JP3991735B2 - 微細セラミックス部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細セラミックス部品の製造方法に関する。さらに詳細には、医療用超音波診断装置などの非破壊検査装置に使用する微細圧電セラミックス柱、または小形のトランス(変圧器)に使用する微細フェライトコアなどの微細セラミックス部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス部品は、押し出し成形やプレス成形を行ない、成形品を焼成することにより製造されている。また、微細セラミックス部品の製造方法としては、フォトリソグラフィと電鋳を利用する方法が特許2924664号公報に紹介されている。この微細セラミックス部品の製造方法は、図3に示すように、まず、X線に感度のある樹脂層36を形成した基板33に、マスク37を介してシンクロトロン放射光(以下、「SR光」という。)を照射して、ディープX線リソグラフィを行なってから(図3(a))、現像して樹脂型36bを得る(図3(b))。つぎに、この樹脂型36bに電鋳を施し、金型38を形成した後(図3(c))、基板33および樹脂型36bを除去し、金型38を得る。得られる金型38を用いて樹脂モールドを行ない、樹脂型36cを形成する(図3(d))。この樹脂型36cは、所望とする微細セラミックス部品を反転させた形状を有している。つぎに、樹脂型36cにセラミックスのスラリーを充填した後、乾燥して固化する(図3(e))。つぎに、樹脂型36cを除去し、セラミックスのみの構造とした後、焼成し、微細セラミックス構造体31を得る(図3(f))。得られるセラミックス構造体31は、微細セラミックス部品として使用することができ、台座31b上に同一の配向性を有する複数の柱状体31aが並設する構造を有している(図3(f))。このセラミックス構造体は、寸法安定性がよく、大きさの調整が容易である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、押し出し成形やプレス成形後、焼成する方法では、微細なセラミックス部品を製造することが困難である。一方、フォトリソグラフィと電鋳を利用する方法では、セラミックス構造体の台座上に並設している柱状体自体を、微細な部品として得ようとすると、ハンドリングに際して壊れやすく、反りが生じて寸法精度が低下しやすく、微細なセラミックス部品の製造方法としては限界があった。また、電極の形成などの加工も困難であった。
【0004】
本発明は、寸法安定性が良好で、大きさの調整や電極の形成なども容易な微細セラミックス部品の製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の微細セラミックス部品の製造方法は、同一の配向性を有する複数の柱状体を台座上に並設するセラミックス構造体から微細セラミックス部品を製造する方法であって、セラミックス構造体に樹脂材料を充填する工程と、セラミックス構造体の台座を除去する工程と、樹脂材料を除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明の微細セラミックス部品の別の製造方法は、同一の配向性を有する複数の柱状体を台座上に並設するセラミックス構造体から微細セラミックス部品を製造する方法であって、セラミックス構造体に樹脂材料を充填した後に、台座上に並設する柱状体の頭頂部を露出するとともに、台座を除去して板状体を形成する工程と、樹脂材料を除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の微細セラミックス部品の別の製造方法は、同一の配向性を有する複数の柱状体を台座上に並設するセラミックス構造体から微細セラミックス部品を製造する方法であって、セラミックス構造体に樹脂材料を充填した後に、台座上に並設する柱状体の頭頂部を露出するとともに、台座を除去して板状体を形成する工程と、板状体の表裏両面に電極を形成する工程と、樹脂材料を除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
このセラミックス構造体は、導電性を有する基板上にフォトリソグラフィのための樹脂材料からなる層を形成する工程と、樹脂材料からなる層をパターン形成のためのマスクを介して露光する工程と、露光した樹脂材料からなる層を現像により除去し、パターン化した樹脂型を得る工程と、得られた樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、基板および樹脂型を除去して金属材料からなる型を得る工程と、得られた金属材料からなる型に樹脂材料を充填する工程と、金属材料からなる型を抜き取り、樹脂型を得る工程と、得られた樹脂型にセラミックス材料を充填し、固化する工程と、樹脂型を除去する工程と、固化したセラミックス材料を焼成する工程と、により製造することが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の微細セラミックス部品の製造方法は、セラミックス構造体に樹脂材料を充填してから、セラミックス構造体の台座を除去し、その後、樹脂材料を除去することを特徴とする。
【0010】
本発明の微細セラミックス部品の製造方法を図1に示す。
最初に、セラミックス構造体11に樹脂材料12aを充填する(図1(a))。この工程は、容器内で行なうのが好ましい。
