JP2002201544A - ポリエステル複合糸および布帛 - Google Patents

ポリエステル複合糸および布帛

Info

Publication number
JP2002201544A
JP2002201544A JP2001320292A JP2001320292A JP2002201544A JP 2002201544 A JP2002201544 A JP 2002201544A JP 2001320292 A JP2001320292 A JP 2001320292A JP 2001320292 A JP2001320292 A JP 2001320292A JP 2002201544 A JP2002201544 A JP 2002201544A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fabric
yarn
polyester
component
composite yarn
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001320292A
Other languages
English (en)
Inventor
Setsuo Taguchi
節男 田口
Satoru Shimoyama
悟 下山
Takashi Ota
隆司 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2001320292A priority Critical patent/JP2002201544A/ja
Publication of JP2002201544A publication Critical patent/JP2002201544A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Knitting Of Fabric (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリエステル繊維の宿命的な課題である低反発
性、繰り返し圧縮に対する回復性、さらには柔軟性、染
色性を改良したポリエステル複合糸および布帛を提供す
る。 【解決手段】2種以上のポリエステル繊維からなり、極
限粘度において、そのうち少なくとも1種が0.7以上
(高IV成分)のポリエステル繊維であり、他の少なく
とも1種が0.7未満(低IV成分)のポリエステル繊
維であり、かつ少なくとも1成分の非晶配向度が0.4
以下であることを特徴とするポリエステル複合糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた反発性、柔
軟性および染色性を有するポリエステル複合糸およびそ
れを用いた布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】高配向未延伸糸を弛緩熱処理するものと
して、自発伸張性を有するポリエステル繊維が知られて
いる。例えば、低倍率延伸したのちに90℃下20%以
上収縮処理する方法(特公昭37−7915号公報)、
複屈折率が0.02〜0.08の中間配向糸をガラス転
移点+20℃以下の温度で延伸したのちに弛緩熱処理す
る方法(特公昭60−54404号公報)、紡糸速度1
500〜4500m/分で紡糸した複屈折率0.03以
上ポリエステル中間配向糸を低温延伸したのち弛緩熱処
理する方法(特公昭63−35747公報)、中間配向
糸を二次転移点+20℃の範囲で延伸後、収縮率20%
以上弛緩熱処理する方法などがある。しかしながら、こ
れらの提案では、弛緩熱処理時の収縮率が大きいこと、
切断伸度が大きいため実用に供しにくいという欠点があ
った。
【0003】その他に、布帛にドライ感とソフト感を共
に満足することを目的に、ポリエステルマルチフィラメ
ント高配向未延伸糸を非接触加熱手段を用いて弛緩熱処
理し、引き続きポリエステルマルチフィラメント延伸糸
と引き揃えあるいは混繊手段を用いて複合させる方法
(特開平8−158183号公報)、糸条の長手方向に
太細繊度差と捲縮を有する製造方法として、ポリエステ
ル高配向未延伸糸を50%以上弛緩熱処理し、該糸に水
性液体を間歇的に付着せしめて同時延伸加熱加工を施す
方法(特公平5−40044号公報)、同じくポリエス
テルフィラメント糸を30%以上弛緩熱処理してから延
伸して糸条の長手方向に太細斑を与え仮撚加工する方法
(特公昭63−43493号公報)、同じくポリエステ
ル高配向未延伸糸を10%以上弛緩熱処理した後、冷延
