JP3238805B2 - インクタンク、インクジェット用カートリッジ及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクタンク、インクジェット用カートリッジ及びインクジェット記録方法

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JP3238805B2 JP24564093A JP24564093A JP3238805B2 JP 3238805 B2 JP3238805 B2 JP 3238805B2 JP 24564093 A JP24564093 A JP 24564093A JP 24564093 A JP24564093 A JP 24564093A JP 3238805 B2 JP3238805 B2 JP 3238805B2
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    • B41J2/17503Ink cartridges
    • B41J2/17513Inner structure

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の構造を有したイ
ンクタンクにとって有効な特性を有したインクとを組み
合わせたインクタンク、インクジェット用カートリッ
ジ、インクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来、インクジェット用のインクカートリ
ッジは、インクジェットヘッドと一体化され、カートリ
ッジ内のインクがインク吐出できない段階になると、ヘ
ッドと共に廃棄されることが多い。この段階のカートリ
ッジ内に残存するインクの量は、改良を加えても、カー
トリッジ内のほぼ全体に収納されている負圧発生体であ
るスポンジのインク保持能力に支配され、比較的多いも
のとなってしまっていた。
【0003】この種のインク容器としては、特開昭63-6
3242号公報を挙げることができる。即ち、インク容器内
に発泡材が配置され、複数のインク射出オリフィスを備
えたインクジェット記録ヘッド1体のカートリッジであ
る。このインク容器においては、発泡材であるポリウレ
タンフォームのような多孔質媒体にインクを貯蔵するた
めにフォームの毛細管力による負圧の発生及びインクの
保持(インク容器からのインク漏れ防止)を達成してい
るが、唯一のインク貯蔵室のほぼ全体に装填されるフォ
ームを必要とすることからインクの充填量が制限される
とともにに装填され、ほぼ全体にフォームを必要とする
ことからインクの充填量が制限されるとともにフォーム
中に使用されずに残るインク量が多くなり、インクの使
用効率が悪いという問題があった。又、インクの残量検
知が困難であり、更にインク消費期間中に負圧が徐々に
変化してしまい、ほぼ一定の負圧を維持することが困難
であるという課題があった。
【0004】この構成に対して、インクカートリッジを
実質的にインクのみを保持する構成を採用したカートリ
ッジを開示する公報がある。即ち、特開平2-522 号公報
には、上方に位置してインクのみを大量に保持する1次
インク貯蔵部と下方に位置したインクジェット記録ヘッ
ドとの間にわずかな多孔質部材を配置したインクジェッ
ト記録ヘッド一体型のインクカートリッジが開示されて
いる。この発明は、多孔質部材をインク貯蔵部には内蔵
せずにインク流路中にのみ配置したことによりインクの
使用効率を向上出来るとしいる。また、多孔質部材の側
方にインクを保持可能な空間としての2次インク貯蔵部
を設けることにより、温度上昇(圧力低下)で1次イン
ク貯蔵部内の空気が膨張してによる1次インク貯蔵部か
らの流出インクを溜め、記録時の記録ヘッドへの負圧を
実質上一定に維持出来るとしている。
【0005】しかしながら、この公報の発明は、非記録
時においては、上方に位置してインクのみを大量に保持
する1次インク貯蔵部からのインクにより多孔質部材は
インクが充分過ぎるほど含浸せしめられているので、多
孔質部材自体の負圧の発生がほとんど無くなっている。
そのため、わずかな衝撃によりインクジェット記録ヘッ
ドのオリフィスからインクが漏れるという問題があり、
実用に適さない。またインク容器をインク記録ヘッドに
装着する交換型インクカートリッジ形式をこの構成に採
用することは、多孔質部材の状態からインク漏れの状態
となり実用化できないという課題があった。
【0006】これに対して、インクを袋内に封入してそ
の袋の負圧力を一定にするためのバネ構成を付加したイ
ンクカートリッジも知られているが、高価なものとなる
だけでなく、そのバネ構成の性能を維持して大量生産を
達成することは困難なものであった。
【0007】いづれにしても、インクジェット用(非接
触記プリント型)インクカートリッジとして、インクジ
ェットプリントの分野では、安価で、合理的な技術水準
にあるものは提供されていない。
【0008】一方、インクジェット方式の古典的な圧電
素子を用いたインクジェット記録方法は、40V以上の
駆動電圧を用いてオンデマンド方式或はコンテイニアス
方式でインクを吐出させて記録を行うものであるが、通
常、環境変動があっても確実に吐出する駆動電圧を与え
て圧電素子を駆動するものである。この方式を実施例と
して開示し、色の異なるインクに関して、0.0001
〜10重量%のエチレンオキシド付加体が含有されたイ
ンクを開示する特許として、特公昭58ー6752号公
報が知られている。この公報は、界面活性剤を含有する
インクを、界面活性剤を含まないインクと比較して、相
対的に優れた定着性、耐水性を評価し、インク吐出を連
続駆動と間欠駆動でも安定した吐出が行われると評価し
ている。更に、この公報では、3カ月放置後の最初の駆
動信号で吐出できるか否かを判断し、界面活性剤を含有
するインクが良好なインク吐出を行えることを開示して
いる。
【0009】ところで、1981年(10月1日)発行
の「全訂版 新界面活性剤入門」(三洋化成工業株式会
社)には、界面活性剤を液体に含有させる場合におい
て、界面活性剤の効果を充分得る為には、その液体にお
ける界面活性剤の臨界ミセル濃度(c.m.c.)以上
の含有量をその液体に入れることが極めて当然の知識と
して開示されている。この界面活性剤のインクに対する
臨界ミセル濃度(c.m.c.)以上の含有量をインク
に含ませることを1つの特徴とした、米国特許第5,1
06,416号明細書及び米国特許第5,116,40
9号明細書が存在する。これらの公報は、インクのブリ
ーデイングを防止する効果があるものとしてそれらの発
明を開示し、水に対する界面活性剤の臨界ミセル濃度
(c.m.c.)は意味のないことを明記している。逆
に、この水に対する界面活性剤の臨界ミセル濃度(c.
m.c.)以下の含有量を含むインクを開示するものと
して、特開昭56ー49771号公報があり、ノズル内
の目詰まり防止効果があるとしている。又、先に上げた
特公昭58ー6752号公報と同様に1〜10%の界面
活性剤を含有させたインクを低蒸気低粘性極性溶剤を付
加することによって使用可能にするというインク特許を
開示する特開平1ー182384号公報があるが、単
に、インクの紙に対するにじみを考慮するだけである。
【0010】いずれにしても、従来では、インクジェッ
ト用インクのインクタンク乃至インクジェットヘッドか
ら吐出された後の飛翔インク滴に至るまでの挙動特性の
安定化によって、印字品位の向上を確実にするためのイ
ンクタンクとインク自体の関係をインクジェットヘッド
の吐出状態までを考慮した発明は無い。
【0011】
【本発明の背景技術】本発明者たちは、インクジェット
プリントの技術分野に適したインク容器としては、プリ
ント時に記録ヘッドから吐出されるインク量に見合った
インクを良好に供給することができ、非プリント時にお
いては吐出口からのインク漏れなどの不都合がないこと
の両面性をそれぞれ検討した。その結果、基本構成とし
て、負圧発生部材を収容すると共に大気との連通を得る
ための大気連通部を備えた第1収納室と該第1収納室に
対して連通するが実質的に密閉状態で第1収納室へ供給
するためのインクを直接収納するための第2収納室を持
つ構成がインクジェットの特性にとって重要な前提であ
ることに至った。
【0012】その一方で、本発明者達は、本発明の技術
分野とは異なる接触記録技術を検討することによって、
インクジェットプリント分野の技術的な特異性について
再検討することにした。一般に、記録媒体に接触して記
録を行う記録計器用ペンは、インク吸収性もあり保持性
もある記録芯に対してインク供給を行なうものであるか
ら、記録芯自体が大気にさらされていることを前提と
し、記録芯に直接接触する領域にはインクで過飽和状態
となっているインク含侵体を必須とする。つまり接触記
録技術は、インクジェット分野の技術内容とは根本的に
異なる。
【0013】調査したところ、特開昭57ー16385
号公報を見出した。この公報は、記録媒体に接触して記
録を行う記録芯(多孔質型インク吸収性芯)を用いるこ
とを前提とする記録計器用ペンを開示するが、課題とし
ているものは、記録芯自体からのインクあふれのみであ
った。
【0014】この公報は、下方の記録芯に接触する第1
吸液材と上方の大気連通口側にインクをわずかに吸収し
ているが第1吸液材に比べてインクを含みにくい第2吸
液材とを備え、記録芯を下方に突出させた中央室と、こ
の室の両側にインクを供給する密閉型インク収容室と、
必須の構成とする発明である。この構成によれば、周囲
温度の上昇によって密閉型インク収容室内の空気が膨張
して密閉型インク収容室内のインクが第1吸液材に至
り、第1吸液材が保持しきれなくなったインクを第2吸
液材が吸収することにより、記録芯からインクがあふれ
て落下することを防止できるとしている。さらに、この
公報は、2つの密閉型インク収容室の一方が空気だけに
なった時に、その空気の膨張を大気連通口側に逃がすた
めの一定幅の溝を、中央室と密閉型インク収容室との仕
切り壁とは異なる側面の最下端から最上端までにわたっ
て設けることも開示している。
【0015】本発明者達は、技術的には類似点の少ない
非接触記録のインクジェットヘッドに、このタンク構成
のみを適用することに着眼したところ、環境条件の変化
に伴って、大気連通口からのインクあふれという新たな
現象が確認された。しかも記録芯に直接接触する領域に
はインクで過飽和状態となっているインク含侵体である
第1吸液材は、負圧を発生することを必要としないため
にインクジェット技術にとっての共通性が見られないこ
とも確認できた。この新規な現象は、記録計器用ペンの
分野では認識されてはいず、負圧を安定したものにする
ための技術的示唆もこの分野からは得るものがなかっ
た。
【0016】また、上記公報の一定幅の溝は、空気と共
にインクを排出促進する機能もあるため、大気連通口か
らのインクあふれを一層促進してしまうことも確認でき
た。更に、両側のインク収容室からのインク消費は、同
等ではなく、先に一方のインク収容室のインクが無くな
ると、他方に大量のインクが残存しているにもかかわら
ず、インクジェット記録ができなくなってしまった。こ
れは、インク収容室のインクが無駄になり、根本的にイ
ンクジェット技術の目的に反する結果であった。この原
因は、第1吸液材内に空気が大量に入り込み、結果的に
インクの供給が出来なくなったためであった。
【0017】このような背景問題を解決した画期的なイ
ンクジェット用カートリッジを本発明出願人は先に発明
し出願している。これは、負圧発生部材を収容すると共
に大気との連通を得るための大気連通部を備えた第1収
納室と該第1収納室に対して連通するが実質的に密閉状
態で第1収納室へ供給するためのインクを直接収納する
ための第2収納室を持つ前提構成のカートリッジに、イ
ンクジェット用として有効に機能できる気液交換促進構
造といった構成を与える発明である。この構成によれ
ば、インクカートリッジの使用初期から使用終了までの
間の大半を負圧が実質上ほぼ一定にできるタンク構造体
であるために、高速記録にも対応可能な交換型インクカ
ートリッジおよびインクジェットヘッドとプリンタをも
提供できるものである。
【0018】一方、記録のためには、従来の上記文献で
は、第1にインクジェットヘッドから吐出されるインク
滴の構造変化を注目していないこと、第2にインクジェ
ットヘッド内におけるインクの状態変化と、飛翔中のイ
ンク滴が分離してサテライトやマイクロドットと呼ばれ
る主滴以外の微小なインク滴の発生と、記録媒体に対す
るインクの挙動と、の相互関係を考慮していないために
記録特性を確実にするためのインク特性や記録方法に明
確な解答を与えてはいない。
【0019】
【本発明の概要】本発明の主たる目的は、上記背景技術
に鑑み上記インクジェット用インクカートリッジ(イン
クタンク)として新規な上記第1、2収納室をもつカー
トリッジ構成及びインクジェットヘッドを介してインク
吐出して記録媒体にインク記録(染色も含まれる)する
最終ドット形状を安定化することによって、界面活性剤
(好ましくは非イオン型)の効果を記録媒体とインクと
のにじみ或は色境界の乱れを防止できる初期充填或は再
充填されるための充填用インクを組み合わせたインクタ
ンク、インクジェット用カートリッジを提供することに
ある。
【0020】本発明の別の目的は、従来の界面活性剤含
有インクに関して検討されていなかった環境条件を考慮
することによって、より画像品位が優れ、信頼性の高い
インクジェット記録方法を提供することにある。
【0021】本発明の他の目的は、上記新規インクカー
トリッジのインク室内のインクが負圧発生部材に供給さ
れている段階で形成される、負圧発生部材中の気体であ
る外気とインクとの気液界面の滑らかで安定した界面を
一層安定化でき、記録媒体上における記録性を向上でき
るインクジェットヘッド記録方法を提供することにあ
る。
【0022】本発明は、従来の技術的な見解を一新した
画期的な発明を、界面活性剤を含有する水性インクに対
しての該界面活性剤が臨界ミセル濃度(c.m.c.対
インク)未満である所定の含有率であって、該界面活性
剤を該所定含有率で純水に対して与えた時に該純水に対
する臨界ミセル濃度(c.m.c.対純水)より大とな
る該所定含有率で、該界面活性剤を含む水性インクがイ
ンクジェット記録ヘッドに与えられ、記録媒体に該イン
クを記録することを主たる特徴とする技術及びその関連
技術として提供するものである。
【0023】ここで、本発明インクジェット用カートリ
ッジに適用されている負圧発生部材のように、インク過
飽和状態ではない負圧発生部材を用いることを前提とす
るインクジェット用カートリッジは知られているが、こ
れに実質的に密閉状態のインク収容室を隣接させた構成
は知られていない。そのため、まず、本発明充填用イン
クが適用されるカートリッジ構成について、その特徴の
一部を以下に説明しておく。
【0024】保存状態や使用状態に関わらず、従来の技
術水準を一掃する技術観点として、上記前提構成に対し
て、負圧発生部材の該大気連通部近傍領域をインクを保
持していない領域とすることで、環境条件の変動に対し
て、インクカートリッジ内のインクが大気連通部から漏
れることを防止できる利点がある。特に、シール部材が
大気連通部を密閉している場合に対しては、シール部材
のはがれ防止効果もある。また、使用状態にあっては、
この領域は、大気がカートリッジ内に必要に応じた量が
効率よく供給でき、インクジェットカートリッジ内の負
圧変化を抑制する効果もある。この大気連通部近傍領域
は、全くインクによる濡れがないものであると、インク
自体の浸透速度をより減速させることができるので好ま
しいが、インクにより予め濡らした後にそのインクを除
去した領域としても良い。
【0025】また、本発明は、上記前提構成に対して、
上記微小連通部を形成する仕切り壁に対向する側に、イ
ンク供給用開口或は、供給管による負圧発生体の圧縮
(又は圧縮可能)領域を存在させる構成とすることで、
第2収納室のインクが負圧発生体内に安定した実質的な
インク供給路を確保でき、これをより安定させる構成と
して、インクカートリッジの下面に関して上記インク供