【0011】
セラミックス構造体は、たとえば、圧電素子に使用する場合には、チタン酸バリウムやジルコン酸鉛−チタン酸鉛系固溶体などの灰チタン石型構造の結晶などからなり、具体的にはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)およびチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)などのチタン酸ジルコン酸塩、またはチタン酸鉛などからなる。また、トランスのフェライトコアに使用する場合には、MnFe2O4またはNiFe2O4に、ZnFe2O4を固溶したスピネル型のMn−ZnフェライトやNi−Znフェライトなどからなる。
【0012】
セラミックス構造体は、その台座11b上に同一の配向性を有する複数の柱状体11aが並設している(図1(a))。
【0013】
樹脂材料は、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、またはシリコンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴムなどのゴムである。
【0014】
樹脂材料12aが硬化した後、容器から取り出し、セラミックス構造体11の台座11bを研削や研摩により除去する(図1(b)、図1(c))。この工程において、完成品である微細セラミックス部品(柱状体)の高さを容易に調整することができる。除去に際して、セラミックス構造体の幅を越えた樹脂材料を併せて除去してもよい。
【0015】
最後に、樹脂材料12bを除去すると、微細セラミックス部品11a’を得ることができる(図1(c)、図1(d))。樹脂材料は、ウエットエッチングまたはプラズマエッチングにより除去することができる。樹脂材料の除去に際しては、セラミックス構造体を傷つけたり破壊することなく、樹脂材料のみを速やかに除去する必要がある。したがって、ウェットエッチングをする場合は、たとえば、樹脂材料がアクリル樹脂であれば、溶剤としてアセトンが好ましい。また、プラズマエッチングをする場合は、たとえば、酸素とフレオンのプラズマによりエッチングを行なうのが好ましい。たとえば、50Wのプラズマパワー、0.5Torrの反応ガス圧により、アクリル樹脂を約3μm/分でプラズマエッチングすることができる。
【0016】
セラミックス構造体は、寸法安定性がよく、大きさや形状の調整が容易な点で、フォトリソグラフィおよび電鋳を利用する方法により製造するのが好ましい。製造方法を図4に示す。
【0017】
まず、導電性を有する基板43上にフォトリソグラフィのための樹脂材料からなる層46を形成する(図4(a))。導電性を有する基板としては、たとえば、銅、ニッケル、ステンレス鋼などの金属基板、チタン、クロムなどの金属をスパッタ蒸着したシリコン基板を用いることができる。フォトリソグラフィのための樹脂材料としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのポリメタクリル酸エステルを主成分とする樹脂や、X線に感受性を有する化学増幅型の樹脂などを使用するのが好ましい。樹脂層の厚さは、0.1mm〜0.5mmが好ましい。
【0018】
つぎに、樹脂材料からなる層46をパターン形成のためのマスク47を介して露光する(図4(b))。マスクは、所定のパターンを有するX線吸収層からなる。所定のパターンとしては、1辺が88μm以下の正方形、または同等の面積となる円や多角形が間隔をあけて複数配列するパターンが、圧電素子として使用する場合に超音波診断装置の分解能などを高める点で好ましい。マスクを構成する透光性基材には、たとえば窒化シリコン、シリコン、ダイヤモンド、チタンがあり、X線吸収層には、たとえば金、タングステン、タンタルなどの重金属またはその化合物などを用いる。X線吸収層の厚みは、たとえば3μm〜10μmとすることができる。
【0019】
露光に使用する光線としては、デイープエッチングが可能である点で、SR光が好ましい。SR光の波長は、たとえば1Å〜10Åであり、そのエネルギは、1keV〜10keVが好ましい。SR光を発する装置としては、たとえば産業用小型SR装置(蓄積電子エネルギ0.6GeV〜1.5GeV)、中型SR装置(蓄積電子エネルギ1.5GeV〜3GeV)などである。
【0020】
露光した樹脂材料からなる層46aを現像により除去し、パターン化した樹脂型46bを得る(図4(b)、図4(c))。
【0021】
得られた樹脂型46bに金属材料48からなる層を電鋳により形成する(図4(d))。電鋳は、導電性を有する基板をメッキ電極として行なうことができる。また、金属材料からなる層は、樹脂型の厚さを超え、全体で0.5〜1mmの厚さとするのが好ましい。金属材料は、ニッケル、銅、金、それらの合金、パーマロイなどであり、金属材料からなる層は金型として用いる点で、ニッケルが好ましい。
【0022】
電鋳後、基板43および樹脂型46bを除去して、金属材料48からなる型を得る(図4(e))。基板はウエットエッチングなどにより除去することができる。また、樹脂型はウェットエッチングまたはプラズマエッチングにより除去することができる。
【0023】