伸し仮撚加工する方法(特開平8−291433号公
報)などがある。
【0004】また、起毛性を改良した方法として、高配
向ポリエステル未延伸糸とそれより5%以上低い熱水収
縮率の延伸糸を交織した起毛用織物布帛(特開昭56−
91033号公報)、スパンライクな加工糸を得る方法
として、ポリエステル高配向未延伸糸を30%以上弛緩
熱処理した後延伸し、熱可塑性合成マルチフィラメント
糸条と引き揃えて流体攪乱処理を施す方法(特開平3−
206144号公報)などがある。
【0005】これらの提案は、ポリエステル高配向未延
伸糸を弛緩熱処理した後、延伸や仮撚加工を施すもの、
延伸糸や他の糸との引き揃えや混繊して用いるもの、あ
るいは布帛をソフト化するために自発伸張させることを
目的としているものであるが、ポリエステル繊維の宿命
である低反発性を解決するには至っていないのが現状で
ある。
【0006】しかるに、ポリエステル繊維は多くの優れ
た特性を有するにも拘わらず、現在もなお、大きな変形
や繰り返し変形を受ける用途であるカーペット、人工
芝、ブラシ類には多く用いられていない。このことは、
ポリエステル繊維の宿命的欠点がここにあることを如実
に物語っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
エステル繊維の宿命的な課題である低反発性、繰り返し
圧縮に対する回復性、さらには柔軟性、染色性を改良し
たポリエステル複合糸および布帛を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、次のとおりの構成をとるものである。
【0009】すなわち、 (1)2種以上のポリエステル繊維からなり、極限粘度
において、その少なくとも1種が0.7以上(高IV成
分)のポリエステル繊維であり、他の少なくとも1種が
0.7未満(低IV成分)のポリエステル繊維であり、
かつ少なくとも1成分の非晶配向度が0.4以下である
ことを特徴とするポリエステル複合糸。
【0010】(2)高IV値成分と低IV成分のIV差
が0.1以上であることを特徴とする前記(1)に記載
のポリエステル複合糸。
【0011】(3)高IV値成分と低IV成分のIV差
が0.15以上であることを特徴とする前記(1)に記
載のポリエステル複合糸。
【0012】(4)高IV成分ポリエステル繊維と低I
V成分ポリエステル繊維との割合が重量比で80/20
〜20/80であることを特徴とする前記(1)〜
(3)のいずれかに記載のポリエステル複合糸。
【0013】(5)前記ポリエステル複合糸がポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまた
はポリプロピレンテレフタレートのいずれかあるいはこ
れらの複合糸であることを特徴とする前記(1)〜
(4)のいずれかに記載のポリエステル複合糸。
【0014】(6)前記ポリエステル複合糸が、合糸、
撚糸、エアー交絡糸、引き揃え糸または仮撚糸のいずれ
かによる複合糸であることを特徴とする前記(1)〜
(5)のいずれかに記載のポリエステル複合糸。
【0015】(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記
載のポリエステル複合糸を用いてなることを特徴とする
布帛。
【0016】(8)前記布帛が織物、編物または不織布
のいずれかであることを特徴とする前記(7)に記載の
布帛。
【0017】(9)前記布帛がダンボールニットである
ことを特徴とする前記(8)に記載の布帛。
【0018】(10)前記布帛を用いたカーシート表皮
材であることを特徴とする前記(9)に記載の布帛。
【0019】(11)前記布帛を用いた椅子張り地であ
ることを特徴とする前記(9)に記載の布帛。
【0020】(12)前記布帛を用いたベットパッドで
あることを特徴とする前記(9)に記載の布帛。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明は、2種以上のポリエステ
ル繊維からなり、極限粘度において、その少なくとも1
種のポリエステル繊維が0.7以上(高IV成分)であ
り、他の少なくとも1種のポリエステル繊維が0.7未
満(低IV成分)であり、かつ少なくとも1成分の非晶
配向度が0.4以下であることを骨子とするポリエステ
ル複合糸である。かかる構成により、従来からポリエス
テル繊維の宿命的な課題であった低反発性を著しく改善
できるものである。その性能を端的に表現するならば、
