JP2002211233A - 電気自動車用空調装置 - Google Patents

電気自動車用空調装置

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JP2002211233A
JP2002211233A JP2001012685A JP2001012685A JP2002211233A JP 2002211233 A JP2002211233 A JP 2002211233A JP 2001012685 A JP2001012685 A JP 2001012685A JP 2001012685 A JP2001012685 A JP 2001012685A JP 2002211233 A JP2002211233 A JP 2002211233A
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evaporator
compressor
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Yutaka Yamashita
豊 山下
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Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エバポレターの過剰な温度低下による冷媒の
循環経路の凍結やコンプレッサ用電動機の過剰な電力消
費を未然に防止することのできる電気自動車用空調装置
を提供すること。 【解決手段】 エバポレータ7の周辺温度を検出するた
めのエバポレータ温度センサ11を設ける。エバポレー
タ7の温度が比較的高く冷媒となるガスの循環経路の凍
結やコンプレッサ用電動機3の過負荷の心配がない環境
下ではコンプレッサ用電動機3を従来と同様に速度制御
する一方、エバポレータ7の温度が低くなった場合には
コンプレッサ用電動機3の制御を低トルクの定電流制御
に切り替えてコンプレッサ用電動機3の駆動トルクを制
限する。これによりコンプレッサ2の過剰な動作を禁止
してガスの循環経路の凍結やコンプレッサ用電動機3の
過負荷を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車用空調
装置の改良、特に、コンプレッサの再起動時に作用する
過大な負荷の防止と冷媒となるガスの循環経路の凍結防
止に関する。
【0002】
【従来の技術】 電動機で駆動されるコンプレッサによ
ってコンデンサとエバポレータとの間で冷媒となるガス
の圧縮および膨張を循環的に繰り返して冷房を行う電気
自動車用空調装置が既に公知である。
【0003】一般に、電気自動車の場合においては、自
動車の重量や使用可能な電力量の関係からコンプレッサ
の駆動源として利用できる電動機の大きさに限界があ
り、コンプレッサの圧縮能力にも制限がある。
【0004】この結果、一旦コンプレッサを停止して冷
房を中断した後、改めてコンプレッサを再起動しようと
した場合、コンデンサとエバポレータとの間でガスの圧
力に大きな違いがあると、コンプレッサを駆動する電動
機に大きな負荷が作用し、電動機に過大な駆動電流が流
れたり、電動機を駆動するインバータ等の駆動用素子に
損傷が生じる可能性があった。
【0005】また、コンデンサとエバポレータとの間に
大きな圧力差がある状態でコンプレッサを再起動する
と、コンプレッサ内部の軸受にオイル切れ等の不都合が
生じる可能性も高く、コンプレッサ自体の耐久性が損な
われるといった懸念もある。
【0006】そこで、このような問題を回避するため、
従来の電気自動車用空調装置では、コンプレッサの停止
後、コンデンサ内のガスの圧力とエバポレータ内のガス
の圧力とが平衡するまで数分間待ってからコンプレッサ
を再起動するようにしていた。
【0007】しかし、このような解決手段によると、待
ち時間の間にエバポレータ温度が上昇してしまうため、
空調装置の吹き出し温度も高くなり、この間、快適な冷
房が行われなくなるといった問題があった。
【0008】一方、コンプレッサの稼動率を決める電動
機の回転は、冷房の設定温度に比例して速度制御するの
が普通であり、具体的には、冷房の設定温度が比較的低
い場合、要するに、大きな冷房効果を必要とする場合に
は電動機の回転速度を速めに設定し、また、冷房の設定
温度が比較的高い場合、つまり、それほどの冷房効果を
必要としない場合には電動機の回転速度を遅めに設定す
るようになっている。
【0009】この結果、低い設定温度で冷房を行っても
日射や外気温等の影響で室内の温度が下がりにくいよう
な場合、エバポレータ自体が冷えているにも関わらずコ
ンプレッサが高速で連続的に駆動され続け、エバポレタ
