JP2002187564A - 後輪操舵制御装置 - Google Patents

後輪操舵制御装置

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JP2002187564A
JP2002187564A JP2000384150A JP2000384150A JP2002187564A JP 2002187564 A JP2002187564 A JP 2002187564A JP 2000384150 A JP2000384150 A JP 2000384150A JP 2000384150 A JP2000384150 A JP 2000384150A JP 2002187564 A JP2002187564 A JP 2002187564A
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rear wheel
steering angle
target rear
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Tokihiko Akita
時彦 秋田
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Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低速域での車両の小回り性向上と車両後端の
張り出しの抑制という相反する事象を両立可能とし、か
つドライバーに違和感を感じさせない後輪操舵制御装置
を提供すること。 【解決手段】 発進時から所定距離Xsoeだけ走行する
間はつなぎ制御(ステップ203〜214等)により、
また所定距離Xsoeだけ走行した後は通常制御(ステッ
プ215〜217等)により、目標後輪舵角δrsを演算
し、通常制御は、少なくとも所定車速以下では目標後輪
舵角δrsを実前輪舵角δfと逆相に演算するもの(ステ
ップ201)であり、つなぎ制御は、原則的には通常制
御を行なったと仮定した場合に演算される仮の目標後輪
舵角δr0を目標後輪舵角δrsとして演算するとともに
(ステップ210)、仮の目標後輪舵角δr0が制限値δ
rlimitsを超える場合には、目標後輪舵角δrsを制限値
δrlimitsに抑える(ステップ212)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の運動状態に
応じ、前輪のみならず後輪をも操舵し車両の走行安定性
等を向上することができる後輪操舵制御装置に関し、特
に、所定車速以下にて後輪を逆相操舵する場合の車両後
端の張り出しを防止するための目標後輪舵角の設定に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両の運動状態に応じ、前輪
のみならず後輪をも操舵し車両の走行安定性や小回り性
を向上することができる後輪操舵制御装置が知られてい
る。かかる後輪操舵装置においては、車両の各運動状態
に応じ、前輪舵角に対しいかに最適な目標後輪舵角を設
定するかが問題となるところ、例えば、刊行物「自動車
の操舵系と操安性」(発行所:株式会社 山海堂、著
者:カヤバ工業株式会社、第1刷発行日:平成8年9月
10日)の196頁の「7.5.3横すべり零化4WS制
御」の欄(以下、「刊行物1」という。)によれば、車
体スリップ角(車両の進行方向と車両の前後方向との偏
差角)に着目し、常時この車体スリップ角を零にするよ
うに、所定車速以下では前輪舵角に比例して後輪舵角を
逆相に制御して小回り性を確保しつつ、所定車速以上で
は前輪舵角に比例して後輪舵角を同相に制御することに
より操安性に優れた理想の車両特性が得られることが記
載されている(以下、本制御を「舵角比例制御」とい
う。図15参照。)。
【0003】しかし、かかる刊行物1に記載の舵角比例
制御を行うと、停止時から発進するような低速域の場合
に、後輪が前輪に対して逆相に操舵されるため、小回り
性は向上するものの、車両の後端(特に車両最後端部の
肩部)が張り出して、車両横側の障害物に接触してしま
うという問題がある。
【0004】そこで、かかる車両後端の張り出しという
問題を解消しつつ小回り性をも確保するため、例えば刊
行物「社団法人自動車技術会学術講演会前刷集882昭
和63−10」の「105 4WS車の張り出しを抑制
する一制御手法」(以下、「刊行物2」という。)に記
載されているように、車両の前端軌跡に車両の後端を追
従させるように後輪舵角を制御する手法が提案されてい
る。具体的には、車両前端の走行軌跡を所定のサンプリ
ング距離ごとに記憶しておき、それらサンプル点のう
ち、その時点にて車両後端との距離が最も近い直近サン
プル点での車両前端進行方向と車両後端の進行方向とが
一致するように後輪舵角値を制御するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、かかる刊行物
2に記載の制御手法を採用すると、停止時からの発進直
後においてステアリングを切り込んでいくと、後輪舵角
が前輪舵角に対して一旦同相に制御されてから逆相に制
御されるという事態が発生することが分かっている(図
17の左側のグラフのc領域を参照)。かかる事態が発
生すると、ドライバーにとっては違和感を感じることに
繋がり、また、無駄な後輪操舵により後輪操舵に必要な
消費エネルギーも増大することに繋がる。
【0006】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、低速域での車両の小回り性向上と車両
後端の張り出しの抑制という相反する事象を両立可能と
し、かつドライバーに違和感を感じさせない後輪操舵制
御装置を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、少なくとも車速、実前輪舵角及び実後輪
舵角を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づ
いて目標後輪舵角を演算する目標後輪舵角演算手段と、
検出手段により検出された実後輪舵角が目標後輪舵角演
