JP3012346B2 - 車両の後輪操舵装置 - Google Patents

車両の後輪操舵装置

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JP3012346B2
JP3012346B2 JP5858991A JP5858991A JP3012346B2 JP 3012346 B2 JP3012346 B2 JP 3012346B2 JP 5858991 A JP5858991 A JP 5858991A JP 5858991 A JP5858991 A JP 5858991A JP 3012346 B2 JP3012346 B2 JP 3012346B2
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angle
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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の後輪操舵装置に
関するものであり、さらに詳細には、車両の後輪操舵装
置に関するものである。
【0002】
【先行技術】車速に応じて、ハンドル舵角に対応する前
輪の操舵角に対して、所定の転舵比で、後輪を操舵する
車両の後輪操舵装置が知られている。かかる車両の後輪
操舵装置においては、車速にかかわらず、ドライバーの
意思に合致した操舵性能を得ることが可能になるが、ド
ライバーが、ハンドルを操作した直後の過渡状態におい
ては、前輪と後輪とが、同相になる場合が多く、したが
って、過渡状態における初期回頭性が良くないという問
題があった。
【0003】かかる問題を解決するため、特開平1−2
62268号公報は、ハンドル舵角に基づき、目標ヨー
レイトを算出し、実測ヨーレイトが目標ヨーレイトに等
しくなるように、後輪の操舵角をフィードバック制御す
る車両の後輪操舵装置を提案している。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、車両は、走行安定性を高めるために、車両の横方向
に加わる横加速度の高い走行状態においては、アンダー
ステアになるように設計されているため、かかる車両の
後輪操舵装置においては、横加速度が高い急旋回状態に
なると、旋回半径が大きくなって、ヨーレイトは低下
し、後輪の操舵角を、実測ヨーレイトが、目標ヨーレイ
トとなるようにフィードバック制御した場合には、ヨー
レイトの低下を補うように、後輪が、前輪と逆相方向に
転舵されて、同相量が減少しやすく、何らかの外乱が車
両に加わったときに、走行安定性が著しく低下し、ま
た、さらに横加速度が高いきわめて急な旋回状態にな
り、スリップなどが生ずると、きわめて演算速度の早い
大型コンピュータを用いないかぎり、ヨーレイトフィー
ドバック制御では、追従することがきわめて困難にな
り、その一方で、追従可能な大型コンピュータを車両に
搭載することは、不経済であるとともに、スペース的
に、搭載がきわめて困難であるという問題があった。
【0005】
【発明の目的】本発明は、車両の旋回状態を物理的に検
出する旋回状態検出手段と、該旋回状態検出手段の検出
した検出値に基づく実測ヨーレイトが、目標ヨーレイト
になるように、後輪の舵角をフィードバック制御するヨ
ーレイトフィードバック制御手段とを備えた車両の後輪
操舵装置において、横加速度が、ゼロないしきわめて高
い走行状態の間で変化する場合に、いかなる走行状態に
おいても、走行安定性を向上させることのできる車両の
後輪操舵装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【発明の構成】本発明のかかる目的は、前記ヨーレイト
フィードバック制御手段とは異なる制御則に基づき後輪
の舵角を制御する第2の制御手段と、前記旋回状態検出
手段が検出した旋回状態が、所定旋回状態より急な旋回
状態のときに、前記第2の制御手段による後輪舵角の制
御に切り換える制御切換え手段とを備え、前記制御切換
え手段を、前記実測ヨーレイトが増大し始めた後、その
ピーク値を越えた時点で、前記第2の制御手段による後
輪舵角の制御から、前記ヨーレイトフィードバック制御
手段による後輪舵角の制御へ、制御手段を切り換えるよ
うに構成することによって達成される。
【0007】本発明の好ましい実施態様においては、さ
らに、ハンドル舵角を検出する舵角センサを備えてお
り、前記制御切換え手段が、前記実測ヨーレイトがピー
ク値を越え、かつ、前記舵角センサにより検出されたハ
ンドル舵角の変化率の符号が変化した時点で、前記第2
の制御手段による後輪舵角の制御から、前記ヨーレイト
フィードバック制御手段による後輪舵角の制御へ、制御
手段を切り換えるように構成されている。
【0008】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、さらに、車両の横すべり角を推定する横すべり角推
定手段を備え、前記第2の制御手段が、前記横すべり角
推定手段によって推定された横すべり角の増大にともな
い、前記後輪の舵角を同相方向に制御する横すべり角制
御手段により構成されている。本発明のさらに別の好ま
しい実施態様においては、前記第2の制御手段が、前記
実測ヨーレイトの変化率が低下するように、後輪の舵角
をファジイ制御するファジイ制御手段により構成されて
いる。
【0009】本発明のさらに他の好ましい実施態様にお
いては、前記ファジイ制御手段が、前記目標ヨーレイト
と実測ヨーレイトとの偏差および/または該偏差の変化
率に基づき、前記実測ヨーレイトの変化率が低下するよ
うに、後輪の舵角をファジイ制御するように構成されて
いる。本発明のさらに他の好ましい実施態様において
は、前記実測ヨーレイトと前記目標ヨーレイトとの偏差