ーの温度が過剰なまでに低くなって、冷媒となるガスの
循環経路に凍結を生じるといった可能性があった。ま
た、コンデンサ内の高圧に打ち勝ってコンプレッサを回
転させるため、電動機による消費電力が大きくなり、電
力の無駄に繋がるといった問題もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】コンプレッサの再起動
に要する待機時間を短くするための技術としては、例え
ば、実開平7−27909号に示されるように、コンプ
レッサに対する再起動信号を検出した段階で、コンデン
サを空冷するコンデンサファンを一定時間だけ駆動し、
コンデンサ内に滞留したガスの凝縮を助長してコンプレ
ッサを駆動する電動機の負荷を軽減するものが提案され
ている。
【0011】しかし、このような構成を適用した場合、
コンデンサ内に滞留したガスの圧力の大小に関わりな
く、常に、コンプレッサの起動要求から所定時間だけ遅
れてコンプレッサが再起動されることになるので、例え
ば、コンデンサ内のガスの圧力が十分に低い場合であっ
てもコンプレッサの再起動までに所定時間の待機が要求
され、冷房を迅速に開始することができなくなるといっ
た不都合が生じる場合がある。
【0012】また、コンデンサファンの駆動時間が常に
一定であるため、再起動信号を検出した時のコンデンサ
内のガスの圧力が相当に高いような場合には、ガスの凝
縮が不十分で圧力が高いままの状態でコンプレッサ用電
動機が駆動されて、駆動電流の過剰や駆動用素子の損傷
といった問題が生じる可能性があり、一方、再起動信号
検出時点で既にコンデンサ内のガスの圧力が十分に低下
しているような場合においては、前述したように冷房の
開始に遅れを生じるといった問題がある。
【0013】以上に述べた通り、実開平7−27909
号等で開示される従来の電気自動車用空調装置では、コ
ンプレッサの再起動に関連する対策が不十分であり、ま
た、エバポレターの過剰な温度低下による凍結の発生や
過剰な電力消費の問題に関しては何らの考慮もなされて
いない。
【0014】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、前記従来技術
の欠点を改善し、コンプレッサを駆動する電動機に過大
な駆動電流が流れたり電動機を駆動する駆動用素子に損
傷が生じたりする心配がなく、コンプレッサ停止後の再
起動に必要とされる待機時間も短縮することができ、し
かも、エバポレターの過剰な温度低下による凍結の発生
や過剰な電力消費も未然に防止することのできる電気自
動車用空調装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、コンデンサと
エバポレータとの間で冷媒となるガスを循環させるコン
プレッサと、コンプレッサを作動させる電動機と、電動
機を駆動制御するコントローラとを備えた電気自動車用
空調装置であり、前記目的を達成するため、エバポレー
タの周辺温度を検出するためのエバポレータ温度センサ
を配備すると共に、前記コントローラに、冷房の設定温
度に基いて電動機を速度制御する速度制御手段と、速度
制御手段の作動時に電動機から検出される電動機駆動電
流よりも低い値の電動機駆動電流を目標値として前記電
動機を定電流制御する定電流制御手段と、エバポレータ
温度センサによって検出される検出温度と予めコントロ
ーラに設定された判定値との大小関係を比較し、検出温
度が判定値を上回っている場合には速度制御手段を稼動
させる一方、検出温度が判定値を下回っている場合には
定電流制御手段を稼動させる制御態様選択手段とを併設
したことを特徴とする構成を有する。
【0016】このような構成によれば、エバポレータ温
度センサによって検出される検出温度が予めコントロー
ラに設定された判定値を下回った場合、つまり、冷媒と
なるガスの循環経路に凍結が生じたり、或いは、コンデ
ンサの内部圧力が相当に高くなってコンプレッサを駆動
する電動機に過負荷が生じる可能性があるような場合に
限って、電動機の駆動制御の態様が、自動的に速度制御
から定電流制御に切り替えられる。そして、定電流制御
における目標値は、速度制御時に電動機から検出される
電動機駆動電流よりも低めの値に設定されているので、
エバポレータの過剰な冷却による凍結の発生が未然に防
止される。また、コンデンサ内のガスが過剰に圧縮され
ることがなくなるため、コンプレッサ停止後の再起動も
容易となって電動機の過負荷や駆動用素子の損傷が防止
され、同時に、過剰な負荷のもとで電動機を作動させる
ことによる電力消費の無駄も解消される。しかも、コン
デンサ内のガスの圧力を下げるためにコンプレッサの駆
動を停止させる必要がなく、再起動の前にガスの圧力を
低下させるための待機時間を設ける必要もないので、快
適な冷房を継続して維持することができる。
