁石が固定されてモータのロータを構成しており、こ
のロータはモータのステータに対向して回転自在に支持
され、ロータとステータとの間の電磁力により上記ロー
タが上記ミラー部と一体に回転駆動されることを特徴と
する。
【0010】請求項8記載の発明は、高速回転体のバラ
ンス修正方法に関するものであって、高速回転体に、バ
ランス修正箇所を軸方向に少なくとも2箇所設け、この
少なくとも2箇所のバランス修正箇所において軸中心に
向かい切削することを特徴とする。
【0011】請求項9記載の発明は、請求項8記載の発
明において、高速回転体は光偏向器用ロータハウジング
であって、ミラー部が形成されたフランジ部を有すると
ともにロータ磁石が固定されていて、このロータハウジ
ングのバランス修正箇所において軸中心に向かい切削す
ることを特徴とする。
【0012】請求項10記載の発明は、請求項8または
9記載の発明において、バランス修正箇所において軸中
心に向かい斜めに切削することを特徴とする。請求項1
1記載の発明は、請求項8、9または10記載の発明に
おいて、高速回転体を軸線方向にずらしながら、バラン
ス修正箇所において軸中心に向かい切削することを特徴
とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
にかかる高速回転体、この高速回転体を用いた光偏向器
およびそのバランス修正方法の実施の形態について説明
する。図1において、モータハウジング1はほぼ中央部
から一体に立ち上がった円筒部2を有し、円筒部2の外
周側にはステータコア3が嵌められて固定されている。
ステータコア3は積層コアからなり、複数の突極を有し
ている。各突極には駆動コイル4が巻かれている。上記
円筒部2の内周側には固定軸5の下部が焼キバメにより
又は圧入されて固定され、固定軸5がモータハウジング
1から立ち上がっている。固定軸5は円筒形のセラミッ
ク材料からなり、その外周面の上下には、ヘリングボー
ン状の動圧発生溝6が形成されている。
【0014】上記固定軸5の外周側には、固定軸5の外
周面との間に微小な間隙、例えば数μmの間隙をおいて
回転スリーブ7が嵌められている。回転スリーブ7は円
筒形のセラミック製で、上記固定軸5の動圧発生溝6を
覆うことにより、回転スリーブ7と固定軸5との間で空
気動圧軸受を構成している。回転スリーブ7の外周側に
は高速回転体としてのロータハウジング8の中心円筒部
が焼き嵌めまたは圧入されて、回転スリーブ7とロータ
ハウジング8とが一体化されている。ロータハウジング
8はフランジ部を有し、このフランジ部の外周面にはミ
ラー部9が形成されている。ミラー部9は複数のミラー
面からなり、複数のミラー面が周方向に等間隔で形成さ
れて、回転多面鏡(ポリゴンミラー)を構成している。
【0015】ロータハウジング8の上記フランジ部の根
元に相当する部分には、ロータハウジング8の上記中心
円筒部を取り囲むようにして、円周溝10が形成されて
いる。円周溝10はロータハウジング8を軸方向に彫る
ことによって形成されている。円周溝10を形成するこ
とにより、ロータハウジング8と回転スリーブ7とを焼
キバメすることによって又は圧入することによってロー
タハウジング8に生じる内部応力、または温度上昇に伴
ってロータハウジング8に生じる内部応力がミラー部9
に及ぶことを遮断し、ミラー部9が歪むことを防止して
いる。
【0016】ロータハウジング8の上端部はスリーブ7
の上端から突出しており、このロータハウジング8の突
出上端部内周側に、アルミ合金からなる円板状の閉止部
材13が圧入または焼き嵌めまたは接着などによって固
定されている。閉止部材13の中央には磁性体からなる
回転ヨーク14が嵌められている。ロータハウジング8
と閉止部材13と回転ヨーク14は一体となって回転す
るロータ12を構成している。回転ヨーク14は、固定
軸5の内方に侵入するとともに、二つの周方向の突堤1
8を上下に有している。閉止部材13はスリーブ7の上
端解放部を閉止する機能も有している。
【0017】固定軸5の内周面にはリング状の磁石15
が嵌められて固定されるとともに、この磁石15の上下
の端面に当接させて磁性板16、17が固定されてい
る。磁性板16、17の上下間隔は上記回転ヨーク14
