JP2002193832A - トロンビン乾燥製剤 - Google Patents

トロンビン乾燥製剤

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JP2002193832A JP2000394265A JP2000394265A JP2002193832A JP 2002193832 A JP2002193832 A JP 2002193832A JP 2000394265 A JP2000394265 A JP 2000394265A JP 2000394265 A JP2000394265 A JP 2000394265A JP 2002193832 A JP2002193832 A JP 2002193832A
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Takahito Matsuo
宇人 松尾
Yoshihiro Mizumachi
義博 水町
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Abstract

(57)【要約】 低濃度の安定化剤の添加により、安定化され、形状が良
好で、溶解後の溶状に優れたトロンビン乾燥製剤を提供
すること。 【解決手段】トロンビン250単位/ml当たり、炭素
数2〜6の脂肪族多基塩性カルボン酸またはその塩を
0.05〜8mgおよびアルブミンを0.01〜5mg
含有させてなるトロンビン乾燥製剤が前記課題を解決し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安定化されたトロ
ンビンの乾燥製剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】循環血液は、常に流動性を保ちながら生
理機能を営んでいるが、いったん血管組織に破綻がおき
ると流動性を失ってゲル化する。こうした止血には、主
に血小板が機能する一次止血と有形成分を除いた血漿成
分が関与する二次止血がある。二次止血の場合、その作
用には数多くの血漿由来蛋白因子、酵素、リン脂質、カ
ルシウムイオンなどが関与し、特定の条件が加わると、
一定の順序で次々に活性化反応が進むという、いわゆる
凝固カスケードがおこり、凝血が完了する。この凝固カ
スケードの最終段階で関与するのがトロンビンとフィブ
リノーゲンである。すなわち活性化されたプロトロンビ
ンがトロンビンとなり、このトロンビンがフィブリノー
ゲンに作用してフィブリンを生成することにより血液凝
固が完成する。
【0003】この血液凝固作用のため、トロンビンは臨
床的には外科領域において、通常の結紮によっては止血
困難な小血管、毛細血管及び実質臓器からの出血(例え
ば外傷に伴う出血、手術中の出血、骨性出血、膀胱出
血、抜歯後の出血、鼻出血及び上部消化管からの出血)
の止血に用いられている。一方、トロンビンのような触
媒作用を有する蛋白質を分離精製する際、そのもの自体
が不安定となり、活性を失いやすい。そのため蛋白製剤
の製剤設計を行なうにあたっては、何らかの物質を添加
することによって安定性を保つ工夫が必要となる。トロ
ンビンの場合、特に乾燥製剤における安定化剤として
は、たとえばコラーゲン(特開昭60-112721号公報)、ア
プロチニン、ゼラチン(特開昭56-68607号公報)、アル
ブミン(特開昭56-39782号公報)、プロテアーゼ抑制剤
とEDTA(特開昭57-18985号公報)、糖類、塩基性ア
ミノ酸、および有機酸(特許第2715104号)等が知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、トロ
ンビンの安定化のために種々の安定化剤を添加すること
が知られているが、いずれの添加剤もかなりの高濃度に
添加されているので、低濃度の液状トロンビン製剤の場
合や粉末状製剤で直接局所に噴霧または散布する場合
は、含まれている安定化剤の量が多くなり、生体に与え
る影響を無視できない。またトロンビン以外の成分の量
が多くなると、凍結乾燥製剤の表面が粗くなったり、収
縮したりしてバイアル瓶中での形状が悪くなり、商品価
値が著しく低下する。特開昭56−39782では有機
カルボン酸によるトロンビンの安定化効果について言及
しているが、トロンビン溶液に対し1%以上、好ましく
は5%以上の有機カルボン酸を単独或いは2種以上混合
して、高濃度で含有せしめることが記載されている。そ
して、1%以下の場合は安定化剤の効果が少なく、実用
的でないと述べている。
【0005】特公昭58−26956ではプロテアーゼ
抑制剤、キレート化剤及びアルブミンの3種類をトロン
ビンに混合することによる安定化効果について言及して
いるが、添加剤として用いるアルブミンの濃度は、0.
