JP2002217461A - 複合圧電材料 - Google Patents

複合圧電材料

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JP2002217461A
JP2002217461A JP2001007215A JP2001007215A JP2002217461A JP 2002217461 A JP2002217461 A JP 2002217461A JP 2001007215 A JP2001007215 A JP 2001007215A JP 2001007215 A JP2001007215 A JP 2001007215A JP 2002217461 A JP2002217461 A JP 2002217461A
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piezoelectric
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ceramic
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JP2001007215A
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Kazuo Nakamae
一男 仲前
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発信強度および受信感度が比較的高く、発信
音波に方向性をもたせることができる複合圧電材料を提
供する。 【解決手段】 複合圧電材料20は、微細な柱状の圧電
セラミックス焼結体からなり、互いに離れて配置される
複数の第1の部分21、および、複数の第1の部分21
の間に配置され、圧電性高分子からなる第2の部分22
からなる。典型的に、圧電性高分子はフッ化ビニリデン
とトリフルオロエチレンの共重合体であり、無延伸の材
料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合圧電材料に関
し、特に、超音波診断、非破壊検査等に使用される複合
圧電振動子を構成する複合圧電材料に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子材料と圧電性材料とを複合した圧
電材料が知られている。たとえば、特開昭55−438
04号公報には、高分子材料と圧電セラミックス粉末と
からなる複合圧電材料が開示される。同公報に開示され
る複合圧電材料は、ポリ弗化ビニリデンなどの高分子材
料と無機圧電セラミックス粉末とを十分混練した後、含
フッ素モノマーの低重合体からなるフッ素油をそれに充
填し、さらに成形および分極処理を施して製造される。
製造された複合材料は、高分子材料中に圧電セラミック
ス粉末が分散された構造を有する。
【0003】一方、特開平5−153696号公報に
は、具体例として、エポキシ樹脂と圧電セラミックスと
が複合された複合圧電材料が開示される。同公報に開示
される複合圧電材料は、圧電セラミックスを所定の幅と
厚みの比でダイス状に切断分離し、その切断溝にエポキ
シ樹脂を充填することにより製造される。さらに同公報
は、複合圧電材料のxz面についてz方向に所定の曲率
半径の凹面を形成することを開示する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開昭55−4380
4号公報に開示されるように、ポリ弗化ビニリデン中に
圧電セラミックス粉末を混合すれば、ポリ弗化ビニリデ
ンの圧電性をセラミックス粉末で補強し、材料の超音波
発信強度を向上させることができる。しかし、そのよう
な補強にもかかわらず、高分子材料中にセラミックス粉
末を混合した複合材料における超音波信号の発信強度
は、十分に高いものとはいえない。また、高分子材料と
セラミックス粉末とを複合した材料では、発信音波に方
向性をもたせることができない。
【0005】特開平5−153696号公報に開示され
るような複合材料では、分離された各圧電セラミックス
が所定の形状を有する剛体として存在し、発信音波に方
向性をもたせることができる。また、エポキシ樹脂と圧
電セラミックスとを組合せた複合材料では、比較的強い
超音波発信強度を得ることができる。しかし、そのよう
な複合材料における受信感度は、十分に高いものとはい
えない。
【0006】本発明は、比較的高い発信強度と比較的高
い受信感度とを、ともにもたらすことのできる複合圧電
材料を提供することにある。
【0007】本発明のさらなる目的は、発信強度および
受信感度の向上とともに、発信音波に方向性をもたせる
ことができる複合圧電材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による複合圧電材
