JP2002210284A - 加工装置 - Google Patents

加工装置

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JP2002210284A
JP2002210284A JP2001011093A JP2001011093A JP2002210284A JP 2002210284 A JP2002210284 A JP 2002210284A JP 2001011093 A JP2001011093 A JP 2001011093A JP 2001011093 A JP2001011093 A JP 2001011093A JP 2002210284 A JP2002210284 A JP 2002210284A
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cassette
processing
processing cassette
thread
posture
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JP2001011093A
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Akira Terao
晃 寺尾
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Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 縫製装置本体の揺動アーム40に装着した加工
カセット5を交換するに際して加工カセット5の姿勢変
更を確実にする。 【解決手段】 前面板19の表面側に枢支された揺動アー
ム40の先端部に横向き突設したピン軸42a に、加工カセ
ット5の角部近傍に形成された係合溝86a を被嵌する一
方、揺動アーム40に回動可能に設けた係合部材44a の先
端を加工カセット5 後端側の係合部に係合して姿勢保持
し、前面板19に枢支した操作部材44b にて係合解除す
る。カセット取外し姿勢付与手段160 は、左右一対の合
成樹脂製の姿勢付与体161 、162 とがピン軸42a の先端
部に各々相対的に回動可能に被嵌され、左の姿勢付与体
161 の支持ピン161cは加工カセット5の縦方向の側面に
当接し、右の姿勢付与体162 の支持ピン162cは加工カセ
ット5の下側面に当接する。捩じりばね163 にて両支持
ピン161c,162c の間隔が狭くなるよう付勢する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は縫製加工用の加工カ
セットを着脱可能に装着できる加工装置の構成に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ミシン等の縫製装置では、上糸を
通した縫針が昇降駆動され、その縫針が糸捕足機構や天
秤機構や糸調子機構等と協働して縫製が行われる。通
常、縫針を下端部に装着した針棒が縫製装置本体に上下
動可能に装着され、この縫針に上糸を供給する糸供給源
として、縫製装置本体に交換可能に装着される糸駒が使
用される。
【0003】それ故、家庭用のミシン等、縫製装置本体
に装着した1本の針棒が上下動して縫製を行う縫製装置
では、縫製に供する糸駒の上糸が消費された場合や、カ
ラフルな模様を縫製するために上糸の色を替える場合
に、糸駒を交換すると共に、その都度、糸駒から延びる
上糸を縫製装置本体の複数の糸掛部に掛けてから針孔へ
通す作業が必要となる。
【0004】一方、糸駒(更には縫針)を装備した縫製
用カートリッジ(縫製用カセット)を設け、この縫製用
カートリッジを縫製装置本体に着脱可能に装着して布に
縫製を施すことができる種々の縫製装置が実用に供され
ている。この種の縫製装置では、縫製に供する糸駒の上
糸が消費された場合や、カラフルな模様を縫製するため
に上糸の色を替える場合に、縫製装置本体に装着する縫
製用カートリッジ(糸駒)を容易に交換し行うことがで
きるため有効である。
【0005】ところで、最近では、ハンディな小型軽量
の縫製装置や縫製機器も市販されているが、近い将来、
子供等でも取り扱いが容易な刺繍機能のある縫製装置が
実用に供されるものと想定される。そのような場合、簡
単に糸色(糸駒)を交換できるように、前記縫製用カー
トリッジを備えた縫製装置の適用が考えられるが、糸色
(糸駒)の交換をより一層簡単に行えるように改善する
余地はある。
【0006】前記要望に応えるため、本出願人は、先に
特願2000−201244号の出願において、糸駒を
収容した縫製用カートリッジ(加工カセット)を縫製装
置本体に対して着脱可能に構成したものを提案した。即
ち、加工カセットは、略直方体状のケース本体内に糸駒
を配置し、前記ケース本体の外周一側面(厚さ方向の側
面)から縫針(中空針)と布押え兼用の針カバーとを突
出させてなり、前記縫針が突出する側面と直交する側面
に、横向きU字状に開口した係合溝を凹み形成してなる
ものである。
【0007】そして、縫製装置本体のうち揺動アームの
側面から横向きに突出させたピン軸の係合部に前記係合
溝を被嵌した状態で、当該加工カセットの本体ケースの
他側面を、前記揺動アームに回動可能に設けられた略Z
字状の係合部材の一端に係合させて縫製可能な姿勢に保
持する一方、前記加工カセットにおける縫針が被加工物
から離れた高さ位置まで揺動アームが回動した姿勢にお
いて、回動可能な操作部材にて前記係合部材を回動させ
ることにより、前記加工カセットがピン軸の軸線回りに
回動して外れ可能な姿勢に変更されるように構成したも
のであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記加
工カセットを外れ可能になるように回動させる姿勢変更
の程度が少ないと、ユーザには加工カセットを取外し可
能であるか否かの判別が付きにくく、誤って加工カセッ
トを無理やり外そうとするので、加工カセットや加工装
置が破損するという問題があった。
【0009】一方、前記加工装置本体に設けた4リンク
機構からなる糸切断装置は、糸切りレバーが下降下限位
置にあるとき、一対の切断刃は開いた状態を保持し、揺
動アームが上昇した姿勢において、操作部材により加工
カセットを揺動アームから取外す方向に回動したとき、
付勢バネにより回動する糸切りレバー爪が回動し、その
付勢バネ力により、糸切りレバーが上限方向に回動し
て、一対の切断刃が閉じて糸を切断するものであったか
ら、刺繍の色変更のために加工カセットを交換するに際
して、加工カセットから延びる糸は、布70の最終針落
ち点に繋がっている状態で、必ずしも糸を切断擦ること
ができる位置に糸が位置していないという問題があっ
た。
【0010】本発明は、前記問題を解決すべくなされた
ものであって、加工装置本体に装着された加工カセット
を容易に取り出し易くすること、及び加工カセットの取
外し作業と連動させつつ確実に糸切断できるように糸切
断手段を作動させることができる加工装置を提供するこ
とを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明の加工装置は、縫製加工用の
上下動する針または糸駒を収納可能に構成された加工カ
セットを加工装置の本体に着脱可能に装着して、被加工
物に縫製加工を施すように構成された加工装置におい
て、前記加工装置本体に揺動アームを回動可能に装着
し、該揺動アームに固定されて加工カセットを回動自在
に支持する係合部と移動可能な係合部材とにより前記加
工カセットを着脱可能に装着し、前記係合部材を加工カ
セットの係合解除方向に操作されるべく、操作部材を関
連させる一方、前記揺動アームには、前記加工カセット
を取り出し姿勢に変更させるためのカセット取り出し姿
勢付与手段を備えたものである。
【0012】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の加工装置において、前記係合部は前記加工カセ
ットの一端部を回動自在に支持するように構成されてお
り、該係合部に前記カセット取り出し姿勢付与手段が設
けられているものである。
【0013】そして、請求項3に記載の発明は、請求項
2に記載の加工装置において、前記カセット取り出し姿
勢付与手段は、前記係合部を挟んで加工カセットの下面
側とそれに交差する他の側面とを支持する一対の姿勢付
与体が、前記係合部に対して相対的に回動自在に支持さ
れ、該両姿勢付与体を、加工カセットの支持間隔が狭ま
る方向に弾力付勢されると共に、最小の支持間隔を保持
できるように構成したものである。
【0014】他方、請求項4に記載の発明は、請求項1
に記載の加工装置において、前記カセット取り出し姿勢
付与手段は、前記揺動アームに対して回動可能に枢支さ
れた姿勢付与アームと、該姿勢付与アームに設けられて
加工カセットの下面側を支持する支持ピンとから構成さ
れており、前記姿勢付与アームは、前記加工カセットを
係合解除方向にバネ付勢されているものである。
【0015】さらに、請求項5に記載の発明は、請求項
1に記載の加工装置において、前記カセット取り出し姿
勢付与手段が、前記揺動アームに設けられて、前記加工
カセットを係合解除方向に付勢するバネ支持手段である
ことを特徴とする。
【0016】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請
求項5のいずれかに記載の加工装置において、前記加工
カセットが加工装置本体に装着状態で前記針が所定以上
に突出しているときには、当該加工カセットの姿勢変更
が不能となるように構成されているものである。
【0017】また、請求項7に記載の発明は、請求項1
乃至請求項6のいずれかに記載の加工装置において、前
記加工装置本体には、前記加工カセットの近傍に配置す
る糸切断手段と、該糸切断手段を作動させる駆動レバー
とを配置し、前記操作部材による加工カセットの係合解
除方向への操作に連動して、前記駆動レバーを糸切断方
向に回動駆動するように構成したものである。
【0018】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請
求項7のいずれかに記載の加工装置において、前記糸切
断手段は、糸切断刃を備えた一対の鋏状リンクと、該一
対の鋏状リンクを駆動させるための連動リンクとからな
る4リンク機構にて構成したものである。
【0019】請求項9に記載の発明は、請求項8に記載
の加工装置において、前記4リンク機構からなる糸切断
手段は、前記針または加工カセットから出ている糸の近
くに配置するための一対の鋏状リンクの中途部を、前記
加工装置本体に回動可能に枢支させ、前記駆動レバー
は、前記操作部材による加工カセットの係合解除の操作
に連動させて糸切断方向に回動するように構成されてい
るものである。
【0020】請求項10に記載の発明は、請求項1乃至
請求項9のいずれかに記載の加工装置において、前記係
合部材と前記操作部材とが一体的に構成されているもの
である。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明を具体化した実施の
形態について図面を参照して説明する。図1に示すよう
に、本実施形態の縫製装置1(加工装置)は、コントロ
