JP2002212582A - 水溶性金属表面潤滑剤及び電子部品 - Google Patents

水溶性金属表面潤滑剤及び電子部品

Info

Publication number
JP2002212582A
JP2002212582A JP2001042548A JP2001042548A JP2002212582A JP 2002212582 A JP2002212582 A JP 2002212582A JP 2001042548 A JP2001042548 A JP 2001042548A JP 2001042548 A JP2001042548 A JP 2001042548A JP 2002212582 A JP2002212582 A JP 2002212582A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
metal surface
lubricant
soluble metal
surface lubricant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001042548A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002212582A5 (ja
Inventor
Harufusa Hiuga
東房 日向
Akira Higashiyama
明 東山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CHEMICAL DENSHI KK
Original Assignee
CHEMICAL DENSHI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by CHEMICAL DENSHI KK filed Critical CHEMICAL DENSHI KK
Priority to JP2001042548A priority Critical patent/JP2002212582A/ja
Publication of JP2002212582A publication Critical patent/JP2002212582A/ja
Publication of JP2002212582A5 publication Critical patent/JP2002212582A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境破壊問題を解決し、摩擦係数に優れ、接
触抵抗値が低い水溶性金属表面処理剤を提供する。 【解決手段】 0.02から20重量%のパラフィン系
の炭化水素系物質と、この炭化水素系物質を乳化するた
めの0.001から2.5重量%の界面活性剤と、残り
を水で水溶性金属表面潤滑剤を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属の表面の摩擦
を小さくし、滑りを円滑にするための水溶性金属表面潤
滑剤およびこの金属表面潤滑剤が施された電子部品に関
する。
【0002】
【従来の技術】コネクタ、スイッチあるいはチップ部品
などの電子部品においては、滑りを円滑にし、摩擦抵抗
を下げ、耐微摺動摩耗が良好で、接触抵抗も低いことが
要求されている。例えば、コネクタは近年小型・精細度
で多ピン化されており、1ピン当たりの潤滑性を下げな
いと挿抜力が高くなり、コネクタの脱着に強い力が必要
となってしまう。挿抜に強い力を必要とすることは、装
着が容易に行えないばかりか、脱着の際に電子部品を破
損してしまう可能性もある。又、コネクタの接続端子の
素材もその厚みが薄くなっているため、挿抜時の加圧に
よって端子が変形することがある。更に、コネクタの接
続端子は、レセプタクルと確実な接続を可能にするため
高い導電性が要求され、この要求にしたがって接続端子
のレセプタクルとの接触部分には、金、銀、パラジウ
ム、錫、ニッケル金属の単体あるいはこれらの合金のめ
っきを施すことが広く実施されているが、これらめっき
厚も極力薄くしているのが現状である。そのため、薄い
めっき層は上述のような強い挿抜力を必要とするような
コネクタ端子などにおいては複数回の挿抜でめっきが破
損する可能性がある。
【0003】又、コネクタや電子部品において回路基板
や他の部品にはんだ付けを行うための複数の端子を備え
る場合、それら端子は、帯状の素材にはんだめっきを施
