JP2002195760A - 炉壁れんが補修体および炉壁れんが補修方法 - Google Patents
炉壁れんが補修体および炉壁れんが補修方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 炉壁れんが補修体が欠落した場合において
も、築炉構造物の基材である基体炉壁れんがを損なうこ
とのない炉壁れんが補修体および補修方法の提供。 【解決手段】 炉壁れんがに施されるれんが補修体であ
って、れんが補修体が複数の補修層を接着して形成さ
れ、各補修層間の少なくとも1ヶ所の補修層間の接着強
度が、炉壁れんがと接する補修層と炉壁れんがとの接着
強度よりも小なる炉壁れんが補修体、および、珪石質れ
んがから構成される炉壁れんがに複数の補修層を接着す
る炉壁れんが補修方法であって、炉壁れんがと接する補
修層を、珪石粉を85mass%以上、より好ましくは90mass
%以上含有する溶射材料の火炎溶射によって形成した
後、少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を、珪石粉
を含有する溶射材料の火炎溶射によって形成し、かつ後
者の溶射材料として該溶射材料の最大粒径が前者の溶射
材料の最大粒径よりも大なる溶射材料を用いる炉壁れん
が補修方法。
も、築炉構造物の基材である基体炉壁れんがを損なうこ
とのない炉壁れんが補修体および補修方法の提供。 【解決手段】 炉壁れんがに施されるれんが補修体であ
って、れんが補修体が複数の補修層を接着して形成さ
れ、各補修層間の少なくとも1ヶ所の補修層間の接着強
度が、炉壁れんがと接する補修層と炉壁れんがとの接着
強度よりも小なる炉壁れんが補修体、および、珪石質れ
んがから構成される炉壁れんがに複数の補修層を接着す
る炉壁れんが補修方法であって、炉壁れんがと接する補
修層を、珪石粉を85mass%以上、より好ましくは90mass
%以上含有する溶射材料の火炎溶射によって形成した
後、少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を、珪石粉
を含有する溶射材料の火炎溶射によって形成し、かつ後
者の溶射材料として該溶射材料の最大粒径が前者の溶射
材料の最大粒径よりも大なる溶射材料を用いる炉壁れん
が補修方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業用炉体を形成
する炉壁れんがの補修体および炉壁れんがの補修方法に
関し、特にはコークス炉炭化室内壁の炉壁れんがの補修
体および炉壁れんがの補修方法に関する。
する炉壁れんがの補修体および炉壁れんがの補修方法に
関し、特にはコークス炉炭化室内壁の炉壁れんがの補修
体および炉壁れんがの補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】工業炉、特に鉄鋼設備としてのコークス
炉、高炉、製鋼炉などの築炉構造物の炉体に配設される
炉壁れんがは、乾留石炭、溶銑、溶鋼、スラグなどの溶
融物に接し、1000℃以上の高温という苛酷な環境条件に
さらされる。特に、コークス炉炭化室からのコークス押
し出し作業時や、製鋼炉での溶銑・溶鋼の注湯、貯留、
排出などの作業時には、これら炉体の内壁の炉壁れんが
は著しい温度変動に遭遇する。
炉、高炉、製鋼炉などの築炉構造物の炉体に配設される
炉壁れんがは、乾留石炭、溶銑、溶鋼、スラグなどの溶
融物に接し、1000℃以上の高温という苛酷な環境条件に
さらされる。特に、コークス炉炭化室からのコークス押
し出し作業時や、製鋼炉での溶銑・溶鋼の注湯、貯留、
排出などの作業時には、これら炉体の内壁の炉壁れんが
は著しい温度変動に遭遇する。
【0003】したがって、これらの内壁は、単に前記溶
融物が浸潤して溶損するだけでなく、熱スポーリングに
よる亀裂や剥離などによる損傷が頻繁に発生する。この
ような種々の損傷要因に対処するためには、設計あるい
は築炉の段階で適切な材質のれんがを選択すると共に、
その寿命を延長するために、途中で補修することも必要
である。
融物が浸潤して溶損するだけでなく、熱スポーリングに
よる亀裂や剥離などによる損傷が頻繁に発生する。この
ような種々の損傷要因に対処するためには、設計あるい
は築炉の段階で適切な材質のれんがを選択すると共に、
その寿命を延長するために、途中で補修することも必要
である。
【0004】このため、炉壁の補修技術として、例え
ば、耐火物損傷部に補修材料を熱間で吹き付ける火炎溶
射補修法が盛んに試みられている。特に、コークス炉に
おいては、連続操業の観点から炉温を下げることができ
ず、熱間での補修が必須なことから、火炎溶射補修法が
有効である。以下、工業炉の炉壁れんがの補修方法を、
コークス炉炭化室内壁などを例に挙げて説明する。
ば、耐火物損傷部に補修材料を熱間で吹き付ける火炎溶
射補修法が盛んに試みられている。特に、コークス炉に
おいては、連続操業の観点から炉温を下げることができ
ず、熱間での補修が必須なことから、火炎溶射補修法が
有効である。以下、工業炉の炉壁れんがの補修方法を、
コークス炉炭化室内壁などを例に挙げて説明する。
【0005】一般的に、火炎溶射補修法は、プロパンガ
ス、アセチレンガスなどの可燃性ガスと酸素ガスなど酸
素含有ガスである支燃性ガスの供給で形成される燃焼火
炎内に、耐火材粉あるいは金属粉と耐火材粉の混合物、
いわゆる溶射補修材を供給し、これらの溶射補修材を溶
融もしくは半溶融の状態とし炉壁損傷部を補修する。こ
の場合、溶射補修材が融着しやすいように、炉壁の温度
は高い方が好ましい。
ス、アセチレンガスなどの可燃性ガスと酸素ガスなど酸
素含有ガスである支燃性ガスの供給で形成される燃焼火
炎内に、耐火材粉あるいは金属粉と耐火材粉の混合物、
いわゆる溶射補修材を供給し、これらの溶射補修材を溶
融もしくは半溶融の状態とし炉壁損傷部を補修する。こ
の場合、溶射補修材が融着しやすいように、炉壁の温度
は高い方が好ましい。
【0006】このため、通常、コークス炉においてはコ
ークスの押し出し後、転炉においては出鋼排滓後など、
ライン作業後に直ちに補修を開始することによって炉壁
の高温を確保する。一方、上記した火炎溶射補修法の場
合、特開平9−210567号公報において、耐用後のほとん
どの溶射補修層が炉壁れんがと溶射補修層の界面におい
て剥離、欠落し、回収した溶射補修層の炉壁れんがとの
界面には炉壁れんがはほとんど付着していないことが示
された。
ークスの押し出し後、転炉においては出鋼排滓後など、
ライン作業後に直ちに補修を開始することによって炉壁
の高温を確保する。一方、上記した火炎溶射補修法の場
合、特開平9−210567号公報において、耐用後のほとん
どの溶射補修層が炉壁れんがと溶射補修層の界面におい
て剥離、欠落し、回収した溶射補修層の炉壁れんがとの
界面には炉壁れんがはほとんど付着していないことが示
された。
【0007】また、上記公報において、炉壁面と溶射補
修層の間に溶融固化層を存在させることによって、炉壁
への溶射補修層の接着性を向上させ、炉壁の溶射補修層
の耐用性を向上させる技術が開示された。上記技術によ
れば、溶射補修層の耐用性を向上させることが可能とな
ったが、一方、コークスの押し詰まりなどでコークス炉
炭化室内壁の炉壁れんがに過剰なせん断力が加わった場
合、炉壁面と溶射補修層の接着性の強化によって、溶射
補修層の欠落時に基体炉壁れんがの一部も欠落してしま
う場合もある。
修層の間に溶融固化層を存在させることによって、炉壁
への溶射補修層の接着性を向上させ、炉壁の溶射補修層
の耐用性を向上させる技術が開示された。上記技術によ
れば、溶射補修層の耐用性を向上させることが可能とな
ったが、一方、コークスの押し詰まりなどでコークス炉
炭化室内壁の炉壁れんがに過剰なせん断力が加わった場
合、炉壁面と溶射補修層の接着性の強化によって、溶射
補修層の欠落時に基体炉壁れんがの一部も欠落してしま
う場合もある。
【0008】この場合、溶射補修層が欠落した部分の基
体炉壁れんがは、溶射補修前のれんが厚みよりも薄くな
り、場合によっては築炉構造物上の問題を生じる可能性
があり、基体炉壁れんがを損なうことのない炉壁れんが
補修体および炉壁れんが補修方法が求められた。
体炉壁れんがは、溶射補修前のれんが厚みよりも薄くな
り、場合によっては築炉構造物上の問題を生じる可能性
があり、基体炉壁れんがを損なうことのない炉壁れんが
補修体および炉壁れんが補修方法が求められた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、炉壁れんが