【0017】また、相対的に値の小さな第一の判定値と
相対的に値の大きな第二の判定値とによって判定値を構
成するようにしてもよい。その場合は、エバポレータ温
度センサによって検出される検出温度が第一の判定値を
下回る際に定電流制御手段を稼動させる一方、エバポレ
ータ温度センサによって検出される検出温度が第二の判
定値を上回る際に速度制御手段を稼動させ、かつ、エバ
ポレータ温度センサによって検出される検出温度が第一
の判定値と第二の判定値との間にある場合には、その時
点で選択されている制御態様を継続して保持するように
前記制御態様選択手段を構成するようにする。
【0018】第一の判定値と第二の判定値との間の温度
帯に制御切替のヒステリシスを設定することによってエ
バポレータ温度の微妙な変動に伴う無意味な制御態様の
切り替えが防止されるので、円滑な電動機制御を行うこ
とができるようになる。
【0019】更に、前記コントローラに外気温検出セン
サを併設すると共に、定電流制御手段には、外気温検出
センサによって検出される外気温が高い場合には相対的
に高めの電動機駆動電流を目標値として設定する一方、
外気温検出センサによって検出される外気温が低い場合
には相対的に低めの電動機駆動電流を目標値として設定
する目標値設定機能を配備することができる。
【0020】このように、外気温の高低に応じて定電流
制御時における駆動電流の目標値を調整することによ
り、外気温が高く強力な冷房が要求されるようなときに
コンプレッサの駆動力が必要以上に制限されることを防
止し、冷房の快適性を維持して、不用意な凍結の発生や
電動機の過負荷を防止することができるようになる。
【0021】また、定電流制御時における駆動電流の目
標値を適切に設定するため、速度制御手段の作動時に電
動機から検出される電動機駆動電流を更新記憶する駆動
電流記憶機能と、この駆動電流記憶機能によって記憶さ
れている電動機駆動電流に0を越え1未満の所定の係数
を乗じて目標値を算出する目標値演算機能を設けるよう
にしてもよい。
【0022】このような構成によれば、凍結や過負荷が
問題となる直前の駆動電流を基準として、その値よりも
一定の割合で小さな値の駆動電流が自動的に駆動電流の
制御目標値として設定されるので、不用意な凍結の発生
や電動機の過負荷を更に確実に防止することができるよ
うになる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を適
用した実施形態の幾つかについて詳細に説明する。図1
は本発明を適用した一実施形態の電気自動車用空調装置
1のハードウェアの構成をブロック化して示した概念図
である。
【0024】この電気自動車用空調装置1は、図1に示
される通り、コンプレッサ2を駆動するコンプレッサ用
電動機3と、コンプレッサ2で圧縮されたガス状の冷媒
を貯溜するコンデンサ4、および、コンデンサ4から送
出される圧縮ガスを中継するレシーバ5と、レシーバ5
から送出された圧縮ガスを拡張させるための膨張弁6、
ならびに、圧縮ガスの体積膨張を利用して周囲の熱を奪
うことによって冷房効果を発揮するエバポレータ7とを
備える。また、コンデンサ4を空冷するコンデンサファ
ン8は、コンデンサ用電動機9によって回転駆動される
ようになっており、エバポレータ7の現在温度はエバポ
レータ温度センサ11によって検出されるようになって
いる。
【0025】そして、これらの要素を駆動制御するコン
トローラ10は、演算処理に必要とされるCPUやRO
MおよびRAM等を備え、これらのCPUやROMおよ
びRAM等を用いて実行されるソフトウェア上の処理に
よって、コンプレッサ用電動機3の速度制御手段、およ
び、定電流制御手段が実現される。
【0026】速度制御手段としてのCPUによって実行
される処理の概略を図2(a)に示す。
【0027】速度制御手段としてのCPUは、電気自動
車のインストゥルメントパネル等に設けられた温度調節
スイッチ15で設定された冷房の設定温度を所定周期毎
に読み込み、その都度、コントローラ10のROM内に
予め登録されている対応付ファイルを参照して、現在の
設定温度に対応する電動機回転速度を目標回転数演算処
理により求め、この電動機回転速度を回転速度の目標値
としてインバータ13に引き渡すことによって、従来と
同様にして、インバータ13によるコンプレッサ用電動
機3の回転速度優先制御を実行させる。
【0028】この際、インバータ13内では、コンプレ
ッサ用電動機3に併設されたコンプレッサ用電動機回転
センサ12からの帰還信号を利用した定回転数制御処理
が実行され、速度ループのフィードバック制御が行われ
るため、コントローラ10から与えられた電動機回転速
度の目標値が確実に達成される。
【0029】回転速度の優先制御は、コンデンサ4の内
