JP2002213387A - クロスフローファンの製造法とその製造法によるクロスフローファンを備えた送風機器 - Google Patents

クロスフローファンの製造法とその製造法によるクロスフローファンを備えた送風機器

Info

Publication number
JP2002213387A
JP2002213387A JP2001007360A JP2001007360A JP2002213387A JP 2002213387 A JP2002213387 A JP 2002213387A JP 2001007360 A JP2001007360 A JP 2001007360A JP 2001007360 A JP2001007360 A JP 2001007360A JP 2002213387 A JP2002213387 A JP 2002213387A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flow fan
cross flow
molding
cross
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001007360A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaharu Ota
雅春 太田
Kiyoshi Kinoshita
清志 木下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2001007360A priority Critical patent/JP2002213387A/ja
Publication of JP2002213387A publication Critical patent/JP2002213387A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリロニトリル・スチレン系樹脂(以下、
AS系樹脂と略称する。)または耐熱ポリスチレン系樹
脂(以下、耐熱PS系樹脂と略称する。)を用いた合成
樹脂製のクロスフローファンにおいて、空気調和機等の
使用時に耐熱クリープ性を向上させるとともに、ファン
成形時の成形性を向上させ生産性の向上を図ることを目
的とする。 【解決手段】 AS系樹脂または耐熱PS系樹脂にペレ
ット長さ1〜6mmの長繊維強化ペレットのGFを20
〜40重量%混入させた合成樹脂材を用いてクロスフロ
ーファンを形成し、前記クロスフローファンの一部を射
出成形時にコアバックさせて膨張成形で形成して軽量化
し、80〜100℃の温度範囲でアニール処理を施すこ
とによって、耐熱クリープ性、成形性が優れ、生産性の
よいクロスフローファンを提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量化および長期
使用時の耐熱クリープ性及び生産性の優れたクロスフロ
ーファン並びにそのクロスフローファンを備えた送風機
器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の送風に用いる樹脂製クロ
スフローファンは、例えば、特開平11−247789
号公報等で知られているように、翼部と端板が一体構造
とされていて、その構造体の合成樹脂材には、クロスフ
ローファン全体にアクリロニトリルとスチレンを含む共
重合樹脂(以下、AS系樹脂と略称する。)や、スチレ
ンと耐熱性を付与した高分子モノマーとから生成される
共重合樹脂(以下、耐熱PS系樹脂と略称する。)にガ
ラスファイバー(以下、GFと略称する。)を約30〜
40重量%程度混入し、強度の向上を図ったもの等が記
載されている。尚、一般的には、AS系樹脂に短繊維強
化ペレットを用い長さが平均で0.3〜0.5mm程度
のGFを用いているが、特に繊維長まで明記していな
い。また長繊維のGFは、短繊維のGFよりも成形性が
劣り特にピンゲートを使用していると詰まり易い傾向が
ある。特に6mm以上の長繊維ものは曲げ強度等の剛性
や耐熱クリープ性は向上するが、流動性が低下して成形
時にショートショットを起こし易いため、特にクロスフ
ローファンに長繊維のGFを使用しているものは見られ
ない。
【0003】また、クロスフローファンの構成材料は、
AS系樹脂にGFを約30〜40重量%程度混入したも
のが公知になっていて現在使用されているが、それ以上
の成形性や耐熱クリープ性の優れた耐熱PS系樹脂の開
