JPH10267559A - コークス炉の熱間補修用材料及びコークス炉炉壁の補修方法 - Google Patents

コークス炉の熱間補修用材料及びコークス炉炉壁の補修方法

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JPH10267559A JP7193897A JP7193897A JPH10267559A JP H10267559 A JPH10267559 A JP H10267559A JP 7193897 A JP7193897 A JP 7193897A JP 7193897 A JP7193897 A JP 7193897A JP H10267559 A JPH10267559 A JP H10267559A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガス漏れや灰塵発生防止に優れたコークス炉炉
壁の熱間補修用材料及び熱間補修方法を開発すること。 【解決手段】固形分換算で 100wt%の水ガラスに対し、
骨材として結晶質二酸化けい素含有化合物を20〜60wt%
添加混合してなるコークス炉の熱間補修用材料、及びこ
れらをコークス炉炉壁に熱間で吹き付ける補修方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コークス炉の熱間
補修用材料およびコークス炉炉壁の補修方法、とくにコ
ークス炉窯口からのガス漏れ、灰塵発生等を防止するた
めに行われる、コークス炉炉壁の小目地切れ塞ぎ、れん
が角割れ補修、鉄製フレームとれんがの間隙充填等に用
いられる熱間補修用材料とこの材料を用いて行われる熱
間補修方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コークス炉の熱間補修方法としては、耐
火物粒子を補修部に溶融付着させる溶射補修方法と、無
機バインダーと水とからなる結合材とシヤモツト、ハイ
アルミナ等の耐火物粒子とを混合して吹き付ける、吹き
付け補修方法がある。
【0003】上記溶射補修方法は、たとえば特公昭62−
102082号公報等にも開示されているように、材料が溶融
することで炉壁との付着力の強化や溶射材料自身の強度
アップ等に効果がある。しかし、この技術は溶射時の高
熱によって窯口付近の金物が損傷したり、溶射被膜特有
の多孔質体に起因するガス漏れなどの問題が残されてお
り、コークス炉窯口付近の補修には適さないという問題
点があった。この意味において、コークス炉窯口付近に
おける小目地切れ塞ぎ、あるいはれんが角割れ補修、あ
るいは鉄製フレームとれんがとの間隙充填のようなガス
漏れ起因となる部分の補修には、むしろ上記吹き付け補
修方法の方が好ましいと言える。
【0004】このような吹き付け補修方法としては、た
とえば特開平8−119775号公報に記載されたような技術
がある。この技術は、低融点ガラスを利用したガラスコ
ーティング方法である。ただし、この既知技術は、窯口
部のガス漏れ部位が金物とれんがとの隙間充填のとき
や、れんがの角割れ補修のとき、あるいは目地切れ塞ぎ
の場合にあっては、耐火物と吹き付け補修材との付着力
不足、目地切れ部内部への吹き付け補修材料の充填不足
等の問題が残り、ガス漏れ対策として十分な効果を発揮
しているわけではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
上記各従来技術によるコークス炉炉壁の補修、特に窯口
付近のれんがの小目地切れ塞ぎ、れんが角割れ補修、鉄
製フレームとれんがとの間隙充填等によるコークス炉の
炉壁補修では次のような問題点があった。 (1) 溶射補修方法では; 溶射補修時に発生する高温により鉄製フレームの損傷
が懸念される。 溶射被覆は本質的に多孔質であるためガス漏れ防止効
果が少ない。 (2) 吹き付け補修方法では; れんがや、金物上への単なる吹き付けでは、付着力が
不足する。 小さな目地切れ補修では内部への充填性が悪い。 窯口付近は温度変化が大きいため、吹き付け補修層で
あるガラス質皮膜が劣化する。 目地切れ部へ充填した溶融ガラスの場合、収縮したと
きに空隙への充填性が低下する。 といった種々の問題点があった。
【0006】本発明の主たる目的は、上記の各問題点を
克服し、コークス炉窯口部のガス漏れを確実に防止する