料は、微細な柱状のセラミックス焼結体からなり、互い
に離れて配置される複数の第1の部分、および、該複数
の第1の部分の間に配置され、圧電性高分子からなる第
2の部分からなることを特徴とする。
【0009】本発明において、セラミックス焼結体は圧
電セラミックス焼結体であることが好ましい。
【0010】また本発明において、圧電性高分子は無延
伸の材料であることが好ましい。さらに本発明におい
て、第1の部分の柱状のアスペクト比は2以上であるこ
とが好ましい。また、第1の部分は円柱状であることが
好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明による複合圧電材料の一具
体例を図1に示す。板状の複合圧電材料20は、多数の
微細な円柱形状の第1の部分21と、多数の第1の部分
21の間に配置される第2の部分22とからなる。第1
の部分21は、セラミックス焼結体からなる。第2の部
分22は圧電性高分子(圧電性ポリマー)からなる。図
に示す構造では、多数の円柱形状の第1の部分21が、
所定の間隔を空けて、第2の部分中に規則的に配列され
ている。このような板状の複合圧電材料20の主要面に
ストリップ電極を含む電極を形成することにより、超音
波探触子等の圧電振動子を得ることができる。このよう
に、圧電性高分子材料と柱状のセラミックス焼結体とを
組合せることにより、圧電性高分子の特性にセラミック
ス焼結体の特性を付加し、発信強度と受信感度とがとも
に比較的高い複合材料をもたらすことができる。さら
に、高分子材料中にセラミックス粉末を分散させた従来
の複合材料に比べ、本発明による複合材料では、セラミ
ックス焼結体からなる柱状体により、発信音波に方向性
をもたせることができる。
【0012】図1に示す本発明の複合圧電材料におい
て、圧電性高分子には、典型的に、フッ化ビニリデンと
トリフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデンと
三フッ化ビニリデンの共重合体、フッ化ビニリデン樹脂
などを用いることができる。圧電性高分子は、無延伸の
材料であることが好ましい。微細なセラミックス焼結体
の柱形状を保つためには、圧電性高分子を無延伸のまま
セラミックス焼結体と複合させることが好ましい。
【0013】また図1に示す本発明の複合圧電材料にお
いて、セラミックス焼結体は圧電セラミックス焼結体で
あることが好ましい。本明細書において「圧電セラミッ
クス」という用語は圧電効果を示すセラミックス材料を
示す。圧電セラミックスには、たとえば、チタン酸バリ
ウムやジルコン酸鉛−チタン酸鉛系固溶体などの灰チタ
ン石型構造の結晶が含まれ、たとえば、チタン酸ジルコ
ン酸鉛(PZT)およびチタン酸ジルコン酸ランタン鉛
(PLZT)などのチタン酸ジルコン酸塩が好ましく用
いられる。さらに圧電セラミックスとして、チタン酸鉛
等を用いることもできる。圧電セラミックスの焼結体と
圧電性高分子とを組合せることにより、従来のエポキシ
樹脂を含浸させた複合材料に比べ、超音波受信感度がよ
り高いものを得ることができる。なお、本発明において
は、圧電セラミックス以外のセラミックスを使用しても
よい。
【0014】図1に示す本発明の複合圧電材料におい
て、柱状体(第1の部分)の長手方向にほぼ垂直な断面
における最大幅に対する柱状体の長さの比(アスペクト
比)は、2以上、または3.3以上とすることができ
る。アスペクト比の範囲は、典型的には2以上10以下
であり、好ましくは3.3以上10以下である。柱状体
(第1の部分)のアスペクト比を適当な範囲において大
きくすることにより、超音波の指向性が良く発信強度が
高い複合圧電材料を得ることができる。
【0015】図1に示す複合圧電材料では、第1の部分
は、その高さ方向に垂直な断面が円形である円柱体であ
る。第1の部分を円柱体とすれば、第1の部分同士の間
で生じ得る干渉を少なくすることができ、さらに、超音
波の指向性が良く発信強度が高い複合圧電材料を得るこ
とができる。しかし、本発明において第1の部分の形状
は、円柱に限定されるものではなく、他の形状でもよ
い。たとえば、その高さ方向に垂直な断面が正方形や長
方形である直方体、あるいは、断面が三角形、五角形、
六角形などの他の多角形、好ましくは正多角形である他
の角柱体としてもよい。
【0016】図1に示す本発明の複合圧電材料におい
て、柱状体(第1の部分)は、微細な構造物であり、典
型的に、柱状体の長手方向に垂直な断面の最大径(たと
えば、断面が円の場合、最大径は直径であり、断面が正
方形の場合、最大径は対角線の長さとなる)は、91μ
m以下であり、好ましくは50μm以下である。また、
該最大径の範囲は、典型的に20μm〜50μmであ