5〜10%、有利には1〜5%を有しなければならない
としているとしている。さらに、特許第2715104では糖
類、塩基性アミノ酸及び有機酸塩の併用により、トロン
ビンの安定化をはかることが記載されているが、いずれ
の添加剤も1.5〜9%と高濃度で存在させる必要があ
るとしている。このように安定化剤として様々な方法が
提案されているものの、低濃度で有効な方法については
未だ報告されていない。したがって、より少ない量の物
質の添加により安定化されたトロンビン乾燥製剤の開発
が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため種々研究を重ねた結果、凍結乾燥前のト
ロンビン溶液に特定の多塩基性カルボン酸またはその塩
とアルブミンを同時に添加することにより、凍結乾燥後
のトロンビン活性の安定性、溶解性及び凍結乾燥製剤の
形状に対して極めて良好な効果がもたらされること、お
よびその効果がそれぞれの極めて低い濃度の添加で発揮
されることを見出し、更に検討を重ねて本発明を完成し
た。すなわち、本発明は、(1)トロンビン250単位
に対し、炭素数2〜6の飽和脂肪族多塩基性カルボン酸
またはその塩を0.05〜8mgおよびアルブミンを
0.01〜5mg含有させてなるトロンビン乾燥製剤、
(2)炭素数2〜6の飽和脂肪族多塩基性カルボン酸
が、ヒドロキシル基を有してもよい二または三塩基性カ
ルボン酸である(1)記載のトロンビン乾燥製剤、
(3)炭素数2〜6の飽和脂肪族多塩基性カルボン酸
が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、マロン酸
またはシュウ酸である(1)記載のトロンビン乾燥製
剤、(4)炭素数2〜6の飽和脂肪族多塩基性カルボン
酸の塩が、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩である
(1)記載のトロンビン乾燥製剤、(5)アルブミンが
ヒト由来アルブミンである(1)記載のトロンビン乾燥
製剤、および(6)乾燥製剤が凍結乾燥製剤である
(1)記載のトロンビン乾燥製剤、である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に使用するトロンビンは、
トロンビンとしての生物活性又は生理活性を有するもの
であればよく、たとえば血漿蛋白を分画して得られるも
の、あるいは遺伝子工学的な手法により得られるものを
使用することができる。血漿由来の場合、ヒトに限らず
ウシ、ウマ等の動物由来のものも用いることができる。
しかしヒト由来のものが好適に使用される。本発明に使
用する炭素数2〜6の飽和脂肪族多塩基性カルボン酸と
しては、たとえば炭素数2〜6の飽和、二塩基性カルボ
ン酸や三塩基性カルボン酸が挙げられ、それらはさらに
1または2以上の水酸基を有していてもよい。これらの
具体例としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等のオキ
シジまたはトリカルボン酸、コハク酸、マロン酸、シュ
ウ酸等のジカルボン酸などが挙げられる。それらの塩と
してはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩やア
ンモニウム塩が好適に使用される。これらの中でもクエ
ン酸及びその塩を用いることが特に好ましい。
【0008】本発明に用いるアルブミンはアルブミンと
しての物理化学的な特性を有する蛋白質であれば良く、
例えば血漿蛋白を分画して得られるもの、あるいは遺伝
子工学的な手法により得られるものを使用することがで
きる。血漿由来の場合、ヒト、ウシ、ウマ等の動物由来
のものを用いることができるが、好ましくはヒト由来の
ものを用いる。本発明のトロンビン製剤はトロンビン含
有水溶液を凍結乾燥することによって製造することがで
きる。該トロンビン含有水溶液におけるトロンビンの濃
度は0.1〜20000単位/mlの範囲で用いること
ができるが、低濃度の添加剤としての特徴を最大限に生
かすためには、比較的低濃度のトロンビンを用いること
がより効果的である。したがって添加剤がより有効なト
ロンビン濃度は1000単位/ml未満であり、好まし
くは500単位/ml未満である。本発明はトロンビン
活性の安定化効果に限らず、凍結乾燥製剤の形状及び溶
解後の溶状の劣化防止に優れた効果を示すことから、乾
燥製剤の製剤化技術に大きな進展をもたらすものであ
る。
【0009】炭素数2〜6の飽和脂肪族多塩基性カルボ
ン酸またはその塩の使用量は、トロンビン250単位当
たり、通常0.05〜8mg、好ましくは0.5〜6m
gである。使用量がこの範囲より多いと、凍結乾燥した
