JP2002195876A - 振動計測方法及び振動計測システム - Google Patents

振動計測方法及び振動計測システム

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JP2002195876A
JP2002195876A JP2000393515A JP2000393515A JP2002195876A JP 2002195876 A JP2002195876 A JP 2002195876A JP 2000393515 A JP2000393515 A JP 2000393515A JP 2000393515 A JP2000393515 A JP 2000393515A JP 2002195876 A JP2002195876 A JP 2002195876A
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acoustic tube
sound
opening
sound pressure
vibration
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JP2000393515A
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Masahiro Nakamura
政弘 中村
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Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 簡単な設備で、被測定面近傍の音源の影響を
排除することができ、且つ短時間で測定可能な非接触に
よる振動計測方法の提供。 【解決手段】 第1の音響管11を開口11aが被測定
面1aから距離hだけ離間するように配置し、第1の音
響管11内で開口11aから所定距離Ln だけ離間した
位置にて被測定面1aから発せられる音の音圧P0 を測
定し、所定面積Si を有し振動速度Vi で振動する振動
板17を、第1の音響管11とほぼ等しい伝搬特性を発
揮し得る第2の音響管15内に開口15aから所定距離
Ln だけ離間するように配置し、第2の音響管15外で
開口15aと対向し且つ開口15aから所定距離hだけ
離間する位置にて振動板17から発せられる音の音圧P
i を測定し、面積Si と振動速度Vi と音圧Pi とから
Hpi=Si ×Vi /Pi に従って伝搬特性Hpiを算出
し、該伝搬特性Hpiと音圧P0 とからV0 =P0 ×Hpi
に従って被測定面の体積速度Q0 を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造体の表面振動
を計測する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に構造物の振動を計測するには、加
速度計が広く用いられている。しかし、騒音の発生し易
い薄板構造の表面振動の計測やスピーカの振動面の計測
などのように質量の小さい部分の振動を計測する場合、
小型の加速度計を用いてもその質量が計測値に影響を与
えてしまうという不都合があった。
【0003】これに対し、振動速度を非接触で求める手
法によれば、質量の小さい部分の振動計測を正確に行う
ことが可能である。このような手法として、レーザー・
ドップラー速度計(LDV)を用いる方法や、音響イン
テンシティ法や、音響ホログラフィ法などが知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】音響インテンシティ法
は、広く利用されており、粒子速度計測法としても良く
知られているが、被測定部分の近傍に強い音源が存在す
ると、その影響を受けやすく計測誤差が増大する可能性
が高いという問題がある。また、LDVを用いる方法や
音響ホログラフィ法では、設備が大掛かりで高価である
という不都合があり、特にLDVを用いる方法では、被
測定部分の反射率の変化や形状の影響を受け易く、調整
時間を含めた測定時間に多大な時間を要するという問題
もある。
【0005】本発明は上記の実情に鑑みてなされたもの
であって、大掛かりな設備を必要とせず、被測定面近傍
の音源の影響を排除することができ、且つ短時間で測定
可能な非接触による構造体の振動計測方法及び振動計速
