JP3012347B2 - 車両の後輪操舵装置 - Google Patents

車両の後輪操舵装置

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JP3012347B2
JP3012347B2 JP5859091A JP5859091A JP3012347B2 JP 3012347 B2 JP3012347 B2 JP 3012347B2 JP 5859091 A JP5859091 A JP 5859091A JP 5859091 A JP5859091 A JP 5859091A JP 3012347 B2 JP3012347 B2 JP 3012347B2
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yaw rate
control
control means
rear wheel
vehicle
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満 長岡
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Mazda Motor Corp
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  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の後輪操舵装置に
関するものであり、さらに詳細には、車両の後輪操舵装
置に関するものである。
【0002】
【先行技術】車速に応じて、ハンドル舵角に対応する前
輪の操舵角に対して、所定の転舵比で、後輪を操舵する
車両の後輪操舵装置が知られている。かかる車両の後輪
操舵装置においては、車速にかかわらず、ドライバーの
意思に合致した操舵性能を得ることが可能になるが、ド
ライバーが、ハンドルを操作した直後の過渡状態におい
ては、前輪と後輪とが、同相になる場合が多く、したが
って、過渡状態における初期回頭性が良くないという問
題があった。
【0003】かかる問題を解決するため、特開平1−2
62268号公報は、ハンドル舵角に基づき、目標ヨー
レイトを算出し、実測ヨーレイトが目標ヨーレイトに等
しくなるように、後輪の操舵角をフィードバック制御す
る車両の後輪操舵装置を提案している。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、車両は、走行安定性を高めるために、車両の横方向
に加わる横加速度の高い走行状態においては、アンダー
ステアになるように設計されているため、かかる車両の
後輪操舵装置においては、横加速度が高い急旋回状態に
なると、旋回半径が大きくなって、ヨーレイトは低下
し、後輪の操舵角を、実測ヨーレイトが、目標ヨーレイ
トとなるようにフィードバック制御した場合には、ヨー
レイトの低下を補うように、後輪が、前輪と逆相方向に
転舵されて、同相量が減少しやすく、何らかの外乱が車
両に加わったときに、走行安定性が著しく低下し、ま
た、さらに横加速度が高いきわめて急な旋回状態にな
り、スリップなどが生ずると、きわめて演算速度の早い
大型コンピュータを用いないかぎり、ヨーレイトフィー
ドバック制御では、追従することがきわめて困難にな
り、その一方で、追従可能な大型コンピュータを車両に
搭載することは、不経済であるとともに、スペース的
に、搭載がきわめて困難であるという問題があった。
【0005】
【発明の目的】本発明は、車両の旋回状態を物理的に検
出する旋回状態検出手段と、該旋回状態検出手段の検出
した検出値に基づく実測ヨーレイトが、目標ヨーレイト
になるように、後輪の舵角をフィードバック制御するヨ
ーレイトフィードバック制御手段とを備えた車両の後輪
操舵装置において、横加速度が、ゼロないしきわめて高
い走行状態の間で変化する場合に、いかなる走行状態に
おいても、走行安定性を向上させることのできる車両の
後輪操舵装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【発明の構成】本発明のかかる目的は、前記ヨーレイト
フィードバック制御手段とは異なる制御則に基づき後輪
の舵角を制御する第2の制御手段と、前記旋回状態検出
手段が検出した旋回状態が、所定旋回状態より急な旋回
状態のときに、前記第2の制御手段による後輪舵角の制
御に切り換える制御切換え手段とを備え、前記制御切換
え手段が、後輪の舵角を制御する制御手段を、前記第2
の制御手段から前記ヨーレイトフィードバック制御手段
に切り換えるときに、該ヨーレイトフィードバック制御
手段が、後輪の舵角制御の初期値を、前記ヨーレイトフ
ィードバック制御手段が演算した初期値よりも、同相方
向に補正して、設定することによって達成される。
【0007】本発明の好ましい実施態様においては、さ
らに、車両の横すべり角を推定する横すべり角推定手段
を備え、前記第2の制御手段が、前記横すべり角推定手
段によって推定された横すべり角の増大にともない、前
記後輪の舵角を同相方向に制御する横すべり角制御手段
により構成されている。本発明の別の好ましい実施態様
においては、前記第2の制御手段が、前記実測ヨーレイ
トの変化率が低下するように、後輪の舵角をファジイ制
御するファジイ制御手段によって構成されている。
【0008】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記ファジイ制御手段が、前記目標ヨーレイトと実
測ヨーレイトとの偏差および/または該偏差の変化率に
基づき、前記実測ヨーレイトの変化率が低下するよう
に、後輪の舵角をファジイ制御するように構成されてい
る。本発明のさらに別の好ましい実施態様においては、
さらに、車両の横すべり角を推定する横すべり角推定手
段を備え、前記第2の制御手段が、前記横すべり角推定
手段によって推定された横すべり角の増大にともない、
前記後輪の舵角を同相方向に制御する横すべり角制御手
段と、前記実測ヨーレイトの変化率が低下するように、
後輪の舵角をファジイ制御するファジイ制御手段とによ
り構成され、前記制御切換え手段が、前記旋回状態検出
手段により検出された旋回状態が、第1の所定旋回状態
を越えた急な第1の旋回状態においては、前記横すべり
