JP2002209945A - 車イス用乗降装置を備えた自動車 - Google Patents

車イス用乗降装置を備えた自動車

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JP2002209945A
JP2002209945A JP2001016286A JP2001016286A JP2002209945A JP 2002209945 A JP2002209945 A JP 2002209945A JP 2001016286 A JP2001016286 A JP 2001016286A JP 2001016286 A JP2001016286 A JP 2001016286A JP 2002209945 A JP2002209945 A JP 2002209945A
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wheelchair
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automobile
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Kazuhiko Kami
一彦 香味
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Abstract

(57)【要約】 【課題】利用者の乗降スペースを車室面積内に確保する
ことで、車外に余分なスペースを要せず、狭い場所でも
乗降が容易なので乗降場所に限定がなく、かつ雨、雪、
強風などの気象条件にも対応でき、安全性の高い、車イ
ス用乗降装置を備えた自動車を提供する。 【解決手段】車両本体の後部に開閉可能な開口部11を
有し、互いに平行に間隙をあけた2本のサイドフレーム
を車両長さ方向に沿って有する。車イス用乗降装置10
は自動車のリアゲート付近の車室フロア15を除去され
た部分に位置する。通常は車イス用乗降装置10の昇降
用フロア13と車室フロアは同じ高さである。車イス用
乗降装置10の昇降用フロア13は、車両本体の後部の
各サイドフレームの間に開口部11に臨むよう設けられ
る。昇降用フロア13は昇降装置14により昇降可能で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両本体の後部に
開閉可能な開口部を有し、互いに平行に間隙をあけた2
本のサイドフレームを車両長さ方向に沿って有する、車
イス用乗降装置を備えた自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の車イス利用者の乗降装置として
は、例えばリアゲート側にアーム式リフトを設け、弧を
描くように車外に突出降下してリフトに乗り、車室・車
外間を乗降するものや、サイドドア開口部から電動式の
シートが車外に回転しながら降下して車外で車イスから
乗り替えて乗降するものがある。これら従来の車イス用
乗降装置を備えた自動車は、いずれも車外で乗降装置に
乗り込む方法を採用してある。
【0003】このため、従来の車イス用乗降装置を備え
た自動車では、雨天や雪の日など車イスのハンドルを操
作する介護人の他にカサを差す人が必要であったり、足
元が滑りやすかったりといった多くの難点や危険があ
る。
【0004】また、従来のリフト式の車イス用乗降装置
を備えた自動車の場合、構造上、リフトフロアと地面と
の高低差が大きく、スロープを設けても乗降や車室内で
の移動がスムーズにできない。さらに、この従来のタイ
プでは、リフトの作動システム上、アームが大きく突き
出るので他の付属装置、保護装置などで、車室にムダな
スペースを取られるうえ、軽量小型化が困難である。さ
らに、リフト下降時はフロアが後部外側に大きく突出し
てくるため、乗降スペースを余分に必要とする。特に、
大きなものでは軽自動車1台分の乗降スペースを要する
ものもあり、狭い場所では乗降りが困難で、かつ、作動
時は危険で側に寄れないなど利用者にとって不便、難点
が多い。
【0005】また、従来の、サイドドア開口部から電動
シートが回転しながら下降するタイプの場合、道端から
広く乗降スペースを確保しなければならないことから、
他の通行車両の前方視界のさまたげになったり、狭い道
幅の道路で他の車両が通行できなかったり、雨天時等に
カサを差していても電動シートや車イスの座や背に雨が
かかってぬれてしまうなど、利用者にとって難点が多
い。このため、このような従来のものでは、いずれも乗
降場所を限定されているのが現状である。
【0006】実公平7−12170号公報に示す従来の
技術では、トラックの荷台の一部を昇降させる方法を採
用しており、後部のシャシフレーム(メインフレーム)
を取り除いてある。トラックはその用途からメインフレ
ームが頑強に作られ、かつリアオーバーハングが長いた
め、後軸後方のメインフレームの一部を除去して床の一
部を昇降させることが可能である。しかし、大型トラッ
ク等と異なり、小型、中型のバン、ワゴン形状の車両
は、本来一部に荷重が集中する重量物に対応できる構造
になく、さらにリアオーバーハングが短く、かつリーフ
スプリングのリアハンガー部(シャックルブラケット)
があるため、メインフレームを移動することが不可能な
ことから、床昇降装置を設けることが困難である。
【0007】また、前述の従来技術とは異なるもので、
特許公表平11−508848号公報に示すものがあ
る。すなわち、ライトバン形式の車両のサイドドア付近
の車室フロアを除去して、除去部にリフト平板を設け、
当該リフト平板が地面まで降下して、車イスを乗降させ
るものである。また、このサイドドア側の車室フロアを
除去する際、シャシー部材、または、サブフレームの一
部を除去し、開口部の一部とルーフに補強を施し、走行
時には車両の構造的剛性を維持するため、ドア補強部材
内にラッチされるようにドア内に補強部材を設けてあ
