JP2002191890A - 加工カセット及び加工装置 - Google Patents

加工カセット及び加工装置

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JP2002191890A
JP2002191890A JP2000396876A JP2000396876A JP2002191890A JP 2002191890 A JP2002191890 A JP 2002191890A JP 2000396876 A JP2000396876 A JP 2000396876A JP 2000396876 A JP2000396876 A JP 2000396876A JP 2002191890 A JP2002191890 A JP 2002191890A
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利幸 間宮
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工カセット5を縫製装置本体の揺動アーム
40に対して着脱作業を容易にできるようにする。 【解決手段】 揺動アーム40の先端部に横向き突設し
た係合ピン42を、細径ピン軸42aとその自由端の大
径部42bとにより形成する一方、加工カセット5の収
容ケース86の外周一側部に、前記係合ピン42に着脱
させて支持するための横向きU字状の係合溝86を形成
するに際して、細径ピン軸42aに被嵌する細径溝部8
6a1と、大径部42bに被嵌する大径溝部86a2と
を連設して形成すると共に、細径溝部86a1が収容ケ
ース86の外周一側部に開口する連設部位86a3、8
6a3をテーパー状に外拡状に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は縫製加工用の加工カ
セット及びその加工カセットを着脱可能に装着できる加
工装置の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ミシン等の縫製装置では、上糸を
通した縫針が昇降駆動され、その縫針が糸捕足機構や天
秤機構や糸調子機構等と協働して縫製が行われる。通
常、縫針を下端部に装着した針棒が縫製装置本体に上下
動可能に装着され、この縫針に上糸を供給する糸供給源
として、縫製装置本体に交換可能に装着される糸駒が使
用される。
【0003】それ故、家庭用のミシン等、縫製装置本体
に装着した1本の針棒が上下動して縫製を行う縫製装置
では、縫製に供する糸駒の上糸が消費された場合や、カ
ラフルな模様を縫製するために上糸の色を替える場合
に、糸駒を交換すると共に、その都度、糸駒から延びる
上糸を縫製装置本体の複数の糸掛部に掛けてから針孔へ
通す作業が必要となる。
【0004】一方、糸駒(更には縫針)を装備した縫製
用カートリッジ(縫製用カセット)を設け、この縫製用
カートリッジを縫製装置本体に着脱可能に装着して布に
縫製を施すことができる種々の縫製装置が実用に供され
ている。この種の縫製装置では、縫製に供する糸駒の上
糸が消費された場合や、カラフルな模様を縫製するため
に上糸の色を替える場合に、縫製装置本体に装着する縫
製用カートリッジ(糸駒)を容易に交換し行うことがで
きるため有効である。
【0005】ところで、最近では、ハンディな小型軽量
の縫製装置や縫製機器も市販されているが、近い将来、
子供等でも取り扱いが容易な刺繍機能のある縫製装置が
実用に供されるものと想定される。そのような場合、簡
単に糸色(糸駒)を交換できるように、前記縫製用カー
トリッジを備えた縫製装置の適用が考えられるが、糸色
(糸駒)の交換をより一層簡単に行えるように改善する
余地はある。
【0006】前記要望に応えるため、本出願人は、先に
特願2000−201244号の出願において、糸駒を
収容した縫製用カートリッジ(加工カセット)を縫製装
置本体に対して着脱可能に構成したものを提案した。即
ち、加工カセットは、略直方体状のケース本体内に糸駒
を配置し、前記ケース本体の外周一側面(厚さ方向の側
面)から縫針と布押え兼用の針カバーとを突出させてな
り、前記縫針が突出する側面と直交する側面に、横向き
U字状に開口した係合溝を凹み形成してなるものであ
る。
【0007】そして、縫製装置本体のうち揺動アームの
側面から横向きに突出させたピン軸に前記係合溝を被嵌
した状態で、当該加工カセットの本体ケースの他側面
を、前記揺動アームに回動可能に設けられた略Z字状の
係合部材の一端に係合させて縫製可能な姿勢に保持する
一方、前記加工カセットにおける縫針が被加工物から離
れた高さ位置まで揺動アームが回動した姿勢において、
回動可能な操作部材にて前記係合部材を回動させること
により、前記加工カセットがピン軸の軸線回りに回動し
て外れ可能な姿勢に変更されるように構成したものであ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この種の加工カセット
の装着姿勢がガタついたり、不用意に変動しないように
するため、加工カセットにおける係合溝の幅はピン軸の
直径に等しく設定していたから、前記ピン軸への装着作
業が困難になるという問題があった。また、加工カセッ
トの前記ピン軸への取付け方向を間違ってしまうという
問題もあった。
【0009】本発明は、前記問題を解決すべくなされた
ものであって、加工装置本体に対して装着し易くする加
工カセットを提供し、また、それに適した加工装置を提
供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1の加工カセットは、被加工物に縫製加工を
施す加工装置の本体に対して着脱可能に装着しうるよう
に構成された縫製加工用の加工カセットであって、該加
工カセットの外周一側部位には、前記加工装置本体に設
けた係合部に着脱可能に被嵌する係合溝を、当該加工カ
セットの外周に向かって開放状に設け、該係合溝におけ
る前記外周との連設部位を外拡状に形成したものであ
る。
【0011】そして、請求項2に記載の発明の加工カセ
ットは、被加工物に縫製加工を施す加工装置の本体に対
して着脱可能に装着しうるように構成された縫製加工用
の加工カセットであって、該加工カセットの外周一側部
位には、前記加工装置本体に設けた係合部に着脱可能に
被嵌する係合溝を、当該加工カセットの外周に向かって
開放状に設け、該係合溝は、前記係合部における細径の
ピン軸とその軸線の一部の大径部とに各々被嵌する細径
溝部と大径溝部とを備え、且つ該係合溝は、前記係合部
のピン軸線と交差する方向と、ピン軸線に沿う方向とに
対して開放されているように構成したものである。
【0012】また、請求項3に記載の発明は、請求項2
に記載の加工カセットにおいて、前記係合溝のうち前記
ピン軸線と交差する方向の連設部位を外拡状に形成した
ものである。
【0013】他方、請求項4に記載の発明の加工装置
は、縫製加工用の加工カセットを加工装置本体に着脱可
能に装着して被加工物に縫製加工を施す加工装置におい
て、前記加工装置本体には、細径のピン軸とその軸線の
一部の大径部とからなる係合部を設け、前記加工カセッ
トの外周一側部に開放するように形成された係合溝が前
記係合部におけるピン軸と直交する方向に対して着脱で
きるように構成したものである。
【0014】そして、請求項5に記載の発明は、請求項
4に記載の加工装置において、前記加工装置本体には、
前記加工カセットを前記係合部におけるピン軸線の回り
に回動する姿勢を変更させて加工装置本体から取外す為
に操作される操作部材を設けたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明を具体化した実施の
形態について図面を参照して説明する。図1に示すよう
に、本実施形態の縫製装置1(加工装置)は、コントロ
ーラ7を含むデータ供給手段としての家庭用ゲーム機6
に接続ケーブルを介して接続し、そのゲーム機6を使用
して表示手段としてのディスプレイ8の画面(家庭用テ
レビ)を見ながら選択・編集した刺繍模様を所定の布
(被加工物)に縫製加工を施して形成するものである。
尚、図1の前後左右を前後左右として説明する。
【0016】図1〜図3に示すように、縫製装置1は、
縫製装置本体2(加工装置本体)と、この縫製装置本体
2に前後方向へスライド可能に装着されている安全カバ
ー3と、縫製装置本体2に着脱可能に装着される刺繍枠
4及び縫製用カートリッジ5(以下、加工カセットとい
う)等で構成され、刺繍枠4に縫製に供する被加工物と
しての布70が取付けられ、加工カセット5にその布7
0を貫通可能な縫製用の中空針81(加工針)等が装備
されている。
【0017】先ず、縫製装置本体2について説明する。
図2〜図8に示すように、縫製装置本体2は、ケーシン
グ10と、布70を取付けた刺繍枠4をキャリッジ18
に取付けて加工カセット5の中空針81に対して水平方
向へ移動させる刺繍枠駆動機構11と、加工カセット5
を揺動アーム40に着脱可能に取付けて上下に揺動駆動
するカートリッジ駆動機構12(以下カセット駆動機構
という)と、刺繍枠駆動機構11とカセット駆動機構1
2を制御する制御装置13(図42参照)を備えてい
る。
【0018】前記ケーシング10は、比較的小型の直方
体(例えば、縦130mm 、横165mm 、高さ70mm)状に形成
され、その内部に、刺繍枠駆動機構11及びカセット駆
動機構12の主要部と制御装置13が収容されている。
但し、ケーシング10には、その左端から左右長の約2
/3部分、前端から前後長の約1/4部分、上端から上
下長の約1/2部分を直方体状に切欠いた切欠き空間1
0aが形成されている。尚、この切欠き空間10aの右
側において、ケーシング10の上壁部10dは、後述の
操作部材44bを操作できるように、切欠き空間10a
側から切欠かれている。
【0019】この切欠き空間10aを形成するケーシン
グ10の前面壁10bの下端部には、刺繍枠駆動機構1
1のキャリッジ18に刺繍枠4を装着し水平方向へ移動
させる為のスリット10cが左右方向向きに形成されて
いる。切欠き空間10aを形成するケーシング10の側
壁部には、カセット駆動機構12の揺動アーム40を上
下揺動可能にケーシング10の内部から切欠き空間10
a側へ突出させるスリット(図示略)が上下方向の向き
に形成されている。
【0020】ケーシング10の上壁部10dには、前方
凸形のガイド上面部10eが段上がり状に形成され、こ
のガイド上面部10eの右側に、制御装置13に電気的
に接続された電源スイッチ15と縫製の開始と終了を指
令する指令手段としてのスタート/ストップスイッチ1
6が設けられている。これらスイッチ15,16の上端
面は、上壁部10dの上面の高さ位置と一致或いは少し
下方に位置している。
【0021】ガイド上面部10eの前側において、揺動
アーム40への加工カセット5の着脱(後で詳述する)
を可能にするために、ガイド上面部10eの前端は、加
工カセット5の左右幅よりも長く、揺動アーム40に装