角制御手段によって、後輪舵角の制御が実行され、第2
の所定旋回状態を越えたさらに急な第2の旋回状態にお
いては、前記ファジイ制御手段によって、後輪舵角の制
御が実行されるように、制御手段を切換えるように構成
されている。
【0009】本発明のさらに他の好ましい実施態様にお
いては、前記第2の制御手段による制御から前記ヨーレ
イトフィードバック制御手段による制御に切り換えら
れ、かつ、前記目標ヨーレイトと前記実測ヨーレイトと
の偏差の変化率が所定値より大きいときに、前記ヨーレ
イトフィードバック制御手段が、後輪の舵角制御の初期
値を、前記ヨーレイトフィードバック制御手段が演算し
た初期値よりも、同相方向に補正して、設定するように
構成されている。
【0010】本発明のさらに他の好ましい実施態様にお
いては、前記第2の制御手段による制御から前記ヨーレ
イトフィードバック制御手段による制御に切り換えら
れ、かつ、前記実測ヨーレイトの変化率が所定値より大
きいときに、前記ヨーレイトフィードバック制御手段
が、後輪の舵角制御の初期値を、前記ヨーレイトフィー
ドバック制御手段が演算した初期値よりも、同相方向に
補正して、設定するように構成されている。
【0011】本発明のさらに他の好ましい実施態様にお
いては、前記第2の制御手段による制御から前記ヨーレ
イトフィードバック制御手段による制御に切り換えら
れ、前記目標ヨーレイトと前記実測ヨーレイトとの偏差
の変化率が所定値より大きく、かつ、前記実測ヨーレイ
トの変化率が所定値より大きいときに、前記ヨーレイト
フィードバック制御手段が、後輪の舵角制御の初期値
を、前記ヨーレイトフィードバック制御手段が演算した
初期値よりも、同相方向に補正して、設定するように構
成されている。
【0012】
【発明の作用】本発明によれば、ヨーレイトフィードバ
ック制御手段とは異なる制御則に基づいて、後輪の舵角
を制御する第2の制御手段と、旋回状態検出手段が検出
した旋回状態が、所定旋回状態より急な旋回状態のとき
に、第2の制御手段による後輪舵角の制御に切り換える
制御切換え手段とを備えているので、横加速度が高い急
旋回状態になり、旋回半径が大きくなって、ヨーレイト
が低下した結果、後輪の操舵角を、実測ヨーレイトが、
目標ヨーレイトとなるようにフィードバック制御するこ
とにより、ヨーレイトの低下を補うように、後輪が、前
輪と逆相方向に転舵されて、同相量が減少し、何らかの
外乱が車両に加わったときに、走行安定性が著しく低下
するという問題を解消することが可能になるとともに、
制御切換え手段が、後輪の舵角を制御する制御手段を、
第2の制御手段からヨーレイトフィードバック制御手段
に切り換える場合に、ヨーレイトフィードバック制御の
初期値を、ヨーレイトフィードバック制御手段により演
算された初期値よりも、同相方向に補正して、設定して
いるので、第2の制御手段による制御からヨーレイトフ
ィードバック制御手段による制御への移行時に、後輪
が、逆相方向に、急激にかつ大きく操舵され、車両の走
行が不安定になることを防止して、つながりの良い後輪
の舵角制御を実現することが可能になる。
【0013】本発明の好ましい実施態様によれば、さら
に、車両の横すべり角を推定する横すべり角推定手段を
備え、第2の制御手段が、横すべり角推定手段によって
推定された横すべり角の増大にともない、後輪の舵角を
同相方向に制御する横すべり角制御手段により構成され
ているので、横加速度が高い急旋回状態になり、旋回半
径が大きくなった結果、後輪の操舵角を、実測ヨーレイ
トが、目標ヨーレイトとなるようにフィードバック制御
することにより、ヨーレイトの低下を補うように、後輪
が、前輪と逆相方向に転舵されて、同相量が減少し、何
らかの外乱が車両に加わったときに、走行安定性が著し
く低下するという従来の問題を、確実に解消しつつ、横
すべり角制御手段による制御からヨーレイトフィードバ
ック制御手段による制御への移行時に、後輪が、逆相方
向に、急激にかつ大きく操舵され、車両の走行が不安定
になることを防止して、つながりの良い後輪の舵角制御
を実現することが可能になる。
【0014】本発明の別の好ましい実施態様によれば、
第2の制御手段が、実測ヨーレイトの変化率が低下する
ように、後輪の舵角をファジイ制御するファジイ制御手
段によって構成されているので、路面摩擦係数の低い路
面を走行中に、横加速度が高くなり、ヨーレイトフィー
ドバック制御により後輪の舵角を制御した場合には、ス
ピンが生ずる危険の大きい急旋回状態において、スピン
の発生を確実に防止しつつ、ファジイ制御手段による制
御からヨーレイトフィードバック制御手段による制御へ
の移行時に、後輪が、逆相方向に、急激にかつ大きく操
舵され、車両の走行が不安定になることを防止して、つ
ながりの良い後輪の舵角制御を実現することが可能にな
る。
【0015】本発明のさらに好ましい実施態様によれ
ば、さらに、車両の横すべり角を推定する横すべり角推
定手段を備え、第2の制御手段が、横すべり角推定手段
によって推定された横すべり角の増大にともない、後輪
の舵角を同相方向に制御する横すべり角制御手段と、実
測ヨーレイトの変化率が低下するように、後輪の舵角を
ファジイ制御するファジイ制御手段とにより構成され、
制御切換え手段が、旋回状態検出手段により検出された
旋回状態が、第1の所定旋回状態を越えた急な第1の旋
回状態においては、横すべり角制御手段により、後輪舵
角の制御が実行され、第2の所定旋回状態を越えたさら
に急な第2の旋回状態においては、ファジイ制御手段に
より、後輪舵角の制御が実行されるように、制御手段を
切換えているので、横加速度が高い急旋回状態になり、
旋回半径が大きくなって、ヨーレイトが低下した場合に
おいても、また、さらに横加速度が高く、スピンが生じ
やすい急旋回状態においても、走行安定性を向上させる
ことが可能になるとともに、横すべり角制御手段または
ファジイ制御手段による制御からヨーレイトフィードバ
ック制御手段による制御への移行時に、後輪が、逆相方
向に、急激にかつ大きく操舵され、車両の走行が不安定
になることを防止して、つながりの良い後輪の舵角制御
を実現することが可能になる。
【0016】本発明のさらに他の好ましい実施態様によ
れば、第2の制御手段による制御からヨーレイトフィー
