JP2002200748A - インクジェット式記録装置の保管方法、輸送方法及び記録ヘッドの保管方法並びに保管用包袋 - Google Patents

インクジェット式記録装置の保管方法、輸送方法及び記録ヘッドの保管方法並びに保管用包袋

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JP2002200748A
JP2002200748A JP2000403292A JP2000403292A JP2002200748A JP 2002200748 A JP2002200748 A JP 2002200748A JP 2000403292 A JP2000403292 A JP 2000403292A JP 2000403292 A JP2000403292 A JP 2000403292A JP 2002200748 A JP2002200748 A JP 2002200748A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インクジェット式記録装置が長期間不使用状態
であっても、記録ヘッドの目詰まりを防止できる保管方
法を提供する。 【解決手段】保管用包袋23は、外層としての保護膜層
と、中間層としてのガスバリア性を有する蒸着膜を含む
層と、内層としての熱溶着可能な層とにより形成されて
いる。長期保管前にクリーニングスイッチが操作される
と、キャッピングユニットと連結された吸引ポンプの作
動により記録ヘッド内の古いインクは新しいインクと置
換される。また、廃インクは廃インク吸収材に吸収保持
される。この状態のインクジェット式記録装置1が保管
用包袋23に入れられ、保管用包袋23の開口部はヒートシ
ール27により密閉される。また、ユーザー使用時には、
押圧固定具28により密閉される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット式
記録装置の保管方法、輸送方法及び記録ヘッドの保管方
法並びに保管用包袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット式記録装置においては、
インクに関していっそうの画質向上や印刷物の保存性を
向上させるために、色材濃度のアップ、色材の顔料化が
進められている。このことは、インクノズルに対しては
目詰まりを促進させることになる。通常は印刷中におい
て所定時間が経過すると、フラッシングが行なわれ、記
録ヘッドの目詰まりを防止するようになっている。しか
し、インクジェット式記録装置が使用されないで長期保
管されるような場合には、前記フラッシングによる目詰
まり防止機能は働かない。従って、長期間にわたって目
詰まりの対策をしない場合、インク中からの水分蒸発
は、ノズルだけでなくヘッドの構成部材を介してもあ
り、ヘッド内の断面積の小さな流路の広範囲にわたって
インクが増粘し、吸引動作での目詰まり回復が不能な状
態に陥るため、今まで以上に目詰まり対策が必要という
問題があった。あるいは塵埃の付着により、目詰まりが
起こるという問題があった。
【0003】インクジェット式記録装置は、製造後出荷
前にインク組成物を記録ヘッドに供給して印刷試験が行
われている。そのため、出荷後ユーザーの使用までの間
に、目詰まりが発生する虞もある。
【0004】インクジェット式記録装置には、記録ヘッ
ドがインクジェット式記録装置から取外し可能なもの
と、取外し不可能なものとがある。記録ヘッドが取外し
可能なものについては、目詰まり防止の為に使用される
保管箱が、特開平8−300678号公報に提案されて
いる。この従来のものにおいては、保管に使用する保管
箱内に、水分を含んだ高分子吸収体もしくはメッシュ状
の多孔質通気体を配設し、その水分の飽和蒸気圧を利用
して保管箱内の湿度を実質的に一定に保つよう構成され
ていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、記録ヘ
ッドがインクジェット式記録装置本体から取外し不可能
なインクジェット式記録装置については、長期間にわた
