JP2002199881A - Dna固定化基体の再使用法 - Google Patents

Dna固定化基体の再使用法

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JP2002199881A
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Hiroshi Okamura
浩 岡村
Kojiro Takahashi
浩二郎 高橋
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修 高井
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高価なDNA固定化基体を有効活用し、かつ
新品と同様の性能を有し実用にも支障のないDNA固定
化基体の再使用法を提供し、DNA固定化基体ユーザー
の経済的、技術的負担を低下させること。 【解決手段】 DNAがオリゴヌクレオチドを介して酸
アミド結合により固定化されているDNA固定化基体か
ら、固定されているDNAを除去して新たなDNAを固
定可能な状態とするにあたり、基体−DNA間の酸アミ
ド結合を酸又はアルカリで加水分解することを特徴とす
る、DNA固定化基体の再使用法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DNA固定化基体
の再使用法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、遺伝子解析等の手段のひとつ
としてDNA診断用基体が用いられている。DNA固定
化基体とは、多数のDNA断片やオリゴヌクレオチドを
固相表面に整列させたものであって、生化学的、分子生
物学的、遺伝子工学的研究あるいは医療検査で一度に多
数の微量試料を処理し、その処理反応の結果を分光学的
に迅速・簡便にできるものとして、近年注目されてい
る。
【0003】DNA固定化基体については、非常に高価
であるにもかかわらず、不要になった後に他のDNAを
固定して再使用に供する方法についての開発があまり進
んでいなかった。そのため、使い捨てとなる場合もあ
り、また、再利用しても前に固定したDNAが残存して
いたりして実用に適さない場合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決し、高価なDNA固定化基体を有効活用し、かつ
新品と同様の性能を有し実用にも支障のないDNA固定
化基体の再使用法を提供し、DNA固定化基体ユーザー
の経済的、技術的負担を低下させようとするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく検
討した結果、何度もPCR増幅に利用したDNA固定化
基体からのDNAの完全除去の方法を見出すと共に、D
NAの再固定化が可能となることも見出した。
【0006】すなわち、請求項1記載の本発明は、DN
Aがオリゴヌクレオチドを介して酸アミド結合により固
定化されているDNA固定化基体から、固定されている
DNAを除去して新たなDNAを固定可能な状態とする
にあたり、基体−DNA間の酸アミド結合を酸又はアル
カリで加水分解することを特徴とする、DNA固定化基
体の再使用法を提供するものである。請求項2記載の本
発明は、DNAが酸アミド結合により固定化されている
DNA固定化基体を、基体−DNA間の酸アミド結合を
酸で加水分解後、アルカリに浸漬して陰イオンを除去し
て、基体表面をアミノ基修飾表面にすることを特徴とす
るDNA固定化基体の再使用法を提供するものである。
請求項3記載の本発明は、DNAが酸アミド結合により
固定化されているDNA固定化基体を、基体−DNA間
の酸アミド結合をアルカリで加水分解して、基体表面を
アミノ基修飾表面にすることを特徴とするDNA固定化
基体の再使用法を提供するものである。この場合におい
て、請求項4記載の本発明のように、加水分解に用いる
酸は、鉱酸及び有機酸の1種または2種以上の酸である
ことが望ましい。また、この場合において、請求項5記
載の本発明のように、加水分解に用いるアルカリが、ア
ルカリ金属の水酸化物及び/又はアルカリ金属の塩類で
あることが望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のDNA固定化基体の再使
用法は、DNAがオリゴヌクレオチドを介して酸アミド