の二つの突堤18の上下間隔と等しく、かつ、磁性板1
6、17の内周面と二つの突堤18の外周面とが適宜の
間隙をおいて対向している。磁石15から出た磁束は、
磁性板16、17、上記間隙、上記二つの突堤18、回
転ヨーク14からなる磁路を通る。そして、上記間隙が
最小になるように磁気的吸引反発力が働き、この磁気的
吸引反発力で上記ロータ12をスラスト方向に支持して
いる。したがって、磁石15、磁性板16、17、二つ
の突堤18を有する回転ヨーク14によって、スラスト
磁気軸受を構成している。
【0018】前記ロータハウジング8は図において下部
に円筒状のハウジング部を有し、このハウジング部の内
周側にはロータ磁石11が固定されている。ロータ磁石
11は円筒形のものであってもよいし、部分円筒形のも
のを複数個周方向に配置して全体として円筒形をなすよ
うにしてもよい。いずれにせよ、ロータ磁石11は半径
方向から着磁されるとともに、S極とN極が周方向に交
互に等間隔で並んでいる。ロータ磁石11の内周面とス
テータコア3の外周面とが適宜の間隙をおいて周方向に
対向している。ステータコア3、駆動コイル4を有して
なるステータと、ロータ12とによってアウタロータ形
ブラシレスモータを構成している。
【0019】前記モータハウジング1の内方底部には磁
性体28が固定されている。磁性体28はモータハウジ
ング1の周壁内周面に沿って立ち上がった周壁を一体に
有する有底円筒形をしている。この磁性体28とその周
壁は、ロータ磁石11を有するロータハウジング8の円
筒状ハウジング部を外方から囲んでいて、ロータ磁石1
1からの漏れ磁束をシールドする機能を有していて、モ
ータハウジング1に渦電流が流れるのを防止している。
【0020】モータハウジング1の内方底部にはまた、
磁性体28の上方に回路基板27が固定されている。回
路基板27には、ロータ磁石11の磁界を検出するホー
ル素子29が実装されている。ホール素子29から出力
される信号はロータ磁石11の位置信号で、この位置信
号を参照しながら駆動回路により各駆動コイル4への通
電を切り替え制御することにより、ステータコア3とロ
ータ磁石11との間に生じる磁気的吸引反発力によって
ロータ12が回転駆動される。ロータ12の回転によっ
て、固定軸5とスリーブ7との間に形成されているラジ
アル空気動圧軸受に動圧力が発生し、ロータ12が非接
触でラジアル方向に支持される。また、前記スラスト磁
気軸受によりロータ12が非接触でスラスト方向に支持
される。
【0021】このように、ロータ12は非接触で支持さ
れるため、容易に高速回転駆動することができる。ま
た、磁気軸受を構成するロータハウジング8および固定
軸5の内部空間は空気溜まり20となっていて、この空
気溜まり20とロータ12の外部空間との間を連通させ
る微細な孔が形成され、磁気軸受にダンピング特性が与
えられている。
【0022】図1に示す例では、ロータハウジング8は
光偏向器用のロータハウジングであり、このロータハウ
ジング8が高速で回転駆動される。ロータ磁石11はプ
ラスチック磁石などからなり、高速回転によって発生す
る遠心力でロータ磁石11が破壊しないように、外周側
がロータハウジング8の円筒状ハウジング部で保持され
ている。ロータ磁石11は、これを遠心力に対して耐え
ることができる金属磁石としてもよいが、薄肉化が容易
なプラスチック磁石を用い、これをロータハウジングで
保持する図示の構造のようにするのが有利である。
【0023】また、ロータ磁石11は図1において下端
部が解放していて、この解放磁路内に上記ホール素子1
2が配置され、これによってホール素子12がロータ磁
石11の磁界を検出するようになっている。そして、こ
のロータ磁石11からの漏れ磁束を上記磁性体28がシ
ールドするようになっている。
【0024】モータハウジング1の底面側には、支柱3
6によって回路基板37が固定されている。回路基板3
7には、各駆動コイル4への通電を切り替え制御するた
めの各種回路部品38が実装されるとともに、ホール素
子29の検出信号が入力されるようになっている。モー
タハウジング1は上部が解放し、この解放上端には上カ
バー41が取り付けられている。モータハウジング1に
は、前記ミラー部9へ光束を入出射させるための窓孔4
