JP2002202048A - 可変容量型流体機械 - Google Patents
可変容量型流体機械Info
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Abstract
とができ、同時に潤滑流体の欠乏時にも十分な摺動又は
摺接特性が得られて耐久性が向上する斜板式可変容量型
の流体機械を提供する。 【解決手段】斜板式の可変容量型流体機械にあって、少
なくとも斜板(7) のロッカカム(7a)又は同ロッカカム
(7) に摺接支持するケーシング(1) の軸受(10)、及びコ
ントロールピストン(9) の各表面に、ビッカース強度が
30000MPa以上の非晶質炭素膜(12)を形成して、
共摺り加工を可能としてこじりや磨耗をなくすと共作動
用流体による潤滑流体の欠乏時にも焼付きが発生しない
ようにする。
Description
更することにより容量が制御される可変容量型のアキシ
ァルピストンポンプやモータ等の流体機械に関し、特に
水或いは水をベースとする低粘度流体などの作動液体を
使う場合に好適な可変容量型の流体機械に関するもので
ある。
として一般的に広く知られた斜板式のアキシァルピスト
ン型ポンプがある。例えば、特開平6−307330号
公報に示され、図3に示す斜板式のアキシァルピストン
型ポンプは、ケーシング1の内部に収納され、主軸2と
共に回転するシリンダブロック3を有している。同シリ
ンダブロック3の回転軸線を中心とする同一円周上に複
数のボア4が形成され、そのボア4の内部にはそれぞれ
ピストン5が挿入されている。このピストン5の頭部5
aは前記ボア4の開口から突出し、シュー6を介して斜
板7の表面を摺動自在に当接する。
共に、その背面のロッカカム7aをケーシングの軸受1
0に当接させて、同軸受10により荷重を受けるように
している。前記軸受10を中心として主軸2に対して一
方向に所要の角度範囲を回動可能とされている。前記斜
板5は、通常、傾動用スプリング8により最大傾転角と
なるように背面側端部が付勢されており、傾動用スプリ
ング8とは反対側に配されたコントロールピストン9が
同スプリング8の付勢に抗して斜板5を最小の傾転角と
なるまで制御動作する。更に、前記コントロールピスト
ンが、上記公報に開示された油圧による作動に代えて、
その端部をプッシャにより機械的に作動させる場合もあ
る。このコントロールピストン9を作動させることによ
り、斜板5に所要の傾転角を与え、ポンプの吐出容量を
制御する。
と、該主軸2に、例えばスプライン接続されたシリンダ
ブロック3も回転し、同シリンダブロック3の回転に伴
って、ピストン2の頭部2aがシュー6を介して斜板5
の表面を摺動し、ピストン2がボア4内を往復動する。
の表面を摺動してボア4内を往復動するピストン2が同
ボア4の底部側から開口側に向かって動くとき、ポンプ
の吸入流路を通ってボア4内に流体を吸入され、ピスト
ン2がボア4の開口側から底部側に向かって動くとき、
ボア4内に吸入された流体をポンプの吐出流路を通して
吐出させる。ボア4内に吸入された流体は、通常、ピス
トン2内の流路を通って、斜板5とシュー6の摺動面に
流れ込み潤滑液として作用する。
るとき、上記コントロールピストン9に背圧をかけて同
ピストン9を伸長させ、傾動用スプリング8の付勢に抗
して回動支持部であるトラニオン結合部及び軸受10を
中心に回動させて傾転角を小さくし、ポンプの吐出容量
を少なくする。
可変容量型流体機械にあっては、多数の摺動又は摺接す
る部分を有しており、例えばケーシングの内面軸受部及
び弁板と同軸受部及び弁板に摺接しながら回転するシリ
ンダブロック、同シリンダブロックのボアと同ボア内を
摺動するピストン、斜板の表面と同表面を摺動するシュ
ー、斜板と同斜板を支持する回動支持部、コントロール
ピストンとそのシリンダ部分などがある。
適用される一般的な流体には鉱物油や植物油などが各種
の油類が使われるが、高熱環境下にあって発火しやすい
部位では水や水にエチレングリコールなどを添加した水
系の流体が使われる場合がある。一般に、上述のごと
く、これらの流体の一部が前記摺動部分の潤滑流体とし
て使われている。
ンダブロックとの各摺接面間、同シリンダブロックのボ
アとピストンとの摺接面間、並びに斜板表面とシューの