算手段により演算された目標後輪舵角になるように制御
する後輪舵角制御手段とを有する後輪操舵制御装置であ
って、目標後輪舵角演算手段は、発進時から起算される
走行距離を検出する走行距離検出手段を有するととも
に、発進時から所定距離だけ走行する間は、つなぎ制御
により目標後輪舵角を演算し、所定距離だけ走行した後
は、通常制御により目標後輪舵角を演算し、通常制御
は、少なくとも所定車速以下では目標後輪舵角を実前輪
舵角と逆相に演算するものであり、つなぎ制御は、原則
的には通常制御を行なったと仮定した場合に演算される
仮の目標後輪舵角を目標後輪舵角として演算するととも
に、所定条件下においては、走行距離検出手段により検
出された走行距離の増加に応じて、目標後輪舵角を、仮
の目標後輪舵角に徐々に合致させるように演算すること
を特徴とする後輪操舵制御装置とした。
【0008】本発明によれば、通常制御は、少なくとも
所定車速以下では目標後輪舵角を実前輪舵角と逆相に演
算するものを採用しており、発進時から所定距離だけ走
行する間は、通常制御とは異なるつなぎ制御を行なう。
このつなぎ制御は、原則的には通常制御を行なったと仮
定した場合に演算される仮の目標後輪舵角を目標後輪舵
角として演算するとともに、所定条件下においては、走
行距離の増加に応じて、目標後輪舵角を、仮の目標後輪
舵角に徐々に合致させるように演算する。
【0009】従って、かかる「所定距離」及び「所定条
件」を適切に設定することにより、発進時からステアリ
ングを切り込み所定車速以下にて走行し、通常制御を行
なったと仮定した場合に演算される仮の目標後輪舵角が
実前輪舵角に対して逆相に大きな値となってしまう場合
においても、演算される目標後輪舵角は、走行距離の増
加に応じて仮の目標後輪舵角に徐々に合致させられ、走
行距離が増加しないと、大舵角である仮の目標後輪舵角
に到達していかないように制御することができる。ま
た、この過程においては、目標後輪舵角は少なくとも実
前輪舵角に対して逆相に制御されており、前述の刊行物
2に記載の制御手法を採用した場合のような後輪が一旦
同相に操舵されるといった現象も発生しない。よって、
発進時から直ちに通常制御を行なった場合に比して、本
発明のように発進時から所定距離だけ走行する間つなぎ
制御を行なうことにより、車両の小回り性向上と車両後
端の張り出しの抑制という相反する事象を互いに高レベ
ルにて両立可能とし、かつドライバーに違和感を感じさ
せない後輪操舵制御装置を提供することができる。
【0010】より好ましくは、目標後輪舵角演算手段
は、つなぎ制御段階において走行距離検出手段により検
出された走行距離の増加に応じて徐々に広がった目標後
輪舵角の制限範囲を設定する制限範囲設定手段を有し、
つなぎ制御は、仮の目標後輪舵角が制限範囲を超える範
囲にある場合に、目標後輪舵角を、制限範囲内に収まる
ように演算するようにすることが望ましい。
【0011】このように、走行距離の増加に応じて徐々
に広がった目標後輪舵角の制限範囲を設定することによ
り、目標後輪舵角は、発進から起算される走行距離が増
加しないうちは、たとえ上記仮の目標後輪舵角が実前輪
舵角と逆相に大舵角に制御されるような場合において
も、上記制限範囲内に収まるように制御される。従っ
て、かかる制限範囲を適当な範囲に設定しておけば、車
両の小回り性向上と車両後端の張り出しの抑制という相
反する事象を互いに高レベルにて両立させることが容易
になる。
【0012】また、上記のように走行距離の増加に応じ
て徐々に広がった目標後輪舵角の制限範囲を設定する場
合において、発進時における実後輪舵角が既に制限範囲
を超えている範囲にある場合には、まず発進時における
実後輪舵角を発進時の目標後輪舵角として設定し、その
後目標後輪舵角が制限範囲内に収まるまでの間は、原則
的には一制御周期前の目標後輪舵角を目標後輪舵角とし
て演算するとともに、仮の目標後輪舵角の絶対値が目標
後輪舵角の絶対値より小さい場合のみ仮の目標後輪舵角
を目標後輪舵角として演算することが望ましい。
【0013】このようにすれば、発進時における実後輪
舵角が既に目標後輪舵角の制限範囲を超えている範囲に
ある場合には、目標後輪舵角が制限範囲内に収まるまで
の間は、原則的には一定値である発進時における実後輪
舵角がそのまま目標後輪舵角として演算され、仮の目標
後輪舵角の絶対値が目標後輪舵角の絶対値より小さい場
合のみ目標後輪舵角がより絶対値の小さな当該仮の目標
後輪舵角に更新されることになる。従って、発進時から
目標後輪舵角が制限範囲内に収まるまでの間は、目標後
輪舵角の絶対値は、少なくとも発進時における実後輪舵
角の絶対値より大きくなることがない。目標後輪舵角の
制限範囲は走行距離の増加に応じて徐々に広がっている
ので、かかる演算を継続していくと、やがて目標後輪舵
角は制限範囲内に収まることになるが、目標後輪舵角が
制限範囲内に収まった後は、原則的には仮の目標後輪舵
角がそのまま目標後輪舵角として演算され、仮の目標後
輪舵角が制限範囲を超える場合にのみ、目標後輪舵角は
制限範囲内に収まるように演算される。よって、このよ
うに目標後輪舵角を制御することにより、発進時におけ
る実後輪舵角が既に目標後輪舵角の制限範囲を超えてい
る範囲にある場合においても、発進直後の段階にて不用
意に目標後輪舵角が実前輪舵角と逆相に大きく演算され
ることがなく、車両の小回り性向上と車両後端の張り出
しの抑制という相反する事象を互いに高レベルにて両立
させることが容易になる。
【0014】また、上述した本発明において、つなぎ制
御は、発進時における実後輪舵角を発進時の目標後輪舵
角として設定し、その後の目標後輪舵角を、走行距離検
出手段により検出された走行距離の増加に応じた所定の
割合にて、通常制御を行なったと仮定した場合に演算さ
れる仮の目標後輪舵角に徐々に合致させるように演算し
てもよい。
【0015】このようにつなぎ制御を行なうことによ
り、発進時からステアリングを切り込み所定車速以下に
て走行し、通常制御を行なったと仮定した場合に演算さ
れる仮の目標後輪舵角が実前輪舵角に対して逆相に大き
な値となってしまう場合においても、演算される目標後
輪舵角は、走行距離の増加に応じた所定の割合にて、仮
