JP4334305B2 - 送風ファン - Google Patents

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Description

本発明は、空気調和機などに設置される送風ファンに関し、特にリサイクル性にも優れた送風ファンに関するものである。
空気調和機などに設置される送風ファンとして、複数の羽根を軸芯回りに所定間隔をおいて、かつ半径方向に対して所定角度傾斜させて円筒状に配列した翼部を、仕切板を介して軸芯方向に沿って連結したクロスフローファンが知られている。両端の翼部はそれぞれ側板に接合されており、クロスフローファンはこの一方の側板部でモータに取付けられ、他方の側板部に配置されたSUS等の金属製の軸で軸受けされる(たとえば特許文献1参照)。
図5はモーター側に配置される側板部の構造を示す。100は翼部、101、102はそれぞれ翼部100の端部が固着された側板部、仕切板である。モーター側の側板部101においては、この種のファンに一般に使用されるDCのトランジスターモータの固有振動が大きいことから、防振性を付与する目的で、モータ軸を固定する真鍮またはアルミ製の軸受け部103の外周にCR(クロロプレン)ゴムなどの環状の防振ゴム部104を配置しており、この防振ゴム部104の外周部を環状の金属プレート105を介して、翼部100が超音波溶着されたリング状の側板106の内周部に連結している。
モータ側の側板部の構造として他に、金属製のボス部(軸受け部)を合成樹脂製のリング状側板の内周部に熱可塑性エラストマーで連結したもの(たとえば特許文献2参照)や、ボス部とその周囲の円板状部を硬質のゴムやクロロプレン樹脂で形成し、その円板状部とリング状側板とを金属或いは硬質プラスチックス等の剛性の環状連結板で連結したもの(たとえば特許文献3参照)がある。
特開平10−213091号公報 特開平8−49691号公報 特開2002−54592号公報
しかしながら従来の送風ファンは、上記したように側板部101が樹脂と金属とゴムとで形成されているため、それを設置した家電の廃棄時に各構成材料を分別することなく再生するのは困難であり、リサイクル性が劣る問題があった。
本発明は上記課題を解決するもので、十分な防振性を有しながら、廃棄時には構成材料を分別することなく再生できる、リサイクル性の高い送風ファンを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、複数の羽根を円筒状に配列した翼部の両端部を側板に固着し、リング状に形成した一方の前記側板の内側に、モーター軸を軸受けする円筒状の軸受け部と、前記軸受け部と側板とを連結する防振部とを配した送風ファンにおいて、以下のいずれかの構成を具備することを特徴とする。
(1)前記リング状の側板は内周に薄肉部が形成され該薄肉部に複数の穴が形成されており、前記軸受け部は外周にリブが形成され該リブに複数の穴が形成されており、前記防振部は前記側板の薄肉部と前記軸受け部のリブとを包埋するように形成されていて、その材料が前記の各穴に侵入することで前記軸受け部および前記側板に接合されており、且つ、前記リング状の側板は、アクリロニトリル・スチレン系樹脂と耐熱ポリスチレン系樹脂との内のいずれかで構成され、ガラスファィバーが20〜40重量%混入された高剛性樹脂で形成されており、前記軸受け部と防振部とは、前記高剛性樹脂と相溶性が高い同一種の熱可塑性エラストマーで形成されており、前記熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとオレフィン系熱可塑性エラストマーとよりなり、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーが5〜30重量%混入されており、前記防振部を形成する熱可塑性エラストマーは、JIS−K−6301 A形により測定される硬度45〜98を有し、且つ、軸受け部を形成する熱可塑性エラストマーよりも低い硬度を有する
(2)前記リング状の側板は内周に薄肉部が形成され該薄肉部に複数の穴が形成されており、前記軸受け部と防振部とは一体に成型されるとともに、前記防振部は前記側板の薄肉部を包埋するように形成されていて、その材料が前記の各穴に侵入することで前記側板に接合されており、且つ、前記リング状の側板は、アクリロニトリル・スチレン系樹脂と耐熱ポリスチレン系樹脂との内のいずれかで構成され、ガラスファィバーが20〜40重量%混入された高剛性樹脂で形成されており、前記軸受け部と防振部とは、前記高剛性樹脂と相溶性が高い熱可塑性エラストマーで形成されており、前記熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとオレフィン系熱可塑性エラストマーとよりなり、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーが5〜30重量%混入されており、前記防振部を形成する熱可塑性エラストマーは、JIS−K−6301 A形により測定される硬度45〜98を有する
上記構成によれば、軸受け部と防振部の双方に熱可塑性エラストマーを用いているため、制振性を確保することができ、接合面の接着性も確保される。また高剛性樹脂、熱可塑性エラストマーを構成材料とし、金属やゴムを併用していないため、廃棄時に、リング状の側板、軸受け部、防振部を、一般に樹脂で形成される翼部、もう一方の側板とともに粉砕して、再生に供することができる。よって、金属やゴムを併用する従来の送風ファンに比べてリサイクルに優れ、コストも低減できる。なお、送風ファンは複数の翼部を仕切板を介して軸芯方向に沿って配列した構造のものであってもよく、その場合には仕切板も含めて同時に粉砕、再生可能となる。
