JP2002214672A - カメラ用シャッター羽根、カメラ用シャッターおよびカメラ - Google Patents

カメラ用シャッター羽根、カメラ用シャッターおよびカメラ

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JP2002214672A
JP2002214672A JP2001013539A JP2001013539A JP2002214672A JP 2002214672 A JP2002214672 A JP 2002214672A JP 2001013539 A JP2001013539 A JP 2001013539A JP 2001013539 A JP2001013539 A JP 2001013539A JP 2002214672 A JP2002214672 A JP 2002214672A
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camera
shutter
film
shutter blade
thickness
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JP2001013539A
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Yoshio Kawakami
良男 川上
Makoto Miyagi
誠 宮城
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Canon Electronics Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブラックプリプレグを用いることなく、高剛
性で耐久性、遮光性に優れ、かつ安価な炭素繊維強化型
樹脂製遮光羽根のカメラ用シャッター羽根、このカメラ
用シャッター羽根を用いたカメラ用シャッターおよびカ
メラを提供する。 【解決手段】 本発明のカメラ用シャッター羽根は、炭
素繊維を一方向に揃え、樹脂を含浸して固着してなる薄
板素材の間に、中間材としてプラスチック膜の片面もし
くは両面に金属膜が付着しているものを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速で連動するこ
とが要求されている軽量でかつ高剛性のカメラ用シャッ
ター羽根、このカメラ用シャッター羽根を用いたカメラ
用シャッターおよびカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、フイルム感度の向上やスボーツ写
真をはっきり撮りたい等の要求により、カメラのシャッ
タースピードの向上が要求されている。実際1/800
0秒以上の高速シャッターが商品化されている。
【0003】従来の高速シャッターの羽根材として最も
代表的なものは、炭素繊維の入ったプリプレグ(炭素繊
維プリプレグシート)を3層以上積層した炭素繊維強化
型樹脂(以下、CFRPという)製遮光羽根材である。
図2に従来のカメラ用シャッター羽根(CFRP遮光羽
根材)の分解図を示す。矢印は炭素繊維の方向を示して
いる。
【0004】カーボンブラック混入炭素繊維プリプレグ
シート(ブラックプリプレグシート)Eは、炭素繊維a
を一方向に揃え、樹脂を含浸して固着してなるもので、
樹脂にカーボンブラックが混入されている。このカメラ
用シャッター羽根はカーボンブラック混入炭素繊維プリ
プレグシートEを3層積層したものであり、遮光性の向
上と反りの関係で、中間の炭素繊維プリプレグシート
は、炭素繊維方向が両外側の炭素繊維プリプレグシート
の炭素繊維方向に対して直交する配置をとる。カーボン
ブラック混入炭素繊維プリプレグシートEの外側は黒色
塗装Dである。
【0005】CFRPで構成されるシャッター羽根は軽
量で曲げ剛性も高く、1/8000秒という高速度のシ
ャッタースピードでも停止直後の羽根の波打ちが非常に
小さい。このため羽根同士が衝突したり、破損したりす
ることがほとんどなく、高い耐久性が得られる。
【0006】しかし、CFRP材は炭素繊維が黒いため
に一応の遮光性はあるものの、完全な遮光性を得ること