かかる布帛を手で握ると手の中でプリプリした弾けるよ
うな反発感が感じられるものである。さらには、繰り返
し圧縮作用において、ポリエステル繊維とは思えない優
れた回復性を有するものとすることができる。また、極
めて柔軟であり、加えてポリエステル繊維の弱点である
発色性を改善できる特徴を有する。また、本発明の意外
な効果としては、通常のポリエステル繊維の染色は12
0℃以上の高温で処理するすることが必要であるが、本
発明のポリエステル複合糸は110℃以下であっても濃
色に染色することが可能であり、かつ優れた染色堅牢度
を得ることができることである。
【0022】ただ単に高配向未延伸糸を弛緩熱処理する
従来公知の方法であれば、低強力であったり、容易の伸
びて加工が困難であったりして実用に供しない問題を有
していた。それに比べて、本発明のポリエステル複合糸
および布帛は、強力面、変形および加工性においても十
分に実用に供し得るものである。
【0023】本発明の構成について以下さらに詳細に述
べる。
【0024】本発明は、高IV成分のポリエステル繊維
と低IV成分のポリエステル繊維とを少なくとも含む2
種以上の複数のポリエステル繊維からなり、その極限粘
度(IV値)において、高IV成分のIV値が0.7以
上であり、好ましくは0.8以上である。一方、低IV
成分のIV値が0.7未満であり、好ましくは0.68
未満、さらに好ましくは0.65未満であって、かつ少
なくとも1成分の非晶配向度が0.4以下と通常のポリ
エステル繊維では考えられない程低いことにある。これ
は、本発明ポリエステル複合糸の特殊構造化に寄与する
重要な要件であり、その非晶配向度は0.4以下であ
り、好ましくは0.35以下、特に好ましくは0.30
以下である。かかる特殊構造化のための製造方法につい
ては後ほど述べる。
【0025】必ずしもその作用は明らかでないが、ポリ
エステル繊維のうち低IV成分および高IV成分のいず
れにおいても非晶配向度が低いことが反発性や柔軟性に
寄与し、高IV成分を有することが強力面や伸度などを
実用上に維持するためであり、少なくとも低非晶配向度
と高IV成分を有する繊維が含まれることが従来のポリ
エステル繊維の欠点を改善することに寄与するものであ
る。かかる2種のポリエステル繊維の異なる収縮性や結
晶化に伴う特殊糸構造化による相乗効果により本発明は
達成されるものである。もちろん、低IV成分単独であ
れば、あまりにも低強力と高伸度であり布帛化、染色・
加工がし難く実用に供しないもとなってしまうし、高I
V成分単独であれば、反発性や柔軟性が不十分であり本
発明の特徴は得難いものになってしまうのである。
【0026】本発明をさらに有効にならしめる態様とし
ては、両者間のIV差が0.1以上であり、好ましくは
0.15以上であり、特に好ましくは0.2以上であ
る。これは低IV成分が発現せしめる特性と高IV成分
が発現せしめる特性のそれぞれを顕著に発揮し、上述し
た相乗効果となって本発明の効果を高めることができ好
ましい態様である。
【0027】高IV成分ポリエステル繊維と低IV成分
の割合は重量比で80/20〜20/80の複合糸であ
ることが好ましく、特に60/40〜40/60が好ま
しい。この値は、目的、用途に応じてこの範囲で適宜選
択されるが、この範囲を外れるとそれぞれの特徴が発揮
し難く好ましくない。
【0028】本発明のポリエステル複合糸を構成するポ
リマ素材は、両性分ともポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタ
レートなどの芳香族ポリエステルあるいはそれらの複合
したものを主として有することにより好ましく適用でき
る。特にポリエチレンテレフタレートを主体とすること
により好ましく適用できる。また、ポリエチレンテレフ
タレートにポリアルキレングリコールが共重合された共
重合体や、ポリエチレンテレフタレートに5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸が共重合された共重合体も用いる
ことも好ましい態様である。
【0029】両成分の複合手段は特に限定がなく従来公
知の方法などが適用できる。すなわち、合糸、撚糸、エ
アー交絡、引き揃えまたは仮撚加工などであり、カバー
ドヤーン、コアスパンヤーン、合撚糸、あるいはエアー
交絡糸などの複合糸形態により好ましく適用でき、用
途、目的によって適宜選択される。当然ながら、布帛に
求める反発性、強度、伸度などにより、撚糸や交絡の度
合い調整することは重要であり、その条件は適宜選択さ