ドバック制御手段による制御に切り換えられ、かつ、目
標ヨーレイトと実測ヨーレイトとの偏差の変化率が所定
値より大きいときに、ヨーレイトフィードバック制御手
段が、後輪の舵角制御の初期値を、ヨーレイトフィード
バック制御手段が演算した初期値よりも、同相方向に補
正して、設定するように構成されているので、第2の制
御手段による制御からヨーレイトフィードバック制御手
段による制御に切り換えられた場合に、安定した走行状
態にあるときには、本来なされるべきヨーレイトフィー
ドバック制御がなされ、したがって、より走行安定性を
向上させることが可能になる。
【0017】本発明のさらに他の好ましい実施態様にお
いては、第2の制御手段による制御からヨーレイトフィ
ードバック制御手段による制御に切り換えられ、かつ、
実測ヨーレイトの変化率が所定値より大きいときに、ヨ
ーレイトフィードバック制御手段が、後輪の舵角制御の
初期値を、ヨーレイトフィードバック制御手段が演算し
た初期値よりも、同相方向に補正して、設定するように
構成されているので、第2の制御手段による制御からヨ
ーレイトフィードバック制御手段による制御に切り換え
られた場合に、安定した走行状態にあるときには、本来
なされるべきヨーレイトフィードバック制御がなされ、
したがって、より走行安定性を向上させることが可能に
なる。
【0018】本発明のさらに他の好ましい実施態様にお
いては、第2の制御手段による制御からヨーレイトフィ
ードバック制御手段による制御に切り換えられ、目標ヨ
ーレイトと実測ヨーレイトとの偏差の変化率が所定値よ
り大きく、かつ、実測ヨーレイトの変化率が所定値より
大きいときに、ヨーレイトフィードバック制御手段が、
後輪の舵角制御の初期値を、ヨーレイトフィードバック
制御手段が演算した初期値よりも、同相方向に補正し
て、設定するように構成されているので、第2の制御手
段による制御からヨーレイトフィードバック制御手段に
よる制御に切り換えられた場合に、安定した走行状態に
あるときには、本来なされるべきヨーレイトフィードバ
ック制御がなされ、したがって、より走行安定性を向上
させることが可能になる。
【0019】
【実施例】以下、添付図面に基づき、本発明の好ましい
実施例につき、詳細に説明を加える。図1は、本発明の
実施例に係る車両の後輪操舵装置を含む車両の車輪操舵
装置の略平面図である。
【0020】図1において、本発明の実施例に係る車両
の後輪操舵装置を含む車両の車輪操舵装置は、ハンドル
1と、ハンドル1の操作により、左右の前輪2、2を転
舵させる前輪操舵装置10と、前輪操舵装置10による
前輪2、2の転舵に応じて、左右の後輪3、3を転舵さ
せる後輪操舵装置20を有している。前輪操舵装置10
は、車体幅方向に配置されており、その両端部が、タイ
ロッド11、11およびナックルアーム12、12を介
して、左右の前輪2、2に連結されたリレーロッド13
と、ハンドル1の操作に連動して、リレーロッド13を
左右に移動させるラック・アンド・ピニオン式のステア
リングギア機構14とを有し、ハンドル1の操作方向
に、その操作量に対応する角度だけ、左右の前輪2、2
を転舵させるようになっている。
【0021】他方、後輪操舵装置20は、車体幅方向に
配置されており、その両端部が、タイロッド21、21
およびナックルアーム22、22を介して、左右の後輪
3、3に連結されたリレーロッド23と、モータ24
と、モータ24により、減速機構25およびクラッチ2
6を介して、駆動され、リレーロッド23を左右に移動
させるラック・アンド・ピニオン式のステアリングギア
機構27と、リレーロッド23が中立位置に保持される
ように付勢するセンタリングバネ28および車両の走行
状態に応じて、モータ24の作動を制御するコントロー
ルユニット29を備えており、左右の後輪3、3を、モ
ータ24の回転方向に対応する方向に、モータ24の回
転量に応じた角度だけ転舵させるようになっている。
【0022】図2は、モータ24の作動を制御するコン
トロールユニット29および車両に設けられた走行状態
検出系のブロックダイアグラムである。図2において、
コントロールユニット29は、ヨーレイトフィードバッ
ク制御手段30と、横すべり角制御手段31と、ファジ
イ制御手段32と、制御切換え手段33および横すべり
角の推定値βを算出する横すべり角算出手段34とを備
えており、車速Vを検出する車速センサ40、ハンドル
1の舵角、すなわち、前輪2、2の舵角θfを検出する
舵角センサ41、車両のヨーレイトYを検出する旋回状
態検出手段であるヨーレイトセンサ42および車両に加
わる横加速度GLを検出する横加速度センサ43からの
検出信号が入力されている。
【0023】ヨーレイトフィードバック制御手段30
は、車速センサ40から入力された車速V(n)の検出
信号および舵角センサ41から入力された前輪2、2の
舵角θf(n)に基づき、目標ヨーレイトY0(n)を
算出するとともに、目標ヨーレイトY0(n)と、ヨー
レイトセンサ42から入力された実測ヨーレイトY
(n)との偏差E(n)を算出して、あらかじめ記憶し
ているI−PD制御の計算式に基づいて、ヨーレイトY
のフィードバック制御量Rb(n)を算出し、制御切換
え手段33に出力し、制御切換え手段33から、制御実
行信号が入力されるとともに、後輪3、3の舵角を制御
する制御手段が、横すべり角制御手段31またはファジ
イ制御手段32からヨーレイトフィードバック制御手段
30に切り換えられたときに、制御切換え手段33から
出力される切換え信号が入力された場合には、偏差E
(n)の変化率ΔE(n)が、所定値ΔE1より大きい
か否かを判定し、YESのときは、さらに、ヨーレイト
Y(n)の変化率ΔY(n)を算出して、その絶対値
が、所定値ΔY1より大きいか否かを判定し、切換え信
号が入力されても、偏差E(n)の変化率ΔE(n)
が、所定値ΔE1以下のとき、切換え信号が入力され、
かつ、偏差E(n)の変化率ΔE(n)が、所定値ΔE
1より大きくても、ヨーレイトY(n)の変化率ΔY
(n)が所定値ΔY1以下のときは、フィードバック制
御量Rb(n)を、そのまま、 θr(n)=Rb(n) として、ヨーレイトフィードバック制御信号を、モータ
24に出力し、このθr(n)に相当するだけ、後輪
3、3を転舵させ、他方、切換え信号が入力され、偏差