着した状態の加工カセット5の後ろ左側まで延びてい
る。
【0022】ケーシング10の左右の両側の各側壁部1
0fには、ガイド溝10g,10hが前後方向向きに形
成されている。ガイド溝10gの上下幅はガイド溝10
hの上下幅よりも小さく、そのガイド溝10gにはケー
シング10の前後方向略中央位置において側方へ突出す
る係止ブロック片67が固定されている。但し、切欠き
空間10aがある関係上、左側壁部10fとそのガイド
溝10g,10hの前後長は、右側壁部10fとそのガ
イド溝10g,10hの前後長よりも短い。
【0023】前記刺繍枠駆動機構11は、図2、図3、
図6に示すように、刺繍枠4を着脱可能に装着するキャ
リッジ18と、このキャリッジ18を水平面内において
X方向(左右方向)へ駆動するX方向駆動機構20と、
このX方向駆動機構20と共にキャリッジ18を水平面
内においてX方向と直交するY方向(前後方向)へ駆動
するY方向駆動機構30とで構成されている。
【0024】キャリッジ18は、刺繍枠4の後端支持部
4aを係脱可能な係合部18aと、係合部18aの下側
から後方へ延びる案内板18bを有し、刺繍枠4を着脱
する際には揺動アーム40の下方に位置している。X方
向駆動機構20の可動フレーム21には、その後部に左
右方向向きのガイド部21aが形成され、前部に左右方
向向きのガイドロッド22が設けられ、これらガイド部
21aとガイドロッド22に、キャリッジ18が左右方
向へ移動自在にガイド支持されている。
【0025】X方向駆動機構20は、可動フレーム2
1、ガイドロッド22、スクリュー軸23、パルスモー
タ24、ガイドピン25を有する。可動フレーム21は
上方を開放した略箱形に形成され、その両側壁部にガイ
ドロッド22の両端部が支持されている。スクリュー軸
23は可動フレーム21の内部において左右方向向きに
伸長して配設され、その左端部が可動フレーム21の左
壁部に回転自在に支持されている。パルスモータ24は
可動フレーム21の右壁部の右側に固定され、その出力
軸がスクリュー軸23の右端部に直結されている。
【0026】キャリッジ18の案内板18bがスクリュ
ー軸23の上側に配設され、その案内板18bにガイド
ピン25が下方突出状に固定されて、スクリュー軸23
の螺旋溝に摺動自在に係合している。パルスモータ24
によりスクリュー軸23が回動されると、その螺旋溝に
ガイドピン25がガイドされて左右に移動するため、キ
ャリッジ18がX方向に移動駆動される。
【0027】Y方向駆動機構30は、支持フレーム3
1、2本のガイドロッド32,33、スクリュー軸3
4、パルスモータ35、ガイドピン36を有する。支持
フレーム31は側面視にて略凹形に形成され、その前後
両壁部に前後方向向きのガイドロッド32,33の両端
部が支持されている。そして、これらガイドロッド3
2,33に、X方向駆動機構20の可動フレーム21が
前後方向へ移動自在にガイド支持されている。
【0028】スクリュー軸34は前後方向向きに伸長し
て配設され、その後端部が支持フレーム31の後壁部に
回転自在に支持されている。パルスモータ35は支持フ
レーム31の前壁部の前側に固定され、その出力軸がス
クリュー軸34の前端部に直結されている。ガイドピン
36は可動フレーム21に下方突出状に固定され、スク
リュー軸34の螺旋溝に摺動自在に係合している。パル
スモータ35によりスクリュー軸34が回動されると、
その螺旋溝にガイドピン36がガイドされ前後に移動す
るため、可動フレーム21と共にキャリッジ18がY方
向に移動駆動される。尚、Y方向駆動機構30はX方向
駆動機構20の下方に配置されている。
【0029】ここで、刺繍枠駆動機構11により、キャ
リッジ18に取付けた刺繍枠4を移動させることができ
る移動領域は、図6に示す領域38となり、その移動領
域38の略中央位置に、縫製装置本体2に装着された加
工カセット5の中空針81が位置する。但し、縫製装置
本体2の前部に加工カセット5が装着されるため、この
移動領域38の前部はケーシング10の外部へはみ出し
ている。このように、X方向駆動機構20とY方向駆動
機構30を上下に配置し、キャリッジ18の移動領域3
8の下方に何れかの駆動機構が配置されるので、縫製装
置本体2を小型化することができる。
【0030】前記カセット駆動機構12は、図6〜図9
に示すように、加工カセット5を着脱可能な揺動アーム
40と、揺動アーム40を上下に揺動駆動する駆動源と
してのACモータであるミシンモータ45と、ミシンモ
ータ45の回転速度を減速するギヤ機構50と、ギヤ機
構50により減速された回転運動を揺動アーム40の上
下揺動運動に変換するカム機構55等を有する。
【0031】揺動アーム40は、図7、図8、図19〜
図21に示すように、左右方向に長いアーム部40a
と、上下方向に長いレバー部40bを一体形成して構成
され、ケーシング10の前部側の略右半部に配設されて
いる。レバー部40bの途中部が、縫製装置本体2にブ
ラケット41aを介して支持された枢支軸41bに枢支
され、揺動アーム40のうち、アーム部40aの大部分
が切欠き空間10a側へ突出し、その他の部分がケーシ
ング10の内部に収容されている。
【0032】アーム部40aには、その左端部において
加工カセット5を回転自在に支持するための係合部とし
て、前後方向向きのピン軸状の係合ピン42(支持部)
が前方突出状に固定され、係合ピン42の右側において
前後方向向きのロック解除ピン43が前方突出状に固定
され、ロック解除ピン43の右側において係合ピン42
に枢支された加工カセット5を縫製可能な位置(図21
(b)参照)に回転規制する係合部材44a(回転規制
部材)が回動自在に支持されている。前記係合ピン42
は、アーム部40aに近い根元側の細径のピン軸42a
と、自由端側の大径部42bとから構成されている(図
20参照)。
【0033】また、アーム部40aには、係合部材44
aを時計回り方向へ回動付勢する捩じりバネ(図示略)
と、前記縫製可能な位置の加工カセット5を上方へ弾性
付勢した状態で下側から受け止める板バネ44c設けら
れている。揺動アーム40の後側には、縫製装置本体2
の機枠と一体の前面板19が、機枠の右部から立ち上が
り左方へ延びるように設けられ、この前面板19の前部
側に、係合部材44aを反時計回り方向へ回動操作する
為の操作部材44bが回動操作可能に支持されている。
但し、この操作部材44bの支持軸には捩じりバネ44
dが外装され、その一端が前面板19に付設の固定部材
19bに受止められ、他端が操作部材44bの左端部に
受止められている。更に、前面板19には、操作部材4
4bを手動操作時以外で回動規制する図示外の規制部材
が設けられ、操作部材44bが略水平方向に保持された
状態で支持されるようになっている。
【0034】尚、係合ピン42、ロック解除ピン43、
係合部材44a、操作部材44b、板バネ44c等は、
揺動アーム40への加工カセット5の装着と、揺動アー
ム40からの加工カセット5の取外しを行う為の部材で
ある。
【0035】そして、図21(b)に示すごとく、揺動
アーム40におけるアーム部40aの先端側が下降して
縫製位置にあるとき(換言すると、刺繍枠4における布
70に中空針81が接近もしくは突き刺さっている状態
では)、操作部材44bの先端部(図21(a)におい
て回動中心より左側端部)が係合部材44aの後端部
(図21(a)において回動中心より右側端部)に当接
不能に離間しており、逆に図21(a)に示すように、
揺動アーム40に対して加工カセット5を取外し可能と
なるように、アーム部40aの先端側が上昇している状
態では、操作部材44bの先端が係合部材44aの後端
に当接可能となるように接近するように、揺動アーム4
0の回動中心(枢支軸41b)の位置と、操作部材44
bの回動中心位置とを設定し、また、操作部材44bの
回動中心位置から当該操作部材44bの先端までの長さ
と、係合部材44aの回動中心位置から当該係合部材4
4aの後端までの距離を設定するものである。
【0036】ミシンモータ45は、支持フレーム31の
前壁部31aの右下部の後側に前向きにして固定されて
いる。ギヤ機構50は、図6〜図8に示すように、支持
フレーム31の前壁部31aの前側に配設されたギヤ5
1〜54からなる。駆動ギヤ51はミシンモータ45の
出力軸に固着され、同軸上に一体的に結合された中間ギ
ヤ52,53と大径ギヤ54は前壁部31aに夫々枢支
されている。駆動ギヤ51と中間ギヤ52とが噛合さ
れ、中間ギヤ53と大径ギヤ54とが噛合されて、ミシ
ンモータ45(駆動ギヤ51)の回転速度に対して大径
ギヤ54の回転速度が減速される。
【0037】カム機構55は、図6〜図9に示すよう
に、前壁部31aに枢支されたカム部材56と、揺動ア
ーム40の右下端部に前方突出状に固着されたカム従動
子57とを有し、カム部材56の外周部に前記大径ギヤ
54のギヤ歯が形成されている。カム部材56には後側
からカム溝56aが形成され、このカム溝56aにカム
従動子57が摺動自在に係合している。
【0038】図9に示すように、カム溝56aはカム部
材56の回転中心からの距離を変化させて環状に形成さ
れ、カム部材56が1回転すると、アーム部40aが図
7に示す上限位置と図8に示す下限位置とに亙って1往
復上下に揺動するようになっている。従動子57がカム
溝56aに係合する係合位置とカム部材56の回転軸心
との距離が長い程、従動子57が左方へ位置し揺動アー
ム40のアーム部40aは上方へ位置する。図9はカム
溝56aのうちカム部材56の回転軸心から最も離隔し
た部位にカム従動子57が係合した状態を示し、揺動ア
ーム40のアーム部40aは上限位置に位置している。
【0039】次に、安全カバー3について説明する。
【0040】図2〜図5に示すように、安全カバー3
は、駆動される刺繍枠4や加工カセット5や揺動アーム
40をガードする機能と、子供等が中空針81により衣
類を破損しないように中空針81と布70の移動領域3
8を覆う機能と、スタート/ストップスイッチ16を誤
操作するのを防止する機能等を併せ持ったカバーであ
る。この安全カバー3は、前記刺繍枠4の移動領域38
の全体を覆うことができるカバーであり、縫製時に移動
領域38を覆う縫製用位置(図3参照)と、この縫製用
位置から復帰させた梱包や収納の為の収納用位置(図2
参照)とに亙って移動可能に構成されている。
【0041】この安全カバー3は合成樹脂からなる透明
材料又は半透明材料で構成され、上壁部3aと前面壁3
bと左右の側壁部3cとを有し、下方と後方を開放した
形状に構成されている。安全カバー3の上壁部3aに後
端側から凹形の切欠き部3dが形成され、この切欠き部
3dがケーシング10のガイド上面部10eに前後摺動
自在に係合し、安全カバー3の上壁部3aの下面がケー
シング10の上壁部10dのうちガイド上面部10e以
外の上面に当接可能である。
【0042】安全カバー3の各側壁部3cの後部内側に
は鉛直板60が固定され、この鉛直板60には、上後部