って保管する際の目詰まりの対策はなされていなかっ
た。また、製造後出荷前に行なわれる印刷試験の際の微
量の残留インクによる目詰まり対策もなされていなかっ
た。
【0006】一方、特開平8−300678に示す従来
技術においては、保管箱自体に湿度を保たせる吸収体を
付属させるため、製造工程が増え、製造コストが増える
という問題があった。また、記録ヘッドのサイズに対応
した保管箱を製造する必要があるという問題もあった。
【0007】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであって、第一の目的は、記録ヘッドが搭載された状
態にあるインクジェット式記録装置が、長期間にわたり
不使用状態であっても、目詰まりを防止できるインクジ
ェット式記録装置の保管方法を提供することである。第
二の目的は、インクジェット式記録装置の目詰まりを防
止した状態で輸送できるインクジェット式記録装置の輸
送方法を提供することである。第三の目的は、インクジ
ェット式記録装置に着脱可能に設けられた記録ヘッド
が、長期間にわたり不使用状態であっても、目詰まりを
防止できる記録ヘッドの保管方法を提供することであ
る。第四の目的は、第一〜第三の目的を達成するのに適
した保管用包袋を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記第一の目的を達成す
るために請求項1に記載の発明では、ノズル開口からイ
ンク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが設けら
れたインクジェット式記録装置の保管方法であって、ガ
スバリア性を有する再密閉可能な保管用包袋の中に前記
インクジェット式記録装置を入れ、前記保管用包袋の開
口部からのガスの流出入を遮断した状態にする。この発
明によれば、インクジェット式記録ヘッドは密閉状態の
保管用包袋内に保持されるため、インクの乾燥が抑制さ
れる。
【0009】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記インクジェット式記録装置は、
前記記録ヘッド内のインクを吸引する装置と、廃インク
トレイ及び廃インク吸収材を備えており、前記記録ヘッ
ド内のインクを前記廃インクトレイに排出させた状態
で、前記保管用包袋に入れて保管する。この発明によれ
ば、密閉状態の保管用包袋内が廃インク吸収材から蒸発
した水分で高湿度となり、よりインクの乾燥が抑制され
る。
【0010】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
請求項2に記載の発明において、前記インクジェット式
記録装置は、着脱可能に設けられたインクカートリッジ
よりインクが記録ヘッドに供給される構成であり、前記
インクカートリッジを保存液カートリッジに交換し、前
記ノズル内及び前記記録ヘッド内のインクを保存液で置
換充填若しくは排出した状態で前記保管用包袋に前記イ
ンクジェット式記録装置を入れて保管する。この発明に
よれば、保存液によりノズル内のインクが置換充填若し
くは排出され、インク充填時と比較して、より効果的に
ノズルの目詰まりが防止される。
【0011】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、前記保存液は、保湿剤、界面活性剤
及び防腐剤を含有する水溶液で粘度が5〜50mPa・
sである。この発明によれば、界面活性剤が保存液の表
面張力を下げ、保存液の記録ヘッド内への充填性が改善
される。
【0012】前記第二の目的を達成するために請求項5
に記載の発明では、前記インクジェット式記録装置を前
記保管用包袋に入れ、請求項1〜請求項4のいずれか一
項に記載の状態で輸送する。この発明によれば、輸送時
において、請求項1〜請求項4のいずれかの発明の作用
によりノズルの目詰まりが防止される。
【0013】前記第三の目的を達成するために請求項6
に記載の発明では、着脱可能な記録ヘッドを備えたイン
クジェット式記録装置の記録ヘッドを保管する方法であ