圧つまりコンプレッサ用電動機3に作用する負荷や、エ
バポレータ7の温度とは関わりなく、速度ループのフィ
ードバック制御によって強制的に行われるので、例え
ば、低い設定温度で冷房を行っても日射や外気温等の影
響で室内の温度が下がりにくいような場合、エバポレー
タ7自体が冷えているにも関わらずコンプレッサ2が高
速で連続的に駆動され続け、エバポレター7の温度が過
剰なまでに低くなって、冷媒となるガスの循環経路に凍
結を生じる等の可能性をはらんでいる。また、コンデン
サ4内の高圧に打ち勝ってコンプレッサ2を回転させな
ければならなくなる場合もあるため、コンプレッサ用電
動機3による消費電力が大きくなって電力の無駄に繋が
るといったこともある。
【0030】そこで、本実施形態においては、このよう
な問題を解消するため、回転速度優先の制御に加え、更
に、定電流制御手段としてのCPUによって、コンプレ
ッサ用電動機3の定電流制御をパートタイムで実行でき
るようにしている。
【0031】定電流制御手段としてのCPUによって実
行される処理の概略を図2(b)に示す。
【0032】定電流制御手段としてのCPUは、コント
ローラ10のROM内に予め登録されている目標値16
の値を温度調節スイッチ15の設定温度に代えて定電流
制御の目標値として読み込むと共に、コンプレッサ用電
動機3に併設されたコンプレッサ用電動機電流検出子1
4からの帰還信号を利用してコンプレッサ用電動機3に
流れる実電流を検出し、実電流と目標値16との間の電
流偏差を求め、この電流偏差を解消するために必要とさ
れる電動機回転速度の値を目標回転数演算処理によって
算出し、この電動機回転速度を前記と同様にして回転速
度の目標値としてインバータ13に引き渡すことによっ
て、PID制御によるコンプレッサ用電動機3の定電流
制御を実行する。前記と同様、コントローラ10からイ
ンバータ13に引き渡される指令値は電動機の回転速度
指令であるが、この場合の回転速度指令は、定電流制御
を実施するための回転速度指令である。なお、目標値1
6の値は、冷媒となるガスの凍結やコンプレッサ用電動
機3の過負荷を防止する必要上、図2(a)に示される
ような通常の速度制御の際にコンプレッサ用電動機3か
ら検出される駆動電流の最大値に比べ、低めの値を設定
することが望ましい。
【0033】本実施形態においては、前述した速度の優
先制御と定電流制御の何れか一方を状況に応じて選択的
に実行するようになっており、制御態様を選択するため
の制御態様選択手段は、コントローラ10のCPUやR
OMおよびRAM等によって実行されるソフトウェア上
の処理によって実現されている。
【0034】具体的には、エバポレータ7の温度が相対
的に高いとき、つまり、コンプレッサ用電動機3に過負
荷が生じたり冷媒となるガスに凍結が生じる心配のない
状況下では設定温度に基く速度優先制御を実行して快適
な冷房を実現し、また、エバポレータ7の温度が相対的
に低いとき、つまり、コンプレッサ用電動機3に過負荷
が生じたり冷媒となるガスに凍結が生じる心配がある状
況下では、定電流制御を実行してコンプレッサ用電動機
3の駆動トルクを制限することにより過負荷や凍結の問
題を解消する。
【0035】何れの制御態様を選択するかはエバポレー
タ7の現在温度と判定値との大小関係を比較することに
よって判断するが、この際、エバポレータ7の微小な温
度変化によって制御態様の切り替えが頻繁に行われるこ
とを防止するため、制御切替のヒステリシスを設定する
ための第一の判定値αと第二の判定値βが予めコントロ
ーラ10のROM内に準備されている。第一の判定値α
と第二の判定値βとの大小関係はα<βであり、αの値
としては例えば2℃、また、βの値としては例えば4℃
が望ましい。
【0036】図4は第一の判定値αと第二の判定値βと
によって設定される制御切替のヒステリシスの状態を示
した概念図であり、図示の通り、エバポレータ7の温度
が第一の判定値αを下回る際に駆動トルク優先の定電流
制御が選択される一方、エバポレータ7の温度が第二の
判定値βを上回る際に速度優先制御が選択される。エバ
ポレータ7の温度が第一の判定値αと第二の判定値βと
の間にある場合は、その時点で選択されていた制御態様
がそのまま保持され、制御態様の切り替えは行われな
い。
【0037】以下、電気自動車用空調装置1の作動中に
所定周期毎に繰り返し実行される制御態様切替処理の概
略を示す図3のフローチャートを参照して、速度制御手
段,定電流制御手段,制御態様選択手段としてのCPU
の処理動作について説明する。
【0038】制御態様選択手段としてのCPUは、ま
ず、エバポレータ温度センサ11を介してエバポレータ
7の現在温度を読み込み、エバポレータ7の現在温度が
第一の判定値αを下回っているのか(ステップa1)、
