JP2002192120A - 人工芝のリサイクル方法およびそのリサイクル材 - Google Patents
人工芝のリサイクル方法およびそのリサイクル材Info
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Abstract
接着材(バッキング材)によってパイルが基材に固定さ
れている人工芝から、複合再生法により成形が可能なリ
サイクル材を得る。 【解決手段】 パイル3が基材2に植設され、そのパイ
ル3が接着材4により基材2に固定されており、パイル
3および基材2が熱可塑性樹脂からなり、接着材4には
熱可塑性を示さないポリマー材料からなる非熱可塑性樹
脂が用いられている人工芝1を再資源化するにあたっ
て、加熱、加水分解もしくは紫外線照射の少なくとも1
つの方法を適用して接着材4を劣化させて、パイル3お
よび基材2と分離する。
Description
方法に関し、さらに詳しく言えば、廃棄物扱いとなった
人工芝を再資源化する処理技術に関するものである。
で長期間にわたって使用することができるにしても、自
然的な劣化や摩耗などによる損傷は避けられず、古くな
った人工芝は張り替えられることになる。そこで、問題
となるのは人工芝の処理方法である。
つとして複合再生法がある。これは、回収された熱可塑
性プラスチック製品を組成別に分別することなく、ま
た、洗浄もせずに微粉砕し、押出機にかけて一度に溶融
し、金型に流し込んで成型品を得る方法である。
などにより廃棄物扱いとなった人工芝を再資源として有
効にリサイクルできるようにするため、人工芝を構成す
るほとんどの部材を熱可塑性樹脂とすることにより、複
合再生法が適用可能な人工芝を既に提案している(特開
2000−17605号公報参照)。
る多くの人工芝には、この複合再生法が適用できない。
その原因は、パイル(人工芝糸)を基材に接着固定する
接着材(いわゆる、バッキング材)にある。
などの熱可塑性樹脂からなるものの、接着材としては、
架橋部を有する可塑性のないSBR(スチレンブタジエ
ンゴム)やNR(天然ゴム)などのラテックスゴムを用
いているためである。場合によって、ウレタンなどの高
接着性素材も使用されている。
性を示さない安定した材料で加熱しても流動性がない。
したがって、従来の人工芝の粉砕物には、熱可塑性樹脂
と非熱可塑性樹脂とが混ざることになるため、複合再生
法により、品質のよいリサクル成形品を得ることはでき
ない。
多くの人工芝がそうであるように、接着材(バッキング
材)が非熱可塑性樹脂からなる人工芝であっても、複合
再生法によりリサイクルすることができる。
され、上記パイルが接着材により上記基材に固定されて
おり、上記パイルおよび上記基材が熱可塑性樹脂からな
り、上記接着材には熱可塑性を示さないポリマー材料か
らなる非熱可塑性樹脂が用いられている人工芝を再資源
化するにあたって、上記接着材を劣化させる接着材劣化
工程を備えていることを特徴としている。
は、加熱、加水分解もしくは紫外線照射が好適で、少な
くともこの内の1つの手法が選択されるが、複数の手法
を組み合わせてもよい。劣化された接着材は基材やパイ
ルから分離しやすくなる。
から大部分が熱可塑性樹脂であるリサイクル材を回収す
ることができる。なお、熱可塑性樹脂内に劣化された接
着材が多少残されたとしても、熱可塑性樹脂が複合再生
法により流動化される際、フィラー(充填材)として分
散されるため支障はない。
劣化させれば、ことさら人工芝から分離させなくとも、
他の熱可塑性樹脂との複合再生法により流動化される際
に、フィラーとして分散させることができる。
いる場合には、その充填材を除去する充填材除去工程が
行なわれる。これにより、熱可塑性樹脂に含まれるフィ
ラー分がより少なくなるため、高品質なリサイクル材が
得られることになる。
果的であるが、真空掃除機などにより負圧吸引してもよ
い。また、充填材除去工程は接着材劣化工程の前、もし
くは接着材劣化工程と並行して実施することが好ましい
が、場合によっては接着材劣化工程の後に用意されても
よい。
芝を所定の大きさに裁断する裁断工程が含まれる。この