が減少を開始した時点で、前記制御切換え手段が、前記
第2の制御手段による後輪舵角の制御から、前記ヨーレ
イトフィードバック制御手段による後輪舵角の制御へ、
制御手段を切り換えるように構成されている。
【0010】本発明のさらに他の好ましい実施態様にお
いては、さらに、車両の横すべり角を推定する横すべり
角推定手段を備え、前記第2の制御手段が、前記横すべ
り角推定手段によって推定された横すべり角の増大にと
もない、前記後輪の舵角を同相方向に制御する横すべり
角制御手段と、前記実測ヨーレイトの変化率が低下する
ように、後輪の舵角をファジイ制御するファジイ制御手
段とにより構成され、前記制御切換え手段が、前記旋回
状態検出手段により検出された旋回状態が、第1の所定
旋回状態を越えた急な第1の旋回状態においては、前記
横すべり角制御手段により、後輪舵角の制御が実行さ
れ、第2の所定旋回状態を越えたさらに急な第2の旋回
状態においては、前記ファジイ制御手段により、後輪舵
角の制御が実行されるように、制御手段を切換えるよう
に構成されている。
【0011】
【発明の作用】本発明によれば、ヨーレイトフィードバ
ック制御手段とは異なる制御方法により後輪の舵角を制
御する第2の制御手段と、旋回状態検出手段が検出した
旋回状態が、所定旋回状態より急な旋回状態のときに、
第2の制御手段による後輪舵角の制御に切り換える制御
切換え手段とを備えているので、横加速度が高い急旋回
状態になり、旋回半径が大きくなって、ヨーレイトが低
下した結果、後輪の操舵角を、実測ヨーレイトが、目標
ヨーレイトとなるようにフィードバック制御することに
より、ヨーレイトの低下を補うように、後輪が、前輪と
逆相方向に転舵されて、同相量が減少し、何らかの外乱
が車両に加わったときに、走行安定性が著しく低下する
という問題を解消することが可能になり、また、第2の
制御に移行した後、ハンドルが切り返され、やがて、ヨ
ーレイトフィードバック制御に移行する走行状態になっ
たにもかかわらず、第2の制御手段による後輪舵角の制
御が継続される場合には、第2の制御手段による制御か
らヨーレイトフィードバック制御に切換えられるとき
に、後輪舵角が急激に変化して、走行状態が不安定にな
るおそれがあるが、本発明によれば、制御切換え手段
が、実測ヨーレイトが増大し始めた後、そのピーク値を
越えた時点で、第2の制御手段による後輪舵角の制御か
ら、ヨーレイトフィードバック制御手段による後輪舵角
の制御へ、制御手段を切り換えるように構成されている
から、ハンドルが操作されて、実測ヨーレイトが増大し
始めた後、実測ヨーレイトがピーク値を越えたとき、こ
れを、実測ヨーレイトと目標ヨーレイトとの偏差がゼロ
に収束し、ヨーレイトフィードバック制御に、やがて、
移行する前駆現象と判定して、その時点で、ただちに、
第2の制御手段による後輪舵角の制御から、ヨーレイト
フィードバック制御手段による後輪舵角の制御へ切換え
られているので、かかる第2の制御手段によるからヨー
レイトフィードバック制御への切換え時における上述の
問題を解消することが可能になる。
【0012】本発明の好ましい実施態様によれば、実測
ヨーレイトがピーク値に達しただけでは、第2の制御手
段による制御からヨーレイトフィードバック制御に切り
換えず、実測ヨーレイトがピーク値を越え、かつ、ハン
ドル舵角の変化率の符号が変化した時点で、第2の制御
手段による後輪舵角の制御からヨーレイトフィードバッ
ク制御手段による後輪舵角の制御へ切り換えるようにし
ているので、路面摩擦係数が大きく異なる道路に進入し
た場合などに、ハンドルが切り返されてはいないにもか
かわらず、実測ヨーレイトにピーク値が生じ、そのピー
ク値を越え、その結果、第2の制御手段による制御を継
続しなければならない状態において、誤って、ヨーレイ
トフィードバック制御に移行する前駆現象であると判定
して、第2の制御手段による制御からヨーレイトフィー
ドバック制御に切り換えられることを確実に防止して、
所望のタイミングで、第2の制御手段による制御からヨ
ーレイトフィードバック制御への切り換えがなされるか
ら、制御の切換え時における上述の問題を解消すること
が可能になる。
【0013】本発明のさらに好ましい実施態様によれ
ば、さらに、車両の横すべり角を推定する横すべり角推
定手段を備え、第2の制御手段が、横すべり角推定手段
によって推定された横すべり角の増大にともない、後輪
の舵角を同相方向に制御する横すべり角制御手段により
構成されているから、横加速度が高い急旋回状態にな
り、旋回半径が大きくなって、ヨーレイトが低下した結
果、後輪の操舵角を、実測ヨーレイトが、目標ヨーレイ
トとなるようにフィードバック制御することにより、ヨ
ーレイトの低下を補うように、後輪が、前輪と逆相方向
に転舵されて、同相量が減少し、何らかの外乱が車両に
加わったときに、走行安定性が著しく低下するという問
題を、確実に解消することが可能になる。
【0014】本発明のさらに別の好ましい実施態様によ
れば、前記第2の制御手段が、前記実測ヨーレイトの変
化率が低下するように、後輪の舵角をファジイ制御する
ファジイ制御手段によって構成されているから、路面摩
擦係数の低い路面を走行中に、横加速度が高くなり、ヨ
ーレイトフィードバック制御により後輪の舵角を制御し
た場合には、スピンが生ずる危険の大きい急旋回状態に
おいて、スピンの発生を確実に防止して、かかる旋回状
態においても、走行安定性を向上させることが可能にな
る。
【0015】本発明のさらに他の好ましい実施態様によ
れば、ヨーレイトフィードバック制御へ移行する前駆現
象として、最も信頼し得る実測ヨーレイトと目標ヨーレ
イトとの偏差が減少を開始したことに着目し、その時点
で、第2の制御手段による制御からヨーレイトフィード
バック制御に切り換えているから、第2の制御手段によ
る制御からヨーレイトフィードバック制御への移行をス