る。この従来の技術では、リフト平板を設置するために
車幅の広い車両を使用するようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般のライ
トバン形式の車幅は、外車であっても1.8m〜2m程
度、大型のバスに至っても最大2.5mである。自動車
の強度・剛性は、フレーム車の場合、その総重量の10
0%をフレームで支えるように作られ、モノコック車の
場合には、その総重量の60%以上をフロア及びサイド
フレーム(サイドメンバー)で支えるように作られてい
る。
【0009】また、車イスを乗降させるスペースを確保
するためには、車幅に対して1m程度、フロアを開口除
去しなければならない。図12に示すように、自動車の
下面には、フレーム車の場合、メインフレーム1等があ
り、モノコック車の場合、メインサイドフレームとサブ
メンバー(ロッカーパネルなど)がある。
【0010】一般のライトバン形式の自動車の外板外側
からメインフレームまたはメインサイドフレームまでの
距離は、30cm程度、大型バスに至っても50cm程
度である。これは、自動車の重量を支えるタイヤからア
クスルシャフト取付位置までの距離がありすぎると、片
持ち梁としてのアクスルシャフトに大きな曲げモーメン
トがかかり、危険なため、タイヤ内面から干渉せずにで
きる限り近い位置にメインフレームまたはメインサイド
フレームが設けられるためである。この自動車シャシー
構造に必須の条件を満たしたうえで、特許公表平11−
508848号公報に示す自動車にリフト平板設置のた
めのフロア開口を施すと、図13に示すようになる。す
なわち、特許公表平11−508848号公報に示すよ
うにシャシー部材またはサブフレームの一部を除去する
だけでは済まず、メインフレーム1そのものを除去する
必要が生じる。
【0011】メインフレームは、ホイールベース間の荷
重の80%以上を支えるだけでなく、フロント軸の左右
とリア軸の左右をX字状に結んで発生するねじれに対抗
するねじれ剛性を確保している。特にねじれ剛性につい
ては、部材の長さと断面形状が同一の条件において、左
右のメインフレーム(サイドフレーム)間の距離が近く
なる程、低下する。もちろん、片側のメインフレームを
中間で完全に除去したとき、様々な種類や角度から生じ
る外力、応力に対応できず、応力集中点を境にシャシ
ー、残されたフレーム、サブフレームなどはへの字に曲
がり、壁面、ルーフ等はつぶれてしまう。
【0012】工学基準において、自動車のねじれ剛性は
0.3kgmm2 /rad以上と定められている。ねじ
れの低剛性は、走行中の段差、高低差などに起因する振
動による小刻みなねじれ、及び各輪のバウンド、リバウ
ンドによる大きなねじれ、駐停車時の4輪接地地面の高
低差によるねじれなどを引き起こし、さらに、溶接部の
はがれ、破断、取付ボルトのせん断、各構造部材の疲れ
破断などを因として、走行中に自動車が崩壊し、人命に
係わる大事故に発展する恐れがある。このため、自動車
のねじれ剛性は、非常に重要である。
【0013】さて、特許公表平11−508848号公
報に示す従来技術では、スライドドア側室内フロアおよ
びメインフレームの除去により、車両の屋根に隣接して
縦軸補強部材が設けられ、この補強部材に対してサブフ
レームが除去された領域の上部に、横梁及び斜めの梁が
設けられている。しかし、実際上は、物理的、工学的に
これら補強によってメインフレームを含むフロアの50
%以上を除去した車両の剛性を維持することは不可能で
ある。なぜなら、シャシーを平面として例えたとき、図
14に示すように、車両に生じるねじれに対応するため
に設けられたルーフ上の補強と、フロア側を接続する縦
の補強であるドア包囲フレームには、左右それぞれ上に
突き上げようとする荷重と下に押し戻そうとする荷重
(図14で矢印で示す)がかかる。
【0014】例えば、1つのタイヤが高低差5cmの位
置に乗り上げたとき、シャシーにはねじれ角が生じ、前
記フレームは左右それぞれ上下に数cm交差するように
移動しようとする。このとき、包囲フレームがボディに
溶接等接続されていなければ、直接、ルーフ補強に伝達
し、ルーフ補強が頑強である程、ボディと接続された部
位に応力が集中する。そして、補強部材がねじれに対応
しきれない状態になるか、ボディとの接合部の耐久力が
低下する。
【0015】また、図14に示すように、補強を施して
も最も肝心な開口部前端外側と後端外側を結ぶ補強は、
この位置に補強を入れると車イスが出入できないため、
物理的に不可能である。従って、フロア開口によって残
されたフロア部には改造前の倍の曲げ荷重がかかり、ね
じれについては幅が狭くなったことによって数倍から1
0倍のねじれ応力がかかってくるのである。
【0016】これによって、開口部前端外側と後端部外
側は、常にそれぞれが上下逆方向へ移動を繰り返してい
る。この繰り返しは、残されたフロアや補強部材とボデ
ィとの接合部及び補強部材どうしの接合部の疲労強度を
極度に低下させて破断へと導く。
【0017】また、特許公表平11−508848号公
報に示す従来技術では、頑強な補強を施しているが、補
強が頑強なほど、薄いボディ鋼板との接合部に応力が集
中する。
【0018】さらに、特許公表平11−508848号
公報に示す従来技術では、ドア下部にラッチを設け、閉
じたとき、ドア補強部材とボディ側補強部材がラッチに
よって接続され、強度剛性を復帰させるようになってい
る。しかしながら、前述のようにメインフレーム等の自
動車の荷重の大半を支える部材を取り去り、その代わり
とは成り得ない補強を施された車両では、走行時には時
に総重量の数倍に達する曲げやねじりの力に対し、間接
的なラッチなどで支え切れるものではなく、ドアは即時
にねじれてしまう。さらに、フロア、ドアのねじれから
ラッチには対応し得ない曲げ剪断がかかって、ラッチは
破壊し、危険極まりない。このように、特許公表平11