システムの提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明に係る振動計測方法は、一端に開口を有する第1
の音響管を該開口が被測定面から所定距離hだけ離間す
るように配置し、前記第1の音響管内で前記開口から所
定距離Ln だけ離間した位置にて前記被測定面から発せ
られる音の音圧P0 を測定し、所定面積Si を有し振動
速度Vi で振動する振動板を、一端に開口を有し前記第
1の音響管とほぼ等しい伝搬特性を発揮し得る第2の音
響管内に前記開口から前記所定距離Ln だけ離間するよ
うに配置し、前記第2の音響管外で前記開口と対向し且
つ該開口から前記所定距離hだけ離間する位置にて前記
振動板から発せられる音の音圧Pi を測定し、前記面積
Si と振動速度Vi と音圧Pi とから次式 Hpi=Si ×Vi /Pi に従って伝搬特性Hpiを算出し、該伝搬特性Hpiと音圧
P0 とから次式 V0 =P0 ×Hpi に従って被測定面の体積速度Q0 を算出するものであ
る。
【0007】本発明に係る振動計測システムは、第1の
音圧測定装置と、第2の音圧測定装置と、演算部とを備
えている。
【0008】前記第1の音圧測定装置は、一端に開口を
有し該開口が被測定面から所定距離hだけ離間するよう
に配置された第1の音響管と、前記開口から所定距離L
n だけ離間するように前記第1の音響管内に配置され前
記被測定面から発せられる音の音圧P0 を測定する第1
の音圧測定部と、を有する。前記第2の音圧測定装置
は、一端に開口を有し前記第1の音響管とほぼ等しい伝
搬特性を発揮し得る第2の音響管と、前記開口から前記
所定距離Ln だけ離間するように前記第2の音響管内に
配置され所定面積Si を有し振動速度Vi で振動する振
動板と、前記開口から前記所定距離hだけ離間した位置
で該開口と対向するように前記第2の音響管外に配置さ
れ前記振動板から発せられる音の音圧Pi を測定する第
2の音圧測定部と、を有する。前記演算部は、前記面積
Si と振動速度Vi と音圧Pi とから次式 Hpi=Si ×Vi /Pi に従って伝搬特性Hpiを算出し、該伝搬特性Hpiと音圧
P0 とから次式 V0 =P0 ×Hpi に従って被測定面の体積速度Q0 を算出する。
【0009】上記計測方法及び計測システムによれば、
被測定面に対して非接触状態で被測定面の体積速度Q0
が求められる。また、構造上大きな装置を含まないため
大掛かりな設備を必要とせず、被測定面以外からの放射
音は第1の音響管の外壁で反射されるので被測定面近傍
の音源の影響を排除することができ、さらに、被測定面
の反射率の変化や形状の影響を受け難く調整時間が不要
であるため短時間で測定することができる。
【0010】上記計測方法及び計測システムにおいて、
前記第1の音響管の他端を閉塞しても良い。これによ
り、被測定面以外からの放射音の影響をさらに確実に排
除することができ、測定精度が向上する。また、第2の
音響管の他端を同様に閉塞しても良い。
【0011】上記計測方法及び計測システムにおいて、
前記第1及び第2の音響管の各内周面上の少なくとも一
部に、吸音材を配置しても良い。これにより、第1及び
第2の音響管内において共鳴の発生が抑制され、測定精
度が向上する。
【0012】上記測定方法及び測定システムにおいて、
前記第1の音響管と前記第2の音響管とが共通する1つ
の音響管であっても良い。これにより、第1の音響管と
第2の音響管とが確実に等しい伝搬特性を発揮し得るの
で、測定精度が向上する。また、複数の音響管を設ける
必要がないので、システムの簡素化が図られる。
【0013】上記測定方法及び測定システムにおいて、
前記第1及び第2の音響管の断面積は、対象上限周波数
に対して平面波となる面積よりも小さく設定されること
が好ましい。これにより、被測定面及び振動板からの放
射音はそれぞれ第1及び第2の音響管内を減衰すること
なく伝搬されるので、測定精度が向上する。
【0014】上記測定方法及び測定システムにおいて、
前記第2の音響管外で前記開口と対向し且つ該開口から
前記所定距離hだけ離間する位置に剛性の高い部材の表
面上で前記振動板から発せられる音の音圧Pi を測定し
ても良く、また、前記第1の音響管を前記被測定面の法
線方向に沿って配置しても良い。
【0015】さらに、被測定面の振動速度V0 を体積速