発は容易にできなく耐熱PS系樹脂は使用されていな
い。
【0004】また、前記合成樹脂製の端板や翼部等は超
音波溶着によって一体接合され、その後温風循環炉等で
80〜100℃程度の温風循環によりアニール処理、す
なわち歪み取りのための焼鈍処理を施して成形歪及び超
音波溶着による歪を除去し、使用時におけるクロスフロ
ーファンとしての耐熱クリープ性を良くするようにして
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のクロス
フローファンの構成では、合成樹脂材としてAS系樹脂
に短繊維強化ペレットを用い長さが0.3〜0.5mm
程度の短繊維GFを約20〜40重量%程度混入して強
度を図ったものをクロスフローファンの全体に使用して
いる。短繊維GFは長繊維GFと比較すると成形性は比
較的よいが、長繊維GFよりも耐熱性や曲げ弾性率が低
く耐熱クリープ性が少し低くなり、GF量を40%にし
ても耐熱クリープ性が向上しにくい。
【0006】一方長繊維GFは、一般的に6mm以上の
ものが市販されており流動性の低下やピンゲート詰まり
等の問題が出易いためにクロスフローファンには使用さ
れていない。また軽量化については、発泡剤を用いて軽
量化することも可能であるが、成形時間が長くなり、成
形後に二次発泡して部分的に膨張する可能性がある。ま
た、発泡状態によって1ケ1ケの重量が変わり易く重量
管理が難しい。
【0007】このような構成では、特に、外形Φが90
mm以上、クロスフローファン長が600mm以上と径
が大きく、また長尺のクロスフローファンでは重量が重
くなり、熱変形しやすくなるため、さらに耐熱クリープ
性の優れた構成が要求されている。また、溶着後の残留
歪みを除去する為に長時間のアニール処理を必要とし、
生産性、加工性の向上の面からも短時間で的確にアニー
ルできる材料構成が要求されている。
【0008】また、上記合成樹脂材は流動性が低く、成
形時にショートショットが発生しやすく歩留まりや生産
性の面で劣る点があり、流動性が高い樹脂で成形性に優
れ、耐衝撃性、耐熱クリープ性のよい材料が要求されて
いた。
【0009】本発明は、このような従来の課題を解決す
るもので、クロスフローファンの成形素材を軽量化し、
これによって通常と同時間と同温度のアニール処理で
も、より耐熱クリープ性の優れたクロスフローファンを
提供するものである。また、成形性、高剛性、耐衝撃
性、耐熱クリープ性に優れた、生産性の良いクロスフロ
ーファンを備えた送風機器を提供することを目的として
いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するの
に、請求項1記載の本発明のクロスフローファンは、A
S系樹脂に長繊維のGFを20〜40重量%混入させた
合成樹脂材を成形素材としてクロスフローファンを形成
し、前記クロスフローファンの一部を射出成形時にコア
バックさせて膨張成形で形成し、軽量化することを特徴
とするもので、このクロスフローファンを80〜100
℃の温度範囲の温風循環でアニール処理することとした
ものである。
【0011】請求項2記載の本発明のクロスフローファ
ンは、耐熱PS系樹脂に長繊維のGFを20〜40重量
%混入させた合成樹脂材を成形素材としてクロスフロー
ファンを形成し、前記クロスフローファンの一部を射出
成形時にコアバックさせて膨張成形で形成し、軽量化す
ることを特徴とするもので、このクロスフローファンを
80〜100℃の温度範囲の温風循環でアニール処理す
ることとしたものである。
【0012】請求項3記載の本発明のクロスフローファ
ンは、1〜6mmの長繊維のGFで強化したペレットを
用いる構成にしたことを特徴とする。
【0013】請求項4記載の発明のクロスフローファン
は、合成樹脂材料中の長繊維のGFが立体状に絡み合っ
た状態で混入されて構成されたことを特徴とする。
【0014】請求項5記載の発明は、上記の請求項1乃
至4のうちのいずれかに記載の製造法で成形されたクロ
スフローファンを備えたことを特徴とする送風機器で、
成形性、高剛性、耐衝撃性、耐熱クリープ性に優れ、生
産性の良いクロスフローファンを備えていることによ
り、優れたファン特性を持った送風機器としたものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明のクロスフロ
ーファンは、AS系樹脂に長繊維のGFを20〜40重