し、その素材を必要な端子の幅にスリッターで切断した
後、プレス機によって所望の形状にプレスするようにし
ている。しかしながら、はんだめっきは柔らかいため、
プレス加工時に切断屑、すなわちプレスかすが生じる。
このようなプレスかすは、プレス機を詰まらせて、プレ
ス機を停止させたり、プレスかすが接続端子に付着して
接続端子自体の機能を損なうことがある。更にこれら接
続端子を部品本体にインサート成型して製品を完成させ
る際にも、プレスかすのため機械が止まることがあり、
プレスかすが製品に付着して、接触不良などを起こす可
能性もある。
【0004】そのため、コネクタのピン端子やリード端
子に潤滑剤の皮膜を浸漬処理、スプレー処理あるいは電
解処理などにより形成し、低い挿抜力で脱着が行えるよ
うにするとともに、プレス成型時も円滑にプレスが行
え、かつプレスかすの発生を抑えるようにしている。こ
のような電子部品に用いられる従来の潤滑剤は、脂肪酸
を塩素系(トリクレン、塩化メチレン)、アルコール系
あるいはフロン系などの有機溶剤で溶解させたものが使
用されている。
【0005】しかしながら、上述のような有機系の溶剤
は環境を破壊し、人体に影響を及ぼす物質であり、この
ような有機溶剤を使用しない潤滑剤が求められている。
溶剤を使用しない潤滑剤としては、例えば界面活性剤で
脂肪酸を乳化することにより水溶性にした潤滑剤が従来
から提供されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の脂肪酸を用いた
水溶性潤滑剤は、摩擦係数が低いため金属表面の潤滑と
言う目的だけを見れば十分にその機能を発揮するが、脂
肪酸は地中に投棄した場合、長期にわたり分解せずに残
存して、環境に悪影響を及ぼすおそれがある。又、同じ
摩擦係数を持たせようとすると、従来の脂肪酸を用いた
水溶性潤滑剤は、一般に溶剤系潤滑剤に較べて塗布皮膜
が厚くなり、上述したような電子部品の接続端子などに
使用した場合、十分な電気接触抵抗が得られない可能性
があると考えられていた。更に、水溶性潤滑剤は水を使
用しているため塗装線が多く、乾燥が不十分な場合錆び
易く、電子部品に使用すると、短期間で腐食が発生する
可能性があると考えられていた。
【0007】そこで本発明の第1の目的は、環境破壊問
題を解決し、摩擦係数に優れ、接触抵抗値が低い水溶性
金属表面処理剤を提供することである。
【0008】本発明の第2の目的は、耐摩耗性が優れ、
挿抜力を増加させることなく、又微摺動摩耗にも強いコ
ネクタ、スイッチあるいはチップ部品などの電子部品を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るため、第1の発明においては、0.02から20重量
%のパラフィン系の炭化水素系物質と、この炭化水素系
物質を乳化するための0.001から5.0重量%の界
面活性剤と、残りを水で水溶性金属表面潤滑剤を構成す
ることを特徴としている。この場合、炭化水素系物質と
界面活性剤の比率は、界面活性剤の比率をできるだけ小
さくして、炭化水素系物質の量を大きくすればより潤滑
性を高めることができる。しかしながら、界面活性剤の
比率を極端に少なくすると炭化水素系物質の乳化ができ
なくなるので、炭化水素系物質と界面活性剤の比率は1
〜20重量%以内であることが好ましい。
【0010】前記第1の目的を達成するため、第2の発
明においては、第1の発明に0.1から20重量%の脂
肪族アミンを更に設け、残りを水で水溶性金属表面潤滑
剤を構成することを特徴としている。
【0011】前記第1の目的を達成するため、第3の発
明においては、第1または第2の発明において、炭化水
素系物質をパラフィン、流動パラフィン、ワセリンある
いはスクワランから選択することを特徴としている。こ
れらの炭化水素系物質は、水又は土中で微生物により短
期間で炭酸ガスと水に分解されるため、環境根への影響
を最低限に抑えることができる。
【0012】前記第1の目的を達成するため、第4の発
明においては、第1から第3の発明において、界面活性
剤を、アニオン、カチオン、両性あるいはノニオンのい
ずれか1つあるいは複数の界面活性剤で構成することを
特徴としている。なお、これら界面活性剤のHLBの和
を8〜16にするのが好ましい。
【0013】前記第1の目的を達成するため、第5の発
明においては、第1から第4の発明における水をイオン
交換水あるいは蒸留水で構成することを特徴としてい
る。