5が形成され、窓孔45はガラス板などの透明板46で
塞がれている。このようにして、光偏向器内部は密閉さ
れている。
【0025】さて、ロータハウジング8は高速回転する
ため、そのバランスは精度よく調整されていなければな
らない。バラスが狂っていると、高速回転時の振動、騒
音の原因となる。図2は、バランス修正のための切削痕
を有する高速回転体としてのロータハウジング8の一例
を示す。図2において、ロータハウジング8は5箇所に
切削痕21、22、23、24、25を有している。切
削痕21、22、23、24、25は、ロータハウジン
グ8の軸線方向に1列に並んでいる。ただし、図2は、
切削痕を設ける位置を例示したものであって、必ずしも
5箇所に設ける必要はなく、少なくとも2箇所に切削痕
があればよい。その場合、ロータ12の重心位置Gを境
にして軸方向両側(図2において上側と下側)に切削痕
を分散させる。
【0026】ロータハウジング8は切削加工が容易なア
ルミ合金素材からなる。上記切削痕を設ける位置は図2
に示すものに限られるものではない。ミラー部9を除く
ロータハウジング8の外周面にあればよい。上記各切削
痕21、22、23、24、25はいずれもロータハウ
ジング8の軸中心に向かい、中心軸線に対し直交する向
きに切削されている。
【0027】次に、上記ロータハウジング8のバランス
修正方法の実施形態について図3を参照しながら説明す
る。図3において、高速回転体としてのロータハウジン
グ8は、その中心軸線を水平方向に向けてバランス修正
冶具に載置され、チャック部材によりチャッキングされ
て固定される。バランス修正冶具はロータハウジング8
を固定したままロータハウジング8の軸線方向に移動可
能となっている。図3では、実線で示す位置から破線で
示す位置までの範囲で移動可能となっている。ロータハ
ウジング8の所定位置において切削痕を形成することに
よりロータハウジング8のバランスを修正するために、
ロータハウジング8の軸中心に向かい、かつ、中心軸線
に対し直交する方向に移動可能にドリルのような切削ツ
ール43を設けておく。
【0028】ロータハウジング8のバランスを修正する
に当たっては、切削する必要のある位置(図3に示す例
では切削痕25の位置)が切削ツール43の真下にくる
ようにバランス修正冶具を移動させ、その位置で切削ツ
ール43を下降させ、ロータハウジング8を切削する。
そのあと再び切削する必要のある別の位置(例えば、図
3において切削痕21の位置)が切削ツール43の真下
にくるようにバランス修正冶具を移動させ、その位置で
再び切削ツール43を下降させ、ロータハウジング8を
切削する。切削の深さによってバランス修正量を調整す
る。上記の2箇所を切削しても修正することができない
場合は、さらにバランス修正冶具を移動させ、別の切削
痕対応位置、例えば、図3において切削痕22、23ま
たは24に対応する位置で切削ツール43を下降させ、
ロータハウジング8を切削する。このようにして、少な
くとも2箇所の必要箇所において切削することにより、
容易にバランスを修正することができる。
【0029】なお、ロータハウジング8の軸中心を挟ん
で互いに反対側で切削する必要がある場合は、ロータハ
ウジング8を図3において上下反転させてチャック部材
によりチャッキングし、上記のような工程を実行するこ
とによってバランスを修正する。
【0030】以上説明した実施形態では、切削痕がロー
タハウジング8の軸中心に向かい、中心軸線に対し直交
する向きに切削されるものであったが、図4に示す実施
形態のように、切削痕を、ロータハウジング8の軸中心
に向かい、中心軸線に対し斜めに切削することによって
形成してもよい。図4において、符号31、32、3
3、34、35は、中心軸線に対し斜めに切削すること
によって形成した切削痕を示す。これら5箇所の切削痕
をすべて形成する必要はない。ロータハウジング8の重
心Gを挟んで軸方向に少なくとも2箇所に切削痕があれ
ばよい。複数の切削痕は軸線方向に1列に並んでいる。
【0031】上記各切削痕31、32、33、34、3
5はいずれも同じ角度で中心軸線に対し斜めに切削され
て形成されている。このような切削痕を形成するための
冶具および切削ツールは、基本的には図3に示すものと