ーラ7を含むデータ供給手段としての家庭用ゲーム機6
に接続ケーブルを介して接続し、そのゲーム機6を使用
して表示手段としてのディスプレイ8の画面(家庭用テ
レビ)を見ながら選択・編集した刺繍模様を所定の布
(被加工物)に縫製加工を施して形成するものである。
尚、図1の前後左右を前後左右として説明する。
【0022】図1及び図2に示すように、縫製装置1
は、縫製装置本体2(加工装置本体)と、この縫製装置
本体2に前後方向へスライド可能に装着されている安全
カバー3と、縫製装置本体2に着脱可能に装着される刺
繍枠4及び縫製用カートリッジ5(以下、加工カセット
という)等で構成され、刺繍枠4に縫製に供する被加工
物としての布70が取付けられ、加工カセット5にその
布70を貫通可能な縫製用の針としての中空針81(加
工針)等が装備されている。
【0023】先ず、縫製装置本体2について説明する。
図2〜図4に示すように、縫製装置本体2は、ケーシン
グ10と、布70を取付けた刺繍枠4をキャリッジ18
に取付けて加工カセット5の中空針81に対して水平方
向へ移動させる刺繍枠駆動機構11と、加工カセット5
を揺動アーム40に着脱可能に取付けて上下に揺動駆動
するカートリッジ駆動機構12(以下カセット駆動機構
という)と、刺繍枠駆動機構11とカセット駆動機構1
2を制御する制御装置(図示せず)を備えている。
【0024】前記ケーシング10は、比較的小型の直方
体(例えば、縦130mm 、横165mm 、高さ70mm)状に形成
され、その内部に、刺繍枠駆動機構11及びカセット駆
動機構12の主要部と制御装置(図示せず)が収容され
ている。但し、ケーシング10には、その左端から左右
長の約2/3部分、前端から前後長の約1/4部分、上
端から上下長の約1/2部分を直方体状に切欠いた切欠
き空間10aが形成されている。尚、この切欠き空間1
0aの右側において、ケーシング10の上壁部10d
は、後述の操作部材44bを操作できるように、切欠き
空間10a側から切欠かれている。
【0025】この切欠き空間10aを形成するケーシン
グ10の前面壁10bの下端部には、刺繍枠駆動機構1
1のキャリッジ18に刺繍枠4を装着し水平方向へ移動
させる為のスリット10cが左右方向向きに形成されて
いる。切欠き空間10aを形成するケーシング10の側
壁部には、カセット駆動機構12の揺動アーム40を上
下揺動可能にケーシング10の内部から切欠き空間10
a側へ突出させるスリット(図示略)が上下方向の向き
に形成されている。
【0026】ケーシング10の上壁部10dには、前方
凸形のガイド上面部10eが段上がり状に形成され、こ
のガイド上面部10eの右側に、制御装置(図示せず)
に電気的に接続された電源スイッチ15と縫製の開始と
終了を指令する指令手段としてのスタート/ストップス
イッチ16が設けられている。これらスイッチ15,1
6の上端面は、上壁部10dの上面の高さ位置と一致或
いは少し下方に位置している。ガイド上面部10eの前
側において、揺動アーム40への加工カセット5の着脱
(後で詳述する)を可能にするために、ガイド上面部1
0eの前端は、加工カセット5の左右幅よりも長く、揺
動アーム40に装着した状態の加工カセット5の後ろ左
側まで延びている。
【0027】ケーシング10の左右の両側の各側壁部1
0fには、ガイド溝10g,10hが前後方向向きに形
成されている。ガイド溝10gの上下幅はガイド溝10
hの上下幅よりも小さく、そのガイド溝10gにはケー
シング10の前後方向略中央位置において側方へ突出す
る係止ブロック片67が固定されている。但し、切欠き
空間10aがある関係上、左側壁部10fとそのガイド
溝10g,10hの前後長は、右側壁部10fとそのガ
イド溝10g,10hの前後長よりも短い。
【0028】前記刺繍枠駆動機構11は、図2、図3、
図4に示すように、刺繍枠4を着脱可能に装着するキャ
リッジ18と、このキャリッジ18を水平面内において
X方向(左右方向)へ駆動するX方向駆動機構20と、
このX方向駆動機構20と共にキャリッジ18を水平面
内においてX方向と直交するY方向(前後方向)へ駆動
するY方向駆動機構30とで構成されている。
【0029】キャリッジ18は、刺繍枠4の後端支持部
4aを係脱可能な係合部18aと、係合部18aの下側
から後方へ延びる案内板18bを有し、刺繍枠4を着脱
する際には揺動アーム40の下方に位置している。X方
向駆動機構20の可動フレーム21には、その後部に左
右方向向きのガイド部21aが形成され、前部に左右方
向向きのガイドロッド22が設けられ、これらガイド部
21aとガイドロッド22に、キャリッジ18が左右方
向へ移動自在にガイド支持されている。
【0030】X方向駆動機構20は、可動フレーム2
1、ガイドロッド22、スクリュー軸23、パルスモー
タ24、ガイドピン25を有する。可動フレーム21は
上方を開放した略箱形に形成され、その両側壁部にガイ
ドロッド22の両端部が支持されている。スクリュー軸
23は可動フレーム21の内部において左右方向向きに
伸長して配設され、その左端部が可動フレーム21の左
壁部に回転自在に支持されている。パルスモータ24は
可動フレーム21の右壁部の右側に固定され、その出力
軸がスクリュー軸23の右端部に直結されている。
【0031】キャリッジ18の案内板18bがスクリュ
ー軸23の上側に配設され、その案内板18bにガイド
ピン25が下方突出状に固定されて、スクリュー軸23
の螺旋溝に摺動自在に係合している。パルスモータ24
によりスクリュー軸23が回動されると、その螺旋溝に
ガイドピン25がガイドされて左右に移動するため、キ
ャリッジ18がX方向に移動駆動される。
【0032】Y方向駆動機構30は、支持フレーム3
1、2本のガイドロッド32,33、スクリュー軸3
4、パルスモータ35、ガイドピン36を有する。支持
フレーム31は側面視にて略凹形に形成され、その前後
両壁部に前後方向向きのガイドロッド32,33の両端
部が支持されている。そして、これらガイドロッド3
2,33に、X方向駆動機構20の可動フレーム21が
前後方向へ移動自在にガイド支持されている。
【0033】スクリュー軸34は前後方向向きに伸長し
て配設され、その後端部が支持フレーム31の後壁部に
回転自在に支持されている。パルスモータ35は支持フ
レーム31の前壁部の前側に固定され、その出力軸がス
クリュー軸34の前端部に直結されている。ガイドピン
36は可動フレーム21に下方突出状に固定され、スク
リュー軸34の螺旋溝に摺動自在に係合している。パル
スモータ35によりスクリュー軸34が回動されると、
その螺旋溝にガイドピン36がガイドされ前後に移動す
るため、可動フレーム21と共にキャリッジ18がY方
向に移動駆動される。尚、Y方向駆動機構30はX方向
駆動機構20の下方に配置されている。
【0034】ここで、刺繍枠駆動機構11により、キャ
リッジ18に取付けた刺繍枠4を移動させることができ
る移動領域は、図3に示す領域38となり、その移動領
域38の略中央位置に、縫製装置本体2に装着された加
工カセット5の中空針81が位置する。但し、縫製装置
本体2の前部に加工カセット5が装着されるため、この
移動領域38の前部はケーシング10の外部へはみ出し
ている。このように、X方向駆動機構20とY方向駆動
機構30を上下に配置し、キャリッジ18の移動領域3
8の下方に何れかの駆動機構が配置されるので、縫製装
置本体2を小型化することができる。
【0035】前記カセット駆動機構12は、図3及び図
4に示すように、加工カセット5を着脱可能な揺動アー
ム40と、揺動アーム40を上下に揺動駆動する駆動源
としてのACモータであるミシンモータ45と、ミシン
モータ45の回転速度を減速するギヤ機構50と、ギヤ
機構50により減速された回転運動を揺動アーム40の
上下揺動運動に変換するカム機構55等を有する。
【0036】揺動アーム40は、図14〜図22に示す
ように、左右方向に長いアーム部40aと、上下方向に
長いレバー部40bを一体形成して構成され、ケーシン
グ10の前部側の略右半部に配設されている。レバー部
40bの途中部が、縫製装置本体2から上向きに突出す
る縦板としての前面板19に対してブラケット41aを
介して支持された枢支軸41bに枢支され、揺動アーム
40のうち、アーム部40aの大部分が切欠き空間10
a側へ突出し、その他の部分がケーシング10の内部に
収容されている。
【0037】アーム部40aには、その左端部において
加工カセット5を回転自在に支持するための係合部とし
て、前後方向向きのピン軸状の係合ピン42(支持部)
が前方突出状に固定され、該係合ピン42の先端側には
カセット取外し姿勢付与手段160が装着されている。
そして、係合ピン42の右側において前後方向向きのロ
ック解除ピン43が前方突出状に固定され、ロック解除
ピン43の右側において係合ピン42に枢支された加工
カセット5を縫製可能な位置(図16等参照)に回転規
制する係合部材44a(回転規制部材)が回動自在に支
持されている。加工カセット5が揺動アーム40に装着
されると、ロック解除ピン43が図8に示す開口86f
にその下側から入り込み、そのロック解除ピン43が入
力部100cのテーパ部100eに係合して、移動禁止部材100
を捩じりバネ100dの付勢力に抗してロック位置からロッ
ク解除位置へ回動させて針カバー84のロックを解除す
る。
【0038】前記係合ピン42は、アーム部40aに近
い根元側の細径のピン軸42aと、自由端側の大径部4
2bとから構成されている(図14参照)。
【0039】カセット取外し姿勢付与手段160の第1
実施形態は、図14、図15、図17及び図18に示す
ように、左右一対の合成樹脂製の姿勢付与体161、1
62と捩じりばね163と、姿勢保持体164とから構
成されている。右の姿勢付与体162の基板162aに
設けたボス部162bが前記係合ピン42の先端軸42
cに回動可能に被嵌し、左の姿勢付与体161は、その
基板161aに設けたボス部161bが、前記ボス部1
62bの外周に対して相対的に回動可能に被嵌するよう
に構成されている。左の姿勢付与体161の基板161
aから後向きに突出した支持ピン161cは加工カセッ
ト5の縦方向の側面に当接し、右の姿勢付与体162の
基板162aから後向きに突出した支持ピン162cは
加工カセット5の下側面に当接するように構成されてい
る。
【0040】さらに、左の姿勢付与体161の基板16
1aから前向きに突出したストッパーピン161dと、
右の姿勢付与体162の基板162aから前向きに突出
したストッパーピン162dとの両内側に、前記先端軸
42cに固定した前記姿勢保持体164における間隔保
持片164aを臨ませる一方、前記両ストッパーピン1
61d、162dの両外側に、前記捩じりばね163の
両係止部を押し当てて、左右の姿勢付与体161、16
2の姿勢(係合ピン42に対する左右両側の支持ピン1
61c、162cのなす角度)が係合ピン42の回りに
相対的に回動可能であると共に、このカセット取外し姿
勢付与手段160に装着された加工カセット5が、前記
係合ピン42の箇所を最下位置とし、加工カセット5の
右側が尻上がり状に撥ね上げられた傾斜姿勢を保持でき
るように構成されている(図19等参照)。
【0041】揺動アーム40の後側には、縫製装置本体
