JP2002182647A - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JP2002182647A
JP2002182647A JP2001374199A JP2001374199A JP2002182647A JP 2002182647 A JP2002182647 A JP 2002182647A JP 2001374199 A JP2001374199 A JP 2001374199A JP 2001374199 A JP2001374199 A JP 2001374199A JP 2002182647 A JP2002182647 A JP 2002182647A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な操作によりメロディや伴奏等の演奏を
することができる電子楽器を提供する。 【解決手段】 パッドP、フレットスイッチFSを備
え、フレットスイッチFSを押さえながらパッドPを叩
くことにより、楽音を発生させる。メロディ1モードは
パッドを操作する毎にノートイベントを1つ読み出し、
前の音が消音されると共に、次の音が発音され、レガー
ト気味の演奏が簡単にできる。必要に応じて、ミュート
スイッチMSを操作することにより、スタッカート気味
の演奏をすることもできる。メロディ2モード、ベース
モード、コード1モード、2モードはパッドを操作する
毎に、その時点でメモリから読み出されているノートイ
ベントを発音させる。また、アドリブモードは、各フレ
ットスイッチFSに異なる音高を割り当てておき、いず
れかのフレットスイッチFSを押しながらパッドPを操
作することにより、該フレットスイッチFSに割り当て
られている音高の楽音が発音される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は簡単な操作により
メロディや伴奏等の演奏をすることができる電子楽器に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子楽器には、鍵盤楽器型、打楽器型、
弦楽器型、管楽器型等、様々な形態がある。それぞれの
電子楽器は自然楽器の形態を模倣したものであり、これ
らの電子楽器を用いて演奏する際には、各楽器の演奏方
法を修得する必要がある。このため、初心者にとって電
子楽器を演奏する事は、自然楽器を演奏するのと同様
に、困難である。
【0003】一方、電子楽器による演奏を容易にする目
的で、予めメロディ等の音高データのシーケンスを記憶
し、スイッチ操作毎に音高データを1つ読み出すことに
より、メロディ等を演奏することができるようにした、
いわゆるワンキープレイが提案されている。例えば、特
開平6−274160号公報においては、電子楽器のキ
ーボード等からのトリガー信号に応じて、1音の発音が
なされるような構成が示されている。詳しくは、楽曲の
進行に従って予めメモリに記憶された音高データを順次
読み出し、トリガー信号の発生に応じて、その時点で読
み出されている音高データに対応した楽音の発生を開始
させ、該音高データのキーオフタイミングにおいて消音
させるようになっている。また、特開昭54−1592
13号公報においては、スイッチを操作する毎に、予め
メモリに記憶された音高情報を読み出して発音させ、ス
イッチを押している長さだけ発音を持続させるような技
術が示されている。
【0004】前者においては、発音継続期間が音高デー
タのキーオフタイミングによって終了してしまうため、
操作者が発音継続期間を任意に制御することが出来ない
という不都合があった。また、後者においては、発音継
続期間はスイッチの操作期間に対応しているので任意に
制御できるが、次の音に移るときに一旦スイッチを離
し、その後押し直す必要があるため、必ず発音がとぎれ
てしまい、テヌート気味の演奏をすることが難しいとい
う不都合があった。またこれらの電子楽器においては、
予め決められたとおりの音高シーケンスに従う演奏しか
出来ないため、アドリブ演奏が出来ないという不都合が
あった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】また、これらの電子楽
器においては、一旦、本来の演奏位置からずれてしまう
と、元の位置に復帰することが非常に困難であった。な