補修体が欠落した場合においても、築炉構造物の基材で
ある基体炉壁れんがを損なうことのない炉壁れんが補修
体および炉壁れんが補修方法を提供することを目的とす
る。
補修体が欠落した場合においても、築炉構造物の基材で
ある基体炉壁れんがを損なうことのない炉壁れんが補修
体および炉壁れんが補修方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、炉壁れん
がに施されるれんが補修体であって、該れんが補修体が
複数の補修層を接着して形成され、各補修層間の少なく
とも1ヶ所の補修層間の接着強度(N/cm2) が、炉壁れん
がと接する補修層と炉壁れんがとの接着強度(N/cm2) よ
りも小なることを特徴とする炉壁れんが補修体である。
がに施されるれんが補修体であって、該れんが補修体が
複数の補修層を接着して形成され、各補修層間の少なく
とも1ヶ所の補修層間の接着強度(N/cm2) が、炉壁れん
がと接する補修層と炉壁れんがとの接着強度(N/cm2) よ
りも小なることを特徴とする炉壁れんが補修体である。
【0011】前記した第1の発明においては、前記炉壁
れんがが珪石質れんがであって、前記炉壁れんがと接す
る補修層が、好ましくは珪石粉を85mass%以上、さらに
好ましくは90mass%以上含有する溶射材料の火炎溶射に
よって形成された補修層であることが好ましい(第1の
発明の第1の好適態様)。また、前記した第1の発明、
第1の発明の第1の好適態様においては、炉壁れんがと
接する補修層と炉壁れんがとの接着強度、相接する補修
層同士の接着強度が、下記式(3) または(4) を満足する
ことがより好ましい(第1の発明の第2の好適態様、第
3の好適態様)。
れんがが珪石質れんがであって、前記炉壁れんがと接す
る補修層が、好ましくは珪石粉を85mass%以上、さらに
好ましくは90mass%以上含有する溶射材料の火炎溶射に
よって形成された補修層であることが好ましい(第1の
発明の第1の好適態様)。また、前記した第1の発明、
第1の発明の第1の好適態様においては、炉壁れんがと
接する補修層と炉壁れんがとの接着強度、相接する補修
層同士の接着強度が、下記式(3) または(4) を満足する
ことがより好ましい(第1の発明の第2の好適態様、第
3の好適態様)。
【0012】[1] 補修層が2層の場合: 0.9 ×SW-1 ≧S1-2 ………(3) [2] 補修層が3層以上の場合: 0.9 ×SW-1 ≧Si-j ………(4) なお、上記式(3) 、(4) において、 SW-1 :炉壁れんがWと接する補修層1と炉壁れんがW
との接着強度(N/cm2) S1-2 :炉壁れんがWと接する補修層1と補修層1と接
する補修層2との接着強度(N/cm2) Si-j :各補修層間の少なくとも1ヶ所の補修層間の接
着強度(補修層i と補修層i と接する補修層j との接着
強度)(N/cm2) を示す。
との接着強度(N/cm2) S1-2 :炉壁れんがWと接する補修層1と補修層1と接
する補修層2との接着強度(N/cm2) Si-j :各補修層間の少なくとも1ヶ所の補修層間の接
着強度(補修層i と補修層i と接する補修層j との接着
強度)(N/cm2) を示す。
【0013】前記した第1の発明、第1の発明の第1の
好適態様〜第3の好適態様の炉壁れんが補修体は、コー
クス炉炭化室内壁の炉壁れんが補修体として特に好適に
用いられる。第2の発明は、珪石質れんがから構成され
る炉壁れんがに複数の補修層を接着する炉壁れんが補修
方法であって、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石
粉を85mass%以上、より好ましくは珪石粉を90mass%以
上含有する溶射材料の火災溶射によって形成した後、少
なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を、珪石粉を含有
する溶射材料の火災溶射によって形成し、かつ、上記後
者の溶射材料として該溶射材料の最大粒径が上記前者の
溶射材料の最大粒径よりも大なる溶射材料を用いること
を特徴とする炉壁れんが補修方法である。
好適態様〜第3の好適態様の炉壁れんが補修体は、コー
クス炉炭化室内壁の炉壁れんが補修体として特に好適に
用いられる。第2の発明は、珪石質れんがから構成され
る炉壁れんがに複数の補修層を接着する炉壁れんが補修
方法であって、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石
粉を85mass%以上、より好ましくは珪石粉を90mass%以
上含有する溶射材料の火災溶射によって形成した後、少
なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を、珪石粉を含有
する溶射材料の火災溶射によって形成し、かつ、上記後
者の溶射材料として該溶射材料の最大粒径が上記前者の
溶射材料の最大粒径よりも大なる溶射材料を用いること
を特徴とする炉壁れんが補修方法である。
【0014】第3の発明は、珪石質れんがから構成され
る炉壁れんがに複数の補修層を接着する炉壁れんが補修
方法であって、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石
粉を85mass%以上、より好ましくは珪石粉を90mass%以
上含有する溶射材料の火災溶射によって形成した後、少
なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を、珪石粉を含有
する溶射材料の火災溶射によって形成し、かつ、上記後
者の溶射材料の吐出速度を上記前者の溶射材料の吐出速
度よりも増加させることを特徴とする炉壁れんが補修方
法である。
る炉壁れんがに複数の補修層を接着する炉壁れんが補修
方法であって、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石
粉を85mass%以上、より好ましくは珪石粉を90mass%以
上含有する溶射材料の火災溶射によって形成した後、少
なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を、珪石粉を含有
する溶射材料の火災溶射によって形成し、かつ、上記後
者の溶射材料の吐出速度を上記前者の溶射材料の吐出速
度よりも増加させることを特徴とする炉壁れんが補修方
法である。
【0015】第4の発明は、珪石質れんがから構成され
る炉壁れんがに複数の補修層を接着する炉壁れんが補修
方法であって、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石
粉を85mass%以上、より好ましくは珪石粉を90mass%以
上含有する溶射材料の火災溶射によって形成した後、少
なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を、珪石粉を含有
する溶射材料の火災溶射によって形成し、かつ、上記後
者の火災溶射に用いる溶射ノズルの移動速度を上記前者
の火災溶射に用いる溶射ノズルの移動速度よりも増加さ
せることを特徴とする炉壁れんが補修方法である。
る炉壁れんがに複数の補修層を接着する炉壁れんが補修
方法であって、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石
粉を85mass%以上、より好ましくは珪石粉を90mass%以
上含有する溶射材料の火災溶射によって形成した後、少
なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を、珪石粉を含有
する溶射材料の火災溶射によって形成し、かつ、上記後
者の火災溶射に用いる溶射ノズルの移動速度を上記前者
の火災溶射に用いる溶射ノズルの移動速度よりも増加さ
せることを特徴とする炉壁れんが補修方法である。
【0016】第5の発明は、珪石質れんがから構成され
る炉壁れんがに複数の補修層を接着する炉壁れんが補修
方法であって、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石
粉を85mass%以上、より好ましくは珪石粉を90mass%以
上含有する溶射材料の火炎溶射によって形成した後、少
なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を、前記炉壁れん