第二の判定値βを上回っているのか、或いは、第一の判
定値αと第二の判定値βとの間にあるのかを判別する
(ステップa6)。
【0039】ステップa1の判別結果が真となった場
合、要するに、エバポレータ7の現在温度が第一の判定
値αを下回っていると判別された場合には、制御態様選
択手段としてのCPUは、更に、定電流制御実行フラグ
Fがセットされているか否か、つまり、この段階で既に
定電流制御が実行されているか否かを判別する(ステッ
プa2)。定電流制御実行フラグFがセットされておら
ずステップa2の判別結果が偽となった場合には、この
時点まで速度優先の制御が行われていたことを意味する
ので、制御態様選択手段としてのCPUは、コントロー
ラ10のROMから目標値16の値を読み込み、この値
を電動機駆動電流の目標値として目標値記憶レジスタγ
に設定すると共に(ステップa3)、定電流制御実行フ
ラグFをセットして定電流制御の開始を内部的に記憶し
(ステップa4)、目標値記憶レジスタγの値を電動機
駆動電流の目標値として図2(b)で示した定電流制御
の処理を選択的に実行し、コンプレッサ用電動機3の駆
動トルク優先制御を開始する(ステップa5)。ステッ
プa5の処理を実行するCPUが定電流制御手段であ
る。また、ステップa2の判別結果が真となった場合、
つまり、この時点で既に駆動トルク優先の制御が行われ
ていた場合には、電動機駆動電流の目標値を改めて設定
する必要はないので、制御態様選択手段としてのCPU
は、ステップa3およびステップa4の処理を省略し
て、目標値記憶レジスタγに既に設定されている電動機
駆動電流の目標値に基いて図2(b)で示した定電流制
御の処理を実行し、コンプレッサ用電動機3を駆動トル
ク優先で制御する(ステップa5)。
【0040】一方、ステップa1の判別結果が偽かつス
テップa6の判別結果が真となった場合、つまり、エバ
ポレータ7の現在温度が第二の判定値βを上回っている
と判別された場合には、制御態様選択手段としてのCP
Uは、更に、定電流制御実行フラグFがセットされてい
るか否か、要するに、この段階で定電流制御が実行され
ているか否かを判別する(ステップa7)。定電流制御
実行フラグFがセットされている場合、つまり、ステッ
プa7の判別処理の時点まで駆動トルク優先の制御が行
われていた場合には、制御態様選択手段としてのCPU
は、駆動トルク優先の制御で利用する電動機駆動電流の
目標値を目標値記憶レジスタγから消去すると共に(ス
テップa8)、定電流制御実行フラグFをリセットして
回転速度優先制御の開始を内部的に記憶し(ステップa
9)、温度調節スイッチ15で設定された冷房の設定温
度に基いて図2(a)で示した従来と同様の回転速度優
先制御を開始する(ステップa10)。ステップa10
の処理を実行するCPUが速度制御手段である。また、
ステップa7の判別結果が偽となった場合、つまり、こ
の時点で既に回転速度優先の制御が行われていた場合に
は、制御態様選択手段としてのCPUは、ステップa8
およびステップa9の処理を省略して、既に読み込まれ
ている冷房の設定温度に基いて図2(a)で示した従来
と同様の回転速度優先制御を実行し、コンプレッサ用電
動機3を回転速度優先で制御する(ステップa10)。
【0041】更に、ステップa1の判別結果およびステ
ップa6の判別結果が共に偽となった場合、つまり、エ
バポレータ7の現在温度が第一の判定値αと第二の判定
値βとの間にあると判別された場合には、制御態様選択
手段としてのCPUは、定電流制御実行フラグFがセッ
トされているか否か、要するに、この時点で駆動トルク
優先の定電流制御が実行されているのか、回転速度優先
の速度制御が行われているのかを判別する(ステップa
11)。
【0042】そして、定電流制御実行フラグFがセット
されている場合、つまり、定電流制御が行われている場
合には、定電流制御手段としてのCPUがコンプレッサ
用電動機3の駆動トルクの優先制御を継続して実行し
(ステップa5)、また、定電流制御実行フラグFがセ
ットされていない場合、つまり、回転速度の優先制御が
行われている場合には、速度制御手段としてのCPUが
コンプレッサ用電動機3の回転速度の優先制御を継続し
て実行する(ステップa10)。エバポレータ7の現在
温度が第一の判定値αと第二の判定値βとの間のヒステ
リシスにある状態では、制御態様の切り替えは行われな
い。
【0043】以上に述べた通り、本実施形態において
は、エバポレータ7の温度が過剰に低下する可能性のあ
る場合、つまり、エバポレータ7の温度が第一の判定値
αを下回った場合に定電流制御を実行してコンプレッサ
用電動機3の駆動トルクを制限するようにしているの
で、コンプレッサ2の過剰動作による凍結の発生やコン