際の乾燥製剤の表面が粗くなったり、乾燥製剤全体が収
縮して瓶の内壁から剥がれた状態になったりして外観が
悪くなり、商品価値が著しく低下することがある。この
範囲より少ない場合は、乾燥トロンビン製剤の安定効果
が不充分となる。アルブミンの使用量は、トロンビン2
50単位当たり、通常0.01〜5mg、好ましくは
0.05〜4mgである。アルブミンはこの使用量にお
い炭素数2〜6の飽和脂肪族多塩基性カルボン酸または
その塩との併用により、乾燥状態におけるトロンビンを
長期に亘り安定に保ち、凍結乾燥製剤の形状を良好に
し、且つ、溶解した場合、液の白濁や折出物を防止する
などの良好な液状の保持に効果を発揮する。
【0010】本発明の乾燥製剤の調製方法としては、ト
ロンビン溶液を自体公知の手段に基づいた方法、具体的
には凍結乾燥によって製造することができるが、必要に
応じてウイルス不活化のための加熱処理、ウイルス除去
のための膜処理、透析、除菌ろ過等を施しておいても良
い。本発明は通常の製剤化技術により局所投与用、外用
剤、散剤、顆粒剤に調製して用いられる。また、トロン
ビン単剤に限らず、生体組織接着剤のようにトロンビン
を含有している製剤または構成薬剤の一つとなっている
場合にも用いることができる。
【0011】
【実施例】以下に実施例、比較例および試験例をあげて
本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。 実施例1 ヒト血漿由来のトロンビンの調製 ヒト血漿19Lに1/10容の1M BaClを4℃
にて撹拌しながら添加し、1時間放置した。折出した白
色沈殿物を遠心分離によって集め、0.01MBaCl
を含む0.9%NaCl液で洗浄後、再び遠心した。
洗浄した沈殿物に、1.5Lの40%飽和硫酸アンモニ
ウムを加え、撹拌しながら4℃で一晩放置した。沈殿物
を遠心で除いた後、上澄み1640mlに対し固形硫酸
アンモニウム276gを加え(70%飽和)約1時間放
置した。これを遠心し、その沈殿物を100mlの0.
05Mリン酸緩衝液に溶かし、10Lの同一リン酸緩衝
液(pH6.0)に透析した。これを遠心し、上清128ml
を得た。カラムサイズ4.7cmx20cmのDEAE
イオン交換体に流速80〜90ml/hrで上清液を負
荷した後、0.05Mリン酸緩衝液(pH6.0)を含むNaC
l濃度勾配を (0.2→0.6M、2Lづつ) 行って溶出する
と、ほぼ均一のプロトロンビン (約1200mg) が得られ
た。(続生化学実験講座8、血液下、P492〜497、化学
同人社参照)
【0012】得られたプロトロンビン溶液200mlに
20mlのトロンボプラスチン溶液及び20mlの0.
18M塩化カルシウムを添加し37℃で1時間放置し
た。これを冷やしながら遠心分離した後、得られた上清
200mlに27mlの53.3%の冷エタノール(−5
℃)を添加し、−4℃で再度遠心分離した。再度得られ
た上清に1.0Mの酢酸を加えてpH6.0〜5.5に調
整し、上清と等量の65%の冷エタノール(-10℃)溶液
を添加した。温度を−6℃に維持したまま十分反応させ
た後、遠心分離した沈殿物をトロンビン画分とした。
(Method in enzymology vol.XIX, Proteolytic enzym
e, p172〜176, Academicpress参照) 試験サンプルの調製 得られたトロンビン画分は透析により脱塩処理を施した
後、本試験に供した。トロンビン溶液に対しヒトアルブ
ミンを0.2%となるように、またクエン酸ナトリウム
を0.3%となるように添加した。またこの時トロンビ
ンの力価は250単位/mlとなるように調整した。こ
の溶液を凍結した後、減圧下で乾燥する(凍結乾燥)す
ることにより本試験のサンプルを得た。
【0013】上記サンプルについて凍結乾燥後の仕上が
り形状を観察し、表面が平滑で、器壁からの剥がれのな
い良好なものを○、やや不良を△、表面が粗かったり、
収縮のみられる不良なものをxとして判定した。また、
上記サンプルを55℃で保存し、0、3、7週間後に溶
解したときの性状を観察した。更に、上記サンプルを5
5℃で保存し、0、3、7週間後にトロンビンの活性を
測定した。
【0014】比較例1 実施例1と同様にして得たトロンビン溶液に対し、クエ
ン酸ナトリウムを1.0%となるように添加した。また
この時トロンビンの力価は250単位/mlとなるよう
に調整した。次にこの溶液を凍結した後、減圧下で乾燥
する(凍結乾燥)することで本試験のサンプルを得た。
上記サンプルについて凍結乾燥後の仕上がり形状を観察
し、良好を○、やや不良を△、不良をxとして判定し
た。また、上記サンプルを55℃で保存し、0、3、7