がと接する補修層と同一材質の溶射材料の火炎溶射によ
って形成し、かつ、上記後者の火炎溶射時の火炎温度を
上記前者の火炎溶射時の火炎温度よりも低下させること
を特徴とする炉壁れんが補修方法である。
る炉壁れんがに複数の補修層を接着する炉壁れんが補修
方法であって、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石
粉を85mass%以上、より好ましくは珪石粉を90mass%以
上含有する溶射材料の火炎溶射によって形成した後、少
なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を、前記炉壁れん
がと接する補修層と同一材質の溶射材料の火炎溶射によ
って形成し、かつ、上記後者の火炎溶射時の火炎温度を
上記前者の火炎溶射時の火炎温度よりも低下させること
を特徴とする炉壁れんが補修方法である。
【0017】前記した第2の発明〜第5の発明において
は、前記した少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を
形成する溶射材料の珪石粉含有率が85mass%以上、より
好ましくは90mass%以上であることが好ましい(第2の
発明の好適態様〜第5の発明の好適態様)。前記した第
2の発明〜第5の発明、第2の発明の好適態様〜第5の
発明の好適態様の炉壁れんが補修方法は、コークス炉炭
化室内壁の炉壁れんが補修方法として特に好適に用いら
れる。
は、前記した少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を
形成する溶射材料の珪石粉含有率が85mass%以上、より
好ましくは90mass%以上であることが好ましい(第2の
発明の好適態様〜第5の発明の好適態様)。前記した第
2の発明〜第5の発明、第2の発明の好適態様〜第5の
発明の好適態様の炉壁れんが補修方法は、コークス炉炭
化室内壁の炉壁れんが補修方法として特に好適に用いら
れる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、I.炉壁れんが補
修体、II. 炉壁れんが補修方法の順にさらに詳細に説明
する。 〔I.炉壁れんが補修体:〕基体炉壁れんがやれんが補修
体(以下、補修体とも記す)は、最も弱い部分から破壊
する。
修体、II. 炉壁れんが補修方法の順にさらに詳細に説明
する。 〔I.炉壁れんが補修体:〕基体炉壁れんがやれんが補修
体(以下、補修体とも記す)は、最も弱い部分から破壊
する。
【0019】コークス炉において炭化室内壁の基体炉壁
れんがや補修体が欠落するのは、コークス押し出し時に
発生するコークス炉の基体炉壁レンガや補修体に対する
せん断力が原因となって、基体炉壁れんがや補修体の中
で最も弱い部分で破壊が生じるためである。また、基体
炉壁れんが部分が欠落するのは、基体炉壁れんがおよび
補修体の中で、最も弱い部分が基体炉壁れんが中に存在
する場合である。
れんがや補修体が欠落するのは、コークス押し出し時に
発生するコークス炉の基体炉壁レンガや補修体に対する
せん断力が原因となって、基体炉壁れんがや補修体の中
で最も弱い部分で破壊が生じるためである。また、基体
炉壁れんが部分が欠落するのは、基体炉壁れんがおよび
補修体の中で、最も弱い部分が基体炉壁れんが中に存在
する場合である。
【0020】本発明者らは、前記した従来技術の問題点
を解決するために鋭意検討した結果、例えばコークス炉
においては、コークス押し出し時に補修体内部で欠落が
生じるように補修体を構成することによって、補修体欠
落時の基体炉壁れんがの損傷を防止することが可能であ
ると考え、下記技術構成(1) 、(2) に想到し、本発明に
至った。
を解決するために鋭意検討した結果、例えばコークス炉
においては、コークス押し出し時に補修体内部で欠落が
生じるように補修体を構成することによって、補修体欠
落時の基体炉壁れんがの損傷を防止することが可能であ
ると考え、下記技術構成(1) 、(2) に想到し、本発明に
至った。
【0021】(1) 補修体内部で欠落を生じさせるために
は、基体炉壁れんがに補修体を形成するに際して、補修
体内部に最も弱い部分を形成しておけばよい。 (2) 上記構成のれんが補修体は、基体炉壁れんがの補修
部位へ複数の補修層を順次積層接着させ、各補修層間の
接着強度の内少なくとも1ヶ所の補修層間の接着強度
を、基体炉壁れんがと接する補修層と基体炉壁れんがと
の接着強度よりも小さくすることで達成できる。
は、基体炉壁れんがに補修体を形成するに際して、補修
体内部に最も弱い部分を形成しておけばよい。 (2) 上記構成のれんが補修体は、基体炉壁れんがの補修
部位へ複数の補修層を順次積層接着させ、各補修層間の
接着強度の内少なくとも1ヶ所の補修層間の接着強度
を、基体炉壁れんがと接する補修層と基体炉壁れんがと
の接着強度よりも小さくすることで達成できる。
【0022】すなわち、本発明は、炉壁れんがに施され
るれんが補修体であって、該れんが補修体が複数の補修
層を接着して形成され、各補修層間の少なくとも1ヶ所
の補修層間の接着強度(N/cm2) が、炉壁れんがと接する
補修層と炉壁れんがとの接着強度(N/cm2) よりも小なる
炉壁れんが補修体である。本発明においては、基体炉壁
れんがの耐用性を確保するために、炉壁れんがと接する
補修層と炉壁れんがとの接着強度、相接する補修層同士
の接着強度が、下記式(1) または(2) を満足するように
れんが補修体を構成する。
るれんが補修体であって、該れんが補修体が複数の補修
層を接着して形成され、各補修層間の少なくとも1ヶ所
の補修層間の接着強度(N/cm2) が、炉壁れんがと接する
補修層と炉壁れんがとの接着強度(N/cm2) よりも小なる
炉壁れんが補修体である。本発明においては、基体炉壁
れんがの耐用性を確保するために、炉壁れんがと接する
補修層と炉壁れんがとの接着強度、相接する補修層同士
の接着強度が、下記式(1) または(2) を満足するように
れんが補修体を構成する。
【0023】[1] 補修層が2層の場合: SW-1 >S1-2 ………(1) [2] 補修層が3層以上の場合: SW-1 >Si-j ………(2) なお、上記式(1) 、(2) において、 SW-1 :炉壁れんがWと接する補修層1と炉壁れんがW
との接着強度(N/cm2) S1-2 :炉壁れんがWと接する補修層1と補修層1と接
する補修層2との接着強度(N/cm2) Si-j :各補修層間の少なくとも1ヶ所の補修層間の接
着強度(補修層i と補修層i と接する補修層j との接着
強度)(N/cm2) を示す。
との接着強度(N/cm2) S1-2 :炉壁れんがWと接する補修層1と補修層1と接
する補修層2との接着強度(N/cm2) Si-j :各補修層間の少なくとも1ヶ所の補修層間の接
着強度(補修層i と補修層i と接する補修層j との接着
強度)(N/cm2) を示す。
【0024】また、本発明においては、より確実に基体
炉壁れんがの耐用性を確保するため、炉壁れんがと接す
る補修層と炉壁れんがとの接着強度、相接する補修層同
士の接着強度が、下記式(3) または(4) を満足するよう
にれんが補修体を構成することがより好ましい。 [1] 補修層が2層の場合: 0.9 ×SW-1 ≧S1-2 ………(3) [2] 補修層が3層以上の場合: 0.9 ×SW-1 ≧Si-j ………(4) なお、上記式(3) 、(4) におけるSW-1 、S1-2 、Si-
j は、前記した式(1)、式(2) と同様の内容を示す。
炉壁れんがの耐用性を確保するため、炉壁れんがと接す
る補修層と炉壁れんがとの接着強度、相接する補修層同
士の接着強度が、下記式(3) または(4) を満足するよう
にれんが補修体を構成することがより好ましい。 [1] 補修層が2層の場合: 0.9 ×SW-1 ≧S1-2 ………(3) [2] 補修層が3層以上の場合: 0.9 ×SW-1 ≧Si-j ………(4) なお、上記式(3) 、(4) におけるSW-1 、S1-2 、Si-
j は、前記した式(1)、式(2) と同様の内容を示す。
【0025】さらに、本発明においては、基体炉壁れん
がおよび補修体自体の耐用性を確保するために、炉壁れ
んがと接する補修層と炉壁れんがとの接着強度、相接す
る補修層同士の接着強度が、下記式(5) より好ましくは
下記式(6) 、または下記式(7) より好ましくは下記式