は難しい。また、プリプレグ中の炭素繊維は均一に並ん
でいるが、プリプレグを積層する段階で炭素繊維が曲が
り、いわゆる目開きという現象が発生することがあり、
この目開きした場所の遮光性が低下することもある。
【0007】このような遮光性の問題を解消するため
に、使用するプリプレグ(PP)シートの少なくとも一
枚、通常は図2のように3層すべてのプリプレグシート
にブラックプリプレグシートが用いられる。このブラッ
クプリプレグシートは、マトリックス樹脂の前駆体とな
る樹脂液中にカーボンブラック(通常、平均粒径0.0
1μm以下)をあらかじめ約10質量%程度添加分散さ
せる方法で製造されるものである。
【0008】しかしながら、一般に世の中で用いられて
いるCFRP、例えばつり竿等に用いられるCFRPは
カーボンブラックをいれる必要がなく、ブラックプリプ
レグシートを用いるカメラ用CFRPはかなり特殊な用
途といえる。このためブラックプリプレグのシートを作
った後に一般のプリプレグを製造しようとしたとき、そ
の製造機械の清掃等が大変であり、材料がかなり無駄に
なることもある。また、ブラックプリプレグシートは製
造が困難である。そのため、従来のブラックプリプレグ
シートを用いたCFRP遮光羽根材は高価なものとなっ
ていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ブラ
ックプリプレグを用いることなく、高剛性で耐久性、遮
光性に優れ、かつ安価な炭素繊維強化型樹脂製遮光羽根
のカメラ用シャッター羽根、このカメラ用シャッター羽
根を用いたカメラ用シャッターおよびカメラを提供する
ことである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題は以下の本発明
により解決できる。 (1)炭素繊維を一方向に揃え、樹脂を含浸して固着し
てなる薄板素材の間に、中間材としてプラスチック膜の
片面もしくは両面に金属膜が付着しているものを有する
カメラ用シャッター羽根。 (2)前記(1)のカメラ用シャッター羽根を有するカ
メラ用シャッター。 (3)前記(1)のカメラ用シャッター羽根を有するカ
メラ。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のカメラ用シャッター羽根
は、炭素繊維を一方向に揃え、樹脂を含浸して固着して
なる薄板素材(炭素繊維プリプレグシート)の間に、中
間材としてプラスチック膜の片面もしくは両面に金属膜
が付着しているものを有する。中間材は、プラスチック
膜の片面もしくは両面にメッキ(無電解Niメッキ等)
を施したものであることが好ましい。
【0012】シャッター羽根を3層以上の積層膜とし、
両外側の膜には炭素繊維プリプレグシート(CFRP
材)を用い、中間部はプラスチック膜の片側もしくは両
側に遮光性に優れた金属膜を有するものとすることによ
り、外側の炭素繊維プリプレグシートで高速度のシャッ
タースピードでも耐えられる十分な曲げ剛性を確保しつ
つ、中間材の金属膜で十分な遮光性を確保することが可
能となる。本発明のカメラ用シャッター羽根は、従来の
CFRP材のものと同等以上の曲げ剛性、耐久性を有
し、しかも、ほぼ完全な遮光性が得られる。
【0013】本発明のように、CFRP材/中間材/C
FRP材と積層した場合、両外側のCFRP材のヤング
率をE1、厚みをT1、中間材のヤング率をE2、厚みを
2、複合材の総厚みをh(=2T1+T2)とすると、
この3層の複合材の総合ヤング率Eは E=[E22 3+E1{(2T1+T23−T2 3}]/h3 (1) となる。分かりやすくするためにT1=T2=T、h=3
Tとすると、式(1)は、 E=(E2+26E1)/27 となる。この場合、両外側のCFRP材のヤング率は、
中間材のヤング率と比べて26倍も総合ヤング率に対し
寄与することになる。本発明では、ヤング率の高いCF
RP材を外側にすることで、十分な総合ヤング率を得て
いる。
【0014】また、用いるプラスチック膜を高剛性の材
料、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)の延
伸材を用いることにより、より高い複合材の総合ヤング