れることにより達成される。例えば、撚糸の場合、一般
的には、撚係数が2000〜32000の範囲が好まし
い。さらには、いずれかあるいは両成分とも下撚をかけ
ることも好ましい態様であり、この場合も、目的、用途
により異なるが、一般的には、撚係数において3500
以上であり、好ましくは5000以上であり、特に好ま
しくは10000以上である。撚係数は次の式で求めら
れる。
【0030】撚係数=TW・(DT/1.11)1/2 TW:撚数(T/m) DT:糸の繊度(デシテックス) また、エアー交絡加工の場合、一般的には、ノズル圧力
が2〜4kg/cm2で、2〜4%のオーバヒードを与
えつつ、交絡度CF値が100〜150となるように加
工され、複合糸での一体化がしっかりしていることが好
ましい。
【0031】また、本発明において、複合加工時に一方
の糸を過剰供給して複合を行うことも複合糸特性および
その布帛特性を高めるのに好ましくかつ重要な方法であ
る。例えば、布帛の反発性を重視する場合、複合加工に
おいて、低IV成分を高IV成分より2〜20%、好ま
しくは5〜10%過剰供給しながら行うのが特に好まし
い。また、布帛の強度を重視する場合、高IV成分を低
IV成分より2〜20%、好ましくは5〜10%過剰供
給しながら行うのが特に好ましい。
【0032】本発明のポリエステル複合糸は、通常の織
物、編物、不織布などの一般布帛類、および多重立体布
帛、三次元織物、三次元編物といわれる特殊布帛類など
の繊維糸として用いることができ、いずれの布帛構造に
おいても、本発明の特徴である良好な反発性と繰り返し
圧縮回復性などの前記諸特性を発揮することができる。
【0033】特に、上記特殊布帛によるパイル生地のパ
イル糸や表地と裏地を連結する中糸(つなぎ糸)として
用いると極めて良好な反発性あり、厚さ方向にヘタリ難
く、嵩高く、クッション性良好なものとすることができ
る。また、さらに通称ダンボールニットといわれる表
地、裏地と中糸(つなぎ糸)からなる立体編物におい
て、中糸に本発明ポリエステル複合糸を用いることによ
りその性能を発揮でき好ましい。
【0034】その具体的な用途としては、輸送用包材シ
ート、自動車の座席シート地、椅子張りシート地、ベッ
トマット、靴の内張り地、ウオームアップスーツなどの
トレーニングウエア地、介護医療衣服地、膝や肘などの
カバー材など幅広い分野に好ましく適用できる。これら
の分野では、従来のポリエステル繊維では、耐ヘタリ性
や嵩高性、クッション性が充分でない理由から、ポリウ
レタン発泡体などを貼り合わせたり積層して用いる場合
が多くあるが、本発明の複合糸を使用すれば、繊維糸の
みでその性能を発揮することが可能であり、廃棄に係わ
る地球環境の点でも貢献度は大となる。
【0035】もちろん、本発明の特性を活かして、スー
ツ、シャツ、コート、下着、スポーツ衣料、作業着、ブ
ラウス、ジャケットなどの衣料素材として好ましく適用
できる。特に、夏季用のフォーマルウエア、スーツ、ジ
ャケットに好適であることはいうまでもない。
【0036】さらに、また、本発明の特筆すべきもう一
つの効果は、通常のポリエステル複合糸は120℃以上
の高温加圧染色(通常は130℃以上)を必要とする
が、本発明ポリエステル複合糸はその構造が特異である
が故に110℃以下でも濃色に染色することが可能であ
り、かつ良好な染色堅牢度を得ることもできる。この低
温での染色加工が可能であることは、設備面、省エネル
ギー、生産性、安全性の点でも大きな利点である。
【0037】本発明で述べた特性値は次の方法にて測定
された値である。 (1)IV値 試料のポリエステル繊維0.8gをオルソクロロフェノ
ール10mlに溶かし、オストワルド粘度計を用いてそ
の落下時間(秒)を測定し、その値を所定の計算式に入
れて求めた。 (2)偏光蛍光法による非晶配向度 装 置:日本分光工業製FOM−1 光学系:透過法(励起光波長:365nm、蛍光波長:
420nm) 測定系:偏光子‖検光子、および偏光子〓検光子で回転
して、面内の偏光蛍光強度(I‖、I〓)の角度分布を
得た。
【0038】ここで、‖は平行を示し、〓は垂直を示
す。
【0039】非晶配向度は下記式からの一軸配向係数f
2 で求めた。
【0040】f2 =3/2[{I‖(0)+2I〓
(0)}/K−1/3] 但し、K={I‖(0)+4I〓(0)+8/3I‖
(90)} I‖(0) :‖測定での軸方向の相対偏光蛍光強度 I‖(90):‖測定での上記と直交方向の相対偏光蛍