プレッサ用電動機3の過負荷を確実に防止することがで
き、しかも、エバポレータ7の温度を過剰に低下させな
くても適切な冷房が行える環境下においては、従来と同
様の快適な冷房を実施することができる。
【0044】また、コンデンサ4内のガスの過剰な圧縮
が防止される結果、コンプレッサ2を一旦停止させて再
起動させるような場合であっても、コンプレッサ2に過
大な負荷が作用することはなく、コンプレッサ用電動機
3の過負荷や駆動用素子であるインバータ13の損傷が
未然に防止され、同時に、過剰な負荷のもとでコンプレ
ッサ用電動機3を作動させることによる電力消費の無駄
も解消される。コンデンサ4内のガスの圧力を下げるた
めの待機時間を設ける必要はないので、コンプレッサ2
の再起動は直ちに可能である。
【0045】また、速度制御と定電流制御の切り替えは
一定のヒステリシスを挟んで行うようにしているので、
エバポレータ温度の微妙な変動によって制御態様が頻繁
に切り替えられることはなく、安定した冷房制御が可能
である。
【0046】次に、外気温の高低に応じて電動機駆動電
流の目標値を最適化する目標値設定機能を有する実施形
態について説明する。
【0047】構成の主用部については図1および図2
(a),図2(b)と同様であるが、この実施形態で
は、外気温を検出するための外気温検出センサ(図示省
略)をコントローラ10に併設して配備するようにす
る。
【0048】図6は外気温Tの温度範囲と各温度範囲毎
に適用すべき電動機駆動電流の目標値γとの対応関係を
示したテーブルであり、この実施形態では、外気温Tが
を越える場合の電動機駆動電流の目標値をγ、外
気温TがTからTの範囲内にある場合の電動機駆動
電流の目標値をγ、外気温TがTからTの範囲内
にある場合の電動機駆動電流の目標値をγ,・・・と
しており、各値の大小関係は、T>T>T・・
・、また、γ>γ>γ・・・とする。つまり、外
気温が高い場合の電動機駆動電流の目標値は相対的に高
め、また、外気温が低い場合の電動機駆動電流の目標値
は相対的に低めである。このような設定を行う理由は、
外気温Tが高い場合にはエバポレータ7の温度が低下し
ても冷媒となるガスに凍結を生じる可能性が低いため電
動機駆動電流の制限値は比較的大きな値でよく、また、
外気温Tが低い場合にはガスの凍結等の問題を生じる可
能性が高くなるめ、電動機駆動電流の制限値を小さな値
としてガスの過剰な圧縮を防止する必要があるからであ
る。このテーブルはコントローラ10のROM内に予め
記憶させておく。
【0049】図5は外気温を考慮して電動機駆動電流の
目標値を最適化する制御態様切替処理の概略を示したフ
ローチャートである。
【0050】所定周期毎の制御態様切替処理を開始した
CPUは、まず、外気温検出センサを介して外気温Tの
現在値を読み込み(ステップb1)、次いで、目標値検
索指標iの値を1に初期化した後(ステップb2)、該
指標iの現在値に対応する温度範囲の下限値Tを図6
に示されるようなROMのテーブルから読み込んで(ス
テップb3)、外気温の現在値Tが下限値Tを上回っ
ているか否かを判別する(ステップb4)。
【0051】そして、外気温の現在値Tが温度範囲の下
限値Tを上回っていない場合には指標iの値をインク
リメントし(ステップb5)、ステップb4の判別結果
が真となるまで、温度範囲の下限値Tの値を順に読み
込んで(ステップb3)、外気温の現在値Tが属する温
度範囲に対応する目標値検索指標iの値を特定し、この
指標iの値に対応する電動機駆動電流の目標値γを図
6に示されるようなROMのテーブルから読み込んで、
目標値記憶レジスタγに設定する(ステップb6)。
【0052】ステップb7〜ステップb17の処理に関
しては、図3で示した制御態様切替処理におけるステッ
プa1〜ステップa11の処理と全く同様であるので説
明を省略する。
【0053】この実施形態によれば、外気温の高低に応
じて電動機駆動電流の目標値が最適化されるので、例え
ば、外気温が高く強力な冷房が必要とされるような場合
にコンプレッサ2の駆動力が過剰に制限される等の不都
合を解消することができ、より快適な冷房制御が達成さ
れる。
【0054】外気温検出センサに代えて日射センサを利
用することも可能であり、その場合は、日射量が多い場
合の電動機駆動電流の目標値は相対的に高め、また、日
射量が少ない場合の電動機駆動電流の目標値は相対的に
低めに設定する。
【0055】次に、速度の優先制御を行っているときに
コンプレッサ用電動機3から検出される電動機駆動電流
の最終値を基準として、これよりも小さな値の電動機駆
動電流を定電流制御の目標値として確実に設定できるよ
うにした実施形態について説明する。
【0056】この実施形態も、構成の主用部に関しては
図1および図2(a),図2(b)で示したものと同様