E(n)の変化率ΔE(n)が、所定値ΔE1より大き
く、かつ、ヨーレイトY(n)の変化率ΔY(n)が所
定値ΔY1より大きいときに、その制御タイミングにお
ける後輪3、3の操舵量θr(n)を、Rb(n)より
補正値αだけ補正して、 θr(n)=Rb(n)+α として、ヨーレイトフィードバック制御信号をモータ2
4に出力し、θr(n)に相当するだけ、後輪3、3を
転舵させるように構成されている。
【0024】また、制御切換え手段33は、ヨーレイト
フィードバック制御手段30から入力された目標ヨーレ
イトY0と実測ヨーレイトY(n)との偏差E(n)に
基づき、偏差E(n)の変化率ΔE(n)を算出し、偏
差E(n)及び偏差E(n)の変化率ΔE(n)が、そ
れぞれ、所定の偏差E0および所定の偏差の変化率ΔE
0を越えている旋回状態、すなわち、きわめて急な旋回
状態のときに、ファジイ制御手段32に制御実行信号を
出力し、偏差E(n)および偏差E(n)の変化率ΔE
(n)が、それぞれ、所定の偏差E0および所定の偏差
の変化率ΔE0以下であり、かつ、横すべり角算出手段
34により算出された横すべり角の推定値β(n)の絶
対値が、所定値β0を越えている旋回状態、すなわち、
急旋回状態のときに、横すべり角制御手段31に制御実
行信号を出力し、その他の場合、すなわち、通常の旋回
状態のときに、ヨーレイトフィードバック制御手段30
に制御実行信号を出力するとともに、その制御タイミン
グにおいて、後輪3、3の操舵角を制御する制御手段
が、横すべり角制御手段31またはファジイ制御手段3
2からヨーレイトフィードバック制御手段30に切り換
えられたときは、切換え信号を、ヨーレイトフィードバ
ック制御手段30に出力するように構成されている。
【0025】横すべり角制御手段31は、制御切換え手
段33から、制御実行信号が入力されたときは、あらか
じめ記憶している計算式に基づいて、横すべり角制御量
Rβ(n)を算出して、その制御タイミングにおける後
輪3、3の操舵量θr(n)を、 θr(n)=Rβ(n) とし、横すべり角制御信号をモータ24に出力して、後
輪3、3を、θr(n)に相当するだけ転舵させるよう
に構成されている。
【0026】また、ファジイ制御手段32は、ヨーレイ
トセンサ42により検出されたヨーレイトY(n)の変
化率ΔY(n)を演算し、制御切換え手段33から、制
御実行信号が入力されたときは、あらかじめ記憶してい
る計算式に基づいて、実測ヨーレイトY(n)の変化率
ΔY(n)が減少するように、ファジイ制御量Rf
(n)を算出して、その制御タイミングにおける後輪
3、3の操舵量θr(n)を、 θr(n)=Rf(n) とし、ファジイ制御信号をモータ24に出力して、後輪
3、3を、θr(n)に相当するだけ転舵させるように
構成されている。
【0027】横すべり角算出手段34は、車速センサ4
0の検出した車速V、ヨーレイトセンサ42の検出した
実測ヨーレイトYおよび横加速度センサ43の検出した
横加速度GLに基づき、次の式にしたがって、横すべ
り角の推定値βを算出し、制御切換え手段33に出力す
る。 β(n)=9.8×{GL(n)/V(n)}×{Y(n)/57} +β(n−1)・・・・・・・・・・・ ここに、(n)は、今回の制御タイミングにおける値を
示し、(n−1)は、前回の制御タイミングにおける値
を示している。
【0028】図3および図4は、以上のように構成され
たコントロールユニット29により実行される後輪3、
3の操舵角制御のフローチャートであり、図5は、タイ
ヤのコーナリング・フォースC.F.と横すべり角との
関係を示すグラフである。図3および図4において、ま
ず、車速センサ40の検出した車速V(n)、舵角セン
サ41の検出した前輪2、2の舵角θf(n)、ヨーレ
イトセンサ42の検出した車両のヨーレイトY(n)お
よび横加速度センサ43の検出した車両に加わる横加速
度GL(n)が、コントロールユニット29に入力され
る。
【0029】ヨーレイトフィードバック制御手段30
は、車速センサ40から入力された車速V(n)および
舵角センサ41から入力された前輪2、2の舵角θf
(n)に基づき、次式にしたがって、その制御タイミ
ングにおける目標ヨーレイトY0(n)を算出する。 Y0(n)=V(n)/{1+A・V(n)2 }×θf(n)/L ・・・・・・・・・・・ ここに、Aは、スタビリティファクタであり、Lは、ホ
ィールベースの長さである。
【0030】次いで、ヨーレイトフィードバック制御手
段30は、こうして算出された目標ヨーレイトY0
(n)と、ヨーレイトセンサ42から入力された実測ヨ
ーレイトY(n)との偏差E(n)を、次の式にした
がって、算出し、 E(n)=Y0(n)−Y(n)・・・・・・・・・・・・・ さらに、次のI−PD制御の計算式にしたがって、そ
の制御タイミングでのヨーレイトY(n)のフィードバ
ック制御量Rb(n)を算出する。
【0031】 Rb(n)=Rb(n−1) −〔KI×E(n)−FP×{Y(n)−Y(n−1)} −FD×{Y(n)−2×Y(n−1)+Y(n−2)〕 ・・・・・・・・・・・ ここに、KIは積分定数、FPは比例定数、FDは微分
定数、Rb(n−1)は、前回の制御タイミングにおけ
るフィードバック制御量、Y(n−1)は、前回の制御
タイミングにおける実測ヨーレイト、Y(n−2)は、
前々回の制御タイミングにおける実測ヨーレイトを、そ
れぞれ、示している。
【0032】こうして算出されたヨーレイトY(n)の
フィードバック制御量Rb(n)および偏差E(n)
は、制御切換え手段33に出力され、制御切換え手段3
3は、偏差E(n)の変化率ΔE(n)を算出し、偏差
E(n)が、所定の偏差E0より大きく、かつ、変化率
ΔE(n)が、所定の変化率ΔE0より大きいか否かを
判定する。
【0033】その結果、YESのとき、すなわち、偏差
E(n)が、所定の偏差E0より大きく、かつ、変化率
ΔE(n)が、所定の変化率ΔE0より大きいときは、
車両は、図5における領域S3に相当する状態にあり、
車両がきわめて急な旋回状態にあり、スピンが生じて、
急激に、その向きを変えていることが認められ、きわめ
て不安定な走行状態にあるから、ヨーレイトフィードバ
ック制御により、後輪3、3の舵角θr(n)を、車両