率が得られる。
【0015】本発明は機能を分離した多層シャッター用
羽根材を開発したものである。両側のCFRP材にはヤ
ング率を向上させる役割を、中間材のプラスチック膜の
片面もしくは両面に金属膜が付着しているものには十分
な遮光性を確保する役割を果たさせている。一方で、C
FRP材そのものも十分ではないが遮光性をもってい
る。また、プラスチック膜の片面もしくは両面に金属膜
が付着しているものもヤング率の向上に寄与できる。こ
のように本発明では、機能分離とはいえ、お互いに機能
を補助しあい、優れた効果を得ている。
【0016】さらには、本発明では遮光性の問題を解消
するためにブラックプリプレグシートを用いることがな
いので、カメラ用シャッター羽根を容易に、かつ、安価
に製造できる。
【0017】シャッター用羽根材の要求項目としては、
遮光性のあること、ヤング率の高いこと以外に、軽量で
あること(カメラのチャージ力が小さいこと)、厚みの
薄いこと(シャッター全体の厚みが薄いこと)、反りの
ないこと(多数枚の重なり部分で光のもれが発生しない
こと)などがある。
【0018】詳しくは後で述べるが、本発明のカメラ用
シャッター羽根は、中間材にプラスチック膜の片面もし
くは両面に金属膜が付着しているものを用いることによ
り比重の大きな金属膜の膜厚を抑えることができるの
で、カメラ用シャッター羽根の重量の増加を抑えること
ができ、中間材に金属等を用いる場合と比べて軽量にで
きる。
【0019】また、プラスチック膜は薄膜化でき、多く
のプラスチック薄膜が市場で使用されている。例えば、
PETは25μm程度の厚みのシートとすることができ
る。これによってカメラ用シャッター羽根の総厚みを1
00μm以下にすることも可能である。
【0020】また、プラスチック膜の両面に金属膜を付
着させることにより、反りの発生を十分に抑制できる。
【0021】なお、実開昭60−63826号公報に
は、炭素繊維プリプレグシートの間に中間材としてプラ
スチックシートをラミネートしたカメラ用シャッター羽
根が開示されている。しかしながら、中間材としてプラ
スチックシートのみを用いた場合、十分な遮光性が得ら
れないことがある。また、染料等で黒色化したプラスチ
ックシートを用いても十分な遮光性が得られないことが
ある。
【0022】また、実開昭60−65726号公報に
は、炭素繊維プリプレグシートの間に中間材として金属
箔をラミネートしたカメラ用シャッター羽根が開示され
ている。しかしながら、中間材として金属箔のみを用い
た場合、通常、金属箔の厚さを1〜2μm程度とすれば
必要な遮光性が得られるが、そのような薄い金属箔の両
側に炭素繊維プリプレグシートをラミネートするのは非
常に困難である。実際には、中間材として、通常、厚さ
15〜20μm程度の金属箔を用いることとなり、その
場合、複合材の総合ヤング率に対する炭素繊維プリプレ
グシートの寄与が小さくなり、十分な総合ヤング率が得
られないことがある。また、金属箔が厚くなると、その
重さのためにカメラ用シャッター羽根の軽量化が図れな
くなる。本発明では、プラスチック膜の片面もしくは両
面に金属膜を付着させ、これを中間材として用いること
により、金属膜を十分に薄くでき、優れた遮光性ととも
に、高いヤング率とカメラ用シャッター羽根の軽量化を
可能にしている。
【0023】以下、本発明について詳細に述べる。
【0024】本発明は、中間材としてプラスチック膜の
片面もしくは両面に金属膜が付着しているものを用い
る。反りの発生を十分に抑制できるので、プラスチック
膜の両面に金属膜が付着しているものを用いることが好
ましい。また、製造の容易さから金属膜はメッキ膜であ
ることが好ましい。
【0025】金属膜としては十分な遮光性が得られれば
特に限定されないが、光吸収膜として優れているNi、
CrまたはTiのいずれか1種以上を含有するものが好
ましく、中でもNi膜を用いることが単一金属でメッキ
や蒸着がしやすいので好ましい。
【0026】金属膜の膜厚はミクロンオーダーであれば
遮光性が得られる。プラスチック膜の片面に金属膜を有
するものを用いる場合、金属膜の膜厚は、安定した遮光
性が得られるので1μm以上であることが好ましく、羽
