JP2002216772A - アルカリ電池 - Google Patents
アルカリ電池Info
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Abstract
アルカリ電池を提案せんとするものである。 【解決手段】 酸化銀もしくは二酸化マンガンを正極活
物質とする正極合剤1が配された正極缶2と亜鉛又は亜
鉛合金粉末を負極活物質とする負極合剤3が配され、外
周に折り返し部4a及び折り返し底部4bを有し、内面
が銅より成る負極カップ4とをガスケット6を介して密
封すると共にこの正極合剤1とこの負極合剤3と間にセ
パレータ5を配し、アルカリ電解液を注入したアルカリ
電池であって、この負極カップ4のこの折り返し部4a
及び折り返し底部4bを含まない内面領域に銅よりも水
素過電圧の高い金属もしくは合金10を被着すると共に
この負極カップ4のこの折り返し部4a及び折り返し底
部4bの酸素と母材である銅との比率(O/Cu)がオ
ージェ電子分光法にて0.54以下であるものである。
Description
上計算機等の小型電子機器に使用されるコイン形及びボ
タン形のアルカリ電池に関する。
の小型電子機器に使用されているコイン形及びボタン形
のアルカリ電池では、負極合剤に亜鉛又は亜鉛合金粉末
に水銀をアマルガム化した汞化亜鉛を使用することによ
り、亜鉛又は亜鉛合金粉末から発生する水素ガスH2 及
び亜鉛又は亜鉛合金粉末が集電体(負極カップ)とアル
カリ電解液を介して接触することにより集電体(負極カ
ップ)から発生する水素ガスH2 を抑制するようにして
いる。
は亜鉛合金粉末がアルカリ電解液に溶解する反応であ
り、酸化されて水酸化亜鉛又は酸化亜鉛に変化するとき
の反応である。
化亜鉛を使用することにより、容量保存性の低下、内圧
の上昇による耐漏液性の低下、更にこのアルカリ電池の
膨れや破裂を抑制する効果がある。
観点からこのコイン形及びボタン形のアルカリ電池でも
水銀の使用をできるだけ避ける方向にあり、水銀を不要
にするための多くの研究がなされている。
から発生する水素ガスH2 の発生を抑える方法として
は、水素過電圧の高い金属を亜鉛粉に合金として添加す
る方法や、アルカリ電解液に水素ガスH2 の発生を抑え
るインヒビターを添加する方法が知られている。
は、亜鉛又は亜鉛合金粉末が集電体(負極カップ)とア
ルカリ電解液を介して接触することにより発生する水素
ガスH 2 を完全に抑えることができない。この水素ガス
H2 の発生を抑えるために、この集電体(負極カップ)
の銅よりも水素過電圧の高い金属であるスズSn、イン
ジウムIn、ビスマスBiや之等金属の1種以上もしく
は合金をこの集電体(負極カップ)の銅面にメッキして
被覆する方法が提案されている。
やバレルメッキ等で、スズSn、インジウムIn、ビス
マスBiや之等金属の1種以上もしくは合金を被覆する
と、この負極カップの折り返し部及び折り返し底部に
も、このスズSn、インジウムIn、ビスマスBi等が
被着されることとなる。
層クラッド材の銅面にスズSn、インジウムIn、ビス
マスBiや之等金属の1種以上もしくは合金を全面に亘
って被覆した後に負極カップにプレス成形した場合にも
同様に、この負極カップの折り返し部及び折り返し底部
にもこのスズSn、インジウムIn、ビスマスBi等が
被着される。
ップ(集電体)とアルカリ電解液を介して接触すること
により発生する水素ガスH2 の抑制には効果があるが、
このスズSn、インジウムIn、ビスマスBiや之等金
属の1種以上もしくは合金はアルカリ電解液の這い上が
り(クリープ現象)が銅よりも大きく、このアルカリ電
池の耐漏液性を低下させる原因となる不都合がある。
び折り返し底部を含まない内面領域のみに被覆を行い、
水素ガスH2 の発生とアルカリ電解液のクリープ現象と
を同時に抑制する技術が研究されてきた。
量産化する場合、目的とする負極カップの折り返し部及
び折り返し底部を含まない内面領域のみに精度よくメッ
キを施す方法は困難であり、且つ洗浄時にメッキ液によ
りこの負極カップ(集電体)の銅面が酸化されることが
ある。
金属がこの負極カップの折り返し部及び折り返し底部に
存在しなくとも、この負極カップ(集電体)の母材の銅
面がメッキ液により酸化されることで、アルカリ電解液
のクリープ現象が大きくなり、耐漏洩性を低下させる不
都合があった。
は以下の通りであった。図3に示す如く、ガラス製ビー
カ11の中に亜鉛合金粉12と28mass%の水酸化
ナトリウム水溶液13とを投入し、次の方法で調整した
3枚の銅板A,B及びCを図3に示す如く配した。