って、ガスバリア性を有する再密閉可能な保管用包袋の
中に記録ヘッドを入れ、前記保管用包袋の開口部からの
ガスの流出入を遮断して水分供給材と共に保管する。こ
の発明によれば、インクジェット式記録装置から取外さ
れた記録ヘッドが保管用包袋内に密閉状態で収容され
る。保管用包袋内は水分供給材から蒸発した水分で高湿
度に保たれて、ノズルの目詰まりが防止される。
【0014】前記第四の目的を達成するために請求項7
に記載の発明では、請求項1〜請求項6のいずれかに記
載の発明において、ガスバリア性を有する材質で形成さ
れており、密閉手段により保管用包袋の開口部からガス
の流出入を遮断して再密閉可能に構成される。この発明
の保管用包袋は、密閉手段により開口部からのガスの流
出入が遮断された状態では密閉状態となり、水分の外部
への透過が抑制される。従って、請求項1〜請求項6の
発明に使用するのに適している。
【0015】請求項8に記載の発明では、請求項7に記
載の発明において、前記保管用包袋の材質は、外層を構
成する保護膜層と、中間層を構成するガスバリア性を有
する蒸着膜を含む層と、内層を構成する熱溶着可能な層
の少なくとも三層以上の層を備えたラミネートフィルム
である。この発明によれば、保管用包袋の外層を構成す
る保護膜層により強度を向上させることができ、内層を
構成する熱溶着可能な層の存在により、ヒートシールに
よって密閉することができる。
【0016】請求項9に記載の発明では、請求項8に記
載の発明において、前記保護膜層はポリエチレンテレフ
タレートにより形成されており、前記熱溶着可能な層は
ポリエチレンにより形成される。この発明によれば、入
手容易な材料であるポリエチレンテレフタレートやポリ
エチレンで保管用包袋が製造されるので、保管用包袋の
製造が容易になる。
【0017】請求項10に記載の発明では、請求項8又
は請求項9に記載の発明において、前記蒸着膜は、アル
ミ蒸着膜である。この発明によれば、アルミは蒸着膜を
形成しやすい材料であるため、保管用包袋を製造するの
に適している。
【0018】請求項11に記載の発明では、請求項8又
は請求項9に記載の発明において、前記中間層は、外側
から順に、アルミナ蒸着膜、ポリエチレンテレフタレー
ト層、シリカ蒸着膜、ナイロン層が形成されている。こ
の発明によれば、中間層が4層で形成されているため、
保管用包袋の強度が向上する。
【0019】請求項12に記載の発明では、請求項8又
は請求項9に記載の発明において、前記中間層は、外側
から順に、アルミナ蒸着膜、ポリエチレンテレフタレー
ト層、アルミナ蒸着膜、ナイロン層が形成されている。
この発明によれば、中間層が4層で形成されているた
め、保管用包袋の強度が向上する。
【0020】請求項13に記載の発明では、請求項8〜
請求項12のいずれかに記載の発明において、前記密閉
手段は、内層をヒートシールにより溶着して密閉する。
この発明によれば、機械的に密閉するのではなく、内層
を熱溶着させるヒートシールであるため、保管用包袋の
密閉性が向上する。
【0021】請求項14に記載の発明では、請求項7〜
請求項12のいずれかに記載の発明において、前記密閉
手段は、前記保管用包袋の開口部を閉じた状態で保持す
る押圧固定部材である。この発明によれば、ヒートシー
ルと異なり、保管用包袋を密閉するのに、簡単に繰り返
し密閉することができる。
【0022】請求項15に記載の発明では、請求項7〜
請求項12のいずれかに記載の発明において、前記密閉
手段は、前記保管用包袋の開口部を束ねた状態で保持す
る緊縛部材である。この発明によれば、密閉手段の構成
が簡単となり、製造コストが削減できる。
【0023】請求項16に記載の発明では、請求項7〜
請求項12のいずれかに記載の発明において、前記密閉
手段は、前記保管用包袋の開口部内面の一方に形成され
た凹条と、他方に形成されるとともに前記凹条に気密状
態で嵌合可能な凸条とからなる密閉手段を備える。この
発明によれば、保管用包袋と密閉手段が一体形成されて
いるため、密閉手段を失うことがない。また、緊縛部材
で密閉するよりは容易に密閉することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図1