つぎに、得られた金属材料48からなる型に樹脂材料を充填する(図4(f))。樹脂材料は、たとえばポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂(メタクリル樹脂)、ポリウレタン樹脂(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)などのポリアセタールなどの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、シロップ状アクリルなどの熱硬化性樹脂などである。
【0024】
樹脂材料を冷却し硬化した後、金属材料48からなる型を抜き取り、樹脂型46cを得(図4(g))、得られた樹脂型にセラミックス材料40を充填し、固化する(図4(h))。
【0025】
セラミックス材料は、樹脂型からあふれる程度まで充填する。
つぎに、樹脂型46cを除去する(図4(i))。樹脂型の除去は、樹脂材料を溶融状態にすることなく気化もしくは昇華する方法、または適当な溶剤に溶解する方法が好ましい。これらの方法はいずれも、セラミックス材料からなる構造体を傷つけたり破壊することなく、樹脂型のみを速やかに除去することのできる方法であり、この結果、セラミックス材料からなる非常に微細な構造体を得ることができるようになる。一方、樹脂材料を溶融状態にするような条件下で樹脂型を除去すると、溶融した樹脂材料によりセラミックスの微細な柱状体が倒されたりするおそれがある。
【0026】
樹脂型の除去後、固化したセラミックス材料を焼成して、セラミックス構造体41を得る(図4(j))。
【0027】
(実施の形態2)
本発明の微細セラミックス部品の別の製造方法は、最初に、セラミックス構造体に樹脂材料を充填し、つぎに、台座上に並設する柱状体の頭頂部を露出するとともに、台座を除去して板状体を形成し、得られる板状体から樹脂材料を除去することを特徴とする。
【0028】
この製造方法を図2に示す。
最初に、セラミックス構造体21に樹脂材料22aを充填する(図2(a))。セラミックス構造体21は、柱状体21aおよび台座21bとからなり(図2(a))、実施の形態1と同様の方法により製造することができる。
【0029】
樹脂材料22aが硬化した後、樹脂材料22aの充填したセラミックス構造体21を取り出す(図2(b))。
【0030】
つぎに、台座上に並設する柱状体21aの頭頂部21cが露出するように、樹脂材料22aを研削または研磨により除去し(図2(b)、図2(c))、つぎに、研削または研磨により台座21bを除去し、板状体を形成する(図2(c)、図2(d))。先に、セラミックス構造体の台座を除去し、つぎに、柱状体の頭頂部が露出するように樹脂材料を除去してもよい。また、セラミックス構造体の台座を除去するときに、セラミックス構造体の幅を越えて付着している樹脂材料を除去してもよい。この樹脂材料および台座の研磨、研削工程において、完成品である微細セラミックス部品(柱状体)の高さを容易に調整することができる。
【0031】
最後に、樹脂材料22を除去すると、柱状のセラミックス構造体21a’のみからなる微細セラミックス部品を得ることができる。
【0032】
(実施の形態3)
本発明の微細セラミックス部品の別の製造方法は、最初に、セラミックス構造体に樹脂材料を充填し、つぎに、台座上に並設する柱状体の頭頂部を露出するとともに、台座を除去して板状体を形成し、得られる板状体の表裏両面に電極を形成し、最後に、樹脂材料を除去することを特徴とする。
【0033】
実施の形態2と同様にして、セラミックス構造体21a’および樹脂材料22からなる板状体を形成した後、板状体の表裏両面に電極24aを形成する(図2(e))。
【0034】
電極は、蒸着またはスパッタリングにより形成することができるが、他の方法により形成してもよい。電極の材質は、導電性がよい点で、金属が好ましく、金がより好ましい。
【0035】
最後に、樹脂材料22を除去すると、柱状のセラミックス構造体21a’の上面および下面に電極24を有する微細セラミックス部品を得ることができる(図2(f))。
【0036】
樹脂材料の除去は、ウェットエッチングまたはプラズマエッチングにより行なうことができる。一般に、電極として用いる金属は、樹脂材料よりセラミックス構造体と強く接合している。したがって、樹脂材料の除去に先立ち、樹脂材料上の電極のみを選択的に除去するために、電極表面を軽く擦り、または拭き取るなどの操作をしておくことが好ましい。たとえば、セラミックス構造体がPZT、樹脂材料がエポキシ樹脂、電極が金からなるときは、スパッタリングにより形成した金電極は、PZTとは強く接合しているが、エポキシ樹脂とは強く接合していないため、金電極の表面を軽く拭き取ると、エポキシ樹脂上の金電極のみを容易に除去することができる。
【0037】
得られる微細セラミックス部品は、実施の形態1または実施の形態2で得られる微細セラミックス部品と異なり、柱状体の上面および下面に電極を有する。他の点では、実施の形態1または実施の形態2で得られる微細セラミックス部品と同様である。
【0038】
【実施例】
実施例1