本発明で使用する高剛性樹脂は、JIS−K−7171により測定される曲げ弾性率6500MPa以上が得られるものが好ましい。ファンの骨格たる翼部や仕切り板などを構成する高剛性樹脂が曲げ弾性率6500MPa未満では、空気調和機用の送風ファンとしての用途には耐熱クリープ性が不十分であり、長期使用時や倉庫保管時に変形しやすく、バランス変化を生じやすい。曲げ弾性率7000MPa以上がより好ましい。
また本発明で使用する熱可塑性エラストマーは、従来用いられているCRゴムに少なくとも匹敵する耐熱クリープ性、制振性を有し、上記した高剛性樹脂との相溶性の高いものを選定することが重要であり、それにより送風ファンのバランス変化量、再生材の物性低下を小さくすることができる。
発明に使用可能な高剛性樹脂には、ポリスチレン系樹脂(PS)があり、たとえばアクリロニトリル・スチレン系樹脂(AS)、耐熱ポリスチレン系樹脂(耐熱PS)、は耐熱クリープ性に優れ、送風ファンの連続運転時の熱変形や繰り返し運転時の変形が少なく、剛性・耐熱性・制振性のバランスに優れた送風ファンを実現できる。耐熱ポリスチレン系樹脂は、スチレンと、耐熱性を付与したモノマー(たとえば、マレイン系のモノマーや、Nフェニルマレイミド系のモノマーや、メタクリル系モノマー)との共重合体や、シンジオタクチック構造のポリスチレンを含むもので、スチレンホモポリマーと比較して、流動性は同等で、荷重たわみ温度が5〜20℃程度高い。
高剛性樹脂にガラスファィバー(GF)が20〜40重量%(ベース樹脂のASやPSに対して)混入されるのが好ましい。それにより、JIS−K−7171により測定される曲げ弾性率6500MPa以上(前掲)の剛性および耐熱性を確保することができ、特に熱変形が起こり易いファンモーター側の側板の変形を抑えることが可能となる。
充填材としてのガラスファィバー(GF)の混入量が20%未満では、曲げ弾性率が6500MPa未満で、剛性が低くバランス変化量が大きくなり、40%を超えると樹脂の成形加工時の流動性が低下し成形性が悪くなる。またたとえばアクリロニトリル・スチレン系樹脂(AS)への混入量が20%の時に密度が約1.15、30%の時に約1.25、40%の時に約1.38で、40%を超えるとさらに密度が大きくなるため、形成される側板等の部材の重量が増し、バランス変化が大きくなる。このため、混入量20〜40%が適している。
リング状の側板と翼部とが同一種の高剛性樹脂材料で形成されるのが好ましい。加工時の材料数が少なくなるため管理しやすく、再生材も物性低下が少なく、安定する
本発明で使用可能な熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに、柔軟性を付与するオレフィン系熱可塑性エラストマーを適量混入したものを挙げることができる。これらの熱可塑性エラストマーはいずれも耐熱クリープ性に優れるため、送風ファンの連続運転時の熱変形や繰り返し運転時の変形が少ない。
この内、ポリエステル系熱可塑性エラストマーによって、送風ファンの連続運転時の熱変形や繰り返し運転時の変形が少なく、剛性・耐熱性・制振性のバランスに優れた送風ファンを実現できる。またアクリロニトリル・スチレン系樹脂などとの相溶性がよいためリサイクル性に優れることとなる。またオレフィン系熱可塑性エラストマーは特に制振効果が高いため、全体として制振性に優れることになり、剛性・耐熱性・制振性のバランスに優れた送風ファンを実現できる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの制振性が非常に高いことから、防振部の薄肉部(後述する)を0.5〜2mm程度の厚みとしても、送風ファンのバランス変化を十分に小さくすることができ、従来用いられていたCRゴム製の防振部が約5mmであったのに比べて薄型化、軽量化できる。制振目的では0.5mmでもよいが、耐熱クリープ性を確保するために、また超音波溶着による振動加熱での穴明きを回避するために2mm程度、あるいはそれ以上が望ましい。しかし2mm程度とすることによって柔軟性を確保することができ、送風ファンを空気調和機本体にセットする時に、この軸受け部の柔軟性を利用して斜めからファンモーターにセットしやすくなる。オレフィン系熱可塑性エラストマーは、上記したアクリロニトリル・スチレン系樹脂、耐熱ポリスチレン系樹脂との相溶性も良い。
レフィン系熱可塑性エラストマーは、5〜30重量混入するのが好ましい。このことにより、連続運転時の熱変形や繰り返し運転時の変形が少なく、剛性・耐熱性・制振性のバランスに優れた送風ファンを実現できる。また再生材の物性低下が少なく、安定し、リサイクル性に優れる。オレフィン系熱可塑性エラストマーの混入比率が30重量を超えると、ファンのバランス変化が大きくなり、また熱可塑性エラストマー全体の引張り強度が3割以上低下し、物性低下が大きくなる。5重量未満では制振効果が少なくなり、機器本体の振幅は従来品に近い値となる。
軸受け部を形成する熱可塑性エラストマーは、JIS−K−6301 A形により測定される硬度70〜98を有するのが好ましい。これにより、モーター軸との締結による変形や熱変形が特に起こり易い軸受け部の変形を抑えることができ、長期にわたってバランス変化の少ない送風ファンを実現できる。硬度が70未満では、剛性が低く耐熱クリープ性が低下しバランス変化が大きくなる。硬度が98を超えると、剛性が高すぎてファン全体に振動が伝わりやすくなる。
防振部を形成する熱可塑性エラストマーは、JIS−K−6301 A形により測定される硬度45〜98を有し、且つ軸受け部を形成する熱可塑性エラストマーよりも低い硬度を有するのが好ましい。モーター軸との締結による変形や熱変形が特に起こり易い軸受け部の変形を確実に抑えられる一方で、軸受け部の振動は硬度がより低い防振部によって抑えることができ、長期にわたってバランス変化が少なく、制振性の高い送風ファンを実現できる。
