JP2002189030A - 不飽和鉄結合能の測定方法及び測定試薬 - Google Patents

不飽和鉄結合能の測定方法及び測定試薬

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JP2002189030A JP2000404561A JP2000404561A JP2002189030A JP 2002189030 A JP2002189030 A JP 2002189030A JP 2000404561 A JP2000404561 A JP 2000404561A JP 2000404561 A JP2000404561 A JP 2000404561A JP 2002189030 A JP2002189030 A JP 2002189030A
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泰也 北口
Hajime Yoshimura
一 芳村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】試料のUIBCを測定する際の測定値のばらつ
きを抑え、UIBC測定値を再現性よく、精度高く測定
することができる測定方法及び測定試薬を提供する。 【構成】試料中に含まれるトランスフェリンに対して既
知過剰量の鉄を少なくとも含む第1試薬を試料に添加
し、次にこれに少なくともキレート発色剤を含む第2試
薬を添加した後、この最終反応液中におけるトランスフ
ェリンに結合せずに残存した鉄量を比色法により測定
し、そして、この残存した鉄量を添加した鉄量から差し
引くことにより、試料の不飽和鉄結合能を測定する不飽
和鉄結合能の測定方法において、前記最終反応液中での
鉄濃度が、9μM以下であることを特徴とする、試料の
不飽和鉄結合能の測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料の不飽和鉄結
合能の測定方法及び測定試薬に関する。本発明は、特
に、化学、生命科学、分析化学及び臨床検査等の分野に
おいて有用なものである。
【0002】
【従来の技術】鉄は、人体内に約4.2g存在してお
り、これらの鉄はその約2/3が赤血球内の血色素鉄と
して存在し、残りの約1/3が貯蔵鉄として、肝臓、脾
臓、骨髄等の組織に存在する。血清中の鉄は、ごく微量
(3〜4mg)であり、そのほとんど全てが、β1−グ
ロブリンに属するトランスフェリンと結合して存在して
いる。このトランスフェリンの1分子には、2分子の鉄
イオンが結合できる。トランスフェリンの約1/3が鉄
によって飽和されており、残りの約2/3は鉄が結合し
ていない不飽和の状態で存在している。この鉄が結合し
ていない不飽和のトランスフェリンに結合することので
きる鉄量を不飽和鉄結合能(以下、UIBCと略す。)
と呼び、血清鉄とUIBCの和を総鉄結合能(TIB
C)と呼んでおり、「TIBC=血清鉄+UIBC」と
いう関係が成り立っている。これら血清鉄、UIBC及
びTIBCは、臨床面において鉄欠乏性貧血、鉄芽球性
貧血、再生不良性貧血、真性多血症、ヘモクロマトーシ
ス等の血液疾患、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変症等の肝
疾患、慢性炎症・感染症等の各種疾患と関係があり、そ
の測定は臨床上極めて重要とされている。
【0003】現在、UIBCの測定方法として広く用い
られている方法は、血清にあらかじめ既知過剰量の鉄を
添加してトランスフェリンを鉄で飽和させた後、トラン
スフェリンに結合せずに残存した鉄量を比色法により測
定し、これを添加した鉄量から差し引くことによりUI
BCを測定する方法である。この測定方法は、遠心分離
操作や除蛋白操作が不要であるため操作が簡便であり、
測定の自動化も可能であることから汎用されている。し
かしながら、この測定方法では、分注誤差又は、光源の
光度変化や検出器の感度変動に起因する分光光度計の機
械的誤差によって、測定値にかなりのばらつきが見られ
ることがあった。また、従来より、測定値のばらつきを
抑えるために、試料の量を増やすということも一般的に
行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、従来の
試料のUIBCの測定方法及び測定試薬は、測定値の再
現性が悪く、精密性に問題のあるものであった。よっ
て、本発明の課題は、UIBC測定値の再現性を向上さ
せた測定試薬及び測定方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点の解決を目指して鋭意検討を行った結果、UIBC