ムーズにおこなうことが可能になる。
【0016】本発明のさらに他の好ましい実施態様によ
れば、さらに、車両の横すべり角を推定する横すべり角
推定手段を備え、第2の制御手段が、横すべり角推定手
段によって推定された横すべり角の増大にともない、後
輪の舵角を同相方向に制御する横すべり角制御手段と、
実測ヨーレイトの変化率が低下するように、後輪の舵角
をファジイ制御するファジイ制御手段とにより構成さ
れ、制御切換え手段が、旋回状態検出手段により検出さ
れた旋回状態が、第1の所定旋回状態を越えた急な第1
の旋回状態においては、横すべり角制御手段により、後
輪舵角の制御が実行され、第2の所定旋回状態を越えた
さらに急な第2の旋回状態においては、ファジイ制御手
段により、後輪舵角の制御が実行されるように、制御手
段を切換えるように構成されているから、横加速度が高
い急旋回状態になり、旋回半径が大きくなって、ヨーレ
イトが低下した場合においても、また、さらに横加速度
が高く、スピンが生じやすい急旋回状態においても、走
行安定性を向上させることが可能になる。
【0017】
【実施例】以下、添付図面に基づき、本発明の好ましい
実施例につき、詳細に説明を加える。図1は、本発明の
実施例に係る車両の後輪操舵装置を含む車両の車輪操舵
装置の略平面図である。
【0018】図1において、本発明の実施例に係る車両
の後輪操舵装置を含む車両の車輪操舵装置は、ハンドル
1と、ハンドル1の操作により、左右の前輪2、2を転
舵させる前輪操舵装置10と、前輪操舵装置10による
前輪2、2の転舵に応じて、左右の後輪3、3を転舵さ
せる後輪操舵装置20を有している。前輪操舵装置10
は、車体幅方向に配置されており、その両端部が、タイ
ロッド11、11およびナックルアーム12、12を介
して、左右の前輪2、2に連結されたリレーロッド13
と、ハンドル1の操作に連動して、リレーロッド13を
左右に移動させるラック・アンド・ピニオン式のステア
リングギア機構14とを有し、ハンドル1の操作方向
に、その操作量に対応する角度だけ、左右の前輪2、2
を転舵させるようになっている。
【0019】他方、後輪操舵装置20は、車体幅方向に
配置されており、その両端部が、タイロッド21、21
およびナックルアーム22、22を介して、左右の後輪
3、3に連結されたリレーロッド23と、モータ24
と、モータ24により、減速機構25およびクラッチ2
6を介して、駆動され、リレーロッド23を左右に移動
させるラック・アンド・ピニオン式のステアリングギア
機構27と、リレーロッド23が中立位置に保持される
ように付勢するセンタリングバネ28および車両の走行
状態に応じて、モータ24の作動を制御するコントロー
ルユニット29を備えており、左右の後輪3、3を、モ
ータ24の回転方向に対応する方向に、モータ24の回
転量に応じた角度だけ転舵させるようになっている。
【0020】図2は、モータ24の作動を制御するコン
トロールユニット29および車両に設けられた走行状態
検出系のブロックダイアグラムである。図2において、
コントロールユニット29は、ヨーレイトフィードバッ
ク制御手段30と、横すべり角制御手段31と、ファジ
イ制御手段32と、制御切換え手段33および横すべり
角の推定値βを算出する横すべり角算出手段34とを備
えており、車速Vを検出する車速センサ40、ハンドル
1の舵角、すなわち、前輪2、2の舵角θfを検出する
舵角センサ41、車両のヨーレイトYを検出する旋回状
態検出手段であるヨーレイトセンサ42および車両に加
わる横加速度GLを検出する横加速度センサ43からの
検出信号が入力されている。
【0021】ヨーレイトフィードバック制御手段30
は、車速センサ40から入力された車速Vの検出信号お
よび舵角センサ41から入力された前輪の舵角θfに基
づき、目標ヨーレイトY0を算出するとともに、目標ヨ
ーレイトY0と、ヨーレイトセンサ42から入力された
実測ヨーレイトY(n)との偏差Eを算出して、あらか
じめ記憶しているI−PD制御の計算式に基づいて、ヨ
ーレイトYのフィードバック制御量Rb(n)を算出
し、制御切換え手段33に出力し、制御切換え手段33
から、制御実行信号が入力されたときは、モータ24
に、フィードバック制御信号を出力する。
【0022】また、制御切換え手段33は、ヨーレイト
フィードバック制御手段30から入力された目標ヨーレ
イトY0(n)と実測ヨーレイトY(n)との偏差E
(n)に基づき、偏差E(n)の変化率ΔE(n)を算
出し、偏差E(n)および偏差E(n)の変化率ΔE
(n)が、それぞれ、所定の偏差E0および所定の偏差
の変化率ΔE0を越えている旋回状態のとき、すなわ
ち、きわめて急な旋回状態のときに、ファジイ制御手段
32に制御実行信号を出力し、偏差E(n)および偏差
E(n)の変化率ΔE(n)が、それぞれ、所定の偏差
E0および所定の偏差の変化率ΔE0以下であり、か
つ、横すべり角算出手段34により算出された横すべり
角の推定値β(n)の絶対値が、所定値β0を越えてい
る旋回状態、すなわち、急な旋回状態のときに、横すべ
り角制御手段31に制御実行信号を出力し、その他の場
合、すなわち、通常の旋回状態のときに、ヨーレイトフ
ィードバック制御手段30に制御実行信号を出力するよ
うに構成されている。
【0023】横すべり角制御手段31は、制御切換え手
段33から、制御実行信号が入力されたときは、あらか
じめ記憶している計算式に基づいて、横すべり角制御量
Rβ(n)を算出して、横すべり角制御信号を、モータ
24に出力する。また、ファジイ制御手段32は、ヨー
レイトセンサ42により検出されたヨーレイトY(n)
の変化率ΔY(n)を演算し、制御切換え手段33か
ら、制御実行信号が入力されたときは、あらかじめ記憶
している計算式に基づいて、実測ヨーレイトY(n)の
変化率ΔY(n)が減少するように、ファジイ制御量R