メタクリル酸メチルとメタクリル酸の共重合体からなる厚さ300μmの層を、チタンをスパッタ蒸着したシリコン基板上に形成した。窒化シリコンからなる厚さ2μmの透光性基板上に、窒化タングステンからなる厚さ5μmの吸収層のパターンを形成したマスクを、樹脂材料からなる層の上方に配置した。このマスクを介してSR光を樹脂材料からなる層に照射し、深いX線リソグラフィーを行なった。SR光放射装置はNIJI−III(偏向部の磁場4テスラー、蓄積電子エネルギ0.6GeV)を使った。SR光の照射後、メチルイソブチルケトン(MiBK)により現像を行ない、樹脂型を得た。この樹脂型に電鋳により厚さ1mmのニッケル層を形成した後、基板を水酸化カリウムの水溶液で溶解して、除去し、樹脂材料からなる層を酸素プラズマにより除去し、金型を得た。この金型に、シロップ状のポリメタクリル酸メチルを充填し、加熱により硬化した後、室温まで冷却してから、金型を分離し、樹脂型を得た。
【0039】
この樹脂型上にPZT粒子を含有するシート状の灰土を置き、周囲にセラミックス粉体を配置した状態でダイスに入れ、プレス成形をした。灰土は、平均粒径0.5μmのPZT粉末にバインダ(ポリビニルアルコール)を混ぜて調製し、灰土中の溶媒(水)の含量は42体積%、PZT含量は45.5体積%、バインダー含量は12.5体積%であった。プレス成形は190kgf/cm2で行なった。得られた成形体を乾燥し、酸素プラズマによるアッシングを行ない、樹脂型を除去した。アッシングは、反応ガス圧0.5Torr、RFパワー50Wで行ない、柱状体の倒壊率は0.1%以下であった。得られた成形体を500℃で仮焼成してバインダーを除去し、1100℃で本焼成し、PZT焼結体からなる微細構造体を得た。この微細構造体における柱状体は、縦50μm、横50μm、高さ350μmの角柱であり、角柱間の距離は50μmであった。
【0040】
このPZT焼結体からなる微細構造体に樹脂材料を充填し、硬化した。樹脂材料としては、エポキシ樹脂を使用した。充填硬化は、加熱溶融した樹脂材料を、PZT焼結体からなる微細構造体上に垂らし、真空脱泡後に加熱硬化した。硬化後、台座部分を研磨により除去して、酸素プラズマによるアッシングを行ない、樹脂材料を除去した。アッシングは、反応ガス圧0.5Torr、RFパワー50Wで行なった。アッシングの結果、PZT焼結体からなり、縦50μm、横50μm、高さ350μmの角柱状をした微細セラミックス部品を得た。
【0041】
実施例2
実施例1と同様にしてPZT焼結体からなる微細構造体を得た。この微細構造体の台座上に並設する柱状体は、縦40μm、横40μm、高さ300μmの角柱であり、角柱間の距離は50μmであった。このPZT焼結体からなる微細構造体に樹脂材料としてエポキシ樹脂を実施例1と同様に充填し、硬化した。硬化後、エポキシ樹脂を研磨することにより、微細構造体の台座上の柱状体の頭頂部を露出し、つぎに、台座部分を研磨により除去した。得られた板状体の表裏両面にスパッタ蒸着により金電極を形成した。つぎに、110℃で、電極間に3kV/mmの電流を40分間印加し、分極した。分極後、両面の電極を軽く拭き取ると、エポキシ樹脂上の電極は容易に剥がれ落ちたが、PZT焼結体上の電極はそのまま残っていた。最後に、実施例1と同様の条件で、酸素プラズマによるアッシングを行ない、樹脂材料を除去した結果、PZT焼結体からなり、縦40μm、横40μm、高さ300μmの角柱状をした微細セラミックス部品を得た。得られた微細セラミックス部品の上面および下面には金製の電極が形成されていた。
【0042】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、非破壊検査装置などに使用する微細PZTアクチュエータや小形トランスなどに使用する微細フェライトコアなどの微細なセラミックス部品を製造することができる。これらの微細セラミックス部品は、寸法安定性が良好で、大きさの調整や電極の形成なども容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の微細セラミックス部品の製造方法を示す工程図である。
【図2】 本発明の微細セラミックス部品の別の製造方法を示す工程図である。
【図3】 従来の微細セラミックス構造体の製造方法を示す工程図である。
【図4】 セラミックス構造体の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
11,21 セラミックス構造体、11a,21a 柱状体、11a’ 微細セラミックス部品、11b,21b 台座、21c 頭頂部、12a,12b,22,22a 樹脂材料、24,24a 電極。
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細セラミックス部品の製造方法に関する。さらに詳細には、医療用超音波診断装置などの非破壊検査装置に使用する微細圧電セラミックス柱、または小形のトランス(変圧器)に使用する微細フェライトコアなどの微細セラミックス部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス部品は、押し出し成形やプレス成形を行ない、成形品を焼成することにより製造されている。また、微細セラミックス部品の製造方法としては、フォトリソグラフィと電鋳を利用する方法が特許2924664号公報に紹介されている。この微細セラミックス部品の製造方法は、図3に示すように、まず、X線に感度のある樹脂層36を形成した基板33に、マスク37を介してシンクロトロン放射光(以下、「SR光」という。)を照射して、ディープX線リソグラフィを行なってから(図3(a))、現像して樹脂型36bを得る(図3(b))。