が安定して走行するように制御するときは、演算速度が
きわめて早い大型のコンピュータを用いないかぎり、車
両のヨーレイト変化に追従することができず、きわめて
困難であり、その一方で、このように大型のコンピュー
タを車両に搭載することは、不経済であるとともに、ス
ペース的に、きわめて困難であるので、本実施例におい
ては、かかる旋回状態では、制御切換え手段33は、フ
ァジイ理論に基づき、後輪3、3の舵角θr(n)をフ
ァジイ制御すべき旋回状態であると判定して、制御実行
信号を、ファジイ制御手段32に出力する。
【0034】ファジイ制御手段32は、制御切換え手段
33から制御実行信号を受けたときは、ヨーレイトセン
サ42から入力されたヨーレイトYの検出信号に基づい
て、ヨーレイトY(n)の変化率ΔY(n)を演算する
とともに、偏差E(n)および変化率ΔE(n)の関数
であるメンバーシップ関数に基づき、次の式にしたが
って、ヨーレイトY(n)の変化率ΔY(n)が減少す
るように、ファジイ制御量Rf(n)を算出し、 Rf(n)=f(E(n)、ΔE(n))・・・・・・・・・ その制御タイミングにおける後輪3、3の操舵量θr
(n)を、 θr(n)=Rf(n) として、ファジイ制御信号を、モータ24に出力し、θ
r(n)に相当するだけ後輪3、3を転舵させる。
【0035】これに対して、偏差E(n)が、所定の偏
差E0より大きくなく、あるいは、変化率ΔE(n)
が、所定の変化率ΔE0より大きくないときは、制御切
換え手段33は、横すべり角算出手段34から入力され
た横すべり角の推定値β(n)の絶対値が、所定値β0
より大きいか否かを判定する。その判定結果がYESの
とき、すなわち、横すべり角の推定値β(n)の絶対値
が、所定値β0より大きいときは、図5における領域S
2に相当する走行状態にあると認められ、横加速度GL
(n)が大きい急な旋回状態であって、大きなタイヤの
横すべりが発生しており、車両の旋回半径が大きくなっ
て、ヨーレイトY(n)が低下しているから、後輪3、
3の舵角θr(n)を、ヨーレイトフィードバック制御
によって、制御する場合には、ヨーレイトY(n)の低
下を補うために、後輪3、3が、前輪2、2の舵角θf
(n)に対して、逆相方向に転舵され、走行安定性が大
幅に低下するおそれがあり、その一方で、ファジイ制御
によらなければならないほど、車両の向きが急激に変化
しているような不安定な走行状態ではないので、制御切
換え手段33は、横すべり角制御を実行すべき旋回状態
であると判定し、制御実行信号を、横すべり角制御手段
31に出力する。
【0036】横べり角制御手段31は、制御切換え手段
33から、制御実行信号を受けたときは、次の式にし
たがって、横すべり角制御量Rβ(n)を算出し、 Rβ(n)=k×β(n)・・・・・・・・・・・・・・・・ その制御タイミングにおける後輪3、3の操舵量θr
(n)を、 θr(n)=Rf(n) として、横すべり角制御信号を、モータ24に出力し、
θr(n)に相当するだけ、後輪3、3を転舵させる。
ここに、kは制御定数であり、正の値を有しており、し
たがって、横すべり角制御量Rβ(n)は、横すべり角
β(n)が大きいほど大きな値となり、横すべり角β
(n)が大きいほど、後輪3、3は、前輪2、2と同相
方向に、同相量が増大するように転舵されることになる
ので、車両の旋回半径が大きく、ヨーレイトY(n)が
低下している走行状態で、後輪3、3が、前輪2、2の
舵角θf(n)に対して、逆相方向に転舵され、走行安
定性が大幅に低下することが確実に防止される。
【0037】これに対して、横すべり角の推定値β
(n)の絶対値が、所定値β0以下のときは、図5にお
けるコーナーリング・フォースC.F.と横すべり角と
がほぼ比例関係にある領域S1に相当する走行状態にあ
ると認められるが、前回の制御タイミングにおいて、横
すべり角制御手段31またはファジイ制御手段32によ
って、後輪3、3の舵角制御が実行されていたときは、
ただちに、ヨーレイトフィードバック制御手段30が演
算したフィードバック制御量Rb(n)に基づき、後輪
3、3の舵角を制御する場合には、急激にかつ大きく、
後輪3、3が、逆相方向に転舵されることがあり、車両
が不安定な走行状態にある場合には、走行安定性を害す
るので、制御切換え手段33は、ヨーレイトフィードバ
ック制御手段30に、制御実行信号を出力するととも
に、ただちに、ヨーレイトフィードバック制御手段30
が演算したフィードバック制御量Rb(n)に基づき、
後輪3、3の舵角を制御してもよいか否かを判定させる
ため、切換え信号を出力する。
【0038】ヨーレイトフィードバック制御手段30
は、制御切換え手段33から、制御実行信号のみを受け
たときは、前回の制御タイミングにおいても、ヨーレイ
トフィードバックが実行されており、その制御タイミン
グで演算したフィードバック制御量Rb(n)に基づ
き、後輪3、3の舵角を制御しても、走行安定性が害さ
れることはないから、その制御タイミングにおける後輪
3、3の操舵量θr(n)を、 θr(n)=Rb(n) として、ヨーレイトフィードバック制御信号を、モータ
24に出力して、モータ24を回転させ、後輪3、3
を、θr(n)に相当するだけ、転舵させる。
【0039】これに対して、制御切換え手段33から、
制御実行信号とともに切換え信号を受けたときは、ヨー
レイトフィードバック制御手段30は、偏差E(n)の
変化率ΔE(n)が、所定値ΔE1より大きいか否かを
判定する。その結果、NOのときは、安定した走行状態
にあると認められるから、ヨーレイトフィードバック制
御手段30は、その制御タイミングにおける後輪3、3
の操舵量θr(n)を、 θr(n)=Rb(n) として、ヨーレイトフィードバック制御信号を、モータ
24に出力して、モータ24を回転させ、後輪3、3
を、θr(n)に相当するだけ、転舵させる。
【0040】他方、YESのとき、すなわち、偏差E
(n)の変化率ΔE(n)が、所定値ΔE1より大きい
ときは、不安定な走行状態にあるおそれがあるから、ヨ
ーレイトフィードバック制御手段30は、さらに、実測
ヨーレイトY(n)の変化率ΔY(n)が、所定値ΔY
1より大きいか否かを判定する。その結果、NOと判定
したときは、格別不安定な走行状態にはないと認められ