の内側に係合片66が固定され、その下側に係合部60
aが一体的に形成されている。そして、ケーシング10
の各側壁部10fに形成されたガイド溝10gに係合片
66が摺動自在に係合し、ガイド溝10hに係合部60
aが摺動自在に係合している。安全カバー3の右側壁部
3cの前端部分内側には、ガイド溝10gに摺動自在に
係合可能な係合片61が固定されている。
【0043】ここで、安全カバー3を縫製用位置に位置
決めすると共に安全カバー3が装置本体2から離脱しな
いように規制する抜け止め用のストッパ機構65が設け
られている。このストッパ機構65は、安全カバー3の
各側壁部3cに固定された前記ガイド片66と、ケーシ
ング10の各側壁部10fのガイド溝10gに側方へ突
出するように固定された前記係止ブロック片67とを有
し、ガイド片66が係止ブロック片67に係止される
と、安全カバー3が縫製用位置に位置決めされ、これ以
上前方へ移動できないようになる。
【0044】安全カバー3が図2の収納用位置に切換え
られた状態で、安全カバー3の切欠き部3dがケーシン
グ10のガイド上面部10eに完全に係合するととも
に、安全カバー3の上壁部10dの後端部がガイド上面
部10eの段部に当接し、安全カバー3の前面壁3bが
ケーシング10の前面に接近した状態になる。安全カバ
ー3が収納用位置に位置しているときには、この安全カ
バー3により、前記刺繍枠4の移動領域38の全域は覆
われないが、安全カバー3を図2の収納用位置から前方
へスライドさせて図3の縫製用位置に切換えると、安全
カバー3により移動領域38の全域が覆われる。
【0045】安全カバー3が図3の縫製用位置に切換え
られた状態で、ケーシング10のガイド上面部10eの
前端部と安全カバー3の切欠き部3dとで、加工カセッ
ト5の前後幅と略等しく且つ加工カセット5の左右長よ
りも長いカセット取付口68が形成され、このカセット
取付口68から加工カセット5を揺動アーム40に装着
することができる。尚、安全カバー3の上壁部には、前
記縫製用位置において、後述の操作部材44bを上側か
ら操作可能に開口部が形成されている。
【0046】安全カバー3の上壁部3aの右部にはスイ
ッチ操作穴3eが形成され、安全カバー3が図2の収納
用位置に切換えられた状態で、このスイッチ操作穴3e
が電源スイッチ15と対向し、そのスイッチ操作が可能
となり、電源スイッチ15の前側に設けられたスタート
/ストップスイッチ16の上側は、禁止手段としての安
全カバー3で覆われた状態となるため、スタート/スト
ップスイッチ16の操作が不能となり禁止される。
【0047】前後に配置された電源スイッチ15とスタ
ート/ストップスイッチ16の中心間距離は、安全カバ
ー3の前後スライド量と同じであり、それ故、安全カバ
ー3が図3の縫製用位置に切換えられた状態では、スイ
ッチ操作穴3eがスタート/ストップスイッチ16と対
向し、そのスイッチ操作が可能となる。即ち、前記禁止
手段の禁止が解除される。
【0048】安全カバー3が縫製用位置に位置している
ときには、電源スイッチ15は安全カバーの後側に位置
して露出するため、電源スイッチ15の操作も可能とな
る。このように、安全カバー3が縫製用位置にあるとき
にも収納用位置にあるときにも、電源スイッチ15を操
作可能である。尚、電源スイッチ15とスタート/スト
ップスイッチ16とスイッチ操作穴57は、平面視にて
円形で略同じ大きさに形成されている。
【0049】安全カバー3の前面壁3bの下部の左右方
向中央付近部に、刺繍枠4を安全カバー3の内部に挿入
可能な刺繍枠挿入穴3fが形成され、更に、この前面壁
3bには、刺繍枠4を刺繍枠挿入穴3fから安全カバー
3の内部に挿入しキャリッジ18に装着する際に、刺繍
枠4を前後方向にガイドするガイド部材69が前面壁3
bに固定され、前面壁3bから前方へ突出する形状に構
成されている。この刺繍枠挿入穴3fは、前面壁3bの
左右方向の中央部に位置し、キャリッジ18の左右方向
移動範囲における中央位置(移動領域38の左右方向中
央位置)よりも少し右側にずれた位置に設けられてい
る。
【0050】このキャリッジ18が揺動アーム40の略
下側に位置しているとき、キャリッジ18は最も前方へ
移動した状態となり、ガイド部材69にガイドされ刺繍
枠挿入穴3fを介して安全カバー3の内部に挿入された
刺繍枠4をキャリッジ18に装着することができる。こ
のガイド部材69は安全カバー8を掴む為の把手として
兼用される。
【0051】刺繍枠4について説明する。
【0052】図2、図6、図10、図11に示すよう
に、刺繍枠4は矩形枠状のベース枠71と押え枠72か
らなる。これらベース枠71と押え枠72の前端部同士
が回動自在に連結され、ベース枠71の後部側に、刺繍
枠4をキャリッジ18の係合部18aに係脱可能な後端
支持部4aが一体形成されている。ベース枠71の内縁
部付近には、上端面に対して段落ち状の段部71aが枠
状に形成され、この段部71aに矩形状の特殊な布70
の外周部が嵌め込まれ、場合によっては両面テープや接
着剤等を介して剥離可能に固着され、押え枠72により
押えられて、布70が刺繍枠4の略全体にピンと張った
状態で取付けられている。
【0053】図11に示すように、この特殊な布70
は、例えば、ラミネート加工により、ウレタン製の弾性
膜体73を1対の織布74で挟み込んで形成された多層
構造の弾性を有する布である。刺繍枠4とこの刺繍枠4
に予め取付けられた布70とは複数組用意されている。
【0054】次に、加工カセット5について説明する。
【0055】図2、図3、図12〜図18等に示すよう
に、加工カセット5は、カセット本体80、被加工物と
しての布70を貫通可能な加工針としての中空針81、
中空針81に供給される糸Tを巻付けた糸駒82、中空
針81の少なくとも先端部をカバーする針カバー83、
中空針81をカバーするカバー位置に針カバー83を付
勢する付勢手段としての圧縮コイルバネ84、カバー位
置における針カバー83の移動を禁止する移動禁止機構
85等を備えている。尚、この縫製装置1には、揺動ア
ーム40に着脱可能な複数の加工カセット5が用意され
ており、これら加工カセット5には異なる色の糸が夫々
収容され、カラフルな刺繍模様を形成できるようになっ
ている。
【0056】カセット本体80はマッチ箱を横向きして
立てたような直方体形状であり、揺動アーム40に装着
された状態で縫製装置本体2に対して可動の可動体部分
としての収容ケース86と、縫製装置本体2に対してほ
ぼ固定の固定体部分としての開閉蓋87を有し、収容ケ
ース86の内部に中空針81及び針カバー83の上側部
分と糸駒82と圧縮コイルバネ84と移動禁止機構85
が収容されている。カセット本体80の右上端部分にお
いて、収容ケース86と開閉蓋87が回動可能に連結さ
れて、収容ケース86に対して開閉蓋87が図15に示
す閉位置と図16に示す開位置とに亙って開閉する。収
容ケース86に対して開閉蓋87を枢支する枢支軸部に
捩じりバネ88が装着され、この捩じりバネ88により
開閉蓋87が閉位置に回動付勢されている。
【0057】また、加工カセット5は、糸駒82を収納
する収納部90(糸収納部)、収納部90に収納された
糸駒82の空転を防止する空転防止機構91、糸駒82
から中空針81へ至る糸Tの途中部に抵抗を付与して糸
Tが中空針81側から収納部90側へ逆流するのを防止
する逆流防止機構92、収容ケース86に対して開閉蓋
87を閉位置で一体的にロックするロック機構93等を
備え、収容ケース86の内部に収納部90と空転防止機
構91とロック機構93のロック部材110 が設けられ、
開閉蓋87の内部に逆流防止機構92とロック機構93
の被係合部87dが設けられている。
【0058】収容ケース86の外周一側部位である下部
左端部には、揺動アーム40における係合部としての係
合ピン42に対して回動可能、且つ着脱自在な係合溝8
6aが、左方からU字形に切欠いて形成されている。こ
の係合溝86aをさらに詳述すると、前記係合ピン42
のうち細径のピン軸42aに対して回動自在に被嵌する
細径溝部86a1が左方からU字形に切欠いて形成さ
れ、この細径溝部86a1に連設されて、前記係合ピン
42における大径部42bに対して回動自在に被嵌する
大径溝部86a2が形成されている。さらに、前記細径
溝部86a1と、加工カセット5の収容ケース86の外
周面との少なくとも一方の連設部位86a3(実施形態
では上下両方の連設部位86a3、86a3)をテーパ
ー部等の外拡状に形成する(図20参照)。なお、この
連設部位86a3、86a3は、直線状のテーパー部に
代えて円弧状の外拡状に形成しても良い。
【0059】そして、加工カセット5が縫製装置本体2
に装着された状態で、この係合溝86aは水平方向(左
方)に開口する。また前記係合溝86aを収容ケース8
6の下部左端部等の角部の近傍に形成するときには、大
径溝部86a2が収容ケース86の外周面の3方向に開
放されるように形成しても良い。これにより、当該大径
溝部86a2を前記大径部42bに対して一層被嵌し易
くなる。
【0060】また、収容ケース86の下部右端部には、
揺動アーム40に付設された係合部材44aが係合可能
に凹んだ係合凹所86bが形成されている。
【0061】ここで、揺動アーム40への加工カセット
5の着脱について説明する。加工カセット5を揺動アー
ム40へ装着する際、加工カセット5を左下がりの傾斜
姿勢にして把持し、安全カバー3の前方移動により形成
されたカセット取付口68から挿入して、図19に示す
ように、係合溝86aを係合ピン42に係合させる。そ
の場合、係合溝86aにおける細径溝部86a1と加工
カセット5の収容ケース86における外周面との連設部
位86a3、86a3が図20、図21(a)及び図2
1(b)に示すように、テーパー状等に外拡状に形成さ
れているので、細径のピン軸42aへの被嵌動作を円滑
に行える。また、ピン軸42aの自由端側の大径部42
bが前記係合溝86aにおける細径溝部86a1に連設
した大径溝部86a2に嵌まるので、加工カセット5が
ピン軸42aのピン軸線に沿って横ずれ移動することが
なく、所定の位置にきっちりとセットすることができる
という効果を奏する。
【0062】さらに、加工カセット5の装着姿勢を誤っ
て、大径部42bに細径溝部86a1が位置し、ピン軸
42a側に大径溝部86a2を位置させた場合には、前
記細径溝部86aは大径部42bに対しては全く被嵌不
能状態となるので、ユーザーが誤った姿勢による加工カ
セット5の装着を確実に防止できるのである。
【0063】その後、加工カセット5をほぼ水平となる
縫製可能な位置になるまで時計回りに回動させる。図2
1(a)に示すように、係合部材44aは加工カセット
5の右下端部分に接触可能な姿勢に揺動アーム40に係
合して保持されており、加工カセット5が縫製可能な位
置に切換わる少し前に係合部材44aに接触し、係合部
材44aを捩じりバネ44dの付勢力に抗して反時計回
りに回動させつつ、加工カセット5が縫製可能な位置に
切換わる。