軸受け部と防振部とを同一種の熱可塑性エラストマーで形成してもよい。加工時の材料数が少なくなるため管理しやすく、再生材も物性低下が少なく、安定する。
軸受け部と防振部とを一体成型したものにあっては、軸受け部と防振部とが別体である場合に比べて、接合不良は起こりえず、工数も低減できる。
なお、本発明を構成するものではないが、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを単独で用いることも可能であり、いずれも、送風ファンの連続運転時の熱変形や繰り返し運転時の変形が少なく、剛性・耐熱性・制振性のバランスに優れた送風ファンを実現できる。
この内、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、アクリロニトリル・スチレン系樹脂などとの相溶性がよいためリサイクル性に優れる。ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、AS(アクリロニトリル・スチレン)系樹脂との相溶性に優れ、再生時の物性低下が小さい。ポリオレフィン系熱可塑性エラストマ−は、密度が低く、柔軟性、制振性、耐候性、耐熱老化性が優れ、低振動で熱変形が少なく、制振性が高く、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、耐衝撃性や耐熱性が高く、成形加工や着色性に優れており、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、繰り返しの疲労特性が良く、長期使用時の制振性が優れているが、いずれも、相溶性はポリスチレン系熱可塑性エラストマーに劣るので、再生利用のためには配合率を抑える必要がある。
本発明の送風ファンは、ファンモータ側に配置されるリング状の側板を高剛性樹脂により形成し、この側板の内側に配置される円筒状の軸受け部と防振部とを熱可塑性エラストマーにより形成したもので、予め熱可塑性エラストマーとして、ファンモーターからの応力が直接かかる軸受け部に熱変形が少なく硬度が高いものを選定することや、防振部により制振性の優れたものを選定することや、軸受け部と防振部とに同一硬度のものを選定することや、高剛性樹脂と相溶性の優れたものを選択することが可能であり、軸受け部と防振部との接合面の接着性も確保されるため、所望の剛性・耐熱性・制振性のバランスを具備することができる。よって、送風ファンが設置された機器本体の振動を効果的に低減できる。
特に耐熱クリープ性が要求される全長630mm以上の長尺の送風ファンを構成した場合、軸受け部と防振部に金属やCRゴムを用いた従来の送風ファンに比べて、機器本体の振幅を小さくすることができ、長期使用される空気調和機に設置した場合も熱変形は小さい。
また、軸受け部と防振部に金属やCRゴムを用いた従来の送風ファンとは異なって、廃棄時に、軸受け部、防振部、側板、および、側板に接合された翼部を同時に粉砕し、再生に供することが可能であり、再生材の物性低下も少ない。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施形態における送風ファンの外観斜視図、図2は同送風ファンの断面図、図3は同送風ファンのモータ側の一端部を示す一部切り欠き断面図である。
図1に示すように、送風ファン1は、空気調和機用のクロスフローファンとして構成されており、複数の羽根2を円筒状に配列した翼部3を、仕切板4を介して軸芯方向に沿って複数個連結し、両端に側板部5,6を配している。一方の側板部5はファンモーターと接続可能に構成されており、他方の側板部6には空気調和機本体に軸受けされるSUSなどの軸7が取り付けられている。
図2に示すように、仕切板4はリング状に形成されており、翼部3を構成する複数の羽根2を軸芯回りに所定間隔をおいて、かつ半径方向に対して所定角度傾斜して配列させる位置決め用の凹部4aが両面に形成されている。図示を省略するが、側板部5,6にも複数の羽根の位置決め用の凹部が形成されている。翼部3,仕切り板4,側板部5,6は互いに超音波溶着され一体化されている。
図3に示すように、ファンモーターに接続固定される側板部5は、モーター軸を受ける円筒状の軸受け部8と、この軸受け部8の外周に接合されモーター軸による振動を抑制するリング状の防振部9と、この防振部9の外周に接合されたリング状の側板10とで構成されており、この側板10に前記翼部3の一端部が接合されている。軸受け部8とモーター軸とは、ねじ11で固定される。
軸受け部8の外周には鍔状のリブ8aが形成されており、このリブ8aに複数の円形状の穴8bが周方向に沿って等間隔で形成されている。側板10の内周には軸受け部8のリブ8aとほぼ同等の厚みの薄肉部10aが形成されており、この薄肉部10aに複数の円形状の穴10bが周方向に沿って等間隔で形成されている。穴8b,10bの数は8〜9個程度である。防振部9は、軸受け部8のリブ8aと側板10の薄肉部10aとを包埋するように形成されていて、その材料が穴8b,10bへ侵入することで軸受け部8,側板10に確実に一体化されている。軸受け部8のリブ8aを包埋した内周部と側板10の薄肉部10aを包埋した外周部とは側板10(薄肉部10aを除く)とほぼ同等の厚みであり、その間の中央領域は薄肉部9aとされている。
翼部3,仕切り板4,側板10,および側板部6(軸7を除く)は高剛性樹脂により形成されている。高剛性樹脂はここでは、アクリロニトリル・スチレン系樹脂(AS)、或いは耐熱ポリスチレン系樹脂(耐熱PS)にガラスファイバー(GF)を混入したものである。