測定時の最終反応液中の鉄濃度が、9μM以下の場合に
UIBC測定値の再現性が向上することを見出し、試料
のUIBC値を精度よく測定することができる測定方法
及び測定試薬を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、試料中に含まれるトラ
ンスフェリンに対して既知過剰量の鉄を少なくとも含む
第1試薬を試料に添加し、次にこれに少なくともキレー
ト発色剤を含む第2試薬を添加した後、この最終反応液
中におけるトランスフェリンに結合せずに残存した鉄量
を比色法により測定し、そして、この残存した鉄量を添
加した鉄量から差し引くことにより、試料の不飽和鉄結
合能を測定する不飽和鉄結合能の測定方法において、前
記最終反応液中での鉄濃度が、9μM以下であることを
特徴とする、試料の不飽和鉄結合能の測定試薬である。
【0007】また、本発明の測定方法においては、第1
試薬中の鉄濃度が、下記式で示される濃度以上であるこ
とが好ましい。 C1=600(μg/dL)×VS/VR1 (式中、C1は第1試薬中の鉄濃度、VSは試料の量、
VR1は第1試薬の試薬量を示す)
【0008】更に、本発明は、試料の不飽和鉄結合能の
測定試薬において、少なくとも試料中に含まれるトラン
スフェリンに対して既知過剰量の鉄を含む第1試薬と、
少なくともキレート発色剤を含む第2試薬の2試薬とか
らなり、試料と第1試薬及び第2試薬を測定時の添加量
の比で混合した際に、この最終反応液中での鉄濃度が9
μM以下となるように前記過剰量の鉄を第1試薬に含有
させることを特徴とする、試料の不飽和鉄結合能の測定
試薬である。
【0009】また、本発明の測定試薬においては、第1
試薬中の鉄濃度が、下記式で示される濃度以上となるよ
うに前記既知過剰量の鉄を第1試薬に含有させることが
好ましい。 C1=600(μg/dL)×VS/VR1 (式中、C1は第1試薬中の鉄濃度、VSは試料の量、
VR1は第1試薬の試薬量を示す)
【0010】
【発明の実施の形態】〔1〕試料の不飽和鉄結合能の測
定方法及び測定試薬 本発明の測定方法及び測定試薬では、試料中に含まれる
トランスフェリンに対して既知過剰量の鉄を少なくとも
含む第1試薬を試料に添加し、次にこれに少なくともキ
レート発色剤を含む第2試薬を添加した後、この最終反
応液中におけるトランスフェリンに結合せずに残存した
鉄量を比色法により測定し、そして、この残存した鉄量
を添加した鉄量から差し引くことにより、試料のUIB
C値を求めることができる。
【0011】(1)試料 本発明の測定方法及び測定試薬において、試料とは、試
料のUIBCの測定を行おうとするもののことであり、
このようなものであれば特に限定されない。
【0012】例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿
等が挙げられる。
【0013】(2)既知過剰量の鉄 本発明の測定方法及び測定試薬においては、試料のUI
BCを測定するために既知過剰量の鉄を含む第1試薬を
試料に添加する。ここで、既知過剰量とは、試料中のト
ランスフェリンを完全に鉄で飽和させるために充分かつ
過剰な量のことをいう。また、添加する鉄としては、二
価又は三価の鉄を用いることができる。二価の鉄として
は、例えば、硫酸第一鉄アンモニウム、シュウ酸第一鉄
アンモニウム、クエン酸第一鉄アンモニウム、塩化第一
鉄等を挙げることができる。また、三価の鉄としては、
例えば、硫酸第二鉄アンモニウム、シュウ酸第二鉄アン
モニウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、塩化第二鉄等
を挙げることができる。
【0014】また、本発明における、最終反応液中にお
ける鉄の含有濃度は9μM以下である。ここで最終反応
液とは、試料と第1試薬及び第2試薬とを合わせた液の
ことをいう。
【0015】また、本発明においては、試料と第1試薬
及び第2試薬とを試料のUIBCを測定する際の各々の
添加量で混合した場合に、この混合後の最終反応液中の
鉄濃度が9μM以下となるように、前記の鉄を第1試薬
に含有させるようにする。
【0016】この試料と第1試薬及び第2試薬とをUI
BCを測定する際の各々の添加量で混合した後の最終反
応液中の鉄濃度と第1試薬中の鉄濃度との関係式を下記
の数式1に示した。
【0017】
【数1】
【0018】UIBC測定時の試料、第1試薬及び第2
試薬の添加量(VS、V1、V2)が定まっている場合
には、混合後の最終反応液中の鉄濃度(CM)が、9μ
M以下となるように数式1に従って、第1試薬に含有さ
せる鉄濃度を決めればよい。
【0019】また、本発明においては、第1試薬中の鉄