〜図4に従って説明する。
【0025】図2に示すように、インクジェット式記録
装置1の両端に固定されたフレーム2,3には、キャリ
ッジ軸4が備えられている。キャリッジ軸4には、キャ
リッジ5が往復駆動可能に設けられ、キャリッジ5に記
録ヘッド6が設けられている。キャリッジ5の上側に
は、黒インクカートリッジ7a及びカラーインクカート
リッジ7bが搭載されている。
【0026】図3に示すように、記録ヘッド6は黒イン
クノズル8a及びカラーインクノズル8bを備えてい
る。記録ヘッド6には、黒インクカートリッジ7a及び
カラーインクカートリッジ7bから黒インクノズル8a
及びカラーインクノズル8bへと、各々のインクを導く
黒インク連絡流路9a及びカラーインク連絡流路9bが
設けられている。また、黒インクカートリッジ7a及び
カラーインクカートリッジ7bは、着脱可能に構成され
ている。
【0027】紙案内部10の両端には、フラッシング時
に廃インクトレイ11内に配置された廃インク吸収材1
2にインクを吐出させるためのフラッシング領域13
A,13Bが形成されており、フラッシング領域13
A,13Bには、各々の開口孔10a,10bが形成さ
れている。
【0028】非印字時にキャリッジ5は待機位置に移動
し、待機位置にはキャッピングユニット14が配設され
ている。キャッピングユニット14には、ポンプチュー
ブ15の一端が連結されている。ポンプチューブ15の
他端は、吸引ポンプ16の作動により吸引されたインク
を廃インク吸収材12上に導く位置に配置されている。
【0029】キャッピングユニット14は、テーブル1
8を備えている。テーブル18にはキャップホルダ19
が保持され、キャップホルダ19にキャップ20が保持
されている。キャップ20は、黒インクノズル8a及び
カラーインクノズル8bの両開口面を同時に封止可能に
構成されている。キャップ20は、ゴム等の軟質材で形
成されており、キャリッジ5の待機位置において、記録
ヘッド6はキャップ20と当接するように構成されてい
る。また、キャッピングユニット14に設けられたイン
ク排出部21は、キャップ20、キャップホルダ19及
びテーブル18を貫通するように形成され、ポンプチュ
ーブ15の一端と連結するように構成されている。吸引
ポンプ16は、図示しないクリーニングスイッチの操作
に基づいて駆動されている。
【0030】記録ヘッド6の目詰まりや、黒インク連絡
流路9a及びカラーインク連絡流路9bへの気泡の混入
状態を解消させるために行うインクの強制的な吸引排出
処理は、通常クリーニング操作と呼ばれる。クリーニン
グ操作は、インクジェット式記録装置1の長時間の休止
後に印刷を再開する場合や、またユーザーがクリーニン
グスイッチを操作した場合に実行される。
【0031】キャッピングユニット14が配置された待
機位置と印字領域との間には、ワイパ22が記録ヘッド
6と必要に応じて係合可能な位置に配置されている。
【0032】次に上記インクジェット式記録装置1の作
用について説明する。
【0033】インクジェット式記録装置1は、通常、印
刷中において所定時間が経過したとき、黒インクノズル
8a及びカラーインクノズル8bの開口の目詰まりを防
止するためにフラッシングが行なわれる。このフラッシ
ングの作用は、キャリッジ5が、キャリッジ軸4に沿っ
てどちらか一方のフラッシング領域13A,13Bに移
動し、インクを吐出させるフラッシングを行う。その際
に記録ヘッド6から吐出されたインクは開口孔10a,
10bを通過し、廃インクトレイ11内の廃インク吸収
材12に吸収保持される。
【0034】また前述したように、インクジェット式記
録装置1の長時間の休止後に印刷を再開する場合や、ユ
ーザーがクリーニングスイッチを操作したとき、黒イン
ク連絡流路9a及びカラーインク連絡流路9b、黒イン
クノズル8a及びカラーインクノズル8bの目詰まりを
防止するためのクリーニング操作が行なわれる。このク
リーニング操作による吸引作用は、キャリッジ5が待機
位置に配置され、キャッピングユニット14に備えられ