ぜならば、操作者による演奏が本来の位置に比べて進み
すぎた場合、操作者は操作を一時停止し、本来の位置が
くるまで待つことになるが、待っている間に自分が既に
演奏し終わった部分がどこであるのか、どのタイミング
から自分の操作を再開させればよいのかがわからなくな
り、操作者による演奏が本来の位置に比べて遅れすぎた
場合、すばやくスイッチを操作することによって本来の
タイミングに復帰しようとするわけだが、自分の演奏位
置を進める際に演奏のリズムが本来のリズムとは異なっ
てしまい、そのために、自分が演奏している部分がわか
らなくなってしまうことがある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記不都合を解決するた
めに、本発明は、第1の操作子と、第2の操作子と、第
1及び第2の演奏データを記憶した記憶手段と、第1の
操作子の操作に応じて、前記記憶手段から第1の演奏デ
ータを読み出して音源回路に対して該第1の演奏データ
に基づく発音を指示する第1の読み出し手段であって、
第1の操作子の操作毎に演奏位置を更新するものと、演
奏の進行に従って、前記記憶手段から第2の演奏データ
を順次読み出して音源回路に対して該第2の演奏データ
に基づく発音を指示する第2の読み出し手段と、第1の
読み出し手段により読み出された第1の演奏データによ
る発音と、第2の読み出し手段により読み出された第2
の演奏データによる発音のいずれか一方を選択的に有効
とする切り替え手段であって、第1の読み出し手段によ
る発音が有効となっている状態で、第2の操作子の操作
があったとき、第1の読み出し手段による発音に代え
て、第2の読み出し手段による発音を有効とするもの
と、を備えたことを特徴とする。上記構成によれば、第
1の操作子の操作に基づく演奏位置がわからなくなった
場合、第2の操作子を操作することにより、操作者の演
奏に代えて自動演奏が実行されるようになる。これによ
り、操作者の演奏位置が本来の演奏位置とずれてしまっ
た場合に、容易に本来の演奏位置を確認することが出来
る。また、前記切り替え手段は、第2の読み出し手段に
よる発音が有効となっている状態で、第1の操作子の操
作があったとき、第2の読み出し手段による発音に代え
て、第1の読み出し手段による発音を有効とすることが
好ましい。このようにすることにより、自動演奏から、
容易に操作者による演奏に復帰することが出来る。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は本発明の電子楽器の外観を
示す図である。この電子楽器は、楽器本体Iとディスプ
レイDとが別体となっており、ケーブルCにより接続さ
れている。楽器本体Iはギターに類似した形状を有して
おり、ボディBとネックNとからなる。ボディBにはパ
ッドP、ミュートスイッチMS、ホイールW、パネルス
イッチPSが設けられているとともに、メモリカートリ
ッジMCが着脱可能に装着されている。
【0008】パッドPには打撃センサ(圧電センサ等)
が設けられており、演奏者の指等による打撃の有無、及
び打撃強度を検出可能になっている。打撃に応じて、楽
音が発生される。また、このパッドPはその円周方向に
回転可能に構成されており、演奏者による回転操作を検
出する回転センサ(ロータリーボリューム等)が設けら
れている。回転操作により、発生される楽音の音高等を
変化させることが出来る。回転操作されたパッドPは、
演奏者による回転操作から開放されると、基準位置に復
帰するように構成されている。さらに、このパッドPは
内部に圧力センサが組み込まれており、演奏者による押
圧操作を検出可能である。押圧操作により、発生される
楽音の音量や音色、効果等を変化させることが出来る。
【0009】ミュートスイッチMSはパッドPの操作に
より発音された楽音を消音させるのに用いる。すなわ
ち、パッドPの操作によって発音された楽音は、ミュー
トスイッチMSが押されるまで持続する。ミュートスイ
ッチMSには押圧速度検出センサが設けられており、検
出された押圧速度によって消音の仕方、例えば消音する
際のリリース時間の制御等を変更制御する。なお、ミュ
ートスイッチMSを押す前に再度パッドPを操作したと
きは、それまで発音されていた音は消音され、それに引
き続いて新たな音が発音される。
【0010】このミュートスイッチMSには発音してい
る楽音を消音させる機能の他に、新たに発音する楽音の