(8) を満足するようにれんが補修体を構成することが好
ましい。
がおよび補修体自体の耐用性を確保するために、炉壁れ
んがと接する補修層と炉壁れんがとの接着強度、相接す
る補修層同士の接着強度が、下記式(5) より好ましくは
下記式(6) 、または下記式(7) より好ましくは下記式
(8) を満足するようにれんが補修体を構成することが好
ましい。
【0026】[1] 補修層が2層の場合: SW-1 >S1-2 ≧0.5 ×SW-1 ………(5) SW-1 >S1-2 ≧0.7 ×SW-1 ………(6) [2] 補修層が3層以上の場合: SW-1 >Sm-n ≧0.5 ×SW-1 ………(7) SW-1 >Sm-n ≧0.7 ×SW-1 ………(8) なお、上記式(5) 〜(8) におけるSW-1 、S1-2 は、前
記した式(1) 、式(2)と同様の内容を示し、Sm-n は各
補修層間の接着強度(N/cm2) を示す。
記した式(1) 、式(2)と同様の内容を示し、Sm-n は各
補修層間の接着強度(N/cm2) を示す。
【0027】なお、接着強度は、図1に示す測定方法を
用いて得られる値であり、下記(A)、(B) に基づいて求
めることができる。なお、図1は縦断面図を示し、1は
れんが(炉壁れんが)、2は補修層、3は押し棒、4は
補修材、5は溶射ノズルまたは吹き付けノズル、6は加
圧力を示す。
用いて得られる値であり、下記(A)、(B) に基づいて求
めることができる。なお、図1は縦断面図を示し、1は
れんが(炉壁れんが)、2は補修層、3は押し棒、4は
補修材、5は溶射ノズルまたは吹き付けノズル、6は加
圧力を示す。
【0028】(A) :れんが1または1次補修体の側面に
押し棒(断面20mm×200mm 角の耐火物)3を押し当てた
状態で、この押し棒3の下方に補修材4(約500g)によ
って補修層2を形成する〔図1(a) 〕。なお、上記した
1次補修体とは、れんが1の上に下層となる補修層を形
成した補修体を示す。
押し棒(断面20mm×200mm 角の耐火物)3を押し当てた
状態で、この押し棒3の下方に補修材4(約500g)によ
って補修層2を形成する〔図1(a) 〕。なお、上記した
1次補修体とは、れんが1の上に下層となる補修層を形
成した補修体を示す。
【0029】(B) :次に、上記した押し棒3を上から加
圧し、補修層2がれんが1または1次補修体から剥離し
た時の押し棒3の加圧力6を測定し〔図1(b) 〕、得ら
れた測定結果および下記式(9) に基づいて接着強度を求
める。 接着強度(N/cm2)={押し棒加圧力(N/cm2) ×押し棒断面積(cm2)+押し棒重 量(N) }/{れんがまたは1次補修体と補修層の接着面積(cm2)}……(9) なお、本発明においては、補修層の主成分は基体炉壁れ
んがと同じ成分にすることが好ましい。
圧し、補修層2がれんが1または1次補修体から剥離し
た時の押し棒3の加圧力6を測定し〔図1(b) 〕、得ら
れた測定結果および下記式(9) に基づいて接着強度を求
める。 接着強度(N/cm2)={押し棒加圧力(N/cm2) ×押し棒断面積(cm2)+押し棒重 量(N) }/{れんがまたは1次補修体と補修層の接着面積(cm2)}……(9) なお、本発明においては、補修層の主成分は基体炉壁れ
んがと同じ成分にすることが好ましい。
【0030】すなわち、例えば、コークス炉において
は、炭化室内の炉壁面は珪石れんがが使用されるので、
補修層の主成分は珪石のシリカ(SiO2)とする。これ
は、基体炉壁れんが面を補修部位とする場合、炉壁れん
がと補修層との熱膨張特性をほぼ一致させることが必須
なためである。以上、本発明の炉壁れんが補修体につい
て述べたが、次に、本発明の炉壁れんが補修体のより好
適な態様について述べる。
は、炭化室内の炉壁面は珪石れんがが使用されるので、
補修層の主成分は珪石のシリカ(SiO2)とする。これ
は、基体炉壁れんが面を補修部位とする場合、炉壁れん
がと補修層との熱膨張特性をほぼ一致させることが必須
なためである。以上、本発明の炉壁れんが補修体につい
て述べたが、次に、本発明の炉壁れんが補修体のより好
適な態様について述べる。
【0031】すなわち、本発明の炉壁れんが補修体は、
特に、コークス炉炭化室内壁の炉壁れんが補修体として
好適に用いられ、炉壁れんがが珪石質れんがであって、
炉壁れんがと接する補修層が、珪石粉含有率が85mass%
以上、より好ましくは90mass%以上である溶射材料の火
炎溶射によって形成された補修層であることが好まし
い。
特に、コークス炉炭化室内壁の炉壁れんが補修体として
好適に用いられ、炉壁れんがが珪石質れんがであって、
炉壁れんがと接する補修層が、珪石粉含有率が85mass%
以上、より好ましくは90mass%以上である溶射材料の火
炎溶射によって形成された補修層であることが好まし
い。
【0032】上記した本発明のより好適な態様の炉壁れ
んが補修体によれば、下記(1) 、(2) の作用・効果が得
られ、コークス炉炭化室内の基体炉壁れんがの損傷を防
止し、炭化室から燃焼室への乾留ガスの漏れ込みを長期
間防止することができる。 (1) 炉壁れんがと接する補修層を珪石粉含有率が85mass
%以上の溶射材料の火炎溶射によって形成することに伴
う作用・効果: (1-1) コークス炉においては、炭化室内の炉壁面は珪石
れんがが使用され、炉壁れんがに接する補修層と炉壁れ
んがの熱膨張特性をほぼ一致させることができる。
んが補修体によれば、下記(1) 、(2) の作用・効果が得
られ、コークス炉炭化室内の基体炉壁れんがの損傷を防
止し、炭化室から燃焼室への乾留ガスの漏れ込みを長期
間防止することができる。 (1) 炉壁れんがと接する補修層を珪石粉含有率が85mass
%以上の溶射材料の火炎溶射によって形成することに伴
う作用・効果: (1-1) コークス炉においては、炭化室内の炉壁面は珪石
れんがが使用され、炉壁れんがに接する補修層と炉壁れ
んがの熱膨張特性をほぼ一致させることができる。
【0033】(1-2) 後記の実施例に示されるように炉壁
れんがに接する補修層として、極めて接着力が高い強固
な補修層を形成することができる。上記した(1-1) 、(1
-2) の作用・効果によって、炉壁れんがに接する補修層
の耐久性が向上し、炭化室から燃焼室への乾留ガスの漏
れ込みを長期間防止することができる。
れんがに接する補修層として、極めて接着力が高い強固
な補修層を形成することができる。上記した(1-1) 、(1
-2) の作用・効果によって、炉壁れんがに接する補修層
の耐久性が向上し、炭化室から燃焼室への乾留ガスの漏
れ込みを長期間防止することができる。
【0034】(1-3) 易被酸化性金属粒子を多く配合した
溶射材料を用いる場合の溶融溶射材料の流れ落ちに基づ
く溶射補修層最表面の凹凸化を防止できる。この結果、
コークス押し出し時に溶射補修層に大きなせん断力が働
くことが防止される。 (2) 接着強度の規定に伴う作用・効果:コークス押し出
し時に溶射補修層に大きなせん断力が働いた場合におい
ても、補修体内部で欠落が生じ基体炉壁れんがに損傷を
及ぼすことが防止できる。
溶射材料を用いる場合の溶融溶射材料の流れ落ちに基づ
く溶射補修層最表面の凹凸化を防止できる。この結果、
コークス押し出し時に溶射補修層に大きなせん断力が働
くことが防止される。 (2) 接着強度の規定に伴う作用・効果:コークス押し出
し時に溶射補修層に大きなせん断力が働いた場合におい
ても、補修体内部で欠落が生じ基体炉壁れんがに損傷を
及ぼすことが防止できる。
【0035】〔II. 炉壁れんが補修方法:〕本発明の炉
壁れんが補修方法は、特に、コークス炉炭化室内壁の炉
壁れんが補修方法として好適に用いられる。すなわち、
本発明(第2の発明)の炉壁れんが補修方法は、珪石質
れんがから構成される炉壁れんがに複数の補修層を接着
する炉壁れんが補修方法であって、前記炉壁れんがと接
する補修層を、珪石粉を85mass%以上、より好ましくは
珪石粉を90mass%以上含有する溶射材料の火災溶射によ
って形成した後、少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修
層を、珪石粉を含有する溶射材料の火災溶射によって形
成し、かつ、上記後者の溶射材料として該溶射材料の最
大粒径が上記前者の溶射材料の最大粒径よりも大なる溶
射材料を用いる炉壁れんが補修方法である。
壁れんが補修方法は、特に、コークス炉炭化室内壁の炉
壁れんが補修方法として好適に用いられる。すなわち、