2の機枠と一体の前面板19が、機枠の右部から立ち上
がり左方へ延びるように設けられ、この前面板19の前
部側に、係合部材44aを反時計回り方向へ回動操作す
る為の操作部材44bが支持軸44eを中心にして回動
操作可能に支持されている。但し、この操作部材44b
の支持軸44eには捩じりバネ44dが外装され、その
一端が前面板19に付設の固定部材に受止められ、他端
が操作部材44bの左端部に受止められている。更に、
前面板19には、操作部材44bを手動操作時以外で回
動規制する図示外の規制部材が設けられ、操作部材44
bが略水平方向に保持された状態で支持されるようにな
っている。
【0042】尚、係合ピン42、ロック解除ピン43、
係合部材44a、操作部材44b等は、揺動アーム40
への加工カセット5の装着と、揺動アーム40からの加
工カセット5の取外しを行う為の部材である。
【0043】そして、揺動アーム40におけるアーム部
40aの先端側が下降して縫製位置にあるとき(換言す
ると、刺繍枠4における布70に中空針81が接近もし
くは突き刺さっている状態では)、操作部材44bの先
端部(回動中心より左側端部)が係合手段としての係合
部材44aの後端部(回動中心より右側端部)に当接不
能に離間しており、逆に図16に示すように、揺動アー
ム40に対して加工カセット5を取外し可能となるよう
に、アーム部40aの先端側が上昇している状態では、
操作部材44bの先端が係合部材44aの後端に当接可
能に接近するように、揺動アーム40の回動中心(枢支
軸41b)の位置と、操作部材44bの回動中心位置
(支持軸44e)とを設定し、また、操作部材44bの
回動中心位置から当該操作部材44bの先端までの長さ
と、係合部材44aの回動中心位置から当該係合部材4
4aの後端までの距離を設定するものである。
【0044】換言すると、揺動アーム40の回動中心
(枢支軸41b)の位置と、操作部材44bの回動中心
位置と、係合部材44aの回動中心位置とは、図16等
に示すごとく、三角形の各頂点に位置し、且つ揺動アー
ム40の回動中心(枢支軸41b)位置から操作部材4
4bの回動中心位置までの距離のほうが、揺動アーム4
0の回動中心(枢支軸41b)の位置から係合部材44
aの回動中心位置までの距離より短くなるように設定
し、さらに、操作部材44bの回動中心位置から係合部
材44aの回動中心位置までの寸法は、他の2辺の寸法
より短く設定する。これにより、揺動アーム40におけ
るアーム部40aの先端側が上向き回動した姿勢では、
係合部材44aの後端が操作部材44bの先端に当接可
能となるように接近するが、揺動アーム40におけるア
ーム部40aの先端側が下向き回動した姿勢(縫製作業
姿勢)では、係合部材44aの後端部が操作部材44b
の先端部に当接不能となるように離間すべく設定するも
のである。
【0045】なお、他の実施形態として、前記揺動アー
ム40に設けた係合ピン42と回動可能な係合部材44
aとにより加工カセット5を係脱できるように構成する
一方、揺動アーム40が縫製可能な位置にあるとき、前
面板19に設けた操作手段としての電磁ソレノイドの突
出片が突出移動し、係合部材44aを回動させて加工カ
セット5が係合解除されるように構成しても良い。
【0046】さらに他の実施形態として、加工カセット
5自体を加工装置本体に対して水平方向から取付けるよ
うに構成すると共に、その加工カセット5は、加工装置
本体に対して上下動せず、加工カセット5を加工装置本
体に対して係脱する係合手段を、他のアクチュエータに
て係合解除できるように構成する一方、加工カセット5
が縫製位置にあることを縫針の上下位置センサにて検知
し、前記アクチュエータを作動させず、前記係合手段に
て加工カセット5の係合状態を保持する、縫針が上方位
置(加工カセット5内に大部分が位置する後退状態では
係合解除する構成であっても良い。
【0047】ミシンモータ45は、支持フレーム31の
前壁部31aの右下部の後側に前向きにして固定されて
いる。ギヤ機構50は、図3に示すように、支持フレー
ム31の前壁部31aの前側に配設されたギヤ51〜5
4からなる。駆動ギヤ51はミシンモータ45の出力軸
に固着され、同軸上に一体的に結合された中間ギヤ5
2,53と大径ギヤ54は前壁部31aに夫々枢支され
ている。駆動ギヤ51と中間ギヤ52とが噛合され、中
間ギヤ53と大径ギヤ54とが噛合されて、ミシンモー
タ45(駆動ギヤ51)の回転速度に対して大径ギヤ5
4の回転速度が減速される。
【0048】カム機構55は、図3、図4に示すよう
に、前壁部31aに枢支されたカム部材56と、揺動ア
ーム40の右下端部に前方突出状に固着されたカム従動
子57とを有し、カム部材56の外周部に前記大径ギヤ
54のギヤ歯が形成されている。カム部材56には後側
からカム溝56aが形成され、このカム溝56aにカム
従動子57が摺動自在に係合している。
【0049】図4に示すように、カム溝56aはカム部
材56の回転中心からの距離を変化させて環状に形成さ
れ、カム部材56が1回転すると、アーム部40aが図
7に示す上限位置と図8に示す下限位置とに亙って1往
復上下に揺動するようになっている。従動子57がカム
溝56aに係合する係合位置とカム部材56の回転軸心
との距離が長い程、従動子57が左方へ位置し揺動アー
ム40のアーム部40aは上方へ位置する。図4はカム
溝56aのうちカム部材56の回転軸心から最も離隔し
た部位にカム従動子57が係合した状態を示し、揺動ア
ーム40のアーム部40aは上限位置に位置している。
【0050】次に、安全カバー3について説明する。図
2に示すように、安全カバー3は、駆動される刺繍枠4
や加工カセット5や揺動アーム40をガードする機能
と、子供等が中空針81により衣類を破損しないように
中空針81と布70の移動領域38を覆う機能と、スタ
ート/ストップスイッチ16を誤操作するのを防止する
機能等を併せ持ったカバーである。この安全カバー3
は、前記刺繍枠4の移動領域38(図3参照)の全体を
覆うことができるカバーであり、縫製時に移動領域38
を覆う縫製用位置と、この縫製用位置から復帰させた梱
包や収納の為の収納用位置(図2参照)とに亙って移動
可能に構成されている。
【0051】この安全カバー3は合成樹脂からなる透明
材料又は半透明材料で構成され、上壁部3aと前面壁3
bと左右の側壁部3cとを有し、下方と後方を開放した
形状に構成されている。安全カバー3の上壁部3aに後
端側から凹形の切欠き部3dが形成され、この切欠き部
3dがケーシング10のガイド上面部10eに前後摺動
自在に係合し、安全カバー3の上壁部3aの下面がケー
シング10の上壁部10dのうちガイド上面部10e以
外の上面に当接可能である。
【0052】安全カバー3の各側壁部3cの後部内側に
は鉛直板60が固定され、この鉛直板60には、上後部
の内側に係合片66が固定され、その下側に係合部60
aが一体的に形成されている。そして、ケーシング10
の各側壁部10fに形成されたガイド溝10gに係合片
66が摺動自在に係合し、ガイド溝10hに係合部60
aが摺動自在に係合している。安全カバー3の右側壁部
3cの前端部分内側には、ガイド溝10gに摺動自在に
係合可能な係合片61が固定されている。
【0053】ここで、安全カバー3を縫製用位置に位置
決めすると共に安全カバー3が装置本体2から離脱しな
いように規制する抜け止め用のストッパ機構65が設け
られている。このストッパ機構65は、安全カバー3の
各側壁部3cに固定された前記ガイド片66と、ケーシ
ング10の各側壁部10fのガイド溝10gに側方へ突
出するように固定された前記係止ブロック片67とを有
し、ガイド片66が係止ブロック片67に係止される
と、安全カバー3が縫製用位置に位置決めされ、これ以
上前方へ移動できないようになる。
【0054】安全カバー3が縫製用位置に切換えられた
状態で、ケーシング10のガイド上面部10eの前端部
と安全カバー3の切欠き部3dとで、加工カセット5の
前後幅と略等しく且つ加工カセット5の左右長よりも長
いカセット取付口68が形成され、このカセット取付口
68から加工カセット5を揺動アーム40に装着するこ
とができる。尚、安全カバー3の上壁部には、前記縫製
用位置において、後述の操作部材44bを上側から操作
可能に開口部が形成されている。
【0055】安全カバー3の上壁部3aの右部にはスイ
ッチ操作穴3eが形成され、安全カバー3が図2の収納
用位置に切換えられた状態で、このスイッチ操作穴3e
が電源スイッチ15と対向し、そのスイッチ操作が可能
となり、電源スイッチ15の前側に設けられたスタート
/ストップスイッチ16の上側は、禁止手段としての安
全カバー3で覆われた状態となるため、スタート/スト
ップスイッチ16の操作が不能となり禁止される。
【0056】安全カバー3が縫製用位置に位置している
ときには、電源スイッチ15は安全カバーの後側に位置
して露出するため、電源スイッチ15の操作も可能とな
る。このように、安全カバー3が縫製用位置にあるとき
にも収納用位置にあるときにも、電源スイッチ15を操
作可能である。尚、電源スイッチ15とスタート/スト
ップスイッチ16とスイッチ操作穴57は、平面視にて
円形で略同じ大きさに形成されている。
【0057】安全カバー3の前面壁3bの下部の左右方
向中央付近部に、刺繍枠4を安全カバー3の内部に挿入
可能な刺繍枠挿入穴3fが形成され、更に、この前面壁
3bには、刺繍枠4を刺繍枠挿入穴3fから安全カバー
3の内部に挿入しキャリッジ18に装着する際に、刺繍
枠4を前後方向にガイドするガイド部材69が前面壁3
bに固定され、前面壁3bから前方へ突出する形状に構
成されている。この刺繍枠挿入穴3fは、前面壁3bの
左右方向の中央部に位置し、キャリッジ18の左右方向
移動範囲における中央位置(移動領域38の左右方向中
央位置)よりも少し右側にずれた位置に設けられてい
る。
【0058】刺繍枠4について説明する。図2、図3、
図5及び図6に示すように、刺繍枠4は矩形枠状のベー
ス枠71と押え枠72からなる。これらベース枠71と
押え枠72の前端部同士が回動自在に連結され、ベース
枠71の後部側に、刺繍枠4をキャリッジ18の係合部
18aに係脱可能な後端支持部4aが一体形成されてい
る。ベース枠71の内縁部付近には、上端面に対して段
落ち状の段部71aが枠状に形成され、この段部71a
に矩形状の特殊な布70の外周部が嵌め込まれ、場合に
よっては両面テープや接着剤等を介して剥離可能に固着
され、押え枠72により押えられて、布70が刺繍枠4
の略全体にピンと張った状態で取付けられている。
【0059】図6に示すように、この特殊な布70は、
例えば、ラミネート加工により、ウレタン製の弾性膜体
73を1対の織布74で挟み込んで形成された多層構造
の弾性を有する布である。刺繍枠4とこの刺繍枠4に予
め取付けられた布70とは複数組用意されている。
【0060】次に、加工カセット5について説明する。
図2、図3、図7〜図13等に示すように、加工カセッ
ト5は、カセット本体80、被加工物としての布70を
貫通可能な加工針としての中空針81、中空針81に供
給される糸Tを巻付けた糸駒82、中空針81の少なく
とも先端部をカバーする針カバー83、中空針81をカ
バーするカバー位置に針カバー83を付勢する付勢手段