週間後に溶解したときの性状を観察した。更に、上記サ
ンプルを55℃で保存し、0、3、7週間後にトロンビ
ンの力価を測定した。
【0015】比較例2 実施例1と同様にして得たトロンビン溶液に対し、マン
ニトールを5.0%となるように添加した。またこの時
トロンビンの力価は250単位/mlとなるように調整
した。次にこの溶液を凍結した後、減圧下で乾燥する
(凍結乾燥)することで本試験のサンプルを得た。上記
サンプルについて凍結乾燥後の仕上がり形状を観察し、
良好を○、やや不良を△、不良をxとして判定した。ま
た、上記サンプルを55℃で保存し、0、3、7週間後
に溶解したときの性状を観察した。更に、上記サンプル
を55℃で保存し、0、3、7週間後にトロンビンの力
価を測定した。
【0016】比較例3 実施例1と同様にして得たトロンビン溶液に対し、アル
ブミンを0.5%となるように添加した。またこの時ト
ロンビンの力価は250単位/mlとなるように調整し
た。次にこの溶液を凍結した後、減圧下で乾燥する(凍
結乾燥)することで本試験のサンプルを得た。上記サン
プルについて凍結乾燥後の仕上がり形状を観察し、良好
を○、やや不良を△、不良をxとして判定した。また、
上記サンプルを55℃で保存し、0、3、7週間後に溶
解したときの性状を観察した。更に、上記サンプルを5
5℃で保存し、0、3、7週間後にトロンビンの力価を
測定した。
【0017】比較例4 実施例1と同様にして得たトロンビン溶液に対し、アル
ブミンを0.2%となるように添加した。またこの時ト
ロンビンの力価は250単位/mlとなるように調整し
た。次にこの溶液を凍結した後、減圧下で乾燥する(凍
結乾燥)することで本試験のサンプルを得た。上記サン
プルについて凍結乾燥後の仕上がり形状を観察し、良好
を○、やや不良を△、不良をxとして判定した。また、
上記サンプルを55℃で保存し、0、3、7週間後に溶
解したときの性状を観察した。更に、上記サンプルを5
5℃で保存し、0、3、7週間後にトロンビンの力価を
測定した。
【0018】比較例5 実施例1と同様にして得たトロンビン溶液に対し、アル
ブミンを0.2%及びマンニトールを1.0%となるよう
に添加した。またこの時トロンビンの力価は250単位
/mlとなるように調整した。次にこの溶液を凍結した
後、減圧下で乾燥する(凍結乾燥)することで本試験の
サンプルを得た。上記サンプルについて凍結乾燥後の仕
上がり形状を観察し、良好を○、やや不良を△、不良を
xとして判定した。また、上記サンプルを55℃で保存
し、0、3、7週間後に溶解したときの性状を観察し
た。更に、上記サンプルを55℃で保存し、0、3、7
週間後にトロンビンの力価を測定した。
【0019】比較例6 実施例1と同様にして得たトロンビン溶液に対し、添加
剤を加えず、力価を250単位/mlとなるように調整
した。次にこの溶液を凍結した後、減圧下で乾燥する
(凍結乾燥)することで本試験のサンプルを得た。上記
サンプルについて凍結乾燥後の仕上がり形状を観察し、
良好を○、やや不良を△、不良をxとして判定した。ま
た、上記サンプルを55℃で保存し、0、3、7週間後
に溶解したときの性状を観察した。更に、上記サンプル
を55℃で保存し、0、3、7週間後にトロンビンの力
価を測定した。
【0020】試験例1 トロンビン力価の測定試験 この測定法は、一定量のフィブリノーゲンに対し添加さ
れるトロンビンの濃度が増加するに従って凝固時間が短
縮する原理を利用したもので、ある範囲においてトロン
ビン濃度(対数)と凝固時間(対数)とは直線関係にあ
り、濃度既知のトロンビン標準品溶液について凝固時間
を測定することにより標準曲線(検量線)が得られる。
サンプルについても同様に操作して凝固時間を求め、検
量線からサンプル中のトロンビン量を定量した。すなわ
ち、実施例1及び比較例1、2、3、4、5、6で得ら
れたサンプルのトロンビン力価は以下のようにして測定
した。各サンプル0.1mlに0.9mlの0.1%フィ
ブリノーゲン溶液加え凝固するまでの時間を測定した。
同時に標準トロンビンを用い標準曲線を作成し、サンプ
ルのトロンビン力価を標準曲線より算出した。 試験結果
【0021】
【表1】 Cit-Na : クエン酸ナトリウム Alb : アルブミン Man : マンニトール 〔表1〕から明らかなように凍結乾燥後の仕上がりは比
較例1のクエン酸ナトリウムのみまたは比較例4のアル
ブミンのみでは形状に不具合が生じているが、実施例1
では両者少ない量での併用により改善された。また高濃
度の添加剤を用いた場合、比較例2のマンニトールでは
良好であるが、クエン酸ナトリウムの場合は比較例1の
ように高濃度であっても必ずしも良好な形状は得られな