給用開口が上記微小連通部よりも上方に位置させること
を挙げることができる。尚、本発明で云う「供給管」
は、インクジェット特有の挿入管はもとより、カートリ
ッジに付設され負圧発生体を圧縮変形せしめている弁構
造や連結部材をも含むものである。この配置関係の作用
は、実質的なインク移動方向を一定化でき、第2収納室
のインクがすべて消費でき、この消費後も、第2収納室
内の空気が減圧下にあることを解消する方向に大気が仕
切り壁側から、対向する開口側に移動するように介在す
ることで、結果的に、負圧発生体内のインクを消費可能
にして、残存インクを減少できることにある。
【0026】特に、上記前提構成に対して、上記微小連
通部を形成する仕切り壁からこの壁に対向する側に向か
って、負圧発生体の供給管によって圧縮されない領域、
負圧発生体の供給管によって圧縮される領域を、この順
に有することで、圧縮されない領域には前述した1方向
のインク供給路が形成でき同様の効果が得られ、更に圧
縮領域のインク確保能力によって一層インク残量を減少
できる。
【0027】従って、本発明のより好ましい前提構成発
明は、上記列挙の3構成を満足するものとすることがで
きが、無論上記構成の単独もしくは任意の2構成の複合
は当然優れた効果が得られることが理解できよう。
【0028】一方、本発明前提構成のインクジェットカ
ートリッジは、操作者の手指に触れることになるが、通
常は不都合は発生しにくいが、強力に圧力を加えたりす
るとインクのみを収納する収納室は大きさにもよるが変
形しやすい。従って、この外圧による課題を解決する構
成として、微小連通部を構成する仕切り壁よりも間隙を
大きく開ける仕切り板をインクのみの収容室に設けるこ
とは好ましいものである。又、変形の観点から、これら
のカートリッジを樹脂で形成した場合には、インクのみ
の収容室の壁面厚さTiを0.8mm(図20の点G)
以上、負圧発生部材としてのスポンジ等を収納する収納
室の壁面厚さTsを1.3mm(図20の点J)以上と
することが好ましい。更には、壁面厚さTsは壁の厚さ
Tiの1.2倍以上3倍以下の範囲内にあることがより
好ましいものと判明した。
【0029】本発明前提構成のインクジェットプリンタ
として、上記本発明のカートリッジを装着したことに応
じて、自動的或は指導的にカートリッジ内からのインク
排出をヘッドを介して吸引手段による吸引或は吐出によ
って実行することは、負圧発生体内のインク状態をプリ
ント前に修正出来るので、カートリッジの放置状態に左
右されずに、カートリッジ本来の上記機能を利用するこ
とができる。
【0030】尚、上記前提構成における微小連通部の仕
切り壁までの高さは、負圧発生部材の平均孔径(好まし
くは微小連通部近傍の平均孔径)より大きく(実用上は
0.1mm以上)、5mm以下が適している。より安定
化を期待するのであれば、3mm以下が好ましい。又、
負圧発生部材の収納室の容積とインクのみの収容室の容
積の比は、1:1以上1:3以下の範囲内が実用上の最
適範囲として挙げることができる。
【0031】本発明が提供する最適発明の1つは、負圧
発生部材を収容すると共に大気との連通を得るための大
気連通部と記録ヘッドの供給管と連結されるインク供給
用の開口とを備えた第1収納室と、仕切り壁によって仕
切られ該仕切り壁によって構成される連通部のみを介し
て上記第1収納室に対して連通し該連通部を除き実質的
に密閉状態とされ前記第1収納室へ供給するためのイン
クを直接収納するための第2収納室と、を備え、上記第
1収納室及び前記第2収納室内に界面活性剤を含有する
水性インクに対しての該界面活性剤が臨界ミセル濃度
(c.m.c.対インク)未満であり、上記界面活性剤
を所定含有率で純水に対して与えた時に該純水に対する
臨界ミセル濃度(c.m.c.対純水)より大となる所
定の含有率で界面活性剤を含み、表面張力が30dyn
/cm以上50dyn/cm以下の範囲内の表面張力を
有する水性インクが初期充填或は再充填されて構成され
るインクタンクを用意する工程と、 上記記録ヘッドと
上記インクタンクとを連結し、上記インクタンクから上
記記録へ度に対してインクを供給する工程と、記録を実
行するために上記記録ヘッドから記録媒体上にインクを
吐出するために上記記録ヘッドを駆動する工程と、を有
するインクジェット記録方法である。この最適発明は、
上記請求項1のような主たる特徴技術による効果、即
ち、インクタンクカートリッジ内で安定した特性を呈
し、安定した供給条件で、ヘッド側に供給されたうえ
に、吐出したインク滴の吐出状態を安定化せしめ、記録
媒体上ではニジミを抑制して単ドット形状の安定化によ
る印字品位の向上を確実に達成でき、吐出回復性、高周
波数での吐出特性等をバランスよくすべて満足する効果
に、以下の効果を与えるものである。上記温度設定条件
T℃の温度下で、30dyne/cmを越える表面張力
は、使用状態におけるヘッド内インクの挙動をリフィル
や吐出に対してより機能を向上させ、上記{上記臨界ミ
セル濃度(c.m.c.対インク)+上記臨界ミセル濃
度(c.m.c.対純水)}/2以下の範囲内である界
面活性剤の所定含有率によって、変動粘性を極めてわず
かにし得、界面活性剤による効果を一層引き出し、イン
ク滴の吐出状態の変動を実質的になくすことができる。
特に、上記温度設定条件T℃における表面張力と界面活
性剤濃度との関係曲線に関して界面活性剤の濃度を決定
することは、使用環境の変動に対して効果的に機能でき
る状態を形成できる。
【0032】本発明が提供する別の最適発明の1つは、
界面活性剤を含有する水性インクに対しての該界面活性
剤が臨界ミセル濃度(c.m.c.対インク)未満で且
つミセル濃度(c.m.c.対インク)近傍のある所定
の含有率であって、該界面活性剤を該所定含有率で純水
に対して与えた時に該純水に対する臨界ミセル濃度
(c.m.c.対純水)より大となる該所定含有率で、
該界面活性剤を含む水性インクがインクジェット記録ヘ
ッドに与えられ、記録媒体上でインクに対しての該界面
活性剤が臨界ミセル濃度(c.m.c.対インク)以上
にして記録媒体に該水性インクを記録することを特徴と
するインクジェット記録方法である。この発明は、同様
に、上記主たる特徴技術による効果を満足し、記録媒体
上では、界面活性剤の機能を一層充実させることができ
るものである。
【0033】いずれにしても、界面活性剤の濃度につい
ては浸透促進という観点からはできる限り高濃度である
事が望まれるが、にじみ防止、ベタ均一性の保持等の観
点からは実用上は純水中での臨界ミセル濃度より大であ
ることが重要で、吐出特性の向上、単ドットの品位の向
上、回復動作の負荷軽減をめざす上ではインクに対して
の界面活性剤が臨界ミセル濃度(c.m.c.対イン
ク)より少量である事が重要である。
【0034】また、本発明の上記主たる特徴技術を満足
し、且つ複数色のインクを記録媒体に順に記録可能なカ
ラー記録方法であって、使用する複数色のインクは全て
上記界面活性剤を同等に上記所定含有率で満足している
ことは色境界ばかりでなく、積層された場合も、互いの
界面活性剤の移動がないために色相が所望の状態で得ら
れる効果がある。なお、本発明の他の特徴は、以下の実
施例の説明から理解できよう。
【0035】
【実施例】以下に本発明に係る実施例を図面に基づいて
説明する;図1乃至図6は、本発明の請求項1に係るイ
ンクカートリッジ即ち、本発明の前提構成に加えて、微
小連通部8をカートリッジの底面とで形成する仕切り壁
5に対向する負圧発生部材収容部の面にインク供給用の
開口部を設けた構成のインクカートリッジ実施例であ
る。
【0036】図1は第1実施例のインク容器の一部を破
断して示した模式斜視図であり、図2は第1実施例の模
式断面図である。図1及び図2に示すように、本実施例
のインクカートリッジ本体(インクタンク)1はインク
ジェット記録ヘッドと連結するための開口部2を微小連
通部としての間隙部8側に変位させた位置に有し、負圧
発生部材3を収容した負圧発生部材収容部(第1収納
室)4と該負圧発生部材収容部4に仕切り壁5を介して
隣接し、インクカートリッジ底部11で連通したインク
のみを収容するインク収容部6(第2収納室)とからな
る。
【0037】この構成により、大気は上記開口部2から
供給されることになるが、重要なことは、大気連通部の
構成よりも、インク収容部6内のインクが連通部8を介
してのみ、インクカートリッジ底部11に沿って開口部
2側へ確実に供給されることである。このインク供給に
伴って大気は、インク収容部6内のインクと入れ替わり
捕集されていく。
【0038】ここで、負圧発生部材収容部4の開口部近
傍の供給管によって圧縮変形可能な領域にある負圧発生
部材を、供給管によって圧縮変形せしめた状態について
説明する。図3は、本発明の交換型インクカートリッジ
にインクジェット記録ヘッドへインクを供給する供給管
としてのジョイント部材7が挿入され、負圧発生部材に
圧接してインクジェット記録装置が稼動可能な状態にな
ったときの模式断面図である。尚、ジョイント部材の端
部にはインクカートリッジ内のごみを排除するためにフ
ィルターが設置されている場合もある。
【0039】インクジェット記録装置が稼動すると、イ
ンクジェット記録ヘッドのオリフィスからインクが吐出
され交換型インクカートリッジにインク吸引力が発生す
る。インク9はこの吸引力によりインク収容部6から仕
切り壁端部とインクカートリッジ底部11との間隙部8
を通り、負圧発生部材収容部4へ、負圧発生部材3を通
ってジョイント部材7内に引き込まれインクジェット記
録ヘッドへ供給される。これにより間隙部8以外は密閉
しているインク収容部6の内部の圧力が低下し、インク
収容部6と負圧発生部材収容部4との間に圧力差を生じ
る。記録が継続するとその圧力差は上昇を続けるが、負
圧発生部材部はジョイント部材部とジョイント開放部と
の間に間隙10により大気に開放されているため、空気
は負圧発生部材を通って仕切り壁端部8とインクカート
リッジ底部11との間隙部8からインク収容部4に入
る。この時点でインク収容部6と負圧発生部材収容部4
との間の圧力差が解消される。インクジェット記録中は
この動作が繰り返され、ある一定の負圧がインクカート
リッジ内に得られる。また、インク収容部内のインク
は、インク収容部内の壁面に付着するインク以外はほぼ
全て使用できるためインク使用効率が向上する。
【0040】非記録時においては、負圧発生部材自身の
毛細管力(あるいはインク−負圧発生部材界面でのメニ
スカス力)などが発生され、特に、インク収容部内のイ
ンクのインクが消費され始めると、負圧発生部材収容部
内のインク保持状態はほぼ一定となり、インク収容部内
に回収された気体が実質的に負圧状態になっているため
に、カートリッジ内の圧力バランスが極めて安定し、イ
ンクジェット記録ヘッドからインクが漏れることを抑制
する。
【0041】よって、ジョイントするインクジェット記
録ヘッドに応じた負圧発生部材の選択及び負圧発生部材
収容部とインク収容部の割合設計をすれば図4に示した
構成なども可能となる。
【0042】尚、図19(A),(B)に示すように、
本発明の交換型インクカートリッジをカラーインクジェ
ット記録装置に対応するために各色(例えばブラック、
イエロー、マゼンタ、シアンの4色)のインクをそれぞ
れ個別の交換型インクカートリッジに収容して使用する
ことができる。また、図19(A)に示すように、個別
のインクカートリッジを1体化させて交換型インクカー
トリッジとしてもよく、あるいは、図19(B)のよう
に、使用頻度の高いブラックインク用の交換型インクカ
ートリッジと他のカラーインク1体化交換カートリッジ
を分離した交換型インクカートリッジとしてもよい。こ
れらの組み合わせはインクジェット装置に合わせて任意
である。
【0043】本発明の交換型インクカートリッジにおい
て、インクジェット記録ヘッドにおける負圧を制御する
ためには、負圧発生部材3の選定、形状、寸法はもとよ
り、仕切り壁端部8の形状、寸法、仕切り壁端部8とイ
ンクカートリッジ底部11との間隙8の形状、寸法、負
圧発生部材収容部4とインク収容部6の容積割合、ジョ
イント部材7の交換型インクカートリッジへの挿入量、
形状、寸法、フィルター12の形状、寸法、目の荒さ及
びインクの表面張力などを使用する条件に応じて最適化
することはより好ましい。
【0044】本発明で使用する負圧発生部材は、それ自
身、液体(インク)の自重及びわずかな振動に対しても
インクを保持する能力を有するものであれば従来公知の
部材が使用できる。例えば、繊維を網状に編込んだ綿状
体や連通孔を有する多孔質体などが挙げられる。インク
保持力及び負圧発生などが調整容易なポリウレタンフォ
ームなどのスポンジが好ましい。特に、フォームの場合
には、フォーム製造時に所望の多孔密度となるように調
整できるので好ましい。尚、フォームを熱圧縮処理をし
て更に多孔密度を調整した場合には、加熱による分解物
が発生し、インク物性を変化させ記録品位に悪影響を及
ぼす場合があるので洗浄などの処理が必要となる。ま
た、各種インクジェット記録装置に対応した交換型イン
クカートリッジを製造するためそれに応じた多孔密度の
フォームが要求されるが、熱圧縮を施していない特定の
セル数(1インチ当りの空孔の数)を持つフォーム材を
所望の寸法にカットし、負圧発生部材収容部に圧縮挿入
し、多孔密度、毛管力を調整することが好ましい。
【0045】上記例においては、ジョイント部材7とジ
ョイント開口部2とに間隙を設けてインクカートリッジ
外部から大気を取り入れる構成がなされているが、本構
成のみに限定されるものではなく、ジョイント部材及び
ジョイント開放部の構造、形状はいかなるものであって
もよい。負圧発生部材がスポンジのような多孔質部材の
場合には、図3(a)、(b)のようにジョイント部材
の挿入に対して多孔質部材のインクカートリッジ底部か
らの逃げを抑制し、且つ、フィルター部と負圧発生部材
3との圧接面を維持、確保するために、ジョイント部材
7の端部はジョイント部材挿入方向に対して任意の角度
(テーパー)を有することが好ましい。あまりジョイン
ト部材7の挿入量を大きく取る場合は、この先端のテー
パ部が負圧発生部材3に亀裂を招じさせる場合があるの
で、図3(c)の如く面構造とすることも良い。
【0046】また、大気の取入れ口とするためにジョイ
ント部材の外壁に大気導入用の凹凸を設けることも考え
られるが、図5のように開口部2の形状も溝(図5
(a))などの所望の形状即ち、図5(b)が長方形、
図5(c)が3角形といったように選定することが可能
である。開口部2の形状は、好ましくは、ジョイント部
材と開口部を密閉しない程度の間隙を開けるか、開口部
の下部(インクカートリッジ底部側)では、ジョイント
部材外周に近接し、開口部上部で開口しているような形
状である。
【0047】このように本発明の交換型インクカートリ
ッジは、ジョイント開口部と大気を取り入れる部分とを
兼ねることが可能となっており、より単純な構成とでき
る。また、ジョイント部材7の交換型インクカートリッ
ジへの挿入量は、上記ジョイント部材形状、負圧発生部
材、インクカートリッジの形状などを考慮して挿入時に
インク洩れなどを起こさず、記録時には途中でインク切
れなどを起こさないように負圧発生部材の圧縮領域を設
定することは好ましい。
【0048】以上の実施例に対して、ジョイント開口部
とは別に大気との連通孔を負圧発生部材収容部側に設け
ることは、本発明のインクを保持していない負圧発生部
材領域を大気連通部近傍に設ける構成を採用するために
も有効であり、後述するインクジェット記録装置内での
環境変化に対する信頼性向上に好適な手段となる。
【0049】仕切り壁端部とインクカートリッジ底部と
の間隙8の形状、寸法についても任意であるが、余りに
も狭いとインクとのメニスカス力が強くなり、ジョイン
ト開口部からのインク洩れは抑制できるが、負圧発生部
材収容部へのインク供給に力を要し、使用時にインク切
れを発生する可能性がある。また、余りにも広いと逆の
現象が発生する可能性があるため、微小連通部の仕切り
壁までの高さは、負圧発生部材の平均孔径(好ましくは
微小連通部近傍の平均孔径)より大きく(実用上は0.