−508848号公報に示す従来技術では、人命に係わ
る事故を引き起こすおそれがある。
【0019】そこで、メインフレーム間の床のみを除去
して昇降装置を設けることにより、リアオーバーハング
部の強度剛性を低下させず、かつ、四方に隔壁を設ける
ことで、走行時も乗降時も安全性を確保でき、小型中型
のバン、ワゴン形状車に対応可能な、車イス用乗降装置
を備えた自動車の車イス乗降装置の開発が望まれる。
【0020】本発明は、このような従来の課題に着目し
てなされたもので、利用者の乗降スペースを車室面積内
に確保することで、車外に余分なスペースを要せず、狭
い場所でも乗降が容易なので乗降場所に限定がなく、か
つ雨、雪、強風などの気象条件にも対応でき、安全性の
高い、車イス用乗降装置を備えた自動車を提供すること
を目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の本発明に係る車イス用乗降装置を備えた
自動車は、車両本体の後部に開閉可能な開口部を有し、
互いに平行に間隙をあけた2本のサイドフレームを車両
長さ方向に沿って有する、車イス用乗降装置を備えた自
動車であって、前記車イス用乗降装置は、前記車両本体
の後部の各サイドフレームの間に前記開口部に臨むよう
設けられた昇降用フロアと、前記昇降用フロアを動力に
より昇降させる昇降装置とを有することを、特徴とす
る。
【0022】請求項1の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車では、サイドフレームの間で昇降用フロ
アを昇降装置により昇降させることができる。昇降用フ
ロアに車イスを乗せて昇降させれば、車イスを容易に車
両本体に乗降りさせることができる。昇降用フロアは、
サイドフレームの間に設けられているため、車両本体の
ねじれ剛性を低下させず、安全性が高い。また、利用者
の乗降スペースを車室面積内に確保することで、車外に
余分なスペースを要せず、狭い場所でも乗降を容易にす
ることができる。さらに、自動車の屋根と壁により、
雨、雪、強風などの気象条件から、車イスの利用者を保
護することができる。昇降用フロアは、車両本体の後部
に開口部に臨むよう設けられているため、車両本体の後
部から乗降りすることができる。このため、道端から広
く乗降スペースを確保する必要がなく、狭い道幅の道路
でも他の車両の通行を妨げにくい。昇降用フロアは、車
両本体の車室フロアと同じ高さから路面に接する高さま
で昇降可能であることが好ましい。
【0023】例えば、本発明に係る車イス用乗降装置を
備えた自動車は、バン、バス、ワゴン車などのリアゲー
ト付近のフロアパネルで、車イス利用者が乗降に必要な
スペース分除去し、当該スペースの左右に隔壁を、前方
に隔壁兼用の扉を設け、ほぼ垂直に昇降する昇降用フロ
アを設置して成る。
【0024】この場合、三方の隔壁は、昇降時に周囲の
車室フロアとの間にできるすき間に車イスや人の体の一
部がはさまれないように保護する効果と、着地及び昇降
時に強風などによる雨、雪、ほこりなどの車体下部の吹
き込みから利用者を保護する効果を持つ。三方の隔壁
は、フロアパネルと地面との高低差をわずか数センチメ
ートルとし、ゆるやかなスロープを付けることにより、
車イス利用者が自力で容易に乗降できるようになる。ま
た、昇降用フロアが自動車の車室面積内に設置されるか
ら、乗降者が雨、雪、強風などの悪天候から保護される
ばかりでなく、車両周囲に乗降装置作動のための余分な
スペースを要しない。
【0025】このような本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車では、車イスの出入りが可能な後部の開
口部を除き、左右には固定の隔壁、前方には扉兼用の隔
壁があり、かつ、昇降部が車室面積内の一部であるか
ら、カサが無くても雨、雪、強風にさらされることがな
い。しかも、昇降用フロアの端部はゆるやかなスロープ
でバリアフリーとなるから、車イス利用者は容易にかつ
スピーディに乗降りでき、介護を要する車イス利用者の
場合であっても、介護者も被介護者に集中できる。さら
には、車両と周囲後部のすき間は、車イスが通れるだけ
の広さがあれば乗降場所に限定されることなく、狭い場
所でも乗降可能、しかもスムーズに乗降できる。なお、
昇降用フロアには、車イスのほか、荷物などを積み込ん
でもよい。
【0026】請求項2の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車は、請求項1の車イス用乗降装置を備え
た自動車において、1対のレールと保護部材とを有し、
前記レールは前記開口部の両側に設けられ、前記保護部
材は各レールに対しスライドさせて任意の位置で停止可
能に各レールの間に設けられていることを、特徴とす
る。
【0027】請求項2の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車では、保護部材を各レールに対しスライ
ドさせて任意の位置で停止させることができる。このた
め、昇降用フロアを下降させて車両本体の後部の開口部
から車イスを昇降用フロアに乗せるときには、保護部材
を邪魔にならないよう上方に移動させ、昇降用フロアを
上昇させて車イスを車両本体の内部にセットしたなら
ば、保護部材を車イスの後部の位置で停止させるように
する。これにより、車イスが不用意に開口部から落ちな
いよう保護部材で保護することができる。
【0028】請求項3の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車は、請求項1の車イス用乗降装置を備え
た自動車において、1対のレールと保護部材と運動伝達
機構を有し、前記レールは前記開口部の両側に設けら
れ、前記保護部材は各レールに対しスライド可能に各レ
ールの間に設けられ、前記運動伝達機構は、前記昇降用
フロアの昇降と連動して前記保護部材を前記レールに沿