である。
【0057】図7は速度の優先制御を行っているときに
コンプレッサ用電動機3から検出される電動機駆動電流
の最終値を基準として、これよりも小さな値の電動機駆
動電流を定電流制御の目標値として設定できるようにし
た制御態様切替処理の概略を示したフローチャートであ
る。図3で示した制御態様切替処理との相違は、ステッ
プc2.5とステップc10.5の部分だけであり、ス
テップc1〜ステップc11の各処理に関しては、図3
のステップa1〜ステップa11の各処理と全く同一で
ある。
【0058】つまり、この実施形態では、図7に示され
る通り、速度の優先制御が行われる間、常に、コンプレ
ッサ用電動機電流検出子14を介してコンプレッサ用電
動機3に流れる電動機駆動電流の現在値を検出し、この
実電流の値を、駆動電流記憶機能実現手段としての電流
値記憶レジスタIに更新記憶している(ステップc1
0.5)。
【0059】そして、コンプレッサ用電動機3の制御態
様が速度の優先制御から定電流制御へと切り替えられる
直前の段階、つまり、ステップc2の判別結果が偽とな
った段階で、目標値演算機能を有する定電流制御手段と
してのCPUが、0を越え1未満の所定の係数εを電流
値記憶レジスタIの値に乗じることにより、定電流制御
において目標値として適用すべき電動機駆動電流の値I
・εを求め(ステップc2.5)、この値を目標値記憶
レジスタγに設定する(ステップc3)。
【0060】この実施形態によれば、ガスの凍結やコン
プレッサ用電動機3の過負荷が問題となる直前の電動機
駆動電流Iを基準として、その値よりも一定の割合で小
さな駆動電流の値I・εが自動的に駆動電流の制御目標
値として設定されるので、凍結の発生やコンプレッサ用
電動機3の過負荷を確実に防止することができる。ま
た、係数εを1に近い値に設定すれば、コンプレッサ2
の圧縮機能を過剰に制限することなく冷房の快適性を維
持することが可能である。
【0061】
【発明の効果】本発明の電気自動車用空調装置は、エバ
ポレータの温度が過剰に低下する可能性のある場合に限
って定電流制御を実行してコンプレッサ用電動機の駆動
トルクを制限するようにしているので、コンプレッサの
過剰動作による温度低下に起因するガスの循環経路の凍
結やコンプレッサ用電動機の過負荷を確実に防止するこ
とができる。しかも、コンプレッサ用電動機の駆動力を
制限しなくても適切な冷房が行える環境下においては従
来と同様に回転速度の優先制御でコンプレッサ用電動機
を駆動制御するようにしているので、通常の環境下での
冷房の快適性が損なわれることはない。また、コンプレ
ッサ用電動機の駆動力が制限されてコンデンサ内のガス
の過剰な圧縮が防止される結果、コンプレッサを一旦停
止させて再起動させるような場合であってもコンプレッ
サに過大な負荷が作用することはなく、再起動時におけ
るコンプレッサ用電動機の過負荷や駆動用素子の損傷が
確実に防止され、同時に、過剰な負荷のもとでコンプレ
ッサ用電動機を作動させることによる電力消費の無駄も
解消される。しかも、コンデンサ内のガスの圧力を下げ
るための待機時間を設ける必要がないので、コンプレッ
サを一旦停止させた場合であっても直ちにコンプレッサ
を再起動することができる。
【0062】更に、速度制御と定電流制御との切り替え
に際しては、第一の判定値と第二の判定値とを設定して
ヒステリシスを設けることによりエバポレータ温度の微
妙な変動に伴う無意味な制御態様の切り替えを防止する
ようにしているので、円滑な電動機制御を行うことがで
きる。
【0063】また、外気温検出センサをコントローラに
併設し、外気温が高い場合には相対的に高めの電動機駆
動電流を定電流制御の目標値として設定する一方、外気
温が低い場合には相対的に低めの電動機駆動電流を定電
流制御の目標値として設定するようにしているので、外
気温が高く強力な冷房効果が要求されるようなときにコ
ンプレッサの駆動力が必要以上に制限されることはな
く、冷房の快適性を維持することができる。
【0064】更に、定電流制御時における電動機駆動電
流の目標値は、速度の優先制御が行われているときにコ
ンプレッサ用電動機から検出される電動機駆動電流に基
き、それよりも低い値となるように設定するようにして
いるので、ガスの循環経路における凍結の発生や電動機
の過負荷を一層確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施形態の電気自動車用空
調装置のハードウェアの構成をブロック化して示した概
念図である。
【図2】図2(a)は速度制御手段としてのCPUによ
って実行される処理の概略を示したブロック図、図2
(b)は定電流制御手段としてのCPUによって実行さ
れる処理の概略を示したブロック図である。