f(n)を算出して、ファジイ制御信号を、モータ24
に出力する。
【0024】横すべり角算出手段34は、車速センサ4
0の検出した車速V(n)、ヨーレイトセンサ42の検
出した実測ヨーレイトY(n)および横加速度センサ4
3の検出した横加速度GL(n)に基づき、次の式に
したがって、横すべり角の推定値β(n)を算出し、制
御切換え手段33に出力する。 β(n)=9.8×{GL(n)/V(n)}×{Y(n)/57} +β(n−1)・・・・・・・・・・・ ここに、(n)は、今回の制御タイミングにおける値を
示し、(n−1)は、前回の制御タイミングにおける値
を示している。
【0025】図3は、以上のように構成されたコントロ
ールユニット29により実行される後輪3、3の操舵角
制御のフローチャートであり、図4は、タイヤのコーナ
リング・フォースC.F.と横すべり角との関係を示す
グラフである。図3において、まず、車速センサ40の
検出した車速V(n)、舵角センサ41の検出した前輪
2、2の舵角θf(n)、ヨーレイトセンサ42の検出
した車両のヨーレイトY(n)および横加速度センサ4
3の検出した車両に加わる横加速度GL(n)が、コン
トロールユニット29に入力される。
【0026】ヨーレイトフィードバック制御手段30
は、車速センサ40から入力された車速V(n)の検出
信号および舵角センサ41から入力された前輪の舵角θ
f(n)に基づき、次の式にしたがって、その制御タ
イミングでの目標ヨーレイトY0(n)を算出する。 Y0(n)=V(n)/{1+A・V(n)2 }×θf(n)/L ・・・・・・・・・・・ ここに、Aは、スタビリティファクタであり、Lは、ホ
ィールベースの長さである。
【0027】次いで、ヨーレイトフィードバック制御手
段30は、こうして算出された目標ヨーレイトY0
(n)と、ヨーレイトセンサ42から入力された実測ヨ
ーレイトY(n)との偏差E(n)を、次の式にした
がって、算出し、 E(n)=Y0(n)−Y(n)・・・・・・・・・・・・・ さらに、次のI−PD制御の計算式にしたがって、そ
の制御タイミングでのヨーレイトY(n)のフィードバ
ック制御量Rb(n)を算出する。
【0028】 Rb(n)=Rb(n−1) −〔KI×E(n)−FP×{Y(n)−Y(n−1)} −FD×{Y(n)−2×Y(n−1)+Y(n−2)〕 ・・・・・・・・・・・ ここに、KIは積分定数、FPは比例定数、FDは微分
定数、Rb(n−1)は、前回の制御タイミングにおけ
るフィードバック制御量、Y(n−1)は、前回の制御
タイミングにおける実測ヨーレイト、Y(n−2)は、
前々回の制御タイミングにおける実測ヨーレイトを、そ
れぞれ、示している。
【0029】こうして算出されたヨーレイトY(n)の
フィードバック制御量Rb(n)および偏差E(n)
は、制御切換え手段33に出力され、制御切換え手段3
3は、偏差E(n)の変化率ΔE(n)を算出し、偏差
E(n)が、所定の偏差E0より大きく、かつ、変化率
ΔE(n)が、所定の変化率ΔE0より大きいか否かを
判定する。
【0030】その結果、YESのとき、すなわち、偏差
E(n)が、所定の偏差E0より大きく、かつ、変化率
ΔE(n)が、所定の変化率ΔE0より大きいときは、
車両は、図4における領域S3に相当する状態にあり、
車両がきわめて急な旋回状態にあり、スピンが生じて、
急激に、その向きを変えていることが認められ、きわめ
て不安定な走行状態にあるから、ヨーレイトフィードバ
ック制御により、後輪3、3の舵角θr(n)を、車両
が安定して走行するように制御するときは、演算速度が
きわめて早い大型のコンピュータを用いないかぎり、車
両のヨーレイト変化に追従することができず、きわめて
困難であり、その一方で、このように大型のコンピュー
タを車両に搭載することは、不経済であるとともに、ス
ペース的に、きわめて困難であるので、本実施例におい
ては、かかる旋回状態では、制御切換え手段33は、フ
ァジイ理論に基づき、後輪3、3の舵角θr(n)をフ
ァジイ制御すべき旋回状態であると判定する。
【0031】しかし、ファジイ制御を実行すべき旋回状
態であっても、ハンドル1が切り返され、やがて、ヨー
レイトフィードバック制御に移行する状態にあると判定
されるときは、ファジイ制御をそのまま実行し続ける
と、ファジイ制御からヨーレイトフィードバック制御に
移行する際に、後輪3、3が、前輪2、2と同相の状態
から、急に、逆相状態になって、車両の走行が不安定に
なるため、制御切換え手段33は、さらに、ファジイ制
御を実行すべきか否かを判定する。すなわち、その制御
タイミングにおける実測ヨーレイトY(n)の絶対値
が、前回の制御タイミングにおける実測ヨーレイトY
(n−1)の絶対値より減少しており、かつ、ハンドル
1の舵角の変化率の符号が変化したか否か、すなわち、
その制御タイミングにおける前輪2、2の舵角θf
(n)の絶対値が、前回の制御タイミングにおける前輪
2、2の舵角θf(n−1)の絶対値より減少している
か否かを判定する。すなわち、図5に示されるように、
実測ヨーレイトY(n)が、そのピーク値Ymaxを越
えており、かつ、前輪2、2の舵角θf(n)の絶対値
が、前回の制御タイミングにおける舵角θf(n−1)
の絶対値より減少しているときは、ハンドル1が切り返
されて、実測ヨーレイトY(n)と目標ヨーレイトY0
との偏差Eが減少しており、それは、ファジイ制御から
ヨーレイトフィードバック制御へ移行する前駆現象と認
められるから、不確実なファジイ制御により後輪3、3
の舵角を制御するよりも、実測値に基づくヨーレイトフ
ィードバック制御にただちに切り換えた方が、車両の走
行安定性を高めることができ、また、ファジイ制御か
ら、ヨーレイトフィードバック制御に移行した際に、車
両の走行が不安定になることを防止して、つながりの良