つぎに、この樹脂型36bに電鋳を施し、金型38を形成した後(図3(c))、基板33および樹脂型36bを除去し、金型38を得る。得られる金型38を用いて樹脂モールドを行ない、樹脂型36cを形成する(図3(d))。この樹脂型36cは、所望とする微細セラミックス部品を反転させた形状を有している。つぎに、樹脂型36cにセラミックスのスラリーを充填した後、乾燥して固化する(図3(e))。つぎに、樹脂型36cを除去し、セラミックスのみの構造とした後、焼成し、微細セラミックス構造体31を得る(図3(f))。得られるセラミックス構造体31は、微細セラミックス部品として使用することができ、台座31b上に同一の配向性を有する複数の柱状体31aが並設する構造を有している(図3(f))。このセラミックス構造体は、寸法安定性がよく、大きさの調整が容易である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、押し出し成形やプレス成形後、焼成する方法では、微細なセラミックス部品を製造することが困難である。一方、フォトリソグラフィと電鋳を利用する方法では、セラミックス構造体の台座上に並設している柱状体自体を、微細な部品として得ようとすると、ハンドリングに際して壊れやすく、反りが生じて寸法精度が低下しやすく、微細なセラミックス部品の製造方法としては限界があった。また、電極の形成などの加工も困難であった。
【0004】
本発明は、寸法安定性が良好で、大きさの調整や電極の形成なども容易な微細セラミックス部品の製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の微細セラミックス部品の製造方法は、同一の配向性を有する複数の柱状体を台座上に並設するセラミックス構造体から微細セラミックス部品を製造する方法であって、セラミックス構造体に樹脂材料を充填する工程と、セラミックス構造体の台座を除去する工程と、樹脂材料を除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明の微細セラミックス部品の別の製造方法は、同一の配向性を有する複数の柱状体を台座上に並設するセラミックス構造体から微細セラミックス部品を製造する方法であって、セラミックス構造体に樹脂材料を充填した後に、台座上に並設する柱状体の頭頂部を露出するとともに、台座を除去して板状体を形成する工程と、樹脂材料を除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の微細セラミックス部品の別の製造方法は、同一の配向性を有する複数の柱状体を台座上に並設するセラミックス構造体から微細セラミックス部品を製造する方法であって、セラミックス構造体に樹脂材料を充填した後に、台座上に並設する柱状体の頭頂部を露出するとともに、台座を除去して板状体を形成する工程と、板状体の表裏両面に電極を形成する工程と、樹脂材料を除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
このセラミックス構造体は、導電性を有する基板上にフォトリソグラフィのための樹脂材料からなる層を形成する工程と、樹脂材料からなる層をパターン形成のためのマスクを介して露光する工程と、露光した樹脂材料からなる層を現像により除去し、パターン化した樹脂型を得る工程と、得られた樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、基板および樹脂型を除去して金属材料からなる型を得る工程と、得られた金属材料からなる型に樹脂材料を充填する工程と、金属材料からなる型を抜き取り、樹脂型を得る工程と、得られた樹脂型にセラミックス材料を充填し、固化する工程と、樹脂型を除去する工程と、固化したセラミックス材料を焼成する工程と、により製造することが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の微細セラミックス部品の製造方法は、セラミックス構造体に樹脂材料を充填してから、セラミックス構造体の台座を除去し、その後、樹脂材料を除去することを特徴とする。
【0010】
本発明の微細セラミックス部品の製造方法を図1に示す。
最初に、セラミックス構造体11に樹脂材料12aを充填する(図1(a))。この工程は、容器内で行なうのが好ましい。
【0011】
セラミックス構造体は、たとえば、圧電素子に使用する場合には、チタン酸バリウムやジルコン酸鉛−チタン酸鉛系固溶体などの灰チタン石型構造の結晶などからなり、具体的にはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)およびチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)などのチタン酸ジルコン酸塩、またはチタン酸鉛などからなる。また、トランスのフェライトコアに使用する場合には、MnFe2O4またはNiFe2O4に、ZnFe2O4を固溶したスピネル型のMn−ZnフェライトやNi−Znフェライトなどからなる。
【0012】
セラミックス構造体は、その台座11b上に同一の配向性を有する複数の柱状体11aが並設している(図1(a))。
【0013】
樹脂材料は、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、またはシリコンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴムなどのゴムである。