の目標後輪舵角に徐々に合致させられ、走行距離が増加
しないと、大舵角である仮の目標後輪舵角に到達してい
かないように制御することができる。また、この過程に
おいては、目標後輪舵角は少なくとも実前輪舵角に対し
て逆相に制御されており、前述の刊行物2に記載の制御
手法を採用した場合のような後輪が一旦同相に操舵され
るといった現象も発生しない。よって、発進時から直ち
に通常制御を行なった場合に比して、本発明のように発
進時から所定距離だけ走行する間つなぎ制御を行なうこ
とにより、車両の小回り性向上と車両後端の張り出しの
抑制という相反する事象を互いに高レベルにて両立可能
とし、かつドライバーに違和感を感じさせない後輪操舵
制御装置を提供することができる。
【0016】以上、本発明について説明してきたが、か
かる説明は、走行距離検出手段にて検出される走行距離
が車両の走行に応じて連続的に付与される場合を想定し
ている。しかし、走行距離検出手段にて検出される走行
距離が車両の走行に応じて所定パルス間隔ごとに離散的
に付与される場合には、走行距離に応じて演算される上
述した目標後輪舵角の制限範囲及び目標後輪舵角も離散
的に演算されてしまう。かかる場合には、以下のように
して、目標後輪舵角の制限範囲及び目標後輪舵角の離散
値を補間して連続値に補正するとよい。
【0017】すなわち、目標後輪舵角の制限範囲につい
ては、制限範囲設定手段は、少なくとも過去のパルス入
力時点にて演算された制限範囲離散値をもとに補間して
連続値である補正制限範囲を演算する補正制限範囲演算
手段を有し、補正制限範囲演算手段は、少なくとも過去
のパルス入力時点にて演算された制限範囲離散値及び最
新パルス入力時点以前の所定時点における補正制限範囲
をもとに、最新パルス入力時点以降次回パルス入力時点
までの現在の補正制限範囲を算出し、この現在の補正制
限範囲を制限範囲として演算するのがよい。
【0018】また、目標後輪舵角については、目標後輪
舵角演算手段は、少なくとも過去のパルス入力時点にて
演算された目標後輪舵角離散値をもとに補間して連続値
である補正目標後輪舵角を演算する補正目標後輪舵角演
算手段を有し、補正目標後輪舵角演算手段は、少なくと
も過去のパルス入力時点にて演算された目標後輪舵角離
散値及び最新パルス入力時点以前の所定時点における補
正目標後輪舵角をもとに、最新パルス入力時点以降次回
パルス入力時点までの現在の補正目標後輪舵角を算出
し、この現在の補正目標後輪舵角を目標後輪舵角として
演算するのがよい。
【0019】このように、目標後輪舵角の制限範囲及び
目標後輪舵角の離散値を連続値に補正演算するにあた
り、少なくとも過去のパルス入力時点にて演算された離
散値のみならず最新パルス入力時点以前の所定時点にお
ける補正連続値をも考慮に入れて、最新パルス入力時点
以降次回パルス入力時点までの現在の補正連続値を演算
するので、補正演算された結果である現在の補正連続値
は、過去の増減傾向及び過去における離散値と補正連続
値との偏差をも考慮に入れた信頼性の高い値となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を用いて説明する。まず、図1を用いて、車両全体の
基本構造及び後輪操舵制御装置の作動について簡単に説
明する。図1は、本発明に係る後輪操舵制御装置を含ん
だ4WS車両の概念図である。車両1において、前輪3
には、車輪速センサ9(検出手段)が配設されており、
車輪速センサ9の出力値により車両1の車速を検出して
いる。また、車輪速センサ9は、前輪3が所定角度回転
するごとに(つまり所定距離走行するごとに)パルスを
発することを利用して、発進時からのパルス数をカウン
トすることにより、走行距離センサ(走行距離検出手
段)としての機能をも有している。後輪5には、後輪5
を操舵するためのアクチュエータ15(後輪舵角制御手
段)が連結されており、アクチュエータ15には、
(実)後輪舵角センサ13(検出手段)が配設されてい
る。ステアリング7には、(実)前輪舵角センサ11
(検出手段)が配設されており、ステアリング7の回転
に伴い操舵される前輪3の実舵角量を検出している。シ
フト位置センサ23は、変速機のシフト位置を検出して
おり、ヨーレートセンサ17は、車両1に発生している
ヨーレートを検出している。これら前輪舵角センサ1
1、後輪舵角センサ13、車輪速センサ9、シフト位置
センサ23、及びヨーレートセンサ17の出力は、コン
トローラ21(後輪舵角制御手段、目標後輪舵角演算手
段)に入力され、コントローラ21は、これら各種セン
サの出力結果に基づいて最適な目標後輪舵角を演算し、
アクチュエータ15に指令を与え、実後輪舵角が目標後
輪舵角になるようにアクチュエータ15が後輪5を操舵
制御する。
【0021】次に、上記のような本発明に係る後輪操舵
制御装置を含んだ4WS車両において、本発明にかかる
後輪操舵制御装置が、目標後輪舵角をどのように設定
し、後輪5を操舵制御するかについて、図2〜図15を
用いて説明する。なお、図2は、本発明にかかる後輪操
舵制御装置が目標後輪舵角をどのように設定するかを説
明するに際し、説明に必要な各種物理量を記号にて表現
し、これら各種記号についての説明を加えたものであ
る。以下、まず第1実施形態について説明する。なお、
第1実施形態は、請求項1,2,3,5に記載の発明に
対応するものである。
【0022】図3は、本発明にかかる後輪操舵制御装置
が後輪5を操舵制御する際にコントローラ21が実行す
るメインルーチンの流れを示したものである。図3にお
いて、イグニッション19がONされるとメインルーチ
ンがスタートし、ステップ101に進み、各諸変数の初
期化処理が実行される。かかる初期化処理の具体的な内
容な図4に示すごとくである。初期化処理が実行される
と、ステップ102へ進む。ステップ102以降ステッ
プ105までの処理は、その後繰り返しループ処理され
る部分である。なお、かかるループ処理が実行されてい
る間に、車両1が走行することにより車輪速センサ9か
らの車速パルスが入力されることになるが、かかる車速
パルスが入力されるタイミングごとに、割込み処理とし
て図5に示すような車速センサパルス入力処理が随時実