軸受け部8および防振部9は熱可塑性エラストマーにより形成されている。熱可塑性エラストマーはここでは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーにオレフィン系熱可塑性エラストマーを混入したものである。
以上のような送風ファン1は、熱可塑性エラストマーや高剛性樹脂(アクリロニトリル・スチレン系樹脂、或いは耐熱ポリスチレン系樹脂)は耐熱クリープ性に優れ、また熱可塑性エラストマーに特に制振性の高いオレフィン系熱可塑性エラストマーを混入しているため制振性に優れ、また軸受け部8と防振部9の双方を熱可塑性エラストマーで形成しているため互いの接合面の接着性を確保することができ、連続運転時の熱変形や繰り返し運転時の変形も少なく、剛性・耐熱性・制振性のバランスに優れたものとなる。よって、空気調和機本体の振動を従来よりも低減できる。
また、軸受け部8と防振部9に金属やゴムを用いていた従来の送風ファンとは異なって、廃棄時に、軸7を取り外したうえで、翼部3,仕切り板4,側板部6といっしょに、軸受け部8、防振部9、側板10を粉砕し、再生に供することが可能であり、金属やゴムを用いるのに比べて製造コストも低減できる。軸受け部8と防振部9の熱可塑性エラストマーに側板10等の高剛性樹脂との相溶性の優れたものを選択しておくことで、再生材の物性低下を小さくすることができ、リサイクル性を高めることができる。
図4は、本発明の第2の実施形態における送風ファンのモータ側の一端部を示す一部切り欠き断面図である。
この送風ファンは上記した第1の実施形態の送風ファンとほぼ同様の構成を有しているが、第1の実施形態における軸受け部8とリング状の防振部9とに代えて、これらが一体成型された一体品12(軸受け部12a,防振部12b)が側板10に接合されている点が相違している。このような構造にあっては、軸受け部12a,防振部12b間の接合不良は発生し得ず、工数も低減できる。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
(実施例1〜実施例9)
上記した第1の実施形態の送風ファン(外径Φ100mm、長さ650mm;重量約600g、翼部の数10、各翼部の羽根35枚)を下記の部材を用いて組み立てた。部材どうしの溶着加工後にアニール処理を実施した。アニール処理は、成形歪と溶着歪を除去するために90℃の温風循環炉に送風ファンを縦置きして約8時間放置するもので、この処理を施すことで、送風ファンの運転時の熱変形によるバランス変化量を低減できる。
1)翼部(3)、仕切り板(4)、側板部(6)および側板(10)
GFを20,30,または40(%)混入したAS系樹脂(実施例1〜7)、または、GFを20または30(%)混入した耐熱PS系樹脂(実施例8,9)。GF混入量(%)、曲げ弾性率(MPa)、密度は表1に示す。
2)軸受け部(8)
オレフィン系エラストマー5,15,20,または30(重量)をポリエステル系熱可塑性エラストマー(残部)に混入した熱可塑性エラストマー。混合比率および硬度(JIS−K−6301、A形による)は表1に示す。
3)防振部(9)
オレフィン系エラストマー5,15,20,または30(重量)をポリエステル系熱可塑性エラストマー(残部)に混入した熱可塑性エラストマー。混合比率および硬度(JIS−K−6301、A形による)は表1に示す。
ここで使用したAS系樹脂は、東レ(株)製トヨラック、ASG20またはASG30(商品名)である。また耐熱PS系樹脂は、メタクリル系モノマーをコモノマーとしたものである。GFは、線径12μm程度、成形後の繊維長さ平均0.5mm程度の、短繊維タイプのGFである。
軸受け部8、防振部9の熱可塑性エラストマーは、実使用の高温時や長期放置時の耐熱性、柔軟性、機械的強度等を考慮して、25%の圧縮永久歪(JIS−K−6301・100℃・22h)で50%以下となるように、東洋紡績(株)製のペルプレン(商品名)を改質したものである。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、芳香族ポリエステル(ハード成分)と脂肪族ポリエーテル(ソフト成分)のコポリマーであり柔軟性、耐寒性、耐薬品性、成形性などバランスが取れ、制振性に優れている。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、PP(ポリプロピレン)樹脂にEPDM(ethylene-propylene-diene terpolymer)を分散させたものであり、柔軟性が高く、その分、制振性も高い。このため、このオレフィン系熱可塑性エラストマーを軸受け部に用いた送風ファンを空気調和機などの機器に設置する時に、軸受け部の柔軟性を利用してファンモーターに斜めから容易に挿入することができ、機器の運転時の本体振動を低減できる。
熱可塑性エラストマーは一般に、プラスチックスとゴムの中間的な弾性を示す材料であるが、上記した熱可塑性エラストマーは全体として、制振性、強度、柔軟性、成形性、耐熱性、耐熱クリープ性、耐薬品性などに優れる。特に軸受け部に、引張り強度(JIS−K−7113)10〜35MPa、曲げ弾性率(JIS−K−7203)50〜300MPaの物性を有するものを使用することで、ファンのバランス変化を少なくし、耐熱クリープ性を維持することが可能となる。
これらポリエステル系熱可塑性エラストマーとオレフィン系熱可塑性エラストマーは、相溶化材や顔料とともに攪拌することによって、容易に均一に混合することができる。相溶化材を一部混入することによってより均一に混合することができる。
混合された熱可塑性エラストマーは加熱すると溶融するため、成形品を粉砕、加熱溶融し、射出成形などすることが可能であり、リサイクルに優れる。これに対し従来より防振材などに成形されてきたゴム(加硫ゴム)は加熱しても溶融しないため、リサイクル困難である。