【0014】前記第2の目的を達成するため、第6の発
明においては、コネクタ、スイッチあるいはチップ部品
など電子部品に、0.02から20重量%のパラフィン
系の炭化水素系物質と、この炭化水素系物質を乳化する
ための0.001から2.5重量%の界面活性剤と、残
りが水から成る水溶性金属表面潤滑剤を施している。水
溶性のため塗布皮膜は溶剤系の潤滑剤より厚くなるが、
皮膜自体は柔らかく、挿入などの加圧によって皮膜が凹
み、接触抵抗が悪くなるようなことはない。また、融点
も低いのではんだ付けを行うときには、はんだの熱で溶
けるので、はんだ付け性を悪くさせることもない。
【0015】前記第2の目的を達成するため、第7の発
明においては、第6の発明の水溶性金属表面潤滑剤を、
塗布、浸漬および電解のいずれかの処理により電子部品
に皮膜状に設けた後、乾燥処理されていることを特徴と
している。乾燥処理により潤滑剤中の水分を蒸発させる
ことになり、錆びによる腐食は防止することができ、乾
燥によっても皮膜は弾性が保持されるので、接触抵抗が
悪くなるようなこともなく、微摺動摩耗にも強い電子部
品が提供できる。
【0016】アニオンタイプの界面活性剤としては、ス
テアリン酸、ステアリン酸ナトリュウム、ステアリン酸
カリウム、ステアリン酸アンモニュウム、ステアリルメ
ルカプタン、ステアリルサルフェートナトリュウム塩、
ステアリルサルフェートカリュウム塩、ステアリルエー
テルサルフェートナトリュウム塩、ステアリルエーテル
サルフェートカリュウム塩、ステアリルエーテルサルフ
ェートアンモニュウム塩、ジオクチルスルフォコハク
酸、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリュウム塩、ジオ
クチルスルフォコハク酸カリュウム塩、ジオクチルスル
フォコハク酸アンモニュウム塩、オレイン酸、オレイン
酸ナトリュウム、オレイン酸カリュウム、オレイン酸ア
ンモニュウム、オレイルサルフェートナトリュウム塩、
オレイルサルフェートカリュウム塩、オレイルサルフェ
ートアンモニュウム塩、オレイルエーテルサルフェート
ナトリュウム塩、ステアリルエーテルサルフェートカリ
ュウム塩、ステアリルエーテルサルフェートアンモニュ
ウム塩、パルミチン酸、パルミチン酸ナトリュウム、パ
ルミチン酸カリュウム、パルミチン酸アンモニュウム、
セチルメルカプタン、パルミチルサルフェートナトリュ
ウム塩、パルミチルサーフェートカリュウム塩、パルミ
チルサルフェートアンモニュウム塩、ジパルミチルスル
フォコハク酸、ジパルミチルスルフォコハク酸ナトリュ
ウム塩、ジパルミチンスルフォコハク酸カリュウム塩、
ジパルミチスルフォコハク酸アンモニュウム塩、ラウリ
ン酸、ラウリン酸ナトリュウム、ラウリン酸カリュウ
ム、ラウリン酸アンモニュウム、ラウリルメルカプタ
ン、ラウリルサルフェートナトリュウム塩、ラウリルジ
アラネートナトリウム塩、ラウリルサルフェートカリュ
ウム塩、ラウリルサルフェートアンモニュウム塩、ラウ
リルエーテルサルフェートナトリュウム塩、ラウリルエ
ーテルサルフェートカリュウム塩、ラウリルエーテルサ
ルフェートアンモニュウム塩、ジラウリルスルフォコハ
ク酸、ジラウリルスルフォコハク酸ナトリュウム塩、ジ
ラウリルスルフォコハク酸カリュウム塩、ジオクチルス
ルフォコハク酸アンモニュウム塩、オレイルザルコシ
ン、ザウロイルザルコシネートなどを挙げることができ
るが、中でもオレイン酸を用いることが好ましい。
【0017】又、カチオンタイプの界面活性剤として
は、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルアミン酢
酸塩、オキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチ
レンドデシルアミン、ポリオキシエチレンオクタデシル
アミンなどを挙げることができるが、その中でもオクタ
デシルアミン酢酸塩を用いることが好ましい。なお、カ
チオン界面活性剤には、塩素の付加された物質がある
が、電子部品に使用する潤滑剤に塩素が付加されたカチ
オン界面活性剤を使用すると、塩素が部品に対して悪影
響を及ぼすことがあるため、塩素が付加されたカチオン
界面活性剤は使用しない方がよい。
【0018】両性タイプの界面活性剤としては、ラウリ
ルモノアラネートナトリュウム塩、ラウリルモノアラネ
ートカリュウム塩、ラウリルモノアラネートアンモユウ
ム塩、ラウリルジアラネートナトリュウム塩、ラウリル