1週間放置したものであり、Bは75℃、湿度90%の
加湿オーブンに2時間放置したものであり、Cは銅板を
そのままとしたものである。
分光法により測定したO及びCuのオージェ電子強度比
及びこの試験にて12時間放置後の這い上がり高さΔH
は次の表1に示す通りであった。
度比が増加するに従い這い上がり(クリープ)が促進さ
れることは明確である。この這い上がり(クリープ)は
集電体(負極カップ)−電解液(例えば水酸化ナトリウ
ム水溶液)−大気の三層界面で進行し、そのメカニズム
は以下のような反応によるものと推察される。
の酸素と電解液中の水による電気化学反応が起こりOH
- イオンが界面付近に生成される。このため界面付近の
OH - イオン濃度が増加し、電気的な中性を保つ為、電
解液中の陽イオンであるNa + が界面に移動する。
の濃度勾配が生じ、濃度を均一化させるべく水が三層界
面に移動する。一連の反応の引き金となる酸素と水の電
気化学反応は大気中のみならず銅表面の酸化層において
も起こり得ると推察されるため、銅表面の酸素濃度が増
加するに従い、這い上がり(クリープ)が促進すると考
えられる。
リ電解液のクリープ現象を抑制する技術は量産化が困難
であり、このため現在まで、水銀を含んでいない、この
コイン形及びボタン形のアルカリ電池は市販されていな
い。
ないコイン形及びボタン形のアルカリ電池を提案せんと
するものである。
酸化銀もしくは二酸化マンガンを正極活物質とする正極
合剤が配された正極缶と、亜鉛又は亜鉛合金粉末を負極
活物質とする負極合剤が配され、外周に折り返し部及び
折り返し底部を有し、内面が銅より成る負極カップとを
ガスケットを介して密封すると共にこの正極合剤とこの
負極合剤と間にセパレータを配し、アルカリ電解液を注
入したアルカリ電池であって、この負極カップのこの折
り返し部及び折り返し底部を含まない内面領域に銅より
も水素過電圧の高い金属もしくは合金を被着すると共に
この負極カップのこの折り返し部及び折り返し底部の酸
素と母材である銅との比率(O/Cu)がオージェ電子
分光法にて0.54以下であるものである。
域に銅よりも水素過電圧の高い金属もしくは合金を被着
したので水素ガスH2 の発生を抑えることができると共
にこの負極カップの折り返し部及び折り返し底部の酸素
と母材である銅との比率(O/Cu)がオージェ電子分
光法にて0.54以下としたのでアルカリ電解液の這い
上がり(クリープ)は小さくなり、耐漏液性を低下で
き、水銀を含んでいないアルカリ電池を得ることができ
る。
カリ電池の実施の形態例につき説明しよう。
マンガンを正極活物質とする正極合剤を示し、本例にお
いてはこの正極合剤1をコイン状のペレットに成形す
る。このコイン状のペレットの正極合剤1をステンレス
スチール板にニッケルメッキを施した正極端子及び正極
集電体を兼ねた正極缶2に配する。
物質とし、アルカリ電解液例えば水酸化ナトリウム水溶
液又は水酸化カリウム水溶液、増粘剤等からなり、水銀
を含まないジェル状の負極合剤を示し、この負極合剤3
を負極端子及び負極集電体を兼ねた負極カップ4に配す
る。
布、セロハン及びポリエチレンをグラフト重合した膜の
3層からなるセパレータ5を配する。このセパレータ5
にアルカリ電解液例えば水酸化ナトリウム水溶液又は水
酸化カリウム水溶液を含浸する如くする。
5の上部と負極カップ4の外周の折り返し部4a及び折
り返し底部4bと間にナイロン製のガスケット6を配し
て、この正極缶2と負極カップ4とをカシメて密封する
如くする。
図2に示す如く、ニッケル7、ステンレス8及び銅9の
3層クラッド材により形成し、外周に折り返し部4a及
び折り返し底部4bを形成する如くする。
のこの折り返し部4a及び折り返し底部4bを含まない
内面領域の銅9上に、銅よりも水素過電圧の高いスズS
nを被着し、スズ被覆層10を設けたものである。
内面領域の銅9上への銅よりも水素過電圧の高い例えば
スズSnの被着方法を工夫してこの負極カップ4のこの
折り返し部4a及び折り返し底部4bの酸素Oとこの負
極カップ4の母材である内面の銅Cuとの比率(O/C
u)がオージェ電子分光法にて0.54以下とする如く
する。
如く、負極カップ4の内面に銅より水素過電圧の高いス
ズ被覆層10を設けたので、水素ガスH2 の発生を抑制
できると共に負極カップ4の折り返し部4a及び折り返
し底部4bの酸素Oと母材の銅Cuとの比率(O/C
u)がオージェ電子分光法にて0.54以下としたもの
でクリープ現象を抑制し耐漏液性を向上することができ
る。
4は、この負極カップ4に無電解スズメッキ液の所定量