としての圧縮コイルバネ84、カバー位置における針カ
バー83の移動を禁止する移動禁止機構85等を備えて
いる。尚、この縫製装置1には、揺動アーム40に着脱
可能な複数の加工カセット5が用意されており、これら
加工カセット5には異なる色の糸が夫々収容され、カラ
フルな刺繍模様を形成できるようになっている。
【0061】カセット本体80はマッチ箱を横向きして
立てたような直方体形状であり、揺動アーム40に装着
された状態で縫製装置本体2に対して可動の可動体部分
としての収容ケース86と、縫製装置本体2に対してほ
ぼ固定の固定体部分としての開閉蓋87を有し、収容ケ
ース86の内部に中空針81及び針カバー83の上側部
分と糸駒82と圧縮コイルバネ84と移動禁止機構85
が収容されている。カセット本体80の右上端部分にお
いて、収容ケース86と開閉蓋87が回動可能に連結さ
れて、収容ケース86に対して開閉蓋87が図10に示
す閉位置と図11に示す開位置とに亙って開閉する。収
容ケース86に対して開閉蓋87を枢支する枢支軸部に
捩じりバネ88が装着され、この捩じりバネ88により
開閉蓋87が閉位置に回動付勢されている。
【0062】また、加工カセット5は、糸駒82を収納
する収納部90(糸収納部)、収納部90に収納された
糸駒82の空転を防止する空転防止機構91、糸駒82
から中空針81へ至る糸Tの途中部に抵抗を付与して糸
Tが中空針81側から収納部90側へ逆流するのを防止
する逆流防止機構92、収容ケース86に対して開閉蓋
87を閉位置で一体的にロックするロック機構93等を
備え、収容ケース86の内部に収納部90と空転防止機
構91とロック機構93のロック部材110 が設けられ、
開閉蓋87の内部に逆流防止機構92とロック機構93
の被係合部87dが設けられている。
【0063】収容ケース86の外周一側部位である下部
左端部には、揺動アーム40における係合部としての係
合ピン42に対して回動可能、且つ着脱自在な係合溝8
6aが、左方からU字形に切欠いて形成されている。こ
の係合溝86aをさらに詳述すると、図14及び図15
に示すように、前記係合ピン42のうち細径のピン軸4
2aに対して回動自在に被嵌する細径溝部86a1が左
方からU字形に切欠いて形成され、この細径溝部86a
1に連設されて、前記係合ピン42における大径部42
bに対して回動自在に被嵌する大径溝部86a2が形成
されている。さらに、前記細径溝部86a1と、加工カ
セット5の収容ケース86の外周面との少なくとも一方
の連設部位86a3(実施形態では上下両方の連設部位
86a3、86a3)をテーパー部等の外拡状に形成す
る。
【0064】そして、加工カセット5が縫製装置本体2
に装着された状態で、この係合溝86aは水平方向(左
方)に開口する。また前記係合溝86aを収容ケース8
6の下部左端部等の角部の近傍に形成するときには、大
径溝部86a2が収容ケース86の外周面の3方向に開
放されるように形成しても良い。これにより、当該大径
溝部86a2を前記大径部42bに対して一層被嵌し易
くなる。
【0065】また、収容ケース86の下部右端部には、
揺動アーム40に付設された係合部材44aが係合可能
となるように凹んだ係合凹所86bが形成されている。
【0066】ここで、揺動アーム40への加工カセット
5の着脱について説明する。加工カセット5を揺動アー
ム40へ装着する際、加工カセット5を左下がりの傾斜
姿勢にして把持し、安全カバー3の前方移動により形成
されたカセット取付口68から挿入して、係合溝86a
を係合ピン42に係合させる。その場合、係合溝86a
における細径溝部86a1と加工カセット5の収容ケー
ス86における外周面との連設部位86a3、86a3
がテーパー状等に外拡状に形成されているので、細径の
ピン軸42aへの被嵌動作を円滑に行える。また、ピン
軸42aの自由端側の大径部42bが前記係合溝86a
における細径溝部86a1に連設した大径溝部86a2
に嵌まるので、加工カセット5がピン軸42aのピン軸
線に沿って横ずれ移動することがなく、所定の位置にき
っちりとセットすることができるという効果を奏する。
【0067】さらに、カセット取外し姿勢付与手段16
0における一方の支持ピン162cが加工カセット5の
下面を支持する一方、他方の支持ピン161cが加工カ
セット5の側面を支持するので、当該加工カセット5を
前記後上がり傾斜状態にてセットできる。このようにし
て、ユーザーが誤った姿勢による加工カセット5の装着
を確実に防止できるのである。
【0068】その後、加工カセット5をほぼ水平となる
縫製可能な位置になるまで時計回りに回動させる。図1
6に示すように、係合部材44aは加工カセット5の右
下端部分に接触可能な姿勢に揺動アーム40に係合して
保持されており、加工カセット5が縫製可能な位置に切
換わる少し前に係合部材44aに接触し、係合部材44
aを捩じりバネ44dの付勢力に抗して反時計回りに回
動させつつ、加工カセット5が縫製可能な位置に切換わ
る。
【0069】すると、係合部材44aが捩じりバネ44
dの付勢力により時計回りに少し回動復帰して係合凹所
86bに係合して、この縫製可能な位置に収容ケース8
6が回動規制されて揺動アーム40に固定的に装着され
る。また、加工カセット5を縫製可能な位置に回動させ
る際、前記カセット取外し姿勢付与手段160における
姿勢保持体164の位置固定的な間隔保持片164aに
て他方のストッパーピン161cが当接し、且つ捩じり
ばね163の他方の自由端がストッパーピン161cの
外側にて押圧しているが、一方の姿勢付与体161の支
持ピン161bが加工カセット5の下面に押されて、図
16の時計方向に回動し、ストッパーピン162cを介
して捩じりばね163を弾性捩じりさせるから、加工カ
セット5は、縫製可能な位置においてねじりばねバネ1
63により上方へ付勢された状態で、係合部材44aが
係合凹所86bに係合して回動規制されて装着される。
【0070】このように、加工カセット5が縫製可能な
姿勢となる揺動アーム40のアーム部40aの先端側が
略水平状等の下向き回動時には、当該アーム部40aの
中途部に設けられた係合部材44aの後端部は、位置固
定側である前面板19に枢支された操作部材44bの先
端部から離間しているから、ユーザーが誤って操作部材
44bを操作しても、加工カセット5は揺動アーム40
から外れることがなく、従って、加工カセット5の下端
から突出している中空針80がたとえ刺繍枠4上の布7
0に突き刺さった状態であっても加工カセット5は加工
装置本体2から不用意に外れず、中空針80が折れ曲が
ったり、布70が破損する等の事故を確実に防止するこ
とができる。
【0071】揺動アーム40が上限位置に位置している
状態で、この揺動アーム40への加工カセット5の装着
が行われるが、前述のように、収容ケース86が揺動ア
ーム40に固定的に装着されると、開閉蓋87の被係止
部87aが縫製装置本体2の前面板19のピン(図示せ
ず)に上側から当接するように係止され、開閉蓋87の
案内ピン105 が、収容ケース86の大きな揺動にもかか
わらず、僅かにしか揺動しないので、縫製装置本体2に
対してほぼ固定された状態となる。尚、開閉蓋87を縫
製装置本体2に完全に固定してもよい。
【0072】加工カセット5を揺動アーム40から取外
す際には、加工カセット5における中空針81が刺繍枠
4における布70より上方位置となるように揺動アーム
40を上向きに回動させた図16の上限状態おいて、前
面板19に枢支された操作部材44bの先端部に対して
揺動アーム40のアーム部40aに枢支された係合部材
44aの後端部が接近するので、操作部材44bを時計
回り方向へ回動操作すれば(図19参照)、この操作部
材44bを介して係合部材44aを捩じりバネ44dの
付勢力に抗して時計回り方向へ回動させることができ
る。
【0073】そうすると、図19に示すように、係合部
材44aが係合凹所86bから係合解除し、操作部材4
4bによる操作終了後、係合部材44aが再度係合凹所
86bに係合しない位置まで、前記カセット取外し姿勢
付与手段160における捩じりばね163の弾性力によ
り、右の姿勢付与体160が図19で反時計方向に回動
して、加工カセット5が反時計回り方向へ回動されて上
昇し(図19実線状態参照)、この状態から、加工カセ
ット5を装着時と逆に操作して揺動アーム40から取外
すことができる。但し、操作部材44bを回動操作して
いないときには、操作部材44bは、捩じりバネ44d
等により略水平姿勢に保持された状態で支持されてい
る。
【0074】尚、操作部材44bを上側へ露出させるよ
うに、ケーシング10の上壁部10dは切欠き空間10
a側から切欠かれ、その切欠かれた部分に対応させて、
安全カバー3の上壁部には、前記縫製用位置において開
口部が形成されているため、操作部材44bを外部から
操作できる。
【0075】図7に示すように、カセット本体80の収
容ケース86には、収納部90に収納した糸駒82の糸
Tの残量を外部から視認可能な残量視認部としての開口
部86cが、収容ケース86の収納部90の前側の前壁
に形成され、更に、カセット本体80の開閉蓋87の上
面部に、収納部90に収納した糸駒82の糸Tの色と同
色又は類似色を表示する糸色表示部87bが、前記同色
又は類似色のシールを接着する等して設けられている。
【0076】糸駒82の鍔部82bは透明又は半透明で
あり、それ故、この糸駒82に巻かれた糸の残量を開口
部86cから鍔部82bを介して視認することができ
る。また、糸色表示部87bを開閉蓋87の上面部に設
けることにより、縫製装置本体2に加工カセット5を装
着した状態で、糸色表示部87bを視認可能に外界へ露
出させることができる。
【0077】中空針81はカセット本体80の左部に略
立向きに配設されている。図10〜図12に示すよう
に、中空針81の少なくとも上端部分が収容ケース86
に固着された筒状の針支持部材95に支持されて、中空
針81の下端側部分がカセット本体80の下側へ突出し
ている。この中空針81の先端開口部分は左側から下方
右側へ傾斜するように尖っており、加工カセット5が縫
製装置本体2に装着されたときに、その最先端部が中空
針81のうち揺動アーム40の揺動中心側端部(右端
部)にほぼ位置する。
【0078】収納部90は、収容ケース86の右半部に
おいて、収容ケース86の円弧壁90aに囲繞された部
分に形成され、この収納部90に収容された糸駒82
は、収容ケース86の軸部材90bに摺動自在に内嵌さ
れ回転可能に支持されている。糸駒82から延びる糸T
は、円弧壁90aの間の糸通過口90cから逆流防止機
構92を経て中空針81の上端からその孔に導入され、
中空針81の下端から加工カセット5の外部へ繰り出さ
れている。
【0079】尚、糸駒82に巻き付けられた上糸である
糸Tはやや太めの糸であり、中空針81の孔はこの糸T
を糸通しできる大きさに形成されている。尚、中空針8
1の下端から糸Tがある程度の長さ繰り出された状態で
縫製が開始される。
【0080】針カバー83は、中空針81の先端部をカ
バーするカバー位置と、このカバー位置から上側へ退避
して中空針81の布70への貫通を可能にする退避位置
に亙って移動可能に構成されている。この針カバー83
は、縫製加工の際に布70を押える押え足でもあり、カ