度Q0 と被測定面の面積S0 とから次式 V0 =Q0 /S0 に従って算出しても良い。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を、図
面に基づいて説明する。
【0017】図1(a)は本実施形態の第1の音圧測定
装置の模式図、図1(b)は本実施形態の第2の音圧測
定装置の模式図、図2(a)は第1の音響管がない状態
を示す模式図、図2(b)は第1の音響管がある状態を
示す模式図である。
【0018】まず、本実施形態に係る計測システムの基
本構成について説明する。
【0019】図1(a)及び図1(b)に示すように、
本実施形態に係る計測システムは、第1の音圧測定装置
3と、第2の音圧測定装置5と、演算部7,9とを備え
ている。
【0020】測定対象である振動壁1の任意の分割面
(被測定面)1aは所定面積S0 を有し、第1の音圧測
定装置3は第1の音響管11と第1のマイクロホン(第
1の音圧測定部)13とを備えている。第1の音響管1
1は、同一の断面形状がその中心軸に沿って直線状に連
続する金属又は樹脂製の筒状体であり、その両端には前
記断面形状を呈する開口11a,11bが形成されてい
る。第1の音響管11は分割面1aの法線方向に沿って
配置され、一端の開口11aは分割面1aから所定距離
hだけ離間している。マイクロホン13は、開口1aか
ら中心軸に沿って所定距離Ln だけ離間するように第1
の音響管11内に配置され、分割面1aから発せられる
音の音圧P0 を測定して演算部9へ出力する。演算部9
は、後述する方法によって体積速度Q0 及び/又は振動
速度V0 を算出し出力する。
【0021】第2の音圧測定装置5は、第2の音響管1
5と、振動板17を有するスピーカ19と、剛性の高い
支持板21と、第2のマイクロホン(第2の音圧測定
部)23とを備えている。
【0022】第2の音響管15は、第1の音響管11と
同様に、同一の断面形状がその中心軸に沿って直線状に
連続する金属又は樹脂製の筒状体であり、その両端には
前記断面形状を呈する開口15a,15bが形成されて
いる。第2の音響管15は、第1の音響管11とほぼ等
しい伝搬特性を発揮し得るように、第1の音響管11と
ほぼ等しい形状、大きさ、及び材質を有している。な
お、これらの要素は必ずしも同一である必要はなく、例
えば遮音性が極めて高い状態が得られれば両者の材質は
相違していても構わない。
【0023】振動板17は、一端の開口15aから中心
軸に沿って所定距離Ln だけ離間するように第2の音響
管15内に配置されている。振動板17は、所定面積S
i を有し、振動速度Vi で振動する。支持板21は、第
2の音響管15外で開口15aと対向し且つ開口15a
から所定距離hだけ離間する位置に、第2の音響管15
の中心軸に対してほぼ垂直に配置されている。マイクロ
ホン23は、開口15aから所定距離hだけ離間した位
置で支持板21の外面上に固定され、振動板17から発
せられる音の音圧Pi を測定して演算部7へ出力する。
演算部7は、後述する方法によって伝搬特性Hpiを算出
し出力する。
【0024】このように、第1の音圧測定装置3と第2
の音圧測定装置5とは、音の伝搬特性に関して等価に構
成されている。
【0025】次に、本実施形態に係る計測方法について
説明する。
【0026】第1の音圧測定装置3と第2の音圧測定装
置5とは、音の伝搬特性に関して等価に構成されている
ため、相反定理から、分割面1aの体積速度Q0 、マイ
クロホン13によって検出される音圧P0 、振動板17
の体積速度Qi 、マイクロホン23によって検出される
音圧Pi 、及び伝搬特性Hpiとの間には、次式(1)の
関係が成立する。
【0027】Q0 /P0 =Qi /Pi =Hpi …(1) ここで、体積速度Q0 は、分割面1aの面積S0 及び振
動速度V0 により、体積速度Qi は、振動板17の面積
Si 及び振動速度Vi により、それぞれ次式(2),
(3)に従って求められる。
【0028】Q0 =S0 ×V0 …(2) Qi =Si ×Vi …(3) 従って、式(1),(2),(3)から、次式(4),
(5),(6)が求められる。
【0029】Hpi=Si ×Vi /Pi …(4) Q0 =P0 ×Hpi …(5) V0 =P0 ×Hpi/S0 …(6) 分割面1aから放射される音の体積速度Q0 及び/又は