を滴下し、その後25℃で10分間放置し、その後、こ
の負極カップ4に滴下したスズメッキ液を吸引して除去
した後、水浴内で流水で用い5分間洗浄した後、60℃
の乾燥機の中で15分間乾燥を行なったものである。こ
の実施例1では上述の負極カップ4を使用して、図1に
示す如きボタン形のアルカリ電池を作製したものであ
る。
は、負極カップ4の折り返し部4a及び折り返し底部4
bを含まない内面領域に乾式成膜法であるスパッタリン
グ法にて、厚さ0.15μmのスズ被覆層10を被着し
たものである。この実施例2のアルカリ電池は、この負
極カップ4を使用して、図1に示す如きボタン形アルカ
リ電池を作製したものである。
は、負極カップ4に無電解スズメッキ液の所定量を滴下
し、その後25℃で10分間放置し、その後、水浴内で
流水を用いて5分間洗浄した後、60℃の乾燥機の中で
15分間乾燥を行なったものである。この比較例1では
上述負極カップ4を使用して、図1に示す如きボタン形
のアルカリ電池を作製したものである。
ズ被覆層10を設けないものである。
ルカリ電池の負極カップ4の折り返し部4a及び折り返
し底部4bの酸素O及び銅Cuのオージェ電子強度比
(O/Cu)及び上述アルカリ電池を装置200個ずつ
用意し、このアルカリ電池をオーブン内で、45℃、相
対湿度93%の過酷環境下で保存し、140日、160
日後の漏液発生率について測定した結果を表2に示す。
意し、このアルカリ電池をオーブン内で60℃、相対湿
度0%の環境で100日間保存し、30kΩで定抵抗放
電させ、1.4Vを終止電圧とした時の放電容量(mA
h)を表2で示す。この場合、いずれのアルカリ電池も
初期放電容量は28mAh前後であった。
負極カップ4の内面に水素過電圧の銅より高いスズ被覆
層10を設けたので水素ガスH2 の発生を抑制でき、保
存後の容量を維持することができ、且つ負極カップ4の
折り返し部4a及び折り返し底部4bのO/Cu比が
0.54以下のときはクリープ現象を抑制することがで
き、漏液発生数を減少させることができる。
を水浴内で流水を用いて洗浄しているので、この無電解
スズメッキ液を吸引して除去する実施例1よりもオージ
ェ電子強度比O/Cuが劣り、耐漏液特性が悪くなって
いる。
内面にスズ被覆層10を設けないので水素ガスH2 が発
生し内圧が上昇し耐漏液特性及び100日後の放電容量
が劣化している。
銅よりも水素過電圧の高いスズ被覆層10を被着したの
で、水素ガスH2 の発生を抑えることができると共にこ
の負極カップ4の折り返し部4a及び折り返し底部4b
の酸素Oと母材である銅Cuとの比率(O/Cu)がオ
ージェ電子分光法にて0.54以下としたのでアルカリ
電解液の這い上がり(クリープ現象)は小さくなり、耐
漏液性を低下でき、水銀を含んでいないアルカリ電池を
得ることができる。
を使用したがその他の乾式成膜法によってスズ被覆層1
0を被着した場合にも、負極カップ4の折り返し部4a
及び折り返し底部4bのオージェ電子強度比(O/C
u)を、0.54以下とすることができる。この乾式成
膜法としては、真空蒸着、イオンプレーティング等のそ
の他のPVD(Physical vapor deposition)法や、熱、
プラズマ、光等のCVD(Chemical vapor deposition)
法が使用できる。
金属としてスズSnを被覆したがこの代りに、スズS
n、インジウムIn、ビスマスBiの1種以上の金属も
しくは合金であっても良い。
明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成が採り
得ることは勿論である。
に銅よりも水素過電圧の高い金属もしくは合金を成膜し
たので、水銀を使用することなく、水素ガスH2 の発生
を抑制できると共にこの負極カップの折り返し部及び折
り返し底部の酸素と母材である銅との比率(O/Cu)
がオージェ電子分光法にて0.54以下としたので、ア
ルカリ電解液の這い上がり(クリープ現象)は小さくな
り、耐漏液性を低下でき、水銀を含んでいないアルカリ
電池を得ることができる。
面図である。
‥負極カップ、4a‥‥折り返し部、4b‥‥折り返し
底部、5‥‥セパレータ、6‥‥ガスケット、7‥‥ニ
ッケル、8‥‥ステンレス、9‥‥銅、10‥‥スズ被
覆層
Claims (4)
- 【請求項1】 酸化銀もしくは二酸化マンガンを正極活
物質とする正極合剤が配された正極缶と、亜鉛又は亜鉛
合金粉末を負極活物質とする負極合剤が配され、外周に
折り返し部及び折り返し底部を有し、内面が銅より成る
負極カップとをガスケットを介して密封すると共に前記