行される。
【0023】ステップ102では、制御周期Ts(例え
ば6msec)が経過したか否かが判断され、制御周期
Tsが経過していなければ経過するまで次の処理を保留
する。制御周期Tsが経過した段階で次のステップ10
3へ進む。ステップ103では、車輪速センサ9、前離
舵角センサ11等の各種センサからの信号を取り込み、
現在の車両の各状況を把握する。
【0024】ステップ104では、ステップ103にて
入力された各種センサからの情報をもとに目標後輪舵角
を演算する。この目標後輪舵角演算ルーチンの詳細につ
いては、後述する。ステップ104にて目標後輪舵角を
演算したら、ステップ105へ進み、後輪舵角センサ1
3から検出される実後輪舵角がステップ104にて演算
した目標後輪舵角になるように、例えばPID制御等を
用いてサーボ制御を行なう。これにより、後輪5は、適
切な舵角に制御される。
【0025】以上、図3を用いて、コントローラ21が
実行するメインルーチンの流れを説明した。次に、図6
を用いて、ステップ104にて実行される目標後輪舵角
演算ルーチンについて詳述する。なお、この第1実施形
態においては、「通常制御」として、前述した舵角比例
制御を採用している。かかる舵角比例制御の後輪/前輪
舵角比マップは、図15に示すごとく設定されており、
所定車速以下では、目標後輪舵角は実前輪舵角と逆相に
演算され、所定車速以上では、目標後輪舵角は実前輪舵
角と同相に演算されるようになっている。
【0026】図6において、まずステップ201にて、
前輪舵角センサ11より検出した実前輪舵角δf、及び
車輪速センサ9より検出した車速vをもとに、通常制御
目標後輪舵角δr0(仮の目標後輪舵角)を演算する。
【0027】次に、ステップ202へ進み、変数mod
eが「0」か「1」かを判断する。「mode=0」は
つなぎ制御段階に対応し、「mode=1」は通常制御
段階に対応している。なお、演算開始時には、ステップ
101の初期化処理ルーチンにて図4に示すごとく「m
ode=0」の状態となっているので、演算開始時は、
必ずつなぎ制御段階が実行されることになる。
【0028】以下、まずは、つなぎ制御段階を示すステ
ップ203〜ステップ214について説明する。ステッ
プ203では、図13に示される後輪舵角制限値マップ
(制限範囲設定手段)により、発進時から起算される現
在の走行距離時点における後輪舵角制限値δrlimit(制
限範囲離散値)を演算する。図13に示すごとく、後輪
舵角制限値δrlimitは、発進時からつなぎ制御終了距離
Xsoe(所定距離)までの間、0°〜10°まで比例的
に増加するように設定されている。発進時から起算され
る現在の走行距離は、1車速パルス間距離Xssに車速パ
ルス計数値nssを乗算することにより、離散的に算出さ
れる。従って、走行距離の関数として演算される後輪舵
角制限値δrlimitも離散的に演算されることになる。な
お、車速パルス計数値nssについては、演算開始時に
は、ステップ101の初期化処理ルーチンにて図4に示
すごとく「nss=0」となっており、その後、図5に示
す割り込み処理が実行されるタイミングごとに1づつ加
算されていくことになる。
【0029】次に、ステップ204へ進み、ステップ2
03にて離散的に演算された後輪舵角制限値δrlimitを
補間して連続値である補正後輪舵角制限値δrlimits
(補正制限範囲)を演算する。図11は、この補間演算
の過程を模式的に表現した図である。ステップ204に
示すごとく、補正後輪舵角制限値δrlimitsは、1制御
周期前の前回δrlimitsであるδrlimits1に、所定の勾
配に制御周期Tsを乗算して算出される増分を加算して
いくことにより算出される。この所定の勾配は、分数表
記されており、分母は(t0−t1)、すわわち最新車速パ
ルス入力時t0から前回車速パルス入力時t1までにかかっ
た時間とし、分子は(2δrlimit−δrlimit1−δrlimi
tst0)、すなわちt0時後輪舵角制限値δrlimit(離散
値)からt1時後輪舵角制限値δrlimit1(離散値)を減
算した値にt0時後輪舵角制限値δrlimit(離散値)から
t0時δrlimitsであるδrlimitst0を減算した値(連続
値)を加算した値としている。すなわち、この所定の勾
配は、図11を用いて考察すると、離散値同士を示した
2点である点(t1,δrlimit1)と点(t0,δrlimit)
とを結んだ直線の勾配より、t0時(所定時点)における
補間前の離散値である後輪舵角制限値δrlimitから補正
後の連続値であるδrlimitst0を減算した値(偏差)に
相当する勾配分だけ大きい値となる。つまり、最新車速
パルス入力時点t0以降次回車速パルス入力時点(まだ入
力されていない)までの間において連続値である補正後
輪舵角制限値δrlimitsを算出する際には、過去の(t0
時以前の)増減傾向をもとに、少なくとも最新車速パル
ス入力時点t0(所定時点)での離散値と連続値との偏差
を相殺する方向に算出されることになる。よって、次回
車速パルス入力時点において算出されるであろう離散値
と次回車速パルス入力時点において算出されるであろう
連続値である補正後輪舵角制限値δrlimitsとの偏差を
効果的に抑制できる可能性が高くなる。従って、ステッ
プ204に記載の手法にて演算される補正後輪舵角制限
値δrlimitsは信頼性の高い値といえる。なお、上述し
た所定の勾配を、(δrlimit−δrlimitst0)/(t0−t
1)又は、(δrlimit−δrlimitst1)/(t0−t1)とし
てもよい。また、t0,t1及びステップ204にて使用す
る各諸変数については、演算開始時には、ステップ10
1の初期化処理ルーチンにて図4に示すような初期値が
付与されており、その後、図5に示す割り込み処理が実
行されるタイミングごとに各諸変数が更新されていくこ
とになる。
【0030】ステップ204が実行されると、次にステ
ップ205に進み、次の制御周期時にてステップ204
を実行する際の準備として、前回δrlimitsであるδrli
mits1に現在のδrlimitsを代入しておく。