い制御を実現することができるので、制御切換え手段3
3は、ヨーレイトフィードバック制御手段30に、制御
実行信号を出力する。
【0032】他方、ファジイ制御を実行すべきか否かの
判定の結果、その制御タイミングにおける実測ヨーレイ
トY(n)の絶対値が、前回の制御タイミングにおける
実測ヨーレイトY(n−1)の絶対値より減少していな
いという条件およびその制御タイミングにおける前輪
2、2の舵角θf(n)の絶対値が、前回の制御タイミ
ングにおける前輪2、2の舵角θf(n−1)の絶対値
より減少していないという条件の少なくともいずれか一
方が成立した場合には、制御切換え手段33は、ファジ
イ制御手段32に、制御実行信号を出力する。
【0033】ファジイ制御手段32は、制御切換え手段
33から制御実行信号を受けたときは、ヨーレイトセン
サ42から入力されたヨーレイトYの検出信号に基づい
て、ヨーレイトY(n)の変化率ΔY(n)を演算する
とともに、偏差E(n)および変化率ΔE(n)の関数
であるメンバーシップ関数に基づき、次の式にしたが
って、ヨーレイトY(n)の変化率ΔY(n)が減少す
るように、ファジイ制御量Rf(n)を算出し、ファジ
イ制御信号を、モータ24に出力する。
【0034】 Rf(n)=f(E(n)、ΔE(n))・・・・・・・・・ これに対して、偏差E(n)が、所定の偏差E0より大
きくなく、あるいは、変化率ΔE(n)が、所定の変化
率ΔE0より大きくないときは、制御切換え手段33
は、横すべり角算出手段34から入力された横すべり角
の推定値β(n)の絶対値が、所定値β0より大きいか
否かを判定する。
【0035】その判定結果がYESのとき、すなわち、
横すべり角の推定値β(n)の絶対値が、所定値β0よ
り大きいときは、図4における領域S2に相当する走行
状態にあると認められ、横加速度GL(n)が大きい急
な旋回状態であって、大きなタイヤの横すべりが発生し
ており、車両の旋回半径が大きくなって、ヨーレイトY
(n)が低下しているから、後輪3、3の舵角θr
(n)を、ヨーレイトフィードバック制御によって、制
御する場合には、ヨーレイトY(n)の低下を補うため
に、後輪3、3が、前輪2、2の舵角θf(n)に対し
て、逆相方向に転舵され、走行安定性が大幅に低下する
おそれがあり、その一方で、ファジイ制御によらなけれ
ばならないほど、車両の向きが急激に変化しているよう
な不安定な走行状態ではないので、制御切換え手段33
は、横すべり角制御を実行すべき旋回状態であると判定
する。
【0036】しかし、横すべり角制御を実行すべき旋回
状態であっても、ハンドル1が切り返され、やがて、ヨ
ーレイトフィードバック制御に移行する状態にあると判
定されるときは、横すべり角制御をそのまま実行し続け
ると、横すべり角制御からヨーレイトフィードバック制
御に移行する際に、後輪3、3が、前輪2、2と同相の
状態から、急に、逆相状態になって、車両の走行が不安
定になるため、制御切換え手段33は、さらに、横すべ
り角制御を実行すべきか否かを判定する。すなわち、そ
の制御タイミングにおける実測ヨーレイトY(n)の絶
対値が、前回の制御タイミングにおける実測ヨーレイト
Y(n−1)の絶対値より減少しており、かつ、ハンド
ル1の舵角の変化率の符号が変化したか否か、すなわ
ち、その制御タイミングにおける前輪2、2の舵角θf
(n)の絶対値が、前回の制御タイミングにおける前輪
2、2の舵角θf(n−1)の絶対値より減少している
か否かを判定する。すなわち、図5に示されるように、
実測ヨーレイトY(n)が、そのピーク値Ymaxを越
えており、かつ、前輪2、2の舵角θf(n)の絶対値
が、前回の制御タイミングにおける舵角θf(n−1)
の絶対値より減少しているときは、ハンドル1が切り返
され、かつ、実測ヨーレイトY(n)と目標ヨーレイト
Y0との偏差Eが減少しており、それは、横すべり角制
御からヨーレイトフィードバック制御へ移行する前駆現
象と認められるから、必ずしも正確でない横すべり角の
推定値β(n)に基づき、後輪3、3の舵角を、横すべ
り角制御するよりも、実測値に基づくヨーレイトフィー
ドバック制御にただちに切り換えた方が、車両の走行安
定性を高めることができ、また、横すべり角制御から、
ヨーレイトフィードバック制御に移行した際に、車両の
走行が不安定になることを防止して、つながりの良い制
御を実現することができるので、制御切換え手段33
は、横すべり角制御を実行すべき旋回状態と判定したに
もかかわらず、ヨーレイトフィードバック制御手段30
に、制御実行信号を出力する。
【0037】他方、横すべり角制御を実行すべきか否か
の判定の結果、その制御タイミングにおける実測ヨーレ
イトY(n)の絶対値が、前回の制御タイミングにおけ
る実測ヨーレイトY(n−1)の絶対値より減少してい
ないという条件およびその制御タイミングにおける前輪
2、2の舵角θf(n)の絶対値が、前回の制御タイミ
ングにおける前輪2、2の舵角θf(n−1)の絶対値
より減少していないという条件の少なくともいずれか一
方が成立した場合には、制御切換え手段33は、横すべ
り角制御手段31に、制御実行信号を出力して、横すべ
り角制御手段31に、横すべり角制御を実行させる。
【0038】横すべり角制御手段31は、制御切換え手
段33から、制御実行信号を受けたときは、次の式に
したがって、横すべり角制御量Rβ(n)を算出して、
モータ24に出力する。 Rβ(n)=k×β(n)・・・・・・・・・・・・・・・・ ここに、kは制御定数であり、正の値を有しており、し
たがって、横すべり角制御量Rβ(n)は、横すべり角
β(n)が大きいほど、大きな値となり、横すべり角β
(n)が大きいほど、後輪3、3は、前輪2、2と同相
方向に、同相量が増大するように転舵されることになる
ので、車両の旋回半径が大きく、ヨーレイトY(n)が
低下している走行状態で、後輪3、3が、前輪2、2の