って前記昇降用フロアの昇降方向と反対方向に昇降させ
るよう前記昇降装置と前記保護部材との間に設けられて
いることを、特徴とする。
【0029】請求項3の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車では、保護部材が運動伝達機構によりレ
ールに沿って昇降用フロアの昇降と連動して昇降用フロ
アの昇降方向と反対方向に昇降する。このため、昇降用
フロアを下降させて車両本体の後部の開口部から車イス
を昇降用フロアに乗せるときには、保護部材は自動的に
邪魔にならないよう上方に移動し、昇降用フロアを上昇
させて車イスを車両本体の内部にセットしたとき、保護
部材は自動的に車イスを保護可能な下方に移動する。こ
れにより、車イスが不用意に開口部から落ちないよう保
護部材で保護することができる。なお、保護部材は、上
方の停止位置および下方の停止位置を調節可能であるこ
とが好ましい。
【0030】請求項4の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車は、請求項1,2または3の車イス用乗
降装置を備えた自動車において、車イスを乗せて向きを
変えることが可能なターンテーブルを前記昇降用フロア
の上に有することを特徴とする。
【0031】請求項4の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車では、ターンテーブルの上に車イスを乗
せることにより、自力では移動困難な重度の障害を持っ
た利用者等を乗降させる際に、介護人が車イスの向きを
変えて、容易に車イスを移動できる。また、昇降用フロ
アを車室フロアの高さまで上昇させた後、後向きの方が
移動しやすい状況の場合、ターンテーブルを回転させて
車イスの向きを容易に変えることができる。
【0032】請求項5の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車は、請求項1,2,3または4の車イス
用乗降装置を備えた自動車において、前記昇降用フロア
の上に回転可能な乗車用シートを有することを特徴とす
る。
【0033】請求項5の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車では、昇降用フロアが路面に接する高さ
まで降下したとき、車イスから乗り替えが容易なように
乗車用シートを後向きにし、昇降用フロアが車両本体の
車室フロアと同じ高さまで上昇したとき、乗車用シート
を前向きにして、利用者が乗車用シートに着席したまま
走行することができる。このため、乗車用シートと車イ
スとの乗り替えが容易である。なお、利用者を乗車用シ
ートに座らせたまま走行しても、他の座席に移動させて
走行してもよい。
【0034】請求項6の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車は、請求項1,2,3,4または5の車
イス用乗降装置を備えた自動車において、前記車両本体
は後部に突出したリアボディオーバーハングを有するこ
とを特徴とする。
【0035】車種によって自動車のフレーム、メンバ
ー、懸架装置、燃料タンクなどの位置形状により、車イ
ス用乗降装置の移設・加工が困難で、リアゲート付近の
車室フロアを除去しただけでは車イス用乗降装置の設置
スペース確保が困難な場合がある。
【0036】請求項6の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車では、自動車の後部を車イス用乗降装置
の設置に必要な分だけ延長するリアボディオーバーハン
グ延長を施すことにより、車イス用乗降装置の設置スペ
ースを確保することができる。
【0037】すなわち、請求項6の本発明に係る車イス
用乗降装置を備えた自動車は、昇降用フロアスペースを
確保するための車室フロアの除去により、補強を施して
も車体、シャシーの強度、剛性を著しく低下させる恐れ
のある車種、または、燃料タンク等どうしても他の場所
に移設できない車種、または、その構造上、標準のまま
では車イス用乗降装置の設置スペースを確保できない車
種などに対し、リアボディオーバーハングの延長により
新たに車イス用乗降装置の設置スペースを確保すること
ができる。この場合、もともと位置や形状が決定されて
いる標準車のフロア加工と異なり、新たに製作するか
ら、施工上のムダも省くことができる。
【0038】このリアボディオーバーハング延長は、自
動車メーカー純正ボディパーツを使用しても、オリジナ
ルの鋼板プレスによっても、FRPなど樹脂成型によっ
て施工してもよい。
【0039】なお、法的見地(道路運送車両の保安基準
第18条第1項第4号)から、自動車のリアボディオー
バーハングの限界は、バン型(屋根を有する車)形状の
場合、ホイールベースの3分の2までとされている。例
えば、ホイールベースが2645mmのバン型自動車
(日産自動車株式会社製、商品名「ニッサンキャラバン
スーパーロング」をベース車両として延長する場合、リ
アボディオーバーハングの限界は、2645×2/3=
1763mmとなり、標準車のリアボディオーバーハン
グ1360mmに対して403mmの余裕がある。一
方、標準車の後部フロアは、シャシー下部の構造から約
1000mm除去可能であるから、乗降スペースは、最
大長さ1403mmまで確保できる。また、幅はサイド
フレームの移設により最大1200mmまで確保でき
る。
【0040】請求項7の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車は、請求項1,2,3,4,5または6
の車イス用乗降装置を備えた自動車において、前記昇降
用フロアは折畳み式の延長フロアを有し、前記延長フロ
アは前記昇降用フロアと連続して前記車両本体の後部方
向に突出可能に設けられていることを特徴とする。
【0041】延長フロアは、車両の構造上、車イスを完