量%混入させた合成樹脂材を用いてファン部材、すなわ
ち端板、翼部と仕切り部で形成されるブレード部、ボス
組立部を成形し、これらの端板、翼部、仕切り板等を超
音波溶着等の加工で一体形成した後、この一体形成品に
80〜100℃の温度範囲の温風循環によるアニール処
理を施している。この前記構成において、前記クロスフ
ローファンの一部である翼部と仕切り板を一体成形した
ブレード部の仕切り板部にコアバック部を設けコアバッ
クさせて膨張成形して構成させたものである。この構成
によればクロスフローファンの軽量化が図れ、特に長期
保管の静止時や回転時の耐熱クリープ性が優れ、長期の
空気調和機の使用においてクロスフローファンの熱変形
を防止することができる。
【0016】請求項2記載の発明のクロスフローファン
は、耐熱PS系樹脂に長繊維のGFを20〜40重量%
混入させた合成樹脂材を用いてファン部材、すなわち端
板、翼部と仕切り部で形成されるブレード部、ボス組立
部を成形し、これらの端板、翼部、仕切り板等を超音波
溶着等の加工で一体形成した後、この一体形成品に80
〜100℃の温度範囲の温風循環によるアニール処理を
施している。この前記構成において、前記クロスフロー
ファンの一部である翼部と仕切り板の一体成形したブレ
ード部の仕切り板部にコアバック部を設けコアバックさ
せて膨張成形して構成させたものである。この構成によ
ればクロスフローファンの軽量化が図れ、特に長期保管
の静止時や回転時の耐熱クリープ性が優れ、長期の空気
調和機等の送風機器の使用においてクロスフローファン
の熱変形を防止することができる。また、従来のAS系
樹脂にGFを30重量%混入したものより、流動性が2
〜3倍程度向上するとともに、耐熱性、剛性、耐衝撃性
にも優れたものとなり、成形時の端板や仕切り板、特に
薄肉の翼部におけるショートショットの発生が少なくな
って、1回の成形で2ケ取りから4ケ取り等、多数個取
りがより安定して可能となり、歩留まり及び生産性を一
層向上させることができる。
【0017】請求項3記載の発明のクロスフローファン
は、1〜6mmの長繊維のGFで強化したペレットを用
いて構成したものである。この1〜6mmの長繊維のG
Fを合成樹脂材料に10%〜30%混入して、仕切り板
の一部を射出成形時にコアバックさせる膨張成形を行な
うと、長繊維のGFが樹脂の配向緩和により立ち上がり
体積が増加してクロスフローファンの軽量化が図れる。
【0018】請求項4記載の発明のクロスフローファン
は、合成樹脂材料中の長繊維のGFが立体状に絡み合っ
た状態で混入され構成されたものである。この構成によ
り樹脂内にGFが、一定方向にかたよりがなくランダム
に効率良く分散することによって、成形時にスライド型
をコアバック成形したときは体積が増加し、均一な膨張
層ができて軽量化が図れる。
【0019】請求項5記載の発明の送風機器は、前記請
求項1乃至4のいずれかに記載した製造法によって製造
されたクロスフローファンを備えたもので、優れた高品
位の送風機器とすることができる。ここで云う送風機器
とは、空調機器、暖房機器、温風機器、空気清浄機等、
クロスフローファンを備えた機器を総称するものであ
る。
【0020】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。図1は、本発明の一実施例におけるクロフスロ
ーファンの外観斜視図。図2は、同クロスフローファン
の全体の断面図。図3は、同クロスフローファンの縦断
面図。図4は、同クロスフローファンのブレード部の断
面図である。
【0021】図1、図2、図3において、1はGFの強
化材を所定重量%混入したAS系樹脂または耐熱PS系
樹脂からなる合成樹脂製のクロスフローファンであり、
ファン部材、すなわち端板2、複数の仕切り板3及び端
板2と仕切り板3の間に設けられる複数の翼部4から構
成され、端板2と翼部4及び仕切り板3と翼部4等は超
音波溶着によって接合されている。また、ファンモータ
5とはボス組立部1aのボス部6と接続固定している。
ブレード部は仕切り板3と翼部4が一体成形したもので
形成されている。全体としては、軸部のついた端板2と
ブレード部とボス組立部1aの主に3種類の成形部材で
クロスフローファン1を構成している。
【0022】耐熱PS系樹脂とは、スチレンと耐熱性を
付与したモノマー、すなわちマレイン系のモノマーやN
フェニルマレイミド系のモノマーやメタクリル系モノマ
ーとの共重合体やシンジオタクチック・ポリスチレン