舵角θf(n)に対して、逆相方向に転舵され、走行安
定性が大幅に低下することが確実に防止される。
【0039】これに対して、横すべり角の推定値β
(n)の絶対値が、所定値β0以下のときは、図4にお
けるコーナーリング・フォースC.F.と横すべり角と
がほぼ比例関係にある領域S1に相当する走行状態にあ
ると認められ、安定した走行状態にあると判定できるの
で、制御切換え手段33は、ヨーレイトフィードバック
制御手段30に、制御実行信号を出力する。
【0040】ヨーレイトフィードバック制御手段30
は、制御切換え手段33から、制御実行信号を受けたと
きは、ヨーレイトフィードバック制御信号を、モータ2
4に出力して、式により算出されたヨーレイトフィー
ドバック制御量Rb(n)にしたがって、モータ24を
回転させ、後輪3、3を転舵させる。以上の制御は、所
定時間間隔で実行され、後輪3、3が操舵される。
【0041】本実施例によれば、車両の走行状態が安定
している領域S1では、ヨーレイトフィードバック制御
により、実測ヨーレイトY(n)が、ハンドル1の操舵
角に基づいて決定された目標ヨーレイトY0(n)にな
るように、後輪3、3が転舵されるので、所望のよう
に、後輪3、3を操舵することが可能になり、他方、横
すべり角の推定値β(n)の絶対値が、所定値β0より
大きく、横加速度GLが大きい急な旋回状態で、車両の
旋回半径が大きく、ヨーレイトY(n)が低下している
走行状態領域S2では、横すべり角の推定値β(n)が
大きいほど、後輪3、3が、前輪2、2と同相方向に、
同相量が増大するように、横すべり角制御がなされるか
ら、ヨーレイトフィードバック制御に基づき、後輪3、
3を転舵させることにより、後輪3、3の舵角θr
(n)が、前輪2、2の舵角θf(n)に対し、逆相方
向になり、走行安定性が低下することが防止されて、走
行安定性を向上させることができ、さらには、車両が、
目標ヨーレイトY0(n)と実測ヨーレイトY(n)と
の偏差E(n)および偏差E(n)の変化率ΔE(n)
が、所定値E0およびΔE0より大きく、車両が急激に
向きを変えていると認められるきわめて急な旋回状態
で、スピンが生じている可能性の大きいきわめて不安定
な走行状態領域S3では、ヨーレイトY(n)の変化率
ΔY(n)が低下するように、後輪3、3の舵角θrを
ファジイ制御しているため、きわめて大型のコンピュー
タを用いることなく、かかるきわめて急な旋回状態であ
って、きわめて不安定な走行状態においても、走行安定
性を向上させることが可能になる。さらに、ファジイ制
御あるいは横すべり角制御を実行すべき旋回状態である
と判定した場合でも、その制御タイミングにおける実測
ヨーレイトY(n)の絶対値が、前回の制御タイミング
における実測ヨーレイトY(n−1)の絶対値より減少
しており、かつ、その制御タイミングにおける前輪2、
2の舵角θf(n)の絶対値が、前回の制御タイミング
における前輪2、2の舵角θf(n−1)の絶対値より
減少している場合には、制御切換え手段33は、ハンド
ル1が切り返され、かつ、実測ヨーレイトY(n)と目
標ヨーレイトY0との偏差Eが減少しているので、ファ
ジイ制御あるいは横すべり角制御からヨーレイトフィー
ドバック制御へ移行する前駆現象であると判定して、実
測値に基づくヨーレイトフィードバック制御にただちに
切り換えているので、車両の走行安定性を高めることが
でき、また、ファジイ制御または横すべり角制御から、
ヨーレイトフィードバック制御に移行した際に、車両の
走行が不安定になることを防止して、つながりの良い制
御を実現することが可能になる。
【0042】本発明は、以上の実施例に限定されること
なく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種
々の変更が可能であり、それらも、本発明の範囲内に包
含されるものであることは言うまでもない。たとえば、
前記実施例においては、制御切換え手段33が、ファジ
イ制御あるいは横すべり角制御を実行すべき旋回状態で
あると判定した場合でも、その制御タイミングにおける
実測ヨーレイトY(n)の絶対値が、前回の制御タイミ
ングにおける実測ヨーレイトY(n−1)の絶対値より
減少しており、かつ、その制御タイミングにおける前輪
2、2の舵角θf(n)の絶対値が、前回の制御タイミ
ングにおける前輪2、2の舵角θf(n−1)の絶対値
より減少している場合には、ファジイ制御あるいは横す
べり角制御からヨーレイトフィードバック制御へ移行す
る前駆現象であると判定して、ヨーレイトフィードバッ
ク制御にただちに切り換えているが、その制御タイミン
グにおける実測ヨーレイトY(n)の絶対値が、前回の
制御タイミングにおける実測ヨーレイトY(n−1)の
絶対値より減少している場合に、ファジイ制御あるいは
横すべり角制御からヨーレイトフィードバック制御へ移
行する前駆現象であると判定して、ヨーレイトフィード
バック制御にただちに切り換えるようにしても、また、
その制御タイミングにおける目標ヨーレイトY0と実測
ヨーレイトY(n)との偏差E(n)が、前回の制御タ
イミングにおける偏差E(n−1)より増大している場
合、すなわち、実測ヨーレイトY(n)と目標ヨーレイ
トY0との偏差−E(n)が、前回の制御タイミングに
おける偏差−E(n−1)より減少している場合に、フ
ァジイ制御あるいは横すべり角制御からヨーレイトフィ
ードバック制御へ移行する前駆現象であると判定して、
ヨーレイトフィードバック制御にただちに切り換えるよ
うにしてもよい。
【0043】また、前記実施例においては、横すべり角
の推定値βの絶対値が、所定値β0より大きくなると、
ヨーレイトフィードバック制御から、横すべり角制御に
移行しているが、横すべり角の推定値βの絶対値が、所
定値β0より大きい走行状態では、後輪3、3の舵角θ