【0014】
樹脂材料12aが硬化した後、容器から取り出し、セラミックス構造体11の台座11bを研削や研摩により除去する(図1(b)、図1(c))。この工程において、完成品である微細セラミックス部品(柱状体)の高さを容易に調整することができる。除去に際して、セラミックス構造体の幅を越えた樹脂材料を併せて除去してもよい。
【0015】
最後に、樹脂材料12bを除去すると、微細セラミックス部品11a’を得ることができる(図1(c)、図1(d))。樹脂材料は、ウエットエッチングまたはプラズマエッチングにより除去することができる。樹脂材料の除去に際しては、セラミックス構造体を傷つけたり破壊することなく、樹脂材料のみを速やかに除去する必要がある。したがって、ウェットエッチングをする場合は、たとえば、樹脂材料がアクリル樹脂であれば、溶剤としてアセトンが好ましい。また、プラズマエッチングをする場合は、たとえば、酸素とフレオンのプラズマによりエッチングを行なうのが好ましい。たとえば、50Wのプラズマパワー、0.5Torrの反応ガス圧により、アクリル樹脂を約3μm/分でプラズマエッチングすることができる。
【0016】
セラミックス構造体は、寸法安定性がよく、大きさや形状の調整が容易な点で、フォトリソグラフィおよび電鋳を利用する方法により製造するのが好ましい。製造方法を図4に示す。
【0017】
まず、導電性を有する基板43上にフォトリソグラフィのための樹脂材料からなる層46を形成する(図4(a))。導電性を有する基板としては、たとえば、銅、ニッケル、ステンレス鋼などの金属基板、チタン、クロムなどの金属をスパッタ蒸着したシリコン基板を用いることができる。フォトリソグラフィのための樹脂材料としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのポリメタクリル酸エステルを主成分とする樹脂や、X線に感受性を有する化学増幅型の樹脂などを使用するのが好ましい。樹脂層の厚さは、0.1mm〜0.5mmが好ましい。
【0018】
つぎに、樹脂材料からなる層46をパターン形成のためのマスク47を介して露光する(図4(b))。マスクは、所定のパターンを有するX線吸収層からなる。所定のパターンとしては、1辺が88μm以下の正方形、または同等の面積となる円や多角形が間隔をあけて複数配列するパターンが、圧電素子として使用する場合に超音波診断装置の分解能などを高める点で好ましい。マスクを構成する透光性基材には、たとえば窒化シリコン、シリコン、ダイヤモンド、チタンがあり、X線吸収層には、たとえば金、タングステン、タンタルなどの重金属またはその化合物などを用いる。X線吸収層の厚みは、たとえば3μm〜10μmとすることができる。
【0019】
露光に使用する光線としては、デイープエッチングが可能である点で、SR光が好ましい。SR光の波長は、たとえば1Å〜10Åであり、そのエネルギは、1keV〜10keVが好ましい。SR光を発する装置としては、たとえば産業用小型SR装置(蓄積電子エネルギ0.6GeV〜1.5GeV)、中型SR装置(蓄積電子エネルギ1.5GeV〜3GeV)などである。
【0020】
露光した樹脂材料からなる層46aを現像により除去し、パターン化した樹脂型46bを得る(図4(b)、図4(c))。
【0021】
得られた樹脂型46bに金属材料48からなる層を電鋳により形成する(図4(d))。電鋳は、導電性を有する基板をメッキ電極として行なうことができる。また、金属材料からなる層は、樹脂型の厚さを超え、全体で0.5〜1mmの厚さとするのが好ましい。金属材料は、ニッケル、銅、金、それらの合金、パーマロイなどであり、金属材料からなる層は金型として用いる点で、ニッケルが好ましい。
【0022】
電鋳後、基板43および樹脂型46bを除去して、金属材料48からなる型を得る(図4(e))。基板はウエットエッチングなどにより除去することができる。また、樹脂型はウェットエッチングまたはプラズマエッチングにより除去することができる。
【0023】
つぎに、得られた金属材料48からなる型に樹脂材料を充填する(図4(f))。樹脂材料は、たとえばポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂(メタクリル樹脂)、ポリウレタン樹脂(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)などのポリアセタールなどの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、シロップ状アクリルなどの熱硬化性樹脂などである。
【0024】
樹脂材料を冷却し硬化した後、金属材料48からなる型を抜き取り、樹脂型46cを得(図4(g))、得られた樹脂型にセラミックス材料40を充填し、固化する(図4(h))。
【0025】
セラミックス材料は、樹脂型からあふれる程度まで充填する。
つぎに、樹脂型46cを除去する(図4(i))。樹脂型の除去は、樹脂材料を溶融状態にすることなく気化もしくは昇華する方法、または適当な溶剤に溶解する方法が好ましい。これらの方法はいずれも、セラミックス材料からなる構造体を傷つけたり破壊することなく、樹脂型のみを速やかに除去することのできる方法であり、この結果、セラミックス材料からなる非常に微細な構造体を得ることができるようになる。一方、樹脂材料を溶融状態にするような条件下で樹脂型を除去すると、溶融した樹脂材料によりセラミックスの微細な柱状体が倒されたりするおそれがある。