る。柱状体(第1の部分)の高さ(長さ)は、たとえば
40μm〜350μmの範囲である。また柱状体(第1
の部分)は、典型的に、500〜700個/mm2、好
ましくは550〜650個/mm2の密度で配置させる
ことができる。そのような微細な構造体は、以下に示す
ようなリソグラフィーを使用したメッキ法(典型的にL
IGA法)やDice&fill法と呼ばれる方法を使
用して形成することができる。
【0017】本発明の複合圧電材料において、セラミッ
クス焼結体からなる第1の部分の占積率は、必要とする
圧電特性に応じて任意の値に設定することができる。本
発明の複合圧電材料において、第1の部分の占める体積
は、全体の体積に対して、典型的に20%〜50%であ
り、好ましくは25%〜40%である。従って、第2の
部分の占める体積は、全体の体積に対して、典型的に5
0%〜80%であり、好ましくは60%〜75%であ
る。
【0018】本発明による複合圧電材料は、典型的に、
以下に示すようなLIGA法を使用して製造することが
できる。まず、図2(a)に示すように、基板1上にリ
ソグラフィのための樹脂層2を形成する。基板として、
たとえば、銅、ニッケル、ステンレス鋼などの金属基
板、チタン、クロムなどの金属をスパッタ蒸着したシリ
コン基板等からなる基板を用いることができる。樹脂層
を形成するための材料として、ポリメタクリル酸メチル
(PMMA)等のポリメタクリル酸エステルを主成分と
するレジスト材料、X線に感受性を有する化学増幅型レ
ジスト材料等を挙げることができる。樹脂層の厚みは、
形成しようとする柱状体の高さに応じて任意に選ぶこと
ができ、たとえば0.01〜0.5mmとすることがで
きる。
【0019】次いで、図2(b)に示すように基板1上
にマスク3を配置し、マスク3を介してシンクロトロン
放射のX線(以下SR光と略す)10を樹脂層2に照射
する。マスク3は、所定のパターンで形成されたX線吸
収層3aを有している。所定のパターンは、典型的に、
多数の円が間隔をあけて配列されたパターンを含む。マ
スクを構成する透光性基材には、たとえば窒化シリコ
ン、シリコン、ダイヤモンド、チタン等を用いることが
でき、X線吸収層には、たとえば金、タングステン、タ
ンタルなどの重金属あるいはその化合物等を用いること
ができる。X線吸収層の厚みは、所望のレジストパター
ンの厚みによって任意に選ぶことができるが、たとえば
3〜10μmとすることができる。また、場合によって
は透光性基材のないマスクの使用も可能である。
【0020】樹脂層に照射すべきSR光の波長は、たと
えば1〜10Åとすることができ、そのエネルギは、1
〜10keVとすることができる。SR光の光源は、た
とえば産業用小型SR装置(蓄積電子エネルギ0.6〜
1.5GeV)、中型SR装置(蓄積電子エネルギ1.
5〜3GeV)等とすることができる。
【0021】露光された樹脂層を現像してたとえばSR
光により変質した部分を除去すると、図2(c)に示す
ような樹脂パターン2’が得られる。樹脂パターン2’
は、複数の孔2’aを有する。この孔の形状は、最終的
に得られる複合圧電材料の第1の部分の形状に相当す
る。なお、セラミックスは、焼成時に所定の線収縮率で
縮むため、そのような収縮を考慮に入れて孔2’aのサ
イズを設定することが望ましい。
【0022】次いで、図2(d)に示すように、樹脂パ
ターン2’上に金属5を堆積する。金属5は、たとえば
樹脂パターン2’の厚みを超えて適当な厚みで堆積す
る。基板1をめっき電極としてめっきを行なえば、樹脂
パターン2’上に容易に金属を堆積させることができ
る。金属として、たとえばニッケル、銅、金およびそれ
らの合金、パーマロイ等を用いることができるが、金属
5を後で金型として用いるため、ニッケルがより好まし
い。
【0023】次に、ウエットエッチング等によって基板
を除去し、ウエットエッチングあるいはプラズマエッチ
ングにより樹脂を除去すれば、図2(e)に示すような
金型5’が得られる。金型5’には、樹脂パターン2’
の形が転写されている。したがって、樹脂パターンの孔
に対応する凸部5’aは、典型的に、断面が円形であ
る。
【0024】次に、図3(a)に示すとおり、以上のプ
ロセスにより得られた金型5’に樹脂7を注入する。樹
脂には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアク
リル樹脂(メタクリル樹脂)、ポリウレタン樹脂(PU
R)、ポリオキシメチレン(POM)等のポリアセター
ルなどの熱可塑性樹脂、エポキシ、シロップ状アクリル
などの熱硬化性樹脂等を用いることができる。樹脂を硬
化させた後、冷却して樹脂を金型5’から離して樹脂型
7’を得る(図3(b))。
【0025】樹脂型を形成した後、図4(a)に示すよ