たキャップ20と黒インクノズル8a及びカラーインク
ノズル8bの開口面が当接した状態で行なわれる。その
際、キャップ20内は吸引ポンプ16により負圧とな
り、黒インク連絡流路9a及びカラーインク連絡流路9
b、黒インクノズル8a及びカラーインクノズル8bか
らインクが排出される。また、新しいインクが黒インク
カートリッジ7a及びカラーインクカートリッジ7bよ
り、黒インク連絡流路9a及びカラーインク連絡流路9
b、黒インクノズル8a及びカラーインクノズル8b内
に供給される。また、吸引された廃インクは、廃インク
トレイ11内の廃インク吸収材12に吸収保持される。
【0035】これらフラッシング及び吸引ポンプ16の
クリーニングの操作により、インクジェット式記録装置
1の使用時の目詰まりが防止されている。
【0036】次にインクジェット式記録装置1の保管の
際に使用する保管用包袋23の構成について説明する。
【0037】図4に示すように、保管用包袋23は、外
層としての保護膜層24と、中間層25としてのガスバ
リア性を有する蒸着膜を含む層と、内層26としての熱
溶着可能な層とにより形成されている。保護膜層24は
ポリエチレンテレフタレートにより、内層26はポリエ
チレンにより形成されている。中間層25は、外側から
順に、アルミナ蒸着膜25a、ポリエチレンテレフタレ
ート層25b、シリカ蒸着膜25c、ナイロン層25d
が形成されている。また、保護膜層24及びポリエチレ
ンテレフタレート層25bの厚さは12μm、ナイロン
層25dの厚さは25μm、内層26の厚さは60μm
である。
【0038】次に、保管用包袋23を用いてインクジェ
ット式記録装置1を保管する方法について説明する。
【0039】製品の出荷時において、輸送環境は船舶輸
送環境が多く、50〜60℃の高温環境に達する可能性
がある。このような状態では、保管用包袋23の密閉性
を高く保つ必要がある。保管用包袋23の内層26は熱
溶着可能なポリエチレンで形成されている為、図1
(a)に示すように、インクジェット式記録装置1を保
管用包袋23に入れ、図1(b)に示すように、保管用
包袋23の開口部はヒートシール27により密閉され
る。そして、廃インク吸収材12に吸収保持された廃イ
ンクから水分が蒸発し、保管用包袋23内の湿度は適度
に保たれ、記録ヘッド6のインクの乾燥が抑制される。
【0040】また、ユーザーがインクジェット式記録装
置1を長期保管する際は、前述したようにフラッシング
やクリーニング操作は行われない。その為、長期保管す
る前にクリーニング操作をして、記録ヘッド6内の古い
インクを黒インクカートリッジ7a及びカラーインクカ
ートリッジ7bの新しいインクと置換する。この時、廃
インクは廃インク吸収材12に吸収保持される。
【0041】図1(a)に示すように、この状態のイン
クジェット式記録装置1を保管用包袋23の中に入れ、
ユーザー使用時にはヒートシール27でなく、図1
(c)に示す再密閉可能な押圧固定具28により密閉さ
れる。押圧固定具28は、例えば氷枕等に使用されてい
る密閉手段と同様な構成で開閉可能に形成されるととも
に、閉じた状態のときに保持可能となっている。従っ
て、廃インク吸収材12に吸収保持された廃インクから
蒸発した水分により、保管用包袋23内の湿度は適度に
保たれ、記録ヘッド6のインクの乾燥が抑制される。
【0042】以上詳述したように、この実施形態によれ
ば、以下のような効果を有する。
【0043】(1)インクジェット式記録装置1を保管
用包袋23に入れ、密閉状態で保管及び輸送するため、
保管用包袋23に入れない時と比較して、インクの乾燥
が抑制される。
【0044】(2)フラッシングにより、廃インク吸収
材12に吸収されたインクから蒸発する水分を利用し、
保管用包袋23内の湿度を所定湿度に保つことにより、
記録ヘッド6内のインクの乾燥を抑制することができ、
黒インクノズル8a及びカラーインクノズル8bの目詰
まりを防止することができる。また、インクの品質変化
を和らげることができる。
【0045】(3)クリーニング操作により、記録ヘッ
ド6内の古いインクが新しいインクと置換されると共