音色を変更/制御する機能も有している。すなわち、ミ
ュートスイッチMSを押しながらパッドPを操作したと
きと、ミュートスイッチMSを押さずにパッドPを操作
したときとで、異なる音色で発音するようにする。例え
ば、ミュートスイッチMSを押さずにパッドPを操作し
たときは通常のギターの音色、ミュートスイッチMSを
押しながらパッドPを操作したときはミュートギターの
音色で発音するようにする。或いは、ミュートスイッチ
MSに押圧力を検出する押圧力センサを設け、ミュート
スイッチMSを押しながらパッドPを操作したとき、検
出されたミュートスイッチMSの押圧力に応じて音源回
路のフィルタパラメータを制御するようにする。このよ
うにミュートスイッチMSの操作の有無により発生され
る楽音の音色が変化するようにすると、ギターの弦を手
のひらで押さえながらピッキングしたときと、そうでな
い時とで音色が変化するのと同様の効果を得ることがで
き、簡単な操作で表現力の高い演奏が可能となる。な
お、音色はギターに限らないことはいうまでもない。
【0011】ホイールWは演奏者によって回転操作可能
に構成されており、回転操作を検出する回転センサ(ロ
ータリーボリューム等)を備えている。演奏者はこのホ
イールWを回転操作することにより、音量や音色、効果
等を変化させることが出来る。メモリカートリッジMC
はROMカートリッジ、或いはRAMカートリッジで構
成されており、複数の曲データが記憶されている。各曲
データは、メロディパート、ベースパート、コードパー
ト、リズムパート等、複数の演奏パートから構成されて
いる。本電子楽器は、これら複数の演奏パートのうち、
1つのパートの演奏をパッドPの操作により行い、その
他のパートの演奏を記憶されている曲データに従って自
動演奏する。また、ボディBには、図示しないスピー
カ、MIDI端子等も設けられている。
【0012】ネックNには多数(この実施の形態におい
ては20個)のフレットスイッチFSが1列に設けられ
ている。押されたフレットスイッチFSの位置に応じ
て、パッドPの打撃により発生される楽音の音高が制御
される。また、このフレットスイッチFSの下部には圧
力センサが設けられており、フレットスイッチFSを押
したときの押圧力を検出できるようになっている。フレ
ットスイッチFSの押圧力により、発生される楽音の音
量や音色、効果等を変化させることが出来る。ディスプ
レイDはCRT表示器等からなり、演奏位置等を表示す
る。なお、ディスプレイDは楽器本体Iに内蔵されても
よい。
【0013】図2はパネルスイッチPSの詳細を示す図
である。PS1及びPS2は曲選択スイッチであり、メ
モリカートリッジMCに記憶された複数の曲データのう
ち、いずれかを選択するためのスイッチである。PS1
で曲番号を+方向に、PS2で−方向に選択する。選択
された曲番号は、ディスプレイDに表示される。PS3
はスタート/ストップスイッチであり、選択された曲デ
ータの演奏をスタート或いはストップさせる。
【0014】PS4からPS7は制御パート選択スイッ
チであり、PS4はメロディパートを、PS5はベース
パートを、PS6はコードパート1を、PS7はコード
パート2をそれぞれ選択する。なお、ベースパート、コ
ードパート1、コードパート2は、バッキングパートと
してメロディパートと大別される。パッドPの操作によ
り、制御パート選択スイッチによって選択されたパート
の演奏が行われる。
【0015】PS8、PS9は制御対象パートとしてメ
ロディパートが選択されているときのメロディパート演
奏モードを選択するためのスイッチである。PS8はメ
モリカートリッジMCに記憶されている曲データ中のメ
ロディパートのシーケンスデータに基づいて演奏をする
シーケンスモードのスイッチであり、PS9は曲データ
中のメロディパートのシーケンスとは異なるアドリブ演
奏をするアドリブモードのスイッチである。
【0016】PS8はシーケンスモードのうちのメロデ
ィモード1とメロディモード2を選択的に、交互に設定
する。メロディモード1はパッドPを操作する毎にメロ
ディパートのシーケンスを1つ進めてメロディパートの
音を発音させるモードである。すなわち、メロディ以外
のパートに対して、パッドPの操作を遅らせれば、メロ
ディパートの進行は遅れ、逆に、パッド操作を進ませれ
ば、メロディパートの進行は進む。メロディ音が抜ける