振動速度V0 を測定する場合、まず、第2の音圧測定装
置5が使用され、スピーカ19(振動板17)から放射
される音の音圧Pi がマイクロホン23によって検出さ
れて演算部7へ入力される。演算部7には、振動板17
の面積Si 及び振動速度Vi が予め入力され記憶されて
おり、これらPi ,Si ,Vi から式(4)に従って伝
搬特性Hpiが算出される。
【0030】次に、第1の音圧測定装置3が使用され、
分割面1aから放射される音の音圧P0 がマイクロホン
13によって検出されて演算部9へ入力される。演算部
9には、演算部7によって算出された伝搬特性Hpi及び
分割面1aの面積S0 が予め入力され記憶されており、
これらP0 ,Hpi,S0 から式(5)及び/又は(6)
に従って分割面1aの体積速度Q0 及び/又は振動速度
V0 が算出される。なお、体積速度Q0 のみが算出され
る場合には、分割面1aの面積S0 は演算部9に入力さ
れなくても良い。
【0031】このような計測方法及び計測システムによ
れば、分割面1aに対して非接触状態で分割面1aの体
積速度Q0 及び/又は振動速度V0 を求めることができ
る。
【0032】また、構造上大きな装置を含まないため、
大掛かりな設備を必要とすることがない。
【0033】また、分割面1a以外からの放射音は、第
1の音響管11の外壁で反射される。例えば、図2
(a)に示すように、第1の音響管11を設けない状態
で、分割面1aの近傍の音圧Pm をマイクロホン25に
よって計測すると、検出される音圧Pm は隣接する分割
面からの振動放射音Pj の漏れ込みの影響を受ける。こ
のため、測定対象である分割面1aのみからの放射音の
検出が難しい。これに対し、図2(b)に示すように、
第1の音響管11を設けた状態では、分割面1a以外か
らの放射音は第1の音響管11の外壁で反射され、分割
面1aの振動速度V0 に応じた平面波のみが音響管11
の内部に伝搬され、マイクロホン11によってその音圧
P0 を計測することができる。すなわち、分割面1a近
傍の音源の影響を排除することができる。
【0034】さらに、被測定面(分割面1a)の反射率
の変化や形状の影響を受け難く調整時間が不要であるた
め、極めて短時間で測定することができる。
【0035】なお、第1の音響管11及び第2の音響管
15の断面形状は、特に限定されるものではなく、円
形、矩形等の様々な形状が適用され得る。
【0036】また、第1の音響管11と第2の音響管1
5とは、共通する1つの音響管であっても良い。これに
より、第1の音響管と第2の音響管とが確実に等しい伝
搬特性を発揮し得るので、測定精度が向上する。また、
複数の音響管を設ける必要がないので、システムの簡素
化が図られる。
【0037】また、第1及び第2の音響管11,15の
断面積は、対象上限周波数に対して平面波となる面積よ
りも小さく設定されていること、例えば、第1及び第2
の音響管11,15の内周面の断面形状が分割面1aの
外周縁とほぼ等しい形状又はこの形状を完全に内側に含
む大きさ及び形状に設定されていることが好ましい。こ
れにより、分割面11a及び振動板17からの放射音は
それぞれ第1及び第2の音響管11,15内を減衰する
ことなく伝搬されるので、測定精度が向上する。
【0038】また、第1及び第2の音響管11,15の
各内周面上に吸音材27を貼着して配置することによ
り、第1及び第2の音響管11,15内において共鳴の
発生が抑制され、測定精度が向上する。共鳴の抑制効果
は、第1及び第2の音響管11,15の各内周面の全域
に設けられていなくても発揮され、例えば、音響管1
1,15が円筒状の場合は図3(a)に示すように半周
の領域に設ければその効果が十分に得られ、矩形筒状の
場合は図3(b)に示すように4箇所の内面のうち1箇
所の内面全域に設ければその効果が十分に得られる。な
お、第2の音響管15の構成は第1の音響管11とほぼ
同様であるため、その図示を省略している。
【0039】さらに、第1の音響管11の他端11bを
閉塞することにより、分割面1a以外からの放射音の影
響をさらに確実に排除することができ、測定精度が向上
する。この場合、他端11bを音響管11と一体的に形
成された蓋体等によって閉塞することも可能であるが、
図4に示すように吸音材29によって閉塞する方がより
好ましく、さらに内周面上の吸音材27と共に設けるこ
とが最も好ましい。また、第2の音響管15の他端15
