JP2002212327A - ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよび容器 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよび容器

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JP2002212327A
JP2002212327A JP2001010964A JP2001010964A JP2002212327A JP 2002212327 A JP2002212327 A JP 2002212327A JP 2001010964 A JP2001010964 A JP 2001010964A JP 2001010964 A JP2001010964 A JP 2001010964A JP 2002212327 A JP2002212327 A JP 2002212327A
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sheet
polypropylene resin
resin
melt tension
polypropylene
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JP2001010964A
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Hisaji Tokunaga
久次 徳永
Yuichi Kadoya
雄一 門屋
Eitaro Fukutaka
永太郎 福高
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】発泡押出性に優れ、目ヤニの付着のない外観美
麗なポリプロピレン系樹脂発泡シートであり、且つ熱成
形時に火膨れ等の表面荒れがなく、電子レンジでの使用
に耐える耐熱性を有した発泡容器を提供する。 【構成】溶融張力が20〜35cNである高溶融張力プ
ロピレン系樹脂75〜90重量部と、直鎖状の結晶性ポ
リプロピレン系樹脂10〜25重量部とを含有する樹脂
組成物を原料とすることで、シートの押出加工時の目ヤ
ニ発生等が著しく抑制され、又シートの熱成形時の「火
膨れ」等の表面荒れが少なく、且つ電子レンジ耐熱性等
の特性の優れた成形容器を安定して製造することができ
る。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂のMFR、融解ピ
ーク温度及び半結晶化時間等の特性の、特定のものを用
いる事により、より優れたシート及び成形容器を得るこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリプロピレン系樹
脂発泡シートに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂発泡シートは、軽
量で耐熱性、耐衝撃性等に優れることから、食品容器、
電子部品、工業部品など幅広い分野に利用されている。
特にそのシートを熱成形して得られる発泡容器は、電子
レンジでの使用に耐える耐熱性を有し、耐油性にも優れ
ることから、コンビニエンスストアやスーパー等での弁
当や惣菜等の容器として、広く使われてきている。これ
らの食品容器では、表面の美麗さがその製品の販売にと
って重要となる。
【0003】上記のようなポリプロピレン系樹脂発泡シ
ートの製造は、樹脂中に十分且つ均一に気泡を保持し得
る粘弾性を樹脂が有する発泡適性温度範囲にて行われる
のが一般的である。しかし、ポリプロピレン系樹脂は、
発泡性溶融混練物を押出機から押出す際の温度に僅かな
変化が生じると、溶融混練物の粘度が大きく変化すると
いう性質(発泡適性温度範囲が狭い)を有し、この性質
が、優れた性状のポリプロピレン系樹脂発泡シートを製
造する上での大きな問題となる。即ち、押出温度の僅か
な上昇によって溶融混練物の粘度が著しく低下し、この
結果、溶融混練物中の発泡剤の逃散が激しくなり発泡体
が連続気泡構造となったり発泡倍率低下をきたし易くな
る。また逆に、押出温度の僅かな低下によって溶融混練
物の粘度が急激に高くなり、十分且つ均一に発泡しなく
なり、発泡シートの表面に凹凸が発生し易い等の問題が
あった。
【0004】また、発泡押出したシートにおいて、例え
ば、押出温度の緻密な調整等により上記課題を解決し、
表面が平滑であり独立気泡の発泡体を得ることができて
も、そのシートを熱成形する際に、表面層の気泡が加熱
により肥大化、連通化して表面が隆起する現象(以下、
「火膨れ」という)が発生し、更に加熱を進めていくと
気泡が破れて表面に凹凸が発生するため、外観美麗な容
器を得ることが困難であった。
【0005】上記現象の原因は、本質的にポリプロピレ
ン系樹脂が、シート押出時及びシート熱成形時の溶融張
力が低いことによるところが大きい。この点に着眼した
検討はこれまで多くの試みがなされており、溶融時の張
力が高い樹脂の開発が広く進められている。