正極合剤と前記負極合剤との間にセパレータを配し、ア
ルカリ電解液を注入したアルカリ電池であって、 前記負極カップの前記折り返し部及び折り返し底部を含
まない内面領域に銅よりも水素過電圧の高い金属もしく
は合金を被着すると共に前記負極カップの前記折り返し
部及び折り返し底部の酸素と母材である銅との比率(O
/Cu)がオージェ電子分光法にて0.54以下である
ことを特徴とするアルカリ電池。 - 【請求項2】 請求項1記載のアルカリ電池において、 前記負極カップの前記折り返し部及び折り返し底部を含
まない内面領域に銅よりも水素過電圧の高い金属もしく
は合金を被着するのに、真空蒸着、スパッタリング、イ
オンプレーティング等のPVD法もしくは熱、プラズ
マ、光等のCVD法により行うようにしたことを特徴と
するアルカリ電池。 - 【請求項3】 請求項1記載のアルカリ電池において、 前記負極カップの前記折り返し部及び折り返し底部を含
まない内面領域に銅よりも水素過電圧の高い金属もしく
は合金を被着するのに、前記負極カップに無電解メッキ
液を滴下し、所定時間後、前記滴下した無電解メッキ液
を吸引した後洗浄するようにしたことを特徴とするアル
カリ電池。 - 【請求項4】 請求項1記載のアルカリ電池において、 前記銅よりも水素過電圧の高い金属もしくは合金は、ス
ズ、インジウム、ビスマスの1種以上の金属もしくは合
金であることを特徴とするアルカリ電池。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001006669A JP4717222B2 (ja) | 2001-01-15 | 2001-01-15 | アルカリ電池 |
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---|---|---|---|
JP2001006669A Expired - Lifetime JP4717222B2 (ja) | 2001-01-15 | 2001-01-15 | アルカリ電池 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006058467A1 (en) * | 2004-12-02 | 2006-06-08 | Chung Pak Battery Works Ltd. | A Button-Shaped Alkaline Battery |
JP2007080614A (ja) * | 2005-09-13 | 2007-03-29 | Sony Corp | アルカリ電池 |
JP2008300084A (ja) * | 2007-05-29 | 2008-12-11 | Seiko Instruments Inc | 扁平形アルカリ電池の電極缶メッキ方法、扁平形アルカリ電池の負極缶メッキ方法、扁平形アルカリ電池の負極缶メッキ収装置、扁平形アルカリ電池の負極缶エッチング装置、扁平形アルカリ電池の負極缶表面改質装置、扁平形アルカリ電池の負極缶洗浄装置及び扁平形アルカリ電池の負極缶乾燥装置 |
EP3742514A1 (de) * | 2019-05-20 | 2020-11-25 | VARTA Microbattery GmbH | Verfahren zur herstellung einer batterie und gemäss dem verfahren hergestellte batterie |
CN112018275A (zh) * | 2019-05-28 | 2020-12-01 | 瓦尔达微电池有限责任公司 | 用于生产电池的工艺及由该工艺生产的电池 |
-
2001
- 2001-01-15 JP JP2001006669A patent/JP4717222B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (6)
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US11258145B2 (en) | 2019-05-20 | 2022-02-22 | Varta Microbattery Gmbh | Battery and process for producing a battery |
CN112018275A (zh) * | 2019-05-28 | 2020-12-01 | 瓦尔达微电池有限责任公司 | 用于生产电池的工艺及由该工艺生产的电池 |
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