光強度 I〓(0) :〓測定での軸方向の相対偏光蛍光強度 以下本発明の好ましい製造方法の一例を述べるが、本発
明はこの方法に何ら限定されるものではない。
【0041】先ず、ポリエステル繊維としては、IVが
異なる2種のポリエステルポリマを用い、別々に紡糸速
度約3000m/分で紡糸し、高IV成分として例えば
IV0.9、低IV成分としてIV0.65、いずれも
繊度3〜10デシテックスの2種の原糸を得る。かかる
2種の原糸の少なくとも1成分は熱延伸することなく、
合撚あるいは撚糸などを行って複合糸とし、それを必要
に応じて熱セットを行い、タテ糸および/またはヨコ糸
に用いて生機織物を作製する。その生機織物を70〜1
00℃でリラックス精練するとともに十分に収縮させ
る。その後、110〜135℃で染色し、仕上げセット
など通常の布帛での加工を行うなどの方法により好まし
く達成される。ここで重要なことは、紡糸した2種の原
糸のうち少なくとも1種は延伸などの配向作用を極力施
すことなく、布帛化して先ず比較的低温にて該布帛を収
縮せしめることである。さらに、その後ポリエステル繊
維が十分に熱結晶化するように熱処理を施すことであ
る。この方法すなわち主として収縮による応力緩和と熱
処理による結晶化促進により、本発明のポリエステル複
合糸の特殊構造化が達成でき、本発明の効果を得ること
ができる。
【0042】
【実施例】実施例1 紡糸温度290℃、引取速度3100m/分にて、高I
V成分がIV0.90のポリエチレンテレフタレート繊
維と、低IV成分がIV0.65のポリエチレンテレフ
タレート繊維2種を溶融紡糸し、それぞれ194デシテ
ックス、36フィラメントを得た。この2種の原糸を延
伸することなく200T/mで合撚し、90℃の蒸気中
で30分撚り止めセットを行って複合糸を作製し、それ
をタテ糸およびヨコ糸に用いて製織し平織物生機を作製
した。
【0043】かかる生機を90℃の熱水中を通して、リ
ラックス精練を行い、タテ10%、ヨコ20%収縮させ
た。次いで160℃、30秒の中間セットを行い、液流
染色機を用いて、分散染料で110℃、30分間染色を
行った。その後、ポリエステル織物の通常の加工である
制電剤、柔軟剤液を付与し、乾燥、仕上げセットを行っ
て染色織物を作製した。
【0044】得られたものは、柔軟であってかつ反発性
に富み、手で握るとプリプリとした感触があり、さらに
は濃色を有するものであり、明らかに従来のポリエステ
ル織物とは異なるものであった。また、引き裂き強力は
タテ3.2kg、ヨコ3.5kgであり、極めて強いも
のであった。
【0045】この織物から糸を取り出し、高IV成分糸
と低IV成分糸を分離して解析を行い次の結果を得た。
【0046】 高IV成分糸 低IV成分糸 非晶配向度(%) 0.38 0.21 以上のように、低IV成分の非晶配向度は0.21であ
り、両成分における非晶配向度の差は0.17であり、
本発明の要件を満たすものであり、本発明の要件を満た
すのであった。
【0047】比較例1 比較例1として、実施例1の低IV成分のみの原糸を2
本合糸して織物を作り、実施例1と同様の加工を行った
ところ、リラックス精練において、タテ25%、ヨコ2
7%と大きく収縮し皺が多数発生した。加工上がりの製
品は、プリプリとする反発性は有するものの、皺が多数
残っており見栄えの良いものではなかった。しかも、伸
び易く、僅かの応力で永久歪みを発生し易い物であり、
実用に供し得るものではなかった。
【0048】比較例2 比較例2として、高IV成分のみの原糸を2本合糸して
織物を作り、実施例1と同様の加工を行ったところ、加
工に伴う問題はなかったが、得られた製品は反発感に乏
しく特徴のないものであった。
【0049】実施例2 紡糸温度290℃、引取速度3000m/分にて、高I
V成分がIV0.88、194デシテックス、36フィ
ラメントのポリエチレンテレフタレート繊維と、低IV
成分がIV0.65、285デシテックス、30フィラ
メントのポリエチレンテレフタレート繊維の2種を溶融
紡糸し、この2種の原糸を延伸することなく200T/
mで合撚し、90℃の蒸気中で撚り止めセットを行って
複合糸を作製した。
【0050】この糸を中糸とし、167デシテックス、
34フィラメントの仮撚加工糸を表地および裏地とし、
両面丸編機でダンボールニット編物を編成した。かかる
編物をピンテンター(熱処理機)で拡幅することなく、
180℃、5分間乾熱処理した。次いで、分散染料を用
いて液流染色機中で130℃、45分間染色した。
【0051】得られたダンボールニットは、2万回、5