に、廃インク吸収材12から蒸発する水分を利用し、保
管用包袋23内の湿度を所定湿度に保つことにより、
(2)の効果がより向上する。
【0046】(4)ヒートシール27を使用することに
より、開口部を機械的に密閉する構成に比較して密閉性
が向上するとともに、密閉作業の効率が向上する。
【0047】(5)ユーザーの使用時において、ヒート
シール27による密閉では保管用包袋23を開閉する度
に、保管用包袋23の開口部を切断する必要がある。し
かし、押圧固定具28を使用することにより、ヒートシ
ール27と比較して密閉状態と密閉解除とを簡単に繰り
返すことができる。
【0048】(6)長期輸送において、保管用包袋23
にインクジェット式記録装置1を入れることにより、イ
ンクの漏洩や環境中の塵埃の付着を防止することができ
る。
【0049】なお、実施形態は上記実施形態に限定され
るものではなく、例えば以下のように変更してもよい。
【0050】・中間層25を構成する4層のうちのガス
バリア性を有する蒸着膜は、アルミナ蒸着膜25aとシ
リカ蒸着膜25cで形成されていたが、そのうちのシリ
カ蒸着膜25cをアルミナ蒸着膜25aに変更してもよ
い。このように構成した場合もほぼ同様な効果が得られ
る。
【0051】・中間層25は4層で構成されていたが、
アルミ蒸着膜の1層にしてもよい。このように構成した
場合、保管用包袋23を容易に製造することができる。
【0052】・密閉手段として、図5(a)に示すよう
に保管用包袋23の開口部を密閉手段としての緊縛部材
29により固定してもよい。このように構成した場合、
密閉手段が簡単になり、密閉コストを削減できる。
【0053】・密閉手段は、図5(b)に示すように保
管用包袋23の開口部内面の一方に形成された凹条と、
他方に形成されるとともに前記凹条に気密状態で嵌合可
能な凸条とからなる構成(ファスナー30)にしてもよ
い。このように構成した場合、保管用包袋23と密閉手
段が一体形成されているため、密閉手段を失うことがな
い。また、緊縛部材29で密閉するよりは、容易に密閉
することができる。
【0054】・着脱可能な記録ヘッド6を備えたインク
ジェット式記録装置1では、記録ヘッド6をインクジェ
ット式記録装置1から取り外して、保管用包袋23に水
分供給材とともに保管してもよい。水分供給材として
は、例えばスポンジ等の多孔質材に、水あるいは保湿剤
を含む水溶液を含浸させたものが使用される。このよう
に構成した場合、保管箱と異なり、一つの保管用包袋2
3で異なるサイズの記録ヘッドに容易に対応できる。
【0055】・黒インクカートリッジ7a及びカラーイ
ンクカートリッジ7bを各々保存液カートリッジに変更
して保管してもよい。保存液は、保湿剤、界面活性剤及
び防腐剤を含有する水溶液で粘度が5〜50mPa・s
である。保湿剤等は、本願出願人が先に出願した特開2
000−108493号公報に開示されたものと同様
に、例えば、保湿剤としてグリセリン、エチレングリコ
ール等のグリコール類が使用され、界面活性剤としてア
ルキルスルホカルボン酸塩、ラウリルジメチルアミノ酢
酸ベタイン、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル等が使用される。このように構成した場合、保存液に
含有される界面活性剤は保存液の表面張力を下げ、記録
ヘッド6内の濡れ性を高くし、保存液の充填性を改善す
る。また、黒インク連絡流路9a及びカラーインク連絡
流路9b内を保存液により置換充填もしくは排出するこ
とにより、インク充填時より、目詰まりの防止効果が向
上する。
【0056】・保管用包袋23は、インクジェット式記
録装置1の付属品として販売してもよい。このように構
成した場合、保管時にユーザーは直ちに保管用包袋23
を使用することができる。
【0057】・長期保管前に、ユーザーがクリーニング
スイッチを押して、廃インク吸収材12に、廃インクを
排出しなくてもよい。この場合でも、使用期間中に廃イ
ンク吸収材12に吸収保持された廃インクの水分の蒸発
により、保管用包袋23内の湿度が高い状態に保たれ
る。