【図3】コントローラのCPUによって実行される制御
態様切替処理の概略を示したフローチャートである。
【図4】第一の判定値と第二の判定値とによって設定さ
れる制御切替のヒステリシスを示した概念図である。
【図5】別の実施形態の制御態様切替処理の概略を示し
たフローチャートである。
【図6】外気温の範囲と各温度範囲毎に適用すべき電動
機駆動電流の目標値との対応関係を示した概念図であ
る。
【図7】更に別の実施形態の制御態様切替処理の概略を
示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 電気自動車用空調装置 2 コンプレッサ 3 コンプレッサ用電動機 4 コンデンサ 5 レシーバ 6 膨張弁 7 エバポレータ 8 コンデンサファン 9 コンデンサ用電動機 10 コントローラ(速度制御手段,定電流制御手段,
制御態様選択手段) 11 エバポレータ温度センサ 12 コンプレッサ用電動機回転センサ 13 インバータ(駆動用素子) 14 コンプレッサ用電動機電流検出子 15 温度調節スイッチ 16 電動機駆動電流の目標値 α 第一の判定値 β 第二の判定値 ε 所定の係数(0<ε<1)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンデンサとエバポレータとの間で冷媒
    としてのガスを循環させるコンプレッサと、このコンプ
    レッサを作動させる電動機と、前記電動機を駆動制御す
    るコントローラとを備えた電気自動車用空調装置におい
    て、 前記エバポレータの周辺温度を検出するためのエバポレ
    ータ温度センサを配備すると共に、 前記コントローラには、冷房の設定温度に基いて前記電
    動機を速度制御する速度制御手段と、前記速度制御手段
    の作動時に前記電動機から検出される電動機駆動電流よ
    りも低い値の電動機駆動電流を目標値として前記電動機
    を定電流制御する定電流制御手段と、前記エバポレータ
    温度センサによって検出される検出温度と予め該コント
    ローラに設定された判定値との大小関係を比較し、前記
    検出温度が前記判定値を上回っている場合には前記速度
    制御手段を稼動させる一方、前記検出温度が前記判定値
    を下回っている場合には前記定電流制御手段を稼動させ
    る制御態様選択手段とを併設したことを特徴とする電気
    自動車用空調装置。
  2. 【請求項2】 相対的に値の小さな第一の判定値と相対
    的に値の大きな第二の判定値とによって前記判定値が構
    成され、前記制御態様選択手段は、前記エバポレータ温
    度センサによって検出される検出温度が前記第一の判定
    値を下回る際に前記定電流制御手段を稼動させる一方、
    前記エバポレータ温度センサによって検出される検出温
    度が前記第二の判定値を上回る際に前記速度制御手段を
    稼動させ、かつ、前記エバポレータ温度センサによって
    検出される検出温度が前記第一の判定値と第二の判定値
    との間にある場合には、その時点で選択されている制御
    態様を継続して保持するように構成されていることを特
    徴とする請求項1記載の電気自動車用空調装置。
  3. 【請求項3】 前記コントローラに外気温検出センサを
    併設すると共に、前記定電流制御手段には、前記外気温
    検出センサによって検出される外気温が高い場合には相
    対的に高めの電動機駆動電流を目標値として設定する一
    方、前記外気温検出センサによって検出される外気温が
    低い場合には相対的に低めの電動機駆動電流を目標値と
    して設定する目標値設定機能を配備したことを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の電気自動車用空調装
    置。
  4. 【請求項4】 前記定電流制御手段には、前記速度制御
    手段の作動時に前記電動機から検出される電動機駆動電
    流を更新記憶する駆動電流記憶機能と、この駆動電流記
    憶機能によって記憶されている電動機駆動電流に0を越
    え1未満の所定の係数を乗じて前記目標値を算出する目
    標値演算機能とが設けられていることを特徴とする請求
    項1または請求項2記載の電気自動車用空調装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20120076407A (ko) * 2010-12-29 2012-07-09 한라공조주식회사 차량용 공조시스템의 제어 방법

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