根材の重量および生産性の点から10μm以下であるこ
とが好ましい。プラスチック膜の両面に金属膜を有する
ものを用いる場合、金属膜の膜厚はそれぞれ、安定した
遮光性が得られるので0.5μm以上であることが好ま
しく、羽根材の重量および生産性の点から5μm以下で
あることが好ましい。両方の金属膜の膜厚の合計は1μ
m以上であることが好ましく、10μm以下であること
が好ましい。ちなみに、PET(ポリエチレンテレフタ
レート)材に両側3μmのメッキを施したものは、中間
層単体で、羽根材に必要な遮光性を有している。
【0027】プラスチック膜の片面もしくは両面に金属
膜を設ける方法は、金属膜上もしくは金属膜間に圧縮成
形法、射出成形法、押出成形法、注型法、金型を用いた
トランスファーなどによってプラスチック膜を形成して
もよく、また、プラスチック膜に蒸着やスパッタ等によ
り金属膜を成膜してもよいが、高価な装置を必要とせ
ず、適当な中間材が容易に得られるのでプラスチック膜
の片面もしくは両面にメッキ、特に無電解メッキを施す
ことが好ましい。メッキや蒸着、スパッタ等は公知の方
法に従って行なえばよい。
【0028】プラスチック膜としては、複合材の総合ヤ
ング率に対する寄与の点からは高剛性のものが好ましい
が、特に限定されず、PET(ポリエチレンテレフタレ
ート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PE
N(ポリエチレン2,6−ナフタレート)、ポリカーボ
ネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、その他の
プラスチックシートを用いることができる。中でも、高
剛性、メッキ処理に対する寸法安定性、吸水率、コスト
および入手のしやすさの点からPETを用いることが好
ましい。また、PETの場合、特に製造工程によって2
軸延伸をとることが可能であり、PETの直交方向のヤ
ング率を揃えることができ、積層時の反り防止に効果的
である。
【0029】プラスチック膜の膜厚は、15μm以上が
好ましく、複合材の総厚みの点で50μm以下が好まし
い。総厚みを薄くするためにはプラスチック膜の膜厚が
薄い方が好ましいが、あまりに薄くし過ぎるとその後の
メッキ工程で穴が空いたり、積層工程でしわが発生した
りすることがある。
【0030】プラスチック膜には、他に遮光性を有する
染料や顔料等を含有させてもよい。プラスチック膜を黒
色化することにより光の透過率が低下し、全体の遮光性
によい影響を与える。
【0031】プラスチック膜は、通常、メッキの密着性
を考えると、膜表面をマット処理する必要がある。マッ
ト処理は公知の方法で行なえばよい。なお、金属膜の成
膜方法によっては、マット処理を行なわなくてもよい。
【0032】本発明で用いる炭素繊維を一方向に揃え、
樹脂を含浸して固着してなる薄板素材とは、炭素繊維プ
リプレグシートのことである。
【0033】本発明で用いる炭素繊維プリプレグシート
中の炭素繊維としては、セルロース系、PAN(ポリア
クリロニトリル)系、ピッチ系等のいずれを用いてもよ
い。炭素繊維の繊維径は特に限定されない。本発明で
は、高強度高弾性炭素繊維を用いることが好ましい。
【0034】本発明で用いる炭素繊維プリプレグシート
のマトリック樹脂としては特に限定されず、エポキシ樹
脂等が好ましく挙げられる。
【0035】本発明で用いることができる炭素繊維プリ
プレグシートは市販されており、例えば、三菱レイヨン
製の商品名パイロフィルや三菱化学製の商品名ダイアリ
ードCFRP等がある。
【0036】炭素繊維プリプレグシートの厚さは、十分
な曲げ剛性が得られるので15μm以上が好ましく、取
り扱いおよび複合材の総厚みの点で40μm以下が好ま
しい。
【0037】本発明のカメラ用シャッター羽根は、上記
のような炭素繊維プリプレグシート2層と、その間に中
間材としてプラスチック膜の片面もしくは両面に金属膜
が付着しているものを有するものである。従来の1眼レ
フのレンズ群と互換性をとるという点から、カメラ用シ
ャッター羽根の総厚みは125μm以下にすることが好
ましい。
【0038】以下、図を参照して本発明のカメラ用シャ