ための技術を開発することにある。本発明の他の目的
は、ガス漏れや灰塵発生防止に優れたコークス炉炉壁の
熱間補修用材料を提案することにある。本発明のさらに
他の目的は、コークス炉炉壁の小目地切れやれんが角割
れ、れんがと金物との間隙充填のための有効な補修方法
を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】さて、上掲の目的の実現
に向けて鋭意検討した結果、発明者らは、コークス炉窯
口付近の鉄製フレームヘ悪影響を与えずにガス漏れ、灰
塵発生を防止できる緻密な補修層を得る方法としては、
吹付け補修方法が有効であるとの知見の下に、従来の上
記吹き付け補修方法の問題点を回避できる吹き付け補修
材料と、この材料を用いた補修方法に想到した。
【0008】すなわち、本発明は、固形分換算で 100wt
%の水ガラスに対し、骨材として結晶質二酸化けい素化
合物を20〜60wt%添加混合してなる、コークス炉の熱間
補修用材料である。なお、本発明において、上記結晶質
二酸化けい素含有化合物としては、クォーツ、トリジマ
イト、クリストバライトのいずれか1種または2種以上
の混合物を用いることが好ましい。また、本発明におい
て、上記結晶質二酸化けい素含有化合物としては、けい
石れんが、ハイアルミナれんが及びシヤモットれんがの
うちから選ばれるいずれか1種以上の、1000μm以下に
粉砕したれんが屑を用いることが好ましい。また、本発
明において、上記水ガラスはけい酸ソーダを主とする固
形分の比率が20〜65wt%のアルカリ−けい酸ガラスの濃
厚水溶液を用いることが好ましい。さらに、本発明にお
いて、上記水ガラスはその固形分中にLi、Na、Kの酸化
物もしくは水酸化物、またはR−Si(OH)2ONaで記述され
る有機シリコーン化合物の内、1種類あるいは複数種類
の成分を含むことが好ましい。
【0009】次に、本発明にかかるコークス炉炉壁の補
修方法とは、コークス炉の炉壁の熱間補修に当たり、目
地切れ部、れんが角割れ部または金物とれんがの間隙部
にけい酸ソーダを主とした水ガラスの固形分換算で 100
wt%の水ガラスに対し、骨材として結晶質二酸化けい素
化合物を20〜60wt%添加混合してなる、コークス炉の熱
間補修用材料を熱間で吹き付けることを特徴とする方法
である。
【0010】
【発明の実施の形態】コークス炉の窯口付近のれんがの
小目地切れ塞ぎ、れんが角割れ補修、フレームとれんが
の間隙充填などにより、ガス漏れや灰塵の発生を確実に
防ぐには、吹き付け材料の吟味が重要である。即ち、上
述した課題を解決するためには、小さな目地切れでもそ
の内部に密に充填することができ、かつ温度変化があっ
ても収縮の少ない補修用材料にすることが望まれる。し
かも、形成した補修層がガラス化して炉壁面との接着力
が上がるようにしなければならない。
【0011】一般に、コークス炉の熱間吹き付け補修
は、金物(鉄製フレーム)を含む炉壁の温度が 400〜 8
00℃になる。吹き付け補修用材料がこの温度( 400〜 8
00℃)で溶融流動性を示すようにするためには、けい酸
ソーダを主成分とする水ガラスを用いることが効果的で
ある。というのは、水ガラスを主材とする吹き付け補修
用材料の場合、小さな目地切れ等への充填性が良好であ
るとともに、金物やれんがに対する付着力が良好なため
である。
【0012】また、本発明において用いる上記水ガラス
としては、その固形分中にLi、Na、Kの酸化物もしくは
水酸化物、またはR−Si(OH)2ONaで記述される有機シリ
コーン化合物の内、1種類あるいは複数種類の成分を含
んだものでもよい。
【0013】次に、吹き付け補修層が、コークス炉の窯
口部で大きな温度変化を受けても壁面から剥離しにくく
するためには、補修層中のガラス成分の量を調整するこ
と、すなわち、結晶化を促進する量に調整することが必
要である。そこで、補修層の結晶化促進のために、本発
明では、補修用材料中に骨材として、クォーツ、トリジ
マイト、クリストバライトなどの結晶質二酸化けい素含
有化合物を添加して、結晶化のための核を提供すること
により、結晶化を促進することにした。
【0014】たとえば、このような結晶化促進のために
用いる具体的な材料として、けい石、ハイアルミナ、シ
ヤモット等のれんが屑粉を、粒径1000μm以下の大きさ
に粉砕したものを添加する。つまり、目地充填のための