【0031】ステップ206では、変数flagが
「0」か「1」かを判断する。「flag=0」は仮の
目標後輪舵角である通常制御目標後輪舵角δr0の絶対値
がステップ204にて演算した補正後輪舵角制限値δrl
imitsより大きい場合、すなわち仮の目標後輪舵角が制
限範囲を超えている場合に対応し、「flag=1」は
δr0の絶対値がδrlimits以下の場合、すなわち仮の目
標後輪舵角が制限範囲内に収まっている場合に対応して
いる。なお、演算開始時には、ステップ101の初期化
処理ルーチンにて図4に示すごとく「flag=0」の
状態となっているので、演算開始時は、必ず仮の目標後
輪舵角が制限範囲を超えている場合の処理が実行される
ことになる。
【0032】以下、まずは、仮の目標後輪舵角が制限範
囲を超えている場合の処理を示すステップ207〜ステ
ップ210について説明する。ステップ207では、δ
r0の絶対値がδrlimits以下か否かを判断する。δr0の
絶対値がδrlimits以下となっていれば、次回の制御周
期時にて仮の目標後輪舵角が制限範囲内に収まっている
場合の処理(ステップ211,212)を実行させるた
め、その準備としてステップ208にてflag=1を
実行しておきステップ209へ進む。δr0の絶対値がδ
rlimitsより大きければ、ステップ208を実行せず、
flag=0のままステップ209へ進む。
【0033】ステップ209では、仮の目標後輪舵角δ
r0の絶対値が、補正目標後輪舵角δrsの絶対値より小さ
いか否かを判断する。ここで、補正目標後輪舵角δrs
は、図6に示す目標後輪舵角演算ルーチンにて演算する
最終演算対象である目標後輪舵角に対応するものであ
る。ステップ209にてδr0の絶対値がδrsの絶対値よ
り小さい場合には、ステップ210にてδrsにδr0が代
入されてステップ213へ進む。ステップ209にてδ
r0の絶対値がδrsの絶対値以上の場合には、ステップ2
10を処理せずステップ213へ進む。なお、演算開始
時には、ステップ101の初期化処理ルーチンにて図4
に示すごとくδrsには、発進時における実後輪舵角δm
が入力されている。従って、ステップ209,210で
は、原則的には発進時における実後輪舵角δmがそのま
ま目標後輪舵角である補正目標後輪舵角δrsとして演算
され、仮の目標後輪舵角δr0の絶対値がδrsの絶対値よ
り小さい場合のみ補正目標後輪舵角δrsがより絶対値の
小さなδr0に更新されることになる。従って、発進時か
ら目標後輪舵角が制限範囲内に収まるまでの間は、目標
後輪舵角である補正目標後輪舵角δrsの絶対値は、少な
くとも発進時における実後輪舵角δmの絶対値より大き
くなることがない。
【0034】次に、仮の目標後輪舵角が制限範囲内に収
まっている場合の処理を示すステップ211,ステップ
212について説明する。ステップ211では、仮の目
標後輪舵角であるδr0の絶対値がステップ204にて演
算したδrlimitsより大きいか否かを判断する。δr0の
絶対値がδrlimitsより大きければ、ステップ212に
てδrsに符号付にてδrlimitsの値を代入してステップ
213へ進む。δr0の絶対値がδrlimits以下であれ
ば、ステップ210にてδrsにδr0を代入してステップ
213へ進む。従って、ステップ211,212では、
原則的には仮の目標後輪舵角δr0がそのまま目標後輪舵
角δrsとして演算され(ステップ210)、仮の目標後
輪舵角δr0が制限範囲を超える場合にのみ、目標後輪舵
角δrsは制限値δrlimitsに抑えられる(ステップ21
2)。
【0035】次にステップ213にて、走行距離Xss・
nssがつなぎ制御終了距離Xsoe以上となっているか否か
を判断する。走行距離Xss・nssがXsoe以上となってい
れば、次の制御周期からはつなぎ制御段階から通常制御
段階へ移行させる必要があるので、その準備としてステ
ップ214にてmode=1とした後に図3に示すメイ
ンルーチンに復帰しステップ105以降を実行する。ス
テップ213にて走行距離Xss・nssがXsoeに達してい
なければ、次の制御周期もつなぎ制御を実行する必要が
あるので、ステップ214を実行せずmode=0のま
まメインルーチンに復帰してステップ105以降を実行
する。
【0036】以上、つなぎ制御段階について説明した。
次に、通常制御段階を示すステップ215〜ステップ2
17について説明する。通常制御段階であるので、ステ
ップ215にて、ステップ201にて演算した仮の目標
後輪舵角でもある通常制御目標後輪舵角δr0をそのまま
最終的な演算対象である目標後輪舵角に相当するδrsに
代入する。
【0037】ステップ216では、シフト位置センサ2
3により検出したシフト位置が「P又はN」になってい
るか否かを判断する。シフト位置が「P又はN」以外に
なっていれば、車両1は走行中であると判断し、ステッ
プ213,214を経てメインルーチンへと復帰し、次
の制御周期時にもこの通常制御段階の制御を実行する。
ステップ216にてシフト位置が「P又はN」になって
いれば、車両1は停止したと判断し、ステップ217に
て初期化処理を実行する。すなわちこの時点にて、車両
1は「発進」したと判断している。この初期化処理の内
容は、ステップ101の初期化処理と全く同様である。
従って、ステップ216にてシフト位置が「P又はN」
になっていれば、mode=0,nss=0となっている
ので、ステップ213にてXss・nssがXsoeより小さく
なり、ステップ214を経ずにmode=0のままメイ
ンルーチンへ復帰する。従って、次の制御周期時からは
つなぎ制御段階の制御を実行することになる。なお、ス
テップ217の初期化処理において、ステップ212の
処理も併せて行い、車両1の停止中に、後輪舵角を制限
範囲内に戻すこととしてもよい。
【0038】以上、本発明に係る後輪操舵制御装置の第
1実施形態について説明した。なお、既述したとおり、
車輪速センサ9は、前輪3が所定角度回転するごとに
(つまり所定距離走行するごとに)パルスを発するタイ
プのものを想定しているが、かかるタイプにおいては、
極低速領域ではパルス検知が困難なものもある。このよ