ッター羽根の構成を説明する。なお、本発明は図の構成
に限定されるものではない。
【0039】図1に本発明のカメラ用シャッター羽根の
一例の分解図を示す。矢印は炭素繊維の方向を示してい
る。
【0040】炭素繊維プリプレグシートAは、炭素繊維
aを一方向に揃え、樹脂を含浸して固着してなるもので
ある。炭素繊維プリプレグシートAの間の中間材は、プ
ラスチック膜Bの両面に金属膜Cが付着しているもので
ある。
【0041】両外側の炭素繊維プリプレグシートAは、
十分な剛性が得られるように、互いの繊維方向が平行に
なるように面対称に積層する。このようにすることで繊
維方向に対してヤング率は大幅に向上し、直交方向は低
くなる。このため、シャッターに用いたとき、シャッタ
ー羽根の長軸方向に炭素繊維の方向を揃えることが重要
である。
【0042】炭素繊維プリプレグシートAの外側は黒色
塗装Dである。黒色塗装は、通常、カーボンブラック1
0質量%以上混入しているもの(例えば、東京ペイント
製カメラ用黒色塗料等として市販されているもの)を好
ましくは3〜7μm程度の厚さに塗装すればよい。遮光
性を上げるためには厚い塗装が好ましいが、あまりに厚
くなり過ぎるとシャッター羽根全体が重くなり、また、
剛性が低下することもある。
【0043】図1では、プラスチック膜の両面に金属膜
が付着されているが、片面のみに金属膜が付着されてい
る構成のものでもよい。また、全体として十分に薄くで
きれば、炭素繊維プリプレグシート、金属膜、プラスチ
ック膜を2層以上積層してもかまわない。
【0044】本発明のカメラ用シャッター羽根は、上記
のような炭素繊維プリプレグシート、プラスチック膜の
片面もしくは両面に金属膜が付着しているものを積層
後、ホットプレス機等で加圧加熱成形し、プリプレグシ
ート中の未硬化の熱硬化樹脂を硬化して炭素繊維プリプ
レグシートと金属膜とを接着し、CFRP材として一体
化することにより得られる。加圧加熱成形は、通常、3
〜15kg/cm2の圧力、100〜180℃の温度で
1〜5時間行なうことが好ましい。
【0045】本発明では中間材に接着剤(炭素繊維プリ
プレグシート中の樹脂)が含まれていないので、積層時
に炭素繊維の目開きが発生しやすいことがある。このよ
うな場合には、中間材の両面に、好ましくは厚さ5〜1
0μmのエポキシ系等のプリプレグを挟めばよい。
【0046】図3に本発明のカメラ用シャッターの側面
図を、図4に本発明のカメラ用シャッターの正面図を示
す。矢印は炭素繊維プリプレグシートの炭素繊維の方向
を示している。図示したように、シャッター羽根の長軸
方向に炭素繊維の方向を揃えることが重要である。
【0047】1は先膜駆動アーム、2は先膜支持アー
ム、3〜5は先膜シャッター羽根、6は仕切り板、7は
後膜駆動アーム、8は後膜支持アーム、9〜11は後膜
シャッター羽根、12はシャッター地板、13はカバー
板である。
【0048】先膜駆動アーム1の先にはモータとギアが
ついている。先膜駆動アーム1のところに力がかかり下
に下がると、先膜支持アーム2、先膜シャッター羽根3
〜5は連動して動き、先膜シャッター羽根3、4は下に
下がっていき、先膜シャッター羽根5のところに重なっ
て1枚になる。一方、先膜が動いた後約1/100秒後
に、後膜駆動アーム7に力がかかって後膜支持アーム
8、後膜シャッター羽根9〜11が連動して動き、先膜
シャッター羽根と隙間をもって下がっていく。そして、
最後は後膜シャッター羽根10、11が先膜シャッター
羽根5のところに重なるまで下がって隙間がなくなり、
光が遮断されてシャッターが閉じられる。
【0049】本発明のカメラ用シャッター羽根は、全て
の羽根材先膜3枚、後膜3枚に用いてもよく、いずれか
1枚以上に用いてもよい。中でも、より移動量の多い先
膜シャッター羽根3、後膜シャッター羽根11に用いる
ことが好ましい。
【0050】なお、本発明のカメラ用シャッターは、本
発明のカメラ用シャッター羽根を有していればよく、図
3、4に限定されるものではない。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。 <実施例1>まず最初に、マット処理された厚さ25μ
mのPETシートの両面に、無電解Niメッキにより、