バー部83a(押え部)と、カバー部83aの右端部側
から上方へ延びる被ガイド部83bとを一体形成して構
成されている。
【0081】カバー部83aには中空針81が通過可能
な針通過孔83cが形成され、被ガイド部83bが収容
ケース86に上下移動自在にガイドされ、被ガイド部8
3bと収容ケース86の間に圧縮コイルバネ84が介装
されている。被ガイド部83bの上下方向中央部に突出
部83dが右方突出状に設けられ、この突出部83d
が、被ガイド部83bを上下方向にガイドするリブ86
dの上端部に当接した状態で、針カバー83がカバー位
置になり、針通過孔83cの内側に中空針81の先端部
が位置してカバー部83aでカバーされる。そのカバー
位置から針カバー83が中空針81に対して上方へ移動
すると退避位置になり、中空針81が針通過孔83cを
通過してカバー部83aの下側へ突出する。
【0082】移動禁止機構85は、図10〜図12、図
23〜図25に示すように、収容ケース86内部の左右
方向中央部の下部に配設された移動禁止部材100 を有す
る。この移動禁止部材100 は、鉛直な枢支軸部100aと、
枢支軸部100aの左側に位置するロック部100bと、枢支軸
部100aの右側に位置する入力部100cとを一体形成して構
成されている。移動禁止部材100 は、その枢支軸部100a
が収容ケース86に枢支されて、鉛直軸心回りに回動自
在且つ上下移動不能に設けられている。
【0083】ロック部100bは上下方向に比較的に長く、
その下端部が、前記カバー位置に位置する針カバー83
の突出部83d、つまり、リブ86dの上面に当接して
いる突出部83dの上面にほぼ当接する。この状態で、
ロック部100bがリブ86eと突出部83dの間に介入さ
れた状態となり、カバー位置における針カバー83がロ
ックされ上方へ移動できなくなる。移動禁止部材100
は、このロック位置(図23参照)と、ロック部100bが
突出部83dの上下移動軌跡上から退避したロック解除
位置(図24参照)とに亙って回動可能であり、移動禁
止部材100 がロック解除位置のときに、針カバー83が
上方へ移動可能になる。
【0084】枢支軸部100aには捩じりバネ100dが外装さ
れ、この捩じりバネ100dにより移動禁止部材100 は前記
ロック位置に回動付勢されて、加工カセット5が縫製装
置本体2から取外されている状態では、移動禁止部材10
0 はこのロック位置に保持さている。収容ケース86の
前壁には入力部100cに対応する開口86fが形成され、
移動禁止部材100 がロック位置に位置しているときに
は、入力部100cがその開口86fから外部へ臨んだ状態
となる。
【0085】図25に示すように、前記開口86fは下
端開放状に形成され、入力部100cの下部には上方外側へ
傾斜するテーパ部100eが形成されている。前述のよう
に、揺動アーム40にはロック解除ピン43が設けられ
ており、加工カセット5が揺動アーム40に装着される
と、ロック解除ピン43が開口86fにその下側から入
り込み、そのロック解除ピン43が入力部100cのテーパ
部100eに係合して、移動禁止部材100 を捩じりバネ100d
の付勢力に抗してロック位置からロック解除位置へ回動
させて針カバー84のロックを解除する。
【0086】このように、移動禁止機構100 は、加工カ
セット5を縫製装置本体2から取外した状態では、前記
カバー位置における針カバー83の移動を禁止すると共
に、加工カセット5を縫製装置本体2に装着した状態で
は、前記カバー位置から退避位置への針カバー83の移
動を許容するように構成されている。
【0087】空転防止機構91は、図10〜図12に示
すように、糸駒82の一方の鍔部82bに接触可能な接
触子101 と、この接触子101 を鍔部82bに押圧するよ
うに付勢する捩じりバネ102 とを有し、接触子101 と鍔
部82bの間に作用する摩擦力により、糸駒82の空転
を防止するように構成してある。接触子101 は収容ケー
ス86の収納部90の近くの軸部103 に回動可能に枢支
され、その軸部103 に捩じりバネ102 が装着されてい
る。接触子101 の先端部が円弧壁90a間の隙間90d
を通って収納部90内の糸駒82の鍔部82bに接触し
ている。
【0088】逆流防止機構92は、図10、図11、図
13、図26に示すように、案内ピン105 (軸状部材)
とこの案内ピン105 に当接する板バネ部材106 との2つ
の逆流防止部材を有し、これら案内ピン105 と板バネ部
材106 の間に、微小隙間の糸通過部107 を構成し、この
糸通過部107 に糸駒82から延びる糸Tを通過させその
糸Tに案内ピン105 と板バネ部材106 との接触による摩
擦抵抗を作用させるように構成してある。
【0089】案内ピン105 は、その両端部を開閉蓋87
の左部に形成された前後のボス87cに内嵌させて固定
され、板バネ部材106 は、左方下がりの傾斜姿勢で案内
ピン105 を押圧するように、開閉蓋87に嵌め込んで固
定されている。案内ピン105の外周部中央部分には環状
凹部105aが形成され、この環状凹部105aと板バネ部材10
6 とで前記糸通過部107 が構成されている。これによ
り、糸通過部107 を通過する糸Tに適度な摩擦抵抗を付
与すると共に、その糸Tを中空針81へ確実に案内する
ことができる。
【0090】ロック機構93は、図10〜図12、図2
7に示すように、加工カセット5を縫製装置本体2から
離脱させた状態において、収容ケース86に対して開閉
蓋87を一体的にロックする機構であって、収容ケース
86の右部側に配設されたロック部材110 を有する。こ
のロック部材110 は、枢支部110a,110b 、係合部110c、
入力部110dを一体形成して構成され、枢支部110a,110b
が収容ケース86に鉛直軸心回りに回動自在に枢支さ
れ、ロック位置(図10参照)とロック解除位置(図1
1参照)とに亙って位置切換え可能である。
【0091】ロック部材110 は上下方向には移動不能で
あり、捩じりバネ111 によりロック位置に付勢されてい
る。ロック部材110 の上部に係合部110cが左方突出状に
形成され、ロック部材110 の下端部に入力部110dが左方
突出状に形成され、これら係合部110cと入力部110dが、
収容ケース86の前壁の上部と係合溝86aの奥端壁に
形成された穴86g,86hから夫々左方へ突出可能で
ある。
【0092】加工カセット5が揺動アーム40に装着さ
れていない状態では、開閉蓋87が閉位置であり、この
状態で、ロック位置のロック部材110 の係合部110cが、
開閉蓋87の前壁から右方(内側)へ突出した被係合片
87dに上側から当接して係合するため、収容ケース8
6に対して開閉蓋87が上方へ移動不能となって閉位置
で一体的にロックされる。
【0093】加工カセット5を揺動アーム40に装着す
る際、前述のように、揺動アーム40の係合ピン42に
収容ケース86の係合溝86aが係合するのに伴い、そ
の係合ピン42がロック部材110 の入力部110dを右方へ
押動するため、ロック部材110 がロック位置からロック
解除位置に切換えられる。ロック解除位置のロック部材
110 の係合部110cは被係合片87dから係合解除した状
態となり、収容ケース86に対して開閉蓋87が上方へ
移動可能になりロック解除される。
【0094】通常、開閉蓋87が閉位置に位置する状態
で、加工カセット5が揺動アーム40から取外されるた
め、その取外し直後から収容ケース86に対して開閉蓋
87がその閉位置で一体的にロックされる。仮に、開閉
蓋87が閉位置以外に位置する状態で、加工カセット5
が揺動アーム40から取外されると、先ず、ロック部材
110 が開閉蓋87をロックしない状態でロック位置に切
換わるが、ロック部材110 の係合部110cの左端状部には
左下がりのテーパ部が形成されているため、その後、捩
じりバネ88の付勢力により開閉蓋87が閉位置へ回動
され、その際、被係合片87dがテーパ部を介してロッ
ク部材110 をロック解除位置側へ一時的に押動して閉位
置への切換えを可能にする。
【0095】次に、縫製装置1の縫製動作、及びその縫
製動作によって布70に形成される縫目について、図2
8〜図33の説明図と図34、図35に基づいて説明す
る。
【0096】縫製装置本体1に布70を取付けた刺繍枠
4と加工カセット5を装着した状態で、カセット駆動機
構12により加工カセット5を上下に揺動させる。この
とき、収容ケース86と一体的に中空針81、針カバー
83(但し、針カバー83は布70と接触していない状
態のとき)、糸駒82、空転防止機構91等は上下動す
るが、開閉蓋87は縫製装置本体2に対してピン19a
で支持され、その内部に設けた逆流防止機構92は上下
に殆ど移動しない。
【0097】加工カセット5を揺動アーム40に装着し
て初めて縫製を行う際、図28に示すように、中空針8
1の下端から糸Tがある程度の長さ繰り出された状態で
行う。この状態から、収容ケース86が下降すると、図
29に示すように、先ず、押え足である針カバー83が
布70を押えると共にその布70に上側の糸Tを押え
る。針カバー83は布70を押さえると略静止し、続い
て、針カバー83に対して中空針81が下降して布70
に突き刺さる。中空針81が布70に突き刺さる瞬間は
布70に対して略直交し、中空針81の最先端部が中空
針81のうち揺動アーム40の揺動中心側端部に位置す
るため布70のずれを防止する。
【0098】中空針81が弾性膜体73に突き刺さり、
中空針81から延びる糸Tが布70に接触すると、布7
0の特に弾性膜体73の弾性による糸保持力により、布
70に貫通した部分の糸Tが保持される。この状態で、
中空針81(糸駒82及び空転防止機構91)が更に下
降すると、空転防止機構91と逆流防止機構92による
糸引出し抵抗に抗して糸駒82から糸Tが引き出され、
布70の下側に自由ループ75が形成される。尚、この
段階で自由ループ75の約半分の糸Tは中空針81の内
部にある。
【0099】中空針81が布70に突き刺さり下限位置
へ下降する間、その中空針81から予め繰り出された糸
Tが布70の下側へ引っ張られると共に、糸駒82側か
ら糸Tが引き出されて布70の下側に自由ループ75が
形成される。下降する中空針81が布70に突き刺さる
前においても、中空針81から延びる糸Tが針カバー8
3で布70に押えられた後では、その予め繰り出された
糸Tが布70の下側へ引っ張られることをある程度抑え
る。
【0100】次に、収容ケース86が上昇すると、図3
0に示すように、中空針81が下限位置から上昇しその
先端が布70から抜け、続いて、針カバー83による布
押えが解除されて中空針81と共に上限位置まで上昇す
るが、このとき、一定位置に停止している逆流防止機構
92と布70とを結ぶ固定状態の糸Tを通過するように
中空針81が上昇し、布70の下側に形成された自由ル
ープ75が保持された状態でその全部が外部へ露出す
る。一方、中空針81が上限位置へ移動すると、糸駒8
2及び空転防止機構91も上限位置まで移動するが、そ
の際、逆流防止機構92から中空針81側への糸Tの引
き出しがなく、逆流防止機構92と空転防止機構91が
糸Tに糸引き出し抵抗を作用させているため、糸駒82
と逆流防止機構92の間の糸Tが弛んだ状態となる。
【0101】その後、図31に示すように、布70が水