全に乗車させる長さが足りず、しかし、リアボディオー
バーハング延長を施すほどの不足ではない場合に設ける
ことが好ましい。請求項7の本発明に係る車イス用乗降
装置を備えた自動車では、延長フロアを未使用時には折
畳んで収納し、乗降時には広げて昇降用フロアと連続し
て長さを延長し、車イスの乗降スペースを確保できる。
すなわち、シャシーの構造上の問題から昇降用フロアの
長さが車イスを乗車させる分だけ確保できず、しかしな
がら、リアボディオーバーハング延長を施すまでの不足
ではない場合に、折畳み式の延長フロアを設けることで
車イスの乗車スペースを確保し、省スペースを可能にす
る。
【0042】請求項8の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車は、請求項1,2,3,4,5,6また
は7の車イス用乗降装置を備えた自動車において、前記
昇降用フロアが前記車両本体の車室フロアの高さまで上
昇したとき前記車両本体に前記昇降用フロアを固定する
解除可能なロック装置を有することを特徴とする。
【0043】請求項8の本発明に係る車イス用乗降装置
を備えた自動車では、昇降用フロアが車両本体の車室フ
ロアの高さまで上昇したとき、ロック装置により車両本
体に昇降用フロアを固定する。これにより、昇降用フロ
アの不用意な作動を防ぎ、安全性を高めることができ
る。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施
の形態を説明する。図1〜図11は、本発明の実施の形
態を示している。図1に示すように、車イス用乗降装置
10を備えた自動車は、車両本体の後部に開閉可能な開
口部11を有するバン型車から成る。その自動車は、図
3(A),(B)および図5に示すように、互いに平行
に間隙をあけた2本のサイドフレーム12を車両長さ方
向に沿って有する。
【0045】車イス用乗降装置10は、昇降用フロア1
3と昇降装置14とを有する。昇降用フロア13は、車
両本体の後部の各サイドフレーム12の間に開口部11
に臨むよう設けられている。昇降装置14は、平行運動
機構14aと駆動装置14bとから成り、昇降用フロア
13を駆動装置14bにより昇降させるようになってい
る。
【0046】車イス用乗降装置10は、バン型自動車の
リアゲート付近の車室フロア(車室フロアパネル)15
を除去した位置に設けられている。図1及び図4に示す
ように、昇降用フロア13には、車両前方に向かって、
左右にサイド隔壁16が、前部に扉兼用の隔壁17が設
けられている。後部の開口部11により、車イス用乗降
装置10が下降着地した際、スムーズに車イスが乗降
り、出入りできるようになっている。開口部11には、
開閉可能なバックドア19が設けられている。
【0047】また、昇降用フロア13はモノコック構造
により、薄く、軽く設計され、かつ開口部11端部には
ゆるやかなスロープが付いているので、介護人がいない
車イス利用者でも容易に昇降用フロア13と地面間を移
動できる。なお、車イス用乗降装置10は、バックドア
19を開けてからでも、開ける前でも下降することがで
きるが、通常は安全装置を設けて、バックドア19を開
けてから下降できるよう設定するのが好ましい。
【0048】平行運動機構14aは、昇降用フロア13
が前後左右にブレないようにパンタグラフ等のリンク機
構から成る。平行運動機構14aによって、昇降用フロ
ア13は、車室フロア15側と間接的に接続され、ほぼ
垂直の昇降ができるようになっている。なお、平行運動
機構14aには、別段、ラック&ピニオン等の歯車式や
ローラー式、パイプ式など他の方法を用いても良い。
【0049】平行運動機構14a及び駆動装置14b
は、一方が車室フロア15に設置される駆動装置固定フ
レーム20に、もう一方は車イス用乗降装置10のサイ
ド隔壁16に固定されている。
【0050】平行運動機構14a及び駆動装置14b
は、車室側への上昇完了から地面側への着地完了までの
いずれの位置においても周辺のいかなるものとも接触干
渉しないように設計され、スムーズに作動するようにな
っている。
【0051】駆動装置14bは油圧アクチュエータの
他、モーター、ガス式、空圧式など他のものを用いても
よい。また、動力伝達は直接式の他、リンク式、ワイヤ
ー式、歯車式など他の方法を用いてもよい。
【0052】図2(A),(B)に示すように、昇降用
フロア13が車室フロア側に上昇したとき、車室フロア
15と昇降用フロア13の上面がほぼフラットになる位
置で外気遮断されるように、車室フロア15の開口端部
上面にツメ21が突出し、ツメ21の下面にはウェザー
ストリップ22が取り付けられている。ツメ21は数m
mの薄板なので、車室フロア15と昇降用フロア13と
を車イスが移動する際にさまたげになるような段差はで
きない。また、車室フロア15の開口部11は、図3
(B)に示すように周囲補強されるので、強度の低下は
ない。図1に示すように、車両本体は、後部に突出した
リアボディオーバーハング23を有する。また、図3
(B)に示すように、車両本体は、ボディパネルインナ
ー23a、ボディパネルアウナー23b、開口部補強フ
レームフロント23c、開口部補強フレームサイド23
dを有する。なお、リアボディオーバーハング23は、
ホイールハウス23eの後部側に設けられる(図1参
照)。
【0053】通常、小型のバス、ワゴン車の乗降装置を
設ける位置には、最後部座席が設けられており、3名が
乗車できるようになっている。座席の重量は約50k
g、乗員が75kg×3名で225kg、合計約275
kgの荷重がかかっている。一方、車イス用乗降装置1
0を備えた自動車では、車イス用乗降装置10が約10
0kg、駆動装置14b及び駆動装置固定フレーム20
が約80kg、車イスが約15kg、車イス乗員75k
gで合計約270kgの荷重がかかり、一般のバス、ワ
ゴン車と重量上の条件は変わらない。但し、この場合の