1mm以上)、5mm以下が適している。より安定化を
期待するのであれば、3mm以下が好ましい。
【0050】図7は、間隙8の形状の数例を示してい
る。図7(a)は、先の実施例で使用され、本発明にと
って最も安定した構成形状であり、一定高さで、カート
リッジ全幅にわたって設けられたものである。図7
(b),(c)は、カートリッジ全幅の一部のみで連通
部を形成し、かつ蛇行したものである。この構成は、カ
ートリッジ全体の容積が大きい場合に有効ではあるが通
常プリンタでは低い使用のものである。図7(d)は、
トンネル状の連通部を複数有するもので、インクがカー
トリッジ内面側に移動しやすく、気体ーインク交換用の
気体導入を集中化できる。図7(e),(f)は、図7
(a)の構成に加えて、インク収納室側の仕切り壁に上
下方向にわたって凹部を形成したものである。そのた
め、仕切り壁下端に至った気体は相対的にその凹部で効
果的にインク収納室内に導入され、気体の回収効率を向
上できる。
【0051】尚、この間隙8もまた、ジョイント開口部
の位置を考慮して決定することがより好ましい条件とな
る。図10(a)及び(b)によって説明すると、
(a)は、ジョイント開口部下端より仕切り壁端部の方
が低い位置にあり、負圧発生部材中に保持されたインク
はジョイント開口部下端より下であるためインク洩れに
対して抑制効果があり好ましい。一方、(b)は、ジョ
イント開口部下端より仕切り壁端部の方が高い位置にあ
り、負圧発生部材中に保持されたインクはジョイント開
口部下端より上であるためインク洩れに対して抑制効果
が少なく好ましくない。
【0052】したがって、仕切り壁端部の位置をジョイ
ント開口部下端と同じか、低い位置として間隙8の寸法
を設計することは本発明の効果をより安定化できる利点
がある。交換インクカートリッジの形状、寸法にもよる
が、最大範囲で0.1mm以上20mm以下の高さの範
囲内から間隙8の高さを選定することで実用化でき、よ
り好ましくは0.5から5mm程度である。また、仕切
り壁端部の形状は、上述のジョイント開口部との位置を
考慮していればいかなる形状をしていてもよいが、形状
例としては、個々の説明は省略するが、図8(a)〜
(h)に示す如くである。
【0053】さらに、仕切り壁5の端部と負圧発生部材
3との境界部も種々の構造関係が考えられる。これを表
示したものが図9である。図9(a)から図9(d)
は、仕切り壁端部により負圧発生部材が圧縮されておら
ず、負圧発生部材の密度を局部的に高めることがないの
で、インクの流通及び空気の流通が比較的速やかとな
り、高速記録やカラー記録の場合に好ましい。一方、図
9(e)、(f)は、仕切り壁端部により負圧発生部材
3が圧縮されおり、部材3の密度が高くなるためインク
の流通及び空気の流通に抵抗を生じるものの、わずかな
環境変動に対してはインク洩れなどの障害を抑制でき
る。よって、これらの選択は、インクジェット記録装置
の種類や使用する環境条件を考慮して設計すればよい。
【0054】負圧発生部材収容部4とインク収容部6の
容積割合は、インクジェット記録装置の種類や使用され
る環境条件などを考慮して決定する必要がある。また、
使用する負圧発生部材3との関連も重要となる。インク
の使用効率を向上するためには、インク収容部6の容積
を増やすことが好ましく、その際には、負圧発生力の高
い(スポンジでいえば圧縮率の高い)負圧発生部材3を
使用することが有効となる。したがって、インク収容部
の容積割合を増加するに伴って負圧発生部材3の負圧発
生力を増加させることを注意すれば、負圧発生部材3の
収容部4の容積とインクのみの収容部6との容積の比
は、1:1以上1:3以下の範囲内が実用上の最適範囲
として挙げることができる。
【0055】フィルター11の形状、寸法、目の荒さ
は、インクジェット記録装置の種類によって任意に設定
できるが、インクカートリッジからのごみの混入を防止
し記録ヘッドのノズルを詰まらせないためにもオリフィ
スの径よりも小さい目の荒さにすることが好ましい。
【0056】本発明の交換型インクカートリッジへの充
填量は、インクカートリッジ内容積を限度として任意で
あるが、交換型インクカートリッジ開封直後の負圧を維
持するためにインク収容部6へは容積限度迄充填しても
よいが、負圧発生部材部へのインク充填量は負圧発生部
材のインク保持力の限界以下で設定することが好まし
い。尚、ここでインク保持力とは、負圧発生部材3にイ
ンクを含浸させた際の部材単独でインクを保持できる能
力をさすものである。
【0057】密閉系のインク収容部6を持つインクカー
トリッジにおいては、インクジェット記録装置内に装填
された状態での外部環境変化(温度上昇、或は気圧低
下)に対しては、インク収容部の空気膨張により(イン
クの膨張はもある)インク収容部に残存しているインク
をインクカートリッジ外へ押し出し、インク漏れ発生の
可能性がある。しかしながら、本発明の交換型インクカ
ートリッジにおいては、最悪想定される環境状態に応じ
た密閉系インク収容部6の空気膨張体積(僅かではある
がインク膨張分も含む)を予想し、それにともなうイン
ク収容部からのインク移動量分を負圧発生部材収容部に
あらかじめ持たせることが好ましい。
【0058】この際、ジョイント開口部以外に大気連通
孔を負圧発生部材収容部側に設けることは図 10
(c)(d)に示すように、インク収容室内の空気の膨
張によってインク室内から負圧発生部材内に移動したイ
ンクを大気連通側へ案内することができるので、非常に
有効である。尚、大気連通孔の設置位置は、負圧発生部
材収容部側のジョイント開口部より上部ならば特に指定
はないが、環境変化時の負圧発生部材中のインクの流れ
をジョイント開口部から離すために、ジョイント開口部
から遠い位置にあるのが好ましい。また、大気連通孔の
数及び形状、大きさなどはインクの蒸発を考慮して任意
に設定することができる。
【0059】インクカートリッジ単独の物流時において
は、ジョイント開口部及び又は、大気連通孔をシール材
などで密閉してインクの蒸発やインクカートリッジ内の
空気膨張に備えることが好ましい。シール材としては、
包装分野においてバリヤー材と称される単体層のバリヤ
ー及び数層のプラスチックフィルムの複合化及びこれら
と紙、布などの補強材またアルミニウム箔などを複合化
した複合化バリヤー材を使用することが好ましい。イン
クカートリッジ本体材質と同様な材質をバリヤー材の接
着層とし、熱などで溶着することによって密閉性を上げ
ることがより好ましい。
【0060】また、インクカートリッジからのインクの
蒸発或は外部大気からの空気の流入を抑制するために
は、インクカートリッジを挿入後は包材内の空気を脱気
してから密閉する包装形態をとれば効果的である。包材
としては、気体透過度及び液体透過度を考慮し、上記シ
ール材同様バリヤー材から選択することが好ましい。上
述のような包装形態を選択することによってインクカー
トリッジ単独の物流は、インク洩れなどもなく非常に信
頼性の高いものとなる。
【0061】インクカートリッジ本体材料は、従来成形
品に用いられるいかなる材料であってもよいが、インク
ジェット用インクへの影響がないような材料或は影響が
ないように処理された部材から選択する必要がある。ま
た、インクカートリッジの生産性を考慮することも必要
となる。例えば、インクカートリッジ本体をインクカー
トリッジ底部11部分とその上部部分とに分割して樹脂
材料にてそれぞれを一体成形し、負圧発生部材を挿入
後、インクカートリッジ底部11部分とその上部部分を
溶着してインクカートリッジ本体を製造することができ
る。樹脂材料に透明或は半透明なものを選択すればイン
ク収容部のインクはインクカートリッジ外部から視認す
ることができるのでインクカートリッジの取り替え時期
を目視にて判断することができる。また、上記シール材
などの溶着を容易にするために図の酔うな凸部を設ける
ことが好ましい。更に、インクカートリッジ本体外面に
シボなどの加工を施すこともデザイン上好ましい。
【0062】インクの充填には加圧法及び減圧法いずれ
もが使用できる。尚、インクの充填にタンク本体のいず
れかにインク充填口を設けることは他のインクカートリ
ッジ開口部を汚すことがないので好ましい。インク充填
後のインク充填口は、プラスチック或は金属材料にて栓
することが好ましい。
【0063】交換型インクカートリッジの構成は及び形
状は本発明の範囲から逸脱することなく各種の変形を行
うことができる。以上の説明のように、本発明の交換型
インクカートリッジは、単独の物流時にも高い信頼性を
維持し、簡易な構造でインクの残量検知可能なインク使
用効率の高い交換型インクカートリッジとなる。
【0064】また、記録時及び非記録時においても適度
の負圧を使用初期から使用終了までの間維持して高速記
録に対応し、インクジェット記録装置の使用環境条件に
おいてもインク漏れの無い交換型インクカートリッジと
なる。更に、交換型インクカートリッジの取り扱い性が
良好で、インクジェット記録装置への脱着時においても
インク漏れなどがなく、インクジェット記録装置への装
着誤動作のない交換型インクカートリッジとなる。
【0065】上述した、本発明充填用インクが充填され
るか或は充填されているインクジェット用カートリッジ
は、上述した各構成のそれぞれの利点を有するものであ
る。本発明は、これらの利点を、一層確実にし、インク
ジェットヘッドを介してインク吐出した際に、記録媒体
にインク記録(染色も含まれる)する最終ドット形状を
安定化することによって、界面活性剤(好ましくは非イ
オン型)の効果を記録媒体とインクとのにじみ或は色境
界の乱れを防止できるインクとして、界面活性剤を含有
する水性インクに対しての該界面活性剤が臨界ミセル濃
度(c.m.c.対インク)未満である所定の含有率で
あって、該界面活性剤を該所定含有率で純水に対して与
えた時に該純水に対する臨界ミセル濃度(c.m.c.
対純水)より大となる該所定含有率で、該界面活性剤を
含む水性インクが初期充填、或は再充填されるか、充填
されている。
【0066】ここで、本発明インクの基本的な界面活性
剤の臨界ミセル濃度の測定について図38を用いて説明
する。臨界ミセル濃度の判定は、界面活性剤の濃度のみ
を変化させてその他の組成物を一定としたインクを作成
し、表面張力測定機(協和界面科学(株)製 商品名:
サーフエイス テンションメータCBVP−A3)によ
って表面張力の測定を行い、界面活性剤の濃度をそれ以
上増加させても表面張力が低下しない最小濃度を臨界ミ
セルの濃度とした。また、同様の測定を純水中での測定
を行い臨界ミセル濃度を測定した。
【0067】表面張力によって測定された臨界ミセル濃
度の測定結果を図38に示す。図中の純水中で測定され
た臨界ミセル濃度c.m.c.(w)と、インク組成中
で測定された臨界ミセル濃度c.m.c.(i)とは図
示のごとく若干の差を生ずる。界面活性剤の、純水中で
の臨界ミセル濃度とインク中での臨界ミセル濃度に差が
生ずる原因は以下のようなメカニズムによると推測され
る。
【0068】インク中には発色のための染料、または顔
料等の発色剤が添加されており、また保存性向上、固着
防止等のためにさまざまな添加剤が加えられる。これら
の染料および添加剤の大部分は溶液内に拡散しているが
ある確率で気液界面、気固界面に存在する。このためイ
ンク組成中では液体−気体の界面、液体−固体の界面は
純水中とは異なり、染料、添加剤を分布した状態になっ
ており、純水中ではインク組成中に比較して低濃度で臨
界ミセル濃度に達するが、インク組成中では、活性剤が
表面に配向する際、これら界面に存在する染料、添加剤
の表面にも純水中とは異なった状態で配向しながら表面
張力は低下し続ける。また一部の界面活性剤は界面同様
に溶液中に存在する染料、添加剤等に吸着され、消費さ
れる。
【0069】以上のように、界面または溶液中に存在す
る染料、添加剤による界面の不均一さを解消するために
界面活性剤が使用されてしまうため、インク組成中の臨
界ミセル濃度は純水中の臨界ミセル濃度よりも高濃度に
なるものと推測される。
【0070】しかし、図38の界面活性剤が低濃度の場
合の極端な表面張力の低下は、純粋の場合と同様に発生
している。これは、添加された界面活性剤が溶液中に溶
解し染料に配向する場合、または表面の染料、添加剤に
配向して消費される場合もあるが、気液界面に配向し表
面張力を低下させる機能は十分に果たしていることを示
している。すなわち、界面活性剤が低濃度の領域におい
ては、純水中と同様の現象によって、気液表面の界面活
性剤が表面張力を低下させていることがわかる。
【0071】また、界面活性剤の濃度が水の臨界ミセル
濃度を超えたあたりでインク中表面張力低下がやや緩や
かになる。これは、界面活性剤が気液界面に十分に配向
して、表面張力がほぼ限界まで低下していることを意味
していると考えられる。この変曲点の後から界面活性剤
がインク組成中で自己ミセルを作り始める点まで、すな
わち粘度がもはやこれ以上低下しない点(インク組成で
のc.m.c.)までの粘度低下の挙動は、以下のよう
に説明される。すなわち、表面をほとんど覆いつくして
表面に配向しきれなくなった界面活性剤が、インク中の
染料、添加剤に配向する一方で、表面に存在する染料、
添加剤にも配向してゆき表面状態の不均一を解消する。
このような現象に基づいて、変曲点以降は徐々に表面張
力が低下するものと思われる。
【0072】以上説明したように、浸透力向上のためイ
ンクに添加される界面活性剤は水の臨界ミセル濃度より
も大となる添加量であれば十分な浸透性能を得られると
いう結論に達した。
【0073】次に、界面活性剤の濃度が印字品位につい
て及ぼす影響を図39に概念的に示した。図中でここで
は印字品位中もっとも大きく差のでる「境界にじみ」に
関して示している。上記したようにインク組成中であっ
てもインク表面には純水の臨界ミセル濃度よりも高濃度
であれば界面には活性剤が配向していると考えられるた
め、にじみ防止に関しては図中c.m.c.(w)より
大であれば、十分な効果が得られている。
【0074】また、界面活性剤濃度がインクに対してそ
の重量%を増加していくと、徐々にインク粘度は上昇し
ている。特に、インクの臨界ミセル濃度c.m.c.
(i)以上でそれは顕著である。従って、インクの臨界
ミセル濃度c.m.c.(i)以上で前記背景技術で説
明した現象が顕著になることが裏づけられる。このよう
に、インクの臨界ミセル濃度c.m.c.(i)以上に
おけるインク粘度は、上述したように吐出されたインク
滴の状態を悪化させ、画像の劣化ばかりでなくインクジ
ェットヘッドの回復性を大きく左右するものである。
【0075】図38において、界面活性剤濃度ー表面張
力曲線が、界面活性剤を含有する水性インクに対しての
該界面活性剤が臨界ミセル濃度(c.m.c.対イン
ク)となるポイントc.m.c.(i)が(3.2Wt
%,28dyne/cm)とし、該界面活性剤を該所定
含有率で純水に対して与えた時に該純水に対する臨界ミ
セル濃度(c.m.c.対純水)となるポイントc.
m.c.(w)が(0.7Wt%,15dyne/c
m)とする。この時、図38中の界面活性剤濃度E(1
Wt%)におけるインクA,BにおけるポイントC1,
C2は、いずれも30dyne/cm以上であって、同
濃度であるし、図から理解できるように{上記臨界ミセ
ル濃度(c.m.c.対インク)+上記臨界ミセル濃度
(c.m.c.対純水)}/2以下の範囲内である。従
って、ポイントC1,C2におけるインクA,Bのみを
使用したカラー記録画像は、上記説明で明らかな本発明
の好ましい実施例となる。
【0076】また、図38中の界面活性剤濃度Fにおけ
るインクAにおけるポイントDは、インクの臨界ミセル
濃度c.m.c.(i)の近傍であるため、記録環境を
200度Cに温度調整された加熱手段によって形成され
た環境下で、吐出後その特性変化を生じ得て、記録媒体
上で、実質的にインクの臨界ミセル濃度c.m.c.