同じものを用いればよいが、切削ツール43の取り付け
角度および移動方向を、切削痕の傾き角度と同じ角度に
すればよい。
【0032】上記各切削痕31、32、33、34、3
5のうち、切削痕32は、ロータハウジング8が有する
前記円周溝10内に形成されている。上記のように、切
削ツール43の取り付け角度および移動方向を、ロータ
ハウジング8の中心軸線に対し斜め方向としているた
め、上記円周溝10の開口から切削ツール43を斜めに
侵入させることにより、円周溝10内に切削痕32を形
成することができる。円周溝10内に切削痕32を形成
すると、切削分が円周溝10内に滞留し易くなり、切削
粉でミラー部9を損傷する可能性が低くなる。円周溝1
0内に滞留した切削粉は適宜の方法、例えば空気ととも
に吸引するなどの方法で取り除く。上記円周溝10は、
前述のようにミラー部9の歪みを防止するために形成さ
れるものであるが、円周溝10を形成することによっ
て、バランス修正のための切削痕を形成するための、ロ
ータハウジング8の表面積が増大する利点もある。
【0033】切削ツールとしては、ドリルのほかにレー
ザービームの照射により切削するようにしたレーザー加
工機を用いてもよい。機械的な切削による加工では、ワ
ークであるロータハウジング8に機械的な応力がかか
り、ミラー部9に歪みを生じることがあり得るが、レー
ザー加工機を用いれば、機械的な応力がかからないから
ミラー部9に歪みを生じることがなく、ミラー面を高精
度に維持することができる。また、切削粉などの塵埃が
発生しないから、ミラー部9に塵埃が付着することもな
い。
【0034】ところで、ロータハウジング8などの高速
回転体が毎分30000回転以上の高速で回転する場合
において、低振動を実現するためには、アンバランス量
は10mg・mm以下が必要であり、例えば半径10m
mの個所で修正量は1mgを達成しなければならないこ
とになる。このような微小な修正量を達成するために
は、接着剤などの付着物では管理がしにくく、また、微
小な接着剤では接着力が弱く、毎分30000回転以上
の高速回転によって剥離し、飛散してしまう。その点、
前記実施形態のような高速回転体を切削する方法なら、
上記のような不具合は発生しない。
【0035】また、図示の実施形態によれば、切削の向
きが回転体の軸中心に向かっているため、軸中心に向か
って切削が進むほど切削位置の半径が小さくなり、切削
量に対するバランス修正量を高精度化することができ
る。半径が小さくなると、同じ質量であってもアンバラ
ンス量に対する影響が小さくなるからである。
【0036】本発明は、回転多面鏡などからなる光偏向
器以外にも、高速回転体一般に適用することができる。
例えば、CD・ROM回転駆動用モータあるいはそのハ
ブ台、ハードディスクドライブ用モータのロータなどに
も適用することができる。
【0037】
【発明の効果】請求項1〜6記載の高速回転体によれ
ば、バランス修正のための切削痕を軸方向に少なくとも
2箇所に設け、この切削痕を軸中心に向かって切削する
ようにしたため、バランス修正用の部品を特別に用意す
る必要がなく、部品点数を少なくしてコスト低減を図る
ことができるとともに、経時変化あるいは温度変化など
によってバランスが狂う要因を少なくすることができ
る。また、バランス修正工程が簡単になり、バランス修
正の高精度化を図ることができる。
【0038】請求項7記載の発明によれば、請求項1か
ら6までのいずれかに記載された高速回転体を用いた光
偏向器であって、高速回転体はミラー部を有するととも
にロータ磁石が固定されてモータのロータを構成してお
り、このロータはモータのステータに対向して回転自在
に支持され、ロータとステータとの間の電磁力により上
記ロータが上記ミラー部と一体に回転駆動されるもので
あるため、モータのロータにバランス修正用の部品を特
別に付加する必要がなく、部品点数を少なくしてコスト
低減を図ることができ、経時的にあるいは温度変化など
によってバランスが狂う要因を少なくすることができ
る。また、バランス修正工程が簡単になり、バランス修
正の高精度化を図ることができる。
【0039】請求項8〜11記載の高速回転体のバラン
ス修正方法によれば、高速回転体に、バランス修正箇所
を軸方向に少なくとも2箇所設け、この少なくとも2箇