重量は一般鋼材での試算であるから、アルミ合金製など
での軽量化は充分可能で、実際には条件を向上させるこ
とができる。
【0054】ところで、自動車は、走行時にフロント軸
重が極端に軽くなると(総重量の20%以下)、不安定な
ハンドリングとなり重大な事故に発展する危険な現象を
生じるため、リアボディオーバーハング23がトラック
形状の場合でホイールベースの1/2以内、バン形状の
場合で2/3以内に定められている。
【0055】従って、ホイールベースの長い大型トラッ
クと比較し、ホイールベースの短い小型や中型のバン、
ワゴン形状の車両はリアボディオーバーハング23も短
く、さらにこの種の車両はリアサスペンション形式がリ
ーフスプリングであるため、リーフスプリングスパンの
1/2がリアボディオーバーハング23まで延びてお
り、条件がさらに厳しく、車イス昇降装置14の設置は
不可能となる。
【0056】しかし、メインフレーム間(モノコックで
はサイドフレーム12)に車イス用乗降装置10を設け
ることにより、(1)車イス用乗降装置10の奥行き
(前後方向)を確保することができ、(2)メインフレ
ームを切除しないことで、リアボディオーバーハング2
3の強度、剛性を低下させないことが可能である。
【0057】さて、自動車には、通常フロントオーバー
ハング23、ホイールベース間、リアオーバーハング2
3の3つの位置に曲げ荷重がかかる。フロント軸とリア
軸間をX字型で結んだ状態(FRとRL及びFLとR
R)で、その交差中心を最大にねじれがかかる。車イス
用乗降装置10を備えた自動車では、後軸より後方に設
置されるので、これによるねじれ剛性の低下はない。考
慮すべきは、後軸から後方、すなわちリアボディオーバ
ーハング23の曲げ剛性低下である。そこで、車イス用
乗降装置10が設置されるリアボディオーバーハング2
3には、例えば、図5(A),(B)に示すような補強
が施される。このとき、リアボディオーバーハング23
を片持ち梁と考えたとき、以下のような曲げ剛性につい
て検討する。
【0058】断面は、純正サイドフレーム12が高さ
(h)70mm、幅(b)60mm、肉厚2.2mm、
開後部補強フレームサイド23dが高さ(h)50m
m、幅(b)50mm、肉厚3.2mm、追加メンバー
23eが高さ(h)70mm、幅(b)60mm、肉厚
3.2mmであり、これらメンバー類の断面係数(Z)
の合計は、(b2h2−b1h1)/6hから38
625mmとなる。一方、リアボディオーバーハング
23にかかる車イス用乗降装置10及び乗員、車イス等
の荷重は合計で270kgとなり、その荷重は左右に分
散されるから、片側当り135kgの荷重(W)とな
る。乗降装置の前後長さ(L)は1000mmであるか
ら、曲げモーメント(M)はW×Lで135000kg
mmとなる。かかる応力(σ)はM/Zであるから、
3,495kg/mmとなり、安全係数3を乗じると
10,485kg/mmとなる。
【0059】一般鋼SS41の引張り強さ(σb)は4
1kg/mmであるから、破壊安全率fb=σb/σ
で3.9>1.6となり、工学基準を大きく上回る。さ
らに各メンバーは平鋼のモノコック補強鋼板23fにて
溶接し、モノコック補強とするので、強度は倍増し、リ
アゲート開口ピラー、ルーフサイドヘッダーへと接続さ
れているので、強度、剛性上、問題ない。
【0060】また、車イス用乗降装置10の昇降用フロ
ア13の断面構造については、図6に示すとおり、1.
6mmの鋼板24を上下にし、中央に20mm×20m
m、肉厚2.2mmの角鋼25がサンドイッチされてい
る。
【0061】昇降用フロア13の断面係数(Z)は、鋼
板24のbh/6及び角鋼25の(b2h2−b1
h1)/bhから7571mmとなる。一方、昇降
用フロア13は、左右のサイド隔壁16による両端支持
梁であるから、荷重点は中央部500mm(L)の位置
であり、荷重は昇降用フロア13の自重38kg、車イ
ス15kg、車イス乗員75kgで合計128kg
(W)となる。これによる曲げモーメント(M)はW×
Lで64000kgmmとなり、かかる応力(σ)はM
/Zで8.45kg/mmとなり、安全係数3を乗じ
て25.36kg/mmとなる。鋼材SS41の引張
り強さ(σb)は41kg/mmであるから、破壊安
全率fb=σb/σで1.62>1.6となり、工学基
準を満足する。また、昇降用フロア13のたわみ(α)
についても、α=WL/48EI(3X/L−4X
/L)からW:荷重128kg、L:昇降用フロア幅
=1000mm、E:縦弾性係数:21000kg/m
、I:断面2次モーメント=67866mm
X:支持部から荷重点までの距離=500mm、よっ
て、1.87mmと弾性域内微小たわみなので問題な
い。
【0062】図8(A)〜(C)に示すように、車イス
用乗降装置10を備えた自動車は、1対のレール26と
保護部材27と運動伝達機構(図示せず)とを有する。
レール26は、開口部11の両側に互いに平行に設けら
れている。保護部材27は、各レール26に対しスライ
ド可能に各レール26の間に設けられている。運動伝達
機構は、昇降装置14と保護部材27との間に設けられ
ている。運動伝達機構は、歯車とチェーンとから成る。
歯車は、平行運動機構14aに回転可能に取り付けら
れ、チェーンと噛合している。チェーンは、開口部11
にレール26に沿って設けられている。チェーンには、
保護部材27が取り付けられている。これにより、運動
伝達機構は、昇降用フロア13の昇降と連動して、保護
部材27をレール26に沿って昇降用フロア13の昇降
方向と反対方向に昇降させる。サイド隔壁16の後部に
は、保護部材27を受けるための受け部材28が固定さ
れている。保護部材27は、最も下がった状態で、受け
部材28により支持される。
【0063】保護部材27は、運動伝達機構によりレー
ル26に沿って昇降用フロア13の昇降と連動して昇降
用フロア13の昇降方向と反対方向に昇降する。このた