かった。
【0022】
【表2】 〔表2〕から明らかなように、55℃で7週間保存した
後の性状は、比較例3、4のアルブミンのみ場合及び比
較例5のアルブミンとマンニトールを組み合わせた場合
は白濁を生じることがわかった。一方、実施例1の性状
は良好であった。
【0023】
【表3】 表中の数値は凍結乾燥前のトロンビン力価を100%と
して算出した。〔表3〕から明らかなように、比較例6
の無添加及び比較例2のマンニトールでは保存期間3週
間でトロンビン力価が顕著に低下した。また比較例3、
4のアルブミンのみ及び比較例5のアルブミンと糖の組
み合わせは保存期間7週間で半分程度にトロンビン力価
が低下した。しかしながら実施例1では保存期間7週間
でも90%程度のトロンビン力価が保持された。これら
の結果から、凍結乾燥後の仕上がり形状、55℃保存後
の溶解後性状及びトロンビン力価の全てを満足させるの
は実施例1の特定量のアルブミンとクエン酸ナトリウム
の組み合わせだけであった。すなわち高濃度のクエン酸
ナトリウムや高濃度のマンニトールを使用しなくとも十
分な効果を示すことがわかった。このように極めて少な
い量でのアルブミンと脂肪族多塩基性カルボン酸または
その塩の組み合わせにより、添加剤の生体に及ぼす影響
を極力抑制することができる。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、トロンビン溶液に極め
て少ない量のアルブミン及び炭素数2〜6の飽和脂肪族
多基塩性カルボン酸またはその塩を同時に添加すること
で、それから得られる乾燥製剤のトロンビン活性の安定
性、凍結乾燥後の形状および再溶解後の溶状に対し極め
て良好な効果を示す。また本発明はトロンビン単独の製
剤に限らず、生体組織接着剤のようにトロンビンを含有
するすべての製剤においてその効果が発揮される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C076 AA29 BB12 CC14 DD43 EE41 FF33 FF63 GG06 4C084 AA01 AA03 CA36 DC03 MA05 MA44 NA02 NA03 ZA531

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トロンビン250単位に対し、炭素数2〜
    6の飽和脂肪族多塩基性カルボン酸またはその塩を0.
    05〜8mgおよびアルブミンを0.01〜5mg含有
    させてなるトロンビン乾燥製剤。
  2. 【請求項2】炭素数2〜6の飽和脂肪族多塩基性カルボ
    ン酸が、ヒドロキシル基を有していてもよい二または三
    塩基性カルボン酸である請求項1記載のトロンビン乾燥
    製剤。
  3. 【請求項3】炭素数2〜6の飽和脂肪族多塩基性カルボ
    ン酸が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、マロ
    ン酸またはシュウ酸である請求項1記載のトロンビン乾
    燥製剤。
  4. 【請求項4】炭素数2〜6の飽和脂肪族多塩基性カルボ
    ン酸の塩が、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩であ
    る請求項1記載のトロンビン乾燥製剤。
  5. 【請求項5】アルブミンがヒト由来アルブミンである請
    求項1記載のトロンビン乾燥製剤。
  6. 【請求項6】乾燥製剤が凍結乾燥製剤である請求項1記
    載のトロンビン乾燥製剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009128474A1 (ja) 2008-04-16 2009-10-22 財団法人化学及血清療法研究所 トロンビン固定化生体吸収性シート製剤の製造方法

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WO2009128474A1 (ja) 2008-04-16 2009-10-22 財団法人化学及血清療法研究所 トロンビン固定化生体吸収性シート製剤の製造方法
US9149557B2 (en) 2008-04-16 2015-10-06 The Chemo-Sero-Therapeutic Research Institute Process for preparing bioabsorbable sheet preparation holding thrombin

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