平方向へ移動すると、中空針81から延びる糸Tが布7
0に保持されているため、その糸保持力で糸Tが引っ張
られ、糸駒82と逆流防止機構92の間の弛んだ糸Tが
逆流防止機構92を介して引き出される。このとき、布
70による糸保持力は、逆流防止機構92だけによる糸
引き出し抵抗よりも格段に大きいため、自由ループ75
の糸Tが中空針81側へ引っ張られ抜ける虞はない。
【0102】布70が水平方向へ移動した後、収容ケー
ス86が下降し、図32に示すように、針カバー83が
布70を押えて中空針81が布70に突き刺さる。中空
針81が上限位置から下限位置へ下降する際、糸駒82
と逆流防止機構92の間の弛んだ残りの糸Tが引き出さ
れると、続いて糸駒82が回転して糸Tが繰り出され
る。その糸Tには空転防止機構91と逆流防止機構92
による糸引き出し抵抗が作用するが、空転防止機構91
と逆流防止機構92による糸引出し抵抗は布70による
糸保持力よりも小さいため、更に、針カバー83により
糸Tを布70に押えることができるため、前回形成した
の自由ループ75が引っ張られて布70から抜けること
なく、今回の自由ループ75が形成される。
【0103】次に、図33に示すように、中空針81と
針カバー83が上昇し、その後、図31〜図33が繰り
返し行われる。このように、布70の弾性による糸保持
力により、各縫製加工毎に布70に糸を残留させながら
縫製加工を施し、図34に示すように、上糸Tにより布
70の裏面側に多数の自由ループ75が形成されて、布
70の表面に刺繍模様76の縫目が形成される。そし
て、この布70の裏面に多数の自由ループ75を固着す
る固着材としての両面テープ77を粘着すると、図35
に示す模様被加工物である模様縫製布78が形成され
る。
【0104】この両面テープ77により、自由ループ7
5の抜出しが生じないため、他の糸やその前後の縫目の
糸で糸を定着させることなく、布70の表面の刺繍模様
76がほつれることがなく安定する。そして、この模様
縫製布78をワッペンとして両面テープ77を介して種
々のものに粘着し固定することができる。尚、両面テー
プ77の他に、布70の自由ループ75が残留する裏面
に、種々の粘着剤や接着剤を層状に塗布してもよいし、
これら種々の粘着剤や接着剤のテープを形成し、そのテ
ープで布70の裏面に複数の自由ループ75を固着して
もよい。
【0105】この自由ループ75が布70の裏面側に多
数位置しているので、その布70の裏面に両面テープ7
7を貼り付けた場合に、両面テープ77に凹凸が生じ
る。それ故、この布70をワッペン等として両面テープ
77を介して衣服に貼り付ける際に、貼り付けられる衣
類は柔らかく、こういったワッペンがはがれやすいとい
う面があるが、その凹凸のため粘着性を向上させること
ができる。この凹凸が個々の自由ループ毎に形成される
か或いは複数の自由ループにより形成されるかは糸や両
面テープの材質による。
【0106】次に、図16〜図22を参照しながら、糸
切断手段130 について説明する。縫製装置1には、縫製
装置本体2に装着されている加工カセット5を交換する
際、その加工カセット5から延びて刺繍枠4の布70に
繋がった糸Tを切断する糸切断手段130 が設けられてい
る。前述のように、縫製装置本体2には、加工カセット
5を縫製装置本体2(揺動アーム40)から取外す為に
操作される操作部材44bが設けられており、この操作
部材44bの操作に応じて、糸切断手段130が作動して
糸Tの切断を行うように構成してある。
【0107】この糸切断手段130 は、操作部材44bの
近くにおいて前面板19の裏面側にて枢支されて左方へ
一直線状に延びる駆動レバーとしての糸切りレバー131
と、糸切りレバー131 の左端部に連結された4リンク機
構132 と、4リンク機構132を介して開閉される1対の
糸切断刃133,134 と、前記操作部材44bの操作により
糸切りレバー131 を作動させる連動部135 とから構成さ
れている。
【0108】そして、縫製装置本体2から加工カセット
5を取外す為の操作部材44bの操作により、前記加工
カセット5を係合ピン42の箇所で前記取外し可能姿勢
にさせた直後に糸切りレバー131 を介して4リンク機構
132 により糸切り動作を行うようになっている。尚、糸
切りレバー131 と4リンク機構132 等が可動部材に相当
する。
【0109】糸切りレバー131 は前面板19の後側に配
設されている。図16は糸切断手段130 や加工カセット
5等を示す正面図、図17は図16に対応する左側面
図、図18は平面図、図19は揺動アーム40が上昇位
置の正面図、図20は図19に対応する左側面図、図2
1は前面板19や糸切断手段130 を背面側から見た図で
あり、糸切断時の図、図22は図21に対応する左側面
図である。糸切りレバー131 の右寄り部位が後向きの枢
支軸140 を介して前面板19に枢支されている。
【0110】図21等に示すように、糸切りレバー131
における前記枢支軸140 よりも4リンク機構132 に近い
側と、前面板19との間に引っ張りコイルバネ141 が装
架されて、当該糸切りレバー131 の先端側(4リンク機
構132 )側を下向き付勢されている。そして、糸切りレ
バー131 の基端側から前向きに突設した当接ピン136が
前面板19に穿設された縦長のガイド孔137 を介して、
操作部材44bの下面側に臨み、当該操作部材44bを
所定角度以上下向き回動するとき、当接ピン136 を介し
て糸切りレバー131 の先端側を上向き回動させるように
構成されている。この構成が連動部135 である。
【0111】4リンク機構132 は、糸切断刃133,134 を
備えた一対の鋏状リンク145,146 と、該一対の鋏状リン
ク145,146 を駆動させるための一対の連動リンク143,14
4 とからなる。連動リンク143,144 の上端部が共通の軸
147 を介して糸切りレバー131 の左端部(先端部)に回
動自在に連結されている。これら連動リンク143,144の
下端部に夫々軸148,149 を介して鋏状リンク145,146 の
上端部が回動自在に連結され、これら鋏状リンク145,14
6 の長さ方向途中部が共通の軸150 を介して前面板19
に回動自在に枢支されている。鋏状リンク145,146 の下
方の先端部分に夫々糸切断刃133,134 が対向して形成さ
れ、糸切りレバー131 が下限位置(図16参照)のと
き、軸147,150 が最も接近し、1対の糸切断刃133,134
が最大限開放し、糸切りレバー131 が上限位置のとき
(図21参照)、軸147,150 が離間し、1対の糸切断刃
133,134 が閉じた状態になる。
【0112】なお、糸切断刃133,134 は上糸Tの緊張・
弛みの如何に拘らず、上糸Tが所定の糸切断刃133,134
に接近した位置に位置していれば、糸切断刃133,134 に
よって上糸Tを切断可能である。
【0113】糸切りレバー131 の回動範囲は、前記前面
板19に穿設されたガイド孔137 と当接ピン136 とによ
り規制されている。即ち、当接ピン136 の上端がガイド
孔137 の上端縁に当接するときが、糸切りレバー131 の
回動下限位置( 図16参照)となり、当接ピン136 の下
端がガイド孔137 の下端縁に当接するときが、糸切りレ
バー131 の回動上限位置( 図21参照)となる。
【0114】次に、この糸切断手段130 の動作について
説明する。
【0115】糸切りレバー131 は、引張コイルバネ14
1により下限位置方向に付勢されているので、1対の糸
切断刃133,134 は開放した状態に維持される。
【0116】他方、揺動アーム40への加工カセット5
の着脱については前に説明したが、図16に示すよう
に、加工カセット5を揺動アーム40に装着する際、係
合溝86aに係合ピン42を係合させた状態で加工カセ
ット5を時計回り方向へ回動させ、係合部材44aが係
合凹所86bに係合して加工カセット5が装着される。
【0117】加工カセット5の交換に際しては、揺動ア
ーム40を上限位置に上げた状態(中空針81が刺繍枠
4上の布70から大きく上に離間した状態)にて、1対
の糸切断刃133,134 により上糸Tを確実に切断するため
に、開放状態の糸切断刃133,134 の間に上糸Tを位置さ
せる必要があるが、これは、制御装置(図示せず)によ
る刺繍枠4の移動制御(糸切断準備処理)によって行わ
れる。即ち、加工カセット5から延びる上糸Tは布70
の最終針落ち点に繋がっているが、糸切断準備処理によ
り、刺繍枠4を後方へ移動させ、最終針落ち点を中空針
81の後側に位置させる。このようにすると、図17に
示すごとく、中空針81の下端開口部と、布70への最
終針落ち点との間で上糸Tは、布70の表面から斜め上
向きに略直線状に延び、開放状態の刃133,134 の間に上
糸Tを加工カセット5の上昇に伴って上昇させ、その上
糸Tを切断刃133,134 に接近させて、確実に上糸Tを切
断刃133,134 によって切断することができる。
【0118】次に、加工カセット5を揺動アーム40か
ら取外す際、図19に示すように、操作部材44bを下
向きに回動操作して、係合部材44aを係合凹所86b
から係合解除させると、カセット取外し姿勢付与手段1
60により加工カセット5を係合ピン42を中心として
反時計回りに回動させて取外し得る姿勢にする。加工カ
セット5を反時計回りに回動させると、当該加工カセッ
ト5の下面に突出している針カバー83が係合ピン42
から離れる方向に回動するので、図20に示すごとく、
中空針81の下端の傾斜開口部から引き出される糸Tの
布70の表面からの立ち上がり角度θが図17の状態よ
り大きくなる。
【0119】前記の状態で、操作部材44bをさらに下
向き回動させると(図21参照)、糸切りレバー131 の
先端側が大きく上昇し、4リンク機構132における連
動リンク143,144 の左右両間隔が狭まり、これを介して
一対の鋏状リンク145,146 の下端部が閉じるとき、布7
0の表面より上方に離れた位置で糸Tの中途部を挟むこ
とができるので、1対の糸切断刃133,134 が閉じとき
に、布70の表面を傷付けることなく上糸Tが切断され
る。
【0120】このように、縫製装置本体2に設けられた
操作部材44bを操作して、加工カセット5を縫製装置
本体2から取外すことができると共に、さらに操作部材
44bの下押し操作にて糸切断手段130 を作動させて糸
Tの切断を行うことができる。
【0121】つまり、操作部材44bの下押し操作を完
了させると、加工カセット5を縫製装置本体2から取外
す姿勢に変更させた状態で、加工カセット5を完全に取
外す前に、糸切断手段130 を作動させることができ、糸
切断手段130 を操作する操作部材を別途設けそれを操作
する必要がないため操作負荷の増大も防止できる。
【0122】それ故、糸Tを切断しない状態で加工カセ
ット5を縫製装置本体2から取外してしまうこと、加工
カセット5を縫製装置本体2から取外さないのに(交換
しないのに)誤って糸Tを切断してしまうこと等を防止
できる。つまり、加工カセット5を縫製装置本体2から
取外す(交換する)為に必要な糸Tの切断を確実に且つ
簡単に行うことができ、糸色(糸駒)の交換をより一層
簡単に行えるようになる。
【0123】尚、図示していないが、操作部材44bの