(i)以上の挙動を示すことができる。
【0077】次に本発明に係るカートリッジ充填用イン
クの実際の例を用いて具体的に説明する; (実施例1)以下、処方の単位については、特に断らな
い限り重量%を使用するものとする。
【0078】 実施例1 比較例1 比較例2 溶剤:グリセリン 5.0 5.0 5.0 チオジグリコール 5.0 5.0 5.0 界面活性剤:アセチレングリコール エチレンオキサイド付加物 1.0 0.5 5.0 (商品名:アセチレノールEH) 安定化剤:尿素 5.0 5.0 5.0 染料:黒/C.I.フードブラック2 4.0 4.0 4.0 イエロー/C.I.ダイレクトイエロー86 2.5 2.5 2.5 シアン/C.I.ダイレクトブルー199 3.5 3.5 3.5 マゼンタ/C.I.ダイレクトレッド227 3.0 3.0 3.0 残量:水 上記の処方によって混合した4色のインクをそれぞれを
室温で2時間撹搬後、孔径0.22μmのフィルター
(住友電気工業(株)商品名:フロロポアフィルター)
でろ過後、試験に供した。前記のインクを用いて、印字
を行った場合のにじみの良否、および放置時間にに対す
る許容度を評価した。
【0079】実施例1のインクは、本発明の趣旨による
インク組成を持つもので、界面活性剤の濃度を該活性剤
の純水中での臨界ミセル濃度以上、該活性剤の上記イン
ク組成中での臨界ミセル濃度以下としている。比較例1
のインクは、本発明の効果を示すため比較対象として用
いたインクであり界面活性剤の濃度は、純水中での臨界
ミセル濃度以下である。比較例2のインクも比較例1と
同様に、本発明の効果を示すため比較対象として用いた
インクであり、界面活性剤の濃度は上記組成のインク中
での界面活性剤の臨界ミセル濃度以上を含有させてい
る。
【0080】上記インクについて境界にじみ、放置可能
な時間等について評価を行った。印字品位等の評価には
市販コピー紙(キヤノン(株)NPドライ紙)を使用
し、印字本体には特に断らない限り加熱発泡によってイ
ンクを吐出するカラーインクジェットプリンター(キヤ
ノン(株)商品名:BJC−820J)を使用した。
【0081】1)ドット形状 上記インクを使用して、300ドットが互いに接触しな
いように印字し、室温にて24時間乾燥させた後、顕微
鏡で不定形、または不規則なニジミが発生したドットの
数を数え、そのパーセンテージを下記基準に従って評価
した。
【0082】○:10%以下 △:11〜50% ×:51%以上 2)放置可能時間による回復性の評価 実際に印字を行う場合全ノズルが均一に使用されるわけ
ではなく、 一部のノズルは印字時間中に長時間にわた
って吐出動作が行われないままになる場合がある。この
ような不使用ノズルはノズル先端からインク溶媒の蒸
発、増粘が起こり、ノズル内のインクが蒸発したインク
で閉塞をされた状態となり、ヨレやショボ印字の原因と
なる。どの程度の放置時間で印字不良が発生するかは、
吐出圧力、開口面積等がヘッドによって異なるため一概
に規定するのは困難で有るが、同一ヘッドの場合は環境
および使用するインクに依存する傾向が強い。すなわち
高粘度の不揮発分を相当量含むインクでは溶媒の蒸発と
ともに急激に増粘し吐出不良を引き起こし易く、高粘度
の添加剤は極力少量に抑える必要がある。一般には、上
記のような印字不良を防止するために、印字中に一定の
タイミングで全ノズル、または不使用ノズルにたいして
吐出動作を行い回復を行うが、このような回復動作を印
字中頻繁に行う事は印字速度の低下、インク消費量の増
加を伴うため極力避ける必要がある。このため、実際に
使用されるインク、ヘッドの組み合わせでどの程度の間
隔で以上述べた吐出回復動作が必要かを評価する必要が
ある。
【0083】まず、各インクをタンク一体型インクジェ
ットカートリッジ(BC−01、キヤノン製)に充填
し、低温低湿環境下(気温15℃、湿度10%)に十分
なじませたのち、プリンターにセットし、全ノズル吐出
による第一の印字を行い、その後所定時間印字を中断
し、キャップを行わない状態で待機させ、その後再び第
2の印字を行う。中断時間を変化させて、目視による印
字不良が発生しない最大の時間を吐出による回復動作が
必要となる時間として評価に用いた。評価については以
下の基準に従った。評価結果は表1に示した。
【0084】○:60秒以上 △:30秒〜60秒 ×:30秒以下 3)異色間にじみ 異なる色が隣接する図40に示すようなカラーサンプル
を印字し、1度の走査で図に示した幅Aの領域を印字
し、異色間でのにじみを観察した。使用した色は、図示
の通り、黒、シアン、マゼンタ、イエロー、およびシア
ン、マゼンタ、イエローのうち2色を重ね打ちすること
でつくられるレッド、ブルー、グリーンの7色である。
【0085】○:すべての境界で異色間にじみが観察さ
れない △:インクの付着量の多いレッド、グリーン、ブルーの
境界でにじみが観察 ×:ほとんどすべての境界で異色間にじみが観察される 4)ベタの均一性 インク打ち込み量100%の濃度でベタ印字を行った部
分について色の均一性を目視により判定した。
【0086】○:均一でムラがみられない △:紙繊維の密なところで色ムラが目立つ ×:全面にわたって色ムラが目立つ 以上の評価の結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】表1に示したように、にじみ、均一性、単
ドット形状に関しては純水の臨界ミセル濃度以上の界面
活性剤を含有する実施例1、および比較例2では浸透性
向上によるにじみ防止の効果が発揮されている。ただ
し、実施例1のインクを使用した印字物よりも比較例2
のインクを使用した印字物の方が、若干にじみは少な
く、また均一性も多少良いようである。ただし、比較例
1に対して実施例1、比較例2では格段ににじみ、均一
性が向上している事、実施例1と比較例2での比較では
差はわずかである事、実施例1のレベルで実用上問題の
無いレベルである事から同等であると判断した。
【0089】また、単ドットの形状に関しては比較例2
の場合、主滴の吐出に際して発生してしまう副次液滴
(サテライト)の発生がみられるため実施例1の場合に
比較して不良が増加している。
【0090】一方、界面活性剤をその活性剤の純水中で
の臨界ミセル濃度程度以下しか含まない比較例1では浸
透性が不十分であるため、異色境界上に激しいにじみを
生じている。
【0091】また界面活性剤を、その活性剤のインク中
での臨界ミセル濃度以上含んだ比較例2では回復性が悪
く、実施例1、及び、比較例1と比べて吐出特性が悪い
ことがわかる。
【0092】以上のように、本実施例で使用したインク
を使用した印刷装置では実用上、十分な画質と、放置可
能時間(回復性)を有している。
【0093】(実施例2)本実施例以下はインク中での
臨界ミセル濃度以下の界面活性剤を含有したインクを使
用する場合にインクの臨界ミセル濃度に極近い濃度の界
面活性剤を使用する事によって、インクの飛翔中または
定着時において溶媒、水等の蒸発によってインクが濃縮
され、インク中の界面活性剤濃度がインク中の臨界ミセ
ル濃度を超える様な構成にしたものである。このような
構成にする事によってヘッド内では吐出特性に関して有
利な界面活性剤濃度がインク中での臨界ミセル濃度以下
となっているインクとして取り扱う事が可能である。そ
して、インク浸透時には臨界ミセル濃度以上となってい
るため、にじみ、ドット品位等の向上がみられる。
【0094】界面活性剤の濃度変化を示すグラフ図45
により本実施例を説明する。
【0095】まず、印字開始に当たって水分の蒸発促進
の為、ヘッド内は温調され所望の温度に引き上げられ
る。はじめ図45に示された[Ci]の濃度で吐出され
たインクは印刷媒体面に到達するまでに水分の蒸発によ
り図45の濃度[Ck]まで濃縮される。次に印刷媒体
面到達後、活性剤濃度は印刷媒体面上の水分の蒸発によ
って濃縮され、ついには臨界ミセル濃度[Cc.m.
c]に達する。この時点で印刷媒体面上のインクの表面
張力は極小点に達し、吸収速度は極大となる。その後、
濃度最終濃度[Ce]に達し、ほぼ同時にインク滴の媒
体内への吸収が終了する。
【0096】このヘッドでの吐出特性を図46に示す。
この図で分かるように、活性剤濃度の低い領域から活性
剤濃度が上がるにつれ表面張力の低下と粘度の上昇によ
って急激にリフィル周波数が低下する。また[Cc.
m.c]以降でも界面活性剤濃度が上昇すると増粘によ
るリフィル周波数の低下が見られる。
【0097】以下に、実際ににじみ、リフィル特性につ
いて試験を行った例を示す。インクとしては以下のよう
な処方のものを使用した。処方の単位については特に断
らない限り重量%を使用するものとする。
【0098】 実施例2 比較例3 溶剤:グリセリン 7.5 7.5 チオジグリコール 7.5 7.5 界面活性剤:テトラデシル硫酸ナトリウム *0.055 0.065 安定化剤:尿素 7.5 7.5 染料:黒/C.I.フードブラック2 4.0 4.0 イエロー/C.I.ダイレクトイエロー86 2.5 2.5 シアン/C.I.ダイレクトブルー199 3.5 3.5 マゼンタ/C.I.ダイレクトレッド227 3.5 3.5 残量:水 上記の処方によって混合した4色のインクをそれぞれを
室温で2時間撹搬後、孔径0.22μmのフィルター
(住友電気工業(株)商品名:フロロポアフィルター)
でろ過後、試験に供した。前記のインクを用いて、ヘッ
ドの駆動周波数を変化させ、印字を行った場合のにじみ
の良否、および印字の良否によって評価した。なお、評
価方法は以下に示したリフィル以外は実施例1の基準に
したがった。
【0099】・リフィル 印字時のノズルに対するインクのリフィルの良否を印字
状態から判断した。
【0100】○:100%ベタ印字でも問題なく印字可
能 △:100%ベタ印字でリフィルの不足によって、ヨレ
・かすれ・不吐等を生じる ×:100%ベタ印字でリフィルしなくなり、全ノズル
が吐出しなくなる 実施例の効果をより明確にするため、比較例として界面
活性剤濃度をインク中の臨界ミセル濃度以上添加したも
のを併記した(比較例3)。評価結果は、表2に示し
た。
【0101】この表から分かる通り、比較例3では5.
5kHzを越えるとリフィルが間に合わなくなっている
のに比べ実施例2の場合は6.0kHzであってもリフ
ィル可能であった。にじみに関しては実施例2、比較例
3とも十分な浸透速度を持っているため、ほとんど差は
みられない。
【0102】上記実施例2の組成の場合、使用している
界面活性剤のインク中での臨界ミセル濃度が低濃度でか
つ、インク中での臨界ミセル濃度以下から以上への変化
が非常にシャープに現れる。従って、臨界ミセル濃度以
下から以上への転移を紙面到達までの時間と紙面上での
水分の蒸発だけで行うことができ、補助のための溶媒を
必要としない利点がある。
【0103】(実施例3)実施例3の場合も、実施例2
と同様に印字開始に当たって水分および低沸点溶剤の蒸
発促進の為、ヘッド内は温調され所望の温度に引き上げ
られる。以下実施例2の場合と同様に水分の蒸発が進行
するが、本実施例で使用した界面活性剤の場合、その臨
界ミセル濃度が高濃度である。この場合、紙面到達まで
の時間と紙面上での水の蒸発だけではインク中での臨界
ミセル濃度以下から以上への転移を完全に行うことがで
きない。このため、低沸点溶剤であるイソプロピルアル
コール溶剤を添加し、このイソプロピルアルコールの蒸
発および媒体中へ浸透により濃縮促進を行っている。
【0104】すなわち、印刷媒体面到達時は、インク滴
は加熱による水分および低沸点溶剤の蒸発、吐出・着弾
による急激な表面状態の変化などにより、印刷媒体面へ
の到達時には内部および境界面の界面活性剤/水系が平
衡状態に達しておらず不安定な溶液の状態である。した
がってインク本来の紙への浸透力を有していないと考え
られる。この過渡的な状態から、低沸点の溶媒は該イン
ク中より蒸発してゆき活性剤の濃度が高くなる。この様
な現象のためにインク滴は着弾後に印字媒体上でインク
中での臨界ミセル濃度以上となり紙に対する浸透性は向
上する。
【0105】また本実施例の場合、印刷媒体に対して表
面張力の小さい、低粘度の溶剤が印刷媒体面に吸収され
印刷媒体面上のインクの界面活性剤濃度は上昇するとい
う現象も平行して発生しているのではないかと推測され
る。以上に述べた現象を利用して実施例2に比べて大き
な濃度変化を行わせている。比較例5に実施例3と同様
の処方で低粘度の吸収性溶剤を添加しない場合を示し
た。この比較例5の6.5kHz駆動時にみられるよう
に、イソプロピルアルコールを抜いた場合は高周波駆動
時にややにじみが発生し易くなる。
【0106】このように、低沸点・低粘度でかつ紙に対
する親和性の良い溶剤を添加し紙面に一部の溶剤を蒸
発、吸着させ、紙面上のインクの濃度を上昇させること
により、実施例2と同様の効果を出すことが可能とな
る。
【0107】なお溶剤の中には界面活性剤と同様に働
き、粘度を上昇させ、表面張力を低下させるものがあ
る。これらの溶剤は、インクのヘッド内での挙動に影響
を及ぼすため望ましくない。従って添加する溶剤として
は粘度上昇の少ないもの、表面張力を大きく低下させな
いものが望ましい。
【0108】 実施例3 比較例4 比較例5 溶剤:グリセリン 5.0 5.0 5.0 チオジグリコール 7.5 7.5 7.5 低沸点溶剤:イソプロピルアルコール *5.0 *5.0 *0.0 安定化剤:尿素 7.5 7.5 7.5 界面活性剤:アセチレングリコール エチレンオキサイド付加物 *1.9 *4.0 *1.9 構造式[4]において(n+m=10) 染料:黒/C.I.フードブラック2 3.8 3.8 3.8 イエロー/C.I.ダイレクトイエロー86 2.5 2.5 2.5 シアン/C.I.ダイレクトブルー199 3.5 3.5 3.5 マゼンタ/C.I.ダイレクトレッド227 3.5 3.5 3.5 残量:水 評価結果を表2示す。
【0109】
【表2】
【0110】実施例2と同様にしてにじみ、リフィル周
波数についての評価を行った結果を表−2に示す。実施
例の効果をより明確にするため、比較例として界面活性
剤濃度を臨界ミセル濃度以上添加した比較例4を併記し
た。この表から、比較例4では5.5kHzではリフィ
ルが間に合っておらず、実施例3の場合は6.0kHz
であってもリフィル特性は良好である。
【0111】更に、本発明充填用インクが充填される
か、或は充填されているインクジェット用カートリッジ
の好ましい構成例を図11乃至図37を用いて説明す
る。
【0112】図11は、本発明のカートリッジとしての
インクタンク製造方法を示すもので、後述する仕切り板
61と仕切り壁5を介して2つの収納室用凹部をなす壁
部とを備えたカートリッジ本体(断面斜線:左斜め下
向)に対して、負圧発生部材としての吸収体3を開口部
2側の凹部内に挿入した後、蓋部材としての底部材11
で一体化処理した構成を示している。この図11ではさ
らに、インクタンク1に記録ヘッドHDを装着した状態
を示す一部破断概略図である。インクタンクは、仕切り
壁5によって2つの部屋に区切られた容器に対してイン
クタンクの底部を構成する平板の底部材11で蓋をする
ことで構成される。このように蓋をするという簡単な構
成で容器の仕切り壁5の先端との同じ微少連通路8を形
成できる。尚、大気連通部10は、上記開口部2が設け
られた面と同一面で、上方部位に位置している。
【0113】一方、ヘッドは、供給管としてのジョイン
ト部7がインクタンクの開口部に挿入されてとりつけら
れ、ジョイント部7は図中上方部分が下方部より前方に
出た斜め構造をしている。そして、さらにジョイント内
部のインク流路は上方に向って開いたホーン構造をして
いる。このような構造とすることで、吸収体からのイン
クを良好にヘッド側に導入することができる。
【0114】インクジェット記録装置は、ノズル73の
吐出口71からインクの吐出を行わせるために利用され
るエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段として
の発熱素子72を備え、前記熱エネルギーによりインク
の状態変化を生起させる方式の記録ヘッドHDを有する
記録装置で、上記インク供給性の安定化効果によって、
一層、特にカラー記録にとって、記録高密度化、高精細
化が達成できる。
【0115】以上説明したように、本発明の交換型イン
クカートリッジは、単独の物流時にも高い信頼性を維持
し、簡易な構造でインクの残量検知可能なインク使用効
率の高い交換型インクカートリッジとなる。
【0116】また、記録時及び非記録時においても適度
の負圧を使用初期から使用終了までの間維持して高速記
録に対応し、インクジェット記録装置の使用環境条件に
おいてもインク漏れのない交換型インクカートリッジと
なる。
【0117】更に、交換型インクカートリッジの取り扱
い性が良好で、インクジェット記録装置への着脱時にお
いてもインク漏れなどがなく、インクジェット記録装置
への装着誤差動作のない交換型インクカートリッジとな
る。
【0118】補足して、インクカートリッジの製造方法
について説明する。上述した吸収体を内蔵した負圧発生
部材収納室と微小連通部としての連通部8を有するが、
気体と液体の交換によって初めてインクを放出する意味
での実質的な密閉構造のインク収納室とが一体成形化さ
れると、蓋部材11のインク収納室側の開口13からイ
ンクが充填される。これにより、インク収納室内にイン
クが充填されると、負圧発生部材4自体にも微小連通部
からインクが与えられかなりの範囲にインクが与えられ
る。
【0119】ここで、大気連通部近傍の負圧発生部材
は、インクが与えられず、インクを保持しない領域とし
て存在させる。この後、開口13は、ボール14でシー
ルされ開口部2と大気連通部は、同一のシール部材S
(異なっていても良い)でシールされる。
【0120】この状態の使用前インクジェット用カート
リッジを示したものが、図12に示されている。この図