rと前輪2、2の舵角θfとの比を固定するようにして
もよく、あるいは、それまでのヨーレイトフィードバッ
ク制御に代えて、制御ゲインを小さくして、新たなヨー
レイトフィードバック制御をするようにしてもよい。
【0044】さらに、前記実施例においては、β0は一
定値としたが、β0を、車速V、横加速度GLなどによ
り、変化させてもよい。図6は、β0を、車速Vおよび
横加速度GLに基づいて、設定するフローチャートを示
している。図6においては、β0は、横すべり角算出手
段34により、しきい値βt、車速Vの関数である係数
jvおよび横加速度GLの関数である係数jgに基づ
き、次の式にしたがって、定められるようになってい
る。
【0045】 β0=jv×jg×βt・・・・・・・・・・・・・・・・ すなわち、まず、車速Vの値によって、係数jvが決定
される。ここに、係数jvは、車速Vが大きくなると、
1.0に収束するように設定されている。これは、ドラ
イバーは、高速になるほど、不安感を抱きやすいため、
横すべり角の推定値βが小さい値でも、横すべり角制御
に移行し得るようにするためである。次いで、係数jg
が、横加速度GLの値によって決定される。図6におい
ては、係数jgは、横加速度GLが大きくなると、1.
0に収束するように設定されている。これは、路面摩擦
係数μが小さい道路を走行中には、横加速度GLが小さ
な値で、横すべり角制御に移行し得るようにするためで
ある。ここに、図6においては、β0を、車速Vおよび
横加速度GLにより、設定しているが、その他の運転パ
ラメータを加えて、β0を設定しても、あるいは、その
他の運転パラメータにより、β0を設定するようにして
もよい。
【0046】また、前記実施例においては、ヨーレイト
センサ42を旋回状態検出手段として用い、ヨーレイト
Yを検出しているが、横加速度センサ43の検出した横
加速度GLに基づき、あるいは、車速センサ40の検出
した車速Vおよび舵角センサ41の検出した前輪2、2
の舵角θfに基づいて、ヨーレイトYを算出するように
してもよく、また、横加速度GLも、横加速度センサ4
3を用いることなく、車速センサ40の検出した車速V
および舵角センサ41の検出した前輪2、2の舵角θf
に基づいて、算出するようにしてもよい。
【0047】さらに、横すべり角の推定値βの演算式
および目標ヨーレイトY0の演算式は、一例を示すも
のにすぎず、横すべり角の推定値βは、カルマンフィル
ター法やオブザーバー法などによっても算出することが
できるし、また、目標ヨーレイトY0も、他の演算式に
より算出するようにしてもよい。さらに、車両の走行状
態を検出するセンサは、その場合の必要に応じて、選択
すればよく、前記実施例において用いた車速センサ4
0、舵角センサ41、ヨーレイトセンサ42および横加
速度センサ43の一部を用いることなく、別のセンサを
用いることもできる。
【0048】また、前記実施例においては、目標ヨーレ
イトY0と実測ヨーレイトYとの偏差Eおよび偏差Eの
変化率ΔEが、ともに、所定値E0およびΔE0より大
きいときに、ファジイ制御による後輪3、3の操舵制御
を実行しているが、いずれか一方が、所定値より大きい
ときに、ファジイ制御による後輪3、3の操舵制御を実
行するようにしてもよく、さらに、前記実施例において
は、ファジイ制御のメンバーシップ関数は、目標ヨーレ
イトY0と実測ヨーレイトYとの偏差Eおよび偏差Eの
変化率ΔEの関数になっているが、目標ヨーレイトY0
と実測ヨーレイトYとに基づいて、ファジイ制御のメン
バーシップ関数が決定されればよく、偏差Eまたは偏差
Eの変化率ΔEの一方の関数であってもよい。また、偏
差Eまたは偏差Eの変化率ΔEに代えて、横加速度GL
が所定値を越えた状態で、ファジイ制御による後輪3、
3の操舵制御を実行するようにしてもよく、さらには、
ファジイ制御のメンバーシップ関数は、横加速度GLお
よび/またはその変化率、あるいは、前輪2、2の舵角
θf、舵角θfの変化速度、舵角θfの変化速度の変化
率に基づき、決定するようにしてもよい。
【0049】さらに、前記実施例においては、図4の領
域S3においては、ファジイ制御によって、後輪3、3
の舵角を制御しているが、タイヤのコーナリング・フォ
ースC.F.と横すべり角との関係は、図4に示される
ように、路面摩擦係数μにより変化するので、路面摩擦
係数μの小さい道路以外を走行する場合などには、領域
S1およびS2が存在するのみで、領域S3は存在せ
ず、したがって、ファジイ制御を実行することは必ずし
も必要でない場合があり得、他方、路面摩擦係数μの小
さい道路を走行する場合には、図4に示されるように、
横すべり角制御を実行すべき領域S2がきわめて小さ
く、時間的に、横すべり角制御がなされることなく、た
だちに、ファジイ制御に移行することがあり得る。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、車両の旋回状態を物理
的に検出する旋回状態検出手段と、該旋回状態検出手段
の検出した検出値に基づく実測ヨーレイトが、目標ヨー
レイトになるように、後輪の舵角をフィードバック制御
するヨーレイトフィードバック制御手段とを備えた車両
の後輪操舵装置において、横加速度が、ゼロないしきわ
めて高い走行状態の間で変化する場合に、いかなる走行
状態においても、走行安定性を向上させることのできる
車両の後輪操舵装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施例に係る車両の
サスペンション装置を含む車両の略平面図である。
【図2】図2は、コントロールユニットおよび車両に設
けられた走行状態検出系のブロックダイアグラムであ
る。
【図3】図3は、コントロールユニットにより実行され
る後輪操舵制御のフローチャートである。
【図4】図4は、タイヤのコーナリング・フォースC.