るから、ヨーレイトフィードバック制御手段30は、そ
の制御タイミングにおける後輪3、3の操舵量θr
(n)を、 θr(n)=Rb(n) として、ヨーレイトフィードバック制御信号を、モータ
24に出力して、モータ24を回転させ、後輪3、3
を、θr(n)に相当するだけ、転舵させる。
【0041】これに対して、YESのとき、すなわち、
偏差E(n)の変化率ΔE(n)が、所定値ΔE1より
大きく、かつ、実測ヨーレイトY(n)の変化率ΔY
(n)も、所定値ΔY1より大きいときは、車両は不安
定な走行状態にあると認められるから、フィードバック
制御量Rb(n)に基づいて、後輪3、3の舵角を制御
することは、さらに、車両の走行を不安定にするおそれ
があり、したがって、ヨーレイトフィードバック制御手
段30は、次式にしたがい、正の値である補正値αを用
いて、フィードバック制御量Rb(n)を補正して、そ
の制御タイミングにおける後輪3、3の操舵量θr
(n)を算出し、 θr(n)=Rb(n)+α ヨーレイトフィードバック制御信号を、モータ24に出
力して、モータ24を回転させ、後輪3、3を、θr
(n)に相当するだけ、転舵させる。
【0042】以上の制御は、所定時間間隔で実行され、
後輪3、3が操舵される。本実施例によれば、車両の走
行状態が安定している領域S1では、ヨーレイトフィー
ドバック制御により、実測ヨーレイトY(n)が、ハン
ドル1の操舵角に基づいて決定された目標ヨーレイトY
0(n)になるように、後輪3、3が転舵されるので、
所望のように、後輪3、3を操舵することが可能にな
り、他方、横すべり角の推定値β(n)の絶対値が、所
定値β0より大きく、横加速度GLが大きい急な旋回状
態で、車両の旋回半径が大きく、ヨーレイトY(n)が
低下している走行状態領域S2では、横すべり角の推定
値β(n)が大きいほど、後輪3、3が、前輪2、2と
同相方向に、同相量が増大するように、横すべり角制御
がなされるから、ヨーレイトフィードバック制御に基づ
き、後輪3、3を転舵させることにより、後輪3、3の
舵角θr(n)が、前輪2、2の舵角θf(n)に対
し、逆相方向になり、走行安定性が低下することが防止
されて、走行安定性を向上させることができ、さらに
は、車両が、目標ヨーレイトY0(n)と実測ヨーレイ
トY(n)との偏差E(n)および偏差E(n)の変化
率ΔE(n)が、所定値E0およびΔE0より大きく、
車両が急激に向きを変えていると認められるきわめて急
な旋回状態で、スピンが生じている可能性の大きいきわ
めて不安定な走行状態領域S3では、ヨーレイトY
(n)の変化率ΔY(n)が低下するように、後輪3、
3の舵角θrをファジイ制御しているため、きわめて大
型のコンピュータを用いることなく、かかるきわめて急
な旋回状態であって、きわめて不安定な走行状態におい
ても、走行安定性を向上させることが可能になる。さら
に、後輪3、3の舵角を制御する制御手段が、前回の制
御タイミングでは、横すべり角制御手段31またはファ
ジイ制御手段32であったが、その制御タイミングで、
ヨーレイトフィードバック制御手段30に切り換えられ
た場合において、目標ヨーレイトY0(n)と実測ヨー
レイトY(n)との偏差E(n)の変化率ΔE(n)
が、所定値ΔE1より大きく、かつ、実測ヨーレイトY
(n)の変化率ΔY(n)も、所定値ΔY1より大き
く、不安定な走行状態にあると認められるときは、ヨー
レイトフィードバック制御手段30により演算されたフ
ィードバック制御量Rb(n)を、同相方向にαだけ補
正して、後輪3、3の操舵量θf(n)を算出して、モ
ータ24に出力し、後輪3、3を転舵させているので、
後輪3、3の舵角を制御する制御手段が、横すべり角制
御手段31またはファジイ制御手段32からヨーレイト
フィードバック制御手段30に切り換えられた場合にお
いても、つながりの良い制御を実現することができ、い
かなる走行状態においても、走行安定性を大幅に向上さ
せることが可能になる。
【0043】本発明は、以上の実施例に限定されること
なく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種
々の変更が可能であり、それらも、本発明の範囲内に包
含されるものであることは言うまでもない。たとえば、
前記実施例においては、その制御タイミングにおいて、
後輪3、3の操舵角を制御する制御手段が、横すべり角
制御手段31またはファジイ制御手段32からヨーレイ
トフィードバック制御手段30に切り換えられた場合
に、目標ヨーレイトY0(n)と実測ヨーレイトY
(n)との偏差E(n)の変化率ΔE(n)が、所定値
ΔE1より大きく、かつ、実測ヨーレイトY(n)の変
化率ΔY(n)も、所定値ΔY1より大きいときにかぎ
って、フィードバック制御量Rb(n)の補正をおこな
っているが、後輪3、3の操舵角を制御する制御手段
が、横すべり角制御手段31またはファジイ制御手段3
2からヨーレイトフィードバック制御手段30に切り換
えられ、かつ、目標ヨーレイトY0(n)と実測ヨーレ
イトY(n)との偏差E(n)の変化率ΔE(n)が、
所定値ΔE1より大きいとき、あるいは、後輪3、3の
操舵角を制御する制御手段が、横すべり角制御手段31
またはファジイ制御手段32からヨーレイトフィードバ
ック制御手段30に切り換えられ、かつ、実測ヨーレイ
トY(n)の変化率ΔY(n)も、所定値ΔY1より大
きいときに、フィードバック制御量Rb(n)の補正を
おこなうようにしてもよく、さらには、これらの条件の
一方または双方に代えて、あるいは、これらの条件に加
えて、目標ヨーレイトY0(n)と実測ヨーレイトY
(n)との偏差E(n)が所定値以上であるという条件
など、車両の挙動を示すその他のパラメータに基づく条
件を設定して、フィードバック制御量Rb(n)の補正
をおこなうようにしてもよい。
【0044】さらに、前記実施例においては、補正値α
は、一定値としているが、ヨーレイトフィードバック制
御手段30に、マップなどを記憶させておき、車速V
(n)が大きくなるにしたがって、あるいは、横加速度
GL(n)が大きくなるにしたがって、あるいは、路面
摩擦係数μが小さくなるにしたがって、大きな値となる
ように、設定してもよい。
【0045】また、前記実施例においては、横すべり角