ジアラネートカリュウム塩、ラウリルジアラネートアン
モニュウム塩、ラウリルスルアミド酢酸ナトリュウム
塩、ラウリルスルアミドカリュウム塩、ラウリルスルア
ミドアンモニュウム塩などを挙げることができるが、中
でもるラウリルジアラネートナトリュウム塩を用いるこ
とが好ましい。
【0019】ノニオンタイプの界面活性剤としては、ポ
リオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチ
レンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエー
テル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキ
シエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンモ
ノラウルート、ポリオキシエチレンモノステアレート、
ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラ
ウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモ
ノパルミテート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタ
ンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポイオキシ
エチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチ
レンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン
ソルビタンモノオレエートなどが挙げることができる
が、その中でもポリオキシエチレンステアリルエーテ
ル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシ
エチレンソルビタンモノステアレートを用いることが好
ましい。
【0020】脂肪酸アミンとしては、ステアリルアミ
ン、オレイルアミン、パルミチルアミン、ドデシルアミ
ン、オレイルプロピレンジアミンなどが挙げられるが、
中でもステアリルアミンを用いることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の水溶性金属表面潤
滑剤を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限
定されるものではない。
【0022】実施例1 実施例1においては、炭化水素系物質としてワセリンを
用い、界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリル
エーテルのノニオン界面活性剤を用い、脂肪族アミンと
してはステアリルアミンを用いている。
【0023】ポリオキシエチレンステアリルエーテルの
構造式は、 C1837(CHCHO)nH であり、ステアリルアミンの構造式は、 C1837NH である。
【0024】そしてこれらをイオン交換によって脱イオ
ン化した水で乳化している。これらワセリン、ポリオキ
シエチレンステアリルエーテルそしてステアリルアミン
の割合は以下の通りであり、残りは水となる。 ワセリン 22.0重量% ポリオキシエチレンステアリルエーテル 1.9重量% ステアリルアミン 0.9重量%
【0025】実施例2 実施例2においては、上記実施例1と同様に炭化水素系
物質をワセリンで構成し、界面活性剤をポリオキシエチ
レンオレインエーテルとポリオキシエチレンソルビタン
モノステアレートの2種類のノニオン界面活性剤と、脂
肪酸アミンであるオレイルアミンの3つを混合したもの
を使用している。ポリオキシエチレンオレイルエーテル
の構造式は、 C1735O(CHCHO)nH であり、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレー
トの構造式は、 であり、オレイルアミンの構造式は C1835NH である。なお、上記ポリオキシエチレンソルビタンモノ
ステアレートの構造式におけるRはステアリルである。
【0026】そしてこれらをイオン交換によって脱イオ
ン化した水で乳化している。これらワセリン、ノニオン
界面活性剤そしてアニオン界面活性剤の割合は以下の通