うな場合は、発進後最初のパルスが検知されるまでの
間、ヨーレートセンサ17により検出されるヨーレート
γを利用して車速vを検出する方法を採用するのがよ
い。この方法を図10に示すフローチャートを用いて説
明する。図10は、図6におけるステップ203〜ステ
ップ205までの処理を代替したものであり、ステップ
222〜ステップ224までは、図6のステップ203
〜ステップ205と全く同様である。すなわち、ステッ
プ218においてnss=0でなければ発進後最初のパル
スが検知されているので、ステップ222以降へ進み、
図6に示したステップ203以降の内容と同じ内容の演
算を実行する。ステップ218においてnss=0であれ
ば、発進後最初のパルスが検知されていないので、ステ
ップ219へ進み、上述したヨーレートγを利用して車
速vを算出する手法により車速vを算出する。ステップ
219にて車速vを算出したら、ステップ220にて、
発進時から起算される走行距離xを演算する。xは、制
御周期Tsにステップ219にて算出したvを乗算した
値を加算(積算)していくことで演算される。ステップ
221では、ステップ220にて算出したxを値を図1
3に示す後輪舵角制限値マップに代入することにより後
輪舵角制限値δrlimit(連続値)を演算する。ステップ
221を実行したら図6に示すステップ206に復帰し
て以降の処理を続行する。
【0039】次に、本発明に係る後輪操舵制御装置の第
2実施形態について、図7〜図9を用いて説明する。な
お、第2実施形態は、請求項4及び6に記載の発明に対
応するものである。また、以下の第2実施形態について
説明は、第1実施形態との相違点のみに言及するものと
する。
【0040】第2実施形態と第1実施形態との相違点
は、図3に示すメインルーチンのうちのステップ101
に示す初期化処理の内容(図7参照)、車輪速センサ9
からの車速パルスが入力されるごとに随時実行される割
り込み処理の内容(図8参照)、及びつなぎ制御段階の
制御内容の一部(図9におけるステップ303〜ステッ
プ305)のみである。以下、図9におけるステップ3
03〜ステップ305について説明する。
【0041】ステップ303では、図14に示す後輪舵
角収束比率マップにより、発進時から起算される現在の
走行距離Xss・nss時点における収束比率(所定の割
合)を演算し、離散値である目標後輪舵角δr(目標後
輪舵角離散値)を、この収束比率を用いて、発進時実後
輪舵角δrbからステップ301にて演算される仮の目標
後輪舵角であるδr0まで徐々に合致させるように演算す
る。図14に示すごとく、この収束比率は、発進時から
つなぎ制御終了距離Xsoe(所定距離)までの間、0〜
1まで比例的に増加するように設定されている。従っ
て、走行距離がゼロのときは、δrはδrbとなり、走行
距離がXsoeに達すると、δrはδr0となる。前述の第1
実施形態との最も大きな相違点は、つなぎ制御段階にお
いて、第1実施形態においては、仮の目標後輪舵角δr0
がそのまま目標後輪舵角になる場合があるが(図6のス
テップ210参照)、第2実施形態においては、走行距
離がXsoeに達するまでは仮の目標後輪舵角δr0がその
まま目標後輪舵角になることがないという点である。
【0042】次に、ステップ304へ進み、ステップ3
03にて離散的に演算された目標後輪舵角δrを補間し
て連続値である補正目標後輪舵角δrs(補正目標後輪舵
角)を演算する。図12は、この補間演算の過程を模式
的に表現した図である。ステップ304にて実行する補
間演算の過程は、第1実施形態における図6に示すステ
ップ204にて実行する補間演算の過程と全く同一であ
るので、詳細な説明を省略する。
【0043】ステップ304が実行されると、次にステ
ップ305に進み、次の制御周期時にてステップ304
を実行する際の準備として、前回δrsであるδrs1に現
在のδrsを代入しておく。ステップ305が実行される
と、ステップ306へ進む。ステップ306以降の処理
は、第1実施形態における図6に示すステップ213以
降にて実行する処理と全く同一であるので、詳細な説明
を省略する。
【0044】以上、本発明に係る後輪操舵制御装置の第
2実施形態について、第1実施形態との相違点のみを説
明した。上述した本発明に係る後輪操舵制御装置の第1
及び第2実施形態にて説明したように、本発明によれ
ば、発進時からステアリングを切り込み所定車速以下に
て走行し、通常制御を行なったと仮定した場合に演算さ
れる仮の目標後輪舵角が実前輪舵角に対して逆相に大き
な値となってしまう場合においても、演算される目標後
輪舵角は、走行距離の増加に応じて仮の目標後輪舵角に
徐々に合致させられ、走行距離が増加しないと、大舵角
である仮の目標後輪舵角に到達していかないように制御
することができる。また、この過程においては、目標後
輪舵角は少なくとも実前輪舵角に対して逆相に制御され
ており、前述の刊行物2に記載の制御手法を採用した場
合のような後輪が一旦同相に操舵されるといった現象も
発生しない。よって、発進時から直ちに通常制御を行な
った場合に比して、本発明のように発進時から所定距離
だけ走行する間つなぎ制御を行なうことにより、車両の
小回り性向上と車両後端の張り出しの抑制という相反す
る事象を互いに高レベルにて両立可能とし、かつドライ
バーに違和感を感じさせない後輪操舵制御装置を提供す
ることができる。
【0045】なお、既述した実施形態においては、走行
距離について、1車速パルス間距離Xssに車速パルス計
数値nssを乗算して算出する例を示したが、例えば、車
輪速センサ9により出力されるパルスが入力されるごと
に演算される車速に、パルス入力時間間隔を乗算して、
この演算結果を加算していくことで、発進時からの走行
距離を算出する手法を用いてもよい。
【0046】また、既述した実施形態においては、「発
進」の判断時期について、シフト位置が「P又はN」に
なったときを「発進」と判断しているが、例えば、シフ
ト位置が「P又はN」から「P又はN」以外に切換わっ
たときを「発進」と判断してもよいし、車速がゼロより
大きくなったときを「発進」と判断してもよい。さらに
は、車速がゼロより大きくなり、かつブレーキペダルを