【0064】すると、図21(b)に示すように、係合
部材44aが捩じりバネ44dの付勢力により時計回り
に少し回動復帰して係合凹所86bに係合して、この縫
製可能な位置に収容ケース86が回動規制されて揺動ア
ーム40に固定的に装着される。また、加工カセット5
を縫製可能な位置に回動させる際、係合部材44aが係
合凹所86bに係合する前に板バネ44cにも接触し、
その板バネ44cを弾性変形させつつ加工カセット5が
縫製可能な位置に切換わる。つまり、加工カセット5は
縫製可能な位置において板バネ44cにより上方へ付勢
された状態で受け止められて回動規制されて装着される
(図21(b)参照)。
【0065】揺動アーム40が上限位置に位置している
状態で、この揺動アーム40への加工カセット5の装着
が行われるが、前述のように、収容ケース86が揺動ア
ーム40に固定的に装着されると、図7、図21(b)
に示すように、開閉蓋87の被係止部87aが縫製装置
本体2の前面板19のピン19aに上側から当接するよ
うに係止され、開閉蓋87の案内ピン105 が、収容ケー
ス86の大きな揺動にもかかわらず、僅かにしか揺動し
ないので、縫製装置本体2に対してほぼ固定された状態
となる。尚、開閉蓋87を縫製装置本体2に完全に固定
してもよい。
【0066】加工カセット5を揺動アーム40から取外
す際には、加工カセット5における中空針81が刺繍枠
4における布70より上方位置となるように揺動アーム
40を上向きに回動させた図21(a)の上限状態おい
て、前面板19に枢支された操作部材44bの先端部に
対して揺動アーム40のアーム部40aに枢支された係
合部材44aの後端部が接近するので、操作部材44b
を時計回り方向へ回動操作すれば、この操作部材44b
を介して係合部材44aを捩じりバネ44dの付勢力に
抗して時計回り方向へ回動させることができる。する
と、図21(a)の実線で示すように、係合部材44a
が係合凹所86bから係合解除し、操作部材44bによ
る操作終了後、係合部材44aが再度係合凹所86bに
係合しない位置まで、板バネ44cの付勢力により加工
カセット5が反時計回り方向へ回動されて上昇し(図2
1(a)の二点鎖線状態参照)、この状態から、加工カ
セット5を装着時と逆に操作して揺動アーム40から取
外すことができる。但し、操作部材44bを回動操作し
ていないときには、操作部材44bは、捩じりバネ44
d等により略水平姿勢に保持された状態で支持されてい
る。
【0067】なお、揺動アーム40におけるアーム部4
0aが略水平状などの下降位置(中空針81が下降位置
となって布70に刺さっている状態)で、加工カセット
5を取外すと、中空針81が布70と干渉して曲がった
り、折損するおそれがあるので、図21(b)に示すご
とく、係合部材44aの後端部が操作部材44bの先端
部より離間させて、ユーザーが誤って操作部材44bを
回動させても、係合部材44aを回動させることが不可
能となるようにすれば、この状態で加工カセット5を揺
動アーム40から取外し不能となり、安全である。
【0068】尚、操作部材44bを上側へ露出させるよ
うに、ケーシング10の上壁部10dは切欠き空間10
a側から切欠かれ、その切欠かれた部分に対応させて、
安全カバー3の上壁部には、前記縫製用位置において開
口部が形成されているため、操作部材44bを外部から
操作できる。
【0069】カセット本体80の収容ケース86には、
収納部90に収納した糸駒82の糸Tの残量を外部から
視認可能な残量視認部としての開口部86cが、収容ケ
ース86の収納部90の前側の前壁に形成され、更に、
カセット本体80の開閉蓋87の上面部に、収納部90
に収納した糸駒82の糸Tの色と同色又は類似色を表示
する糸色表示部87bが、前記同色又は類似色のシール
を接着する等して設けられている。
【0070】糸駒82の鍔部82bは透明又は半透明で
あり、それ故、この糸駒82に巻かれた糸の残量を開口
部86cから鍔部82bを介して視認することができ
る。また、糸色表示部87bを開閉蓋87の上面部に設
けることにより、縫製装置本体2に加工カセット5を装
着した状態で、糸色表示部87bを視認可能に外界へ露
出させることができる。
【0071】中空針81はカセット本体80の左部に略
立向きに配設されている。中空針81の少なくとも上端
部分が収容ケース86に固着された筒状の針支持部材9
5に支持されて、中空針81の下端側部分がカセット本
体80の下側へ突出している。この中空針81の先端部
分は左側から下方右側へ傾斜するように尖っており、加
工カセット5が縫製装置本体2に装着されたときに、そ
の最先端部が中空針81のうち揺動アーム40の揺動中
心側端部(右端部)にほぼ位置する。
【0072】収納部90は、収容ケース86の右半部に
おいて、収容ケース86の円弧壁90aに囲繞された部
分に形成され、この収納部90に収容された糸駒82
は、収容ケース86の軸部材90bに摺動自在に内嵌さ
れ回転可能に支持されている。糸駒82から延びる糸T
は、円弧壁90aの間の糸通過口90cから逆流防止機
構92を経て中空針81の上端からその孔に導入され、
中空針81の下端から加工カセット5の外部へ繰り出さ
れている。
【0073】尚、糸駒82に巻き付けられた上糸である
糸Tはやや太めの糸であり、中空針81の孔はこの糸T
を糸通しできる大きさに形成されている。尚、中空針8
1の下端から糸Tがある程度の長さ繰り出された状態で
縫製が開始される。
【0074】針カバー83は、中空針81の先端部をカ
バーするカバー位置と、このカバー位置から上側へ退避
して中空針81の布70への貫通を可能にする退避位置
に亙って移動可能に構成されている。この針カバー83
は、縫製加工の際に布70を押える押え足でもあり、カ
バー部83a(押え部)と、カバー部83aの右端部側
から上方へ延びる被ガイド部83bとを一体形成して構
成されている。
【0075】カバー部83aには中空針81が通過可能
な針通過孔83cが形成され、被ガイド部83bが収容
ケース86に上下移動自在にガイドされ、被ガイド部8
3bと収容ケース86の間に圧縮コイルバネ84が介装
されている。被ガイド部83bの上下方向中央部に突出
部83dが右方突出状に設けられ、この突出部83d
が、被ガイド部83bを上下方向にガイドするリブ86
dの上端部に当接した状態で、針カバー83がカバー位
置になり、針通過孔83cの内側に中空針81の先端部
が位置してカバー部83aでカバーされる。そのカバー
位置から針カバー83が中空針81に対して上方へ移動
すると退避位置になり、中空針81が針通過孔83cを
通過してカバー部83aの下側へ突出する。
【0076】移動禁止機構85は、図15〜図17、図
22〜図24に示すように、収容ケース86内部の左右
方向中央部の下部に配設された移動禁止部材100 を有す
る。この移動禁止部材100 は、鉛直な枢支軸部100aと、
枢支軸部100aの左側に位置するロック部100bと、枢支軸
部100aの右側に位置する入力部100cとを一体形成して構
成されている。移動禁止部材100 は、その枢支軸部100a
が収容ケース86に枢支されて、鉛直軸心回りに回動自
在且つ上下移動不能に設けられている。
【0077】ロック部100bは上下方向に比較的に長く、
その下端部が、前記カバー位置に位置する針カバー83
の突出部83d、つまり、リブ86dの上面に当接して
いる突出部83dの上面にほぼ当接する。この状態で、
ロック部100bがリブ86eと突出部83dの間に介入さ
れた状態となり、カバー位置における針カバー83がロ
ックされ上方へ移動できなくなる。移動禁止部材100
は、このロック位置(図22参照)と、ロック部100bが
突出部83dの上下移動軌跡上から退避したロック解除
位置(図23参照)とに亙って回動可能であり、移動禁
止部材100 がロック解除位置のときに、針カバー83が
上方へ移動可能になる。
【0078】枢支軸部100aには捩じりバネ100dが外装さ
れ、この捩じりバネ100dにより移動禁止部材100 は前記
ロック位置に回動付勢されて、加工カセット5が縫製装
置本体2から取外されている状態では、移動禁止部材10
0 はこのロック位置に保持さている。収容ケース86の
前壁には入力部100cに対応する開口86fが形成され、
移動禁止部材100 がロック位置に位置しているときに
は、入力部100cがその開口86fから外部へ臨んだ状態
となる。
【0079】図24に示すように、前記開口86fは下
端開放状に形成され、入力部100cの下部には上方外側へ
傾斜するテーパ部100eが形成されている。前述のよう
に、揺動アーム40にはロック解除ピン43が設けられ
ており、加工カセット5が揺動アーム40に装着される
と、ロック解除ピン43が開口86fにその下側から入
り込み、そのロック解除ピン43が入力部100cのテーパ
部100eに係合して、移動禁止部材100 を捩じりバネ100d
の付勢力に抗してロック位置からロック解除位置へ回動
させて針カバー84のロックを解除する。
【0080】このように、移動禁止機構100 は、加工カ
セット5を縫製装置本体2から取外した状態では、前記
カバー位置における針カバー83の移動を禁止すると共
に、加工カセット5を縫製装置本体2に装着した状態で
は、前記カバー位置から退避位置への針カバー83の移
動を許容するように構成されている。
【0081】空転防止機構91は、図15〜図17に示
すように、糸駒82の一方の鍔部82bに接触可能な接
触子101 と、この接触子101 を鍔部82bに押圧するよ
うに付勢する捩じりバネ102 とを有し、接触子101 と鍔
部82bの間に作用する摩擦力により、糸駒82の空転
を防止するように構成してある。接触子101 は収容ケー
ス86の収納部90の近くの軸部103 に回動可能に枢支
され、その軸部103 に捩じりバネ102 が装着されてい
る。接触子101 の先端部が円弧壁90a間の隙間90d
を通って収納部90内の糸駒82の鍔部82bに接触し
ている。
【0082】逆流防止機構92は、図15、図16、図
18、図25に示すように、案内ピン105 (軸状部材)
とこの案内ピン105 に当接する板バネ部材106 との2つ
の逆流防止部材を有し、これら案内ピン105 と板バネ部
材106 の間に、微小隙間の糸通過部107 を構成し、この
糸通過部107 に糸駒82から延びる糸Tを通過させその
糸Tに案内ピン105 と板バネ部材106 との接触による摩
擦抵抗を作用させるように構成してある。
【0083】案内ピン105 は、その両端部を開閉蓋87
の左部に形成された前後のボス87cに内嵌させて固定
され、板バネ部材106 は、左方下がりの傾斜姿勢で案内
ピン105 を押圧するように、開閉蓋87に嵌め込んで固
定されている。案内ピン105の外周部中央部分には環状
凹部105aが形成され、この環状凹部105aと板バネ部材10
6 とで前記糸通過部107 が構成されている。これによ
り、糸通過部107 を通過する糸Tに適度な摩擦抵抗を付