0%圧縮の繰り返し圧縮試験により、厚さ保持率が88
%と高く繰返し圧縮作用に対してヘタリ難く、また、シ
ート全体が反発性良好であり、クッション性が良好であ
った。
【0052】実施例3の編物をほぐして、中糸を解析し
たところ、 高IV成分糸 低IV成分糸 非晶配向度 0.36 0.22 以上のように、中糸において両成分におけるIV差は
0.23であり、低IV成分の非晶配向度は0.22で
あり、本発明の要件を満たすものであった。
【0053】比較例3 比較例3として、330デシテックス、10フィラメン
トの延伸糸を中糸に用い、その他は同条件にてダンボー
ルニットを編成し、その後の染色加工なども同条件で行
った。得られたものは、クッション性が劣るものであ
り、2万回、50%圧縮の繰り返し圧縮試験により、厚
さ保持率が65%であり、ヘタリ易いものであった。ち
なみに、この中糸の非晶配向度は0.55であった。
【0054】実施例3 紡糸温度290℃、引取速度3100m/分にて、高I
V成分がIV0.90のポリエチレンテレフタレート繊
維と、低IV成分がIV0.65のポリエチレンテレフ
タレート繊維2種を溶融紡糸し、それぞれ194デシテ
ックス、36フィラメントを得た。このうち高IV成分
繊維は180℃のホットローラを通して1.4倍の熱延
伸をおこない、一方低IV成分は延伸しないで、この2
種を200T/mで合撚し、90℃の蒸気中で30分撚
り止めセットを行って複合糸を作製し、それをタテ糸お
よびヨコ糸に用いて製織し平織物生機を作製した。
【0055】かかる生機を90℃の熱水中を通して、リ
ラックス精練を行い、タテ8%、ヨコ10%収縮させ
た。次いで160℃、30秒の中間セットを行い、液流
染色機を用いて、分散染料で110℃、30分間染色を
行った。その後、ポリエステル織物の通常の加工である
制電剤、柔軟剤液を付与し、乾燥、仕上げセットを行っ
て染色織物を作製した。
【0056】得られたものは、柔軟であってかつ反発性
に富み、手で握るとプリプリとした感触があり、さらに
は濃色を有するものであり、明らかに従来のポリエステ
ル織物とは異なるものであった。また、引き裂き強力は
タテ2.8kg、ヨコ3.0kgであり、極めて強いも
のであった。
【0057】この織物から糸を取り出し、高IV成分糸
と低IV成分糸を分離して解析を行い次の結果を得た。
【0058】 高IV成分糸 低IV成分糸 非晶配向度(%) 0.56 0.21 以上のように、両成分のIV差は0.25であり、低I
V成分の非晶配向度は0.21であり、本発明の要件を
満たすものであった。
【0059】
【発明の効果】イ)本発明のポリエステル複合糸および
布帛は、良好な反発性を有し、かつ優れた柔軟性と発色
性を有するポリエステル繊維および布帛が得られる。
【0060】ロ)優れた耐ヘタリ性(耐毛倒れ、耐斜向
性など)と嵩高性、クッション性を有し、特に、多重布
帛やパイル類において顕著な効果が得られる。
【0061】ハ)上記性能が高く、従来品であるポリウ
レタン発泡体の代替品として適用でき、地球環境に貢献
できる。
【0062】ニ)ポリエステル繊維および布帛でありな
がら、従来より低温での濃色染色が可能であり、設備
面、省エネルギー、生産性、安全性の点で利点を有す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04B 1/00 D04B 1/00 B 1/16 1/16 D04H 1/42 D04H 1/42 T Fターム(参考) 4L002 AA07 AB02 AB04 BB01 DA01 DA04 EA00 EA05 FA00 FA06 4L036 MA05 MA33 MA37 MA39 MA40 PA05 PA21 PA33 PA42 PA46 4L047 AA21 AA28 CB10 CC01 CC09 CC16 4L048 AA21 AA22 AA43 AB07 AB08 AB09 AB16 AC11 DA01 DA02 DA03

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2種以上のポリエステル繊維からなり、極
    限粘度において、その少なくとも1種が0.7以上(高
    IV成分)のポリエステル繊維であり、他の少なくとも
    1種が0.7未満(低IV成分)のポリエステル繊維で
    あり、かつ少なくとも1成分の非晶配向度が0.4以下
    であることを特徴とするポリエステル複合糸。
  2. 【請求項2】高IV値成分と低IV成分のIV差が0.