濃度が、下記式で示される濃度以上となるように前記既
知過剰量の鉄を第1試薬に含有させることが好ましい。 C1=600(μg/dL)×VS/VR1 (式中、C1は第1試薬中の鉄濃度、VSは試料の量、
VR1は第1試薬の試薬量を示す)
【0020】健常者及び鉄欠乏性貧血等の各種疾患の罹
患者におけるUIBC値は、内田立身著「鉄欠乏性貧血
−鉄の基礎と臨床−」,新興医学出版社,40〜44
頁,1996年等に記載されているように、通常600
μg/dL未満である。よって、UIBCの測定方法及
び測定試薬の性能としては、600μg/dLまでのU
IBCが測定できるようになっていることが望ましい。
この600μg/dLのUIBCが測定できる時、すな
わち、UIBCが600μg/dLの試料(試料の量:
VS)を、第1試薬(第1試薬の量:VR1)に含まれ
る鉄(濃度:C1)で飽和できる時、以下の式が成り立
つ。 600(μg/dL)×VS=C1×VR1 つまり、C1=600(μg/dL)×VS/VR1 よって、第1試薬に含有させる既知過剰量の鉄の濃度
を、上記式で示される濃度以上とすることにより、健常
者及び各種疾患の罹患者におけるUIBC値を問題なく
測定することができる。
【0021】ここで、試料の量(VS)が20μL、第
1試薬の試薬量(VR1)が250μLの場合の第1試
薬中の鉄濃度(C1)は、以下のように計算することが
できる。まず、単位を統一するために、600(μg/
dL)×10=6000(μg/L)とした上で、各々
の数字を上記の式に当てはめると、C1=〔6000
(μg/L)×20(μL)〕/250(μL)=48
0(μg/L)となる。つまり、第1試薬中の鉄濃度を
480μg/L以上とすればよいということになる。
【0022】また、三価の鉄は水溶液中では不安定なた
め、キレート剤を共存させることが好ましい。ここで、
キレート剤としては、鉄とトランスフェリンの結合や鉄
とキレート発色剤の反応を妨害せず還元剤によって速や
かに二価の鉄を遊離するキレート剤を使用するのが好ま
しい。このようなキレート剤としては、例えば、クエン
酸ナトリウム、マロン酸、酒石酸、ニトリロ三酢酸等を
挙げることが出来る。また、キレート剤の濃度は、キレ
ート剤の種類によって最適濃度は異なるが、前記第1試
薬中において、0.4〜85mMの範囲にあることが好
ましく、4〜8.5mMの範囲が特に好ましい。
【0023】(3)比色法による測定 本発明の測定方法及び測定試薬においては、試料中のト
ランスフェリンに結合せずに残存した鉄を比色法により
測定する。ここで、残存した鉄を比色法により測定する
方法としては、キレート発色剤を含む第2試薬を前記の
試料と第1試薬の混合液に添加し、キレート発色剤と残
存した鉄とを結合させて、このキレート発色剤が鉄と結
合することにより生じる吸収スペクトルの変化、色調の
変化などを吸光度を測ることにより測定すればよい。こ
こで、キレート発色剤としては、例えば2−ニトロソ−
5−(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)−フ
ェノール、トリピリジルトリアジン等のニトロソアミノ
フェノール誘導体、バソフェナンスロリン等及びそれら
の塩等が挙げられる。塩としては、例えば、ナトリウム
塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、塩酸塩、酢酸塩等
が挙げられる。また、キレート発色剤の濃度としては、
前記第2試薬中において、0.5〜20mMの範囲にあ
ることが好ましく、0.7〜4mMの範囲が特に好まし
い。
【0024】なお、キレート発色剤の中には、三価の鉄
とは反応しないものもある。この三価の鉄とは反応しな
いキレート発色剤を使用する場合には、三価の鉄を二価
に還元するために還元剤を試薬に含有させる必要があ
る。この場合、添加する還元剤としては、例えば、チオ
グリコール酸、アスコルビン酸、塩酸ヒドロキシルアミ
ン等及びその塩等を用いることができる。なお、この還
元剤は、第1試薬に含有させてもよいし、第2試薬に含
有させてもよいが、第2試薬に含有させるのが好まし
い。また、これらの還元剤の濃度としては、前記第1試
薬又は第2試薬中において、0.1〜10mMの範囲に
あることが好ましく、0.2〜4mMの範囲が特に好ま
しい。
【0025】(4)UIBC測定時のpH 本発明の測定方法及び測定試薬においては、トランスフ
ェリンと鉄が安定に結合できるようなpHにすることが
望ましい。例えば、pHが7〜10の範囲が好ましく、
pH8〜9の範囲が特に好ましい。また、前記のpH範
囲となるように用いる緩衝液としては、前記のpH範囲
に緩衝能がある従来公知の緩衝液を適宜使用することが