の推定値βの絶対値が、所定値β0より大きくなると、
ヨーレイトフィードバック制御から、横すべり角制御に
移行しているが、横すべり角の推定値βの絶対値が、所
定値β0より大きい走行状態では、後輪3、3の舵角θ
rと前輪2、2の舵角θfとの比を固定するようにして
もよく、あるいは、それまでのヨーレイトフィードバッ
ク制御に代えて、制御ゲインを小さくして、新たなヨー
レイトフィードバック制御をするようにしてもよい。
【0046】さらに、前記実施例においては、β0は一
定値としたが、β0を、車速V、横加速度GLなどによ
り、変化させてもよい。図6は、β0を、車速Vおよび
横加速度GLに基づいて、設定するフローチャートを示
している。図9においては、β0は、横すべり角算出手
段34により、しきい値βt、車速Vの関数である係数
jvおよび横加速度GLの関数である係数jgに基づ
き、次の式にしたがって、定められるようになってい
る。
【0047】 β0=jv×jg×βt・・・・・・・・・・・・・・・・ すなわち、まず、車速Vの値によって、係数jvが決定
される。ここに、係数jvは、車速Vが大きくなると、
1.0に収束するように設定されている。これは、ドラ
イバーは、高速になるほど、不安感を抱きやすいため、
横すべり角の推定値βが小さい値でも、横すべり角制御
に移行し得るようにするためである。次いで、係数jg
が、横加速度GLの値によって決定される。図9におい
ては、係数jgは、横加速度GLが大きくなると、1.
0に収束するように設定されている。これは、路面摩擦
係数μが小さい道路を走行中には、横加速度GLが小さ
な値で、横すべり角制御に移行し得るようにするためで
ある。ここに、図9においては、β0を、車速Vおよび
横加速度GLにより、設定しているが、その他の運転パ
ラメータを加えて、β0を設定しても、あるいは、その
他の運転パラメータにより、β0を設定するようにして
もよい。
【0048】また、前記実施例においては、ヨーレイト
センサ42を旋回状態検出手段として用い、ヨーレイト
Yを検出しているが、横加速度センサ43の検出した横
加速度GLに基づき、あるいは、車速センサ40の検出
した車速Vおよび舵角センサ41の検出した前輪2、2
の舵角θfに基づいて、ヨーレイトYを算出するように
してもよく、また、横加速度GLも、横加速度センサ4
3を用いることなく、車速センサ40の検出した車速V
および舵角センサ41の検出した前輪2、2の舵角θf
に基づいて、算出するようにしてもよい。
【0049】さらに、横すべり角の推定値βの演算式
および目標ヨーレイトY0の演算式は、一例を示すも
のにすぎず、横すべり角の推定値βは、カルマンフィル
ター法やオブザーバー法などによっても算出することが
できるし、また、目標ヨーレイトY0も、他の演算式に
より算出するようにしてもよい。さらに、車両の走行状
態を検出するセンサは、その場合の必要に応じて、選択
すればよく、前記実施例において用いた車速センサ4
0、舵角センサ41、ヨーレイトセンサ42および横加
速度センサ43の一部を用いることなく、別のセンサを
用いることもできる。
【0050】また、前記実施例においては、目標ヨーレ
イトY0と実測ヨーレイトYとの偏差Eおよび偏差Eの
変化率ΔEが、ともに、所定値E0およびΔE0より大
きいときに、ファジイ制御による後輪3、3の操舵制御
を実行しているが、いずれか一方が、所定値より大きい
ときに、ファジイ制御による後輪3、3の操舵制御を実
行するようにしてもよく、さらに、前記実施例において
は、ファジイ制御のメンバーシップ関数は、目標ヨーレ
イトY0と実測ヨーレイトYとの偏差Eおよび偏差Eの
変化率ΔEの関数になっているが、目標ヨーレイトY0
と実測ヨーレイトYとに基づいて、ファジイ制御のメン
バーシップ関数が決定されればよく、偏差Eまたは偏差
Eの変化率ΔEの一方の関数であってもよい。また、偏
差Eまたは偏差Eの変化率ΔEに代えて、横加速度GL
が所定値を越えた状態で、ファジイ制御による後輪3、
3の操舵制御を実行するようにしてもよく、さらには、
ファジイ制御のメンバーシップ関数は、横加速度GLお
よび/またはその変化率、あるいは、前輪2、2の舵角
θf、舵角θfの変化速度、舵角θfの変化速度の変化
率に基づき、決定するようにしてもよい。
【0051】さらに、前記実施例においては、図5の領
域S3においては、ファジイ制御によって、後輪3、3
の舵角を制御しているが、タイヤのコーナリング・フォ
ースC.F.と横すべり角との関係は、図5に示される
ように、路面摩擦係数μにより変化するので、路面摩擦
係数μの小さい道路以外を走行する場合などには、領域
S1およびS2が存在するのみで、領域S3は存在せ
ず、したがって、ファジイ制御を実行することは必ずし
も必要でない場合があり得、他方、路面摩擦係数μの小
さい道路を走行する場合には、図5に示されるように、
横すべり角制御を実行すべき領域S2がきわめて小さ
く、時間的に、横すべり角制御がなされることなく、た
だちに、ファジイ制御に移行することがあり得る。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、車両の旋回状態を物理
的に検出する旋回状態検出手段と、該旋回状態検出手段
の検出した検出値に基づく実測ヨーレイトが、目標ヨー
レイトになるように、後輪の舵角をフィードバック制御
するヨーレイトフィードバック制御手段とを備えた車両
の後輪操舵装置において、横加速度が、ゼロないしきわ
めて高い走行状態の間で変化する場合に、いかなる走行
状態においても、ドライバーに違和感を与えることな
く、走行安定性を向上させることのできる車両の後輪操
舵装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施例に係る車両の
サスペンション装置を含む車両の略平面図である。
【図2】図2は、コントロールユニットおよび車両に設
けられた走行状態検出系のブロックダイアグラムであ
る。
【図3】図3は、コントロールユニットにより実行され
る後輪操舵制御のフローチャートの前半部を示す図面で
ある。
【図4】図4は、コントロールユニットにより実行され
る後輪操舵制御のフローチャートの後半部のを示す図面
である。
【図5】図5は、タイヤのコーナリング・フォースC.