与すると共に、その糸Tを中空針81へ確実に案内する
ことができる。
【0084】ロック機構93は、図15〜図17、図2
6に示すように、加工カセット5を縫製装置本体2から
離脱させた状態において、収容ケース86に対して開閉
蓋87を一体的にロックする機構であって、収容ケース
86の右部側に配設されたロック部材110 を有する。こ
のロック部材110 は、枢支部110a,110b 、係合部110c、
入力部110dを一体形成して構成され、枢支部110a,110b
が収容ケース86に鉛直軸心回りに回動自在に枢支さ
れ、ロック位置(図15参照)とロック解除位置(図1
6参照)とに亙って位置切換え可能である。
【0085】ロック部材110 は上下方向には移動不能で
あり、捩じりバネ111 によりロック位置に付勢されてい
る。ロック部材110 の上部に係合部110cが左方突出状に
形成され、ロック部材110 の下端部に入力部110dが左方
突出状に形成され、これら係合部110cと入力部110dが、
収容ケース86の前壁の上部と係合溝86aの奥端壁に
形成された穴86g,86hから夫々左方へ突出可能で
ある。
【0086】加工カセット5が揺動アーム40に装着さ
れていない状態では、開閉蓋87が閉位置であり、この
状態で、ロック位置のロック部材110 の係合部110cが、
開閉蓋87の前壁から右方(内側)へ突出した被係合片
87dに上側から当接して係合するため、収容ケース8
6に対して開閉蓋87が上方へ移動不能となって閉位置
で一体的にロックされる。
【0087】加工カセット5を揺動アーム40に装着す
る際、前述のように、揺動アーム40の係合ピン42に
収容ケース86の係合溝86aが係合するのに伴い、そ
の係合ピン42がロック部材110 の入力部110dを右方へ
押動するため、ロック部材110 がロック位置からロック
解除位置に切換えられる。ロック解除位置のロック部材
110 の係合部110cは被係合片87dから係合解除した状
態となり、収容ケース86に対して開閉蓋87が上方へ
移動可能になりロック解除される。
【0088】通常、開閉蓋87が閉位置に位置する状態
で、加工カセット5が揺動アーム40から取外されるた
め、その取外し直後から収容ケース86に対して開閉蓋
87がその閉位置で一体的にロックされる。仮に、開閉
蓋87が閉位置以外に位置する状態で、加工カセット5
が揺動アーム40から取外されると、先ず、ロック部材
110 が開閉蓋87をロックしない状態でロック位置に切
換わるが、ロック部材110 の係合部110cの左端状部には
左下がりのテーパ部が形成されているため、その後、捩
じりバネ88の付勢力により開閉蓋87が閉位置へ回動
され、その際、被係合片87dがテーパ部を介してロッ
ク部材110 をロック解除位置側へ一時的に押動して閉位
置への切換えを可能にする。
【0089】次に、縫製装置1の縫製動作、及びその縫
製動作によって布70に形成される縫目について、図2
7〜図32の説明図と図33、図34に基づいて説明す
る。
【0090】縫製装置本体1に布70を取付けた刺繍枠
4と加工カセット5を装着した状態で、カセット駆動機
構12により加工カセット5を上下に揺動させる。この
とき、収容ケース86と一体的に中空針81、針カバー
83(但し、針カバー83は布70と接触していない状
態のとき)、糸駒82、空転防止機構91等は上下動す
るが、開閉蓋87は縫製装置本体2に対してピン19a
で支持され、その内部に設けた逆流防止機構92は上下
に殆ど移動しない。
【0091】加工カセット5を揺動アーム40に装着し
て初めて縫製を行う際、図27に示すように、中空針8
1の下端から糸Tがある程度の長さ繰り出された状態で
行う。この状態から、収容ケース86が下降すると、図
28に示すように、先ず、押え足である針カバー83が
布70を押えると共にその布70に上側の糸Tを押え
る。針カバー83は布70を押さえると略静止し、続い
て、針カバー83に対して中空針81が下降して布70
に突き刺さる。中空針81が布70に突き刺さる瞬間は
布70に対して略直交し、中空針81の最先端部が中空
針81のうち揺動アーム40の揺動中心側端部に位置す
るため布70のずれを防止する。
【0092】中空針81が弾性膜体73に突き刺さり、
中空針81から延びる糸Tが布70に接触すると、布7
0の特に弾性膜体73の弾性による糸保持力により、布
70に貫通した部分の糸Tが保持される。この状態で、
中空針81(糸駒82及び空転防止機構91)が更に下
降すると、空転防止機構91と逆流防止機構92による
糸引出し抵抗に抗して糸駒82から糸Tが引き出され、
布70の下側に自由ループ75が形成される。尚、この
段階で自由ループ75の約半分の糸Tは中空針81の内
部にある。
【0093】中空針81が布70に突き刺さり下限位置
へ下降する間、その中空針81から予め繰り出された糸
Tが布70の下側へ引っ張られると共に、糸駒82側か
ら糸Tが引き出されて布70の下側に自由ループ75が
形成される。下降する中空針81が布70に突き刺さる
前においても、中空針81から延びる糸Tが針カバー8
3で布70に押えられた後では、その予め繰り出された
糸Tが布70の下側へ引っ張られることをある程度抑え
る。
【0094】次に、収容ケース86が上昇すると、図2
9に示すように、中空針81が下限位置から上昇しその
先端が布70から抜け、続いて、針カバー83による布
押えが解除されて中空針81と共に上限位置まで上昇す
るが、このとき、一定位置に停止している逆流防止機構
92と布70とを結ぶ固定状態の糸Tを通過するように
中空針81が上昇し、布70の下側に形成された自由ル
ープ75が保持された状態でその全部が外部へ露出す
る。一方、中空針81が上限位置へ移動すると、糸駒8
2及び空転防止機構91も上限位置まで移動するが、そ
の際、逆流防止機構92から中空針81側への糸Tの引
き出しがなく、逆流防止機構92と空転防止機構91が
糸Tに糸引き出し抵抗を作用させているため、糸駒82
と逆流防止機構92の間の糸Tが弛んだ状態となる。
【0095】その後、図30に示すように、布70が水
平方向へ移動すると、中空針81から延びる糸Tが布7
0に保持されているため、その糸保持力で糸Tが引っ張
られ、糸駒82と逆流防止機構92の間の弛んだ糸Tが
逆流防止機構92を介して引き出される。このとき、布
70による糸保持力は、逆流防止機構92だけによる糸
引き出し抵抗よりも格段に大きいため、自由ループ75
の糸Tが中空針81側へ引っ張られ抜ける虞はない。
【0096】布70が水平方向へ移動した後、収容ケー
ス86が下降し、図31に示すように、針カバー83が
布70を押えて中空針81が布70に突き刺さる。中空
針81が上限位置から下限位置へ下降する際、糸駒82
と逆流防止機構92の間の弛んだ残りの糸Tが引き出さ
れると、続いて糸駒82が回転して糸Tが繰り出され
る。その糸Tには空転防止機構91と逆流防止機構92
による糸引き出し抵抗が作用するが、空転防止機構91
と逆流防止機構92による糸引出し抵抗は布70による
糸保持力よりも小さいため、更に、針カバー83により
糸Tを布70に押えることができるため、前回形成した
の自由ループ75が引っ張られて布70から抜けること
なく、今回の自由ループ75が形成される。
【0097】次に、図32に示すように、中空針81と
針カバー83が上昇し、その後、図30〜図32が繰り
返し行われる。このように、布70の弾性による糸保持
力により、各縫製加工毎に布70に糸を残留させながら
縫製加工を施し、図33に示すように、上糸Tにより布
70の裏面側に多数の自由ループ75が形成されて、布
70の表面に刺繍模様76の縫目が形成される。そし
て、この布70の裏面に多数の自由ループ75を固着す
る固着材としての両面テープ77を粘着すると、図34
に示す模様被加工物である模様縫製布78が形成され
る。
【0098】この両面テープ77により、自由ループ7
5の抜出しが生じないため、他の糸やその前後の縫目の
糸で糸を定着させることなく、布70の表面の刺繍模様
76がほつれることがなく安定する。そして、この模様
縫製布78をワッペンとして両面テープ77を介して種
々のものに粘着し固定することができる。尚、両面テー
プ77の他に、布70の自由ループ75が残留する裏面
に、種々の粘着剤や接着剤を層状に塗布してもよいし、
これら種々の粘着剤や接着剤のテープを形成し、そのテ
ープで布70の裏面に複数の自由ループ75を固着して
もよい。
【0099】この自由ループ75が布70の裏面側に多
数位置しているので、その布70の裏面に両面テープ7
7を貼り付けた場合に、両面テープ77に凹凸が生じ
る。それ故、この布70をワッペン等として両面テープ
77を介して衣服に貼り付ける際に、貼り付けられる衣
類は柔らかく、こういったワッペンがはがれやすいとい
う面があるが、その凹凸のため粘着性を向上させること
ができる。この凹凸が個々の自由ループ毎に形成される
か或いは複数の自由ループにより形成されるかは糸や両
面テープの材質による。
【0100】ここで、図35〜図41に示すように、縫
製装置1には、縫製装置本体2に装着されている加工カ
セット5を交換する際、その加工カセット5から延びて
刺繍枠4の布70に繋がった糸Tを切断する糸切断機構
130 が設けられている。前述のように、縫製装置本体2
には、加工カセット5を縫製装置本体2(揺動アーム4
0)から取外す為に操作される操作部材44bが設けら
れており、この操作部材44bの操作、及び、縫製装置
本体2からの加工カセット5の取外しに応じて、糸切断
機構130 が作動して糸Tの切断を行うように構成してあ
る。
【0101】この糸切断機構130 は、操作部材44bの
近くにおいて前面板19に枢支されて左方へ一直線状に
延びる糸切りレバー131 と、糸切りレバー131 の左端部
に連結されたリンク機構132 と、リンク機構132 を介し
て開閉される1対の糸切り刃133,134 と、加工カセット
5の左端部の係合溝86aが揺動アーム40の係合ピン
42に係合している状態で、加工カセット5の右部付近
を糸切りレバー131 に解除可能に係合させる係合機構13
5 等を備えている。
【0102】そして、縫製装置本体2から加工カセット
5を取外す為の操作部材44bの操作により、糸切りレ
バー131 とリンク機構132 等が移動駆動可能になり、そ
の後の加工カセット5の取外し作業により、糸切りレバ
ー131 とリンク機構132 等が移動駆動され、これら糸切
りレバー131 とリンク機構132 の移動を介して、糸切断
機構130 が作動して糸切り動作を行うようになってい
る。尚、糸切りレバー131 とリンク機構132 等が可動部
材に相当する。
【0103】糸切りレバー131 は前面板19の後側に配
設されている。糸切りレバー131 の右端部に貫通穴131a
(図40参照)が形成され、その貫通穴131aを貫通する
前後方向向きの枢支軸140 を介して、糸切りレバー131
が前面板19に枢支され、図35〜図37に示す下限位
置と図38と図39に示す上限位置とに亙って上下に揺