本発明(第2の発明)の炉壁れんが補修方法は、珪石質
れんがから構成される炉壁れんがに複数の補修層を接着
する炉壁れんが補修方法であって、前記炉壁れんがと接
する補修層を、珪石粉を85mass%以上、より好ましくは
珪石粉を90mass%以上含有する溶射材料の火災溶射によ
って形成した後、少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修
層を、珪石粉を含有する溶射材料の火災溶射によって形
成し、かつ、上記後者の溶射材料として該溶射材料の最
大粒径が上記前者の溶射材料の最大粒径よりも大なる溶
射材料を用いる炉壁れんが補修方法である。
【0036】また、本発明(第3の発明)の炉壁れんが
補修方法は、珪石質れんがから構成される炉壁れんがに
複数の補修層を接着する炉壁れんが補修方法であって、
前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石粉を85mass%以
上、より好ましくは珪石粉を90mass%以上含有する溶射
材料の火災溶射によって形成した後、少なくとも1ヶ所
の補修層の上の補修層を、珪石粉を含有する溶射材料の
火災溶射によって形成し、かつ、上記後者の溶射材料の
吐出速度を上記前者の溶射材料の吐出速度よりも増加さ
せる炉壁れんが補修方法である。
補修方法は、珪石質れんがから構成される炉壁れんがに
複数の補修層を接着する炉壁れんが補修方法であって、
前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石粉を85mass%以
上、より好ましくは珪石粉を90mass%以上含有する溶射
材料の火災溶射によって形成した後、少なくとも1ヶ所
の補修層の上の補修層を、珪石粉を含有する溶射材料の
火災溶射によって形成し、かつ、上記後者の溶射材料の
吐出速度を上記前者の溶射材料の吐出速度よりも増加さ
せる炉壁れんが補修方法である。
【0037】また、本発明(第4の発明)の炉壁れんが
補修方法は、珪石質れんがから構成される炉壁れんがに
複数の補修層を接着する炉壁れんが補修方法であって、
前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石粉を85mass%以
上、より好ましくは珪石粉を90mass%以上含有する溶射
材料の火災溶射によって形成した後、少なくとも1ヶ所
の補修層の上の補修層を、珪石粉を含有する溶射材料の
火災溶射によって形成し、かつ、上記後者の火災溶射に
用いる溶射ノズルの移動速度を上記前者の火災溶射に用
いる溶射ノズルの移動速度よりも増加させる炉壁れんが
補修方法である。
補修方法は、珪石質れんがから構成される炉壁れんがに
複数の補修層を接着する炉壁れんが補修方法であって、
前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石粉を85mass%以
上、より好ましくは珪石粉を90mass%以上含有する溶射
材料の火災溶射によって形成した後、少なくとも1ヶ所
の補修層の上の補修層を、珪石粉を含有する溶射材料の
火災溶射によって形成し、かつ、上記後者の火災溶射に
用いる溶射ノズルの移動速度を上記前者の火災溶射に用
いる溶射ノズルの移動速度よりも増加させる炉壁れんが
補修方法である。
【0038】また、本発明(第5の発明)の炉壁れんが
補修方法は、珪石質れんがから構成される炉壁れんがに
複数の補修層を接着する炉壁れんが補修方法であって、
前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石粉を85mass%以
上、より好ましくは珪石粉を90mass%以上含有する溶射
材料の火炎溶射によって形成した後、少なくとも1ヶ所
の補修層の上の補修層を、前記炉壁れんがと接する補修
層と同一材質の溶射材料の火炎溶射によって形成し、か
つ、上記後者の火炎溶射時の火炎温度を上記前者の火炎
溶射時の火炎温度よりも低下させる炉壁れんが補修方法
である。
補修方法は、珪石質れんがから構成される炉壁れんがに
複数の補修層を接着する炉壁れんが補修方法であって、
前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石粉を85mass%以
上、より好ましくは珪石粉を90mass%以上含有する溶射
材料の火炎溶射によって形成した後、少なくとも1ヶ所
の補修層の上の補修層を、前記炉壁れんがと接する補修
層と同一材質の溶射材料の火炎溶射によって形成し、か
つ、上記後者の火炎溶射時の火炎温度を上記前者の火炎
溶射時の火炎温度よりも低下させる炉壁れんが補修方法
である。
【0039】なお、上記した火炎溶射時の火炎温度は、
可燃性ガスと支燃性ガスとの混合ガスの理論燃焼温度を
示す。また、上記した本発明の炉壁れんが補修方法にお
いては、前記した少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修
層を形成する溶射材料の珪石粉含有率が85mass%以上、
より好ましくは90mass%以上であることが好ましい。
可燃性ガスと支燃性ガスとの混合ガスの理論燃焼温度を
示す。また、上記した本発明の炉壁れんが補修方法にお
いては、前記した少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修
層を形成する溶射材料の珪石粉含有率が85mass%以上、
より好ましくは90mass%以上であることが好ましい。
【0040】上記した本発明の炉壁れんが補修方法およ
び該補修方法の好適態様によれば、前記した本発明の炉
壁れんが補修体と同様に、下記(1) 、(2) の作用・効果
が得られ、コークス炉炭化室内の基体炉壁れんがの損傷
を防止し、炭化室から燃焼室への乾留ガスの漏れ込みを
長期間防止することができる。 (1) 炉壁れんがと接する補修層を珪石粉含有率が85mass
%以上の溶射材料の火炎溶射によって形成することに伴
う作用・効果: (1-1) コークス炉においては、炭化室内の炉壁面は珪石
れんがが使用され、炉壁れんがに接する補修層と炉壁れ
んがの熱膨張特性をほぼ一致させることができる。
び該補修方法の好適態様によれば、前記した本発明の炉
壁れんが補修体と同様に、下記(1) 、(2) の作用・効果
が得られ、コークス炉炭化室内の基体炉壁れんがの損傷
を防止し、炭化室から燃焼室への乾留ガスの漏れ込みを
長期間防止することができる。 (1) 炉壁れんがと接する補修層を珪石粉含有率が85mass
%以上の溶射材料の火炎溶射によって形成することに伴
う作用・効果: (1-1) コークス炉においては、炭化室内の炉壁面は珪石
れんがが使用され、炉壁れんがに接する補修層と炉壁れ
んがの熱膨張特性をほぼ一致させることができる。
【0041】(1-2) 後記の実施例に示されるように炉壁
れんがに接する補修層として、極めて接着力が強い強固
な補修層を形成することができる。上記した(1-1) 、(1
-2) の作用・効果によって、炉壁れんがに接する補修層
の耐久性が向上し、炭化室から燃焼室への乾留ガスの漏
れ込みを長期間防止することができる。
れんがに接する補修層として、極めて接着力が強い強固
な補修層を形成することができる。上記した(1-1) 、(1
-2) の作用・効果によって、炉壁れんがに接する補修層
の耐久性が向上し、炭化室から燃焼室への乾留ガスの漏
れ込みを長期間防止することができる。
【0042】(1-3) 易被酸化性金属粒子を多く配合した
溶射材料を用いる場合の溶融溶射材料の流れ落ちに基づ
く溶射補修層最表面の凹凸化を防止できる。この結果、
コークス押し出し時に溶射補修層に大きなせん断力が働
くことが防止される。 (2) 補修層形成の際の溶射材料の最大粒径の規定に伴う
作用・効果:少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層形
成の際の溶射材料の最大粒径を、炉体れんがと接する補
修層形成の際の溶射材料の最大粒径よりも増大させるこ
とによって、各補修層間の少なくとも1ヶ所の補修層間
の接着強度を、炉壁れんがと接する補修層と炉壁れんが
との接着強度よりも小さくすることができる。
溶射材料を用いる場合の溶融溶射材料の流れ落ちに基づ
く溶射補修層最表面の凹凸化を防止できる。この結果、
コークス押し出し時に溶射補修層に大きなせん断力が働
くことが防止される。 (2) 補修層形成の際の溶射材料の最大粒径の規定に伴う