比較のために、先に図5を用いて説明した従来の送風ファン、すなわち、側板部に真鍮製軸受け部103と防振ゴム部104と金属プレート105と樹脂側板106とを有した送風ファンのデータを表1に示す。防振ゴム部104には硬度55のCRゴムが使用されている。
各実施例および従来例の送風ファンについて以下のようにして実用性を評価した。
(リサイクル性)
モーター側の側板部5のねじ11と軸受け側の側板部6の軸7を取り外し、翼部3と仕切り板4と側板部5,6とを粉砕・混練した場合の再生可能性を検討した。相溶性が良く再生可能なものを○、相溶性はあまり良くないがファン総重量の5%以下の配合率(残部95%はバージン材)で再生可能なものを△、相溶性が悪く分離しないと再生できないものは×とした。再生材の混入率5%では引張り強度や曲げ強度の低下は10%未満である。
(側板部の接合力)
第1の実施形態の送風ファンについては、モーター側の側板部5の軸受け部8と防振部9と側板10との接合力を調べた。軸受け部8に回転トルク計をセットして、剥離が起こった時点でのトルクを求め、50kgf・cm以上の接合強度があるものを、強固に接合されている(○)とした。
第2の実施形態の送風ファンについては、モーター側の側板部5の一体品12(軸受け部12a,防振部12b)と側板10との接合力を調べた。一体品12に回転トルク計をセットして、剥離が起こった時点でのトルクを求め、50kgf・cm)以上の接合強度があるものを、強固に接合されている(○)とした。
(耐熱性)
送風ファンの使用時の熱変形を事前評価する。すなわち、送風ファンの耐熱静止たわみ試験を実施し、試験前後のバランス変化量を測定して耐熱クリープ性を評価する。耐熱静止たわみ試験は、70℃の恒温槽内に送風ファンを両端2点で支えて水平にセットし、168h放置し、その前後のバランス変化量(g・cm)をファン専用のバランスマシーン測定機で計測するものである。
バランス変化量の値は、出来るだけ小さい方が優れていている。長期保管や高温雰囲気に暴露された場合、この変化量が少ないものほど、熱変形が小さい。逆にバランス変化量が大きいものほど、バランス不良、熱変形が大きくなることを意味し、長期にわたって空気調和機に使用すると、振動が大きく、異常音等による不具合を生じることがある。
(本体振幅)
防音室内に空気調和機の室内機本体を設置し、その内部にセットした送風ファンを回転数600〜1700rpmで回転させ、特に共振しやすい回転数(例えば800rpm)での室内機本体の天面の振動の振幅幅(μm)を振動計で測定した。なお試験対象の送風ファンは同一の室内機本体に順次にセットした。ファン毎の初期のバランス量の差を少なくするために、予め左右部でのバランス量(アンバランス量)を約0.3g・cmに調整した。
結果を表2に示す。
Figure 0004334305
Figure 0004334305
表1に示すように、翼部3,仕切り板4,側板部6,側板10に使用した樹脂の曲げ弾性率は、ASにGFを20%混入した実施例1で約6500MPa、GFを30%混入した実施例2,3,6,7で約8500MPa、GFを40%混入した実施例4,5で約10000MPa、耐熱PSにGFを20%混入した実施例8で7000、GFを30%混入した実施例9で8000である。GF混入率が20%より少ないと剛性が6500MPa未満となり、ファンの耐熱クリープ性が悪くなる。またGF混入率が40%より多いとファンの耐熱クリープ性は良くなるものの、成形性が悪くなり、成形時にショートショットなどが起こりやすく、管理しにくい。
また実施例8では耐熱PS系樹脂を用いているため荷重たわみ温度107℃程度となり、実施例9では同様に荷重たわみ温度111℃程度となり、一般的なPS樹脂(PS+GF30%では荷重たわみ温度95℃程度)と比較して、12〜16℃程度高くすることができる。また流動性(JIS−K−7210、220℃、荷重1.813MPa)は、耐熱PS+GF30%が約10、AS+GF30%が約4であり、耐熱PS系樹脂を用いることによって成形加工性が向上する。
表2に示すように、実施例1から実施例9において、リサイクル性(相溶性)は「相溶性が良く再生可能」と評価されている。各実施例で軸受け部8、防振部9に使用された熱可塑性エラストマー(オレフィン系+ポリエステル系)は側板等に使用された高剛性樹脂(AS+GF,PS+GF)との相溶性が良く、粉砕・混練・再生時に分離もなく良好な状態となった。熱可塑性エラストマーは加熱すると溶融するため、成形品を粉砕、加熱溶融、射出成形などによって容易にリサイクル可能である。これに対し、従来例に使用されたゴム(加硫ゴム)は加熱しても溶融しないため、リサイクルできない。
また実施例1から実施例9において、接合力は「強固に接合されている」と評価されている。これは、軸受け部8や側板10に設けた穴8a,10aに熱可塑性エラストマーが入り込み、アンカー効果が出るのと、軸受け部8と防振部9との接合部および防振部9と側板10との接合部で防振部9が軸受け部8または側板10を包み込むことで、これら3部材が強固に接合され一体化されているためである。
ファンとしての耐熱クリープ特性を示すアンバランス変化量は、実施例1で2.0g・cm、実施例2で1.8g・cm、実施例3で1.6g・cm、実施例4で1.5g・cm、実施例5で1.2g・cm、実施例6で1.5g・cm、実施例7で1.9g・cm、実施例8で2.0g・cm、実施例9で1.9g・cmであり、従来例が2.2g・cmであるのに比べて優れている。実施例5が一番優れている。
また本体振幅は、実施例1が23μm、実施例2が25μm、実施例3と8が19μm、実施例4と5が22μm、実施例6と9が20μm、実施例7が17μmであり、従来例が27であるのに比べて優れている。
(実施例10〜実施例16)