【0006】高溶融張力を持ったポリプロピレン系重合
体の製造方法としては、放射線の照射(高エネルギー
線)、パーオキサイド架橋などにより重合後に部分的に
架橋を施し、長鎖分岐を導入することで溶融張力を高め
る方法が挙げられる。しかし、この方法により高い溶融
張力を得るために、多量の橋掛け構造を導入すると、ゲ
ル成分が多くなり発泡押出性、及び熱成形性が悪化して
いた。現在知られている架橋ポリプロピレン発泡シート
は、無架橋の発泡性押出シートを得た後に架橋し、その
後、発泡させる方法で製造されているが、発泡シートの
製造に煩雑な製造工程が必要となり、また、該方法によ
り得られるシートは再生利用が困難であるという問題を
有しているためあまり実用的ではない。
【0007】更に、発泡押出性、熱成形性に優れ、充分
に高い溶融張力を汎用の製造工程にて得る方法として
は、例えば、特公平6−55868号公報及び、特開平
8−92438号公報に、ポリプロピレン系樹脂に溶融
張力の高い高密度ポリエチレンを混合する方法が記載さ
れている。これらの方法では、高分子量、若しくは特殊
な触媒によって高溶融張力化されたポリエチレン樹脂を
ポリプロピレン樹脂と混合することによって上記課題を
解決する樹脂組成物を得ることが示されている。しかし
ながらこれらの方法では、弾性率、強度、耐熱性の劣る
ポリエチレン樹脂を混合することにより、ポリプロピレ
ン本来の特性が損なわれるためにあまり好ましくない。
【0008】一方で、ポリプロピレン系樹脂の溶融張力
を改善する方法として、例えば、特開平11−8026
2では、微架橋されているが実質的にゲル分率が0%で
あり、且つ230℃における溶融張力が15gf(1
4.7cN)以上の高い数値を示し、発泡押出性、熱成
形性が良好であり、しかも発泡シートの再生利用が可能
な発泡押出用ポリプロピレン系樹脂が記載されている。
この樹脂を用いることで、熱成形時の、加熱時間の多少
の変動によっても安定した成形のできるシートが得られ
ることが示されている。しかし、このように高い溶融張
力を有する樹脂を用いて発泡押出すると、押出機先端に
設けられた樹脂を押出機内から押出するための金口に、
一般に目ヤニといわれる樹脂溜まりが発生しやすくな
り、長時間のシートの製造においては、熱履歴を受けた
その樹脂が発泡シートに付着し、外観美麗な発泡シート
を得ることが非常に困難であった。
【0009】また、特開平7−138422では結晶性
ポリプロピレンと特定の高溶融張力ポリプロピレンから
なり、剛性及び成形性に優れ、また再生利用が可能であ
るポリプロピレン組成物についての記載がなされてい
る。しかし、得られたポリプロピレン組成物を発泡押出
に使用した例は記載されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術における問題点を解消し、発泡押出性に優れ、目
ヤニの付着のない外観美麗なポリプロピレン系樹脂発泡
シートであり、且つ熱成形時に「火膨れ」等の表面荒れ
がなく、耐熱性等、樹脂本来の持つ特性を損なうことの
ない発泡シート及びその成形容器を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために鋭意検討し、本発明に至った。即ち、
200℃における溶融張力が20〜35cNである高溶
融張力ポリプロピレン系樹脂(A)75〜90重量部
と、直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)10〜
25重量部とを含有する樹脂組成物からなるポリプロピ
レン系樹脂発泡シート及びそのシートを熱成形してなる
発泡容器である。又高溶融張力ポリプロピレン系樹脂
(A)と直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)の
230℃におけるMFRが、共に2.0〜4.0g/1
0分であることが好ましい。一方で、高溶融張力ポリプ
ロピレン系樹脂(A)を融解ピーク温度が150〜16
0℃であり、その融解ピークは単一であることが好まし
く、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)の120℃
における半結晶化時間は0.2〜0.4分であることが
好ましい。更に、シートの密度が250kgm-3を超
え、850kgm-3以下であることが好ましい。尚、前
記の各特性値の評価方法及び評価条件については後述す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について説明
する。
【0013】本発明における高溶融張力ポリプロピレン
系樹脂(A)とは、200℃における溶融張力が20〜
35cNのプロピレン単独重合体またはプロピレンを主
な成分として重合してなる共重合体であり、これらを単
独であるいは混合して使用することができる。その製造
方法は特に限定されるものではないが、高溶融張力の樹
脂を得る方法として、例えば、通常のポリプロピレン系
樹脂を、攪拌機を備えた反応器中で攪拌しながらアルゴ