うに、樹脂型7’に第1の部分を構成すべき材料を充填
する。本発明の場合、セラミックス焼結体を生成させる
ための材料が充填される。材料は、樹脂型からあふれる
程度まで充填される。このような材料として、たとえ
ば、セラミックスはい土が使用される。はい土におい
て、セラミックス粒子の含量は、典型的に25体積%〜
57体積%であり、水などの溶媒の含量は、典型的に4
0体積%〜45体積%であり、ポリビニルアルコールな
どのバインダーの含量は、典型的に3体積%〜30体積
%である。はい土を使用する場合、図4(a)に示すよ
うに、樹脂型7’上にはい土8をシート状にして置き、
その周りにセラミックス粉末9を配置した状態でダイス
(図示省略)にいれ、ダイスにおいてプレス成形するこ
とが好ましい。プレス成形は、たとえば250〜300
0kgf/cm2の圧力下で行うことができる。はい土8
は、周りに配置されるセラミックス粉末9と同じものを
含有してもよく、たとえば、周りに配置されるセラミッ
クス粉末9の1質量%〜30質量%がはい土8のセラミ
ックス粒子と同じものとすることができる。はい土中の
セラミックス成分は、典型的に上述したような圧電セラ
ミックスである。一方、周りに配置するセラミックス粉
末の材質は、典型的にジルコン酸チタン酸鉛(PZT)
などである。
【0026】一方、はい土の代わりに、セラミックス粒
子を含有するスラリーを用いることもできる。スラリー
には、低粘度のものより高粘度のものを用いることが好
ましい。低粘度のスラリーを注入する場合、真空下での
注入が必要になってくる。一方高粘度のスラリーは、大
気中で樹脂型に圧入することが可能となる。圧入のため
の圧力は、たとえば100kgf/cm2以上、より好
ましくは100〜150kgf/cm2の範囲とするこ
とができる。また低粘度のスラリーは水を多く含むの
で、その後の乾燥工程において精密なコントロールを必
要とする。高粘度のスラリーの場合、そのような精密な
コントロールを必要としない。
【0027】次に図4(b)に示すように、樹脂型7’
を除去する。除去のため、樹脂を溶融状態にすることな
く気化もしくは昇華させるか、または適当な溶剤に溶解
させる。樹脂を気化させる場合、たとえば真空中で加熱
することにより樹脂成分を蒸発させることができる。こ
の場合、たとえば500℃の温度において1.33×1
-2Pa(10-4Torr)以下の圧力下で樹脂を分解
および蒸発させることができる。またレーザアブレーシ
ョンにより樹脂成分を気化させることもできる。レーザ
にはたとえばArFエキシマレーザを用いることがで
き、350mJ/cm3以下のエネルギ密度にてレーザ
を照射することにより、セラミックスに影響を及ぼすこ
とくなく樹脂のみを除去することができる。さらに樹脂
を酸素プラズマ等のプラズマによりエッチングしてもよ
い。たとえば、酸素とフレオンのプラズマによるエッチ
ングを行なうと、樹脂の分解速度は速いが、セラミック
スのエッチング速度は極端に遅い。このようなセラミッ
クスと樹脂のエッチング耐性の差を利用することによ
り、樹脂のみを速やかに除去することができる。より具
体的には、たとえば50Wのプラズマパワー、0.5T
orrの反応ガス圧において、アクリルからなる樹脂型
は約3μm/分でエッチングすることができる。プラズ
マの条件は、樹脂の厚みや材質等によって適宜選択する
ことができる。また、溶剤に樹脂型を溶解することによ
って、セラミックスの構造体を傷つけることなく樹脂型
のみを除去することができる。たとえばアクリル樹脂型
の場合、溶剤としてアセトンを用いることができる。樹
脂型の材質によって、適宜好ましい溶剤を選択すること
ができる。これらの方法はいずれもセラミックス構造体
を傷つけたり破壊することなく、樹脂型のみを速やかに
除去できる方法である。これらの方法を用いれば、非常
に微細な構造物を樹脂型で形成することができる。一
方、樹脂を溶融状態にするような条件下で樹脂型を除去
すると、溶融した樹脂によって微細な柱状体が倒された
りするおそれがある。
【0028】樹脂を除去することにより、図4(c)に
示すような微細構造体11が得られる。セラミックスは
い土あるいはセラミックスのスラリーの乾燥固化物を焼
成することにより、セラミックス焼結体からなる微細構
造体11が得られる。この微細構造体は、台座部11’
aから所定の間隔をあけて、典型的に圧電セラミックス
の焼結体からなる複数の柱状体11’bが延びた構造を
有する。柱状体11’bの長手方向に垂直な断面は、典
型的に、直径50μm以下、好ましくは直径20〜50
μmの円である。柱状体の高さは、たとえば、40〜3
50μmの範囲である。柱状体のアスペクト比は2以
上、好ましくは3〜7である。また柱状体は500〜7
00個/mm2の密度で配置させることができる。
【0029】このようにして作製したセラミックス構造