でインク収納室6内には、インクが充填されているもの
とする。
【0121】図12は、この密閉状態のインクジェット
用カートリッジ1を示すと共に、これを使用するプリン
タの概略図を示している。このインクジェット用カート
リッジ1には、大気連通部10の近傍に位置する負圧発
生体領域3Aが、インクを保持していない領域としてカ
ートリッジ上方角部に設けられている。該領域3Aの下
方に位置する負圧発生体領域3Bは、インク供給管(不
図示)の挿入により圧縮変形される圧縮可能領域であ
る。これらの領域3A,3B以外の負圧発生体は、他の
外的影響がなく充填されたインクを保持する。無論、領
域3Bは、大気連通部10の下方で同一面に設けられて
いるインク供給管装着用の開口部2に対向する領域であ
る。また、開口部2は、微小連通部8よりも上方に位置
しており、本発明の上述した特徴構成の夫々をすべて有
している。
【0122】図12のカートリッジ1は、前述したシー
ル部材Sを除去することで、使用可能になるが、上記領
域3Aがインクを保持していないために、シール除去時
の振動や圧力変化があってもインクを漏らすことがな
い。
【0123】本実施例は、インクカートリッジの保存状
態や使用状態に関わらず、従来の技術水準を一掃する技
術観点として、負圧発生部材の該大気連通部近傍領域を
インクを保持していない領域とすることで、環境条件の
変動に対して、インクカートリッジ内のインクが大気連
通部から漏れることを防止できる。特に、シール部材が
大気連通部を密閉している場合に対しては、シール部材
のはがれ防止効果もある。また、使用状態にあっては、
この領域は、大気がカートリッジ内に必要に応じた量が
効率よく供給でき、インクジェットカートリッジ内の負
圧変化を抑制する効果もある。この大気連通部近傍領域
は、全くインクによる濡れがないものであると、インク
自体の浸透速度をより減速させることができるので好ま
しいが、インクにより予め濡らした後にそのインクを除
去した領域としても良い。
【0124】また、本実施例は、上記微小連通部を形成
する仕切り壁に対向する側に、インク供給用開口或は、
供給管による負圧発生体の圧縮(又は圧縮可能)領域を
存在させる構成とすることで、第2収納室のインクが負
圧発生体内に安定した実質的なインク供給路を確保で
き、これをより安定させる構成として、インクカートリ
ッジの下面に関して上記インク供給用開口が上記微小連
通部よりも上方に位置させることを挙げることができ
る。この配置関係の作用は、実質的なインク移動方向を
一定化でき、第2収納室のインクがすべて消費でき、こ
の消費後は、第2収納室内の空気が対向する開口側に移
動するように介在することで、結果的に、負圧発生体内
のインクを消費可能にして、残存インクを減少できるこ
とにある。
【0125】特に、上記微小連通部を形成する仕切り壁
からこの壁に対向する側に向かって、負圧発生体の供給
管によって圧縮されない領域、負圧発生体の供給管によ
って圧縮される領域を、この順に有することで、圧縮さ
れない領域には前述した1方向のインク供給路が形成で
き同様の効果が得られ、更に圧縮領域のインク確保能力
によって一層インク残量を減少できる。
【0126】本実施例のインクジェットプリンタは、上
記カートリッジ1を装着したことに応じて、自動的或は
手動的にカートリッジ内からのインク排出をヘッドを介
して吸引手段による吸引或は吐出によって実行するヘッ
ド回復手段HRを有している。これにより負圧発生体内
のインク状態をプリント前に修正できるので、カートリ
ッジの放置状態に左右されずに、カートリッジ本来の上
記機能を利用することができる。
【0127】図12で、走査型のキャリッジCRに保持
されたインクジェットヘッドHBに対して装着されるタ
ンク1は、先に説明した図12のカートリッジ1のシー
ルテープを除いたものである。キャリッジ上に装着され
たタンク1はヘッドのインク供給管が上記開口部2を通
って、負圧発生部材3の圧縮可能領域3Bを圧縮変形さ
せる。本例では、負圧発生部材3を微小連通部8側へ変
形させる。この時、タンクの着脱検知手段(機械的又は
電気的な公知の検知手段によって代用されるので不図示
とした)によって装着信号LPがプリンタ制御手段CC
に入力される。これに応じて、記録開始前にヘッド回復
手段HRが作動してタンク1内のインクを排出して、タ
ンク内インクの状態を改善する。
【0128】図13(A)は、図12のインクジェット
カートリッジのインク収納室の内面を変更し、その容量
分だけ上方に凸の空間形状22としたものである。この
内面20は、微小連通口8から遠ざかる程上昇している
曲面となっている。内面20の構造は、インクの表面張
力による微小残滴も負圧発生部材3側へ供給すると共
に、上方に突出した部分21が操作者にとっての挟持部
になり、操作時に生じるタンクの変形を防止する。図1
3(B)は、同等の容量タンクを、インク収納室が大で
負圧発生部3収納室側を小にするための仕切り壁51の
斜め配置を示す。
【0129】図13(C)は、先の製造方法で示した、
仕切り壁5に対して間隙8を形成する蓋部材11を、カ
ートリッジ本体の側板101,100の間に挿入して固
定する例である。SEは蓋部材11の端部を示してい
る。この図13(C)の場合、接着固定にバラツキが生
じると、間隙8の距離SPは一定化しない。そのため、
図13(D)のように、仕切り壁の端部SEに接するス
ペーサ110を両側に位置させることも好ましい。スペ
ーサ110は、蓋部材11に設けることが良い。さら
に、間隙8の距離SP内に位置する凸部30を蓋部材に
設けることで、インク収納部内への空気の回収性を高め
るようにしても良い。
【0130】図14(A),(B)は、それぞれ本発明
実施例のプリント或いはインク供給状態の可能な状態傾
斜範囲を示すもので、図中の40は水平面を示してい
る。本発明にとってより好ましい状態は、微小連通部が
下方側に位置していることで、理想的には水平面40に
対してカートリッジ下面で平行となることが良い。しか
し、実用上は、本例の如く、2室構成の場合、(A),
(B)の図の如き角度θは夫々0≦θ≦15度の範囲ま
で使用上の不都合がない。走査型キャリッジ上に載置し
て移動させる場合は0≦θ≦5度の範囲が好ましい。
【0131】上述した本発明の実施例の負圧発生部材
は、複数の部材構成でも良いが、互いの間の界面(部材
間界面)が生じると大気の移動がそこに生じるため不都
合が生じ易い場合があるので、より好ましくは、負圧発
生部材は単一の多孔質体であることが良い。
【0132】又、インク収容室は、相対的に負圧発生部
材収納室よりもインクを多量に含むものであれば、実質
的にインクを収納する室として含めることもできる。
【0133】ここで、先の実施例でも開示されているイ
ンク収納室内の仕切り板61について説明すると共に、
ユーザーが手で握ったときの荷重や、物流中の環境条件
でカートリッジの外壁面が変形して、インクジェット記
録ヘッドのオリフィスからインクが漏れたり、カートリ
ッジの一部に設けられているカートリッジ内の圧力を大
気と同じにする大気連通口からインクが漏れるといった
問題を解決できる実施例について説明する。
【0134】以下の例は、上記各種のインクタンクタン
ク形態における技術課題を解消するためになされたもの
で、ハンドリング時や搬送中の外力、そして温度や気圧
等環境変化によるインク漏れが発生することはなく、し
かもインク使用効率の高いインクジェット記録用インク
カートリッジである。
【0135】図15(A)は、側壁面を省いて示した一
実施例の斜視断面図、図15(B)は同実施例の横断面
図、図16は同実施例のインク供給動作の説明図、図1
7は同実施例の側壁に荷重が掛かったときの側壁の歪み
を説明する断面図である。
【0136】図15(A),(B)に示すように、イン
クカートリッジ本体1は、インクジェット記録ヘッドと
連結するための開口部2および開口部2より上方に設け
た大気を取り入れる大気連通部10を有し記録用のイン
クを吸収保持する負圧発生部材3を収容した負圧発生部
材収容部4と、負圧発生部材収容部4にリブ5を介して
隣接しインクを収容するインク収容部6とからなってい
る。なおインク収容部6と負圧発生部材収容部4とはリ
ブ5と底面の間に設けた隙間部8で連通し、インク収容
部6には仕切り板61が前記隙間8以上の隙間を下部に
残して両側に側壁を連結している。
【0137】図16(a)は、インクジェット記録ヘッ
ドへインクを供給するジョイント部材7を実施例のイン
クカートリッジ本体1の開口部2に挿入して負圧発生部
材3に圧接し、インクジェット記録装置が稼動可能にな
った状態を示す模式断面図である。なおジョイント部材
7の端部開口部にはインクカートリッジ内のゴミを排除
するためにフィルターが設置されていることもある。
【0138】インクジェット記録装置が稼動するとイン
クジェット記録ヘッドのオリフィスからインクが吐出さ
れ、インクタンクにインク吸引力が発生する。インク9
はこの吸引力によりインク収容部6からリブ5の端部と
インクカートリッジ底部11との隙間部8を通り負圧発
生部材収容部4へ、そして負圧発生部材3を通ってジョ
イント部材7内に引き込まれインクジェット記録ヘッド
へ供給される。これにより隙間部8以外は密閉している
インク収容部6の内部の圧力が低下し、インク収容部6
と負圧発生部材収容部4との間に圧力差を生ずる。
【0139】記録が継続すると、その圧力差は上昇を続
けるが、負圧発生部材収容部4は大気連通孔10により
大気に開放されているため、図16(b)に示すように
空気は負圧発生部材3を通ってリブ5とインクカートリ
ッジ底部11との隙間部8からインク収容部6に入る。
この時点で、インク収容部6と負圧発生部材収容部4と
の間の圧力差が解消される。インクジェット記録中はこ
の動作が繰り返され、ある一定の負圧がインクカートリ
ッジ内に得られる。また、インク収容部6内のインク
は、インク収容部6内の壁面に付着するインク以外は、
ほぼ全て使用できるためインク使用効率が向上する(図
16(c))。
【0140】非記録時は、負圧発生部材3自身の毛細管
力(あるいはインク−負圧発生部材界面でのメニスカス
力)などが発揮され、インクジェット記録ヘッドからイ
ンクが漏れることを抑制する。
【0141】上記の機能から、ジョイントするインクジ
ェット記録ヘッドに応じた負圧発生部材3の選択および
負圧発生部材収容部4とインク収容部6の容積割合によ
り、他の実施例として図18の断面図に示すように、イ
ンク収容部6に複数の仕切板61を備えた構成とするこ
ともできる。
【0142】以下、側壁の強度向上対策として効果があ
る構成について説明する。
【0143】インクカートリッジにおいて、ハンドリン
ク時の外力や、物流中の環境変化に耐え、そしてインク
の使用効率を高めた構造を採ることが重要である。
【0144】実施例では、負圧発生部材収容部4および
インク収容部6の各側壁12a,12b,12cの外力
に対する変位量を同等にするように構成してある。
【0145】例えば、カートリッジ材質は通常プラスチ
ックモールドであるが、図15(B)および図17に示
すように、負圧発生部材収容部4の側壁面12aの厚さ
をインク収容部6の側壁面12b,12cの厚さよりも
厚くするとともに、インク収容部6の容積を等分割する
ような位置に、下部に隙間を残して両側壁内面間に前記
仕切板(リブ)61を配設し、単位面積当たり同等な荷
重に対する壁面の変形量Δt6を小さくし、しかも61
の両側の側壁面12b,12cの変化が同等となるよう
にする。また、負圧発生部材収容部4の変形量Δt4と
もほぼ同等にすることによって壁面に変形によるインク
の漏れを防止する目的が達成される。
【0146】図15(B),図17に示す実施例のイン
クカートリッジにおいて、材質はポリプロピレン(P
P)、外径寸法は長さ48m/m×高さ35m×厚さ1
1m/mの場合、長さ48m/mのほぼ中央で、負圧発
生部材収容部4の側壁面12aの熱さを1.5mm、イン
ク収容部6の側壁面12b,12cの熱さを1mm、イン
ク収容部6のリブ61を各壁面より約10mmの位置に配
設することにより、ハンドリング時の荷重(約2Kg)に
対して、2倍以上のマージンを確保した構造を得ること
ができた。また、同時に、物流中の気圧変化や、温度変
化に対しても、十分な強度を得ることが可能となった。
【0147】上記実施例では、タンクのサイズの関係か
らインク収容部6のリブ61は、1カ所であるが、1カ
所に限定するものでなく、インクカートリッジのサイズ
に合わせ、図18に示すようにリブ61を2カ所に設け
る等、リブの本数,位置,壁面の厚さを変えることによ
って対応することができる。
【0148】図20は、負圧発生部材収容部4の壁面厚
さと、インク収容部6の壁面厚さを決定するために調査
した各壁面の厚さと、ハンドリング及び物流環境でのイ
ンク漏れの関係を示すデータである。
【0149】各壁面とも厚さを増せば、インクもれに対
し強度は増すが、目的である小型化と高いインク使用効
率を満足するためには、少しでも壁を薄くして、その分
だけ内容積を増やす必要があり、図20に示すデータか
ら、負圧発生部材収容部4の側壁面厚さ1.5mm、イン
ク収容部6の側壁厚さ1.0mmを採用した。
【0150】インクカートリッジの大きさにより、上記
寸法は図20を参照して決定でき、負圧発生部材収容部
4の外壁肉厚をインク収容部6の外壁肉圧の1.2倍な
いし3倍の範囲内で構成することが好ましい。
【0151】本発明は、上述したように、インクジェッ
ト用インクカートリッジとして、従来にはない逆転の発
想から、合理的且つ効果的なカートリッジをインクジェ
ットプリントの分野に提供することができたもので、単
色はもとより、複数のカラーインクを必要とするカラー
プリンタ自体の小型化を実現可能にする利点は注目すべ
きものがある。さらに、インクカートリッジの交換期間
を長くすることができ、操作性にも優れたものである。
【0152】図33は、交換インクタンクと記録ヘッド
とを十分に結合させた上で交換インクタンクを付勢する
ことで、キャリッジと記録ヘッドと位置決めを簡単な構
成で確実に行うとともに、記録ヘッドと交換インクタン
クとを本体外で簡単に結合した上でキャリッジに装着す
るようにしたので交換操作を容易にすることかできるも
のを挙げた。また、キャリッジ(記録装置置本体)と記
録ヘッドとの電気的接続も同時に行うように構成したの
で、記録ヘッド・交換インクタンクの交換時の操作性も
良好であるが、電気的接続を別途コネクタ接続方式など
にして、記録ヘッドの位置決めと交換インクタンクとの
結合をより確実なものとするための構成自由度を高くす
るのも良い。
【0153】ここで、図33におけるインクジェット記
録装置における記録ヘッドの配置及び動作を説明する。
図33で、記録媒体Pをプランテンローラ5000を用
いて水平方向に案内し、紙押さえ板5002でキャリッ
ジ移動方向にわたってプランテン5000に対して押圧
する。キャリッジHCは、キャリッジ移動ピンをそのら
せん溝5004にはめ込んで、それ自身が回転すること
で駆動源として動作するリードスクリュー5005とリ
ードスクリューに平行に配置されたスライダ5003と
に支持係合されてプランテンローラ5000上に案内さ
れた記録媒体Pの記録面に沿って前後に往復動する。リ
ードスクリュー5005は駆動伝達ギアを介して駆動モ
ータの正逆回転に連動して回転駆動制御される。
【0154】画像記録信号は、記録ヘッドを搭載するキ
ャリッジの移動にタイミングを計って記録ヘッドに送ら
れ、所定の位置でインク滴を吐出させて記録を行う。
【0155】本発明のインクタンク及びインクは、特
に、図33に示すように、縦置き印字姿勢において特に
有効である。縦置き印字姿勢では記録ヘッド2010の
下面に記録媒体Pを対向させて記録走査を行うように構
成されており、プラテンローラ5000に巻きつけずに
記録媒体Pをほぼ同一平面内にで給紙・印字・排紙を行
うことが可能であるのではがきやOHP用紙などの厚手
の剛性の高い記録媒体にも印字することができる。縦置
き印字姿勢では記録媒体Pに対向する記録ヘッド201
0の吐出部よりも交換インクタンク2001の方が上部
に配置されるので、その分のインクの水頭圧を支えたう
えで吐出部におけるインク内圧を若干の正圧、好ましく
は若干の負圧に維持して吐出部のインクのメニスカスを
安定化することが必要となる。
【0156】尚、図33の記録装置は下述する各実施例
において適用できるものである。
【0157】図21は、本発明の他の実施例のインクジ
ェット用インクカートリッジ本体の縦断面図、図22は
同横断面図、図23はリブの表面を示す断面図である。
【0158】インクジェット用インクカートリッジ本体
1001には、インク収容部1006と負圧発生部材収
容部1004との隔壁であるリブ1005の一部に大気
導入溝1031と負圧発生部材調整室1032とが形成
してある。
【0159】大気導入溝1031は、リブ1005の中
間部分からリブ1005の端部、即ちインクカートリッ
ジ底部1011との間隙部1008まで、負圧発生部材
収容部1004側に形成されている。そしてリブ100
5の大気導入溝1031の近辺に接する負圧発生部材1
003との間に、えぐられたような形状の負圧発生部材
調整室1032が形成されている。
【0160】負圧発生部材1003は負圧発生部材収容
部1004の内面に当接されることから、例えば負圧発
生部材1003が不均一に挿入されていたとしても図2
1及び図22に示すように、負圧発生部材1003の当
接(圧縮)力が部分的に緩和されることになる。このた
め、ヘッドからインクを消費し始めると、負圧発生部材
1003に含浸されているインクが消費され負圧発生部
材調整室1032まで達する。その後もインクが消費し
続けると負圧発生部材調整室1032により負圧発生部
材1003の当接力が緩和されている部分から大気がイ
ンクメニスカスを破りやすくなっており、速やかに大気
導入溝1031に大気が導入され負圧のコントロールが
容易になる。