厚さ2μmのNi膜をそれぞれ成膜し、これを中間材と
した。
【0052】また、炭素繊維プリプレグシートとして
は、炭素繊維が連続で一方向に揃えられており、マトリ
ック樹脂がエポキシ樹脂で厚さが30μmのプリプレグ
シート(三菱化学製、商品名ダイアリードCFRP)を
用意した。
【0053】そして、このような中間材と炭素繊維プリ
プレグシート(PP)とを、PP/(Ni)PET(N
i)/PPとなるように積層した。プリプレグシートは
互いの繊維方向が平行になるように、面対称に積層し
た。そして、この積層体をホットプレス機にセットした
後、圧力10kg/cm2、温度150℃で3時間加熱
加圧成形してプリプレグシート中の未硬化のエポキシ樹
脂を硬化し、プリプレグシートと中間材とを接着した。
そして、炭素繊維プリプレグシート上に黒色塗装をそれ
ぞれ厚さ5μm程度行なってカメラ用シャッター羽根を
得た。
【0054】このカメラ用シャッター羽根の曲げ弾性
率、厚さ、重さを表1に示す。曲げ弾性率は、羽根材を
積層した両側の炭素繊維の長手方向と同一となるように
打ち抜いたものの20℃における値を示す。重さは、同
一形状でプレス抜きしたものの重さを示す。 <実施例2>マット処理された厚さ38μmのPETシ
ートの両面に、無電解Niメッキにより、厚さ2μmの
Ni膜をそれぞれ成膜し、これを中間材とした以外は実
施例1と同様にしてカメラ用シャッター羽根を得た。
【0055】このカメラ用シャッター羽根の曲げ弾性
率、厚さ、重さを表1に示す。 <実施例3>マット処理された厚さ50μmのPETシ
ートの両面に、無電解Niメッキにより、厚さ2μmの
Ni膜をそれぞれ成膜し、これを中間材とした以外は実
施例1と同様にしてカメラ用シャッター羽根を得た。
【0056】このカメラ用シャッター羽根の曲げ弾性
率、厚さ、重さを表1に示す。 <実施例4>厚さ38μmのPETシートの片面に、蒸
着により、厚さ1μmのNi−Cr膜(Ni:Cr=
7:3(モル比))をそれぞれ成膜し、これを中間材と
した以外は実施例1と同様にしてカメラ用シャッター羽
根を得た。
【0057】このカメラ用シャッター羽根の曲げ弾性
率、厚さ、重さを表1に示す。 <比較例1>従来よりシャッター羽根用に使用されてい
る、CFRP板材(PP方向0゜/90゜/0゜)を用
意し、これの両面に黒色塗装をそれぞれ厚さ5μm程度
行なって比較例1のカメラ用シャッター羽根を得た。
【0058】このCFRP板材は、炭素繊維が連続で一
方向に揃えられており、マトリック樹脂がエポキシ樹脂
で厚さが30μmの炭素繊維プリプレグシート2層と、
その間に、カーボンブラックを含有し、炭素繊維が連続
で一方向に揃えられており、マトリック樹脂がエポキシ
樹脂で厚さが30μmのブラックプリプレグシート1層
を有するものである。
【0059】このカメラ用シャッター羽根の曲げ弾性
率、厚さ、重さを表1に示す。 <比較例2>マット処理された厚さ70μmのPETシ
ートの両面に、無電解Niメッキにより、厚さ4μmの
Ni膜をそれぞれ成膜し、これの両面に黒色塗装をそれ
ぞれ厚さ5μm程度行なってカメラ用シャッター羽根を
得た。
【0060】このカメラ用シャッター羽根の曲げ弾性
率、厚さ、重さを表1に示す。 <比較例3>厚さ76μmのジュラルミンの両面を厚さ
3μmで陽極酸化し、これの両面に黒色塗装をそれぞれ
厚さ5μm程度行なってカメラ用シャッター羽根を得
た。
【0061】このカメラ用シャッター羽根の曲げ弾性
率、厚さ、重さを表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】従来のカメラ用シャッター羽根のうち最も
厚いものは比較例1、従来のCFRP板材で100μm
である。本発明の実施例1のカメラ用シャッター羽根は
それより薄い。また、実施例2〜4のカメラ用シャッタ
ー羽根も実用上十分な薄さである。
【0064】曲げ弾性率は高い方が好ましいが、本発明
のカメラ用シャッター羽根は、従来品の中で最も曲げ弾
性率が高い比較例1のCFRP板材よりも高い曲げ弾性
率が得られている。
【0065】また、本発明のカメラ用シャッター羽根
は、従来品と同等程度の重さである。中でも、PETシ