体に樹脂を含浸することで複合圧電材料を調製すること
ができる。たとえば図5(a)に示すように、カップ1
2にセラミックス焼結体からなる微細構造体11を入
れ、上から有機ポリマー材料13を含浸させる。これを
硬化させ、固めたものをカップ12から取出す(図5
(b))。次いで、図5(c)および(d)に示すよう
にセラミックス構造体の高さや幅を超えた樹脂部分およ
び台座部分を研削や研摩によって除去すると、複合圧電
材料を20を得ることができる。セラミックス構造体の
柱状体の間に樹脂(ポリマー)を含浸せしめる方法に
は、1)溶融した樹脂材料をセラミックス構造体の柱状
体の間に流しこんで(流延して)、その後、固化させる
方法、2)溶媒を使用した液状樹脂あるいは樹脂分散液
をセラミックス構造体の柱状体の間に流し込み(流延し
て)、その後、加熱するか凝固させて固化する方法、あ
るいは3)液状または流動性のモノマーをセラミックス
構造体の柱状体の間に流し込んで、その後、重合または
縮合させて、硬化する方法などがある。このとき、延伸
を行うことなく、樹脂材料とセラミックス構造体とを複
合化させれば、セラミックス構造体の微細な形状を容易
に維持することができる。樹脂材料には、典型的に、フ
ッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重合体、フ
ッ化ビニリデンと三フッ化ビニリデンの共重合体、フッ
化ビニリデン樹脂などの圧電性高分子材料が使用され
る。なお、通常、樹脂材料とセラミックス構造体とを複
合化し、得られた複合体の両端に電極を形成した後、所
定の高温、たとえば50℃〜120℃の温度において、
適当な時間、適当な電界、たとえば2〜6V/mを電極
を介して複合体に印加することにより、圧電性高分子材
料について、分極処理を行うことができる。
【0030】また、本発明による複合圧電材料は、図6
に示すようなプロセス(Dice&fill法)によっ
て製作してもよい。所定の厚みを有するセラミックス板
111を樹脂基板112上に接着する(図6(a))。
セラミックス板111は、たとえば、バインダーを含ん
だセラミックス粉末を板状にプレス成形することにより
得ることができる。次いで、ダイシングソーを用いてセ
ラミックス板111を網目状(メッシュ状)に切断し、
多数の角柱状体を得る(図6(b))。切断により生じ
た溝に樹脂材料を充填し固化させた後、接着剤を溶解し
て基板112からセラミックスを分離し、必要に応じて
研磨を行い、図6(c)に示すような複合圧電材料を得
る。このとき、樹脂材料の充填・固化には上述したよう
な方法を使用することができる。また、樹脂材料には、
上述したような圧電性高分子材料が使用される。
【0031】
【実施例】図2〜図4に示すようなプロセスに従い、チ
タン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる多数の円柱体が
フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重合体中
に分散された複合圧電材料を作製した。
【0032】まず、X線に感受性があるレジスト、メタ
クリル酸メチルとメタクリル酸の共重合体(P(MMA
+MAA))を約300μmの厚みでチタンをスパッタ
蒸着したシリコン基板からなる導電性基板に塗布した。
次に、厚さ2μmの窒化シリコンからなる透光性基板上
に5μm厚の窒化タングステンからなる吸収層パターン
を形成したマスクを、レジスト層の上方に配置した。こ
のマスクを介してシンクロトロン放射光(SR光)をレ
ジストに照射し、深いX線リソグラフィーを行った。S
R装置はNIJI−III(偏向部の磁場4テスラー、
蓄積電子エネルギ0.6GeV)であった。SR装置自
体から放射される光のピーク波長は約6Åであったが、
100μmの厚さのベリリウム窓を通過する光を使用し
たためレジストに実際に照射されるSR光のピーク波長
は約4Åであった。マスクには、直径約50μmの円
が、ピッチ約100μmで規則的に配列したものを用い
た。円の部分はX線を透過させるようになっている。な
お、上記マスクの代わりに、30μm以上の厚みを有す
るニッケルメッシュをマスクとして使用することもでき
る。SR光の照射の後、メチルイソブチルケトン(Mi
BK)により現像を行ない、レジストパターンを得た。
【0033】次に、導電性基板をめっき電極としてめっ
きを行ない、ニッケルを1mmの厚さまで堆積させた。
基板を水酸化カリウム水溶液で溶解した後、レジストを
酸素プラズマにより除去し、金型を得た。次いで、得ら
れた金型に樹脂を充填した。樹脂として、ポリメタクリ
ル酸メチル(PMMA)からなるアクリル樹脂を用い
た。シロップ状のアクリル樹脂を金型に流し込み、加熱
して硬化させた後、室温まで冷却して樹脂を金型から離