作用・効果:少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層形
成の際の溶射材料の最大粒径を、炉体れんがと接する補
修層形成の際の溶射材料の最大粒径よりも増大させるこ
とによって、各補修層間の少なくとも1ヶ所の補修層間
の接着強度を、炉壁れんがと接する補修層と炉壁れんが
との接着強度よりも小さくすることができる。
【0043】この結果、コークス押し出し時に溶射補修
層に大きなせん断力が働いた場合においても、補修体内
部で欠落が生じ基体炉壁れんがに損傷を及ぼすことが防
止できる。また、前記した少なくとも1ヶ所の補修層の
上の補修層を形成する溶射材料の珪石粉含有率を85mass
%以上と規定し、炉壁れんがと接する補修層と上記補修
層の溶射材料の材質をほぼ等しくすることによって、溶
射材料の最大粒径の調整による上記した接着強度の調整
が容易かつ確実となる。
層に大きなせん断力が働いた場合においても、補修体内
部で欠落が生じ基体炉壁れんがに損傷を及ぼすことが防
止できる。また、前記した少なくとも1ヶ所の補修層の
上の補修層を形成する溶射材料の珪石粉含有率を85mass
%以上と規定し、炉壁れんがと接する補修層と上記補修
層の溶射材料の材質をほぼ等しくすることによって、溶
射材料の最大粒径の調整による上記した接着強度の調整
が容易かつ確実となる。
【0044】なお、本発明における溶射材料の最大粒径
は、溶射材料の粒度分布における最大粒径として規定さ
れる。 (3) 補修層形成の際の溶射材料の吐出速度の規定に伴う
作用・効果:少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層形
成の際の溶射材料の吐出速度を、炉体れんがと接する補
修層形成の際の溶射材料の吐出速度よりも増加させるこ
とによって、各補修層間の少なくとも1ヶ所の補修層間
の接着強度を、炉壁れんがと接する補修層と炉壁れんが
との接着強度よりも小さくすることができる。
は、溶射材料の粒度分布における最大粒径として規定さ
れる。 (3) 補修層形成の際の溶射材料の吐出速度の規定に伴う
作用・効果:少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層形
成の際の溶射材料の吐出速度を、炉体れんがと接する補
修層形成の際の溶射材料の吐出速度よりも増加させるこ
とによって、各補修層間の少なくとも1ヶ所の補修層間
の接着強度を、炉壁れんがと接する補修層と炉壁れんが
との接着強度よりも小さくすることができる。
【0045】この結果、コークス押し出し時に溶射補修
層に大きなせん断力が働いた場合においても、補修体内
部で欠落が生じ基体炉壁れんがに損傷を及ぼすことが防
止できる。また、前記した少なくとも1ヶ所の補修層の
上の補修層を形成する溶射材料の珪石粉含有率を85mass
%以上と規定し、炉壁れんがと接する補修層と上記補修
層の溶射材料の材質をほぼ等しくすることによって、溶
射材料の吐出速度の調整による上記した接着強度の調整
が容易かつ確実となる。
層に大きなせん断力が働いた場合においても、補修体内
部で欠落が生じ基体炉壁れんがに損傷を及ぼすことが防
止できる。また、前記した少なくとも1ヶ所の補修層の
上の補修層を形成する溶射材料の珪石粉含有率を85mass
%以上と規定し、炉壁れんがと接する補修層と上記補修
層の溶射材料の材質をほぼ等しくすることによって、溶
射材料の吐出速度の調整による上記した接着強度の調整
が容易かつ確実となる。
【0046】(4) 補修層形成の際の溶射ノズルの移動速
度の規定に伴う作用・効果:少なくとも1ヶ所の補修層
の上の補修層形成の際の溶射ノズルの移動速度を、炉体
れんがと接する補修層形成の際の溶射ノズルの移動速度
よりも増加させることによって、各補修層間の少なくと
も1ヶ所の補修層間の接着強度を、炉壁れんがと接する
補修層と炉壁れんがとの接着強度よりも小さくすること
ができる。
度の規定に伴う作用・効果:少なくとも1ヶ所の補修層
の上の補修層形成の際の溶射ノズルの移動速度を、炉体
れんがと接する補修層形成の際の溶射ノズルの移動速度
よりも増加させることによって、各補修層間の少なくと
も1ヶ所の補修層間の接着強度を、炉壁れんがと接する
補修層と炉壁れんがとの接着強度よりも小さくすること
ができる。
【0047】この結果、コークス押し出し時に溶射補修
層に大きなせん断力が働いた場合においても、補修体内
部で欠落が生じ基体炉壁れんがに損傷を及ぼすことが防
止できる。また、前記した少なくとも1ヶ所の補修層の
上の補修層を形成する溶射材料の珪石粉含有率を85mass
%以上と規定し、炉壁れんがと接する補修層と上記補修
層の溶射材料の材質をほぼ等しくすることによって、溶
射ノズルの移動速度の調整による上記した接着強度の調
整が容易かつ確実となる。
層に大きなせん断力が働いた場合においても、補修体内
部で欠落が生じ基体炉壁れんがに損傷を及ぼすことが防
止できる。また、前記した少なくとも1ヶ所の補修層の
上の補修層を形成する溶射材料の珪石粉含有率を85mass
%以上と規定し、炉壁れんがと接する補修層と上記補修
層の溶射材料の材質をほぼ等しくすることによって、溶
射ノズルの移動速度の調整による上記した接着強度の調
整が容易かつ確実となる。
【0048】(5) 補修層形成の際の火炎溶射時の火炎温
度の規定に伴う作用・効果:少なくとも1ヶ所の補修層
の上の補修層形成の際の火炎溶射時の火炎温度を、炉体
れんがと接する補修層形成の際の火炎溶射時の火炎温度
よりも低下させることによって、各補修層間の少なくと
も1ヶ所の補修層間の接着強度を、炉壁れんがと接する
補修層と炉壁れんがとの接着強度よりも小さくすること
ができる。
度の規定に伴う作用・効果:少なくとも1ヶ所の補修層
の上の補修層形成の際の火炎溶射時の火炎温度を、炉体
れんがと接する補修層形成の際の火炎溶射時の火炎温度
よりも低下させることによって、各補修層間の少なくと
も1ヶ所の補修層間の接着強度を、炉壁れんがと接する
補修層と炉壁れんがとの接着強度よりも小さくすること
ができる。
【0049】この結果、コークス押し出し時に溶射補修
層に大きなせん断力が働いた場合においても、補修体内
部で欠落が生じ基体炉壁れんがに損傷を及ぼすことが防
止できる。また、前記した少なくとも1カ所の補修層の
上の補修層を形成する溶射材料の珪石粉含有率を85mass
%以上と規定し、炉壁れんがと接する補修層と上記補修
層の溶射材料の材質を等しくすることによって、火炎溶
射時の火炎温度の調節による上記した接着強度の調節が
容易かつ確実となる。
層に大きなせん断力が働いた場合においても、補修体内
部で欠落が生じ基体炉壁れんがに損傷を及ぼすことが防
止できる。また、前記した少なくとも1カ所の補修層の
上の補修層を形成する溶射材料の珪石粉含有率を85mass
%以上と規定し、炉壁れんがと接する補修層と上記補修
層の溶射材料の材質を等しくすることによって、火炎溶
射時の火炎温度の調節による上記した接着強度の調節が
容易かつ確実となる。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的
に説明する。 (参考例1)休止したコークス炉より回収した珪石れん
がを炉壁とした。表1に示す材料を、 750℃に加熱した
炉壁(回収珪石れんが)に、表2に示す施工条件で火炎
溶射法または湿式吹き付け法にて吹き付け、補修層(A
〜I)を形成した。
に説明する。 (参考例1)休止したコークス炉より回収した珪石れん
がを炉壁とした。表1に示す材料を、 750℃に加熱した
炉壁(回収珪石れんが)に、表2に示す施工条件で火炎
溶射法または湿式吹き付け法にて吹き付け、補修層(A
〜I)を形成した。
【0051】なお、表1に示す珪石粉の最大粒径は、珪
石粉の粒度分布測定結果に基づく最大粒径を示す。次
に、炉壁(回収珪石れんが)および補修層を1000℃に加
熱し、その後、補修層と回収珪石れんがとの接着強度:
SW-1 を測定した。なお、補修層の厚みは約25mmとし、
接着強度の測定法は前記した図1の方法に従い、前記し
た式(9) に基づいて接着強度を算出した。
石粉の粒度分布測定結果に基づく最大粒径を示す。次
に、炉壁(回収珪石れんが)および補修層を1000℃に加
熱し、その後、補修層と回収珪石れんがとの接着強度:
SW-1 を測定した。なお、補修層の厚みは約25mmとし、
接着強度の測定法は前記した図1の方法に従い、前記し
た式(9) に基づいて接着強度を算出した。