りであり、残りは水となる。 ワセリン 20.0 重量% ポリオキシエチレンオレイルエーテル 1.5 重量% ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 0.2 重量% オレイルアミン 0.8 重量%
【0027】実施例3 実施例3においては、炭化水素系物質をパラフィンで構
成し、界面活性剤をノニオン、カチオンそして両性タイ
プの界面活性剤を混合したものを使用しているが、ノニ
オン界面活性剤には上記実施例1のポリオキシエチレン
ステアリルエーテルを使用し、カチオン界面活性剤には
オクタデシルアミン酢酸塩を使用し、両性タイプの界面
活性剤としてラウイルジアラネートナトリウム塩を用い
ている。オクタデシルアミン酢酸塩の構造式は、 C1737NHCHCOOH であり、ラウイルジアラネートナトリウム塩の構造式
は、 である。なお、ラウイルジアラネートナトリウム塩の構
成式におけるRは炭素数8〜14のアルキル基、mとn
は1又は2の整数、Mはアルカリ金属である。
【0028】そしてこれらをイオン交換によって脱イオ
ン化した水で乳化している。これらパラフィンおよびノ
ニオン、カチオンそしてアニオン界面活性剤の割合は以
下の通りであり、残りは水となる。 パラフィン 25.0 重量% ポリオキシエチレンステアリルエーテル 1.5 重量% オクタデジルアミン酢酸塩 1.0 重量% ラウリルジアネートナトリウム塩 0.5 重量%
【0029】上述した各水溶性金属表面潤滑剤をコネク
タの端子などに付着させる方法としては、これら潤滑剤
液中に浸漬して付着させる浸漬処理や、スプレーで吹き
付けて付着させるスプレー処理あるいは電解により潤滑
剤の薄膜を形成する電解処理など従来から知られている
方法により行えばよい。なお、電解処理の場合、陰極
を、ステンレススチール板、カーボン板、チタン板、白
金板、チタン−白金板などの導電性材料で電極板を構成
し、処理対象物を陽極として電解処理すると、電解処理
時間」を短縮することができるとともに、潤滑剤の表面
を強固にすることができる。又、陽極から潤滑剤を介し
て陰極へと流れる電流密度は、潤滑剤の濃度や液温など
の処理条件により異なるが、一般には、0.1〜100
mA/dm、好ましくは2〜20mA/dmであ
る。一方、処理時間は、通常1〜1000秒、好ましく
は1〜30秒であり、処理温度は通常10から95°
C、更に好ましくは40〜60°Cである。
【0030】次に、上記実施例1ないし3による水溶性
金属表面潤滑剤をコネクタに塗布したときのリード端子
の摩擦係数および接触抵抗の改善について説明する。ま
ず、コネクタのリード端子を、真鍮の素材金属に厚さ
2.5μmのニッケルをめっきし、更にその上に厚さ
0.1μmの金をめっきしたリード端子(以下金めっき
端子と称する)で構成したコネクタと、同じく真鍮の素
材金属に厚さ2.5μmのニッケルをめっきし、更にそ
の上に厚さ1.5μmの銀をめっきしたリード端子(以
下銀めっき端子と称する)で構成したコネクタを用意
し、これらのコネクタに上記実施例1ないし3により作
られた金属表面潤滑剤をそれぞれ10秒間浸漬し、温風
により乾燥させたサンプルを多数用意した。又、比較の
ために、金めっきや銀めっきを施しただけのリード端子
(以下無処理品と称する)で構成したコネクタ、および
金めっき端子や銀めっき端子に従来の溶剤系の潤滑剤を
塗布したコネクタ(以下溶剤タイプと称する)もサンプ
ルとして用意した。
【0031】そして、これらサンプルに対し、腐食試験
の前後での摩擦係数および接触抵抗値の変化を測定し
た。腐食試験は、金めっき端子のサンプルに対しては、
亜硫酸ガステスト(テスト条件は、SO:10pp
m、ガス温度40°C、75%RH、テスト時間:14
4時間)を行った。一方、銀めっき端子のサンプルに対
しては、硫化水素ガステスト(テスト条件は、HS:
3ppm、ガス温度40°C、75%RH,テスト時
間:16時間)を行った。又、摩擦係数の測定は、各サ
ンプルに30gの加重を加えながら、1mmの距離を5
0回往復摺動させている。又、接触抵抗は、各サンプル
に30gの加重を加えかつ1mAの電流を印加しなが
ら、1mmの距離を50回往復摺動させている。
【0032】更に、はんだめっきした端子に本発明の潤
滑剤を施した場合の摩擦係数や接触抵抗値を測定するた
めに、コネクタのリード端子として真鍮の素材金属に
1.5μmのニッケルめっきを施し、その上に2.0μ
mmのはんだめっきを施したサンプルも用意し、上述の
各実施例による金属表面潤滑剤に10秒間浸漬処理した