bを同様に閉塞することにより、第2の音響管15にお
いても外部から影響を排除することができる。
【0040】次に、本実施形態に係る計測システムを用
いた行った実験について説明する。
【0041】図5(a)に示すように、実験で使用され
た第1の音圧測定装置3では、騒音源である振動壁1
は、厚さ2mmの鉄板により矩形板体状に形成され、支持
台31に固定されている。支持台31は、一面に開放面
を有する箱体状に形成され、開放面が水平方向を向くよ
うに配置されている。振動壁1は、支持台31の開放面
を閉塞するように開放面の周縁部分に複数のボルトによ
って締結されている。スピーカ33は、支持台31内の
振動壁1と相対向する面上に固定されている。支持台3
1は、スピーカ33から放射された音が音響加振により
振動壁1のみから放射されるように、十分な厚さ10mm
を有する鉄板によって形成されている。音源である振動
壁1の外面は20分割(縦4列×横5列)され、一つの
分割面1aは80mm×80mmの略正方形に設定されてい
る。
【0042】第1の音響管11は、分割面1aとほぼ等
しい断面形状及び大きさを有する矩形筒体状に形成さ
れ、図示外のトラバース装置に取り付けられている。ト
ラバース装置は、第1の音響管11を、振動壁1の外面
(分割面1a)の法線方向に沿った状態で分割面1aに
対して平行な方向及び垂直な方向に移動自在に支持して
いる。音響管11の長さLは、音響管11内の音圧が廻
り込みの影響を受けないように40mmに設定されてい
る。また、音響管11の開口11aからマイクロホン1
3までの距離Ln は、振動壁1(分割面1a)からの放
射音が確実に平面波となるように30mmに設定されてい
る。
【0043】振動壁1からの放射音の計測は、トラバー
ス装置によって第1の音響管11を各分割面1aに対し
て移動させ、パワーアンプ39からスピーカ33への入
力電圧Eを基準に音響管11内の音圧Pi をマイクロホ
ン13で計測することにより行った。この際、各分割面
1aに対する音響管11の位置は、音響管11が各分割
面1aの法線方向に沿って配置され且つ音響管11の一
端の開口11aが各分割面1aから所定距離hだけ離間
するように調整した。この距離hに関しては、1mm,5m
m,15mmの3条件について計測した。
【0044】同時に、本実験により得られた結果との比
較のため、各分割面1aに図示外の反射テープを貼付
し、非接触型のレーザ振動計(LDV)37を用いて各
分割面1a毎に光軸の調整を行いながら振動速度の計測
を行った。LDV37を用いたのは、加速度計による質
量の影響を排除するためである。
【0045】図5(b)に示すように、実験に使用され
た第2の音圧測定装置5では、支持板21が、十分な剛
性を有する厚さ30mmの鉄材で形成されている。マイク
ロホン23は、その集音部が第2の音響管15の一端の
開口15aと相対向する支持板21の外面上に位置する
ように、支持板21に埋め込まれている。第2の音響管
15は第1の音響管11とほぼ等しい大きさ及び形状を
有し、支持板21に対しその法線方向に沿うように配置
されている。第2の音響管15内のスピーカ19の図示
外の振動板の面積は、予め所定面積S0 に設定されてい
る。
【0046】スピーカ19からの放射音の計測は、スピ
ーカ19からの放射音の音圧P0 をパワーアンプ43か
らスピーカ19への入力電圧eを基準にマイクロホン2
3で計測することにより行った。マイクロホン23と音
響管15の開口15aとの前記法線方向に沿った距離h
に関しては、1mm,5mm,15mmの3条件について計測
した。
【0047】同時に、スピーカ19内の図示外の振動板
の振動速度V0 を図示外のLDVによって計測した。L
DVを用いたのは、振動板の質量が非常に小さく、接触
型ではその重さによる影響を受けて分割振動やローリン
グが発生し易いためである。
【0048】マイクロホン23により計測されたスピー
カ19からの放射音の音圧Pi は、演算部7としての高
速演算装置(FFT)41へ入力される。FFT41に
は、振動板17の面積Si 及びLDVにより計測された
振動速度Vi が予め入力され記憶されており、Pi ,S
i ,Vi から前記式(4)に従って各距離h毎に伝搬特
性Hpiが算出され、出力される。
【0049】第1の音圧測定装置3のマイクロホン13
により計測された分割面1aからの放射音の音圧P0