【0058】・インクの供給方法として、ヘッド上に着
脱可能な構成のカートリッジを使用せずタンクから供給
するタイプのインクジェット式記録装置に適用してもよ
い。この場合でも、廃インク吸収材12に吸収保持され
た廃インクの水分の蒸発により、保管用包袋23内の湿
度が高い状態に保たれる。
【0059】・保管用包袋23の保護膜層24に、ポリ
エステルと同等以上の強度を有する他の合成樹脂を使用
してもよい。
【0060】・保管用包袋23の内層に、熱溶着可能な
ポリエチレン以外の合成樹脂を使用してもよい。
【0061】次に上記実施形態及び別例から把握できる
請求項に記載した以外の技術的思想について、以下に記
載する。
【0062】(1)保管用包袋23は、インクジェット
式記録装置1の付属品である。
【0063】
【発明の効果】以上、詳述したように、請求項1〜請求
項4に記載の発明によれば、記録ヘッドが搭載された状
態にあるインクジェット式記録装置が、長期間にわたり
不使用状態であっても、目詰まりを防止した状態で保管
することができる。請求項5に記載の発明によれば、目
詰まりを防止した保管状態でインクジェット式記録装置
を輸送することができる。
【0064】請求項6に記載の発明によれば、インクジ
ェット式記録装置から着脱可能に設けられた記録ヘッド
において、記録ヘッドがインクジェット式記録装置から
取り外され、長期間にわたり不使用状態であっても、目
詰まりを防止した状態で保管することが可能である。ま
た、保管箱を使用する場合と比較して、簡単に保管する
ことが可能である。
【0065】請求項7〜請求項16に記載の発明によれ
ば、請求項1〜請求項6のいずれかの保管方法及び輸送
方法に使用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は保管用包袋概略斜視図、(b)はヒー
トシールにより密閉された保管用包袋の概略斜視図、
(c)は押圧固定具により密閉された保管用包袋の概略
斜視図。
【図2】インクジェット式記録装置の一部破断模式正面
図。
【図3】記録ヘッドとキャッピングユニットの関係を示
す一部破断模式正面図。
【図4】保管用包袋の層状構造を示す部分模式断面図。
【図5】(a)は別の保管状態を示す概略斜視図、
(b)は別の保管状態を示す概略斜視図。
【符号の説明】
1…インクジェット式記録装置 6…記録ヘッド 7a…インクカートリッジとしての黒インクカートリッ
ジ 7b…同じくカラーインクカートリッジ 8a…ノズルとしての黒インクノズル 8b…同じくカラーインクノズル 11…廃インクトレイ 12…廃インク吸収材 23…保管用包袋 24…保護膜層 25…中間層 25a…アルミナ蒸着膜 25b…ポリエチレンテレフタレート層 25c…シリカ蒸着膜 25d…ナイロン層 26…内層 27…密閉手段としてのヒートシール 28…同じく押圧固定具 29…同じく緊縛部材 30…同じくファスナー

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ノズル開口からインク滴を吐出するインク
    ジェット式記録ヘッドが設けられたインクジェット式記
    録装置の保管方法であって、ガスバリア性を有する再密
    閉可能な保管用包袋の中に前記インクジェット式記録装
    置を入れ、前記保管用包袋の開口部からのガスの流出入
    を遮断した状態で保管することを特徴とするインクジェ
    ット式記録装置の保管方法。
  2. 【請求項2】前記インクジェット式記録装置は、前記記
    録ヘッド内のインクを吸引する装置と、廃インクトレイ
    及び廃インク吸収材を備えており、前記記録ヘッド内の
    インクを前記廃インクトレイに排出させた状態で、前記
    保管用包袋に入れて保管することを特徴とする請求項1
    に記載のインクジェット式記録装置の保管方法。
  3. 【請求項3】前記インクジェット式記録装置は、着脱可
    能に設けられたインクカートリッジよりインクが記録ヘ
    ッドに供給される構成であり、前記インクカートリッジ
    を保存液カートリッジに交換し、前記ノズル内及び前記