サンプルと、上述した従来の潤滑剤を塗布したサンプ
ル、およびはんだめっきを施しただけの無処理のサンプ
ルを用意した。各サンプルのはんだめっきは溶融温度2
40°Cで深さが2mmのロジン系フラックスのはんだ
槽に2mm/秒の速度で移動させながら5秒間浸漬する
ことにより形成している。なお、はんだめっきのサンプ
ルについては、腐食試験は行っていない。
【0033】その測定結果を以下の表に示す。
【0034】上記表から明らかなように、各実施例にお
ける摩擦係数は、溶剤タイプと比較するといずれも低く
なっており、溶剤タイプの潤滑剤と遜色がないことが判
る。又、電子業界では、差込端子の場合には潤滑剤を使
用しないもの同士の接触させた場合の摩擦係数より、4
0%程度摩擦係数を軽減させて、低い挿抜力で操作でき
ることが要求されているが、上記各実施例の数値は、そ
れを満足していることがわかる。更に、溶剤タイプの潤
滑剤の場合、腐食試験後は摩擦係数が無処理品の60%
程度まで大きくなっているが、本発明の各実施例では最
大47パーセントに抑えることができた。これによりレ
セプタクルに対する挿抜は軽くなり、コネクタ全体の挿
抜力は小さくてよい。
【0035】又、接触抵抗は潤滑剤を塗布しない場合に
比べると、その数値は高くなるが、溶剤タイプに較べる
と、金めっきの場合腐食試験前で最大1.36、試験後
で最大1.67であり、銀めっきの場合腐食試験前で最
大1.92、試験後で最大1.6であり、しかも数値自
体も数mΩであり、いずれもコネクタにおける電気的な
導通を満足する範囲である。
【0036】更に、はんだめっき端子の場合、摩擦係数
は溶剤タイプと同じか僅かではあるが小さくなってお
り、溶剤タイプと同等かそれ以上であることが判る。更
に、接触抵抗値について見ると、その数値は溶剤タイプ
に較べて最大0.77ポイント高くなった程度であり、
無処理品よりは最低でも0.8ポイント低くなってお
り、十分に使用に耐えることが判った。
【0037】又、上述の実施例1から3および無処理品
のサンプルのうち、はんだめっきした端子については、
はんだぬれ性についてメニスコグラスでゼロクロスタイ
ムを測定してみた。その結果、無処理品のはんだめっき
した端子のゼロクロスタイムが0.36であるのに対
し、実施例1から3のはんだめっきした端子の各ゼロク
ロスタイムでは0.37、0.36そして0.46であ
った。この結果から実施例1および2は潤滑剤を施さな
い場合と同等のはんだぬれ性が測定でき、実施例3でも
0.1ポイント高くなっただけであり、潤滑剤を設けて
もはんだぬれ性を損なうことは無いことが判った。
【0038】この水溶性金属表面潤滑剤を上述したよう
な電子部品に使用する際は、例えば80〜150°Cの
温風を1〜60秒吹き付けるようにして乾燥させる温風
乾燥などにより水分を飛ばすようにすれば、潤滑剤の水
分によって電子部品が錆びるのを防止することができ
る。又、例えばコネクタの接続端子に本発明の潤滑剤を
施した場合、その皮膜の厚みは約400〜700オング
ストロームと、溶剤タイプの潤滑剤における皮膜の厚み
が約100〜300オングストロームであるのに較べて
明らかに厚くなるが、その皮膜は完全に水分を飛ばして
乾燥させても弾性があり、柔らかく、ある程度加圧する
ことで皮膜が凹み、この凹んだ皮膜の厚みは100オン
グストローム以下となり、電気接触抵抗には影響しない
厚みにすることができる。この凹みは、挿抜時のこすれ
や接点切換え時の圧力などによって容易に形成されるこ
とが判った。例えばコネクタの接続端子に本潤滑剤を施
した場合は、その接続端をレセプタクルへ差し込んだ際
には、レセプタクルの金属と当たる部分の潤滑剤の皮膜
は簡単に凹み、電気的な導通を確保することができた。
また、接点部分に本潤滑剤が施された場合は、接点切換
え時の圧力により潤滑剤の皮膜は押圧されて薄くなり、
導電性を低下させることはなかった。
【0039】又,乾燥は、塗布すべき対象物が高温に耐
える場合は更に高温の温風を用いて乾燥させてもよく、
圧力に耐える対象物の場合は減圧によって乾燥させても
よく、塗布された本発明の潤滑剤を構成する物質が分解
したり、気化したりする可能性のある方法以外はどのよ
うな方法でもよい。
【0040】
【発明の効果】これまでの説明から明らかなように、本
発明による金属表面潤滑剤は、0.02から20重量%
のパラフィン系の炭化水素系物質と、この炭化水素系物
質を乳化するための0.001から5.0重量%の界面