F.と横すべり角との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、目標ヨーレイト、実測ヨーレイトおよ
び前輪の舵角と時間との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、β0を設定する方法の一例を示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1 ハンドル 2 前輪 3 後輪 10 前輪操舵装置 11 タイロッド11 12 ナックルアーム 13 リレーロッド 14 ステアリングギア機構 20 後輪操舵装置 21 タイロッド 22 ナックルアーム 23 リレーロッド 24 モータ 25 減速機構 26 クラッチ 27 ステアリングギア機構 28 センタリングバネ 29 コントロールユニット 30 ヨーレイトフィードバック制御手段 31 横すべり角制御手段 32 ファジイ制御手段 33 制御切換え手段 34 横すべり角算出手段 40 車速センサ 41 舵角センサ 42 ヨーレイトセンサ 43 横加速度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B62D 137:00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の旋回状態を物理的に検出する旋回
    状態検出手段と、該旋回状態検出手段の検出した検出値
    に基づく実測ヨーレイトが、目標ヨーレイトになるよう
    に、後輪の舵角をフィードバック制御するヨーレイトフ
    ィードバック制御手段とを備えた車両の後輪操舵装置に
    おいて、前記ヨーレイトフィードバック制御手段とは異
    なる制御則に基づき後輪の舵角を制御する第2の制御手
    段と、前記旋回状態検出手段が検出した旋回状態が、所
    定旋回状態より急な旋回状態のときに、前記第2の制御
    手段による後輪舵角の制御に切り換える制御切換え手段
    とを備え、前記制御切換え手段が、前記実測ヨーレイト
    が増大し始めた後、そのピーク値を越えた時点で、前記
    第2の制御手段による後輪舵角の制御から、前記ヨーレ
    イトフィードバック制御手段による後輪舵角の制御へ、
    制御手段を切り換えるように構成されたことを特徴とす
    る車両の後輪操舵装置。
  2. 【請求項2】 さらに、ハンドル舵角を検出する舵角セ
    ンサを備え、前記制御切換え手段が、前記実測ヨーレイ
    トがピーク値を越え、かつ、前記舵角センサにより検出
    されたハンドル舵角の変化率の符号が変化した時点で、
    前記第2の制御手段による後輪舵角の制御から、前記ヨ
    ーレイトフィードバック制御手段による後輪舵角の制御
    へ、制御手段を切り換えるように構成されたことを特徴
    とする請求項1に記載の車両の後輪操舵装置。
  3. 【請求項3】 さらに、車両の横すべり角を推定する横
    すべり角推定手段を備え、前記第2の制御手段が、前記
    横すべり角推定手段によって推定された横すべり角の増
    大にともない、前記後輪の舵角を同相方向に制御する横
    すべり角制御手段により構成されたことを特徴とする請
    求項1または2に記載の車両の後輪操舵装置。
  4. 【請求項4】 前記第2の制御手段が、前記実測ヨーレ
    イトの変化率が低下するように、後輪の舵角をファジイ
    制御するファジイ制御手段により構成されたことを特徴
    とする請求項1または2に記載の車両の後輪操舵装置。
  5. 【請求項5】 前記ファジイ制御手段が、前記目標ヨー
    レイトと実測ヨーレイトとの偏差に基づき、前記実測ヨ
    ーレイトの変化率が低下するように、後輪の舵角をファ
    ジイ制御するように構成されたことを特徴とする請求項
    4に記載の車両の後輪操舵装置。
  6. 【請求項6】 前記ファジイ制御手段が、前記目標ヨー
    レイトと実測ヨーレイトとの偏差の変化率に基づき、前
    記実測ヨーレイトの変化率が低下するように、後輪の舵
    角をファジイ制御するように構成されたことを特徴とす
    る請求項4に記載の車両の後輪操舵装置。
  7. 【請求項7】 前記実測ヨーレイトと前記目標ヨーレイ
    トとの偏差が減少を開始した時点で、前記制御切換え手
    段が、前記第2の制御手段による後輪舵角の制御から、
    前記ヨーレイトフィードバック制御手段による後輪舵角
    の制御へ、制御手段を切り換えるように構成されたこと
    を特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の
    車両の後輪操舵装置。
  8. 【請求項8】 さらに、車両の横すべり角を推定する横
    すべり角推定手段を備え、前記第2の制御手段が、前記
    横すべり角推定手段によって推定された横すべり角の増
    大にともない、前記後輪の舵角を同相方向に制御する横
    すべり角制御手段と、前記実測ヨーレイトの変化率が低
    下するように、後輪の舵角をファジイ制御するファジイ
    制御手段とにより構成され、前記制御切換え手段が、前
    記旋回状態検出手段により検出された旋回状態が、第1
    の所定旋回状態を越えた急な第1の旋回状態において
    は、前記横すべり角制御手段により、後輪舵角の制御が
    実行され、第2の所定旋回状態を越えたさらに急な第2
    の旋回状態においては、前記ファジイ制御手段により、
    後輪舵角の制御が実行されるように、制御手段を切換え
    るように構成されたことを特徴とする請求項1または2
    に記載の車両の後輪操舵装置。
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