ン等の不活性ガスで反応容器内を置換し、次いで過酸化
物を樹脂1kg当たり5〜50ミリモル添加し、攪拌を
続けながら120℃程度まで、好ましくは70〜105
℃程度に加熱して30〜120分間程度反応させ、しか
る後メチルメルカプタンなどの反応停止剤を反応容器に
導入するか、若しくは反応性生物を130〜150℃程
度で20〜40分間加熱する方法により、反応を停止す
ることで得られる。このときに用いる過酸化物は低温分
解型であり、その例としては、ジ(s−ブチル)ペルオ
キシジカーボネート、ビス(2−エトキシ)ペルオキシ
ジカーボネート、シシクロヘキシペルオキシジカーボネ
ート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジ
イソプロピルペルオキシジカーボネート等が挙げられ
る。
【0014】本発明における直鎖状の結晶性ポリプロピ
レン系樹脂(B)とは、プロピレン単独の直鎖状重合体
またはプロピレンを主な成分とする直鎖状共重合体であ
り、一般に市販されているこれらの樹脂を単独であるい
は混合して使用することができる。プロピレンを主成分
とする共重合体としては、例えば、プロピレン比率が7
0重量%以上とするランダム若しくはブロック共重合体
であるプロピレン−αオレフィン共重合体などがあり、
αオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテ
ン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘ
キセン、1−へプテン、1−オクテン等が挙げられる。
【0015】本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡
シートは、前記の200℃における溶融張力が20〜3
5cNである高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)7
5〜90重量部と、直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹
脂(B)10〜25重量部とを含有する樹脂組成物から
なる。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)の溶融張
力が20cNより小さいと、熱成形時にシート表面の火
膨れの発生を抑制できず、成形後の容器外観が低下する
等の問題が生じる。また、35cNより大きいと過度の
張力により押出の際に安定した製膜が困難となり好まし
くない。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)の配合
比率は75〜90重量部であることが好ましく、75重
量部より小さいと、樹脂組成物の溶融張力が不十分とな
り、得られた発泡シートを熱成形する際にシート表面に
火膨れが発生し、容器の外観が低下する。また、90重
量部を超えると発泡シートを押出す際に、押出機先端に
設けられた樹脂を押出機内から押出するための金口に、
目ヤニが発生しやすくなり、外観美麗な発泡シートを得
ることは非常に困難となる。即ち本発明は、高溶融張力
ポリプロピレン系樹脂(A)に、適量の直鎖状の結晶性
ポリプロピレン系樹脂を添加することにより、シートの
熱成形時の火膨れの発生を防止する効果や、熱成形によ
り得られる容器の優れた強度及び耐熱性を維持して、且
つシート押出時の目ヤニの発生を抑制した外観美麗な発
泡シートが得られることを見出したものである。
【0016】本発明に記載の溶融張力とは、(株)東洋
精機製作所製キャピログラフを用いて、装置内にてポリ
プロピレン系樹脂を200℃に加熱したバレル内で樹脂
を5分間保持した後、溶融状態の樹脂を口径2.095
mm、長さ8mmのキャピラリーから15mm/分の速
度で23℃の大気中へ押し出してストランドとし、この
ストランドを2m/分の速度で引き取る際の糸状樹脂の
張力をいう。
【0017】高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)と
直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃
におけるMFRは、共に2.0〜4.0g/10分であ
ることが好ましく、更に好ましくは2.5〜3.5g/
10分である。MFRが2.0g/10分より小さい
と、流動性が低下する影響により、押出性が不安定とな
り、また、4.0g/10分より大きくなると、押出性
は安定するが、粘度が低くなる影響により気泡を均一に
形成させることが困難となり、また気泡の成長を抑制で
きず気泡壁が破れやすくなり、シート表面に凹凸が発生
し、表面外観が低下するため好ましくない。また、高溶
融張力ポリプロピレン系樹脂(A)と直鎖状の結晶性ポ
リプロピレン系樹脂(B)のMFRは、樹脂の混和性を
考慮し、前記の範囲の中で近接した値のものを用いるこ
とが更に好ましい。
【0018】本発明における融解ピーク温度は、示差走
査熱量測定装置により昇温速度10℃/分で室温(30
℃)から200℃まで加熱・溶融させた後、直ちに降温