吹き付け補修用材料の骨材として、けい石れんが屑、ハ
イアルミナれんが屑あるいはシヤモットれんが屑を用い
ることによって、これられんがに含まれる二酸化けい素
の結晶を核として、水ガラス中の酸化けい素分の結晶化
を促進し、補修層の結晶化度を大きくするのである。こ
のように水ガラス中に上記骨材成分を添加すると、熱間
吹き付け補修層は周辺れんがの熱膨張、収縮にも十分に
追従させることが可能となるのである。
【0015】ここで、水ガラス中に添加するれんが屑粉
の最大粒径を1000μm以下にした理由は、それよりも粒
子が大きいと、2000μm以下程度の小さな小目地切れ部
への充填が困難となること、また結晶化促進のためには
粒径が小さい方が有利なためである。さらに、水ガラス
との混合の際に1000μmより大きい粗大粒では水ガラス
中で沈降、分離が著しくなるからである。
【0016】上記の補修用材料を熱間吹き付けするに
は、水ガラス中の固形分は20〜65wt%とすることが必要
である。これは水ガラス中の固形分が65wt%を超える
と、水ガラスに結晶質を添加したスラリーの粘度が高く
なり、吹き付け施工のための補修材の輸送や、吹き付け
ノズルからの飛散状況などが悪化し、施工が困難となる
からである。一方、その固形分が20wt%未満になると、
補修材の輸送や施工性は良いが、補修材中の結晶化する
けい石分の含有量が減少してしまい、施工後に熱を受け
た際の結晶化率が低下してしまうために所望する補修層
の品質を得ることができない。
【0017】
【実施例】図2は水ガラスのみの吹付け補修材2を用い
てコークス炉窯口部の目地切れ部1を塞ぐ補修を行う時
の状況を模式的に示したものである。図2−aは、炉壁
温度 800℃で目地切れ部1に吹き付け補修を実施してい
る状況を示す。この場合、補修後コークス炉を稼働させ
て炉壁温度が上昇していくと、水ガラスが溶融し、目地
切れ部1内に溶融浸透して、1000℃近辺では目地切れ部
1内に充填され補修層ができる。そして、温度が上昇す
るに従って、その補修層中のアルカリ金属分が蒸発し、
そのために補修層の流動性が低下する。同時に約1200℃
程度で該補修層中のけい石の結晶化が始まるが、結晶質
の骨材を含まない従来の吹き付け層では、結晶化が遅
れ、1000℃−12時間程度でもほとんど結晶化は進まな
い。また、この吹付け補修材では骨材がないため、図2
−bに示すように、熱収縮が生じ目地切れ部1におおき
な亀裂が入りやすい。しかも、結晶化が進まないため補
修層は、ガラス質の部分が多くなり、図2−cに示すよ
うに、コークス炉からのコークス押し出しによる炉壁温
度の低下にともない、炉壁とガラス質補修層との熱膨張
率の差に起因して、該補修層が炉璧から剥離2′すると
いう現象が起こりやすい。
【0018】一方、図1に示す本発明の実施例では、骨
材入り吹きつけ補修材2を吹き付けると(図1−a)、
目地切れ部1に結晶質骨材3(あるいはれんが屑)を含
む補修層が目地切れ部に形成される。そして、コークス
炉の稼働により温度が上昇するにつれて、水ガラス中の
アルカリ金属分が蒸発して、該結晶質骨材3あるいはれ
んが屑中の二酸化けい素の結晶を核としてけい石の結晶
化が始まる。このとき該結晶質骨材あるいはれんが屑中
の二酸化けい素の結晶を核として結晶化が進むため、従
来例とは異なり、けい石の結晶化が飛躍的に進行する。
その後、図1一bに示すように、添加した骨材周辺の結
晶化が進んで、目地切れ部1に結晶化したけい石を含有
した補修層が充填される。このため、図1−cに示すよ
うに、コークスの押し出し時の炉壁温度低下に対して炉
壁面と補修層中の結晶質との熱膨張率がほぼ等しいた
め、目地切れ部内に微細な亀裂4は発生するものの、補
修層の剥離は起こらない。
【0019】表1は、本発明の実施例にあたる材料の組
成と、比較例として結晶質の骨材を添加しない例(比較
例1、2)、結晶質骨材の添加量が少ない例(比較例
3)、結晶質骨材が多い例(比較例4)の組成と、それ
ぞれの吹き付け施工の作業性を示した。結晶質骨材の漆
加量の多い比較例4では、補修材の粘度が高く目地内部
までの施工が不能であった。また、比較例5は水ガラス
中の水分量が多い例、比較例6は水ガラス中の水分量が
少ない例であるが、比較例5では施工性は良好であった
が、材料中のけい石分の含有量がすくないため、結晶化
が進まなかった。また比較例6では材料の粘度が高く、