下押し操作、又は、縫製装置本体2からの加工カセット
5の取外しを検出するセンサを設けると共に、糸切断手
段130 を駆動する電動モータ等のアクチュエータを設
け、前記センサによる検出信号に基づいてアクチュエー
タを駆動し、糸切断手段130 を作動させるように構成し
てもよい。
【0124】中空針81をその先端側部分がカセット本
体80から突出するように固定的に設けて、中空針81
を加工カセット5と共に上下に往復駆動して、布70物
に加工針を貫通させて縫製加工を施すことができるた
め、更に、針カバー83を押え足として兼用したので、
加工カセット5を小型で簡単に構成でき、中空針(加工
カセット5)を往復駆動する機構もを簡単化できるた
め、縫製装置1を小型軽量化するうえで有利になる。
【0125】図36及び図37は、カセット取外し姿勢
付与手段の第2実施形態を示す。この実施形態では、揺
動アーム40のアーム部40aの前面側に配置されてい
る回動可能な姿勢付与アーム166と、該姿勢付与アー
ム166の先端側にて揺動アーム40の前面側に向かっ
て突出する支持ピン167とより構成されている。姿勢
付与アーム166の基端側は揺動アーム40突設した支
軸168の回りに回動可能に装着され、捩じりばね16
9にて先端側が上向き付勢されている。前記支持ピン1
67にて加工カセット5の下面を支持するものである。
【0126】図37に示すように、操作部材44bを下
向きに回動操作して、捩じりバネ付勢された係合部材4
4aを係合凹所86bから係合解除させると、上向き付
勢されている姿勢付与アーム166の先端側が上向き回
動し、その支持ピン167にて加工カセット5を係合ピ
ン42を中心として反時計回りに回動させて取外し得る
姿勢にする。なお、加工カセット5の下面に下向きに突
設した規制片170に前記支持ピン167が規制片17
0に当接して、加工カセット5の尻上がりの傾斜姿勢が
略一定に保持される。また、姿勢付与アーム166の基
端側下面が、揺動アーム40に屈曲する等して設けたス
トッパー片171に衝突すことで、姿勢付与アーム16
6の上向き回動角度の最大値が規制されているから、加
工カセット5を除去しても、姿勢付与アーム166の上
限位置は変動しない。
【0127】図38、図39(a)及び図39(b)に
示すカセット取外し姿勢付与手段としての第3実施形態
では、揺動アーム40におけるアーム部40aには、係
合部材44aを時計回り方向へ回動付勢する捩じりバネ
171と、前記縫製可能な位置の加工カセット5を上方
へ弾性付勢した状態で下側から受け止めるバネ支持手段
としての板バネ172を設けるように構成したものであ
る。板バネ172よる加工カセット5の下面の支持位置
は、なるべく係合部42から離れて遠いことが好まし
い。この実施形態によれば、係合部材44aから外れた
加工カセット5は板バネ172よる上向きの弾力にて、
尻上がり状の傾斜姿勢(図39(b)参照)に保持でき
る。
【0128】なお図40は、前記第3実施形態の変形例
を示し、係合部材44aに直接操作部材44a′を一体
的に突設したもので、この操作部材44a′を操作する
ことより係合部材44aを作動させる構成であっても良
い。
【0129】第1実施形態のカセット取外し姿勢付与手
段160や、第2実施形態及び第3実施形態のカセット
取外し姿勢付与手段を用いることにより、加工カセット
5を縫製装置本体2に装着する際には、加工カセット5
を縫製装置本体2に装着した作業時の姿勢と異なる姿勢
にして一旦保持し、その後、係合ピン42に係合溝86
aを係合させて枢支させる作業を行うことができる。そ
の後、只、係合ピン42を中心として加工カセット5を
回転させるだけで縫製可能な位置に切換える作業を行う
ことができ、そして、係合部材44aに係合凹所86b
を係合させてこの縫製可能な位置に加工カセット5を回
転規制することができる。つまり、加工カセット5や縫
製装置本体2の構造等を鑑みて、加工カセット5を縫製
装置本体2に簡単且つ確実に装着でき、加工カセット5
を正規の装着位置に装着できたか否かを判り易くするこ
とができる。
【0130】逆に、加工カセット5を縫製装置本体2か
ら取り外すに際しては、操作部材44bを所定方向(カ
セット取外し方向)に回動させると、加工カセット5に
おける係合凹所86bから係合部材44aが係合解除さ
れ、それと同時に、前記カセット取外し姿勢付与手段に
より加工カセット5が係合部42の箇所を中心にして傾
斜状の姿勢に変化するから、ユーザーは加工カセット5
の取り出し許容状態であることを容易に認識できる。
【0131】さらに、前記各カセット取外し姿勢付与手
段を用いることにより、係合部42を中心にして加工カ
セット5が尻上がり状の傾斜姿勢をとるので、加工カセ
ット5の下面の針カバー83が、揺動アーム40の上限
位置にあるときよりも上昇する。従って、加工カセット
5から延びる糸Tは布70の最終針落ち点に繋がってい
るが、糸切断準備処理により、刺繍枠4を後方へ移動さ
せ、最終針落ち点を中空針81の後側に位置させると、
図17に示すと同じように、中空針81の下端開口部
と、布70への最終針落ち点との間で糸Tは、布70の
表面から斜め上向きに略直線状に延びる立ち上がり角度
θが大きくなると共に、開放状態の切断刃133,134 の間
に上糸Tを加工カセット5の上昇に伴って上昇させるこ
とができて、糸切断作業を確実に実行できるという効果
を奏する。
【0132】このように、本発明によれば、糸が緊張し
ていても弛んでいても、糸切断手段にて確実に切断でき
るものである。
【0133】また、前記実施形態では、円弧の軌跡を描
く揺動(往復運動)の移動をする係合部材を用いたが、
直線の軌跡を描く往復移動や、往復運動でなく、一定の
循環路での一方向の移動をする係合部材でも良い。さら
に、操作部材の操作に起因して変形し、同様の機能を果
たすように構成しても良い。さらに前記図40に示すよ
うに係合部材と操作部材とを一体的に構成しても良い。
【0134】なお、本発明に係る糸切断手段130 は、加
工カセット5を使用せず、従って、通常の縫針に昇降に
より、上糸と下糸とを絡み合わせて縫製、刺繍作業を実
行するミシンに適用することも可能である。その場合、
加工カセット5を支持し、また昇降させる揺動アーム4
0が不要であることはいうまでもない。
【0135】
【発明の効果】以上に詳述したように、請求項1に記載
の発明の加工装置は、縫製加工用の上下動する針または
糸駒を収納可能に構成された加工カセットを加工装置の
本体に着脱可能に装着して、被加工物に縫製加工を施す
ように構成された加工装置において、前記加工装置本体
に揺動アームを回動可能に装着し、該揺動アームに固定
されて加工カセットを回動自在に支持する係合部と移動
可能な係合部材とにより前記加工カセットを着脱可能に
装着し、前記係合部材を加工カセットの係合解除方向に
操作されるべく、操作部材を関連させる一方、前記揺動
アームには、前記加工カセットを取り出し姿勢に変更さ
せるためのカセット取り出し姿勢付与手段を備えたもの
である。
【0136】このように構成すると、加工カセットを加
工装置本体に装着する際には、加工カセットを加工装置
本体に装着した作業時の姿勢と異なる姿勢にして一旦保
持し、その後、係合部に加工カセットを係合させて枢支
させる作業を行うことができる。その後、只、係合部を
中心として加工カセットを回転させるだけで縫製可能な
位置に切換える作業を行うことができる。
【0137】そして、係合部材にて加工カセットを係合
させて、縫製可能な位置に加工カセットを回転規制する
ことができる。従って、加工カセットを加工装置本体に
簡単且つ確実に装着でき、加工カセットを正規の装着位
置に装着できたか否かを判り易くすることができるとい
う効果を奏する。
【0138】逆に、加工カセットを加工装置本体から取
り外すに際しては、操作部材を所定方向(カセット取外
し方向)に操作させると、加工カセットから係合部材が
係合解除され、それと同時に、前記カセット取外し姿勢
付与手段により加工カセットが係合部の箇所を中心にし
て傾斜状の姿勢に変化するから、ユーザーは加工カセッ
トの取り出し許容状態であることを容易に認識できると
いう効果を奏する。
【0139】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の加工装置において、前記係合部は前記加工カセ
ットの一端部を回動自在に支持するように構成されてい
るから、この係合部の箇所を中心にして加工カセットが
姿勢変更した場合、当該加工カセットの他端部の高さ位
置を大きく変化させることができるので、請求項1に記
載の加工カセットの正規の装着位置でなるか否かもしく
は取り出し許容状態であるか否かの判別が一層容易にな
るという効果を奏する。
【0140】また、前記係合部に前記カセット取り出し
姿勢付与手段が設けられているものであるから、構造が
コンパクトになるという効果を奏する。
【0141】そして、請求項3に記載の発明は、請求項
2に記載の加工装置において、前記カセット取り出し姿
勢付与手段は、前記係合部を挟んで加工カセットの下面
側とそれに交差する他の側面とを支持する一対の姿勢付
与体が、前記係合部に対して相対的に回動自在に支持さ
れ、該両姿勢付与体を、加工カセットの支持間隔が狭ま
る方向に弾力付勢されると共に、最小の支持間隔を保持
できるように構成したものである。このように構成する
と、前記一対の姿勢付与体にて前記係合部を挟んで加工
カセットの下面側とそれに交差する他の側面とを支持
し、且つ加工カセットの支持間隔を最小に保持するの
で、加工カセットの一端部を係合部に対して脱着する作
業が容易になると共に、係合部を中心にする加工カセッ
トの姿勢変更も前記弾力付勢に抗して容易にできるとい
う効果を奏する。
【0142】他方、請求項4に記載の発明は、請求項1
に記載の加工装置において、前記カセット取り出し姿勢
付与手段は、前記揺動アームに対して回動可能に枢支さ
れた姿勢付与アームと、該姿勢付与アームに設けられて
加工カセットの下面側を支持する支持ピンとから構成さ
れており、前記姿勢付与アームは、前記加工カセットを
係合解除方向にバネ付勢されているものであるから、加
工カセットを係合部と姿勢付与アームとに対して上方か
らセットする操作が至極容易となると共に、加工カセッ
トの取外し作業も容易にできるという効果を奏する。
【0143】さらに、請求項5に記載の発明は、請求項
1に記載の加工装置において、前記カセット取り出し姿
勢付与手段が、前記揺動アームに設けられて、前記加工
カセットを係合解除方向に付勢するバネ支持手段である
から、この場合も、加工カセットを係合部とバネ支持手
段とに対して上方からセットする操作が至極容易となる
と共に、加工カセットの取外し作業も容易にできるとい
う効果を奏する。
【0144】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請
求項5のいずれかに記載の加工装置において、前記加工
カセットが加工装置本体に装着状態で前記針が所定以上
に突出しているときには、当該加工カセットの姿勢変更
が不能となるように構成されているものである。その姿
勢変更不能の形態は、例えば、操作部材が係合部材を操
作不能となる形態である。このような構成により、針が
所定以上に突出している状態で加工カセットの姿勢を変