できる。例えば、トリス緩衝液、モノエタノールアミン
緩衝液、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液等の緩衝液を挙げ
ることができる。
【0026】(5)試薬の構成成分 本発明の測定方法及び測定試薬においては、第1試薬及
び/又は第2試薬には、前記の成分の他に、公知の防腐
剤、安定化剤、及び界面活性剤等を必要に応じて適宜含
有させることができる。
【0027】なお、特開平2−156160号公報に記
載されている陰イオン性界面活性剤を使用した場合、添
加した既知過剰量の鉄が非特異的に試料中のアルブミン
等の血清タンパク質に結合することを抑制することがで
きるため、アルブミンと結合した鉄量をもUIBCとし
て誤って測定することなく、より正確な測定を行うこと
ができる。ここで、陰イオン性界面活性剤としては、例
えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−ア
シルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル酢酸塩等を挙げることができる。
【0028】(6)試料のUIBC測定の一例 次に、本発明のUIBCの測定方法及び測定試薬を用い
て試料のUIBCを測定する場合の一例をより具体的に
説明すると、例えば、試料に少なくとも(トランスフェ
リン量よりも過剰の)既知量の三価の鉄を含む第1試薬
を添加して試料中のトランスフェリンと三価の鉄を結合
させる。次に、少なくともキレート発色剤及び還元剤を
含む第2試薬を添加してトランスフェリンと結合せずに
残存した三価の鉄を還元剤によって二価に還元し、二価
の鉄をキレート発色剤と結合させる。このキレート発色
剤が二価の鉄と結合することにより生じる吸収スペクト
ルの変化、色調の変化などを吸光度を測ることにより求
める比色法により測定し、残存した鉄量を求める。この
残存した鉄量を添加した既知過剰量の鉄量から差し引く
ことによりUIBC値を求めることができる。また、測
定は、レートアッセイ法及びエンドポイント法のいずれ
の方法でも行うことができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこの実施例により限定されるものではな
い。
【0030】〔実施例〕 (血清試料のUIBCの測定)UIBC測定方法及び測
定試薬にて、鉄濃度を変化させた場合の試料のUIBC
測定の再現性向上への効果を確かめた。
【0031】(1)試薬の調製 UIBC測定用第1試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水
に溶解し、1N水酸化ナトリウムを加えてpH8.5
(20℃)に調整し、鉄濃度が異なる4種類のUIBC
測定用第1試薬を調製した。
【0032】硫酸第二鉄アンモニウム・12水塩 17.90μM、16.12μM、14.31μM、1
0.74μMクエン酸ナトリウム 8.5mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.16M
【0033】UIBC測定用第2試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水
に溶解し、pH8.5(20℃)に調整し、UIBC測
定用第2試薬を調製した。
【0034】2−ニトロソ−5−(N−)プロピル−N
−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノール
1.19mM アスコルビン酸 1.01mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.16M
【0035】(2)UIBCの測定 日立製作所社製7150形自動分析装置にてUIBCの
測定を行った。血清試料20μLに前記(1)ので調
製したUIBC測定用第1試薬250μLを添加して、
混和後37℃で5分間反応させた後、前記(1)ので
調製した第2試薬125μLを添加し、37℃で5分間
反応させた。主波長750nm及び副波長600nmに
おけるUIBC測定用第2試薬添加5分後(50ポイン
ト)の吸光度からUIBC測定用第2試薬添加直前(2
4ポイント)の吸光度を差し引き、吸光度差を求め、残
存する鉄量を算出した。そして、この残存する鉄量を添
加した鉄量から差し引くことにより、UIBC値を求め
た。
【0036】なお、血清試料と上記の4種類のUIBC
測定用第1試薬及び上記のUIBC測定用第2試薬とを
上記の添加量で混合した後の最終反応液中の鉄濃度は、
各々、下記の通りとなる。 11.33μM、10.20μM、9.06μM、6.