結合により固定化されているDNA固定化基体から、固
定されているDNAを除去して新たなDNAを固定可能
な状態とするにあたり、基体−DNA間の酸アミド結合
を、酸又はアルカリで加水分解することを特徴とするも
のである。
【0008】本発明の再使用法の対象となるDNA固定
化基体は、アミノ基修飾された基体表面に、酸アミド結
合を介してDNAが固定化されているものである。
【0009】アミノ基を化学修飾した基体とは、ダイヤ
モンド、シリコン、ガラスのほか、金、銀、銅、アルミ
ニウム、タングステン、モリブデン等の金属;上記金属
とセラミックスとの積層体;ポリカーボネート、フッ素
樹脂等のプラスチック等の基体の表面をアミノ化したも
のが好ましい。基体の材料は、上記列挙したもの以外で
も化学的に安定な材料であれば使用でき、例えば、グラ
ファイト、ダイヤモンドライクカーボンが挙げられる。
また、プラスチックと上記金属、セラミックス、ダイヤ
モンド等との混合体でもよい。また、シリコン、ガラ
ス、金属、グラファイト、プラスチック等の表面にダイ
ヤモンドやダイヤモンドライクカーボンがコーティング
されたものも好ましい。
【0010】これらのうち、熱伝導性の点からダイヤモ
ンドが好ましい。ダイヤモンドは熱伝導性に優れてお
り、急速な昇温及び冷却が可能であるため、DNAを結
合させる際の加熱冷却を繰り返すヒートサイクル時間を
効果的に短縮できる。具体的には、基体材料の熱伝導率
が0.1W/cm・K以上、好ましくは0.5W/cm・
K以上、特に好ましくは1.0W/cm・K以上のもの
を用いることが好ましい。
【0011】ダイヤモンドを基体とした素材として、合
成ダイヤモンド、高圧形成ダイヤモンド、或いは天然の
ダイヤモンド等のいずれも使用できる。また、それらの
構造が単結晶体或いは多結晶体のいずれでも差し支えな
い。生産性の観点よりマイクロ波プラズマCVD法など
の気相合成法を用いて製造されたダイヤモンドを用いる
ことが好ましい。
【0012】基体の形成方法は公知の方法で行うことが
できる。例えば、マイクロ波プラズマCVD法、ECR
CVD法、IPC法、直流スパッタリング法、ECRス
パッタリング法、イオンプレーティング法、アークイオ
ンプレーティング法、EB蒸着法、抵抗加熱蒸着法など
が挙げられる。また、金属粉末やセラミック粉末等に樹
脂をバインダーとして混合して結合形成したものが挙げ
られる。また、金属粉末やセラミック粉末等の原料をプ
レス成形機を用いて圧粉したものを高温で焼結したもの
もあげられる。
【0013】基体表面は意図的に粗面化されていること
が望ましい。このような粗面化表面は基体の表面積が増
えて多量のDNA等を固定させることに好都合であるか
らである。基体の形状は平板状、糸状、球状、多角形
状、粉末状など特に問わない。また、その大きさも特に
問わない。本発明では、ダイヤモンド基体という場合
は、ダイヤモンドと他の物質との複合体(例えば、ダイ
ヤモンドとダイヤモンドライクカーボンの2相体)を含
むものであってもよい。
【0014】このような基体の表面のアミノ基修飾は、
例えば、塩素ガス中で固体支持体に紫外線照射して表面
を塩素化し、次いでアンモニアガス中で紫外線照射して
アミノ化することにより、達成される。
【0015】アミノ基で修飾された基体の表面のカルボ
ン酸修飾は、適当な酸クロリドを用いてカルボキシル化
し、末端のカルボキシル基をカルボジイミド或いはジシ
クロヘキシルカルボジイミドおよびN−ヒドロキシスク
シンイミドと脱水縮合することにより行うことができ
る。この方法を採用する場合の脱水縮合について一例を
挙げて説明すると、表面を化学修飾し、カルボキシル基
を有する状態の固体支持体をカルボジイミドあるいはジ
シクロヘキシルカルボジイミド、およびN−ヒドロキシ
スクシンイミド或いはp−ニトロフェノールを溶解した
1,4−ジオキサン溶液中に浸漬させ、洗浄後乾燥す
る。このようにして、N−スクシンイミドエステル基や
p−ニトロフェノールエステル基を末端に有する炭化水
素基が結合した基体が得られる。
【0016】また、上記の方法のより好ましい方法とし
て、あらかじめダイヤモンド基体上に形成された第1級
アミノ基に、活性化ジエステルの一方のエステル基を脱
水縮合させて形成させておく方法があげられる。
【0017】活性化ジエステルとは、上記した活性エス
テル基を2つ有しているものをいう。エステル基は活性
化ジエステル中の両端に位置していることが好ましく、