動可能である。糸切りレバー131 に引っ張りコイルバネ
141 の上端部が連結されると共に、引っ張りコイルバネ
141 の下端部が前面板19に連結され、このコイルバネ
142 により、糸切りレバー131 が前記下限位置に弾性付
勢されている。
【0104】リンク機構132 は4つの略一直線状のリン
ク143 〜146 を有し、リンク143,144 の上端部が共通の
軸147 を介して糸切りレバー131 の左端部に回動自在に
連結されている。これらリンク143,144 の下端部に夫々
軸148,149 を介してリンク145,146 の上端部が回動自在
に連結され、これらリンク145,146 の長さ方向途中部が
共通の軸150 を介して前面板19に回動自在に枢支され
ている。リンク145,146 の下方の先端部分に夫々糸切り
刃133,134 が形成され、糸切りレバー131 が前記下限位
置のとき、軸147,150 が最も接近し、1対の糸切り刃13
3,134 が最大限開放し、糸切りレバー131 が前記上限位
置のとき、軸147,150 が離間し、1対の糸切り刃133,13
4 が閉じた状態になる。
【0105】係合機構135 は、糸切りレバー131 の前側
においてその長さ方向中央部分に回動自在に支持された
糸切りレバー爪151 と、加工カセット5の右端下端部付
近から後方へ突出するピン状の突起部152 とを有する。
糸切りレバー爪151 は、その回動軸心に対して径方向外
側へ延びる爪部151a(図35でリンク機構32側)とバ
ネ連結部151b(図35で操作部材44b側)とを有し、
爪部151aに加工カセット5の突起部152 が係合可能であ
る。尚、糸切りレバー爪151 は、糸切りレバー131 の長
さ方向途中部から前方へ突出するピン状の突起部131b
(図40参照)に回動自在に枢支されている。
【0106】図41に示すように、糸切りレバー爪151
の爪部151aとバネ連結部151bは互いにほぼ反対方向へ延
び、バネ連結部151bの穴151cに、右端部を糸切りレバー
131の枢支軸140 に連結した引っ張りコイルバネ153 の
左端部が連結されている。このコイルバネ153 によりバ
ネ連結部151bが引っ張られて、通常時、爪部151aが糸切
りレバー131 に沿って左方延びる姿勢となり糸切りレバ
ー爪151 が係合位置となる。
【0107】糸切りレバー131 の回動範囲は、糸切りレ
バー131 の上下に夫々設けられた2つの係止部(図示
略)により規制され、糸切りレバー131 の回動が規制
(停止)されると、糸切りレバー爪151 が回動し始め
る。糸切りレバー爪151 は係合位置から時計回り方向及
び反時計回り方向へは自由に回動可能であるが、前記引
っ張りコイルバネ153 により、係合位置に回動付勢され
た状態となる。尚、加工カセット5の突起部152 が糸切
りレバー爪151 に係合可能に、前面板19には上側から
切欠いた切欠部19cが形成されている。
【0108】この糸切断機構130 の動作について説明す
る。
【0109】揺動アーム40への加工カセット5の着脱
については前に説明したが、図35に示すように、加工
カセット5を揺動アーム40に装着する際、係合溝86
aに係合ピン42を係合させた状態で加工カセット5を
時計回り方向へ回動させ、係合部材44aが係合凹所8
6bに係合して加工カセット5が装着されるまでに、突
起部152 が爪部151aに上側から係合して糸切りレバー13
1 が規制され停止しており、糸切りレバー爪151 を係合
位置から反時計回りに回動させる。
【0110】図36、図37に示すように、係合部材4
4aが係合凹所86bに係合して加工カセット5が装着
された状態では、糸切りレバー爪151 が回動することに
より、突起部152 と爪部151aの係合が解除され、糸切り
レバー爪151 は引っ張りコイルバネ153 の付勢力で時計
回り方向へ回動されて係合位置に復帰し、その爪部151a
は突起部152 の上側に位置する。この間、糸切りレバー
131 は下限位置に保持されており、1対の糸切り刃133,
134 は開放した状態に維持される。
【0111】次に、加工カセット5を揺動アーム40か
ら取外す際、図38、図39に示すように、操作部材4
4bを操作して、係合部材44aを係合凹所86bから
係合解除させ、加工カセット5を係合ピン42を中心と
して反時計回りに回動させて取外し得る状態にする。加
工カセット5を反時計回りに回動させると、突起部152
が爪部151aに下側から係合し、糸切りレバー爪151 が時
計回り方向へ少し回動しそれ以上回動不能になった状態
から、糸切りレバー爪151 と共に糸切りレバー131 が持
ち上げられて上限位置まで上昇し、その間に、開放して
いた1対の糸切り刃133,134 が閉じて上糸Tが切断され
る。
【0112】突起部152 が上昇しながら左方へも移動す
るため、糸切りレバー131 が持ち上げられて上限位置ま
で上昇すると、更に糸切りレバー爪151 が回動して、突
起部152 と爪部151aとの係合が解除し、その後は、糸切
りレバー131 がコイルバネ141 の付勢力により下限位置
に復帰し、糸切りレバー爪151 もコイルバネ153 の付勢
力により係合位置に復帰する。
【0113】ここで、1対の糸切り刃133,134 により上
糸Tを確実に切断するために、開放状態の刃133,134 の
間に上糸Tを位置させる必要があるが、これは、制御装
置13による刺繍枠4の移動制御(糸切断準備処理)に
よって行われる。即ち、加工カセット5から延びる糸T
は布70の最終針落ち点に繋がっているが、糸切断準備
処理により、刺繍枠4を後方へ移動させ、最終針落ち点
を中空針81の後側に位置させることにより、開放状態
の刃133,134 の間に上糸Tをピンと張った状態で位置さ
せることができる。
【0114】このように、縫製装置本体2に設けられた
操作部材44bを操作して、加工カセット5を縫製装置
本体2から取外すことができ、この操作部材44bの操
作、及び、縫製装置本体2からの加工カセット5の取外
しに応じて、糸切断機構130を作動させて糸Tの切断を
行うことができる。
【0115】つまり、操作部材44bを操作して、加工
カセット5を縫製装置本体2から取外すことを確定させ
て、加工カセット5を完全に取外す前に、糸切断機構13
0 を作動させることができ、糸切断機構130 を操作する
操作部材を別途設けそれを操作する必要がないため操作
負荷の増大も防止できる。
【0116】それ故、糸Tを切断しない状態で加工カセ
ット5を縫製装置本体2から取外してしまうこと、加工
カセット5を縫製装置本体2から取外さないのに(交換
しないのに)誤って糸Tを切断してしまうこと等を防止
できる。つまり、加工カセット5を縫製装置本体2から
取外す(交換する)為に必要な糸Tの切断を確実に且つ
簡単に行うことができ、糸色(糸駒)の交換をより一層
簡単に行えるようになる。
【0117】尚、図示していないが、操作部材44bの
操作、又は、縫製装置本体2からの加工カセット5の取
外しを検出するセンサを設けると共に、糸切断機構130
を駆動する電動モータ等のアクチュエータを設け、前記
センサによる検出信号に基づいてアクチュエータを駆動
し、糸切断機構130 を作動させるように構成してもよ
い。この場合、前記係合機構135 は省略される。また、
操作部材44bを加工カセット5に設けてもよいし、糸
切断機構130 を加工カセット5側に設けることも考えら
れる。
【0118】ところで、上記加工カセット5によれば、
縫製装置本体2に装着した状態は勿論、縫製装置本体2
から取外した状態でも、中空針81の少なくとも先端部
を針カバー83でカバーすることができ、更に、移動禁
止機構85によりカバー位置における針カバーの移動を
禁止できるため、不用意な取り扱いにより加工針の先端
部が外部へ露出するのを防止できる。それ故、特に、加
工カセット5を縫製装置本体2に着脱する際、中空針8
1による衣類等の破損を防止でき安全性に優れ取り扱い
易いものになる。
【0119】中空針81をその先端側部分がカセット本
体80から突出するように固定的に設けて、中空針81
を加工カセット5と共に上下に往復駆動して、布70物
に加工針を貫通させて縫製加工を施すことができるた
め、更に、針カバー83を押え足として兼用したので、
加工カセット5を小型で簡単に構成でき、中空針(加工
カセット5)を往復駆動する機構もを簡単化できるた
め、縫製装置1を小型軽量化するうえで有利になる。
【0120】加工カセット5を縫製装置本体2に装着す
る際には、加工カセット5を縫製装置本体2に装着した
姿勢と異なる姿勢にして把持し、係合ピン42に係合溝
86aを係合させて枢支させる作業を行うことができ、
その後、只、加工カセット5を係合ピン42を中心とし
て回転させるだけで縫製可能な位置に切換える作業を行
うことができ、そして、係合部材44aに係合凹所86
bを係合させてこの縫製可能な位置に加工カセット5を
回転規制することができる。つまり、加工カセット5や
縫製装置本体2の構造等を鑑みて、加工カセット5を縫
製装置本体2に簡単且つ確実に装着でき、加工カセット
5を正規の装着位置に装着できたか否かを判り易くする
ことができる。
【0121】尚、加工カセット5を次のように部分的に
変更してもよい。 1〕針カバー83をカバー位置と退避位置とに亙って手
動で移動させて切換えるように構成してもよい。その場
合、針カバー83をカバー位置に付勢する圧縮コイルバ
ネ84を省略可能である。 2〕中空針81の代わりに一般的な縫針を適用してもよ
い。 3〕空転防止機構91において、捩じりバネ102 で付勢
した接触子101 を糸駒82の鍔部82bに押圧して摩擦
抵抗を付与する以外に、糸駒押えやその他の部材や部位
を糸駒82に接触させて摩擦抵抗を付与するように構成
できる。 4〕逆流防止機構92において、案内ピン105 には環状
凹部105aを形成せずに、板バネ部材106 に凹部を形成し
て糸通過部を構成するようにしてもよい。 5〕糸Tの残量を外部から視認可能な残量視認部とし
て、開口部86cを形成する代わりに、収容ケース86
又は/及び開閉蓋87を透明又は半透明材料で構成し、
その収容ケース86又は/及び開閉蓋87を通して、糸
Tの残量を外部から視認可能に構成してもよい。 6〕糸色表示部87bをカセット本体80の開閉蓋87
の上面部以外の部分に設けてもよいし、糸色表示部87
bとして、シールを接着する以外にケース本体80の一
部又は全部を、その内部に収納した糸駒82の糸Tの色
と同色又は類似色に着色するようにしてもよい。
【0122】次に、制御系について図42のブロック図
に基づいて説明する。
【0123】縫製装置1の制御装置13は、CPU13
aとROM13bとRAM13cを含むコンピュータ
と、入出力インターフェ─ス13dと、入出力端子13
eを有し、これらはバス13fで接続されている。入出
力インターフェ─ス13dには、X方向駆動機構20の
パルスモータ24の為の駆動回路24a、Y方向駆動機