速度30℃/分で30℃まで降温し、その後もう一度昇
温速度10℃/分で200℃まで昇温させる過程で検出
される融解ピーク温度である。
【0019】又、半結晶化時間とは、示差走査熱量測定
装置により昇温速度10℃/分で室温(30℃)から2
20℃まで加熱し溶融状態とし、この状態で3分間保持
した後、120℃となるまで60℃/分の速度で冷却
し、120℃に保持した時点をゼロとして、この温度に
て検出される結晶化ピークに達するまでの所要時間であ
る。
【0020】本発明における高溶融張力ポリプロピレン
系樹脂(A)の融解ピーク温度は150〜160℃であ
り、且つその融解ピークは単一であることが好ましい。
融解ピーク温度が150℃より小さい値を示すポリプロ
ピレン系樹脂を用いると、得られたシートを成形してな
る容器の耐熱性が低下する等の問題が生じ、また、16
0℃より大きくなると、発泡押出性が低下するために好
ましくない。又、複数の融解ピークを持つものは、発泡
シート押出直後の冷却結晶化の不均一性を生じ易く好ま
しくない。
【0021】また、本発明における高溶融張力ポリプロ
ピレン系樹脂(A)の120℃における半結晶化時間は
0.2〜0.4分が好ましい。0.2分より小さくなる
と、樹脂の結晶化度が高くなる影響により、安定した発
泡押出性を示さず、良好なシートを得ることが困難とな
る。また、結晶化時間が0.4分より大きい樹脂を用い
ると、発泡押出の際に気泡壁が破れやすいため、表面平
滑性が高く、外観良好なシートを得ることが困難とな
る。
【0022】以下、本発明におけるポリプロピレン系樹
脂発泡シートの製造方法について説明する。
【0023】上記の混合物を発泡押出に用いる際の混合
方法としては、特に限定するものではないが、発泡シー
ト成形時に押出機へ攪拌混合した原料を直接投入する方
法、または攪拌混合した原料を単軸または二軸押出機に
て溶融混合してペレット化し、発泡押出時に使用する方
法のいずれであっても良い。また、本発明の発泡シート
を製造する際に、更に発泡シートの物性を阻害しない程
度に適宜の気泡調整剤、架橋剤、樹脂溶融特性調整剤、
発泡助剤、充填剤、安定剤、酸化防止剤、顔料等を混合
してもよい。
【0024】ポリプロピレン系樹脂を、発泡剤を用いて
発泡させるには、熱分解型の化学発泡剤もしくは物理発
泡剤を用いることができ、化学発泡剤としては主に重曹
とクエン酸の混合物により代表されるものであるがこれ
に限定されない。その添加量は請求項1に記載のポリプ
ロピレン系樹脂組成物100重量部に対し該発泡剤を
0.1から5.0重量部、好ましくは1.0から4.0
重量部添加するとよい。0.1重量部以下では発泡体に
要求される断熱性および軽量性等を満たす発泡倍率を維
持するに不十分であり好ましくない。また、5.0重量
部以上では発泡剤の分散性、分解性が不十分となり安定
した発泡体の形成が困難となり好ましくない。化学発泡
剤の添加方法としては特に限定するものではないが、ポ
リプロピレン系樹脂にドライブレンドする方法や、押出
機のホッパー中で定量フィーダーを使用して添加する方
法、或いはポリプロピレン系樹脂やポリエチレン樹脂等
のポリオレフィン系樹脂をベースとするマスターバッチ
を作成し添加する方法のいずれであっても良い。
【0025】一方、物理発泡剤としては炭酸ガス、若し
くはブタンガスが挙げられるが、安全性を考慮して炭酸
ガスを用いることが好ましい。その注入方法は押出機内
において溶融樹脂の圧力を低くするべく設定された位置
より直接ガスを注入する方法、もしくはタンデム押出機
で、1段目押出機の同じく樹脂圧力の低下した位置より
注入する方法のいずれでもよい。また、該発泡シートの
気泡径を適宜の大きさにコントロールするために、必要
に応じて、重曹とクエン酸の混合物またはタルクなどの
発泡核剤を併用してもよい。用いられる発泡核剤の添加
量は、必要に応じてポリプロピレン系樹脂組成物100
重量部に対して1〜0.1重量部の範囲で調整すること
が好ましい。
【0026】シートを製造する際に用いる押出機として
は、単軸押出機、多軸押出機、タンデム押出機が挙げら
れ、原料を投入するにはこれら押出機上のホッパーより
原料を投入することができる。製造する際は、本発明の
ポリプロピレン系樹脂を押出機内にて溶融軟化し、高温
高圧下で発泡剤と混練して形成した発泡性組成物を押出
機先端に設けられた直線状の金口を有したダイス(T−
ダイス)を通して押出機内よりも低圧下に押出し、次い
で内部に冷却媒体を流通させた金属製の冷却ロールに接
触させ冷却する方法、若しくは環状の押出機金口より押
出して円筒に発泡させ、この円筒発泡体を円筒環状の冷
却装置に接触させ冷却し、押出方向に沿ってある一定の
ラインにて切り開いてシート状物とする方法のいずれで
もよい。
【0027】このように発泡押出して得られたシートの
密度は250kgm-3を超え、850kgm-3以下であ
ることが好ましい。シート密度が250kgm-3より小
さいと、断熱性は向上するが強度が低下し、また成形性
が低下するため好ましくない。また、850kgm-3