は、演算部9としての高速演算装置(FFT)35へ入
力される。FFT35には、FFT41によって算出さ
れた伝搬特性Hpi及び分割面1aの面積S0 が予め入力
され記憶されており、これらP0 ,Hpi,S0 から前記
式(5)及び/又は(6)に従って体積速度Q0 が分割
面1a毎に算出され、最終的にその加算値ΣQ0 が出力
される。また、LDV37により計測された振動速度も
FFT35へ入力される。FFT35では、LDV37
により計測された振動速度に分割面1aの面積S0 を乗
じることにより本実験における体積速度の理論値が分割
面1a毎に算出され、最終的にその加算値ΣQt が出力
される。
【0050】次に、本実験の結果について、図6〜図9
に基づき説明する。
【0051】図6には、FFT41から出力された各距
離h毎の伝搬特性Hp が表されている。図6に示される
ように、距離hによるレベル差はあるものの、周波数特
性は同一傾向を示し、距離hが増えるとレベルも増加す
ることが確認された。
【0052】図7〜図9には、相反定理に基づいた上記
関係式(5)を用いて、分割面1a毎に算出した体積速
度特性の加算値(実験値)ΣQ0 と、同様にLDV37
で直接的に計測した振動速度から分割面1a毎に求めた
体積速度特性の加算値(理論値)ΣQn とが、音源であ
る矩形の振動壁1と音響管11との間の各距離(h=1
mm,5mm,15mm)毎に表されている。なお、図7〜図
9において、実験値ΣQ0 は破線で、理論値ΣQn は実
線でそれぞれ表示されている。
【0053】また、本実験において、実験値ΣQ0 を求
めるための計測時間は、LDV37を用いた計測時間
(理論値ΣQn を求めるための計測時間)に比べて、1
/5程度に短縮可能であることが確認された。
【0054】図7に示すように、距離h=1mmの場合
は、1KHzまで各ピーク及びレベルが良好に一致し、
その差がほぼ±3dB以内であることが確認された。
【0055】図8に示すように、距離h=5mmの場合
は、300Hz以下で4〜5dBの差があるが、その他
の領域では1KHzまでその差がほぼ±3dB以内であ
ることが確認された。
【0056】図9に示すように、距離h=15mmの場合
は、1KHzまでのピークはほぼ一致するが、レベルは
全体的に+5〜+10dBの差を生じ、特に500Hz
以下での差が大きいことが確認された。
【0057】以上の実験結果により、相反定理により音
響管15とマイクロホン23を用いた簡便な方法によ
り、振動壁1から音響管15を含めた伝搬特性Hpiを精
度良く求めることができることが確認された。
【0058】また、求めた伝搬特性Hpiと音響管11で
計測した音圧P0 とを用いることにより、振動構造物の
体積速度特性を精度良く簡便に求めることができること
が確認された。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る計測
方法及び計測システムによれば、被測定面に対して非接
触状態で被測定面の体積速度Q0 が求められる。また、
構造上大きな装置を含まないため大掛かりな設備を必要
とせず、被測定面以外からの放射音は第1の音響管の外
壁で反射されるので被測定面近傍の音源の影響を排除す
ることができ、さらに、被測定面の反射率の変化や形状
の影響を受け難く調整時間が不要であるため短時間で測
定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本実施形態の第1の音圧測定装置
の模式図、図1(b)は本実施形態の第2の音圧測定装
置の模式図である。
【図2】図2(a)は第1の音響管がない状態を示す模
式図、図2(b)は第1の音響管がある状態を示す模式
図である。
【図3】図3(a)は円筒状の音響管の内周面に消音材
を貼着した状態を示す断面図、図3(b)は矩形筒体状
の音響管の内面に消音材を貼着した状態を示す断面図で
ある。
【図4】他端が消音材で閉塞された音響管を示す断面図
である。
【図5】図5(a)は図1(a)に対応する実験装置の
模式図、図5(b)は図1(b)に対応する実験装置の
模式図である。
【図6】本実施形態に係る実験により求められた各距離
h毎の伝搬特性を表わす図である。
【図7】距離h=1mmの場合における体積速度特性の加
算値の実験値と理論値とを表す図である。
【図8】距離h=5mmの場合における体積速度特性の加