【0161】本実施例は、特に負圧発生部材1003と
して弾性のある多孔質体を使用することが望ましい。
【0162】非記録時は、負圧発生部材1003自身の
毛細管力(あるいはインク−負圧発生部材海面でのメニ
スカス力)などが発揮され、インクジェット記録ヘッド
からインクが漏れることを抑制する。
【0163】比較例として負圧発生部材調整室がないイ
ンクカートリッジの一例を図29〜図31に示す。
【0164】図示の比較例のインクカートリッジの構成
であっても前記の動作原理に基づき、理想的な状態であ
れば何ら問題なく動作する。説明するまでもなく大気導
入溝がない場合よりも安定した動作をする。
【0165】しかしながら、工業的により安定した動作
を実現するために、あるいは負圧発生部材として連通孔
を有する樹脂多孔質体を使用する場合にはより安定した
制御が必要となる。
【0166】図32の拡大断面図に示すように、負圧発
生部材1003がリブ1005に当接して大気導入溝1
031に食い込む状態となる。これにより当接部Aでは
負圧発生部材1003の圧接力(圧縮力)が緩和され
ず、大気がその部分のインクメニスカスを破って大気導
入溝1031に入りずらくなる。このことによりインク
が消費され続けても気液交換が行われず、大気導入溝1
031の効果が発揮できず、インク吸収部1006のイ
ンクが使われることなく動作不能となる懸念がある。
【0167】比較例と異なり、実施例は前記説明の通
り、優れた効果を発揮する構成となっている。
【0168】図24は他の実施例に備えたリブ1005
の異なる断面形状2種類を示す縦断面図であり、図25
はリブの断面形状を示す拡大横断面図である。
【0169】図示のように大気導入溝1031と負圧発
生部材調整室1032の形状が、前記第8実施例と異な
っている。
【0170】即ち、負圧発生部材1003に当接するリ
ブ1005の段差部分を、より圧接・圧縮緩和の効果が
発揮できるように面取りR付けが実施してある。
【0171】この面取りR付けが施された負圧発生部材
収納部1004側のリブ1005の近傍において空気が
負圧発生部材1003に含浸されているインク中に取り
込まれる。そして取り込まれた空気はインク収容部10
06へ移動する。この空気の移動に伴ってインク収容部
1006のインクは負圧発生部材収容部1004へ供給
される。そして空気が負圧発生部材1003に含浸され
ているインクに取り込まれる領域が気液交換領域とな
る。
【0172】上述した気液交換をよりスムーズに行うた
めには気液交換領域上側より気液交換領域下側において
負圧発生部材収容部1004に対する負圧発生部材10
03の当接力を緩和することが好ましい。これは当接力
が緩和される負圧発生部材1003の毛細管内を空気が
よりスムーズに気相からインク相へ移動できるからであ
る。
【0173】例えば図26〜図28に示すようなリブ1
005の中央部(大気導入溝の端部)に部分的な負圧発
生部材調整室1032を形成する構成によって効果発揮
することも可能である。
【0174】なお、実施例の負圧発生部材調整室103
2と同等の機能を持たせるために、負圧発生部材100
3の形状を変えて対応することも可能であり、上記要件
を満たしていればいかなる形状,寸法であってもよい。
【0175】以上説明してきたように、本発明では、イ
ンク供給時にインク収容部中のインクと大気とが、安定
かつ、すみやかに気液交換されることが可能となり、そ
の結果、インク供給部における内圧を安定して制御する
ことが可能となり、記録ヘッドにおける吐出安定性の良
い、しかも、高速印字が可能となった。
【0176】また、外部環境の変化に対する、インクタ
ンク内の圧力変化に対しても、インク漏れが発生するこ
とのない、インクタンクを提供することが可能となっ
た。
【0177】他の本実施例のインクタンク2001は、
内面を2つのインク室(a,b)に仕切るとともに底部
で連通させ、インク供給部のインク室aに毛細管力を調
整したインク吸収体2002をほぼ隙間なく詰め込むと
ともに大気連通部2003を設けた吸収体併用区分イン
ク室方式である。
【0178】図35のインクの状態は、インク室a,b
に十分に充填された初期状態からインク室aの供給可能
なインク及びインク室bの半分程度のインクを消費した
状態である。図35において、圧縮インク吸収体のイン
クは、記録ヘッドの吐出部からの水頭圧とインク室b内
の減圧と圧縮インク吸収体内の毛細管力とが釣り合った
高さで維持されている。インク供給部からインク供給が
なされるとインク室aのインク量は減らず、インク室b
のインクが消費される。すなわち、インク室a内のイン
ク分布は変化せず内圧の平衡を維持したまま、インク室
bからインク供給に見合うだけのインクが消費されると
ともにその分の大気がインク室aを介して大気連通部か
ら導入される。
【0179】この際、図35に示すようにインク室壁下
端部でインクと大気の交換が生じ、インク室aの圧縮イ
ンク吸収体に形成されたメニスカスはインク室bに近接
した部分から一部破断され、インク室bの圧力が圧縮イ
ンク吸収体のメニスカス保持力等と釣り合うようにイン
ク室bに大気が導入される。図36を用いて本発明の吸
収体併用区分インク室方式のインク供給及びインク内圧
の発生原理をさらに説明すると、インク室壁近傍の圧縮
インク吸収体はインク室aのインクが所定量消費された
状態では大気連通部と連通されているため大気圧に対し
てメニスカスを形成している。すなわち、インク供給部
のインク内圧は圧縮されて所定の毛細管力に調整されて
いるインク室壁近傍の圧縮インク吸収体によって維持さ
れている。
【0180】インクが流出する前のインク室bの上部の
閉塞された空間はインク室壁近傍の圧縮インク吸収体の
毛細管力及びインク室bに残っているインクの水頭圧と
釣り合い、圧縮インク吸収体の形成するメニスカスを保
持するように減圧されている。この状態からインク供給
部を介して記録ヘッドにインクが供給されると、インク
室bからインクが流出し、インクが消費されたインク室
bはその分だけさらに減圧されることになる。その際、
インク室壁下端部の圧縮されたインク吸収体に形成され
たメニスカスが一部破断されて、過剰に減圧されたイン
ク室bの圧力が圧縮されたインク吸収体のメニスカス保
持力及びインク室b内のインク自身の水頭圧と釣り合う
ように消費中のインク室に大気が導入される。すなわ
ち、インク供給部の内圧は、インク室壁下端部近傍の圧
縮されたインク吸収体の毛細管力によって所定の値に維
持される。
【0181】図34は圧縮吸収体のバッファ吸収体とし
ての機能を説明するもので、図10の状態から大気圧の
減圧ないしは気温の上昇などによるインク室b2006
内の空気の膨張などでインク室b2006のインクがイ
ンク室a2004の方へ流出した様子を示している。本
実施例ではインク室a2004に流出したインクは圧縮
吸収体2003で保持されるようにしている。圧縮吸収
体のインク吸収量とインク室との関係については、前述
の減圧ないしは温度変化時のインクの漏れを防止すると
いう観点から、インク室b2006からの最悪条件下で
のインク流出量と、インク室b2006からのインク供
給時にインク室a2004に保持させるインク量とを考
慮してインク室a2004の最大インク吸収量を決め、
少なくともその分の圧縮吸収体を収納するだけの容積を
インク室aに持たせれば良い。
【0182】逆に、大気圧が上昇すると、インク室b2
006の上部のインク水頭圧分だけ元々減圧されている
空気と上昇した大気圧との差が大きくなり過ぎるのでイ
ンクないしは大気をインク室b2006に引き込んで所
定の圧力差に戻ろうとするが、そうした場合には、イン
ク室b2006からのインク供給時と同様に、インク室
壁2005下端部近傍の圧縮インク吸収体2003のメ
ニスカスが破断して主に空気がインク室b2006に導
入されて圧力平衡となるので、インク供給部のインク内
圧はほとんど変化せず、記録特性に対する影響はほとん
どない。上記の例で大気圧が元に戻った場合はインク室
b2006に導入された空気の分だけインク室b200
6からインク室a2004にインクが流出するので、前
記例と同様にインク室a2004のインク量が一時的に
増加して気液界面が上昇するので、使用初期と同様にイ
ンク内圧の安定期より一時的にやや正側の内圧になるが
記録ヘッドの吐出特性への影響は小さく実使用上の問題
はない。
【0183】上記の問題は、例えば高地の減圧下で使用
されていた記録装置を標準大気圧の低地に移動して使用
する場合などに生ずるが、その場合でもインク室b20
06への空気導入が生ずるだけで、また、再び高地へ移
動して使用する際にややインク供給部のインク内圧が若
干上昇するだけであり、さらに、標準大気圧よりも著し
く高い状態での使用はあまり考えられないので、上述の
ごとく実使用上大きな問題とはならない。
【0184】また、インクタンク使用初期から交換直前
まで、インク室a2004の圧縮インク吸収体2003
によってインク室a2004内のインクは確実に保持さ
れており、また、インク室b2006は閉塞されている
ので開口部(大気連通部及びインク供給部)からのイン
クの漏出はなく、取り扱い性に優れる。
【0185】次に、本実施例の吸収体併用区分インク室
方式における圧縮インク吸収体及びインク室構成の必要
条件について詳細に説明する。
【0186】まずインク室の構成としては、圧縮インク
吸収体2003のインク吸収容量とインク室の容積との
関係については、前述の減圧時ないしは温度変化時のイ
ンクの漏出を防止するという観点から、インク室b20
06からの最悪条件下でのインク漏出量とインク室b2
006からのインク供給時にインク室a2004に保持
させるインク量とを考慮してインク室a2004の最大
インク吸収容量を決めて、圧縮インク吸収体2003の
インク吸収率を考慮して少なくともその分の圧縮インク
吸収体2003を収納するだけの容積をインク室a20
04に持たせれば良い。
【0187】次にインク室壁2005下端部に形成され
るインク室間の連通部の大きさは、上部が閉塞されてい
るインク室b2006内のインクが連通部でメニスカス
を形成できない程度の大きさ以上であることが第1条件
であり、さらにインク供給部からの最大インク供給速度
(記録装置本体での吸引時やベタ印字時のインク供給速
度)に応じて、インクの粘度などの特性を考慮して円滑
な気液交換がなされるだけの開口を持たせれば良い。た
だし、前述のごとくインク室b2006の残余インクの
インク上面がインク室壁2005下端部よりも下がった
場合は、インク供給部のインク内圧がその分一時的に正
方向に変化するので、その際の記録ヘッドのインク吐出
特性への影響が少なくなるように設定すれば良い。
【0188】インクタンクの動作説明で述べたように、
本吸収体併用区分インク室方式では、インク室壁近傍の
圧縮インク吸収体2003でインク供給部のインク内圧
を保持しているので、インク室b2006からのインク
供給時に所望の内圧を維持するためには、インク室壁2
005下端部近傍の圧縮インク吸収体2003の毛細管
力の調整が必要である。すなわち、インク室壁2005
下端部近傍の圧縮インク吸収体2003の毛細管力は記
録時に必要なインク内圧を発生できるように圧縮率ない
しは初期ポアサイズを設定すれば良い。例えば、インク
供給部で必要とされるインク内圧がマイナスh(mma
q)、インク室壁2005下端部近傍の圧縮インク吸収
体2003はインクhmm引き上げられる毛細管力を有
していれば良く、圧縮インク吸収体2003の構成を簡
略化して考えれば、インクの密度をρ、インクの表面張
力をγ、インク吸収体とインクの接触角をθ、重力加速
度をgとすれば、圧縮インク吸収体2003の細孔部半
径P1は、 P1=2γcosθ/ρgh であれば良い。
【0189】インク室b2006からインクを供給して
いる間、インク室a2004内でのインクの気液界面が
インク供給部で、インク供給部の上端よりも低くなると
記録ヘッド側へ大気が供給されるので、インク供給部近
傍の気液界面は少なくともインク供給部上端よりも高い
位置に維持されていなければならない。すなわち、イン
ク供給部上部の圧縮インク吸収体2003は、インク供
給部で必要とされるインク内圧に相当するhmmに加え
てインクタンク下面からインク供給部上端よりも高い気
液界面設定位置(imm)の高さ、すなわち、(h+
i)mmの高さまでインクを引き上げる毛細管力を持た
せれば良い。上記と同様に圧縮インク吸収体の構成を簡
略化して考えられは、インク供給部上部の圧縮インク吸
収体の細孔部半径P2は、 P2=2γcosθ/ρg(h+i) であれば良い。上式でインク供給部直上の気液界面の高
さ(imm)はインク供給部上端よりも高い位置であれ
ば良く、インク室a2004の更に内側の圧縮インク吸
収体2003ではインク室壁に向かって徐々に低く気液
界面が設定されるように、インクの引き上げ力(毛細管
力)を徐々に小さく(同一の吸収体であれば、細孔部半
径P3を徐々に大きく)するか(図35)、インク室壁
2005近傍のみで圧縮インク吸収体2003の毛細管
力を小さくして(図36)、インク室壁2005下端部
の毛細管力(同一の吸収体であればP1)につなげれば
良い。
【0190】インク室b2006からの安定したインク
供給がなされている場合の圧縮インク吸収体2003内
の気液界面より下側になる部分の圧縮インク吸収体20
03の毛細管力は、インクタンクに衝撃や傾斜、あるい
は急激な温度変化など特別な外力が作用しなければどの
ように毛細管力が調整されていても良いが、そうした外
力やインク室b2006のインクがすべて消費された後
もインク室a2004の残余インクを供給するために
は、インク室壁2005下端部の毛細管力(細孔部半径
P1)よりもインク供給部に向かって徐々に毛細管力を
大きく(細孔部半径P4)なるように設定し、インク供
給部の毛細管力を最も大きく(細孔部半径P5)すれば
良い(図37)。すなわち、毛細管力の調整は、少なく
とも (インク室壁下端部)<(インク供給部直上部) であれば良く、更に好ましくは、 (インク室壁下端部)<(インク室中間下部)<(イン
ク室中間上部)<(インク供給部直上部)<(インク供
給部) であれば良い。
【0191】また、同一の圧縮インク吸収体2003を
用いて簡略化して考えると細孔部半径は少なくとも、 P1>P2 であれば良く、更に好ましくは、 P1>(P3,P4)>(P2,P5) であれば良い。P3とP4、P2とP5の関係は圧縮率
の分布設定に応じてP3>P4、ないしはP2>P5と
しても、また、P3=P4、P2=P5としても良い。
【0192】図35〜図37に、上述の関係を同一の圧
縮インク吸収体2003で圧縮率の調整により実現する
ための例として、本実施例で好ましい圧縮率分布を示
す。A351 ,A361 ,A371 は気液界面を示し、矢印A
352 ,A362 ,A372 は圧縮インク吸収体の圧縮率が小
さい方から大きい方へ変化している様子を示す。
【0193】比較例3として、インク供給部側の圧縮イ
ンク吸収体2003の毛細管力をインク室壁近傍よりも
強くしない場合には、インク室a2004からインクを
ある程度消費させた状態では、インク室壁2005下端
部近傍に気液界面A381 が形成され、インク室a200
4とインク室b2006との連通部が気相側に位置す
る。この場合、インク室b2006のインクを供給でき
ず、大気連通部2013から導入された大気A382 が直
接インク供給部から記録ヘッドへ供給されてしまい、そ
の時点でインクタンクは使用不能となる。
【0194】次に本発明者らは上述した各実施例のイン
クタンクに対して好ましく用いられるインクに求められ
る物性について検討した。
【0195】好ましいインクとは負圧発生部材中におけ
る界面A351 がインクタンクの振動に対しても安定であ
り、また環境変化に対して気液界面が安定な挙動を示し
ことが望ましい。
【0196】以下に上述した各実施例のインクタンクに
好ましく用いられる耐水性を有するインクについて説明
する。インクの基本構成としては、少なくとも水と着色
剤と水溶性有機溶剤とからなり、耐水性を有するインク
である。
【0197】水溶性有機溶剤としては水との相溶性が高
く低揮発性、低粘度のもので人体に対する安全性の高い
ものが望ましいが極少量で用いるのであればこの限りで
はない。以下具体的に例示する。ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等の
ケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、プチレングリコール、ト
リエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオー
ル、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチ
レングリコール等のアルキレングリコール類、エチレン
グリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエ
ーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、
エタノール、イソプロピルアルコール等の1価アルコー
ル類、その他、グリセリン、N−メチル−2−ピロリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエ
タノールアミン、スルホラン、ジメチルスルフォキサイ
ド、シクロヘキサノール等が用いられる、該水溶性有機
溶剤の含有量について、特に制限はないが1〜80重量
%が好ましい範囲である。
【0198】本発明に用いられる着色剤としては染料,
顔料いずれでも良い。染料としては水溶性の酸性染料、
直接染料、塩基性染料、反応性染料等が好ましく用いら
れる。該染料の含有量について特に制限はないがインク
全量に対して0.1重量%〜20重量%の範囲が好まし
い。