し、樹脂型を得た。得られた樹脂型には、直径50μ
m、深さ300μmの円柱状の孔が、100μmのピッ
チで二次元的に(マトリクス状に)形成されている。樹
脂型は、所望する微細構造体の形状を反転させたもので
ある。
【0034】次いで、樹脂型上にPZT粒子を含有する
はい土をシート状にして置き、その周りにセラミックス
粉体を配置した状態でダイスに入れ、プレス成形した。
はい土は、平均粒径0.5μmのPZT粉にポリビニル
アルコールのバインダーを混ぜて調製したものである。
はい土中の溶媒(水)含量は42体積%、PZT含量は
45.5体積%、バインダー含量は12.5体積%であ
った。プレス成形の圧力は190kgf/cm2であっ
た。その後、成形体を乾燥させ、次いで、酸素プラズマ
を用いるアッシングを行ない、樹脂型を除去した。アッ
シングの条件は、反応ガス圧0.5Torr、RFパワ
ー50Wであった。このとき、柱状体の倒壊率は0.1
%以下であった。
【0035】次いで、残った成形体に、500℃におい
て仮焼成を施してバインダーを除去し、さらに1100
℃において本焼成を施した。焼成によりPZT焼結体か
らなる微細構造体が得られた。得られた微細構造体にお
いて、柱状体は、直径50μm、高さ350μmの円柱
体であった。この円柱体は50μmのピッチで配列され
ていた。
【0036】このようにして作製したPZTアレイに圧
電性高分子を含浸して、硬化させた。圧電性高分子に
は、延伸なしで圧電特性を得るために、フッ化ビニリデ
ンとトリフルオロエチレンの共重合体(ポリ(フッ化ビ
ニリデン−トリフルオロエチレン))を使用した。具体
的に、含浸・硬化の工程は、加熱溶解した圧電高分子を
焼結した微細構造体上に垂らし真空脱泡後に加熱硬化す
ることによって行った。その後、得られた複合材料を研
磨して、複合圧電材料を作製した。得られた複合圧電材
料の厚みは230μmであった。このようにして調製し
た複合圧電材料の両面に金をスパッタ蒸着して電極を形
成した。高温分極法により、分極を行なった後、圧電振
動子を得た。
【0037】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、比較的高い発信強度と比較的高い受信感度とを、と
もにもたらすことのできる複合圧電材料を提供するがで
きる。さらに本発明によれば、発信強度および受信感度
が比較的高く、しかも発信音波に方向性をもたせること
ができる複合圧電材料を提供するができる。本発明によ
る複合圧電材料は、超音波診断、非破壊検査等に使用さ
れる高い分解能を必要とする超音波探触子に適してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による複合圧電材料の一具体例を模式
的に示す斜視図である。
【図2】 本発明による複合圧電材料の製造方法を説明
するための概略断面図である。
【図3】 本発明による複合圧電材料の製造方法を説明
するための概略断面図である。
【図4】 本発明による複合圧電材料の製造方法を説明
するための概略断面図である。
【図5】 本発明による複合圧電材料の製造方法を説明
するための概略断面図である。
【図6】 本発明による複合圧電材料のもう一つの製造
方法を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
20 複合圧電材料、21 第1の部分、22 第2の
部分。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04R 31/00 330 H01L 41/08 H

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細な柱状のセラミックス焼結体からな
    り、互いに離れて配置される複数の第1の部分、および
    前記複数の第1の部分の間に配置され、圧電性高分子か
    らなる第2の部分からなる、複合圧電材料。
  2. 【請求項2】 前記セラミックス焼結体は圧電セラミッ
    クス焼結体である、請求項1に記載の複合圧電材料。
  3. 【請求項3】 前記圧電性高分子は無延伸の材料であ
    る、請求項1または2に記載の複合圧電材料。
  4. 【請求項4】 前記第1の部分の柱状のアスペクト比は
    2以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複
    合圧電材料。
  5. 【請求項5】 前記第1の部分は円柱状である、請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の複合圧電材料。
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