    1以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリエ
    ステル複合糸。
  3. 【請求項3】高IV値成分と低IV成分のIV差が0.
    15以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリ
    エステル複合糸。
  4. 【請求項4】高IV成分ポリエステル繊維と低IV成分
    ポリエステル繊維との割合が重量比で80/20〜20
    /80であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載のポリエステル複合糸。
  5. 【請求項5】前記ポリエステル複合糸がポリエチレンテ
    レフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリ
    プロピレンテレフタレートのいずれかあるいはこれらの
    複合糸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載のポリエステル複合糸。
  6. 【請求項6】前記ポリエステル複合糸が、合糸、撚糸、
    エアー交絡糸、引き揃え糸または仮撚糸のいずれかによ
    る複合糸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載のポリエステル複合糸。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載のポリエス
    テル複合糸を用いてなることを特徴とする布帛。
  8. 【請求項8】前記布帛が織物、編物または不織布のいず
    れかであることを特徴とする請求項7に記載の布帛。
  9. 【請求項9】前記布帛がダンボールニットであることを
    特徴とする請求項8に記載の布帛。
  10. 【請求項10】前記布帛を用いたカーシート表皮材であ
    ることを特徴とする請求項9に記載の布帛。
  11. 【請求項11】前記布帛を用いた椅子張り地であること
    を特徴とする請求項9に記載の布帛。
  12. 【請求項12】前記布帛を用いたベットパッドであるこ
    とを特徴とする請求項9に記載の布帛。
JP2001320292A 2000-10-24 2001-10-18 ポリエステル複合糸および布帛 Pending JP2002201544A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001320292A JP2002201544A (ja) 2000-10-24 2001-10-18 ポリエステル複合糸および布帛

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000323733 2000-10-24
JP2000-323733 2000-10-24
JP2001320292A JP2002201544A (ja) 2000-10-24 2001-10-18 ポリエステル複合糸および布帛

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002201544A true JP2002201544A (ja) 2002-07-19

Family

ID=26602643

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001320292A Pending JP2002201544A (ja) 2000-10-24 2001-10-18 ポリエステル複合糸および布帛

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002201544A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4103054A (en) Suede-like raised woven fabric and process for preparation thereof
JP3902007B2 (ja) 緯編地
JP2004124348A (ja) 複合織編物
JP2006214056A (ja) 織物
US4234022A (en) Woven fabric
JP2007308812A (ja) ストレッチ織物およびその製造方法
JP2003119638A (ja) 二重被覆糸およびその製造方法
JP2001303375A (ja) 複合弾性糸及びその製造方法
JP2002201544A (ja) ポリエステル複合糸および布帛
KR100358361B1 (ko) 스웨드조 환편지의 제조방법 및 그 스웨드조 환편지
JP2002194634A (ja) ポリエステル複合糸の製造方法および布帛の製造方法
JP2004211265A (ja) ストレッチ性ポリエステル系フィラメント織物及びその製造法及びそれを用いた衣料
JP2005060859A (ja) 伸張特性に優れた人工皮革及びその製造方法
JP2885493B2 (ja) 混繊糸織物とその製造方法
JPS61132684A (ja) 着用感の優れた人工皮革及びその製造方法
JP2003268639A (ja) 仮撚加工糸およびその製造方法
JP2009074188A (ja) 丸編地および繊維製品
JP2003286621A (ja) 混繊糸およびその製造方法
JP2717128B2 (ja) ポリエステル系異収縮混繊糸
JP2003119639A (ja) 二重被覆糸およびその製造方法
JPH03167333A (ja) 仮撚複合糸、およびその製造方法
JPH07310252A (ja) 表面に毛羽を有する織物
JPH0544137A (ja) スエード調織物の製造方法
JPS6246657B2 (ja)
JP2004060065A (ja) 染色布帛およびその製造方法