摺接面との間の潤滑は、流体機械の作動中、常に各摺接
部分が相対的に摺動しているため、前述のような一部流
体によっても通常の潤滑機能は満足するが、前記斜板と
同斜板を支持する回動支持部との間の摺接面、及びコン
トロールピストンとそのシリンダ部分との摺動面は、吐
出容量の変更時にのみ摺動するばかりでなく、特に斜板
と斜板の回動支持部や、コントロールピストンとその作
動用プッシャーの摺接面には極めて高い面圧がかかる。
ピストンとその作動用プッシャーの摺接面に働く前記面
圧は、作動回数が少なく静止状態を長く持続するため、
それらの摺接面に作用する潤滑油の量が減少し、その起
動時には潤滑流体膜が極めて少なくなって、こじりや焼
付きが起きやすい。特に、作動流体として水系流体を使
う場合には、前記潤滑流体膜の形成能が小さいため、そ
れらのこじりや焼付き現象を避けることができない。
記コントロールピストンとそのシリンダ部分には、通
常、その構成材料として軸受鋼などの硬質鋼と黄鋼など
の軟鋼が使われており、それらの摺接面あるいは摺動面
の間の馴染みをよくするため、通常は、その摺接面ある
いは摺動面の間にシリカやアルミナなどの粉粒を介在さ
せながら、共摺り加工を行っている。
回数が少ない前述の摺接面あるいは摺動面では、通常の
構成材料では硬度や耐磨耗性に乏しいため、相変わらず
こじりや焼付きが起きやすい。そこで、ケーシングのシ
リンダブロックとの摺動面に対してであるが、例えば特
開平11−210615号公報に開示されているような
セラミックスや窒化チタン、ダイヤモンドライクカーボ
ン等を、本発明にあっても同様に、上述の斜板と斜板の
回動支持部や前記コントロールピストンとそのシリンダ
部分との各摺接面や摺動面に、それらの硬質材料をコー
ティングすることも考えられる。
タンは摩擦係数が高く、前述の大荷重に対しては短期間
のうちに焼付きが生じやすく、実施化が難しいばかりで
なく、また前述の共摺り加工時にそれらのコーティング
層の剥離が起きやすい。一方、上記ダイヤモンドライク
カーボンは一般的に耐磨耗性の向上と摩擦係数の低減と
いった摺動特性の向上に有効であると言われているが、
各メーカによりコーティング方法が異なり、その摺動特
性も多様であるため、その前記公報のごとく他に何らの
格別の条件を設定せずにコーティングするだけでは、初
期の目的を達成し得ない。
イクカーボンのビッカース硬度は、大半が上記窒化チタ
ンの硬度とほぼ等しい20000MPa程度である。従
って、同じ硬度を有する材料を単にコーティングしただ
けでは、例えば大荷重のために潤滑流体膜が殆どなくな
り、摺接部材又は摺動部材同士が直接接触するようにな
ると、焼付きが起きやすい。
行おうとすると、アルミナなどの粉粒により表面が傷つ
いたりして、母材表面が露呈することがある。そこで、
従来のこの種のコーティングがなされた摺接部材や摺動
部材同士は、共摺り加工をせずに両部材間でなじまない
状態で実機に組み込んでいるのが一般的である。しか
し、例えばコントロールピストンを、そのシリンダ部材
に嵌挿しようとすると、こじられて表面が傷つき、焼付
き等が発生しやすくなる。
なされたものであり、具体的には共摺り加工の必要な摺
動部位に同加工を施すことができ、同時に潤滑流体の欠
乏時にも十分な摺動又は摺接特性が得られて耐久性が向
上する斜板式可変容量型の流体機械を提供することにあ
る。
的は、本件の請求項1及び2に係る発明により効果的に
達成される。請求項1に係る発明は、ケーシング内に、
ケーシング内で主軸の回転と共に回転するシリンダブロ
ック、該シリンダブロックのボア内を往復動するピスト
ン、該ピストンの球頭端部を摺動自在に支持し、主軸に
対する傾転角を変更可能に配される斜板、該斜板の回動
支持部、及び前記傾転角を変更するコントロールピスト
ンを備えた可変容量型流体機械にあって、少なくとも前
記回動支持部の表面と前記コントロールピストンとの表
面に、ビッカース硬度が25000MPa以上の非晶質
炭素膜が形成されてなることを特徴とする可変容量型流
体機械にある。
000MPaより小さいと、共摺り加工によって傷つき
やすいため同加工が行えず、特に高荷重を受ける部分で
は、膜が割れやすく焼付きの原因となる。特に、水系作
動流体の場合には、潤滑流体膜の形成能が小さいため、
母材間の焼付きが生じやすく、耐久性の向上が見られな