裁断工程は、接着材の劣化を早めるとともに、分離を容
易とする意味で、接着材劣化工程の前に行なうのが効果
的である。
水分解、紫外線照射による劣化方法は、上記接着材の主
成分が、ゴムやウレタンなどの架橋成分を有するポリマ
ーからなる場合に特に有効である。
攪拌することにより、簡単な装置で上記接着材を劣化さ
せることができる。この場合、接着材の材質によもよる
が、その加熱温度は30〜100℃が好ましく、より好
ましくは50〜90℃の温度範囲がよい。
て回収した後に、上記接着材劣化工程を実施することが
好ましく、これによれば天然下で上記接着材の劣化を進
行させることができ、その分、コストを下げることが可
能となる。
される人工芝の要部断面を示し、その構成について説明
する。人工芝1は、その基本的な構成として、パイル3
が植設された基材2を備え、多くの場合、パイル3は接
着材(バッキング材)4により基材2に固定されてい
る。
プロピレンやポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、
塩化ビニリデンなど熱可塑性樹脂によって構成されてい
ればよく、モノフィランントやスプリットヤーンの別は
特に問われない。
で、比較的強度が強くて寸法が安定な例えばポリプロピ
レンやポリエステルがよく用いられる。まれに、基材2
の一部もしくは全部に、無機繊維や天然繊維などが使用
される場合もあるが、その場合には、これらの繊維を分
離除去することが好ましい。
こと、パイル3をしっかりと保持すること、それに耐湿
度寸法変化が小さいこと要求されることから、適度な弾
性を有し、かつ、強度が強い材料が好ましく採用されて
いる。
RやNRなどのラテックスゴムが主に使用されている
が、場合によってはウレタンなどの高接着性素材が使用
されることもある。
を示さない安定した材料で、加熱しても流動しないた
め、人工芝1を複合再生法によりリサイクルするには、
接着材4を基材2およびパイル3から、好ましくはその
ほとんどを分離する必要がある。また、一部が残される
にしても、劣化させてフィラー化する必要がある。
せて基材2およびパイル3から分離することにより、人
工芝1から主に熱可塑性樹脂からなるリサイクル材を回
収する。接着材4の劣化方法としては、加熱、加水分解
もしくは紫外線照射が好適であり、少なくともこの内の
1つの手法が選択されるが、複数の手法を組み合わせて
もよい。
は、例えば、接着材の分子構造において、架橋部や主鎖
および/または分鎖が切断されたり、接着材の分子構造
が比較的低分子な状態になったり、接着材と基材やパイ
ル界面との接着部などにおいて、接着材がマクロ的また
はミクロ的に脱落・剥離したり、小さな負荷をかけただ
けで、接着材が脱落・分離・剥離したり、接着材が人工
芝から分離することなく、細化したりするなどして、接
着機能を喪失したときのことを言う。
00℃(より好ましくは50〜90℃)の水につけて放
置する方法や、50%以上の高湿環境下で放置する方法
などがあるが、このとき水流や風流を同時に発生させれ
ばより反応が促進される。また、紫外線照射の条件とし
ては、屋外の自然光下に暴露する方法や市販の紫外線照
射機を用いて行う方法などがある。
えば15cm角程度に細かく裁断しておくことが好まし
い。本発明において、裁断とは人工芝1を細かくするこ
とであって、粉砕の意味も含まれる。
うことが好ましい。接着材の劣化に好適な加熱温度は3
0〜100℃であり、より好ましくは50〜90℃であ
る。紫外線照射の場合には、その照射量は接着材の材質
および厚さなどにもよって様々であるが、市販されてい
る耐候性試験器において設定可能な照射レベルであれば
よい。
には充填材5が充填されていてもよい。一般的には、粒
径が2mm以下程度の珪砂が使用されるが、例えばタイ
ヤの廃材を粉砕したゴムチップや樹脂粉などが用いられ
てもよい。
な人工芝用の充填材などとして再利用可能であるため、
人工芝1から分離して回収することが好ましい。充填材
5を回収するにしても、既存のものは長期間の使用によ