上記した第2の実施形態の送風ファン(外径Φ100mm長さ650mm)を下記の部材を用いて組み立てた。部材どうしの溶着加工後に実施例1〜9と同様のアニール処理を実施した。
1)翼部(3)、仕切り板(4)、側板部(6)および側板10
GFを20,30,または40(%)混入したAS系樹脂(実施例10〜14)、または、GFを20または30(%)混入した耐熱PS系樹脂(実施例15,16)。GF混入量(%)、曲げ弾性率(MPa)、密度は表3に示す。
2) 軸受け部と防振部の一体品(12)
オレフィン系エラストマー5,15,20,または30(%)をポリエステル系熱可塑性エラストマー(残部)に混入した熱可塑性エラストマー。25%の圧縮永久歪(JIS−K−6301・100℃・22h)で50%以下のものを使用した。混合比率および硬度(JIS−K−6301、A形による)は表3に示す。
AS系樹脂、耐熱PS系樹脂、GF、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系エラストマーは実施例1〜実施例9と同一種を使用した。
(実用性評価)
実施例1〜9と同様にして実用性評価を実施した。結果を表4に示す。
Figure 0004334305
Figure 0004334305
表3に示すように、側板等に使用した樹脂の曲げ弾性率は、ASにGFを20%混入した実施例10で約6500MPa、GFを30%混入した実施例11,12で約8500MPa、GFを40%混入した実施例13,14で約10000MPa、耐熱PSにGFを20%混入した実施例15で7000、GFを30%混入した実施例16で8000である。GF混入率が20%より少ないと剛性が6500MPa未満となり、ファンの耐熱クリープ性が悪くなる。またGF混入率が40%より多いとファンの耐熱クリープ性は良くなるものの、成形性が悪くなり、成形時にショートショットなどが起こりやすく、管理しにくい。
実施例15では上記した耐熱PS系樹脂を用いているため荷重たわみ温度107℃程度となり、実施例16では同様に荷重たわみ温度111℃程度となり、一般的なPS樹脂(PS+GF30%では荷重たわみ温度95℃程度)と比較して、12〜16℃程度高くすることができる。また流動性(JIS−K−7210、220℃、荷重1.813MPa)は、耐熱PS+GF30%が約10、AS+GF30%が約4であり、耐熱PS系樹脂を用いることによって成形加工性が向上する。
表4に示すように、実施例10から実施例16において、リサイクル性(相溶性)は「相溶性が良く再生可能」と評価されている。各実施例で軸受け部と防振部の一体品に使用された熱可塑性エラストマー(オレフィン系+ポリエステル系)と側板等に使用された高剛性樹脂(AS+GF,PS+GF)との相溶性が良く、粉砕・混練・再生するときに分離もなく良好な状態となった。熱可塑性エラストマーは加熱すると溶融するため、成形品を粉砕、加熱溶融、射出成形などすることによって容易にリサイクル可能である。これに対し、従来例に使用されたゴム(加硫ゴム)は加熱しても溶融しないため、リサイクルできない。
実施例10から実施例16において、接合力は「強固に接合されている」と評価されている。これは、側板10に設けた穴10bにオレフィン系エラストマーを混入したポリエステル系熱可塑性エラストマーが入り込みアンカー効果が出るのと、一体品12と側板10との接合部で一体品12が側板10を包み込むことで、これらが強固に接合され一体化されているためである。
ファンとしての耐熱クリープ特性を示すアンバランス変化量は、実施例10で2.1g・cm、実施例11で1.8g・cm、実施例12と16で1.4g・cm、実施例13と14で1.3g・cm、実施例12で1.4g・cmであり、従来例が2.2g・cmであるのに比べて優れている。実施例13と14が特に優れている。
本体振幅は、実施例10と14と15が24μm、実施例11が26μm、実施例13と16が23μm、実施例12が21μmであり、従来例が27であるのに比べて優れている。
なお、オレフィン系エラストマーを混入しないポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いて第2実施形態の送風ファンを組み立てたところ、本体振動は従来品と同程度または従来品より少し劣った。オレフィン系エラストマーを混入することによって2〜10μm程度以上良くなる。
オレフィン系エラストマーの混入比率が30重量を超えるとファンのバランス変化が大きくなり、5重量未満では、本体振幅が従来品に近い値となり制振効果が少なくなる。また、30重量を超えると、熱可塑性エラストマー全体で、引張り強度が3割以上低下するというように、物性低下が大きくなる。従って5〜30重量が好ましい。
リサイクル時の物性を、第1の実施形態の送風ファン(AS+GF30%を用いた実施例2〜7)、2の実施形態の送風ファン(AS+GF30%を用いた実施例11,12)の全体を粉砕し、を粉砕し、275℃程度で加熱溶融し、送風ファンに再生した結果、引張り強度(JIS−K−7161による)およびアイゾット衝撃値(JIS−K−7110による)の低下は10%未満であった。耐熱性の指標としての荷重たわみ温度(JIS−K−7207・荷重18.5kgf・cm)は5℃未満であった。AS+GF20%、AS+GF40%を用いた他の実施例の送風ファンについても同様の結果が得られ、大きな低下はない。
(参考例1参考例10
上記した第1の実施形態の送風ファン(外径Φ100mm、長さ650mm;重量約600g、翼部の数10、各翼部の羽根35枚)を、以下の表5に示す材料を用いて、実施例1〜実施例16と同様にして組み立て、実用性を評価した。結果を表6に示す。
Figure 0004334305
Figure 0004334305