(以下、SPSと略称する。)樹脂である。尚、本実施
例4〜6はSPS樹脂を用いた構成樹脂としている。S
PS樹脂とは、シンジオタクチックポリスチレンの略で
ベンゼン環が交互になった結晶性のPS樹脂である。公
知であるが、引張り強さや曲げ強度等の機械的強度や耐
熱性等が一般のポリスチレンよりも優れ、特に耐酸性、
耐アルカリ性、耐油性等の耐薬品性に優れた樹脂であ
る。
【0023】また、GFについては本実施例に用いてい
る長繊維タイプは、図7に示すようにGFの長さが1〜
6mmの長繊維で強化した強化ペレット7を使用し、従
来品の短繊維タイプは図8に示すようにGFの長さが
0.3〜0.5mmの短繊維で強化した強化ペレット8
を使用したものである。
【0024】長繊維強化ペレット7は、一般的に溶融含
浸による引き抜き法で製造し、GFの方向は一方向でG
Fの長さはペレット長さとなる。従って、GFの長さは
任意にカットすることで1〜6mmに調整できる。従来
品の短繊維強化ペレット8は、合成樹脂製造時に一定量
を溶融混練してペレット化したものである。短繊維強化
ペレット8は一般的に、樹脂材料製造時に成形機のサイ
ドフィードより一定量の短繊維のGFを均一分散して混
入させている。図5は実施例の1〜6mmの長繊維強化
ペレット7を用いた場合の翼部の縦断面図、図6は従来
例の0.3〜0.5の短繊維強化ペレット8を用いた場
合の翼部の縦断面図を示す。それぞれの繊維状態は、長
繊維GF701と短繊維GF702に示す。図5と図6
を比較すると分かるように1〜6mmの長繊維を用いた
ものの方が翼部等の構成樹脂中のGF長さが長くなり、
その分剛性の高いクロスフローファンが形成される。
【0025】クロスフローファンは、溶着加工した後に
成形歪と溶着歪を除去するためアニール処理を実施して
いる。アニール処理方法は、90℃の温風循環炉にクロ
スフローファン1を縦置き放置で置いて約8時間処理し
たものである。
【0026】尚、アニール温度は80〜100℃の範囲
が望ましい。80℃以下では長時間のアニール時間がか
かり100℃以上にすると、熱変形やクロスフローファ
ンの全長寸法が(100℃で0.3mm程)短くなる傾
向がある。従って80〜100℃の温度範囲でアニール
処理をすることが望ましく、85〜95℃が安定したア
ニール処理ができて一番望ましい。
【0027】実施例1〜6は、図4に示すブレード部9
のコアバック部10に設けて膨張成形して構成されたも
のである。表1はAS系樹脂で、表2は耐熱PS系樹脂
で膨張成形したクロスフローファン1の成形品のGF長
さ、重量、みかけ比重と耐熱静止たわみとテストピース
での曲げ弾性率と流動性を示す。
【0028】尚、表1と2のGF長さに関しては長繊維
強化ペレット8や短繊維強化ペレットのGF長さを表示
したものである。尚、本発明の実施例には外径Φ86m
m長さ650mmのクロスフローファンを用いたもので
ある。
【0029】また膨張成形とは、出光IEM(Injectio
n Expanded Molding)で知られているように射出成形
時において、金型に樹脂を充填し、金型の一部また全面
を目標とする形状まで後退させ(すなわちコアバックさ
せ)、長繊維を混入した樹脂のスプリングバック特性で
膨張させる成形法である。本発明においては、ブレード
の仕切り板部をコアバックして成形するものである。
尚、樹脂表面の平滑性と成形サイクルを上げるために
は、膨張部に微量の低圧ガスを注入している。また微量
の発泡剤を混入することにより安定した成形品と成形品
表面が得られる。発泡剤は0.2%程度である。
【0030】尚、本発明の膨張成形したクロスフローフ
ァンの成形品の長繊維の状態は図9に示すように、短繊
維よりも立体的に絡みあった状態になっている。この状
態は、樹脂が配向緩和している状態でおこり長繊維が立
ち上がって体積が増加する現象で、スプリングバック現
象と言われている。
【0031】成形品の見かけ比重は、成形品の体積を水
中に浸漬し増した水量の体積を計る。例えば実施例1の
場合555ccの場合、水の質量に換算して555gを
A(g)とし、成形品の重量B(g)が500gの場
合、BをAで除した数値となる。従って、実施例1の場
合は500/555=0.90となる。この成形品の見
かけ比重は、長繊維の混入量やスライド金型のコアバッ
ク部の体積をかえることによって調整することで、成形
品の重量管理が可能となる。成形品の重量は500gと