可能性はないが、一旦メロディパートの進行位置とメロ
ディ以外のパートの進行位置がずれると、メロディパー
トの進行位置を他のパートの進行位置に復帰させること
は難しい。
【0017】一方、メロディモード2はパッドPの操作
とは無関係に、メロディ以外のパートの進行に合わせて
メロディパートのシーケンスを進め、パッドPの操作が
あったとき、その時点におけるメロディパートの音を発
音させるモードである。すなわち、パッドPの操作とは
無関係にメロディパートも進行するため、パッドの操作
がなければ、メロディパートの音は発音されないまま進
んでいく。メロディ音が抜ける可能性はあるが、メロデ
ィパートの進行位置とメロディ以外のパートの進行位置
は常に一致している。メロディモード1よりも初心者に
適した演奏モードである。
【0018】PS9はアドリブモードのうちのマニュア
ルアドリブモードと自動アドリブモードを選択的に、交
互に設定するスイッチである。マニュアルアドリブモー
ドは複数のフレットスイッチFSのそれぞれに、選択さ
れている曲データの調にあった音階の音を割り当ててお
き、フレットスイッチFSの操作によって音高を指定し
ながらパッドPを操作することで、メロディパートのア
ドリブ演奏を行うモードである。フレットスイッチFS
に割り当てる音階は後述する音階選択スイッチPS10
からPS14によって選択可能である。フレットスイッ
チFSに割り当てる音階は曲データの調にあった音階で
あるので、フレットスイッチFSを適当に押してパッド
Pを操作するだけで、曲の調にあったアドリブ演奏を容
易に行うことが出来る。
【0019】一方、自動アドリブモードは複数のフレッ
トスイッチFSのそれぞれに所定のアドリブフレーズを
割り当てておき、いずれかのフレットスイッチを操作し
ながらパッドPを操作することで、所定のアドリブフレ
ーズに沿ったアドリブ演奏を行うモードである。アドリ
ブフレーズは曲の調にあったものがフレットスイッチF
Sに割り当てらる。従って、フレットスイッチFSを適
当に押してパッドPを操作するだけで、曲の調にあった
アドリブ演奏を容易に行うことが出来る。しかも、前述
のマニュアルアドリブモードは同じフレットスイッチF
Sを押したままだと同じ音高の音が発生されるため、ア
ドリブらしい演奏をするには通常のギター演奏と同様に
フレットスイッチFSをすばやく押し替えなければなら
ないが、自動アドリブモードは同じフレットスイッチF
Sを押したままであっても次々と異なる音高の音が発生
される。従って、マニュアルアドリブモードよりも初心
者に適した演奏モードである。
【0020】PS10からPS14は音階選択スイッチ
である。これらのスイッチの操作により、フレットスイ
ッチFSに割り当てる音階のタイプを選択する。PS1
0はダイアトニックスケール選択スイッチであって、曲
データの調にあったダイアトニックスケール(7音音
階)がフレットスイッチFSに割り当てられる。曲デー
タの調はこの実施の形態においては曲のシーケンスデー
タをもとに検出するようにしているが、演奏者が所定の
調を指定したり、予め曲データ中に調を指定するデータ
が埋め込まれているようなものであってもよい。
【0021】PS11はペンタトニックスケール1選択
スイッチであって、曲データの調にあった第1のペンタ
トニックスケール(5音音階)がフレットスイッチFS
に割り当てられる。PS12はペンタトニックスケール
2選択スイッチであって、曲データの調にあった第2の
ペンタトニックスケールがフレットスイッチFSに割り
当てられる。第1のペンタトニックスケールと第2のペ
ンタトニックスケールは同じ調であっても異なる5音が
選ばれており、スケールを切り換えることで同じ5音音
階でも異なる雰囲気の演奏となる。例えば第1ペンタト
ニックスケールとしてダイアトニックスケールから「ヨ
ナヌキ」と呼ばれる第4音と第7音を取り去ったスケー
ルを、第2ペンタトニックスケールとして、ブルーノー
トを伴ったブルーススケールを割り当てることが出来
る。もちろん、他のスケールであってもよい。
【0022】PS13はコード構成音選択スイッチであ
って、曲データ中のコード構成音がフレットスイッチF
Sに割り当てられる。曲の進行に従ってコードが変化す
るので、そのコード変化に伴い、フレットスイッチFS
に割り当てられるコード構成音も変化する。すなわち、