【0026】
樹脂型の除去後、固化したセラミックス材料を焼成して、セラミックス構造体41を得る(図4(j))。
【0027】
(実施の形態2)
本発明の微細セラミックス部品の別の製造方法は、最初に、セラミックス構造体に樹脂材料を充填し、つぎに、台座上に並設する柱状体の頭頂部を露出するとともに、台座を除去して板状体を形成し、得られる板状体から樹脂材料を除去することを特徴とする。
【0028】
この製造方法を図2に示す。
最初に、セラミックス構造体21に樹脂材料22aを充填する(図2(a))。セラミックス構造体21は、柱状体21aおよび台座21bとからなり(図2(a))、実施の形態1と同様の方法により製造することができる。
【0029】
樹脂材料22aが硬化した後、樹脂材料22aの充填したセラミックス構造体21を取り出す(図2(b))。
【0030】
つぎに、台座上に並設する柱状体21aの頭頂部21cが露出するように、樹脂材料22aを研削または研磨により除去し(図2(b)、図2(c))、つぎに、研削または研磨により台座21bを除去し、板状体を形成する(図2(c)、図2(d))。先に、セラミックス構造体の台座を除去し、つぎに、柱状体の頭頂部が露出するように樹脂材料を除去してもよい。また、セラミックス構造体の台座を除去するときに、セラミックス構造体の幅を越えて付着している樹脂材料を除去してもよい。この樹脂材料および台座の研磨、研削工程において、完成品である微細セラミックス部品(柱状体)の高さを容易に調整することができる。
【0031】
最後に、樹脂材料22を除去すると、柱状のセラミックス構造体21a’のみからなる微細セラミックス部品を得ることができる。
【0032】
(実施の形態3)
本発明の微細セラミックス部品の別の製造方法は、最初に、セラミックス構造体に樹脂材料を充填し、つぎに、台座上に並設する柱状体の頭頂部を露出するとともに、台座を除去して板状体を形成し、得られる板状体の表裏両面に電極を形成し、最後に、樹脂材料を除去することを特徴とする。
【0033】
実施の形態2と同様にして、セラミックス構造体21a’および樹脂材料22からなる板状体を形成した後、板状体の表裏両面に電極24aを形成する(図2(e))。
【0034】
電極は、蒸着またはスパッタリングにより形成することができるが、他の方法により形成してもよい。電極の材質は、導電性がよい点で、金属が好ましく、金がより好ましい。
【0035】
最後に、樹脂材料22を除去すると、柱状のセラミックス構造体21a’の上面および下面に電極24を有する微細セラミックス部品を得ることができる(図2(f))。
【0036】
樹脂材料の除去は、ウェットエッチングまたはプラズマエッチングにより行なうことができる。一般に、電極として用いる金属は、樹脂材料よりセラミックス構造体と強く接合している。したがって、樹脂材料の除去に先立ち、樹脂材料上の電極のみを選択的に除去するために、電極表面を軽く擦り、または拭き取るなどの操作をしておくことが好ましい。たとえば、セラミックス構造体がPZT、樹脂材料がエポキシ樹脂、電極が金からなるときは、スパッタリングにより形成した金電極は、PZTとは強く接合しているが、エポキシ樹脂とは強く接合していないため、金電極の表面を軽く拭き取ると、エポキシ樹脂上の金電極のみを容易に除去することができる。
【0037】
得られる微細セラミックス部品は、実施の形態1または実施の形態2で得られる微細セラミックス部品と異なり、柱状体の上面および下面に電極を有する。他の点では、実施の形態1または実施の形態2で得られる微細セラミックス部品と同様である。
【0038】
【実施例】
実施例1
メタクリル酸メチルとメタクリル酸の共重合体からなる厚さ300μmの層を、チタンをスパッタ蒸着したシリコン基板上に形成した。窒化シリコンからなる厚さ2μmの透光性基板上に、窒化タングステンからなる厚さ5μmの吸収層のパターンを形成したマスクを、樹脂材料からなる層の上方に配置した。このマスクを介してSR光を樹脂材料からなる層に照射し、深いX線リソグラフィーを行なった。SR光放射装置はNIJI−III(偏向部の磁場4テスラー、蓄積電子エネルギ0.6GeV)を使った。SR光の照射後、メチルイソブチルケトン(MiBK)により現像を行ない、樹脂型を得た。この樹脂型に電鋳により厚さ1mmのニッケル層を形成した後、基板を水酸化カリウムの水溶液で溶解して、除去し、樹脂材料からなる層を酸素プラズマにより除去し、金型を得た。この金型に、シロップ状のポリメタクリル酸メチルを充填し、加熱により硬化した後、室温まで冷却してから、金型を分離し、樹脂型を得た。
【0039】
この樹脂型上にPZT粒子を含有するシート状の灰土を置き、周囲にセラミックス粉体を配置した状態でダイスに入れ、プレス成形をした。灰土は、平均粒径0.5μmのPZT粉末にバインダ(ポリビニルアルコール)を混ぜて調製し、灰土中の溶媒(水)の含量は42体積%、PZT含量は45.5体積%、バインダー含量は12.5体積%であった。プレス成形は190kgf/cm2で行なった。得られた成形体を乾燥し、酸素プラズマによるアッシングを行ない、樹脂型を除去した。アッシングは、反応ガス圧0.5Torr、RFパワー50Wで行ない、柱状体の倒壊率は0.1%以下であった。得られた成形体を500℃で仮焼成してバインダーを除去し、1100℃で本焼成し、PZT焼結体からなる微細構造体を得た。この微細構造体における柱状体は、縦50μm、横50μm、高さ350μmの角柱であり、角柱間の距離は50μmであった。