なり、従来例の550gと比較してかなり軽量化したク
ロスフローファンを造ることができる。曲げ弾性率の試
験は、公知のもので1/4インチ試験片を用いJIS−
K−7203に準拠した。
【0032】
【表1】
【0033】実施例1は、AS系樹脂にペレット長さ1
mmの長繊維強化ペレットのGFを20%混入した構成
樹脂を用い膨張成形により見かけ比重を0.9にしたも
のである。実施例2は、ペレット長さ3mmの長繊維強
化ペレットのGFを30%混入した構成樹脂を用い膨張
成形により見かけ比重を0.8にしたものである。実施
例3は、ペレット長さ6mmの長繊維強化ペレットGF
を40%混入した構成樹脂を用い膨張成形により見かけ
比重を0.4にしたものである。
【0034】実施例1は、従来例よりも剛性が少し低い
が(曲げ弾性率:実施例1=70000kgf/cm2
<従来例=84300kgf/cm2 )、成形品の重量
は従来例よりも軽量となり(重量:実施例1=500g
<従来例=550g)、その分トータル面で剛性と密度
のバランスの取れたファン材料が構成され、クロスフロ
ーファンの耐熱静止たわみにおいて、従来品の30%と
比較してGFが20%の品であるが良好な結果(実施例
1=1.80<従来例=1.90)が得られる。
【0035】実施例2は実施例1より剛性が高く(曲げ
弾性率:実施例1=70000kgf/cm2<実施例
2=85000kgf/cm2)、成形品の重量は(重
量:実施例2=450g)となり実施例1よりさらに軽
量化し、クロスフローファンの耐熱静止たわみにおいて
さらに良好な結果(実施例1=1.80>実施例2=
1.60)が得られる。
【0036】実施例3は、さらに実施例2よりも軽量化
して、クロスフローファンの耐熱静止たわみは優れた結
果(実施例2=1.60>実施例3=1.55)が得ら
れる。尚、GF混入量が20%未満では、耐熱静止たわ
みが従来品程度以下となり好ましくない。また、GF混
入量が40%以上では成形時にショートショットが発生
しやすくなり好ましくない。従ってGF混入量は20〜
40%が望ましい。
【0037】また、6mm以上の長繊維強化ペレットを
用いると成形時のゲート詰まりが発生しやすく成形性・
ファンの耐熱静止たわみからは1〜6mmが好ましい。
【0038】次に、実施例4から6について説明する。
表2に、実施例4〜6と従来例の構成樹脂とファンの耐
熱静止たわみの結果を示す。
【0039】
【表2】
【0040】実施例4は、耐熱PS系樹脂にペレット長
さ1mmの長繊維強化ペレットのGFを20%混入した
構成樹脂を用い膨張成形により見かけ比重を0.9にし
たものである。
【0041】実施例5は、ペレット長さ3mmの長繊維
強化ペレットのGFを30%混入した構成樹脂を用い膨
張成形により見かけ比重を0.8にしたものである。
【0042】実施例6は、ペレット長さ6mmの長繊維
強化ペレットのGFを40%混入した構成樹脂を用い膨
張成形により見かけ比重を0.4にしたものである。
【0043】尚、GF長さに関しては長繊維強化ペレッ
ト7や短繊維強化ペレット8のGF長さを表示したもの
である。
【0044】実施例4は、従来例よりも剛性が少し低い
が(曲げ弾性率:実施例4=70000kgf/cm2
<従来例=84300kgf/cm2 )、成形品の重量
は従来例よりも軽量となり(重量:実施例4=500g
<従来例=550g)、その分トータル面で剛性と密度
のバランスの取れたファン材料が構成され、クロスフロ
ーファンの耐熱静止たわみにおいて、従来品の30%と
比較してGFが20%の品であるが良好な結果(実施例
4=1.65<従来例=1.90)が得られる。また流
動性は、MFR(メルトフローレート、220℃10k
gf)で(実施例4=12>従来例=4)の約3倍とな
り成形時も短縮し歩留まりも良くなる。
【0045】実施例5は実施例4より剛性が高く(曲げ
弾性率:実施例4=70000kgf/cm2<実施例
5=85000kgf/cm2)、成形品の重量は(重
量:実施例5=450g)となり実施例4よりさらに軽
量化し、クロスフローファンの耐熱静止たわみにおいて
さらに良好な結果(実施例4=1.65>実施例5=
1.35)が得られる。
【0046】実施例6は、さらに実施例5よりも軽量化
して、クロスフローファンの耐熱静止たわみは優れた結
果(実施例6:1.40)が得られる。
【0047】尚、AS系樹脂と同様にGFの混入量が2
0%未満では、耐熱静止たわみが従来品程度以下となり