め、昇降用フロア13を下降させて車両本体の後部の開
口部11から車イスを昇降用フロア13に乗せるときに
は、保護部材27は自動的に邪魔にならないよう上方に
移動し、昇降用フロア13を上昇させて車イスを車両本
体の内部にセットしたとき、保護部材27は自動的に車
イスを保護可能な下方に移動する。これにより、車イス
が不用意に開口部11から落ちないよう保護部材27で
保護することができる。なお、保護部材27は、手動で
も各レールに対しスライドさせて任意の位置で停止可能
となっている。
【0064】車イス用乗降装置10への乗降り、出入り
の際には、保護部材27は上方にスライドする。レール
26の上部には、キャッチロックが設けられ、上昇した
保護部材27はロックされる。保護部材27を降ろす際
には、上に押し上げるとロックが解除され、自由に下げ
ることができる。
【0065】図9に示すように、昇降用フロア13の上
には、回転可能な乗車用シート29を有する。また、車
イス用乗降装置10を備えた自動車は、車イスを乗せて
向きを変えることが可能なターンテーブルを昇降用フロ
ア13の上に有してもよい。
【0066】幅の狭い車両の場合、シートの長さは800m
m程度であるが、回転可能な乗車用シート29を回転さ
せる場合には1200mmの幅が必要になる。そこで、着地時
に後向きでシートに座ったら、一旦、乗車用シート29
だけを図9(A)に示す状態から図9(B)に示すよう
に上昇させ、回転して前向きになってから乗車用シート
29を下降させ、車イス用乗降装置10を上昇させる。
乗車用シート29の下降と車イス用乗降装置10の上昇
は、同時でも良い。この場合、幅が狭い車種でも、回転
シート設置が可能になる。
【0067】車イス用乗降装置10を備えた自動車で
は、サイドフレーム12の間で昇降用フロア13を昇降
装置14により昇降させることができる。昇降用フロア
13に車イスを乗せて昇降させれば、車イスを容易に車
両本体に乗降りさせることができる。昇降用フロア13
は、サイドフレーム12の間に設けられているため、車
両本体のねじれ剛性を低下させず、安全性が高い。ま
た、利用者の乗降スペースを車室面積内に確保すること
で、車外に余分なスペースを要せず、狭い場所でも乗降
を容易にすることができる。さらに、自動車の屋根と壁
により、雨、雪、強風などの気象条件から、車イスの利
用者を保護することができる。昇降用フロア13は、車
両本体の後部に開口部11に臨むよう設けられているた
め、車両本体の後部から乗降りすることができる。この
ため、道端から広く乗降スペースを確保する必要がな
く、狭い道幅の道路でも他の車両の通行を妨げにくい。
昇降用フロア13は、車両本体の車室フロアと同じ高さ
から路面に接する高さまで昇降可能であることが好まし
い。
【0068】さて、図1(A),(B)に示すように、
車イス利用者を乗車させる際、バックドア19を開け、
駆動装置14bを作動させると車イス用乗降装置10は
下降し、着地する。スイッチは、操作者の任意の位置で
停止できる方式でも、いったん入力すると上下の停止位
置まで自動的に作動する方式でも構わない。平行運動機
構14a及び駆動装置14bは、空車時の床面地上高に
合わせて作動有効ストロークを設定しているため、積車
時等車高が低くなっているときなどは、条項装置本体1
が着地してもさらに下降しようとする力が働くので、後
者の場合は駆動装置14bに負荷がかかると自動的に停
止する安全装置を内蔵するのが好ましい。
【0069】図7(A),(B)に示すように、車イス
用乗降装置10が下降着地したら、車イスは昇降用フロ
ア13に進入し、車イス用乗降装置10は上昇する。地
面と昇降用フロア13の高低差は数cmであり、かつ車
外からの開口部11にはゆるやかなスロープが付いてい
て、バリアフリーになっているので自力でもスムーズに
進入できる。悪天候時でも乗降部は車室面積内なので、
雨、雪、強風などから乗降者を保護する。
【0070】さらには、バン、バスなど多くの車種の場
合、車イスが昇降用フロア13に進入したら、バックド
ア19を閉めてから車イス用乗降装置10を上昇するこ
ともでき、完全な室内での乗降となる。車室から車外に
降車する際も同様で悪天候の際など車イス用乗降装置1
0が着地してからバックドア19を開けることができ
る。
【0071】図10(A)〜(C)に示すように、昇降
用フロア13は、解除可能なロック装置30を有する。
ロック装置30は、昇降用フロア13が車両本体の車室
フロア15の高さまで上昇したとき、車両本体に昇降用
フロア13を固定するようになっている。ロック装置3
0は、電磁ロック装置から成る。ロック装置30は、駆
動装置14bとの間にリレーを介し、昇降用フロア13
の下降時にはスイッチがオンになってロックを解除し、
駆動装置14bを作動させ、昇降用フロア13の上昇時
にはスイッチがオンになって駆動装置14bを作動さ
せ、ロックするようになっている。なお、図10(C)
で、破線は、下降着地したときの車室フロア15の位置
を示す。
【0072】さらに、昇降用フロア13は、図11
(A),(B)に示すように、折畳み式の延長フロア3
1を有してもよい。延長フロア31は、支持アーム3
2、アーム隔壁側固定部33、関節34、アーム延長フ
ロア側固定部35を有し、折り畳んだり広げたりできる
ようになっている。延長フロア31は、昇降用フロア1
3と連続して車両本体の後部方向に突出可能に設けられ
ている。
【0073】車イス用乗降装置10を備えた自動車は、
車室面積の一部を乗降部とすることで、車イス利用者等
が乗降する際、車両周囲に余分なスペースを要せず、乗
降場所が限定されない。また、雨、雪、強風などの悪天
候から車イス利用者等乗降者を保護しながら、スムーズ
な乗降ができる。さらに、上下作動だけの乗降装置なの
で乗降時間も大幅に短縮でき、装置の軽量化も容易にで
きる。
【0074】
【発明の効果】本発明に係る車イス用乗降装置を備えた