【0052】表3に、得られた測定結果を示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】(参考例2)型枠を用い、表1に示す材料
を、表4に示す基体作製条件で火炎溶射法または湿式吹
き付け法にて型枠内に吹き付けた後、型枠内から溶射材
または吹き付け材を取り出し、表4に示す補修体の基体
(K〜O)(第1補修層)を作製した。次に、 750℃に
加熱した基体(K〜O)に、表1に示す材料を、表5に
示す補修層施工条件で火炎溶射法または湿式吹き付け法
にて吹き付け、補修層(A〜I)を形成した。
を、表4に示す基体作製条件で火炎溶射法または湿式吹
き付け法にて型枠内に吹き付けた後、型枠内から溶射材
または吹き付け材を取り出し、表4に示す補修体の基体
(K〜O)(第1補修層)を作製した。次に、 750℃に
加熱した基体(K〜O)に、表1に示す材料を、表5に
示す補修層施工条件で火炎溶射法または湿式吹き付け法
にて吹き付け、補修層(A〜I)を形成した。
【0057】次に、基体および補修層を1000℃に加熱
し、その後、補修層(A〜I)と基体(K〜O)との接
着強度:S1-2 を測定した。なお、補修層の厚みは約25
mmとし、接着強度の測定法は前記した図1の方法に従
い、前記した式(9) に基づいて接着強度を算出した。表
5に、得られた測定結果を補修層施工条件と併せて示
す。
し、その後、補修層(A〜I)と基体(K〜O)との接
着強度:S1-2 を測定した。なお、補修層の厚みは約25
mmとし、接着強度の測定法は前記した図1の方法に従
い、前記した式(9) に基づいて接着強度を算出した。表
5に、得られた測定結果を補修層施工条件と併せて示
す。
【0058】表5の参考例2のNo.2の試験は、No.9の試
験と同じ材料である溶射材を、溶射ノズルの移動速度
を0.5m/min(No.9の試験)から1.5m/minと3倍にして施
工した試験である。この場合、No.2の試験における接着
強度:S1-2 =1323N/cm2 は、No.9の試験における接着
強度:S1-2 =4655N/cm2 に比べて大幅に低下してい
る。
験と同じ材料である溶射材を、溶射ノズルの移動速度
を0.5m/min(No.9の試験)から1.5m/minと3倍にして施
工した試験である。この場合、No.2の試験における接着
強度:S1-2 =1323N/cm2 は、No.9の試験における接着
強度:S1-2 =4655N/cm2 に比べて大幅に低下してい
る。
【0059】すなわち、溶射ノズルの移動速度を増加す
ることで、補修層間の接着強度を低減することが可能で
ある。表5の参考例2のNo.3の試験は、No.9の試験と同
じ材料である溶射材を、溶射ノズルからの溶射材料の
吐出速度を50kg/h(No.9の試験)から100kg/h と2倍に
して施工した試験である。
ることで、補修層間の接着強度を低減することが可能で
ある。表5の参考例2のNo.3の試験は、No.9の試験と同
じ材料である溶射材を、溶射ノズルからの溶射材料の
吐出速度を50kg/h(No.9の試験)から100kg/h と2倍に
して施工した試験である。
【0060】この場合、No.3の試験における接着強度:
S1-2 =1421N/cm2 は、No.9の試験における接着強度:
S1-2 =4655N/cm2 に比べて大幅に低下している。すな
わち、溶射ノズルからの溶射材料の吐出速度を増加する
ことで、補修層間の接着強度を低減することが可能であ
る。表5の参考例2のNo.4の試験は、No.9の試験と同じ
成分で粒径を大きくした溶射材を用いて施工した試験
である。
S1-2 =1421N/cm2 は、No.9の試験における接着強度:
S1-2 =4655N/cm2 に比べて大幅に低下している。すな
わち、溶射ノズルからの溶射材料の吐出速度を増加する
ことで、補修層間の接着強度を低減することが可能であ
る。表5の参考例2のNo.4の試験は、No.9の試験と同じ
成分で粒径を大きくした溶射材を用いて施工した試験
である。
【0061】この場合、No.4の試験における接着強度:
S1-2 =1372N/cm2 は、No.9の試験における接着強度:
S1-2 =4655N/cm2 に比べて大幅に低下している。すな
わち、溶射材料の粒径を大きくすることで、補修層間の
接着強度を低減することが可能である。表5の参考例2
のNo.5の試験は、No.9の試験と同じ材料である溶射材
を、溶射時の火炎温度を2450℃(No.9の試験)から1925
℃と低下して施工した試験である。
S1-2 =1372N/cm2 は、No.9の試験における接着強度:
S1-2 =4655N/cm2 に比べて大幅に低下している。すな
わち、溶射材料の粒径を大きくすることで、補修層間の
接着強度を低減することが可能である。表5の参考例2
のNo.5の試験は、No.9の試験と同じ材料である溶射材
を、溶射時の火炎温度を2450℃(No.9の試験)から1925
℃と低下して施工した試験である。
【0062】この場合、No.5の試験における接着強度:
S1-2 =1323N/cm2 は、No.9の試験における接着強度:
S1-2 =4655N/cm2 に比べて大幅に低下している。すな
わち、溶射時の火炎温度を低下することで、補修層間の
接着強度を低減することが可能である。
S1-2 =1323N/cm2 は、No.9の試験における接着強度:
S1-2 =4655N/cm2 に比べて大幅に低下している。すな
わち、溶射時の火炎温度を低下することで、補修層間の
接着強度を低減することが可能である。
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】(実施例、比較例)図2に、本実施例、比
較例における補修体の施工(形成)方法および接着強度
の測定方法を縦断面図によって示す。なお、図2におい
て、10は回収珪石れんが、11は第1補修層、12は第2補
修層を示し、その他の符号は図1と同一の内容を示す。
較例における補修体の施工(形成)方法および接着強度
の測定方法を縦断面図によって示す。なお、図2におい
て、10は回収珪石れんが、11は第1補修層、12は第2補
修層を示し、その他の符号は図1と同一の内容を示す。
【0066】本実施例、比較例においては、休止したコ
ークス炉より回収した回収珪石れんが10を炉壁とした。
表1に示す材料を、 750℃に加熱した炉壁(回収珪石れ
んが10)に、表2に示す施工条件で火炎溶射法または湿
式吹き付け法にて吹き付け、補修層を2層形成した〔図
2(a) 〕。
ークス炉より回収した回収珪石れんが10を炉壁とした。
表1に示す材料を、 750℃に加熱した炉壁(回収珪石れ
んが10)に、表2に示す施工条件で火炎溶射法または湿
式吹き付け法にて吹き付け、補修層を2層形成した〔図
2(a) 〕。
【0067】なお、炉壁(回収珪石れんが)と接する補
修層を第1補修層11とし、表層に露出する補修層を第2
補修層12とした。これら補修層の厚みは各々約25mmと
し、第1補修層11には押し棒6を押し当てた状態とし
た。上記した補修層の形成後、回収珪石れんがおよび補
修層を1000℃に加熱し、その後、補修層と炉壁との接着
強度の試験を行い、脱落した補修層への珪石れんがの付
着の有無を調査した〔図2(b) 〕。
修層を第1補修層11とし、表層に露出する補修層を第2
補修層12とした。これら補修層の厚みは各々約25mmと
し、第1補修層11には押し棒6を押し当てた状態とし
た。上記した補修層の形成後、回収珪石れんがおよび補
修層を1000℃に加熱し、その後、補修層と炉壁との接着
強度の試験を行い、脱落した補修層への珪石れんがの付
着の有無を調査した〔図2(b) 〕。
【0068】表6に、得られた試験結果を、補修層の種
類並びに表3の接着強度の試験結果および表5の接着強
度の試験結果と併せて示す。表6に示されるように、実
施例1〜14のいずれの場合においても、回収珪石れんが
と第1補修層との接着強度が第1補修層と第2補修層と
の接着強度よりも大となるように、火炎溶射あるいは湿
式吹き付けを行うことで、補修層へせん断力を加えた時
に脱落した補修層への珪石れんがの付着はなかった。
類並びに表3の接着強度の試験結果および表5の接着強
度の試験結果と併せて示す。表6に示されるように、実
施例1〜14のいずれの場合においても、回収珪石れんが
と第1補修層との接着強度が第1補修層と第2補修層と
の接着強度よりも大となるように、火炎溶射あるいは湿