【0199】更に表面張力調製剤として界面活性剤を含
むことが望ましい。該界面活性剤としては脂肪酸塩類、
高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスル
ホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩等のアニ
オン界面活性剤、脂肪族アミン塩類、第4級アンモニウ
ム塩類等のカチオン界面活性剤、高級アルコールエチレ
ンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキ
サイド付加物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多価
アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、
高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸
アミドエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリ
コールエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂
肪酸エステル、アルカノールアミンの脂肪酸アミド類等
の非イオン性界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型両性
界面活性剤等が用いられる。
【0200】より好ましくは、アセチレングリコールの
エチレンオキサイド付加物が用いられる。更に、前記エ
チレンオキサイド付加物の付加モル数は4〜20の範囲
が特に好ましい。
【0201】界面活性剤の添加量に特に制限はないが、
0.01〜10重量%の範囲が好ましい。表面張力をコ
ントロールする手段としては前記した水溶性有機溶媒で
も行えることはいうまでもない。その他必要に応じて、
粘度調整剤、PH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加
剤を配合しても構わない。
【0202】また、インクのインクカートリッジへの充
填量は、インクカートリッジ内容積を限度として任意で
あるが、インクカートリッジ開封直後の負圧を維持する
ためにインク収容部への容積限度まで充填してもよい
が、負圧発生部材へのインク充填量は負圧発生部材のイ
ンク保持力の限界以下で設定することが好ましい。尚、
本発明でいうインク保持力とは、負圧発生部材にインク
を含浸させた際の部材単位でインクを保持できる能力を
さすものである。
【0203】次に本実施例の試料及び比較用試料を説明
する。
【0204】水と水溶性有機溶剤の混合物に染料を攪拌
しながら混合し、4時間攪拌した後界面活性剤を所定量
加えフィルターに漉過し塵を取り除いた。その後、図1
1に示されるインクカートリッジにそれぞれのインクを
充填し図12に示した装置を用いて記録を行った。
【0205】前述したように、インク室b2006から
インクが供給されている時のインク室a2004にある
インクの気液界面は、記録ヘッドの吐出部からの水頭圧
とインク室b2006内の減圧とその圧縮インク吸収体
の毛細管力とが釣りあった高さで維持されている。この
時のインク室a2004の気液界面の平均インク高さを
仮にHとすると、大気圧の減圧ないしは気温の上昇など
によるインク室b2006からのインクの流出があった
場合にはインク室a2004の気液界面のインクの高さ
はさらにh分高く吸収保持できなければならない。
【0206】本実施例における一例を示すと、インク室
内の全高さ3cmとし、インク室a2004およびb20
06の体積を6ccとした。インク室b2006の初期
は、6ccすべてインクで満たされている状態にし、イ
ンク室a2004には圧縮吸収体2003(ポリウレタ
ンフォーム)を内包させ、初期には4ccのインクを充
填させた(インク総量10cc)。吸収体の空隙率は9
5%以上であり、吸収体の空隙すべてにインクが充填さ
れるとするとインク室a2004には6cc近くのイン
クが充填可能である。先ずこのインクタンクにおいては
インク室a2004インクからの消費されはじめ、暫く
してインク室b2006のインクが消費されるようにな
り、インク室a2004の気液界面は記録ヘッドの吐出
部からの水頭圧とインク室b2006の減圧とその圧縮
インク吸収体の毛細管力とが釣りあった高さで維持され
る。この時の気液界面の高さは平均的に約1.5cmであ
ったため、ほぼ吸収体の空隙すべてにインクが充填され
ているとすればインク室a2004のインク量は約3c
cとなっていると考えられる。ここで大気圧の最大減圧
条件0.7気圧とした場合、インク室b2006の体積
の約30%である1.8ccが流出してくる場合がある
ため、インク室a2004では約3cc+1.8cc
(インク液面高さ約2.4cm)吸収保持できなければな
らない。
【0207】また、最大減圧条件を0.5気圧とした場
合は、インク室b2006の体積の約50%である3c
cが流出してくる場合があるためインク室a2004で
は約3cc+3cc(インク液面高さ約3cm)吸収保持
できなければならない。即ち、インク室a2004は吸
収体自身の容積とインク室aに元々あるインク量とイン
ク室b2006から流出してくるインク量が最低でも充
填可能であることが必要である。したがって、インク室
b2006からのインク流出量の見積もりによってイン
ク室a2004の内容積は大きく変化する。
【0208】多孔質吸収体のインク保持高さHは、一般
に毛細管力の式で表されると考えられ、インクの表面張
力をγ,インクとインク吸収体との接触管をθ,インク
の密度をρ,重量加速度をg,インク吸収体の平均気孔
半径をrとすれば、 H=2γcosθ/ρgr となる。
【0209】これより、インク保持高さHを高くしてよ
り多くのインクが吸収保持できるようにするためには、
インクの表面張力を大きくするか、またはインクとイン
ク吸収体の接触角θを小さく(cos θを大きく)す
れば良いと考えられる。
【0210】インクとインク吸収体との接触角θを小さ
くするのは、インクが吸収体に非常に漏れ易くするとい
うことであり、一般に浸透剤として界面活性剤が使用さ
れる。
【0211】(実施例4)前記実施例2と同様のインク
を用いた場合の実施例4の構成を図47、48に示す。
印字部にヒーター109またはヒーター109に送風す
るファン111を持つことにより印字部・定着部の雰囲
気を乾燥雰囲気にし、溶剤・水等の蒸発を補助する。こ
のような構成により図45の曲線部の傾きは大となり、
短時間で濃縮されるため図8に示した吸収が終了する時
間t2 も短くなる。更に、前記実施例3の場合のように
低沸点溶剤を加えた場合では、印字媒体も同時に乾燥さ
れた状態に保持されるため、溶剤の媒体内への吸収が促
進され、蒸発速度も大きくなるため、定着速度がより加
速され大きな効果が得られる。
【0212】(実施例5)また、インクジェット記録装
置に置いては各ノズルの吐出量、吐出方向のばらつきを
目立たなくするため、互いに補完関係にある複数のマス
クを用いて、1つの印字単位を異なるノズルを用いて複
数回走査して記録を行うマルチスキャン印字が一般的に
行われる。このような印字方法を行った場合、単位面積
あたりに一度に打ち込まれるインク量が少ないため、前
記実施例2、実施例3と同様のインクを用いた場合、溶
剤・水等の蒸発にたいして非常に有利となる。このよう
な構成により実施例4の場合同様に図45の曲線部の傾
きは大となり、短時間で濃縮されるため図45に示した
吸収が終了する時間t2 も短くなる。このため各印字単
位1度で走査記録を行う場合に比較してを定着がより促
進されにじみ防止に対してより大きな効果が得られる。
【0213】(実施例6)前記実施例1に示した構成の
場合、浸透性がよい為、にじみ率が大きく、一定の面積
を覆うためのインク量は通常のインクに比較して少量で
よい。逆に通常のにじみ率の小さいインクと同等の吐出
量とした場合、つなぎ部分の筋が目立つ、文字品位が低
下する、階調性の悪化する等が発生し好ましくない。し
かし、少量の吐出量では、少量の吐出量で大面積を覆う
ため相対的に単位面積あたりの染料濃度が低下する。こ
のため実施例1の場合はこの染料濃度の低下を補うた
め、通常のにじみ率の小さいインクに比べて染料濃度を
やや高濃度にしている。
【0214】このような高濃度染料インクを使用した実
施例1には、周囲の環境温度が低い場合は増粘による吐
出不良を引き起こし易い。このような場合には一般的に
は吐出部分または供給部分を含めた吐出部分を吐出部分
の外部に設けたヒーター、吐出ヘッド内ヒーター、印字
に用いる吐出ヒーターの空ヒート等を利用した温調を行
うことが有用である。しかし、温調を行う場合、実施例
1の様な高濃度の染料を使用したインクでは温調温度を
高く設定しすぎるとノズル先端での染料析出および蒸発
による固着、増粘が発生し上記実施例1で説明した放置
可能時間が極端に低下するという弊害が発生する。
【0215】そこで実施例1の記録装置を10℃の低温
環境で使用する場合に吐出部分を15℃から40℃度の
温度範囲に保持すれば、上記のような弊害が生ずる事な
く印字可能であった。
【0216】さらに印字中に、一般に予備吐出といわれ
る不使用ノズルの増粘防止による不吐出を防止する回復
動作が行われる場合があるが、20℃から30℃の温度
範囲に吐出部分の温度を制御する事によって低温環境下
であっても常温とほぼ同等の予備吐出の間隔によって回
復が可能であった。
【0217】(実施例7)実施例1の場合にさらに低温
での吐出特性を改善するための溶剤としてチオジグリコ
ールを5%添加した。本実施例の場合は実施例6の場合
のように保温を行わなくても低温環境下での印字が可能
となった。
【0218】(実施例8)図41は本発明における第8
の実施例の記録方法を示すものである。
【0219】本実施例で用いたインクジェット記録装
置、記録ヘッドは第1実施例の場合と同様のものを用い
た。
【0220】これは記録ヘッドの記録領域(L)を4分
割し、記録ヘッドは1回目の走査によって25%に間引
いた部分が記録され、その後にL/4幅の紙送りを行
い、2回目の走査で異なるノズルでさらに25%が印字
されてL/4幅分紙送りされ、、3回目の走査でさらに
25%が印字されてL/4幅分紙送りされ、4回目の走
査で残りの25%が印字されて印字が完成される方法で
ある。
【0221】同図においては、本来、吐出口列は見るこ
とができないが、説明の便宜上、上方から透視して示し
ている。
【0222】図40(d)は本実施例における25%間
引きの間引き方の1例をしめしたものであり、着弾位置
と着弾の順番を数字で表した。すなわち、1走査目に
は、の位置に印字し、第2の走査では、の位置に印
字し第3の走査の時はの位置に、第4の走査の時には
の位置に印字し4回のキャリッジ走査によって一定領
域内の印字を完成させていく。
【0223】さらに図41を用いて詳しく説明するとこ
の場合まず、第1の走査によって各記録ヘッドの記録領
域(1)中のノズルによって印字が行われる。K,C,
M,Yの各記録ヘッドは25%に間引いた印字を行う。
この時の25%の間引き方は図40に示したの位置に
相当する部分を印字し、図41では各々K、C,M
,Yとした。。ここでL/4幅の紙送りがなされ
る。第2の走査では記録領域(1)、(2)の領域で印
字を行うが、この時はK,C,M,Yの各記録ヘッドは
25%間引き印字で図40で示したの位置に相当する
部分を印字し、図41においては各々K,C,M
,Yとした。ここでL/4幅の紙送りがなされ、引
き続き第3の走査では記録領域(1)、(2)、(3)
の領域で印字を行う。K,C,M,Yの各記録ヘッドは
25%間引き印字で図40で示したの位置に相当する
部分を印字し、図41においては各々K,C,M
,Yとした。ここでL/4幅の紙送りがなされ、引
き続き第3の走査では記録領域(1)、(2)、
(3)、(4)の全領域で印字を行う。K,C,M,Y
の各記録ヘッドは25%間引き印字で図40で示した
の位置に相当する部分を印字し、図41においては各々
K,C,M,Yとした。この時点で記録領域の
(4)の部分は印字が完了し、さらにL/4幅の紙送り
がなされて同様に印字が繰り返される。
【0224】本実施例においては第1及び第2実施例に
比べてさらに1回の走査でインク打ち込み量が抑えられ
ているためさらにインク溢れが生じにくくなっておりた
め、インクにじみが生じることなく、しかもブラックイ
ンクは通常の2倍打ち込んでいるために黒色の印字濃度
は高くすることが可能である。また記録ヘッドの各ノズ
ルからのインク吐出量が2倍に増えても1回の走査での
インク打ち込み量はインク溢れを生じるインク打ち込み
量以内に抑えられているため、インクにじみを生じるこ
となく印字が可能である。
【0225】さらに本実施例によると第2実施例同様に
第1走査でのドットのノズルと第2走査でのドットのノ
ズルと第3走査でのドットのノズルと第4走査でのドッ
トのノズルが異なるために記録ヘッドのヨレなどの着弾
精度や吐出量などに起因する濃度ムラをも軽減すること
ができる。
【0226】また、この時K記録ヘッドも他の記録ヘッ
ドと同様に25%間引きながら記録するとブラックイン
クの総打ち込み量を通常の2倍にするには約2倍の走査
回数を必要とするため、記録時間も約2倍必要となって
しまう。
【0227】また、多湿環境下で行われた場合には、イ
ンクが定着しにくいために走査間隔時間(1回目の走査
終了から次の走査までの時間)をより長くしなければな
らない。この場合、待ち時間が必要となるため1走査あ
たりの実質印字時間が長くなるため、走査回数が多けれ
ば多いほど総記録時間がかなり長くなってしまう。した
がって、Kインクの打ち込み量を2倍にしようとする場
合、全記録ヘッドを一様な間引き率にするよりも、本発
明のようにK記録ヘッドのみ間引き率を変えることによ
り走査回数を1/2減らした方が記録時間がかなり短縮
されるため本発明はかなり有効であるといえる。
【0228】また、インクにじみをさらにより良くしし
かも総記録時間を短縮するために、第4走査での記録を
なくし、C,M,Y各記録ヘッドによる総インク打ち込
み量を75%に、K記録ヘッドによる総インク打ち込み
量を150%に抑えるのも良い。
【0229】ここで、上記本発明が、特に有効な効果を
発揮する記録ヘッド及び記録方法の例について説明す
る。
【0230】図42は上記マルチヘッドで紙面上を印字
していく際のプリンタ部の構成を示したものである。こ
の図において、101はインクカートリッジである。こ
れらは、4色のカラーインク、ブラック、シアン、マゼ
ンタ、イエローがそれぞれ詰め込まれたインクタンク
と、102のマルチヘッドより構成されている。このマ
ルチヘッドの分解図とマルチヘッド上に配列するインク
吐出孔及びz方向からの外観を示したものが図43
(a)であり、211はマルチヘッド102上に配列す
るインク吐出孔である。本図ではインク吐出孔211が
Y軸に沿って平行に配列されているが、例えば図のXY
平面上多少の傾きを持っていても良い。この場合には、
ヘッドが進行方向Xに進んで行くのに対し、各ノズルは
それぞれタイミングをずらしながら印字を行っていくこ
とになる。再び図42に戻る。103は紙送りローラで
104の補助ローラとともに印字紙107を抑えながら
図の矢印の方向に回転し、印字紙107をy方向に随時
送っていく。また105は給紙ローラーであり印字紙の
給紙を行うとともに、103、104と同様、印字紙1
07を抑える役割も果たす。106は4つのインクカー
トリッジを支持し、印字とともにこれらを移動させるキ
ャリッジである。これは印字を行っていないとき、ある
いはマルチヘッドの回復作業などを行うときには図の点
線で示した位置のホームポジション(h)に待機するよ
うになっている。
【0231】印字開始前、hの位置(ホームポジショ
ン)にあるキャリッジ(106)は、印字開始命令がく
ると、x方向に移動しながら、マルチヘッド(102)
上のn個のマルチノズル(211)により、紙面上に幅
Dだけの印字を行う。紙面端部までデータの印字が終了
するとキャリッジは元のホームポジションに戻り、再び
x方向への印字を行う。往復印字であれば、−x方向に
移動しながら印字を行う。この最初の印字が終了してか
ら2回目の印字が始まる前までに、紙送りローラ(10
3)が矢印方向への回転することにより幅Dだけのy方
向への紙送りを行う。この様にしてキャリッジ1スキャ
ンごとにマルチヘッド幅Dだけの印字と紙送りを行う繰
り返しにより、一紙面上のデータ印字が完成する。
【0232】図42のように複数のヘッドでカラー印刷
を行う場合には、同一スキャンまたは近接のスキャンで
隣接した画素に対して異なった色を印刷する。このうち
特に、同一スキャン内に隣接した画素に対して異色を印
刷する場合、前色のインク滴が印刷媒体面に到達してか
ら、隣接画素に次色のインク滴が到達するまでの時間が
非常に短い。インクの印刷媒体に対する定着時間がこの
隣接画素が到達するまでの時間以上である場合、それぞ
れの色がにじみ出し合って混色し画像を悪化させる。
又、同一スキャンでなく、隣接したスキャンであって
も、インクの印刷媒体に対する定着速度が遅ければ同様
のにじみ出しが起こり、画質の低下を招く。そのため隣
接画素に異なる色を印刷するプリンターでは、定着速度
を早める必要がある。このため、特に本発明の基本構成
による効果が相乗的に発揮できることが理解できよう。
【0233】更に、インク中の界面活性剤の量を臨界ミ
セル濃度よりも低濃度とし、そのインク滴をヘッドから
記録媒体に到着するまでの間、また記録媒体に到着して
から次のインク滴が隣接画素に打たれるまでの間に水・
溶剤を少量蒸発させ、また溶剤のみを記録媒体に選択的
に吸収させ、媒体上のインクの界面活性剤濃度を臨界ミ
セル濃度以上にすることによって、浸透性を上げ、にじ
みを抑えることができる。この場合、インク中の界面活