参考例1参考例6では、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを使用した。使用したポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハード成分としての芳香族ポリエステルとソフト成分としての脂肪族ポリエーテルとを含んだコポリマーであり、強度、耐熱性、柔軟性、耐薬品性、成形性、耐クリープ性、制振性などに優れている。特に軸受け部に使用したポリエステル系熱可塑性エラストマーの物性は、引張り強度(JIS−K−7113)10〜35MPa、曲げ弾性率(JIS−K−7203)50〜300MPaであり、バランス変化が少なく、耐熱クリープ性を維持するのに望ましいものである。参考例1では、特に実使用の高温時、長期放置時の耐熱性、柔軟性、機械的強度等を考慮して25%の圧縮永久歪(JIS−K−6301・100℃・22h)で50%以下のものを使用している。参考例2参考例6も同様に圧縮永久歪が50%以下のものを使用している。
参考例1は、軸受け部に硬度70(JIS−K−6301、A形)、防振部に硬度45のポリエステル系熱可塑性エラストマーを用い、側板はGF(ガラスファィバー)を20%混入したAS(アクリロニトリル・スチレン)系樹脂(以下、AS+GF20%)で形成されている。翼部と仕切り板も側板と同様の高剛性樹脂を用いている。側板に使用した樹脂の曲げ弾性率は、約7.0MPaである(試験法JIS−K−7203、以下省略)。
参考例2は、軸受け部に硬度85、防振部に硬度70のポリエステル系熱可塑性エラストマーを用い、側板はGF(ガラスファィバー)を30%混入したAS(アクリロニトリル・スチレン)系樹脂(以下、AS+GF30%)で形成されている。翼部と仕切り板も側板と同じAS+GF30%の高剛性樹脂を用いている。側板に使用した樹脂の曲げ弾性率は、約9.0MPaである。
参考例3は、軸受け部に硬度90、防振部に硬度87のポリエステル系熱可塑性エラストマーを用い、側板はAS+GF30%の高剛性樹脂で形成されている。翼部と仕切り板も側板と同じAS+GF30%の高剛性樹脂を用いている。側板に使用した樹脂の曲げ弾性率は、約9.0MPaである。
参考例4は、軸受け部に硬度95、防振部に硬度85のポリエステル系熱可塑性エラストマーを用い、側板はGF(ガラスファィバー)を40%混入したAS(アクリロニトリル・スチレン)系樹脂(以下、AS+GF40%)で形成されている。翼部と仕切り板も側板と同じAS+GF40%の高剛性樹脂を用いている。側板に使用した樹脂の曲げ弾性率は、約10.5MPaである。
参考例5は、軸受け部に硬度98、防振部に硬度90のポリエステル系熱可塑性エラストマーを用い、側板はAS+GF40%の高剛性樹脂で形成されている。翼部と仕切り板も連結部と同じAS+GF40%の高剛性樹脂を用いている。側板に使用した樹脂の曲げ弾性率は、約10.5MPaである。
参考例6は、軸受け部に硬度95、防振部に硬度95の同じポリエステル系熱可塑性エラストマーを用い、側板はAS+GF30%の高剛性樹脂で形成されている。翼部と仕切り板も側板と同じAS+GF30%の高剛性樹脂を用いている。側板に使用した樹脂の曲げ弾性率は、約9.0MPaである。
参考例7は、軸受け部と防振部に、ポリウレタン系の熱可塑性エラストマーを用い、参考例8はポリスチレン系の熱可塑性エラストマーを用い、参考例9はポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーを用い、参考例10はポリアミド系の熱可塑性エラストマーを用いた。各熱可塑性エラストマーは、圧縮永久歪が50%以下のものである。各参考例において、側板には翼部と仕切り板と軸受け側の側板部と同じGF(ガラスファィバー)を混入したAS(アクリロニトリル・スチレン)系樹脂の高剛性樹脂を使用した。
比較のために、先に図5を用いて説明した従来の送風ファン、すなわち、側板部に真鍮製軸受け部103と防振ゴム部104と金属プレート105と樹脂側板106とを有した送風ファンのデータを表5に示す。防振ゴム部104には硬度55のCRゴムが使用されている。
表6からわかるように、実用性評価において、リサイクル性は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとAS+GF20%の高剛性樹脂の相溶性が良く、粉砕・混練・再生するときに分離もなく良好な状態である。
接合力は、軸受け部や側板に設けた穴にポリエステル系熱可塑性エラストマーが入り込みアンカー効果が出るのと、防振部と軸受け部あるいは防振部と側板の接合部において防振部が軸受け部と連結部を包み込んでいるため強固に接合され一体化している。
耐熱性(アンバランス変化量)は、参考例1が2.0g・cm、参考例2が1.7g・cm、参考例3が1.5g・cm、参考例4が1.4g・cm、参考例5が1.2g・cm、参考例6が1.5g・cmとなり、参考例5が一番優れている。一番変化量が大きい参考例1でも、従来例より良くなっている。
リサイクル時の物性は、側板と翼部と仕切り板(AS+GF30%)と、モーター側の側板部の軸受け部と防振部と側板の材料を粉砕したものの物性を評価した結果、引張り強度(JIS−K−7113)やアイゾット衝撃値(JIS−K−7110)の低下は10%未満である。また、耐熱性も荷重たわみ温度(JIS−K−7206・荷重18.5kgf・cm)で3℃未満である。AS+GF20%とAS+GF40%も同様で大きな低下はない。
以上のように、参考例1参考例10の送風ファンは、実施例1〜実施例16の送風ファンと同様に、特に耐熱性(アンバランス変化量)が従来品より向上していることからわかるように、連続運転時の熱変形や繰り返し運転時の変形が少なく、剛性・耐熱性・制振性のバランスに優れる。またリサイクル性が高く、再生材の物性低下も小さい。