補修材の輸送、および施工が著しく困難であり、目地内
部までの補修層を形成することができなかった。これら
の比較例に対し、本発明の実施例では、水ガラス中の水
分量ならびに骨材のれんが粉量を様々に変更して施工
性、および補修層中の結晶化率を調査したが、いずれも
良好であった。なお、表1には骨材としてけい石れんが
粉の例を示したが、補修材中の結晶化は、骨材中の二酸
化けい素の結晶を核として進むものであり、シヤモット
れんが(二酸化けい素:約40〜60wt%)、ハイアルミナ
れんが(二酸化けい素:約10〜30wt%)においても各に
含有される二酸化けい素の結晶を核として同様の効果が
あることを確認した。
【0020】
【表1】
【0021】次に、上記の実施例5と比較例2に示す補
修材を用いて、コークス炉の窯口近傍の目地切れ補修を
行い、施工後のコークス炉における石炭装人後のガス漏
れ頻度の変化を調査した。その結果を表2に示す。な
お、ガス漏れは炭化室から燃焼室へのリークをコークス
サイドの燃焼室上部より観察したものである。表2に示
すように、本発明方法によれば、施工直後のガス漏れ防
止効果が顕著であり、効果の持続期間の延長も可能であ
る。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
コークス炉の窯口部のガス漏れ、灰塵発生防止の補修が
効果的に実施でき、その効果を長時間持続させることが
できる。従って、補修頻度の低減、コークス炉ガスのガ
ス漏れなどによるエネルギーロスの低減に大きな効果が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による吹き付け補修のもようを示す模式
【図2】従来法の材料による吹き付け補修のもようを示
す模式図
【符号の説明】
1 目地切れ部 2 補修材 3 結晶質骨材 4 亀裂
フロントページの続き (72)発明者 熊谷 正人 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 安藤 猛 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 笠岡 玄樹 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固形分換算で 100wt%の水ガラスに対し、
    骨材として結晶質二酸化けい素含有化合物を20〜60wt%
    添加混合してなる、コークス炉の熱間補修用材料。
  2. 【請求項2】上記結晶質二酸化けい素含有化合物とし
    て、クォーツ、トリジマイト、クリストバライトのいず
    れか1種または2種以上の混合物を用いることを特徴と
    する請求項1に記載の熱間補修用材料。
  3. 【請求項3】上記結晶質二酸化けい素含有化合物とし
    て、けい石れんが、ハイアルミナれんが及びシヤモット
    れんがのうちから選ばれるいずれか1種以上の、1000μ
    m以下に粉砕したれんが屑を用いることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の熱間補修用材料。
  4. 【請求項4】上記水ガラスはけい酸ソーダを主とする固
    形分の比率が20〜65wt%のアルカリ−けい酸系ガラスの
    濃厚水溶液を用いることを特徴とする、請求項1〜3 の
    いずれか1項に記載の熱間補修用材料。
  5. 【請求項5】上記水ガラスは、その固形分中にLi、Na、
    Kの酸化物もしくは水酸化物、またはR−Si(OH)2ONaで
    記述される有機シリコーン化合物の内、1種類あるいは
    複数種類の成分を含むことを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の熱間補修用材料。
  6. 【請求項6】コークス炉の炉壁の熱間補修に当たり、目
    地切れ部、れんが角割れ部または金物とれんがの間隙部
    に請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱間補修用材料
    を熱間で吹き付けることを特徴とするコークス炉の熱間
    補修方法。
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