構30のパルスモータ35の為の駆動回路35a、カセ
ット駆動機構12のミシンモータ45の為の駆動回路4
5a、電源スイッチ15、スタート/ストップスイッチ
16、位相検出器119 が接続されている。
【0124】ここで、位相検出器119 について説明する
と、位相検出器119 は、例えば、複数のフォトインタラ
プタと、大径ギヤ54と一体的に回転する枢支軸に固着
されて各フォトインタラプタに対応するエンコーダディ
スクを含み、この枢支軸の回転位相を検出して、揺動ア
ーム40の上限位置、下限位置、針抜け位置等を検出で
きるようになっている。
【0125】一方、ゲーム機6は、CPU6aとROM
6bとRAM6cを含むコンピュータと、DVD120 の
読取り及び書込みが可能なDVDドライブ6d(DVD
D)と、フラッシュカード用コネクタ6eと、入出力端
子6f,6gと、入力端子6hと、出力端子6iとを有
し、これらはバス6jで接続されている。入出力端子6
fは縫製装置1の入出力端子13eに接続され、入力端
子6hにはコントローラ7が接続されている。出力端子
6iにはCRT8の為の駆動回路8a(LCDD)が接
続され、入出力端子6gは電話回線9aと接続可能であ
る。
【0126】DVDドライブ6dに種々の縫製データや
プログラムをコンピュターで読み取り可能に記憶する外
部記憶媒体としてのDVD120 を着脱可能であり、テレ
ビゲームのゲームソフトを記憶したDVD120 を装着し
た場合、そのゲームソフトに基づいてCRT8にゲーム
画面を表示させ、コントローラ7を操作してゲームを楽
しむこともできる。また、入出力端子9gと電話回線9
aとを接続することにより、その電話回線9aを介し
て、この縫製装置1、データ、プログラム等の製造元で
あるメーカ(例えば、ブラザー工業)側のサーバや他メ
ーカ(例えば、ブラザー工業以外のメーカ)側のサーバ
から接続業者のサーバを通して、縫製に関連する種々の
データを取り込むことができる。つまり、インターネッ
トを介してメーカ(例えば、ブラザー工業)側から供給
される縫製に関する種々のデータを取り込むことができ
る。
【0127】さて、縫製装置1では、制御装置13によ
り縫製データに基づいて刺繍枠駆動機構11(X方向駆
動機構20とY方向駆動機構30)とカセット駆動機構
12を駆動制御して、布70に刺繍模様を形成すること
ができ、その為の制御プログラムがROM13bに格納
されている。そして、本実施形態の場合、ゲーム機6を
使用してCRT8にゲームソフトにより表示される種々
のキャラクタ(人物、動物、ロボット等)を画面を介し
て選択したり編集したりし、そのキャラクタを刺繍する
模様データをゲーム機6において作成し、縫製装置1に
供給できるように構成されている。
【0128】そのため、ゲーム機6では、縫製データを
選択し編集することができる専用のDVD120 が設けら
れている。つまり、このDVD120 には、図43に示す
ように、前記のようにゲームソフトから選択した複数種
類の刺繍模様及び予め入力された複数種類の刺繍模様の
模様データ、これら複数種類の刺繍模様のなかから所望
の刺繍模様を選択する為の模様選択制御プログラム、選
択された刺繍模様を編集(拡大、縮小、結合、反転等
々)する為の模様編集制御プログラム、模様を選択設定
する為にCRTに表示させる表示制御プログラム等が記
憶されている。尚、フラッシュカード用コネクタ6eに
接続可能なフラッシュカード121 には、選択・編集した
刺繍模様の模様データを記憶しておくこともできる。
【0129】更に、前記DVD120 には、ゲームソフト
と共に、そのゲームソフトのデータに基づいてゲームソ
フトのキャラクタを選択・編集して模様データを作成す
る模様データ作成制御プログラムも格納されており、こ
の制御プログラムによって模様データを作成する場合に
は、この制御プログラムをRAM6cにダウンロードし
てからゲームソフト用DVDを作動させて種々のキャラ
クタを表示させ、刺繍に供するキャラクタを選択・編集
後、模様データを作成する。但し、その模様データはD
VD120 に格納される。
【0130】次に、以上説明した縫製装置1の一連の作
用について、図44、図45のフローチャート等を適宜
参照して説明する。但し、図1に示すように、縫製装置
1とゲーム機6は接続ケーブルを介して接続され、ゲー
ム機6のDVDドライブ6dには、図43のデータが記
憶されているDVD120 が装着されているものとする。
尚、ゲーム機6とディスプレイ8も接続ケーブルを介し
て接続されている。
【0131】先ず、ゲーム機6により、ディスプレイ8
の画面を見ながら、コントローラ7を操作して刺繍模様
を選択・編集する。尚、縫製装置1の電源をオンしなく
ても、刺繍模様の選択・編集が可能である。
【0132】このゲーム機6の制御装置では、図44に
示すように、電源がオンされると制御が開始され、初期
設定(S1)の後、DVD120 のデータ(前記模様選択
制御プログラム、模様編集制御プログラム、表示制御プ
ログラム等)が読込まれる(S2)。その後、模様選択
処理(S3)において、DVD120 に記憶されている複
数種類の刺繍模様のなかから所望の刺繍模様を選択で
き、模様編集処理(S4)において、選択された刺繍模
様を編集(拡大、縮小、結合、反転等)することができ
る。
【0133】次に、コントローラ7の所定ボタンを操作
して、刺繍模様の選択・編集が完了すると(S5;Ye
s)、次に、縫製装置1がデータ受信可能であるときに
は(S6;Yes)、選択・編集された刺繍模様の模様デー
タが縫製装置1へ送信され(S7)S3へリターンす
る。但し、縫製装置1の電源がオンされていない場合
等、縫製装置1がデータ受信不能であるときには(S
6;No )S5へリターンする。
【0134】さて、縫製装置1の制御装置13では、図
45に示すように、電源スイッチ15を操作して電源が
オンされると制御が開始され、初期設定(S10)の
後、データ受信可能となり、次に、ゲーム機6から選択
・編集された模様データの送信が有るときには(S1
1;Yes)、その模様データを受信する(S12)。次
に、スタート/ストップスイッチ16がオンされると
(S13;Yes)、受信した模様データに基づいて縫製処
理(S14)が実行される。
【0135】ここで、縫製を開始させる前に行う必要が
ある準備について説明する。
【0136】先ず、縫製装置1の安全カバー3を図2の
収納用位置に位置させた状態で、布70を取付けた刺繍
枠4を、安全カバー3のガイド部材69にガイドさせつ
つ刺繍枠挿入穴3fからカバー3内部に挿入し、刺繍枠
4の後端支持部4aをキャリッジ18の係合部18aに
係合させて装着する。このように刺繍枠4を確実に装着
できるキャリッジ18の位置が揺動アーム40の略下側
に位置し、初期設定(S10)においてこの位置にキャ
リッジ18が移動されて待機している。安全カバー3が
収納用位置に位置している状態で、刺繍枠4は安全カバ
ー3よりも少し突出している。
【0137】刺繍枠4を装着した後、把手となるガイド
部材69を把持し、安全カバー3を前方へスライド移動
させて図3の縫製用位置に切換える。この状態で、カー
トリッジ取付口68が形成されるため、そのカートリッ
ジ取付口68から、所望の色の糸を収容した加工カセッ
ト5を安全カバー3内に挿入し、揺動アーム40に取付
けて装着する。これらの準備を行って縫製処理の実行が
可能になる。
【0138】安全カバー3が縫製用位置以外に位置する
場合、スタート/ストップスイッチ16は安全カバー3
に覆われ操作が不可能であるが、安全カバー3が縫製用
位置に切換えられた状態では、スタート/ストップスイ
ッチ16がスイッチ操作穴3eと対向するため操作が可
能となる。即ち、その後、スタート/ストップスイッチ
16がオンされると(S13;Yes)、縫製処理(S1
4)が実行される。
【0139】ここで、図43に示すように、DVD120
に記憶されている各刺繍模様の模様データは複数の模様
部の模様部データからなり、各模様部毎に加工カセット
を交換し糸色を変えるようになっている。つまり、図4
5に示すように、スタート/ストップスイッチ16がオ
ンされると(S13;Yes)、縫製処理(S14)が実行
され、1つの模様部の模様データに基づいて、刺繍枠駆
動機構11とカセット駆動機構12が制御されてその模
様部が布70に縫製される。
【0140】1つの模様部が形成されるとその模様部に
ついての縫製が終了され(S15)、次に縫製する模様
部の糸色を変える際、その色の糸Tを収容した別の加工
カセット8に取替える。この場合、現在装着されている
加工カセット5を取外す前に、例えば、コントローラ7
の所定のボタンを操作することにより糸替えが指令され
ると(S16;Yes)、次に、糸切りと加工カセット5の
交換の為に糸切断準備処理(S17)が実行される。
【0141】S17の糸切断準備処理では、模様(布)
から加工カセット5に至る糸Tを、糸切断機構130 の糸
切り刃133,134 に位置させる為の動作が実行される。具
体的には、刺繍枠4をその移動範囲の最も奥側であっ
て、前後に糸Tが延びる位置に移動させるように、制御
装置13(CPU13a)により刺繍枠駆動機構11が
駆動制御される。尚、必ずしも、糸Tを布から抜かない
程度でピンと張る必要はない。2枚の糸切り刃133,134
で糸Tを切断するのであるから、所定の位置(開状態に
ある糸切り刃133,134 の間)に糸Tがあればよいのであ
る。
【0142】加工カセット5を交換しない場合、S18
の糸切断準備処理を実行させる必要がない。糸替えが指
令されないとき(S16;No )S13へリターンするた
め、縫製中断(S15)の後、スタート/ストップスイ
ッチ16がオンされると(S13;Yes)、縫製処理(S
14)が実行され次の模様部が形成される。
【0143】以上のように、この縫製装置1によれば、
ゲーム機6を使用して複数種類の刺繍模様のなかから所
望の刺繍模様を選択・編集することができ、その刺繍模
様を刺繍枠4に取付けた布70に縫製することができ、
更に、刺繍模様を形成する複数の模様部の糸色を変え
て、カラフルな刺繍模様を縫製することができる。そし
て、刺繍模様が縫製された布70を取り外して両面テー
プ77を粘着して、ワッペンとなる模様縫製布78を作
成し種々のものに取付けることができる。
【0144】そして、縫製の際、縫製用位置に切換えら
れた安全カバー3により、刺繍枠4の移動領域38を覆
うことができ、更に揺動する中空針81を含む加工カセ
ット5の大部分と揺動アーム40を覆うことができ、安
全カバー3を縫製装置本体2から取外すことができず、
安全カバー3が縫製用位置以外の位置では、安全カバー
3によりスタート/ストップスイッチ16が覆われスイ
ッチ操作を不可能にし、縫製装置1が誤作動するのを防
止できるから、安全性や操作性にも非常に優れたものに
なる。
【0145】しかも、小型軽量であるので持ち運びや保
管・収納するのに便利であること、刺繍枠4と加工カセ
ット5の着脱が容易であり、刺繍枠4と加工カセット5