好ましくない。また、GFの混入量が40%以上では成
形時にショートショットが発生しやすくなり好ましくな
い。従ってGFの混入量は20〜40%が望ましい。ま
た、6mm以上の長繊維強化ペレットを用いると成形時
のゲート詰まりが発生しやすく成形性・ファンの耐熱静
止たわみからは1〜6mmが好ましい。尚、本実施例に
用いるGFとしては、旭ファイバーグラス(株)の商品
名グラスロンGMBが優れている。グラスロンGMB
は、成形品中のガラス繊維長を長く残存させることによ
り、ファンの衝撃強度や引張り強度、曲げ強度が向上
し、寸法収縮も少なくなる。また高濃度のガラスフアィ
バー含有率(70wt%)のマスターバッチを使用する
ことにより短繊維強化ペレットよりも材料価格が安価と
なりコストダウンが図れる。
【0048】成形品の見かけ比重は、0.4以下である
と軽量化はできるが成形時間が長くなり好ましくない。
また0.9以上であると、成形品の重量が重くなりメリ
ットが少なくなる。したがって0.4〜0.9の範囲が
好ましい。
【0049】耐熱静止たわみは、試験前後のクロスフロ
ーファンのバランス変化量を測定しクロスフローファン
の耐熱クリープ性を評価するものである。この数値は、
できるだけ小さい方が優れている。特に長期保管や高温
雰囲気に暴露された場合に、この変化量が少ないものほ
ど変化が少なく優れている。耐熱静止たわみの試験法は
次に示す通りである。
【0050】試験は、70℃の恒温層にクロスフローフ
ァンの両端2点を支え、水平に168時間放置した前後
のアンバランス変化量を、クロスフローファン専用のバ
ランスマシーン測定機で計測したものであり、数値が大
きくなるとバランス不良で、熱変形が大きくなり長期に
空気調和機に用いて使用していると振動が大きく、異常
音等による不具合を生じることがある。単位はg・cm
で表示する。
【0051】尚、本発明のクロスフローファンは空気調
和機用は勿論、温風暖房等を行う温風機器または暖房機
器用または空気清浄機等のクロスフローファンを使用す
る機器に用いるとよい。また、実施例としてはブレード
部の仕切り板を膨張成形する場合を記載したが金型がス
ライドする箇所であれば適宜な場所にしても良い。また
端板やボス組立部でも可能であり同様の軽量化が図れ
る。
【0052】
【発明の効果】以上のように本発明のクロスフローファ
ンは、軽量化が図れ耐熱クリープ性の優れたものが得ら
れる。
【0053】請求項1記載の発明は、AS系樹脂に長繊
維のGFを20〜40重量%混入させた合成樹脂材によ
ってクロスフローファンを形成し、前記クロスフローフ
ァンの一部を射出成形時にコアバックさせて膨張成形で
形成し、スプリングバック現象を用いて軽量化すること
を特徴とするもので、このクロスフローファンを80〜
100℃の温度範囲の温風循環でアニール処理したもの
である。
【0054】この構成によりクロスフローファンにヒケ
がなく外観も良好で軽量化が図れ、長期使用の空気調和
機、温風機器、暖房機器、空気清浄機等においてクロス
フローファンの熱変形を防止することができる。また、
特に耐熱クリープ性が要求される全長600mm以上の
長尺のクロスフローファンにおいて、変形が少なくなり
効果が出やすい。また軽量化することによって材料費が
低減し合理化が図れる。
【0055】請求項2記載の発明は、耐熱PS系樹脂に
長繊維のGFを20〜40重量%混入させた合成樹脂材
によってクロスフローファンを形成し、前記クロスフロ
ーファンの一部を射出成形時にコアバックさせて膨張成
形で形成しスプリングバック現象を用いて軽量化するこ
とを特徴とするもので、このクロスフローファンを80
〜100℃の温度範囲の温風循環でアニール処理したも
のである。この構成によりクロスフローファンにヒケが
なく外観も良好で軽量化が図れ、長期使用の空気調和
機、温風機器、暖房機器、空気清浄機等の機器において
クロスフローファンの熱変形を防止することができる。
【0056】また、AS系樹脂と同様に特に耐熱クリー
プ性が要求される全長600mm以上の長尺のクロスフ
ローファンにおいて熱変形が少なく、長期の空気調和
機、温風機器、暖房機器、空気清浄機等の使用でクロス
フローファンの熱変形を防止することができる。さらに
耐熱PS系樹脂は、従来品よりも成形時の流動性がよく
なり、成形時にファン部材すなわち端板、仕切り板、翼
部にショートショットが発生しにくく、成形時に2ケか
ら4ケ取り等、多数個取りが容易になり、より生産性の