超えると所望の断熱性、軽量性が得られず好ましくな
い。
【0028】本発明に記載の発泡押出シートの熱成形と
しては、一般的な真空成形、圧空成形やこれらの応用と
して、シートの片面をプラグに接触させて成形を行うプ
ラグアシスト法、また、シートの両面に一対をなす雌雄
型を接触させて成形を行う、いわゆるマッチモールド成
形と称される方法等が挙げられるが、これに限定される
ものではない。また成形前にシートを加熱軟化させる方
法として非接触加熱である赤外線ヒーター等による輻射
加熱等、公知のシート加熱方法を適応することができ
る。
【0029】
【実施例】以下に本発明について実施例を挙げてさらに
詳しく説明する。
【0030】溶融張力の測定は、(株)東洋精機製作所
製キャピログラフを用いて、装置内にてポリプロピレン
系樹脂を200℃に加熱したバレル内で樹脂を5分間保
持した後、溶融状態の樹脂を口径2.095mm、長さ
8mmのキャピラリーから15mm/分の速度で23℃
の大気中へ押し出してストランドとし、このストランド
を2m/分の速度で引き取る際の糸状樹脂の張力を測定
した。
【0031】熱分析データの測定は下記のように行っ
た。融解ピーク温度は、ポリプロピレン系樹脂を窒素ガ
ス雰囲気中、示差走査熱量測定装置(セイコー電子工業
(株)製、DSC200)により昇温速度10℃/分で
室温(30℃)から200℃まで加熱・溶融させた後、
直ちに降温速度30℃/分で30℃まで降温し、その後
もう一度昇温速度10℃/分で200℃まで昇温させる
過程で検出される融解ピーク温度を測定した。
【0032】半結晶化時間は、ポリプロピレン系樹脂を
窒素ガス雰囲気中、示差走査熱量測定装置(セイコー電
子工業(株)製、DSC200)により昇温速度10℃
/分で室温(30℃)から220℃まで加熱し溶融状態
とし、この状態で3分間保持した後、120℃となるま
で60℃/分の速度で冷却した。120℃に保持した時
点をゼロとして、この温度にて検出される結晶化ピーク
に達するまでの所要時間を測定し、半結晶化時間とし
た。
【0033】(実施例1〜2、比較例1〜2)200℃
における溶融張力が30cNであり、表1に示した熱特
性を有するポリプロピレン系樹脂(Montell−
JPO社製、PF−814:ホモポリプロピレン、MF
R=3.0)と直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂
(Montell−JPO社製、PL504A:ホモポ
リプロピレン、MFR=3.3)と化学発泡剤(クラリ
アント社製、CF40E)とを表2の比率で攪拌混合
し、スクリュー径90mmの単軸押出機(ノンベント)
を用いてシリンダー温度230#Cにて溶融軟化し、19
0℃に設定した環状の押出機金口より押出した後に円筒
環状の冷却装置に接触させ冷却し、一定のラインにて切
り開きシート状物とした。
【0034】
【表1】
【0035】得られた発泡シートを上下から遠赤外線セ
ラミックヒーターにて加熱し、サーモラベル(朝日物産
(株)社製)をシートの上側の表面に貼りつけて測定し
たシートの表面温度が165℃となった時点で、形状が
縦190mm、横160mm、深さ30mmである片面
真空タイプの成形型を用いて真空成形を行った。得られ
た容器の外観、耐熱性の評価を行った。
【0036】(実施例3)実施例1に記載の樹脂組成物
に、発泡核剤として化学発泡剤(クラリアント社製、C
F40E)を1.0重量部加えたものをスクリュー径9
0mmの単軸押出機(ノンベント)を用いて加熱溶融
し、樹脂圧力を低くするべく設定された位置より物理発
泡剤として炭酸ガスを2.5重量部注入した後に、環状
の押出機金口より押出された溶融樹脂を円筒環状の冷却
装置により冷却して得られた円筒環状シートの一部を切
り開いてシート状物とした。得られた発泡シートを実施
例1と同一な成形方法、成形型にて真空成形を行い、得
られた容器の外観、耐熱性の評価を行った。
【0037】(比較例3、4)200℃における溶融張
力が4.3cNであり、表1に示した熱特性を有するポ
リプロピレン系樹脂(チッソ社製、FH3400:ホ
モポリプロピレン、MFR=4.0)と直鎖状の結晶性
ポリプロピレン系樹脂(Montell−JPO社製、
PL504A:ホモポリプロピレン、MFR=3.3)
と化学発泡剤(クラリアント社製、CF40E)とを表
2の比率で攪拌混合し、実施例1に記載の製造方法によ
りシート状物を得た。得られた発泡シートを実施例1と
同一な成形方法、成形型にて真空成形を行い、得られた
容器の外観、耐熱性の評価を行った。
【0038】(比較例5)200℃における溶融張力が
30cNであり、表1に示した熱特性を有するポリプロ
ピレン系樹脂(Montell−JPO社製、PF−
814:ホモポリプロピレン、MFR=3.0)と直鎖
状の結晶性ポリプロピレン系樹脂(Montell−J
PO社製、PL504A:ホモポリプロピレン、MFR
=3.3)、高密度ポリエチレン(丸善ポリマー社製、
HDPE5802:MFR=0.3)と化学発泡剤(ク