の着脱等のために、安全カバー3を前後にスライドさせ
て収納用位置と縫製用位置に簡単に切換えることがで
き、縫製終了後に中空針81と布70の間の糸Tの切断
が容易であるから、非常に取扱い易いものとなる。
【0146】更に、透明材料又は半透明材料からなる安
全カバー3を通して、安全カバー3内において縫製して
いる状況を見ることもできるため、面白みも増大する。
以上のことから、子供等でも非常に取扱い易く、安全性
や操作性に非常に優れ刺繍装置1を提供することができ
る。ゲームソフトに出てくる種々のキャラクタを選択し
てそのキャラクタを刺繍したワッペンを作ることができ
るので、子供等にとって非常に有意義な楽しいものにな
る。
【0147】尚、前記実施形態では、そのゲーム機6を
使用し、DVD120 に記憶した複数種類の刺繍模様のな
かから所望の刺繍模様を選択し編集して、その模様デー
タを縫製装置1に供給して刺繍模様を縫製するようにし
ているが、ゲーム機6によりゲームソフトのキャラクタ
の画像データを縫製装置1側へ供給し、縫製装置1にお
いてその画像データに基づいて模様データを作成するよ
うにしてもよい。
【0148】
【発明の効果】以上に詳述したように、請求項1の加工
カセットによれば、被加工物に縫製加工を施す加工装置
の本体に対して着脱可能に装着しうるように構成された
縫製加工用の加工カセットであって、該加工カセットの
外周一側部位には、前記加工装置本体に設けた係合部に
着脱可能に被嵌する係合溝を、当該加工カセットの外周
に向かって開放状に設け、該係合溝における前記外周と
の連設部位を外拡状に形成したのであるから、加工カセ
ットを加工装置本体における係合部に装着する場合に、
係合溝と係合部とがきっちりした寸法でガタつかないも
のであっても、外拡状に形成された連設部位を介して円
滑に係合部に対して係合溝を被嵌させることができると
いう効果を奏する。
【0149】請求項2の加工カセットによれば、被加工
物に縫製加工を施す加工装置の本体に対して着脱可能に
装着しうるように構成された縫製加工用の加工カセット
であって、該加工カセットの外周一側部位には、前記加
工装置本体に設けた係合部に着脱可能に被嵌する係合溝
を、当該加工カセットの外周に向かって開放状に設け、
該係合溝は、前記係合部における細径のピン軸とその軸
線の一部の大径部とに各々被嵌する細径溝部と大径溝部
とを備えたものであるから、係合部における細径のピン
軸と大径部との配置関係に対して、加工カセットの係合
溝における細径溝部と大径溝部との配置関係が正しくな
い状態で加工カセットを装着しようとしても、細径溝部
に対して大径部が嵌まらず、誤った姿勢で加工カセット
を加工装置の本体に装着するという誤使用を確実に防止
できると共に、正しく装着した場合には、係合溝は、前
記係合部のピン軸線と交差する方向と、ピン軸線に沿う
方向とに対して開放されていても、大径部が細径溝部側
にピン軸線方向に沿って移動させることが不能となり、
ガタつきなく加工カセットを装着できるという効果奏す
る。
【0150】請求項3の加工カセットによれば、前記係
合溝のうち前記ピン軸線と交差する方向の連設部位を外
拡状に形成したものであるから、請求項2に記載の発明
による効果に加えて、加工カセットを加工装置本体にお
ける係合部に装着する場合に、係合溝と係合部とがきっ
ちりした寸法でガタつかないものであっても、外拡状に
形成された連設部位を介して円滑に係合部に対して係合
溝を被嵌させることができるという効果を奏する。
【0151】請求項4の発明によれば、縫製加工用の加
工カセットを加工装置本体に着脱可能に装着して被加工
物に縫製加工を施す加工装置において、前記加工装置本
体には、細径のピン軸とその軸線の一部の大径部とから
なる係合部を設け、前記加工カセットの外周一側部に開
放するように形成された係合溝が前記係合部におけるピ
ン軸と直交する方向に対して着脱できるように構成した
ものであるから、加工カセットにおける係合溝の開放側
を係合部におけるピン軸線に対して直交する方向から接
近させるだけで至極簡単に係合部に装着でき、且つ加工
カセットの取り外しも前記と逆順序で行えば、至極簡単
に外すことができる。そして、加工カセットの装着状態
においては、細径のピン軸とその軸線の一部の大径部に
前記係合溝が被嵌することにより、ピン軸線方向に沿っ
て加工カセットがずれないようにでき、ガタつかないよ
うにできるという効果を奏する。
【0152】請求項5の加工装置によれば、前記加工装
置本体には、前記加工カセットを前記係合部におけるピ
ン軸線の回りに回動する姿勢を変更させて加工装置本体
から取外す為に操作される操作部材を設けたものである
から、請求項4に記載の発明による効果に加えて、加工
装置本体に設けられた操作部材を操作して、加工カセッ
トを至極簡単に加工装置本体から取外すことができると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る縫製装置とゲーム機等
の斜視図である。
【図2】縫製装置(安全カバーが収納用位置の状態)の
斜視図である。
【図3】縫製装置(安全カバーが縫製用位置の状態)の
斜視図である。
【図4】縫製装置(安全カバーが縫製用位置の状態)の
平面図である。
【図5】縫製装置(安全カバーが縫製用位置の状態)の
側面図である。
【図6】縫製装置の横断面図である。
【図7】縫製装置(中空針が上限位置の状態)の正面か
らの部分透視図である。
【図8】縫製装置(中空針が下限位置の状態)の正面か
らの部分透視図である。
【図9】カム部材の正面図である。
【図10】刺繍枠の斜視図である。
【図11】刺繍枠の部分的な縦断面図である。
【図12】加工カセットの正面図である。
【図13】加工カセットの背面図である。
【図14】加工カセットの左側面図である。
【図15】加工カセット(閉状態)の縦断面図である。
【図16】加工カセット(開状態)の縦断面図である。
【図17】加工カセットの収容ケース側の縦断面図であ
る。
【図18】加工カセットの開閉蓋側の縦断面図である。
【図19】揺動アームと加工カセット(未装着状態)の
正面図である。
【図20】加工カセット及び揺動アームの一部の斜視図
である。
【図21】(a)は揺動アームに対する加工カセットの
取付け及び取外しの作用を示す状態の正面図、(b)は
装着状態における加工カセットと揺動アームとの正面図
である。
【図22】移動禁止機構(ロック状態)の平面図であ
る。
【図23】移動禁止機構(ロック解除状態)の平面図で
ある。
【図24】移動禁止機構の側面図である。
【図25】逆流防止機構の縦断面図である。
【図26】ロック機構のロック部材の側面図である。
【図27】縫製動作の説明図(縫製開始前)である。
【図28】縫製動作の説明図(1針目の針落ち時)であ
る。
【図29】縫製動作の説明図(1針目の針落ち直後の針
上がり状態)である。
【図30】縫製動作の説明図(布送り時)である。
【図31】縫製動作の説明図(1針目以降の針落ち時)
である。
【図32】縫製動作の説明図(1針目以降の針上がり状
態)である。
【図33】布及びそれに形成された刺繍模様と両面テー
プの断面図である。
【図34】模様縫製布の断面図である。
【図35】糸切り機構(待機状態)を含む要部の正面図
である。
【図36】糸切り機構(待機状態)を含む要部の正面図
である。
【図37】図36の糸切り機構を含む要部の左側面図で
ある。
【図38】糸切り機構(糸切断状態)を含む要部の正面
図である。
【図39】図38の糸切り機構を含む要部の左側面図で
ある。
【図40】糸切りレバーの斜視図である。
【図41】糸切りレバー爪の斜視図である。
【図42】縫製装置とゲーム機の制御系を示すブロック
図である。
【図43】DVDに記憶されているデータを示す図であ
る。
【図44】ゲーム機で実行される制御のフローチャート
である。
【図45】縫製装置で実行される制御のフローチャート
である。
【符号の説明】
T 糸 1 縫製装置 2 縫製装置本体 3 安全カバー 4 刺繍枠 5 加工カセット 42 係合部としての係合ピン 42a 細径ピン軸 42b 大径部 44a 係合部材 44b 操作部材 70 布 80 カセット本体 81 中空針 82 糸駒 83 針カバー 84 圧縮コイルバネ 85 移動禁止機構 86 収容ケース 86a 係合溝 86a1 細径係合溝 86a2 大径係合溝 86a3 連設部位 86b 係合凹所 86c 開口部 87b 糸色表示部 90 収納部 91 空転防止機構 92 逆流防止機構 105 案内ピン 105a 環状凹部 106 板バネ部材 107 糸通過部 130 糸切断機構 131 糸切りレバー 132 リンク機構

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物に縫製加工を施す加工装置の本
    体に対して着脱可能に装着しうるように構成された縫製
    加工用の加工カセットであって、該加工カセットの外周
    一側部位には、前記加工装置本体に設けた係合部に着脱
    可能に被嵌する係合溝を、当該加工カセットの外周に向
    かって開放状に設け、 該係合溝における前記外周との連設部位を外拡状に形成
    したことを特徴とする加工カセット。
  2. 【請求項2】 被加工物に縫製加工を施す加工装置の本
    体に対して着脱可能に装着しうるように構成された縫製
    加工用の加工カセットであって、該加工カセットの外周
    一側部位には、前記加工装置本体に設けた係合部に着脱
    可能に被嵌する係合溝を、当該加工カセットの外周に向
    かって開放状に設け、 該係合溝は、前記係合部における細径のピン軸とその軸
    線の一部の大径部とに各々被嵌する細径溝部と大径溝部
    とを備え、且つ該係合溝は、前記係合部のピン軸線と交
    差する方向と、ピン軸線に沿う方向とに対して開放され
    ていることを特徴とする加工カセット。
  3. 【請求項3】 前記係合溝のうち前記ピン軸線と交差す
    る方向の連設部位を外拡状に形成したことを特徴とする
    請求項2に記載の加工カセット。
  4. 【請求項4】 縫製加工用の加工カセットを加工装置本
    体に着脱可能に装着して被加工物に縫製加工を施す加工
    装置において、 前記加工装置本体には、細径のピン軸とその軸線の一部
    の大径部とからなる係合部を設け、前記加工カセットの
    外周一側部に開放するように形成された係合溝が前記係
    合部におけるピン軸と直交する方向に対して着脱できる
    ように構成したことを特徴とする加工装置。
  5. 【請求項5】 前記加工装置本体には、前記加工カセ
    ットを前記係合部におけるピン軸線の回りに回動する姿
    勢を変更させて加工装置本体から取外す為に操作される
    操作部材を設けたことを特徴とする請求項4に記載の加
    工装置。
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