向上を図ることができる。またAS系樹脂よりも溶着性
が良く溶着時間が短縮し生産性が向上する。また軽量化
することによって材料費が低減し合理化が図れる。
【0057】請求項3記載の発明は、1〜6mmの長繊
維のGFで強化したペレットを用いて構成したものであ
る。この構成によれば膨張成形する時に、長繊維GFの
金型内のゲート詰まり等もなく成形性が良好で効率よく
膨張成形ができ、外観も良好で軽量化が図れ、耐熱クリ
ープ性の優れたものが得られる。
【0058】請求項4記載の発明は、合成樹脂材料中の
長繊維GFが立体状に絡みあった状態で混入され構成さ
れたものである。成形品の長繊維のGFの状態は、短繊
維のGFよりも立体的に絡みあった状態になっている。
この状態は、樹脂が配向緩和している状態でおこり長繊
維が立ち上がって体積が増加するため、より軽量化が図
れ耐熱クリープ性の優れたものが得られる。
【0059】さらに軽量化することによってクロスフロ
ーファンの回転時のアンバランス変化量が少なくなるた
め使用時の振動や騒音も低減する。また本方式によれば
発泡剤を0.5%以上使用したときのような成形品重量
のバラツキも少なく、ファンバランスが取り易く特別に
バランスウエイトを多くすることもない。
【0060】またクロスフローファンを軽量化すること
によってファン入力は低下し、軽量化に応じて省エネ効
果も得られる。
【0061】請求項5記載の発明は、上記した請求項1
乃至4のいずれかに記載のクロスフローファンの製造法
により製造したクロスフローファンを送風機器に備える
ことによって当該送風機器を優れたものにすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるクロスフローファン
の外観斜視図
【図2】同クロスフローファンの全体側断面図
【図3】同クロスフローファンの垂直断面図
【図4】同クロスフローファンのブレード部の側断面図
【図5】同クロスフローファンの翼部の断面図
【図6】従来例の翼部の断面図
【図7】本発明のクロスフローファンの一実施例に用い
る長繊維強化ペレットの外観斜視図
【図8】従来例のクロスフローファンに用いる短繊維強
化ペレットの外観斜視図
【図9】本発明の膨張成形した空気調和機の送風機用羽
根車中の長繊維の状態を示す斜視図
【符号の説明】
1 クロスフローファン 1a ボス組立部 2 端板 3 仕切り板 4 翼部 5 ファンモータ 6 ボス部 7 長繊維強化ペレット 8 短繊維強化ペレット 9 ブレード部 10 コアバック部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロニトリルとスチレンを含む共重
    合樹脂に、長繊維のガラスファイバーを20〜40重量
    %混入させた合成樹脂材を成形素材とし、80〜100
    ℃の温度範囲の温風によるアニール処理を施したクロス
    フローファンに於いて、前記クロスフローファンの一部
    を射出成形時にコアバックさせて膨張成形で形成するこ
    とを特徴とするクロスフローファンの製造法。
  2. 【請求項2】 スチレンと耐熱性を付与したモノマーと
    から生成される共重合樹脂に、長繊維のガラスファイバ
    ーを20〜40重量%混入させた合成樹脂材を成形素材
    とし、80〜100℃の温度範囲の温風によるアニール
    処理を施したクロスフローファンに於いて、前記クロス
    フローファンの一部を射出成形時にコアバックさせて膨
    張成形で形成することを特徴とするクロスフローファン
    の製造法。
  3. 【請求項3】 1〜6mmの長繊維ガラスファイバーを
    含んだ強化樹脂ペレットを用いたことを特徴とする請求
    項1または2記載のクロスフローファンの製造法。
  4. 【請求項4】 合成樹脂材料中のガラスファイバーの長
    繊維が立体状に絡みあった状態で混入されて構成された
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のク
    ロスフローファンの製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のクロ
    スフローファンの製造法により製造したクロスフローフ
    ァンを備えた送風機器。