F.と横すべり角との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、β0を設定する方法の一例を示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1 ハンドル 2 前輪 3 後輪 10 前輪操舵装置 11 タイロッド11 12 ナックルアーム 13 リレーロッド 14 ステアリングギア機構 20 後輪操舵装置 21 タイロッド 22 ナックルアーム 23 リレーロッド 24 モータ 25 減速機構 26 クラッチ 27 ステアリングギア機構 28 センタリングバネ 29 コントロールユニット 30 ヨーレイトフィードバック制御手段 31 横すべり角制御手段 32 ファジイ制御手段 33 制御切換え手段 34 横すべり角算出手段 40 車速センサ 41 舵角センサ 42 ヨーレイトセンサ 43 横加速度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B62D 137:00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の旋回状態を物理的に検出する旋回
    状態検出手段と、該旋回状態検出手段の検出した検出値
    に基づく実測ヨーレイトが、目標ヨーレイトになるよう
    に、後輪の舵角をフィードバック制御するヨーレイトフ
    ィードバック制御手段とを備えた車両の後輪操舵装置に
    おいて、前記ヨーレイトフィードバック制御手段とは異
    なる制御則に基づき後輪の舵角を制御する第2の制御手
    段と、前記旋回状態検出手段が検出した旋回状態が、所
    定旋回状態より急な旋回状態のときに、前記第2の制御
    手段による後輪舵角の制御に切り換える制御切換え手段
    とを備え、前記制御切換え手段が、後輪の舵角を制御す
    る制御手段を、前記第2の制御手段から前記ヨーレイト
    フィードバック制御手段に切り換えるときに、該ヨーレ
    イトフィードバック制御手段が、後輪の舵角制御の初期
    値を、前記ヨーレイトフィードバック制御手段が演算し
    た初期値よりも、同相方向に補正して、設定するように
    構成されたことを特徴とする車両の後輪操舵装置。
  2. 【請求項2】 さらに、車両の横すべり角を推定する横
    すべり角推定手段を備え、前記第2の制御手段が、前記
    横すべり角推定手段によって推定された横すべり角の増
    大にともない、前記後輪の舵角を同相方向に制御する横
    すべり角制御手段により構成されたことを特徴とする請
    求項1に記載の車両の後輪操舵装置。
  3. 【請求項3】 前記第2の制御手段が、前記実測ヨーレ
    イトの変化率が低下するように、後輪の舵角をファジイ
    制御するファジイ制御手段によって構成されたことを特
    徴とする請求項1に記載の車両の後輪操舵装置。
  4. 【請求項4】 前記ファジイ制御手段が、前記目標ヨー
    レイトと実測ヨーレイトとの偏差に基づき、前記実測ヨ
    ーレイトの変化率が低下するように、後輪の舵角をファ
    ジイ制御するように構成されたことを特徴とする請求項
    3に記載の車両の後輪操舵装置。
  5. 【請求項5】 前記ファジイ制御手段が、前記目標ヨー
    レイトと実測ヨーレイトとの偏差の変化率に基づき、前
    記実測ヨーレイトの変化率が低下するように、後輪の舵
    角をファジイ制御するように構成されたことを特徴とす
    る請求項3に記載の車両の後輪操舵装置。
  6. 【請求項6】 さらに、車両の横すべり角を推定する横
    すべり角推定手段を備え、前記第2の制御手段が、前記
    横すべり角推定手段によって推定された横すべり角の増
    大にともない、前記後輪の舵角を同相方向に制御する横
    すべり角制御手段と、前記実測ヨーレイトの変化率が低
    下するように、後輪の舵角をファジイ制御するファジイ
    制御手段とにより構成され、前記制御切換え手段が、前
    記旋回状態検出手段により検出された旋回状態が、第1
    の所定旋回状態を越えた急な第1の旋回状態において
    は、前記横すべり角制御手段によって、後輪舵角の制御
    が実行され、第2の所定旋回状態を越えたさらに急な第
    2の旋回状態においては、前記ファジイ制御手段によっ
    て、後輪舵角の制御が実行されるように、制御手段を切
    換えるように構成されたことを特徴とする請求項1に記
    載の車両の後輪操舵装置。
  7. 【請求項7】 前記第2の制御手段による制御から前記
    ヨーレイトフィードバック制御手段による制御に切り換
    えられ、かつ、前記目標ヨーレイトと前記実測ヨーレイ
    トとの偏差の変化率が所定値より大きいときに、前記ヨ
    ーレイトフィードバック制御手段が、後輪の舵角制御の
    初期値を、前記ヨーレイトフィードバック制御手段が演
    算した初期値よりも、同相方向に補正して、設定するよ
    うに構成されたことを特徴とする請求項1ないし6のい
    ずれか1項に記載の車両の後輪操舵装置。
  8. 【請求項8】 前記第2の制御手段による制御から前記
    ヨーレイトフィードバック制御手段による制御に切り換
    えられ、かつ、前記実測ヨーレイトの変化率が所定値よ
    り大きいときに、前記ヨーレイトフィードバック制御手
    段が、後輪の舵角制御の初期値を、前記ヨーレイトフィ
    ードバック制御手段が演算した初期値よりも、同相方向
    に補正して、設定するように構成されたことを特徴とす
    る請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車両の後輪
    操舵装置。
  9. 【請求項9】 前記第2の制御手段による制御から前記
    ヨーレイトフィードバック制御手段による制御に切り換
    えられ、前記目標ヨーレイトと前記実測ヨーレイトとの
    偏差の変化率が所定値より大きく、かつ、前記実測ヨー
    レイトの変化率が所定値より大きいときに、前記ヨーレ
    イトフィードバック制御手段が、後輪の舵角制御の初期
    値を、前記ヨーレイトフィードバック制御手段が演算し
    た初期値よりも、同相方向に補正して、設定するように
    構成されたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれ
    か1項に記載の車両の後輪操舵装置。
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