活性剤と、残りを水としたので、水溶性又は水乳化性処
理剤とすることができ、炭化水素系物質は微生物により
短期間のうちに簡単に炭素と水素に分解し、環境への影
響を抑えることができる。したがって、環境破壊を生じ
ることがなく、人体にも影響を与えることはない。又、
摩擦係数が低く、接触抵抗値も低く、従来の溶剤を使用
した潤滑剤とほぼ同等な特性を発揮することできる。こ
れにより、プレス加工の際にプレスかすの発生を防止す
ることができ、プレス加工時やプレス加工された部品を
他の部品にインサートするときのプレスかすによるプレ
ス工程の中断などによる生産性の劣化を防ぎ、生産性を
向上させることができ、はんだ付け性を劣化させること
もない。
【0041】又、本発明による上述したような水溶性金
属表面潤滑剤が施されたコネクタ、スイッチあるいはチ
ップ部品などの電子部品は、摩擦係数が従来の溶剤タイ
プの潤滑剤と較べて低くすることができるので、製造時
の微摺動摩擦にも強く、接触抵抗は従来の溶剤タイプに
較べて僅かに高くなる程度であり、電気的な導通を確実
に得ることができる。又、廃棄されても潤滑剤は分解さ
れ、地球環境に影響を与えることはない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 127/02 C10M 127/02 133/06 133/06 H01H 11/04 H01H 11/04 F H01R 13/03 H01R 13/03 Z // C10N 30:00 C10N 30:00 A 40:06 40:06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.02から20重量%のパラフィン系
    の炭化水素系物質と、この炭化水素系物質を乳化するた
    めの0.001から5.0重量%の界面活性剤と、残り
    が水から成ることを特徴とする水溶性金属表面潤滑剤。
  2. 【請求項2】 0.1から20重量%の脂肪族アミンを
    更に有し、残りが水であることを特徴とする請求項1記
    載の水溶性金属表面潤滑剤。
  3. 【請求項3】 前記炭化水素系物質は、パラフィン、流
    動パラフィン、ワセリンあるいはスクワランであること
    を特徴とする請求項1および2のいずれか1項に記載の
    水溶性金属表面潤滑剤。
  4. 【請求項4】 前記界面活性剤は、アニオン、カチオ
    ン、ノニオンあるいは両性のいずれか1つあるいは複数
    の界面活性剤であることを特徴とする請求項1から3の
    いずれか1項に記載の水溶性金属表面潤滑剤。
  5. 【請求項5】 前記水は、イオン交換水あるいは蒸留水
    であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項
    に記載の水溶性金属表面潤滑剤。
  6. 【請求項6】 0.02から20重量%のパラフィン系
    の炭化水素系物質と、この炭化水素系物質を乳化するた
    めの0.001から2.5重量%の界面活性剤と、残り
    が水から成る水溶性金属表面潤滑剤が施されたコネク
    タ、スイッチあるいはチップ部品などの電子部品。
  7. 【請求項7】 前記水溶性金属表面潤滑剤は、塗布、浸
    漬および電解のいずれかの処理により皮膜状に設けた
    後、乾燥処理されていることを特徴とする請求項6記載
    の電子部品。
JP2001042548A 2001-01-15 2001-01-15 水溶性金属表面潤滑剤及び電子部品 Pending JP2002212582A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001042548A JP2002212582A (ja) 2001-01-15 2001-01-15 水溶性金属表面潤滑剤及び電子部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001042548A JP2002212582A (ja) 2001-01-15 2001-01-15 水溶性金属表面潤滑剤及び電子部品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002212582A true JP2002212582A (ja) 2002-07-31
JP2002212582A5 JP2002212582A5 (ja) 2008-04-17