    記録ヘッド内のインクを保存液で置換充填若しくは排出
    した状態で前記保管用包袋に前記インクジェット式記録
    装置を入れて保管することを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載のインクジェット式記録装置の保管方法。
  4. 【請求項4】前記保存液は、保湿剤、界面活性剤及び防
    腐剤を含有する水溶液で粘度が5〜50mPa・sであ
    ることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット式
    記録装置の保管方法。
  5. 【請求項5】前記インクジェット式記録装置を前記保管
    用包袋に入れ、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記
    載の状態で輸送することを特徴とするインクジェット式
    記録装置の輸送方法。
  6. 【請求項6】着脱可能な記録ヘッドを備えたインクジェ
    ット式記録装置の記録ヘッドを保管する方法であって、
    ガスバリア性を有する再密閉可能な保管用包袋の中に記
    録ヘッドを入れ、前記保管用包袋の開口部からのガスの
    流出入を遮断して水分供給材と共に保管することを特徴
    とする記録ヘッドの保管方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜請求項6のいずれかに記載の保
    管用包袋であって、ガスバリア性を有する材質で形成さ
    れており、密閉手段により保管用包袋の開口部からガス
    の流出入を遮断して再密閉可能に構成されていることを
    特徴とする保管用包袋。
  8. 【請求項8】前記保管用包袋の材質は、外層を構成する
    保護膜層と、中間層を構成するガスバリア性を有する蒸
    着膜を含む層と、内層を構成する熱溶着可能な層の少な
    くとも三層以上の層を備えたラミネートフィルムである
    ことを特徴とする請求項7に記載の保管用包袋。
  9. 【請求項9】前記保護膜層はポリエチレンテレフタレー
    トにより形成されており、前記熱溶着可能な層はポリエ
    チレンにより形成されることを特徴とする請求項8に記
    載の保管用包袋。
  10. 【請求項10】前記蒸着膜は、アルミ蒸着膜であること
    を特徴とする請求項8又は請求項9に記載の保管用包
    袋。
  11. 【請求項11】前記中間層は、外側から順に、アルミナ
    蒸着膜、ポリエチレンテレフタレート層、シリカ蒸着
    膜、ナイロン層が形成されていることを特徴とする請求
    項8又は請求項9に記載の保管用包袋。
  12. 【請求項12】前記中間層は、外側から順に、アルミナ
    蒸着膜、ポリエチレンテレフタレート層、アルミナ蒸着
    膜、ナイロン層が形成されていることを特徴とする請求
    項8又は請求項9に記載の保管用包袋。
  13. 【請求項13】前記密閉手段は、内層をヒートシールに
    より溶着して密閉することを特徴とする請求項8〜請求
    項12のいずれか一項に記載の保管用包袋。
  14. 【請求項14】前記密閉手段は、前記保管用包袋の開口
    部を閉じた状態で保持する押圧固定具であることを特徴
    とする請求項7〜請求項12のいずれか一項に記載の保
    管用包袋。
  15. 【請求項15】前記密閉手段は、前記保管用包袋の開口
    部を束ねた状態で保持する緊縛部材であることを特徴と
    する請求項7〜請求項12のいずれか一項に記載の保管
    用包袋。
  16. 【請求項16】前記密閉手段は、前記保管用包袋の開口
    部内面の一方に形成された凹条と、他方に形成されると
    ともに前記凹条に気密状態で嵌合可能な凸条とからなる
    密閉手段を備えることを特徴とする請求項7〜請求項1
    2のいずれか一項に記載の保管用包袋。
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