炭素数0〜12、好ましくは0〜6のものが好ましい。
エステル基を除いた骨格部分は直鎖状飽和脂肪酸が好ま
しい。
【0018】活性化ジエステルを用いた方法として、同
様に塩素化し、次いでアミノ化後、このアミノ基に対
し、予めコハク酸(ジカルボン酸)をN−ヒドロキシス
クシンイミド活性エステル化して得られる活性化エステ
ルを反応させ、所望の基体を得る方法が挙げられる。
【0019】このようにカルボン酸修飾された基体表面
にオリゴヌクレオチドを介してDNAを固定化したもの
が本発明の再使用法の対象である。固定化するDNAに
ついては特に制限はなく、一本鎖のcDNA(compleme
ntary DNA:相補的DNA)、二本鎖のgDNA(genom
ic DNA:染色体DNA)のいずれであってもよく、また
鎖長についても特に制限はない。オリゴヌクレオチドに
ついては、結合したいDNAの種類により適宜選択す
る。一本鎖のcDNAを固定化する場合には、mRNA
を鋳型とする逆転写反応を利用すべく、オリゴヌクレオ
チドとして逆転写反応のプライマーとなるオリゴdT等
を用いることができる。一方、二本鎖のgDNAの固定
化は、制限酵素切断部位を利用して行うことができる
が、この場合には、オリゴヌクレオチドとしてDNA結
合側に制限酵素切断部位を有するものを用いることにな
る。
【0020】本発明においては、不要になったDNA固
定化基体を、酸又はアルカリ溶液に浸漬し、基体−DN
A間の酸アミド結合を加水分解によりはずしてアミノ基
修飾表面にする。加水分解に用いる酸は、塩酸等の鉱酸
であることが好ましいが、酸アミド結合を加水分解でき
るものであれば鉱酸のほか有機酸でもよい。また、アル
カリを加水分解に用いる場合は、アルカリ金属の水酸化
物を用いるのが望ましいが、アルカリ金属の炭酸塩等ア
ルカリ性を示す塩類を用いてもよい。
【0021】加水分解の条件は、酸加水分解の場合に
は、6M塩酸中にDNAが固定化されている基体を入
れ、80〜100℃で数時間〜24時間反応させて、基
体−DNA間の酸アミド結合を完全に加水分解する。ア
ルカリ加水分解の場合には、2M NaOH中にDNA
が固定化されている基体を入れ、室温で数時間〜24時
間反応させて、基体−DNA間の酸アミド結合を加水分
解する。
【0022】酸を用いて加水分解を行った場合には、基
体表面が陰イオンの状態になっている。このため、アル
カリに浸漬して陰イオンを除去し、水洗を行うことが望
ましい。一方、アルカリを用いて加水分解を行った場合
には、水洗のみでよい。
【0023】これにより、DNA固定化基体の基体−D
NA間の酸アミド結合が加水分解し、アミノ基修飾表面
が露出した状態となる。このような状態となったら、上
記と同様にしてカルボン酸修飾、オリゴヌクレオチド固
定、DNA固定を行い基体の再使用が可能である。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。 実施例1 基体としてダイヤモンド基体を使用した。以下、ダイヤ
モンド基体を単に基体と呼ぶ。
【0025】6N塩酸中にDNAを固定した基体を入
れ、95℃、5時間反応させ加水分解を行った後、基体
を水洗した(3回程度)。この状態では基体は塩酸塩に
なっているため、0.1Nカリウム溶液に浸漬し、塩素
イオンを除去する。基体を水洗し(3〜5回程度)、ア
ミノ基修飾表面とした。
【0026】クロロホルム1mLの中に、0.1mmo
lのコハク酸クロライドを加え、その中に上記の再利用
可能になったアミノ基修飾基体を挿入し、室温で30分
反応させた。ついで基体をクロロホルムで洗浄・乾燥
し、純水中に1時間浸漬し、最後に純水で洗浄し(3〜
5回程度)、コハク酸修飾表面とした。
【0027】0.1mmolの水溶性カルボジイミドと
0.1mmolのヒドロキシスクシンイミドを90%
1,4−ジオキサン1mLに溶解させ、コハク酸修飾し
た基体を浸漬し、振り混ぜながら高温で15分反応させ
た。基体を取り出し1,4−ジオキサン(2〜4回程
度)および純水(3〜5回程度)で洗浄した。
【0028】制限酵素(EcoRI)部位を含み、かつ
5’末端に(dA)を含むオリゴヌクレオチドを溶解
した水溶液(濃度:500fmol/μL 基体1枚に
つき50μL)に基体を浸漬し、室温で1時間反応させ
た。
【0029】固定化したオリゴヌクレオチドと相補的配
列を持ったオリゴヌクレオチド水溶液(濃度:500f