る踏圧や風雨などにより目詰まりしているため、敷設面
より掻き取ったり、抜き取ることは容易ではない。
こなどにより細かくして抜き取り、水槽に浸して充填材
5を分離するか、もしくは大型の真空掃除機などで充填
材5を負圧吸引することが好ましい。なお、接着材4の
劣化工程と並行して充填材5を分離することも効果的で
ある。
まで劣化させることができれば、上述した基材やパイル
などの熱可塑性樹脂との分離工程を不要にできる。すな
わち、接着材4を1mm以下の粒径とすることで、他の
熱可塑性樹脂との複合再生法により流動化される際に、
フィラーとして分散させることができる。このとき、接
着材4が重量的に多く、複合再生品の熱可塑性が低下し
てしまうような場合には、別の熱可塑性樹脂をさらに添
加すればよい。
化)する、すなわち上記人工芝1から非熱可塑性樹脂で
ある接着材4を分離して、熱可塑性樹脂をリサイクル材
として回収するまでの流れの一例について説明する。
る。例えば、回転のこなどを用いて人工芝を所定間隔で
マス目状に切断し、1ブロックづつ引き剥がして回収す
る方法や、そのままロール状に巻き取って回収するなど
の方法がある。充填材入りの場合には、前者の切り出し
法が好ましいが、真空掃除機により充填材の一部もしく
は全部を除去してから後者のようにロール状に巻き取っ
て回収してもよい。
断する。例えば、回転ノコギリにより、約15cm角程
度に細かくする。裁断手段は、カッターなどであっても
よい。
芝を水槽に漬け、人工芝に付着した充填材を水中にて脱
落する。これとは別に、充填材を真空掃除機により負圧
吸引してもよい。また、場合によっては、ブロアーなど
を用いて充填材を吹き飛ばす飛散方法を併用してもよ
い。
らに細かく切断する。例えば、ゴムなどの弾性材料用の
粉砕機を用いてより細かく粉砕して、微細なチップ状に
切断する。なお、この微粉砕工程は、すべての人工芝に
適用されることを要しない。
は、加熱法、加水分解法もしくは紫外線照射法の3つが
好適であるが、ここでは加熱法について説明する。微粉
砕された人工芝を、80℃程度の温水に浸けて約1週間
程度攪拌する。これにより、接着材中の架橋成分と水と
が反応して接着材が劣化する。また、充填材が残されて
いる場合には、その充填材も除去され、より高純度なリ
サイクル材を得ることができる。
着材の劣化をより促進させることができる。また、紫外
線照射の一つとして、人工芝を屋外で所定期間天日に晒
すことも有効である。さらに、高温・高湿な恒湿槽内で
人工芝の劣化作業を行ってもよい。
工程を経た人工芝を乾燥し、再度粉砕機にかけて粉砕し
た後、篩いにかけて劣化接着材を分離する。これによ
り、最終的に人工芝から、そのパイルおよび基材を構成
していた熱可塑性樹脂を含むリサイクル材が回収され
る。なお、回収されたリサイクル材を押出機などに投入
・混合してペレット化してもよい。
で1年間通路として実際に使用された充填材入り人工芝
についてリサイクルを行なったので、本発明による実施
例と、その比較例について説明する。なお、用いた人工
芝の仕様は次のとおり。
プリットヤーン、目付量980g/m2、高さ20.0
mm 基材:ポリプロピレン製平織り布、重量110g/m2 接着材:SBR/NRラテックスゴム、塗布量1100
g/m2、乾燥後重量750g/m2 充填材:珪砂、充填量22.5kg/m2、初期高さ1
9mm
選択し、充填材が入ったまま回転のこによって切り出し
た。 切り出した人工芝を、回転のこを用いて15cm角程
度にさらに細かく裁断した。 裁断した人工芝を水槽に浸け、大まかに人工芝から充
填材を分離した。 人工芝をゴム用の粉砕機にかけて、2cm角程度の大
きさにさらに細かくした。 細かくした人工芝を、温度:70℃、相対湿度:50
%の高温高湿環境下に保持された処理槽内に投入し、そ
の槽内に照度:95W/cm2、波長:300〜450
nmを主とするメタルハライドランプにより紫外線を1
000時間照射して、接着材を劣化させた。 そして、人工芝を乾燥した後、劣化接着材を除去する
ため、上記で使用した粉砕機に再度投入し、1cm程
度の大きさでメッシュ分けした。その後、ふるいにかけ