算値の実験値と理論値とを表す図である。
【図9】距離h=15mmの場合における体積速度特性の
加算値の実験値と理論値とを表す図である。
【符号の説明】
1 振動壁 1a 振動壁の分割面(被測定面) 3 第1の音圧測定装置 5 第2の音圧測定装置 7 演算部 9 演算部 11 第1の音響管 13 マイクロホン(第1の音圧測定部) 15 第2の音響管 17 振動板 19 スピーカ 23 マイクロホン(第2の音圧測定部)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月9日(2001.1.9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 振動計測方法及び振動計測システム

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端に開口を有する第1の音響管を該開
    口が被測定面から所定距離hだけ離間するように配置
    し、 前記第1の音響管内で前記開口から所定距離Ln だけ離
    間した位置にて前記被測定面から発せられる音の音圧P
    0 を測定し、 所定面積Si を有し振動速度Vi で振動する振動板を、
    一端に開口を有し前記第1の音響管とほぼ等しい伝搬特
    性を発揮し得る第2の音響管内に前記開口から前記所定
    距離Ln だけ離間するように配置し、 前記第2の音響管外で前記開口と対向し且つ該開口から
    前記所定距離hだけ離間する位置にて前記振動板から発
    せられる音の音圧Pi を測定し、 前記面積Si と振動速度Vi と音圧Pi とから次式 Hpi=Si ×Vi /Pi に従って伝搬特性Hpiを算出し、 前記伝搬特性Hpiと音圧P0 とから次式 Q0 =P0 ×Hpi に従って被測定面の体積速度Q0 を算出することを特徴
    とする振動計測方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の振動計測方法であっ
    て、 前記第1の音響管の他端は、閉塞されていることを特徴
    とする振動計測方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の振動計測
    方法であって、 前記第1及び第2の音響管の各内周面上の少なくとも一
    部には、吸音材が配置されていることを特徴とする振動
    計測方法。
  4. 【請求項4】 一端に開口を有し該開口が被測定面から
    所定距離hだけ離間するように配置された第1の音響管
    と、前記開口から所定距離Ln だけ離間するように前記
    第1の音響管内に配置され前記被測定面から発せられる
    音の音圧P0を測定する第1の音圧測定部と、を有する
    第1の音圧測定装置と、 一端に開口を有し前記第1音響管とほぼ等しい伝搬特性
    を発揮し得る第2の音響管と、前記開口から前記所定距
    離Ln だけ離間するように前記第2の音響管内に配置さ
    れ所定面積Si を有し振動速度Vi で振動する振動板
    と、前記開口から前記所定距離hだけ離間した位置で該
    開口と対向するように前記第2の音響管外に配置され前
    記振動板から発せられる音の音圧Pi を測定する第2の
    音圧測定部と、を有する第2の音圧測定装置と、 前記面積Si と振動速度Vi と音圧Pi とから次式 Hpi=Si ×Vi /Pi に従って伝搬特性Hpiを算出し、該伝搬特性Hpiと音圧
    P0 とから次式 V0 =P0 ×Hpi に従って被測定面の体積速度Q0 を算出する演算部と、 を備えたことを特徴とする振動計測システム。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の振動計測システムであ
    って、 前記第1の音響管の他端は、閉塞されていることを特徴
    とする振動計測システム。
  6. 【請求項6】 請求項4又は請求項5に記載の振動計測
    システムであって、 前記第1及び第2の音響管の各内周面上の少なくとも一
    部には、吸音材が配置されていることを特徴とする振動
    計測システム。
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