mol/μL 基体1枚につき50μL)に4℃、30
分浸漬し、ハイブリダイズさせた。
【0030】EcoRI反応液中に基体を浸漬し、37
℃、1時間反応させ、反応液を4℃に冷却後、基体を取
り出し、4℃に冷却した滅菌水で洗浄し(3〜5回程
度)、次に4℃に冷却した60% エタノール水溶液で
洗浄した後に、軽く(エタノールが蒸発するまで)乾燥
させる。
【0031】λDNAをEcoRIで処理して得られる
21kbpフラグメントを加えたリガーゼ溶液に、基体
を浸漬し、4℃で一晩反応させ、DNAを固定化させ
た。
【0032】加水分解およびDNAの再固定化の確認を
行うために、21kbp λDNAフラグメント内の5
00bpフラグメントを増幅するプライマーを用いてP
CRを行い、DNA増幅の有無により確認を行った。図
1にその結果を示す。図1は、固定化および再固定化の
確認の結果を示す泳動写真である。図1において、泳動
写真の下部に記載した符号のMは100bpラダーマー
カーを示し、レーン0は加水分解前の基体を、レーン
1,2は加水分解後の基体を、レーン3,4は再固定化
後の基体の結果をそれぞれ示す。
【0033】図1に示すように、加水分解後の基体は、
加水分解によりDNAが基体から離れ、再固定化により
DNAが固定化していることを確認した。
【0034】
【発明の効果】本発明の再使用法によれば、不要になっ
たDNA固定化基体について、DNAを完全に除去して
新たなDNAを結合させることができる。また、本発明
の再使用法は、特別な試薬や装置を必要としないので、
簡便かつ安価に行うことができる。さらに、高価なDN
A固定化基体を再利用できるので、遺伝子診断等DNA
固定化基体を利用する診断や研究を経済的に進めること
もできる。したがって、本発明の再使用法は、医療分野
や、分子生物学、生化学、遺伝子工学の各分野において
有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】固定化および再固定化の確認の結果を示す泳動
写真である。
【符号の説明】
Mは100bpラダーマーカーを示し、レーン0は加水
分解前の基体を、レーン1,2は加水分解後の基体を、
レーン3,4は再固定化後の基体の結果をそれぞれ示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹花 通文 山口県下松市東豊井1296番地の1 東洋鋼 鈑株式会社技術研究所内 (72)発明者 岡村 浩 山口県下松市東豊井1296番地の1 東洋鋼 鈑株式会社技術研究所内 (72)発明者 高橋 浩二郎 広島県広島市南区宇品御幸1丁目9番26号 (72)発明者 高井 修 広島県広島市南区宇品東2丁目2番29号 株式会社日本パーカーライジング広島工場 テクノセンター内 Fターム(参考) 4B024 AA20 CA01 HA11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 DNAがオリゴヌクレオチドを介して酸
    アミド結合により固定化されているDNA固定化基体か
    ら、固定されているDNAを除去して新たなDNAを固
    定可能な状態とするにあたり、基体−DNA間の酸アミ
    ド結合を酸又はアルカリで加水分解することを特徴とす
    る、DNA固定化基体の再使用法。
  2. 【請求項2】 DNAが酸アミド結合により固定化され
    ているDNA固定化基体を、基体−DNA間の酸アミド
    結合を酸で加水分解後、アルカリに浸漬して陰イオンを
    除去して、基体表面をアミノ基修飾表面にすることを特
    徴とするDNA固定化基体の再使用法。
  3. 【請求項3】 DNAが酸アミド結合により固定化され
    ているDNA固定化基体を、基体−DNA間の酸アミド
    結合をアルカリで加水分解して、基体表面をアミノ基修
    飾表面にすることを特徴とするDNA固定化基体の再使
    用法。
  4. 【請求項4】 加水分解に用いる酸が、鉱酸及び有機酸
    の1種または2種以上の酸である、請求項1又は2記載
    のDNA固定化基体の再使用法。
  5. 【請求項5】 加水分解に用いるアルカリが、アルカリ
    金属の水酸化物及び/又はアルカリ金属の塩類である、
    請求項1又は3記載のDNA固定化基体の再使用法。
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