更不能とすれば、ユーザーが不注意で姿勢変更できず、
針や加工カセットが破損することがなく安全であるとい
う効果を奏する。
【0145】また、請求項7に記載の発明は、請求項1
乃至請求項6のいずれかに記載の加工装置において、前
記加工装置本体には、前記加工カセットの近傍に配置す
る糸切断手段と、該糸切断手段を作動させる駆動レバー
とを配置し、前記操作部材による加工カセットの係合解
除方向への操作に連動して、前記駆動レバーを糸切断方
向に回動駆動するように構成したものである。
【0146】こように構成すれば、係合部を中心にして
加工カセットが傾斜姿勢をとるので、被加工物に繋がる
糸が加工カセットの上昇に伴って、切断刃の間に上昇さ
せることができて、糸切断手段による糸の切断作業を確
実に実行できるという効果を奏する。
【0147】また、前記操作部材による加工カセットの
係合解除方向への操作に連動して、前記駆動レバーを糸
切断方向に回動駆動するように構成したものであるか
ら、ワンタッチ操作にて、加工カセットの姿勢変更と糸
切断作業とを実行できて操作性が向上するという効果も
奏する。
【0148】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請
求項7のいずれかに記載の加工装置において、前記糸切
断手段は、糸切断刃を備えた一対の鋏状リンクと、該一
対の鋏状リンクを駆動させるための連動リンクとからな
る4リンク機構にて構成したものであるから、糸切断刃
を備えた一対の鋏状リンクを、縫製作業中の加工カセッ
トからの糸及び針から大きく離れた位置に配置して縫製
作業に邪魔にならないようにすることができると共に、
糸切断時には、4リンク機構を介して糸切断刃を切断箇
所に確実に接近させて糸切りできるという効果を奏す
る。
【0149】請求項9に記載の発明は、請求項8に記載
の加工装置において、前記4リンク機構からなる糸切断
手段は、前記針または加工カセットから出ている糸の近
くに配置するための一対の鋏状リンクの中途部を、前記
加工装置本体に回動可能に枢支させ、前記駆動レバー
は、前記操作部材による加工カセットの係合解除の操作
に連動させて糸切断方向に回動するように構成されてい
るものであるから、一対の鋏状リンクの回動中心となる
中途部が加工装置本体に位置決めされて枢支されている
から、切断刃による切断作用位置が安定しており、ま
た、連動リンクを介して駆動レバーが一対の鋏状リンク
の切断刃と反対側に配置できて、駆動レバーの動きが一
対の切断刃による糸切断作用を邪魔しないようにするこ
とができるという効果を奏する。
【0150】また、加工カセットを取外す作業に連動し
て、駆動レバーを駆動させて糸切断手段を作動し、加工
カセットから被加工物に繋がる糸を簡単に切断でき、縫
製作業の能率化を図ることができるという効果を奏す
る。
【0151】請求項10に記載の発明は、請求項1乃至
請求項9のいずれかに記載の加工装置において、前記係
合部材と前記操作部材とが一体的に構成されているもの
である。このように構成すれば、部品点数が少なくなる
と共に構造もコンパクトになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る縫製装置とゲーム機等
の斜視図である。
【図2】縫製装置(安全カバーが収納用位置の状態)の
斜視図である。
【図3】刺繍枠駆動機構等を示す平面図である。
【図4】カム部材の正面図である。
【図5】刺繍枠の斜視図である。
【図6】刺繍枠の部分的な縦断面図である。
【図7】加工カセットの正面図である。
【図8】加工カセットの背面図である。
【図9】加工カセットの左側面図である。
【図10】加工カセット(閉状態)の縦断面図である。
【図11】加工カセット(開状態)の縦断面図である。
【図12】加工カセットの収容ケース側の縦断面図であ
る。
【図13】加工カセットの開閉蓋側の縦断面図である。
【図14】加工カセット、揺動アームの一部及びカセッ
ト取外し姿勢付与手段の部品の分解斜視図である。
【図15】加工カセット及び揺動アームにカセット取外
し姿勢付与手段を装着した状態の斜視図である。
【図16】装着状態における加工カセットと揺動アーム
等の正面図である。
【図17】図16に対応する左側面図である。
【図18】揺動アームと糸切断手段の加工カセット未装
着状態の平面図である。
【図19】揺動アームから加工カセットを取外し準備状
態の正面図である。
【図20】図19に対応する左側面図である。
【図21】糸切断状態を示す前面板裏面図である。
【図22】図21に対応する左側面図である。
【図23】移動禁止機構(ロック状態)の平面図であ
る。
【図24】移動禁止機構(ロック解除状態)の平面図で
ある。
【図25】移動禁止機構の側面図である。
【図26】逆流防止機構の縦断面図である。
【図27】ロック機構のロック部材の側面図である。
【図28】縫製動作の説明図(縫製開始前)である。
【図29】縫製動作の説明図(1針目の針落ち時)であ
る。
【図30】縫製動作の説明図(1針目の針落ち直後の針
上がり状態)である。
【図31】縫製動作の説明図(布送り時)である。
【図32】縫製動作の説明図(1針目以降の針落ち時)
である。
【図33】縫製動作の説明図(1針目以降の針上がり状
態)である。
【図34】布及びそれに形成された刺繍模様と両面テー
プの断面図である。
【図35】模様縫製布の断面図である。
【図36】カセット取外し姿勢付与手段の第2実施形態
を示す正面図である。
【図37】第2実施形態における加工カセット取外し姿
勢を示す正面図である。
【図38】カセット取外し姿勢付与手段の第3実施形態
を示す斜視図である。
【図39】(a)は第3実施形態における加工カセット
装着による縫製作業姿勢を示す正面図、(b)は第3実
施形態における加工カセット取外し姿勢を示す正面図で
ある。
【図40】カセット取外し姿勢付与手段の第3実施形態
の変形例示す斜視図である。
【符号の説明】
T 糸 1 縫製装置 2 縫製装置本体 3 安全カバー 4 刺繍枠 5 加工カセット 40 揺動アーム 42 係合部としての係合ピン 42a 細径ピン軸 42b 大径部 44a 係合部材 44b 操作部材 70 布 81 中空針 82 糸駒 83 針カバー 86 収容ケース 86a 係合溝 130 糸切断手段 131 駆動レバーとしての糸切りレバー 132 4リンク機構 133、134 糸切断刃 135 連動部 136 当接ピン 137 ガイド孔 140 枢支軸 141 引張コイルバネ 143、144 連動リンク 145、146 鋏状リンク 160 カセット取外し姿勢付与手段 161、162 姿勢付与体 161c、162c 支持ピン 161d、162d ストッパーピン 163 捩じりばね 164 姿勢保持体 164a 間隔保持片 166 姿勢付与アーム 167 支持ピン 169 捩じりばね 171 ストッパー片 172 板バネ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縫製加工用の上下動する針または糸駒を
    収納可能に構成された加工カセットを加工装置の本体に
    着脱可能に装着して、被加工物に縫製加工を施すように
    構成された加工装置において、 前記加工装置本体に揺動アームを回動可能に装着し、 該揺動アームに固定されて加工カセットを回動自在に支
    持する係合部と移動可能な係合部材とにより前記加工カ
    セットを着脱可能に装着し、 前記係合部材を加工カセットの係合解除方向に操作され
    るべく、操作部材を関連させる一方、 前記揺動アームには、前記加工カセットを取り出し姿勢
    に変更させるためのカセット取り出し姿勢付与手段を備
    えたことを特徴とする加工装置。
  2. 【請求項2】 前記係合部は前記加工カセットの一端部
    を回動自在に支持するように構成されており、該係合部
    に前記カセット取り出し姿勢付与手段が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
  3. 【請求項3】 前記カセット取り出し姿勢付与手段は、
    前記係合部を挟んで加工カセットの下面側とそれに交差
    する他の側面とを支持する一対の姿勢付与体が、前記係
    合部に対して相対的に回動自在に支持され、該両姿勢付
    与体を、加工カセットの支持間隔が狭まる方向に弾力付
    勢されると共に、最小の支持間隔を保持できるように構
    成したことを特徴とする請求項2に記載の加工装置。
  4. 【請求項4】 前記カセット取り出し姿勢付与手段は、
    前記揺動アームに対して回動可能に枢支された姿勢付与
    アームと、該姿勢付与アームに設けられて加工カセット
    の下面側を支持する支持ピンとから構成されており、前
    記姿勢付与アームは、前記加工カセットを係合解除方向
    にバネ付勢されていることを特徴とする請求項1に記載
    の加工装置。
  5. 【請求項5】 前記カセット取り出し姿勢付与手段は、
    前記揺動アームに設けられて、前記加工カセットを係合
    解除方向に付勢するバネ支持手段であることを特徴とす
    る請求項1に記載の加工装置。
  6. 【請求項6】 前記加工カセットが加工装置本体に装着
    状態で前記針が所定以上に突出しているときには、当該
    加工カセットの姿勢変更が不能となるように構成されて
    いることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか
    に記載の加工装置。
  7. 【請求項7】 前記加工装置本体には、前記加工カセッ
    トの近傍に配置する糸切断手段と、該糸切断手段を作動
    させる駆動レバーとを配置し、 前記操作部材による加工カセットの係合解除方向への操
    作に連動して、前記駆動レバーを糸切断方向に回動駆動
    するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求
    項6のいずれかに記載の加工装置。
  8. 【請求項8】 前記糸切断手段は、糸切断刃を備えた一
    対の鋏状リンクと、該一対の鋏状リンクを駆動させるた
    めの連動リンクとからなる4リンク機構にて構成したこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載
    の加工装置。
  9. 【請求項9】 前記4リンク機構からなる糸切断手段
    は、前記針または加工カセットから出ている糸の近くに
    配置するための一対の鋏状リンクの中途部を、前記加工
    装置本体に回動可能に枢支させ、前記駆動レバーは、前
    記操作部材による加工カセットの係合解除の操作に連動
    させて糸切断方向に回動するように構成されていること
    を特徴とする請求項8に記載の加工装置。
  10. 【請求項10】 前記係合部材と前記操作部材とが一体
    的に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求
    項9のいずれかに記載の加工装置。
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