コードが変化する時点でフレットスイッチFSに割り当
てるコード構成音が更新される。曲データのコードは、
この実施の形態においては曲のシーケンスデータを元に
検出するようにしているが、演奏者が所定のコード進行
を指定したり、予め曲データ中にコード進行を指定する
データが埋め込まれているようなものであってもよい。
上述したダイアトニックスケール、ペンタトニックスケ
ール1、2では、曲の調にはあっていてもその時点のコ
ードとは合わない音が発音される可能性があるが、コー
ド構成音をフレットスイッチFS割り当てたときは、そ
の時点のコードとは合わない音が発音されることはな
い。そのかわり音高種類が少ないため、単調なアドリブ
演奏になる恐れがある。
【0023】PS14はメロディ構成音選択スイッチで
あって、曲データ中のメロディパートに現れる音名がフ
レットスイッチFSに割り当てられる。曲データを複数
のフレーズに区分し、各区分毎に、その区分内において
出現する音高をフレットスイッチFSに割り当てる。こ
の実施の形態においては、曲データを複数のフレーズに
区分する際、曲データ中に含まれている歌詞データの改
行コード(フレーズ区切り位置に含まれている)を頼り
に区分しているが、演奏者がフレーズの区切り位置を任
意に指定したり、曲データのコード進行やメロディ進行
を解析して、フレーズの区切り位置を検出するようにし
てもよい。メロディ構成音をフレットスイッチFSに割
り当てたときは、上述したコード構成音と同様にその時
点でのコードと合わない音が発音されることは無いが、
単調なアドリブ演奏になる恐れがある。なお、メロディ
構成音の場合、コード構成音と比べて、よりメロディに
近いアドリブ演奏を行うことが出来る。
【0024】PS15はパニックスイッチであり、メロ
ディシーケンスのメロディモード1の演奏の際、演奏者
のパッドP操作が他のパートに対して遅すぎる、或いは
早すぎるため、メロディの進行位置が本来の進行位置と
大幅にずれてしまったとき、本来の位置に修正するため
のスイッチである。このスイッチを押すことによりメロ
ディシーケンスモードは解除され、メロディパートは本
来の進行位置に復帰し、他のパートと同様の自動演奏に
切り替わる。その後、再びパッドPの操作があると、メ
ロディシーケンスモードに切り替わる。このスイッチの
機能は、曲のメロディをよく知らず、演奏をしている内
にどこを演奏しているのかわからなくなってしまった場
合、すなわちパニック状態に陥ったときに有効な機能で
ある。
【0025】図3はハード構成の概略ブロックを示す図
である。CPU(中央処理装置)1は電子楽器全体の動
作を制御するものであり、ROM(リード・オンリィ・
メモリ)3に記憶された制御プログラムにしたがって処
理を実行する。また、CPU1と各部とはバス2を介し
て接続されており、各種データの送受が行われる。RA
M(ランダム・アクセス・メモリ)4はCPU1による
処理時において発生する各種データを一時的に記憶する
レジスタ、フラグ等の領域が設けられているとともに、
メロディ演奏やバッキング演奏をする際に用いる制御対
象パートデータやメロディパートデータ(詳しくは後
述)を記憶する領域も設けられている。タイマ5はCP
U1に対して割り込み信号を供給するもので、所定周期
の割り込み信号を発生する。メモリカートリッジMCに
記憶されたシーケンスデータやRAM4に記憶された制
御対象パートデータは、CPU1が実行する所定周期毎
の割込処理によって読み出される。
【0026】6はMIDI(ミュージカル・インストゥ
ルメント・ディジタル・インターフェース)インターフ
ェース(I/F)であり、外部装置とデータの送受を行
う。例えば、外部の音源モジュールへと演奏イベントを
出力することにより、より高音質な音で演奏をすること
ができる。7はパッドPの操作を検出するためのパッド
検出回路であり、パッドPの操作の有無、及び操作され
たときの打撃強度を検出する。8はスイッチ類検出回路
であり、パネルスイッチPS、フレットスイッチFS、
ミュートスイッチMSのオン/オフ操作、ホイールWの
回転操作、パッドPの回転操作および押圧操作、ミュー
トスイッチの押圧操作、フレットスイッチの押圧操作等
を検出する。CPU1は供給された操作情報に従って各
種機能を実行する。
【0027】音源回路9は供給された演奏イベントデー
タにもとづいて楽音波形信号を形成する。この実施の形