ートの膜厚が最も薄い実施例1のカメラ用シャッター羽
根は、従来品の中で最も軽い比較例1のCFRP板材よ
りも軽量である。
【0066】本発明のカメラ用シャッター羽根、特に中
間材のPETシートの膜厚が25μmの実施例1のカメ
ラ用シャッター羽根は、従来品と比べて曲げ弾性率が高
く、膜厚、重さも同等程度であり、総合的に優れている
ことがわかる。
【0067】また、実施例1〜4、比較例1〜3のカメ
ラ用シャッター羽根を図3、4に示すようなシャッター
の先膜シャッター羽根、後膜シャッター羽根に用いて光
線漏れ評価を行なった。その結果を表1に示す。評価は
光源2万ルクスのときに ○ 光線漏れがほとんど起こらない × 光線漏れが多く起こる のように行なった。
【0068】遮光性に関しても、本発明のカメラ用シャ
ッター羽根は、中間材自体で十分な遮光性を持っている
ので、いずれも問題はなく、従来品の比較例1〜3以上
の信頼性を得ることができた。
【0069】また、実施例1〜4、比較例1〜3のカメ
ラ用シャッター羽根を図3、4に示すようなシャッター
の先膜シャッター羽根、後膜シャッター羽根に用いて耐
久性を調べた結果、いずれも常温常湿で50万回開閉を
行なっても問題なく、本発明のカメラ用シャッター羽根
は従来品の比較例1〜3と同等以上の性能を発揮するこ
とが確認された。
【0070】
【発明の効果】本発明により、ブラックプリプレグを用
いることなく、高剛性で耐久性、遮光性に優れ、かつ安
価な炭素繊維強化型樹脂製遮光羽根のカメラ用シャッタ
ー羽根、および、このカメラ用シャッター羽根を用いた
カメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカメラ用シャッター羽根の一例の分解
図である。
【図2】従来のカメラ用シャッター羽根の一例の分解図
である。
【図3】本発明のカメラ用シャッターの一例の側面図で
ある。
【図4】本発明のカメラ用シャッターの一例の正面図で
ある。
【符号の説明】
A 炭素繊維プリプレグシート a 炭素繊維 B プラスチック膜 C 金属膜 D 黒色塗装 E ブラックプリプレグシート 1 先膜駆動アーム 2 先膜支持アーム 3〜5 先膜シャッター羽根 6 仕切り板 7 後膜駆動アーム 8 後膜支持アーム 9〜11 後膜シャッター羽根 12 シャッター地板 13 カバー板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維を一方向に揃え、樹脂を含浸し
    て固着してなる薄板素材の間に、中間材としてプラスチ
    ック膜の片面もしくは両面に金属膜が付着しているもの
    を有するカメラ用シャッター羽根。
  2. 【請求項2】 前記金属膜がメッキ膜である請求項1記
    載のカメラ用シャッター羽根。
  3. 【請求項3】 前記中間材がプラスチック膜の片面に金
    属膜が付着しているものであり、前記金属膜の膜厚が1
    〜10μmである請求項1または2記載のカメラ用シャ
    ッター羽根。
  4. 【請求項4】 前記中間材がプラスチック膜の両面に金
    属膜が付着しているものであり、前記金属膜の膜厚がそ
    れぞれ0.5〜5μmである請求項1または2記載のカ
    メラ用シャッター羽根。
  5. 【請求項5】 前記プラスチック膜がポリエチレンテレ
    フタレートである請求項1〜4のいずれかに記載のカメ
    ラ用シャッター羽根。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のカメラ
    用シャッター羽根を有するカメラ用シャッター。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載のカメラ
    用シャッター羽根を有するカメラ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018083426A (ja) * 2016-05-16 2018-05-31 キヤノン電子株式会社 繊維強化積層体、シャッタ装置および光学機器

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