て劣化接着材をさらに細かく分離した。 劣化接着材を除去して得られたリサイクル材を、2軸
混練り機(ラボプラストミル)で45cc、150cc
相当量の2段階で混練りした。得られた混練り物を評価
したところ、熱可塑性があり、フィラーの分散状態も良
好であった。
1と同じであるが、上記の粉砕およびの接着材の劣
化を行なうことなく、上記,の各作業を行なった。
その結果、混練り時に架橋成分によると思われる異臭が
発生し、また、練り上がるまでの時間も長かった。得ら
れた混練り物については、熱可塑性が不良で外観性状も
悪く、異物状のものがたくさん観察された。
いられる熱可塑性の汎用樹脂は、バッキング材に比べて
加熱・加水分解および紫外線照射による劣化速度がはる
かに遅いため、再利用の妨げに妨げとなることはほとん
どないが、人工芝の基材およびパイルが加熱・加水分解
および紫外線照射の影響を受けにくいオレフィン系の熱
可塑性樹脂であれば、リサイクル材として非常に良質な
ものが得られる。
接着材(バッキング材)に熱可塑性を示さないポリマー
材料からなる非熱可塑性樹脂を用いている既存の多くの
人工芝を廃棄するにあたって、その人工芝から主として
熱可塑性樹脂を含み、複合再生法により成形が可能な高
品質のリサイクル材を得ることができる。したがって、
本発明は今後多く発生するであろう既存の大半を占める
人工芝の廃棄物処理問題に寄与するところ大である。
面図。
Claims (10)
- 【請求項1】 パイルが基材に植設され、上記パイルが
接着材により上記基材に固定されており、上記パイルお
よび上記基材が熱可塑性樹脂からなり、上記接着材には
熱可塑性を示さないポリマー材料からなる非熱可塑性樹
脂が用いられている人工芝を再資源化するリサイクル方
法において、 上記接着材を劣化させる接着材劣化工程を含むことを特
徴とする人工芝のリサイクル方法。 - 【請求項2】 上記接着材劣化工程では、加熱、加水分
解または紫外線照射の少なくとも1つの劣化処理方法を
適用して上記接着材を劣化させ、その劣化した接着材を
分離することにより、上記人工芝から大部分が熱可塑性
樹脂であるリサイクル材を回収することを特徴とする請
求項1に記載の人工芝のリサイクル方法。 - 【請求項3】 上記パイルの芝目内に充填材が充填され
ている場合においては、その充填材を除去する充填材除
去工程をさらに備えることを特徴とする請求項1または
2に記載の人工芝のリサイクル方法。 - 【請求項4】 上記人工芝を所定の大きさに裁断する裁
断工程をさらに備えることを特徴とする請求項1,2ま
たは3に記載の人工芝のリサイクル方法。 - 【請求項5】 上記裁断工程を上記接着材劣化工程の前
に実施することを特徴とする請求項4に記載の人工芝の
リサイクル方法。 - 【請求項6】 上記接着材の主成分が、ゴムやウレタン
などの架橋成分を有するポリマーからなることを特徴と
する請求項1ないし5のいずれか1項にに記載の人工芝
のリサイクル方法。 - 【請求項7】 上記接着材劣化工程において、上記人工
芝を十分な水分下で加熱しながら攪拌することを特徴と
する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の人工芝の
リサイクル方法。 - 【請求項8】 上記人工芝を屋外に所定期間放置して回
収した後に、上記接着材劣化工程を実施することを特徴
とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の人工芝
のリサイクル方法。 - 【請求項9】 上記接着材劣化工程にて劣化された上記
接着材を上記人工芝から分離することとなく、他の上記
熱可塑性樹脂とともに混合して樹脂成形に供する請求項
1または3ないし8のいずれか1項に記載のリサイクル
方法。 - 【請求項10】 上記請求項1ないし8のいずれか1項
のリサイクル方法が適用された人工芝を細片化もしくは
ペレット化してなることを特徴とするリサイクル材。
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