い。
る場合には、共摺り加工によっても傷がつかず、水系作
動流体の場合であっても、母材間の焼付きが生じなくな
る。更に好ましくは、ビッカース硬度を30000MP
a以上であることが望ましい。
と前記ロッカカム回動軸部及び前記コントロールピスト
ンの各母材表面との間に、Ti、Si、W、V、Ta、
Cr、Nb、Moの中から選ばれた1種又は2種以上の
元素、又はその炭化物の薄膜が介在してなることを特徴
としている。このように、非晶質炭素膜の成膜前に同様
の材質からなる中間層を形成することにより、接合性能
が向上して耐剥離性が著しく向上する。
を図面に基づいて説明する。図1は本発明の構成を備え
たアキシァルピストン型ポンプの構造例を示す断面図で
ある。同図にあって、従来のアキシァルピストン型ポン
プの構造例を示す図3に付した符号と同一の符号が付さ
れた部材は実質的に同一の部材であるため、ここではそ
の詳細な説明は省略する。
ンプも、図3に示す斜板式のアキシァルピストン型ポン
プと同様に、ケーシング1の内部には主軸2と共に回転
するシリンダブロック3を有している。同シリンダブロ
ック3のボア4に嵌挿入されたピストン5の頭部5aは
前記ボア4の開口から突出し、シュー6を介して斜板7
の表面を摺動する。
をケーシングの軸受10の球面部に嵌着させて、同軸受
10により斜板7に作用する高荷重を受けるようにして
いる。前記ロッカカム7a及び軸受10は、本発明にお
ける斜板5の回動支持部を構成し、その回動支持部を中
心として主軸2に対して一方向に所要の角度範囲を回動
可能とされている。一方、ケーシング1の前記軸受10
の配された側の底面に傾動用スプリング8の一端が固設
され、その先端は斜板7の一部周縁にボール結合させて
おり、通常は斜板7を前記軸受10を中心として最大傾
転角となるように付勢している。
反対側周縁部にはコントロールピストン9が配され、同
コントロールピストン9はケーシング1に形成されたシ
リンダ部11に嵌挿され、液圧によりコントロールピス
トン9を前記傾動用スプリング8の付勢に抗して動か
し、斜板5を所望の傾転角となるように回動させて、ポ
ンプの吐出容量を制御する。
支持部であるロッカカム7a、前記傾動用スプリング8
と結合され、前記コントロールピストン9に当接する斜
板7の一部周縁部分、同コントロールピストン9の摺動
面のそれぞれに、既述したダイヤモンドライクカーボン
である非晶質炭素膜12を形成する。本発明に適用され
る非晶質炭素膜12は、そのビッカース硬度が2500
0MPa以上であることが肝要である。
さいと、既述したように共摺り加工によって傷つきやす
く、また特に水系作動流体の場合には、母材間の焼付き
が生じやすく、耐久性の向上が見られない。25000
MPa以上の非晶質炭素膜12である場合には、共摺り
加工によっても傷がつかず、水系作動流体の場合であっ
ても、母材間の焼付きが生じなくなる。更に好ましいビ
ッカース硬度は30000MPa以上である。
に、前記非晶質炭素膜12と母材13の成膜部表面との
間に、中間層として炭化チタンの薄層14を形成して、
非晶質炭素膜12と炭化チタン層14との2層として、
非晶質炭素膜12と母材13との間における剥離強度を
を更に改善している。ここで、前記炭化チタンに代え
て、Ti、Si、W、V、Ta、Cr、Nb、Moの中
から選ばれた1種又は2種以上の元素、又はその炭化物
を使うこともできる。前記中間層の層厚は、0.05μ
m〜1.0μmであり、好ましくは0.1ミクロンm〜
0.2μmである。
ン層14の具体的な成膜処理について説明する。成膜前
に成膜部である斜板7のロッカカム7a表面及び上記一
部周縁部表面とコントロールピストン9の摺動面とを洗
浄して脱脂する。その後、図示せぬ膜装置内でアルゴン
スパッタ処理を行って、酸化層、吸着層を除去した。次
いで、マグネトロンスパッタリング法により、先ず中間
層として0.15μmの炭化チタン層14を形成したの
ち、マグネトロンスパッタリング法により、硬度600
00PMaの非晶質炭素膜12を形成した。非晶質炭素
膜12の形成には、前記マグネトロンスパッタリング法
に代えて、アークイオン法を採用してもよい。
を黄銅よりなる図示せぬ可変容量アキシァルピストンポ
ンプの軸受10に嵌め込んでシリカよりなる研磨剤をも
って共摺り加工を行った。また、コントロールピストン