【0040】
このPZT焼結体からなる微細構造体に樹脂材料を充填し、硬化した。樹脂材料としては、エポキシ樹脂を使用した。充填硬化は、加熱溶融した樹脂材料を、PZT焼結体からなる微細構造体上に垂らし、真空脱泡後に加熱硬化した。硬化後、台座部分を研磨により除去して、酸素プラズマによるアッシングを行ない、樹脂材料を除去した。アッシングは、反応ガス圧0.5Torr、RFパワー50Wで行なった。アッシングの結果、PZT焼結体からなり、縦50μm、横50μm、高さ350μmの角柱状をした微細セラミックス部品を得た。
【0041】
実施例2
実施例1と同様にしてPZT焼結体からなる微細構造体を得た。この微細構造体の台座上に並設する柱状体は、縦40μm、横40μm、高さ300μmの角柱であり、角柱間の距離は50μmであった。このPZT焼結体からなる微細構造体に樹脂材料としてエポキシ樹脂を実施例1と同様に充填し、硬化した。硬化後、エポキシ樹脂を研磨することにより、微細構造体の台座上の柱状体の頭頂部を露出し、つぎに、台座部分を研磨により除去した。得られた板状体の表裏両面にスパッタ蒸着により金電極を形成した。つぎに、110℃で、電極間に3kV/mmの電流を40分間印加し、分極した。分極後、両面の電極を軽く拭き取ると、エポキシ樹脂上の電極は容易に剥がれ落ちたが、PZT焼結体上の電極はそのまま残っていた。最後に、実施例1と同様の条件で、酸素プラズマによるアッシングを行ない、樹脂材料を除去した結果、PZT焼結体からなり、縦40μm、横40μm、高さ300μmの角柱状をした微細セラミックス部品を得た。得られた微細セラミックス部品の上面および下面には金製の電極が形成されていた。
【0042】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、非破壊検査装置などに使用する微細PZTアクチュエータや小形トランスなどに使用する微細フェライトコアなどの微細なセラミックス部品を製造することができる。これらの微細セラミックス部品は、寸法安定性が良好で、大きさの調整や電極の形成なども容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の微細セラミックス部品の製造方法を示す工程図である。
【図2】 本発明の微細セラミックス部品の別の製造方法を示す工程図である。
【図3】 従来の微細セラミックス構造体の製造方法を示す工程図である。
【図4】 セラミックス構造体の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
11,21 セラミックス構造体、11a,21a 柱状体、11a’ 微細セラミックス部品、11b,21b 台座、21c 頭頂部、12a,12b,22,22a 樹脂材料、24,24a 電極。
Claims (4)
- 同一の配向性を有する複数の柱状体を台座上に並設するセラミックス構造体から微細セラミックス部品を製造する方法であって、
前記セラミックス構造体に樹脂材料を充填する工程と、
前記セラミックス構造体の前記台座を除去する工程と、
前記樹脂材料を除去する工程と、
を有する微細セラミックス部品の製造方法。 - 同一の配向性を有する複数の柱状体を台座上に並設するセラミックス構造体から微細セラミックス部品を製造する方法であって、
前記セラミックス構造体に樹脂材料を充填した後に、前記台座上に並設する柱状体の頭頂部を露出するとともに、前記台座を除去して板状体を形成する工程と、
前記樹脂材料を除去する工程と、
を有する微細セラミックス部品の製造方法。 - 同一の配向性を有する複数の柱状体を台座上に並設するセラミックス構造体から微細セラミックス部品を製造する方法であって、
前記セラミックス構造体に樹脂材料を充填した後に、前記台座上に並設する柱状体の頭頂部を露出するとともに、前記台座を除去して板状体を形成する工程と、
前記板状体の表裏両面に電極を形成する工程と、
前記樹脂材料を除去する工程と、
を有する微細セラミックス部品の製造方法。 - 前記セラミックス構造体は、
導電性を有する基板上にフォトリソグラフィのための樹脂材料からなる層を形成する工程と、
前記樹脂材料からなる層をパターン形成のためのマスクを介して露光する工程と、
露光した樹脂材料からなる層を現像により除去し、パターン化した樹脂型を得る工程と、
得られた樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、
前記基板および前記樹脂型を除去して前記金属材料からなる型を得る工程と、
得られた金属材料からなる型に樹脂材料を充填する工程と、
前記金属材料からなる型を抜き取り、樹脂型を得る工程と、
得られた樹脂型にセラミックス材料を充填し、固化する工程と、
前記樹脂型を除去する工程と、
前記固化したセラミックス材料を焼成する工程と、
により製造する請求項1〜3のいずれかに記載の微細セラミックス部品の製造方法。
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