離したときを「発進」と判断してもよい。
【0047】また、車輪速センサ9を、出力値が連続値
となるいわゆる対地車速センサを使用してもよいことは
いうまでもない。対地車速センサを使用すれば、上述し
たような離散値を連続値に補間する処理を行なう必要が
なくなる。
【0048】図16及び図17は、従来技術における後
輪操舵装置等を採用した場合と本発明における後輪操舵
装置を採用した場合とで車両運動シミュレーションを行
い、その結果を比較したものである。図16は、2WS
車両(後輪舵角はゼロ)、舵角比例制御、刊行物2に記
載の制御、及び本発明の第1実施形態による制御を採用
した場合において、ステアリング角545°(左)(前
輪左舵角38.93°)、車速5km/h一定にてUターン
を想定した場合の車両運動軌跡のシミュレーション結果
をそれぞれ示している。旋回幅a及び後端張出量bは図
示したとおりである。図16の結果から明らかなよう
に、旋回幅aについて、本発明の第1実施形態による制
御の場合は、舵角比例制御の場合よりは大きくなってい
るものの、2WS車両の場合よりも小さくなっている。
また、後端張出量bについて、本発明の第1実施形態に
よる制御の場合は、刊行物2に記載の制御の場合よりは
大きくなっているものの、舵角比例制御の場合よりも小
さくなっている。これらは、予測される結果と完全に一
致する。すなわち、本発明によれば、低速域での車両の
小回り性向上と車両後端の張り出しの抑制という相反す
る事象を高いレベルで両立していることがわかる。
【0049】また、図17は、刊行物2に記載の制御を
行なった場合及び本発明の第1実施形態による制御を行
なった場合について、図16における車両運動シミュレ
ーションを行なった場合の、車速vと、目標後輪舵角δ
rsの推移をそれぞれ示している。図17において、左側
のグラフは刊行物2に記載の制御を行なった場合を示
し、右側のグラフは本発明の第1実施形態による制御を
行なった場合を示している。なお、目標後輪舵角δrsの
値は、正方向が前輪と同相側(左側)、負方向が前輪と
逆相側(右側)を示している。また、本発明の第1実施
形態による制御を行なった場合については、つなぎ制御
段階から通常制御段階に渡る全ての段階において、仮の
目標後輪舵角は−10°一定となっており、発進時の実
後輪舵角はゼロになっているものとする。図17の結果
からわかるように、刊行物2に記載の制御を行なった場
合には、発進時から2秒程度の間は、後輪が前輪と同相
に操舵制御されており(c領域参照)、前述したとお
り、この動きは、ドライバーにとっては違和感を感じる
ことに繋がる。しかし、本発明の第1実施形態による制
御を行なった場合には、つなぎ制御段階(発進から4秒
程度の間)において、δrsは、ゼロから仮の目標後輪舵
角−10°(逆相)まで徐々に近づいていくことが分か
る。従って、本発明によれば、ドライバーに違和感を感
じさせることなく、車両の小回り性向上と車両後端の張
り出しの抑制という相反する事象を互いに高レベルにて
両立できることがわかる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
低速域での車両の小回り性向上と車両後端の張り出しの
抑制という相反する事象を両立可能とし、かつドライバ
ーに違和感を感じさせない後輪操舵制御装置を提供する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る後輪操舵制御装置を含んだ4WS
車両の概念図である。
【図2】車両に関する各種物理量を記号にて表現し、こ
れら各種記号についての説明を示したものである。
【図3】コントローラが実行するメインルーチンの流れ
を示したフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態における初期化処理を示
すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態における割り込み処理を
示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態における目標後輪舵角演
算ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態における初期化処理を示
すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態における割り込み処理を
示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態における目標後輪舵角演
算ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1実施形態における補間処理ルー
チンの代替例を示したフローチャートである。
【図11】本発明の第1実施形態における補間演算の過
程を模式的に表現した図である。
【図12】本発明の第2実施形態における補間演算の過
程を模式的に表現した図である。
【図13】後輪舵角制限値マップを示した図である。
【図14】後輪舵角収束比率マップを示した図である。
【図15】舵角比例制御における後輪/前輪舵角比マッ
プを示した図である。
【図16】各種制御手法を採用した場合において、所定
条件にてUターンを想定した場合の車両運動軌跡のシミ
ュレーション結果を示した図である。
【図17】刊行物2に記載の制御手法を採用した場合
と、本発明における第1実施形態にかかる制御手法を採
用した場合において、図16と同じ条件にてシミュレー
ションを行なった場合の、車速と目標後輪舵角の推移を
示した図である。
【符号の説明】
1 車両 3 前輪 5 後輪 9 車輪速センサ(検出手段、走行距離検出手段) 11 前輪舵角センサ(検出手段) 13 後輪舵角センサ(検出手段) 15 アクチュエータ(後輪舵角制御手段) 21 コントローラ(後輪舵角制御手段、目標後輪舵角
演算手段、制限範囲設定手段、補正制限範囲演算手段、
補正目標後輪舵角演算手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 125:00 B62D 125:00 137:00 137:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも車速、実前輪舵角及び実後輪