所のバランス修正箇所において軸中心に向かい切削する
ようにしたため、バランス修正用の部品を特別に用意す
る必要がなく、部品点数を少なくしてコスト低減を図る
ことができるとともに、経時変化あるいは温度変化など
によってバランスが狂う要因を少なくすることができ
る。また、バランス修正工程が簡単になり、バランス修
正の高精度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる高速回転体を用いた光偏向器の
実施形態を示す縦断面図である。
【図2】上記実施形態中のロータハウジングを示す縦断
面図である。
【図3】本発明にかかる高速回転体のバランス修正方法
の実施形態を示す縦断面図である。
【図4】本発明に適用可能なロータハウジングの別の例
を示す縦断面図である。
【符号の説明】
8 高速回転体としてのロータハウジング 9 ミラー部 10 円周溝 11 ロータ磁石 12 ロータ 21 切削痕 22 切削痕 23 切削痕 24 切削痕 25 切削痕
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H045 AA06 AA14 AA24 AA49 AA62 5H607 BB01 BB14 BB17 CC01 CC05 DD05 DD17 EE39 FF12 5H615 AA01 BB01 BB14 PP01 PP02 PP28 SS08 SS19 SS53 TT16 5H621 BB07 GA01 HH01 JK07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バランス修正のための切削痕を軸方向に
    少なくとも2箇所に有し、この切削痕は軸中心に向かっ
    て切削されていることを特徴とする高速回転体。
  2. 【請求項2】 高速回転体は、光偏向器用ロータハウジ
    ングであって、ミラー部が形成されたフランジ部を有す
    るとともに、ロータ磁石が固定されている請求項1記載
    の高速回転体。
  3. 【請求項3】 アルミ合金素材からなり、切削痕はミラ
    ー部を除くロータハウジング外周面にある請求項2記載
    の高速回転体。
  4. 【請求項4】 切削痕は軸中心に向かって斜めに切削さ
    れている請求項1、2または3記載の高速回転体。
  5. 【請求項5】 高速回転体は、軸方向に彫られた円周溝
    を有し、この円周溝内に切削痕がある請求項4記載の高
    速回転体。
  6. 【請求項6】 複数の切削痕が軸線方向に1列に並んで
    いる請求項1から5までのいずれかに記載の高速回転
    体。
  7. 【請求項7】 請求項1から6までのいずれかに記載さ
    れた高速回転体を用いた光偏向器であって、高速回転体
    はミラー部を有するとともにロータ磁石が固定されてモ
    ータのロータを構成しており、このロータはモータのス
    テータに対向して回転自在に支持され、ロータとステー
    タとの間の電磁力により上記ロータが上記ミラー部と一
    体に回転駆動されることを特徴とする光偏向器。
  8. 【請求項8】 高速回転体に、バランス修正箇所を軸方
    向に少なくとも2箇所設け、この少なくとも2箇所のバ
    ランス修正箇所において軸中心に向かい切削することを
    特徴とする高速回転体のバランス修正方法。
  9. 【請求項9】 高速回転体は光偏向器用ロータハウジン
    グであって、ミラー部が形成されたフランジ部を有する
    とともにロータ磁石が固定されていて、このロータハウ
    ジングのバランス修正箇所において軸中心に向かい切削
    する請求項8記載の高速回転体のバランス修正方法。
  10. 【請求項10】 バランス修正箇所において軸中心に向
    かい斜めに切削する請求項8または9記載の高速回転体
    のバランス修正方法。
  11. 【請求項11】 高速回転体を軸線方向にずらしなが
    ら、バランス修正箇所において軸中心に向かい切削する
    請求項8、9または10記載の高速回転体のバランス修
    正方法。
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