ラリアント社製、CF40E)とを表2の比率で攪拌混
合し、スクリュー径90mmの単軸押出機(ノンベン
ト)を用いてシリンダー温度230#Cにて溶融軟化し、
190℃に設定した環状の押出機金口より押出した後に
円筒環状の冷却装置に接触させ冷却し、一定のラインに
て切り開きシート状物とした。得られた発泡シートを実
施例1と同一な成形方法、成形型にて真空成形を行い、
得られた容器の外観、耐熱性の評価を行った。
【0039】実施例および比較例における各評価は下記
のように実施した。 (シート密度)ミラージュ貿易社製電子比重計(MD−
200S)にて測定した。 (シート外観)シートの外観は下記に従って評価した。 表面平滑性が高く、目ヤニの発生が見られない :○ 目ヤニの発生が見られ、外観が悪い :× (容器耐熱温度)所定の温度に設定した空気循環式オー
ブン(ヤマト科学(株)社製)内に容器を10分間保持
し、取り出し直後の容器の変形を評価した。容器の変形
の起きない最高の温度を容器耐熱温度とした。 (容器外観)容器の外観は下記に従って評価した。 表面平滑性が良く、外観に優れる :○ 火膨れ発生の影響により表面凹凸が発生し、外観が悪い :×
【0040】上記測定により得られた測定結果を表2に
示す。
【0041】実施例および比較例のシートの成形を行っ
たところ、実施例のシートでは外観が美麗であり、且つ
熱成形後に表面状態、性能の良好な容器が得られたのに
対し、比較例のシートでは外観美麗で、電子レンジにて
調理するに充分な耐熱性を有した容器は得られなかっ
た。
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】特定の高溶融張力を有するポリプロピレ
ン系樹脂に、直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂を特
定比率で添加することにより、シートの熱成形時の火膨
れの発生を防止する効果や、熱成形により得られる容器
の優れた耐熱性等を維持して、且つシート押出時の目ヤ
ニの発生を抑制した外観美麗な発泡シートが得られる。
フロントページの続き Fターム(参考) 3E033 AA20 BA16 CA03 GA03 4F074 AA24 AB03 AB05 BA01 BA31 CA22 DA02 DA34 4J002 BB121 BB122 BB141 BB142 BB151 BB152 BP022 GG01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】200℃における溶融張力が20〜35c
    Nである高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)75〜
    90重量部と直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂
    (B)10〜25重量部とを含有する樹脂組成物からな
    るポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  2. 【請求項2】高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)と
    直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃
    におけるMFRが、共に2.0〜4.0g/10分であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系
    樹脂発泡シート。
  3. 【請求項3】高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)の
    融解ピーク温度が150〜160℃であり、その融解ピ
    ークが単一であることを特徴とする請求項1又は請求項
    2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  4. 【請求項4】高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)の
    120℃における半結晶化時間が0.2〜0.4分であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載
    のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  5. 【請求項5】シートの密度が250kgm-3を超え、8
    50kgm-3以下の請求項1〜4のいずれか1項に記載
    のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載のシー
    トを成形してなる熱可塑性樹脂発泡容器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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