    舵角を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に
    基づいて目標後輪舵角を演算する目標後輪舵角演算手段
    と、前記検出手段により検出された実後輪舵角が前記目
    標後輪舵角演算手段により演算された目標後輪舵角にな
    るように制御する後輪舵角制御手段とを有する後輪操舵
    制御装置であって、前記目標後輪舵角演算手段は、発進
    時から起算される走行距離を検出する走行距離検出手段
    を有するとともに、発進時から所定距離だけ走行する間
    は、つなぎ制御により前記目標後輪舵角を演算し、前記
    所定距離だけ走行した後は、通常制御により前記目標後
    輪舵角を演算し、前記通常制御は、少なくとも所定車速
    以下では前記目標後輪舵角を実前輪舵角と逆相に演算す
    るものであり、前記つなぎ制御は、原則的には前記通常
    制御を行なったと仮定した場合に演算される仮の目標後
    輪舵角を前記目標後輪舵角として演算するとともに、所
    定条件下においては、前記走行距離検出手段により検出
    された走行距離の増加に応じて、前記目標後輪舵角を、
    前記仮の目標後輪舵角に徐々に合致させるように演算す
    ることを特徴とする後輪操舵制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記目標後輪舵角演
    算手段は、前記つなぎ制御段階において前記走行距離検
    出手段により検出された走行距離の増加に応じて徐々に
    広がった前記目標後輪舵角の制限範囲を設定する制限範
    囲設定手段を有し、前記つなぎ制御は、前記仮の目標後
    輪舵角が前記制限範囲を超える範囲にある場合に、前記
    目標後輪舵角を、前記制限範囲内に収まるように演算す
    ることを特徴とする後輪操舵制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記つなぎ制御は、
    発進時における前記実後輪舵角が前記制限範囲を超える
    範囲にある場合には、発進時における前記実後輪舵角を
    発進時の前記目標後輪舵角として設定し、前記目標後輪
    舵角が前記制限範囲内に収まるまでの間は、原則的には
    一制御周期前の前記目標後輪舵角を前記目標後輪舵角と
    して演算するとともに、前記仮の目標後輪舵角の絶対値
    が前記目標後輪舵角の絶対値より小さい場合のみ前記仮
    の目標後輪舵角を前記目標後輪舵角として演算すること
    を特徴とする後輪操舵制御装置。
  4. 【請求項4】 少なくとも車速、実前輪舵角及び実後輪
    舵角を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に
    基づいて目標後輪舵角を演算する目標後輪舵角演算手段
    と、前記検出手段により検出された実後輪舵角が前記目
    標後輪舵角演算手段により演算された目標後輪舵角にな
    るように制御する後輪舵角制御手段とを有する後輪操舵
    制御装置であって、前記目標後輪舵角演算手段は、発進
    時から起算される走行距離を検出する走行距離検出手段
    を有するとともに、発進時から所定距離だけ走行する間
    は、つなぎ制御により前記目標後輪舵角を演算し、前記
    所定距離だけ走行した後は、通常制御により前記目標後
    輪舵角を演算し、前記通常制御は、少なくとも所定車速
    以下では前記目標後輪舵角を実前輪舵角と逆相に演算す
    るものであり、前記つなぎ制御は、発進時における前記
    実後輪舵角を発進時の前記目標後輪舵角として設定し、
    その後の前記目標後輪舵角を、前記走行距離検出手段に
    より検出された走行距離の増加に応じた所定の割合に
    て、前記通常制御を行なったと仮定した場合に演算され
    る仮の目標後輪舵角に徐々に合致させるように演算する
    ことを特徴とする後輪操舵制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項2又は3において、前記走行距離
    検出手段にて検出される走行距離が所定パルス間隔ごと
    に離散的に付与される場合には、前記制限範囲設定手段
    は、少なくとも過去のパルス入力時点にて演算された制
    限範囲離散値をもとに補間して連続値である補正制限範
    囲を演算する補正制限範囲演算手段を有し、前記補正制
    限範囲演算手段は、少なくとも過去のパルス入力時点に
    て演算された前記制限範囲離散値及び最新パルス入力時
    点以前の所定時点における前記補正制限範囲をもとに、
    最新パルス入力時点以降次回パルス入力時点までの現在
    の補正制限範囲を算出し、前記現在の補正制限範囲を前
    記制限範囲として演算することを特徴とする後輪操舵制
    御装置。
  6. 【請求項6】 請求項4において、前記走行距離検出手
    段にて検出される走行距離が所定パルス間隔ごとに離散
    的に付与される場合には、前記目標後輪舵角演算手段
    は、少なくとも過去のパルス入力時点にて演算された目
    標後輪舵角離散値をもとに補間して連続値である補正目
    標後輪舵角を演算する補正目標後輪舵角演算手段を有
    し、前記補正目標後輪舵角演算手段は、少なくとも過去
    のパルス入力時点にて演算された前記目標後輪舵角離散
    値及び最新パルス入力時点以前の所定時点における前記
    補正目標後輪舵角をもとに、最新パルス入力時点以降次
    回パルス入力時点までの現在の補正目標後輪舵角を算出
    し、前記現在の補正目標後輪舵角を前記目標後輪舵角と
    して演算することを特徴とする後輪操舵制御装置。
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