Family

ID=18904825

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001042548A Pending JP2002212582A (ja) 2001-01-15 2001-01-15 水溶性金属表面潤滑剤及び電子部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002212582A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1672095A1 (en) * 2004-12-20 2006-06-21 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho Connector contact material
WO2009005041A1 (ja) * 2007-06-29 2009-01-08 The Furukawa Electric Co., Ltd. 耐フレッティング性コネクタおよびその製造方法
US20110036621A1 (en) * 2007-06-29 2011-02-17 The Furukawa Electric Co., Ltd. Metal material, method for producing the same, and electrical/electronic component using the same

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04159397A (ja) * 1990-10-23 1992-06-02 Yushiro Chem Ind Co Ltd 銅系金属加工用水溶性潤滑剤
JPH0776694A (ja) * 1993-05-19 1995-03-20 Omron Corp 電気機器用潤滑剤とその塗布乾燥装置並びにリレー、スイッチおよびコネクタ

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04159397A (ja) * 1990-10-23 1992-06-02 Yushiro Chem Ind Co Ltd 銅系金属加工用水溶性潤滑剤
JPH0776694A (ja) * 1993-05-19 1995-03-20 Omron Corp 電気機器用潤滑剤とその塗布乾燥装置並びにリレー、スイッチおよびコネクタ

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1672095A1 (en) * 2004-12-20 2006-06-21 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho Connector contact material
US7470465B2 (en) 2004-12-20 2008-12-30 Kobe Steel, Ltd. Connector contact material
WO2009005041A1 (ja) * 2007-06-29 2009-01-08 The Furukawa Electric Co., Ltd. 耐フレッティング性コネクタおよびその製造方法
US20110036621A1 (en) * 2007-06-29 2011-02-17 The Furukawa Electric Co., Ltd. Metal material, method for producing the same, and electrical/electronic component using the same
JP4809920B2 (ja) * 2007-06-29 2011-11-09 古河電気工業株式会社 耐フレッティング性コネクタおよびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2004796C (en) Inhibited composition and method for stripping tin, lead or tin-lead alloy from copper surfaces
CN105779992B (zh) 一种水性自组装金属钝化剂
TW200949016A (en) Etching solution, etching pre-treating solution and etching process for copper or copper alloy
KR101270770B1 (ko) 인쇄회로기판의 도금방법
JP6192181B2 (ja) 電子部品およびその製造方法
JP3519727B1 (ja) コネクタ端子およびそれを有するコネクタ
JP2002212582A (ja) 水溶性金属表面潤滑剤及び電子部品
JP2717063B2 (ja) 金めっき材の封孔処理方法
CN112176371A (zh) 一种铍铜表面镀金的电镀工艺
TW200825213A (en) Gold-silver alloy plating liquid
US5650088A (en) Treating solution for gold-plated material
US4861374A (en) Non-abrasive polish or cleaning composition and process for its preparation
JP2804452B2 (ja) 金めっき材の封孔処理方法
JP2717062B2 (ja) 金めっき材の封孔処理方法
JP2011241428A (ja) 封孔処理剤および封孔処理方法
TW200526817A (en) Sealing agent, sealing method and printed board treated with said sealing agent
JP2804453B2 (ja) 金めっき材の封孔処理液およびそれを用いる封孔処理方法
JP2015067853A (ja) 電子部品およびその製造方法
JPH07173675A (ja) 錫又は錫−鉛合金めっき材の表面処理液及び方法
JP2951462B2 (ja) 金めっき材の封孔処理方法
JPH07173676A (ja) 錫又は錫−鉛合金めっき材の表面処理方法
JP2717064B2 (ja) 金めっき材の封孔処理方法
JP6592140B1 (ja) 表面処理金属材料、表面処理金属材料の製造方法、及び、電子部品
TW202111164A (zh) 複合鍍敷材及其製造方法
JP7128009B2 (ja) Agめっき材およびその製造方法、並びに、接点または端子部品

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20080107

A621 Written request for application examination

Effective date: 20080110

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080228

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20110517

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111018