JP2001007360A 2001-01-16 2001-01-16 クロスフローファンの製造法とその製造法によるクロスフローファンを備えた送風機器 Pending JP2002213387A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001007360A JP2002213387A (ja) 2001-01-16 2001-01-16 クロスフローファンの製造法とその製造法によるクロスフローファンを備えた送風機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001007360A JP2002213387A (ja) 2001-01-16 2001-01-16 クロスフローファンの製造法とその製造法によるクロスフローファンを備えた送風機器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002213387A true JP2002213387A (ja) 2002-07-31

Family

ID=18875122

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001007360A Pending JP2002213387A (ja) 2001-01-16 2001-01-16 クロスフローファンの製造法とその製造法によるクロスフローファンを備えた送風機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002213387A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023149391A1 (ja) * 2022-02-03 2023-08-10 東レ株式会社 回転翼

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023149391A1 (ja) * 2022-02-03 2023-08-10 東レ株式会社 回転翼

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101356236B (zh) 便携电子机器用聚酰胺树脂组合物和便携电子机器用成型品
JPH02173047A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂組成物
JP2010132914A (ja) ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物および成形品
JP6678902B2 (ja) 強化ポリマー成形組成物
CN102101942B (zh) 一种增强型聚氨酯硬泡材料及其制造方法
JP2002213387A (ja) クロスフローファンの製造法とその製造法によるクロスフローファンを備えた送風機器
JPH10213091A (ja) 空気調和機用の送風ファン及びその製造方法
CN108017872A (zh) 一种可用于增材制造的abs/pc合金改性材料
WO2015166820A1 (ja) 樹脂製ファンの中央部の形状
JP2002021774A (ja) 空気調和機用の送風ファン
JP2011247245A (ja) 送風機用羽根車および当該羽根車の製造方法
US6189332B1 (en) Air conditioner and its manufacturing method
JP2002061868A (ja) 空気調和機用の送風ファン
JP2004285937A (ja) 送風ファン
JPH03185064A (ja) 溶融中子成形用ポリアミド樹脂組成物及びその成形品
CN107501750B (zh) 复合材料及其制备方法和空调制件
JP2010144682A (ja) クロスフローファン
JP2014134163A (ja) 送風機用羽根車
CN108164856A (zh) 一种超高耐热、高熔体强度吹塑abs材料及其制备方法
JPS6229460B2 (ja)
JP4749045B2 (ja) 変性ポリフェニレンエーテル樹脂成形材料用強化繊維の製造方法、及び繊維強化変性ポリフェニレンエーテル樹脂成形材料
JPH04303198A (ja) 横流ファン
JP4334305B2 (ja) 送風ファン
JPS6215247A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP7130848B2 (ja) プレス成形体の製造方法