性剤の濃度は臨界ミセル濃度を100%とすると臨界ミ
セル濃度の80%〜100%未満とすることが好まし
く、より好ましくは90〜99%である。
【0234】
【発明の効果】本発明は、上記各項目の説明で理解でき
たように、上記前提構成のカートリッジに充填用インク
を界面活性剤含有インクのインクジェットヘッドから吐
出された後の飛翔インク滴の構造変化を解析し、ヘッド
内におけるインクの状態変化と、飛翔中のインク滴が分
離してサテライトやマイクロドットと呼ばれる主滴以外
の微小なインク滴の発生と、記録媒体に対するインクの
挙動と、の相互関係を考慮することによって、初めて発
明されたもので、水性インクに対しての該界面活性剤が
臨界ミセル濃度(c.m.c.対インク)未満である所
定の含有率であって、該界面活性剤を該所定含有率で純
水に対して与えた時に該純水に対する臨界ミセル濃度
(c.m.c.対純水)より大となる該所定含有率で、
該界面活性剤を含む水性インクをインクジェットヘッド
に与えることで、吐出したインク滴の吐出状態を安定化
せしめ、記録媒体上ではニジミを抑制して単ドット形状
の安定化による印字品位の向上を確実に達成でき、吐出
回復性、高周波数での吐出特性等をバランスよくすべて
満足することができ、しかも、特別なインクタンク構成
のインク供給性の安定条件下で、確実にヘッド側へ供給
されるので、上記効果を一層安定したものにできる。
【0235】この観点から本発明の請求項でいうインク
は、このタンク内において、タンク内構造の利点を引き
出しつつヘッド内で、インクジェット吐出条件に対して
安定したものとなるために好適である。
【0236】特に、本発明は、充填用インクの表面張力
を30dyn/cm以上50dyn/cm以下としたこ
とで、上記微小連通部から上記第1収納室内の上記負圧
発生部材対向位置まで延在する気液交換促進構造を有す
るカートリッジにおいては、その構成と相乗的に機能し
て、直線的な界面を安定した状態で形成でき、負圧の安
定化を一層向上できる効果があった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明第1実施例のインク容器の一部を破断
して示した模式斜視図である。
【図2】 図1実施例の模式断面図である。
【図3】 (a)、(b)、(c)夫々は、本発明のカ
ートリッジと供給管の結合例の説明図である。
【図4】 本発明のより好ましい条件を説明するための
比較例の説明図である。
【図5】 (a)、(b)、(c)夫々は、本発明のイ
ンク供給部の説明図である。
【図6】 (a)、(b)、(c)夫々は、インク供給
部と微小連通部との位置関係を説明する説明図である。
【図7】 (a),(b)(c),(d),(e)
(f),夫々は、微小連通部の構成説明図である。
【図8】 (a)〜(h)は、夫々仕切り壁の微小連通
部側端部の形状説明図である。
【図9】 (a)〜(f)は、夫々、仕切り壁近傍の吸
収体端部状態の説明図である。
【図10】 (a)(b)、(c)(d)は、環境変化
に対する吸収体内部の状態説明図である。
【図11】 本発明製造方法とインクジェットヘッドを
説明するための概略図である。
【図12】 本発明インクジェットカートリッジと、そ
れを用いたインクジェットプリンタの概略説明図であ
る。
【図13】 (A)、(B)、(C)、(D)は、本発
明の要部変形例を説明する図である。
【図14】 (A)、(B)は、本発明インクカートリ
ッジの使用状態の傾斜可能範囲を説明するための断面図
である。
【図15】 (A)、(B)は、本発明の最適実施例の
形状説明図である。
【図16】 (a)、(b)、(c)は、夫々本発明の
プリント状態における変化を順に示す説明図である。
【図17】 本発明カートリッジの外壁に対する圧力状
態を説明する概念図である。
【図18】 本発明カートリッジの変形例の断面図であ
る。
【図19】 (A)、(B)は、本発明を実施したカー
トリッジのカラータンク構成を示す斜視図である。
【図20】 本発明の壁面厚さと外圧変形に伴うインク
漏れとの相関関係を示すグラフである。
【図21】 更に他の実施例インクジェット用インクカ
ートリッジ本体の縦断面図である。
【図22】 図21のインクジェット用インクカートリ
ッジ本体の横断面図である。
【図23】 図21のリブの表面を示すインクカートリ
ッジ本体の断面図である。
【図24】 他の実施例のリブの表面を示すインクカー
トリッジ本体の断面図である。
【図25】 他の実施例のリブの断面形状を示す拡大横
断面図である。
【図26】 他の実施例の交換型インクジェット用イン
クカートリッジ本体の縦断面図である。
【図27】 他の実施例の交換型インクジェット用イン
クカートリッジ本体の横断面図である。
【図28】 他の実施例のリブの表面を示すインクカー
トリッジ本体の断面図である。
【図29】 比較例のインクジェット用インクカートリ
ッジ本体の縦断面図である。
【図30】 比較例のインクジェット用インクカートリ
ッジ本体の横断面図である。
【図31】 比較例のリブの表面を示すインクカートリ
ッジ本体の断面図である。
【図32】 比較例のリブの断面形状を示す拡大横断面
図である。
【図33】 縦置き印字姿勢の説明図。
【図34】 インク室aの圧縮インク吸収体の漏洩イン
クバッファ機能の説明図。
【図35】 他の実施例の圧縮インク吸収体の圧縮率分
布の例。
【図36】 図35の実施例の圧縮インク吸収体の圧縮
率分布の更なる例。
【図37】 図35実施例の圧縮インク吸収体の圧縮分
布の更なる例。
【図38】 界面活性剤の添加量(濃度)と表面張力の
関係を示すグラフである。
【図39】 界面活性剤の濃度に対する記録媒体上での
にじみとインク自体のヘッド内の粘度との関係を示すグ
ラフである。
【図40】 記録ヘッドの1走査における記録幅A内の
記録状態を示すものである。
【図41】 図40の間引パターン(d)が実行される
分割紙送り分割印字方式(ファインモード)を説明する
概略図である。
【図42】 プリンタの構成を示す説明図である。
【図43】 (a)がマルチヘッドの概略図で、(b)
がマルチヘッドの分解図である。
【図44】 マルチヘッドの天盤裏面図である。
【図45】 界面活性剤の濃度変化の状態を示すグラフ
である。
【図46】 界面活性剤濃度とリフィル周波数の関係を
示すグラフである。
【図47】 本発明の実施に使用する記録装置の一例を
示す概略図である。
【図48】 本発明の実施に使用する記録装置の他の例
を示す概略図である。
【符号の説明】
1 インクカートリッジ本体(インクタンク) 2 開口部 3,1003 負圧発生部材 4,1004 負圧発生部材収容部(第1収納室) 5 仕切壁 6 インク収容部(第2収納室) 8,1008 微小連通部 10,1013 大気連通部 HD インクジェットヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平林 弘光 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 名越 重泰 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 杉本 仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 植月 雅哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 松原 美由紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 後藤 史博 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 秋山 勇治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭55−42858(JP,A) 特開 昭58−49771(JP,A) 特開 平5−194884(JP,A) 特開 平4−156339(JP,A) 特開 平5−96743(JP,A) 特開 平6−88048(JP,A) 特開 平7−108688(JP,A) 特開 平6−271797(JP,A) 特開 平7−90206(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 B41J 2/01 B41J 2/175 B41M 5/00

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負圧発生部材を収容すると共に大気との
    連通を得るための大気連通部と記録ヘッドの供給管と連
    結されるインク供給用の開口とを備えた第1収納室と、
    仕切り壁によって仕切られ該仕切り壁によって構成され
    連通部のみを介して上記第1収納室に対して連通し該
    連通部を除き実質的に密閉状態とされ前記第1収納室へ
    供給するためのインクを直接収納するための第2収納室
    を備え、上記第1収納室及び前記第2収納室内にイ
    ンクが初期充填或は再充填されて構成されるインクタン
    クにおいて、 上記インクが 界面活性剤を含有する水性インクに対して
    の該界面活性剤が臨界ミセル濃度(c.m.c.対イン
    ク)未満であり、上記界面活性剤を所定含有率で純水に
    対して与えた時に該純水に対する臨界ミセル濃度(c.
    m.c.対純水)より大となる所定の含有率で界面活性
    剤を含むことを特徴とするインクタンク
  2. 【請求項2】 上記インク供給用開口は、上記仕切り
    壁に対向した側面に設けられており、上記第1収納室内
    に収容された上記負圧発生部材の内、上記インク供給用
    開口の近傍にある上記負圧発生部材は、上記記録ヘッ
    の供給管の挿入により上記連通部側へ圧縮される圧縮
    可能領域を備えていることを特徴とする請求項1に記載
    インクタンク
  3. 【請求項3】 上記第1収納室内に収容された上記負圧
    発生部材の内、上記圧縮可能領域と上記連通部との間に
    は上記記録ヘッドの供給管の挿入では圧縮されない領域
    を備えていることを特徴とする請求項2に記載のインク
    タンク
  4. 【請求項4】 上記インク供給用の開口は、上記インク
    タンクが記録装置に搭載され使用される状態において、
    上記仕切り壁に対向した側面内の上記連通部側に変位し
    た位置で且つ上記連通部よりも上方の位置設けられて
    いることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか
    に記載のインクタンク
  5. 【請求項5】 上記インクタンクの上記第2収納室内に
    は、上記連通部の間隙より大きい間隙を上記インクタン
    内面との間に形成する補強板を具備していることを特
    徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載のインク
    タンク
  6. 【請求項6】 上記インクタンクは、上記第1収納室と
    上記第2収納室との容積比が1:3〜1:1の範囲内の
    比であることを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれ
    かに記載のインクタンク
  7. 【請求項7】 上記連通部を構成する上記仕切り壁の端
    面とその対向面との距離が上記第1収納室内に収容され
    た上記負圧発生部材の平均孔径よりも大きく5mm以下
    の範囲内の値であることを特徴とする請求項1乃至請求
    項6いずれかに記載のインクタンク
  8. 【請求項8】 上記第1収納室に面した仕切り壁の側面
    と、上記負圧発生部材の上記仕切り壁に面した側面との
    間に、上記連通部から延在して設けられた気液交換促進
    構造を有しており、上記インクは30dyn/cm以上
    55dyn/cm以下の範囲内の表面張力を有してお
    り、上記第1収納室内の上記負圧発生部材内において気
    液界面を形成していることを特徴とする請求項1乃至請
    求項7いずれかに記載のインクタンク
  9. 【請求項9】 負圧発生部材を収容すると共に大気との
    連通を得るための大気連通部と記録ヘッドの供給管と連
    結されるインク供給用の開口とを備えた第1収納室と、
    仕切り壁によって仕切られ該仕切り壁によって構成され
    る連通部のみを介して上記第1収納室に対して連通し該
    連通部を除き実質的に密閉状態とされ前記第1収納室へ
    供給するためのインクを直接収納するための第2収納室
    と、を備え、上記第1収納室及び前記第2収納室内に界
    面活性剤を含有する水性インクに対しての該界面活性剤
    が臨界ミセル濃度(c.m.c.対インク)未満であ
    り、上記界面活性剤を所定含有率で純水に対して与えた
    時に該純水に対する臨界ミセル濃度(c.m.c.対純
    水)より大となる所定の含有率で界面活性剤を含み、表
    面張力が30dyn/cm以上50dyn/cm以下の
    範囲内の表面張力を有する水性インクが初期充填或は再
    充填されて構成されるインクタンクを用意する工程と、 上記記録ヘッドと上記インクタンクとを連結し、上記イ
    ンクタンクから上記記録へ度に対してインクを供給する
    工程と、 記録を実行するために上記記録ヘッドから記録媒体上に
    インクを吐出するために上記記録ヘッドを駆動する工程
    と、 を有する インクジェット記録方法。
  10. 【請求項10】 上記インクタンクは、上記第1収納室
    と上記第2収納室との容積比が1:3〜1:1の範囲内
    の比で、上記インクタンクの上記連通部を構成する上記
    仕切り壁の端面とその対向面との距離が上記第1収納室
    内に収容された上記負圧発生部材の平均孔径よりも大き
    く5mm以下の範囲内の値であることを特徴とする請求
    項9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 【請求項11】 上記インクジェット記録方法は、複数
    色のインクを記録媒体に順に記録可能なカラー記録方法
    であって、使用する複数色のインクは全て上記界面活性
    剤を同等に上記所定含有率で満足していることを特徴と
    する請求項9乃至請求項10のいれかに記載のインク
    ジェット記録方法。
  12. 【請求項12】 上記インクジェット記録方法は温度設
    定条件T℃で温度調整されるインクジェットヘッドを
    い、表面張力と界面活性剤濃度との関係曲線に関して、
    界面活性剤を含有する水性インクに対しての該界面活性
    剤が臨界ミセル濃度(c.m.c.対インク)未満であ
    る所定の含有率であって、表面張力と界面活性剤濃度と
    の関係曲線に関して、該界面活性剤を該所定含有率で純
    水に対して与えた時に該純水に対する臨界ミセル濃度
    (c.m.c.対純水)より大となる該所定含有率で、
    該界面活性剤を含む水性インクがインクジェットヘッド
    に与えられる請求項9乃至請求項11のいずれかに記載
    のインクジェット記録方法。
  13. 【請求項13】 上記温度設定条件T℃は、15℃以上
    40℃以下の範囲内の温度である請求項12に記載のイ
    ンクジェット記録方法。
  14. 【請求項14】 上記水性インクの上記所定含有率は、
    {上記臨界ミセル濃度(c.m.c.対インク)+上記
    臨界ミセル濃度(c.m.c.対純水)}/2以下の範
    囲内である請求項9乃至請求項13のいずれかに記載の
    インクジェット記録方法。
  15. 【請求項15】 負圧発生部材を収容すると共に大気と
    の連通を得るための大気連通部と記録ヘッドの供給管と
    連結されるインク供給用の開口とを備えた第1収納室
    と、仕切り壁によって仕切られ該仕切り壁によって構成
    される連通部のみを介して上記第1収納室に対して連通
    し該連通部を除き実質的に密閉状態とされ前記第1収納
    室へ供給するためのインクを直接収納するための第2収
    納室と、 を上記連通部を下方とする時、互いに側方に位
    置するように隣接させて備え、上記第1収納室に面した
    仕切り壁の側面と、上記負圧発生部材の上記仕切り壁に
    面した側面との間に、上記連通部から延在して設けられ
    た気液交換促進構造を有しており、上記記録ヘッドへ充
    填されたインクを供給するためのインクジェット用カー
    トリッジにおいて、 上記負圧発生部材の少なくとも該大気連通部近傍領域が
    インクを保持していない領域となるように、上記第1収
    納室及び上記第2収納室に充填されているインクが、界
    面活性剤を含有する水性インクに対しての該界面活性剤
    が臨界ミセル濃度(c.m.c.対インク)未満で
    り、上記界面活性剤を所定含有率で純水に対して与えた
    時に該純水に対する臨界ミセル濃度(c.m.c.対純
    水)より大となる所定の含有率で界面活性剤を含むこと
    を特徴とするインクジェット用カートリッジ。
  16. 【請求項16】 上記インクジェット用カートリッジ
    は、上記第1収納室と上記第2収納室との容積比が1:
    3〜1:1の範囲内の比で、上記インクタンクの上記連
    通部を構成する上記仕切り壁の端面とその対向面との距
    離が上記第1収納室内に収容された上記負圧発生部材の
    平均孔径よりも大きく5mm以下の範囲内の値である
    とを特徴とする請求項15に記載のインクジェット用カ
    ートリッジ。
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