9のシリンダ部11に、同じくシリカよりなる研磨剤を
投入して、コントロールピストン9とシリンダ部11と
の間でも共摺り加工を行った。その後、コントロールピ
ストン9をシリンダ部11から抜き取り、ロッカーカム
7a及び軸受10と、コントロールピストン9及びシリ
ンダ部11から研磨剤を洗浄除去し、可変容量アキシァ
ルピストンポンプに組み込んだ。
350kg/cm2 、油温95℃の試験条件にて、耐久
性試験を実施したところ、表面に薄膜処理を行わない未
処理の場合と硬度23000MPaの非晶質炭素膜12
を形成した場合には、いずれも300hrでコントロー
ルピストンによるかじりが発生し、ロッカカム7aの揺
動軸に磨耗が発生したが、本実施形態による処理済の場
合には、それらの損傷が全く見られなかった。
の斜板式可変容量流体機械にあって、硬度が30000
MPa以上の非晶質炭素膜12を形成した場合には、従
来では不可能とされていた共摺り加工を行うことができ
るため、こじりやなじまない等の不具合が発生せず、極
めて円滑な動きを得ることができるばかりでなく、たと
え水系の作動流体を使っても、焼付きや磨耗等の不具合
も発生せず、極めて長期間の使用に耐えられる。
成対象は上記部材に限らず、例えばケーシングのロッカ
カムに対する軸受面、ケーシングのシリンダブロック摺
動軸受部や、同ブロックに形成されるボア内面或いはボ
ア内に嵌挿されるピストンの摺動面など、高荷重の働く
部材表面や摺動面に形成することもできる。
ストン型ポンプの構造例を示す断面図である。
を示す部分断面図である。
を示す断面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ケーシング内に、ケーシング内で主軸の
回転と共に回転するシリンダブロック、該シリンダブロ
ックのボア内を往復動するピストン、該ピストンの球頭
端部を摺動自在に支持し、主軸に対する傾転角を変更可
能に配される斜板、該斜板の回動支持部、及び前記傾転
角を変更するコントロールピストンを備えた可変容量型
流体機械にあって、 少なくとも前記回動支持部の表面と前記コントロールピ
ストンとの表面に、ビッカース硬度が25000MPa
以上の非晶質炭素膜が形成されてなることを特徴とする
可変容量型流体機械。 - 【請求項2】 前記非晶質炭素膜と前記回動支持部及び
前記コントロールピストンの各母材表面との間に、T
i、Si、W、V、Ta、Cr、Nb、Moの中から選
ばれた1種又は2種以上の元素、又はその炭化物の薄膜
が介在してなることを特徴とする請求項1記載の可変容
量型流体機械。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000402003A JP2002202048A (ja) | 2000-12-28 | 2000-12-28 | 可変容量型流体機械 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000402003A JP2002202048A (ja) | 2000-12-28 | 2000-12-28 | 可変容量型流体機械 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002202048A true JP2002202048A (ja) | 2002-07-19 |
Family
ID=18866362
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000402003A Pending JP2002202048A (ja) | 2000-12-28 | 2000-12-28 | 可変容量型流体機械 |
Country Status (1)
Country | Link |
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A521 | Written amendment |
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A02 | Decision of refusal |
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