自動車によれば、利用者の乗降スペースを車室面積内に
確保することで、車外に余分なスペースを要せず、狭い
場所でも乗降が容易なので乗降場所に限定がなく、かつ
雨、雪、強風などの気象条件にも対応でき、安全性の高
いものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の車イス用乗降装置を備え
た自動車の、車イス用乗降装置の上昇下降時を示す全体
図である。
【図2】図1に示す車イス用乗降装置が上昇したときの
開口部の外気遮断のしくみを示す図である。
【図3】図1に示す車イス用乗降装置を備えた自動車
の、(A)後部側の平面図および(B)開口部の補強の
状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す車イス用乗降装置の昇降用フロア周
辺の斜視図である。
【図5】図1に示す車イス用乗降装置を備えた自動車の
リアボディオーバーハング部の補強の状態を示す断面図
である。
【図6】図1に示す車イス用乗降装置を備えた自動車
の、昇降用フロアの構造断面及び強度検討の説明図であ
る。
【図7】図1に示す車イス用乗降装置を備えた自動車
の、車イス用乗降装置に車イスを乗せた着地時と上昇完
了時の図である。
【図8】図1に示す車イス用乗降装置を備えた自動車の
保護部材の動きを示す説明図である。
【図9】図1に示す車イス用乗降装置を備えた自動車の
乗車用シートを示す説明図である。
【図10】図1に示す車イス用乗降装置を備えた自動車
のロック部材を示す説明図である。
【図11】図1に示す車イス用乗降装置を備えた自動車
の、折畳み式の延長フロアを示す説明図である。
【図12】一般の自動車の下面構造を示す底面図であ
る。
【図13】従来技術で自動車のサイドにリフト平板設置
のためのフロア開口を施した状態をしめす説明図であ
る。
【図14】図10に示す従来技術で車両に生じるねじれ
の方向を示す説明図である。
【符号の説明】
10 車イス用乗降装置 11 開口部 12 サイドフレーム 13 昇降用フロア 14 昇降装置 15 車室フロア 16 サイド隔壁 17 扉兼用の隔壁 19 バックドア 20 駆動装置固定フレーム 21 ツメ 23 リアボディオーバーハング 26 レール 27 保護部材 28 受け部材 29 乗車用シート 30 ロック装置 31 延長フロア W 昇降用フロアにかかる荷重 L 昇降用フロアの幅 X 昇降用フロア端部から荷重点までの距離

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両本体の後部に開閉可能な開口部を有
    し、互いに平行に間隙をあけた2本のサイドフレームを
    車両長さ方向に沿って有する、車イス用乗降装置を備え
    た自動車であって、 前記車イス用乗降装置は、前記車両本体の後部の各サイ
    ドフレームの間に前記開口部に臨むよう設けられた昇降
    用フロアと、前記昇降用フロアを動力により昇降させる
    昇降装置とを有することを、 特徴とする車イス用乗降装置を備えた自動車。
  2. 【請求項2】1対のレールと保護部材とを有し、 前記レールは前記開口部の両側に設けられ、 前記保護部材は各レールに対しスライドさせて任意の位
    置で停止可能に各レールの間に設けられていることを、 特徴とする請求項1記載の車イス用乗降装置を備えた自
    動車。
  3. 【請求項3】1対のレールと保護部材と運動伝達機構を
    有し、 前記レールは前記開口部の両側に設けられ、 前記保護部材は各レールに対しスライド可能に各レール
    の間に設けられ、 前記運動伝達機構は、前記昇降用フロアの昇降と連動し
    て前記保護部材を前記レールに沿って前記昇降用フロア
    の昇降方向と反対方向に昇降させるよう前記昇降装置と
    前記保護部材との間に設けられていることを、 特徴とする請求項1記載の車イス用乗降装置を備えた自
    動車。
  4. 【請求項4】車イスを乗せて向きを変えることが可能な
    ターンテーブルを前記昇降用フロアの上に有することを
    特徴とする請求項1,2または3記載の車イス用乗降装
    置を備えた自動車。
  5. 【請求項5】前記昇降用フロアの上に回転可能な乗車用
    シートを有することを特徴とする請求項1,2,3また
    は4記載の車イス用乗降装置を備えた自動車。
  6. 【請求項6】前記車両本体は後部に突出したリアボディ
    オーバーハングを有することを特徴とする請求項1,
    2,3,4または5記載の車イス用乗降装置を備えた自
    動車。
  7. 【請求項7】前記昇降用フロアは折畳み式の延長フロア
    を有し、前記延長フロアは前記昇降用フロアと連続して
    前記車両本体の後部方向に突出可能に設けられているこ
    とを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載
    の車イス用乗降装置を備えた自動車。
  8. 【請求項8】前記昇降用フロアが前記車両本体の車室フ
    ロアの高さまで上昇したとき前記車両本体に前記昇降用
    フロアを固定する解除可能なロック装置を有することを
    特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載
    の車イス用乗降装置を備えた自動車。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003065961A1 (fr) * 2002-02-08 2003-08-14 Kazuhiko Kami Automobile avec dispositif de chargement/dechargement pour fauteuil roulant
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