式吹き付けを行うことで、補修層へせん断力を加えた時
に脱落した補修層への珪石れんがの付着はなかった。
【0069】すなわち、本発明の炉壁れんが補修体、補
修方法によれば、せん断力を加えて補修体を欠落させて
も基体炉壁れんがを損なうことがなく、工業用炉炉体に
適切な補修層を形成することが可能となった。なお、上
記した実施例においては、本発明の補修体の補修層は2
層としたが、本発明の技術的内容から、補修層は2層に
限定されることはなく、複数層の補修体内部で欠落が生
じるような構造を形成することによって本発明の目的を
達成することが可能である。
修方法によれば、せん断力を加えて補修体を欠落させて
も基体炉壁れんがを損なうことがなく、工業用炉炉体に
適切な補修層を形成することが可能となった。なお、上
記した実施例においては、本発明の補修体の補修層は2
層としたが、本発明の技術的内容から、補修層は2層に
限定されることはなく、複数層の補修体内部で欠落が生
じるような構造を形成することによって本発明の目的を
達成することが可能である。
【0070】すなわち、本発明の補修体、補修方法にお
いては補修層を3層以上としてもよく、この場合も、補
修層が欠落する時の基体炉壁れんがの損傷を防止するこ
とが可能である。
いては補修層を3層以上としてもよく、この場合も、補
修層が欠落する時の基体炉壁れんがの損傷を防止するこ
とが可能である。
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
【発明の効果】本発明の炉壁れんが補修体、炉壁れんが
補修方法を炉壁れんがの補修に採用することにより、補
修体が万一欠落した場合でも、炉壁れんがを損なうこと
がなく、工業用炉の寿命を延長することが可能となる。
補修方法を炉壁れんがの補修に採用することにより、補
修体が万一欠落した場合でも、炉壁れんがを損なうこと
がなく、工業用炉の寿命を延長することが可能となる。
【図1】接着強度の測定方法を示す説明図(縦断面図)
である。
である。
【図2】補修体の施工(形成)方法および接着強度の測
定方法を示す説明図(縦断面図)である。
定方法を示す説明図(縦断面図)である。
1 れんが 2 補修層 3 押し棒 4 補修材 5 溶射ノズルまたは吹き付けノズル 6 加圧力 10 回収珪石れんが 11 第1補修層 12 第2補修層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 哲郎 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 安藤 猛 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4K051 AA08 AB03 BB02 LA04
Claims (6)
- 【請求項1】 炉壁れんがに施されるれんが補修体であ
って、該れんが補修体が複数の補修層を接着して形成さ
れ、各補修層間の少なくとも1ヵ所の補修層間の接着強
度(N/cm2) が、炉壁れんがと接する補修層と炉壁れんが
との接着強度(N/cm2) よりも小なることを特徴とする炉
壁れんが補修体。 - 【請求項2】 前記炉壁れんがが珪石質れんがであっ
て、前記炉壁れんがと接する補修層が、珪石粉を85mass
%以上含有する溶射材料の火炎溶射によって形成された
補修層であることを特徴とする請求項1記載の炉壁れん
が補修体。 - 【請求項3】 珪石質れんがから構成される炉壁れんが
に複数の補修層を接着する炉壁れんが補修方法であっ
て、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石粉を85mass
%以上含有する溶射材料の火災溶射によって形成した
後、少なくとも1ヵ所の補修層の上の補修層を、珪石粉
を含有する溶射材料の火災溶射によって形成し、かつ、
上記後者の溶射材料として該溶射材料の最大粒径が上記
前者の溶射材料の最大粒径よりも大なる溶射材料を用い
ることを特徴とする炉壁れんが補修方法。 - 【請求項4】 珪石質れんがから構成される炉壁れんが
に複数の補修層を接着する炉壁れんが補修方法であっ
て、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石粉を85mass
%以上含有する溶射材料の火災溶射によって形成した
後、少なくとも1ヵ所の補修層の上の補修層を、珪石粉
を含有する溶射材料の火災溶射によって形成し、かつ、
上記後者の溶射材料の吐出速度を上記前者の溶射材料の
吐出速度よりも増加させることを特徴とする炉壁れんが
補修方法。 - 【請求項5】 珪石質れんがから構成される炉壁れんが
に複数の補修層を接着する炉壁れんが補修方法であっ
て、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石粉を85mass
%以上含有する溶射材料の火災溶射によって形成した
後、少なくとも1ヵ所の補修層の上の補修層を、珪石粉
を含有する溶射材料の火災溶射によって形成し、かつ、
上記後者の火災溶射に用いる溶射ノズルの移動速度を上
記前者の火災溶射に用いる溶射ノズルの移動速度よりも
増加させることを特徴とする炉壁れんが補修方法。 - 【請求項6】 珪石質れんがから構成される炉壁れんが
に複数の補修層を接着する炉壁れんが補修方法であっ
て、前記炉壁れんがと接する補修層を、珪石粉を85mass
%以上含有する溶射材料の火炎溶射によって形成した
後、少なくとも1ヶ所の補修層の上の補修層を、前記炉
壁れんがと接する補修層と同一材質の溶射材料の火炎溶
射によって形成し、かつ、上記後者の火炎溶射時の火炎
温度を上記前者の火炎溶射時の火炎温度よりも低下させ
ることを特徴とする炉壁れんが補修方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000397928A JP2002195760A (ja) | 2000-12-27 | 2000-12-27 | 炉壁れんが補修体および炉壁れんが補修方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000397928A JP2002195760A (ja) | 2000-12-27 | 2000-12-27 | 炉壁れんが補修体および炉壁れんが補修方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002195760A true JP2002195760A (ja) | 2002-07-10 |
Family
ID=18862989
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000397928A Pending JP2002195760A (ja) | 2000-12-27 | 2000-12-27 | 炉壁れんが補修体および炉壁れんが補修方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002195760A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014091765A (ja) * | 2012-11-01 | 2014-05-19 | Jfe Steel Corp | コークス炉の溶射補修体および溶射補修方法 |
CN110129496A (zh) * | 2019-04-17 | 2019-08-16 | 唐山钢铁集团有限责任公司 | 一种高炉炉墙粘结状态的判定方法 |
-
2000
- 2000-12-27 JP JP2000397928A patent/JP2002195760A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014091765A (ja) * | 2012-11-01 | 2014-05-19 | Jfe Steel Corp | コークス炉の溶射補修体および溶射補修方法 |
CN110129496A (zh) * | 2019-04-17 | 2019-08-16 | 唐山钢铁集团有限责任公司 | 一种高炉炉墙粘结状态的判定方法 |
CN110129496B (zh) * | 2019-04-17 | 2021-01-01 | 唐山钢铁集团有限责任公司 | 一种高炉炉墙粘结状态的判定方法 |
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