参考例1参考例10のような熱可塑性エラストマー単体を用いる場合には、実施例1〜16のような熱可塑性エラストマーのブレンド品を用いるのに比べて、超音波溶着時の穴開きが少なく、溶着性がよく、また耐熱性が高いという利点がある。たとえばブレンド品は溶融温度170〜200℃であるのに対し、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは溶融温度230〜260℃である。
参考例1参考例6に用いた熱可塑性エラストマーは、東洋紡績(株)製のペルプレン(商品名)を改質したもの。参考例7に用いた熱可塑性エラストマーは、東洋紡績(株)製の東洋紡ウレタン(商品名)を改質したもの。参考例8に用いた熱可塑性エラストマーは、クラレプラスチック(株)のハイブラー(商品名)を改質したもの。参考例9に用いた熱可塑性エラストマーは、東洋紡績(株)製のサーリンク(商品名)を改質したもの。参考例10に用いた熱可塑性エラストマーは、宇部興産(株)のUBEポリアミドエラストマーPAE(商品名)を改質したものである。
防振部9或いは一体品12において、中央部に薄肉部9a,12cを設けるのは防振効果を得るためであるが、耐熱クリープ性と防振効果を得るためには肉厚0.5〜2mm程度が望ましい。0.5mm未満では変形しやすく、2mmを超えると振動が伝わりやすく制振性が悪くなる。
尚、上記した各実施例および参考例では、高剛性樹脂としてAS系樹脂または耐熱PS系樹脂を用いたが、曲げ弾性率が6500MPa以上のポリフェニレンエーテル・ポリスチレン系(PPE+PS)樹脂などの使用も考えられる
また空気調和機用の送風ファンとして説明してきたが、温風暖房等を行う温風機器や暖房機器に用いられるものであってもよい。
本発明の送風ファンは、空気調和機、温風暖房等を行う温風機器や暖房機器などに有用である。
本発明の第1の実施形態における送風ファンの外観斜視図 図1の送風ファンの断面図 図1の送風ファンのファンモータ側の一端部を示す一部切り欠き断面図 本発明の第2の実施形態における送風ファンのファンモータ側の一端部を示す一部切り欠き断面図 従来の送風ファンのモーター側の一端部を示す一部切り欠き断面図
符号の説明
1 送風ファン
3 翼部
4 仕切り板
5 モーター側の側板部
6 軸受け側の側板部
8 軸受け部
9 防振部
10 側板
12 軸受け部と防振部の一体品

Claims (3)

  1. 複数の羽根を円筒状に配列した翼部の両端部を側板に固着し、リング状に形成した一方の前記側板の内側に、モーター軸を軸受けする円筒状の軸受け部と、前記軸受け部と側板とを連結する防振部とを配した送風ファンにおいて、
    前記リング状の側板は内周に薄肉部が形成され該薄肉部に複数の穴が形成されており、
    前記軸受け部は外周にリブが形成され該リブに複数の穴が形成されており、
    前記防振部は前記側板の薄肉部と前記軸受け部のリブとを包埋するように形成されていて、その材料が前記の各穴に侵入することで前記軸受け部および前記側板に接合されており、且つ、
    前記リング状の側板は、アクリロニトリル・スチレン系樹脂と耐熱ポリスチレン系樹脂との内のいずれかで構成され、ガラスファィバーが20〜40重量%混入された高剛性樹脂で形成されており、
    前記軸受け部と防振部とは、前記高剛性樹脂と相溶性が高い同一種の熱可塑性エラストマーで形成されており、
    前記熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとオレフィン系熱可塑性エラストマーとよりなり、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーが5〜30重量%混入されており、
    前記防振部を形成する熱可塑性エラストマーは、JIS−K−6301 A形により測定される硬度45〜98を有し、且つ、軸受け部を形成する熱可塑性エラストマーよりも低い硬度を有することを特徴とする送風ファン。
  2. 複数の羽根を円筒状に配列した翼部の両端部を側板に固着し、リング状に形成した一方の前記側板の内側に、モーター軸を軸受けする円筒状の軸受け部と、前記軸受け部と側板とを連結する防振部とを配した送風ファンにおいて、
    前記リング状の側板は内周に薄肉部が形成され該薄肉部に複数の穴が形成されており、
    前記軸受け部と防振部とは一体に成型されるとともに、前記防振部は前記側板の薄肉部を包埋するように形成されていて、その材料が前記の各穴に侵入することで前記側板に接合されており、且つ、
    前記リング状の側板は、アクリロニトリル・スチレン系樹脂と耐熱ポリスチレン系樹脂との内のいずれかで構成され、ガラスファィバーが20〜40重量%混入された高剛性樹脂で形成されており、
    前記軸受け部と防振部とは、前記高剛性樹脂と相溶性が高い熱可塑性エラストマーで形成されており、
    前記熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとオレフィン系熱可塑性エラストマーとよりなり、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーが5〜30重量%混入されており、
    前記防振部を形成する熱可塑性エラストマーは、JIS−K−6301 A形により測定される硬度45〜98を有することを特徴とする送風ファン。
  3. リング状の側板と翼部とが同一種の高剛性樹脂材料で形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の送風ファン。
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