80μM
【0037】(3)測定結果 UIBC測定用第1試薬及びUIBC測定用第2試薬を
用いて、血清試料のUIBCを20回測定した時の測定
結果を表1及び図1に示した。なお、この表1に示した
数値は、各試薬において、血清試料を20回連続測定し
た場合のUIBC測定値のばらつきを示す変動係数(C
V)〔標準偏差/平均値〕(%)を表す。
【0038】
【表1】
【0039】また、図1において、横軸は試料、UIB
C測定用第1試薬及びUIBC測定用第2試薬を上記の
添加量で混合した後の最終反応液中での鉄濃度を表し、
縦軸は試料を20回連続測定した場合のUIBC測定値
のばらつきを示す変動係数(CV)〔標準偏差/平均
値〕を表す。
【0040】
【図1】
【0041】表1及び図1から明らかなように、UIB
C測定試薬による測定では、最終反応液中の鉄濃度が1
1.33μM及び10.20μMの場合の変動係数は各
々3.43%、3.31%であった。これに対し、最終
反応液中の鉄濃度が9.06μM及び6.80μMの場
合の変動係数は各々1.84%、2.06%となってお
り、UIBC測定値のばらつきを示す変動係数が明らか
に小さくなっている。このように、最終反応液中の鉄濃
度を9μM以下とすることにより、測定値の変動が抑え
られ再現性が向上することが分かる。
【0042】このことより、本発明の測定方法及び測定
試薬は、UIBCの測定値が変動しばらつくことを抑制
することができ、これにより、再現性がよく、精度が高
いUIBC測定値を得られることが確かめられた。
【0043】
【発明の効果】本発明の測定方法及び測定試薬は、最終
反応液中の鉄濃度を9μM以下とすることにより、試料
のUIBCの測定値のばらつきを抑え、UIBC測定値
を再現性よく、精度高く測定することができるものであ
る。そして、これにより、疾患の診断等の場において、
誤差を含まない、かつ正確なUIBC測定値を提供する
ことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のUIBC測定方法及び測定試薬での、
最終反応液中の鉄濃度による測定値の再現性への効果を
示した図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中に含まれるトランスフェリンに対
    して既知過剰量の鉄を少なくとも含む第1試薬を試料に
    添加し、次にこれに少なくともキレート発色剤を含む第
    2試薬を添加した後、この最終反応液中におけるトラン
    スフェリンに結合せずに残存した鉄量を比色法により測
    定し、そして、この残存した鉄量を添加した鉄量から差
    し引くことにより、試料の不飽和鉄結合能を測定する不
    飽和鉄結合能の測定方法において、前記最終反応液中で
    の鉄濃度が、9μM以下であることを特徴とする、試料
    の不飽和鉄結合能の測定方法。
  2. 【請求項2】 第1試薬中の鉄濃度が、下記式で示され
    る濃度以上であることを特徴とする、請求項1に記載の
    試料の不飽和鉄結合能の測定方法。 C1=600(μg/dL)×VS/VR1 (式中、C1は第1試薬中の鉄濃度、VSは試料の量、
    VR1は第1試薬の試薬量を示す)
  3. 【請求項3】 試料の不飽和鉄結合能の測定試薬におい
    て、少なくとも試料中に含まれるトランスフェリンに対
    して既知過剰量の鉄を含む第1試薬と、少なくともキレ
    ート発色剤を含む第2試薬の2試薬とからなり、試料と
    第1試薬及び第2試薬を測定時の添加量の比で混合した
    際に、この最終反応液中での鉄濃度が9μM以下となる
    ように前記過剰量の鉄を第1試薬に含有させることを特
    徴とする、不飽和鉄結合能の測定試薬。
  4. 【請求項4】 第1試薬中の鉄濃度が、下記式で示され
    る濃度以上となるように前記既知過剰量の鉄を第1試薬
    に含有させることを特徴とする、請求項3に記載の試料
    の不飽和鉄結合能の測定試薬。 C1=600(μg/dL)×VS/VR1 (式中、C1は第1試薬中の鉄濃度、VSは試料の量、
    VR1は第1試薬の試薬量を示す)
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