態においては音源回路の方式として、波形メモリ読み出
し+フィルタ方式で音源回路を構成する。なお、周知の
FM(周波数変調)方式や物理モデルシミュレーション
方式、高調波合成方式、フォルマント合成方式、発振器
とフィルタを組み合わせたアナログシンセサイザ方式等
を用いてもよい。音源回路9において形成された楽音波
形信号は、サウンドシステム10において音響として放
音される。なお、専用のハードを用いて音源回路を構成
するものに限らず、DSP(デジタルシグナルプロセッ
サ)+マイクロプログラムを用いて音源回路を構成する
ようにしてもよいし、CPU+ソフトウェアのプログラ
ムで音源回路を構成するようにしてもよい。また、1つ
の回路を時分割で使用することによって複数の発音チャ
ンネルを形成するようなものでもよいし、1つの発音チ
ャンネルが1つの回路で構成されるような形式のもので
あってもよい。Dは前述のディスプレイである。
【0028】図4はシーケンスモードにおけるメロディ
モード1の演奏例を示す図である。(A)はシーケンス
データ中に記憶されている本来のメロディデータを表
し、(B)はその下に示す上向き矢印のタイミングにお
いて演奏者がパッドPを操作することにより発音される
音を表す。横方向に延びる太い実線が発音期間を示す。
この例においては、演奏者によるパッドPの操作が本来
のメロディの演奏タイミングに対して若干遅れている。
なお、図中「ミュート」と示した時点でミュートスイッ
チMSを操作している。この時点で発音中の音は消音さ
れるので、スタッカート気味の演奏が出来る。これ以外
の部分はバッドPの操作によってそれまで発音されてい
た音が消音されると共に、それに引き続いて新たな音の
発音が開始されるので、レガートでの演奏になる。
【0029】図5はシーケンスモードにおけるメロディ
モード2の演奏例を示す図である。(A)は図4と同様
にシーケンスデータ中に記憶されている本来のメロディ
データを表し、(B)は図4と同じタイミングで演奏者
がパッドPを操作したときに発音される音を表す。この
例においては、演奏者によるパッドPの操作が本来のメ
ロディの演奏タイミングに対して若干遅れており、特
に、Lで示す音については、その本来の発音期間内にお
いてパッドPの操作が無かったため、発音されない。ま
た、図中「ミュート」と示した時点でミュートスイッチ
MSを操作し、この時点で発音中の音が消音されるのは
図4の場合と同様である。
【0030】次に、図6を用いて音階割り当てテーブル
について説明する。音階割り当てテーブルはアドリブ演
奏の時にフレットスイッチFSに割り当てられる複数種
類の音階を記憶したテーブルであり、RAM4に記憶さ
れる。ここでは開放位置および1〜20の20個のフレ
ットスイッチの合計21のポジションの各々に割り当て
る音高の例が示されている。「ダイアトニック」、「ペ
ンタトニック1」、「ペンタトニック2」については演
奏曲の調により音階が決定され、「コード構成音」につ
いては演奏曲中で出現するコードに基づいて音階が決定
され、「メロディ構成音」については演奏曲中で出現す
るメロディ音に基づいて音階が決定され、決定された音
階音が音階割り当てテーブルに記憶される。
【0031】「ダイアトニック」、「ペンタトニック
1」、「ペンタトニック2」は1つの曲の中で変更され
ない。すなわち、演奏曲の開始から終了までテーブル内
容は変化しない。なお、曲によっては転調する曲もある
ため、曲の途中でテーブル内容が変化するようにしても
よいことはいうまでもない。一方、「コード構成音」と
「メロディ構成音」は演奏曲の進行に従って逐次記憶内
容が変化する。なぜならば、演奏曲の中の場所によって
出現するコードやメロディ音が変化するからである。
「コード構成音」は、例えばコード進行が変化する場所
において毎回テーブル内容を更新し、「メロディ構成
音」は所定のフレーズの区切り毎にテーブル内容を更新
するようにすればよい。なお、所定のフレーズは後述す
る歌詞の区切り位置に基づいて決定するが、メロディパ
ートやその他の演奏パートの構造を解析してフレーズ区
切り位置を決定するようにしてもよい。なお、この音階
割り当てテーブルの例はほんの一例に過ぎないことはい
うまでもない。
【0032】次に、図7、図8、図9を用いて演奏曲の
データ構造について説明する。図7は演奏曲の元データ
を示すシーケンスデータを表している。このシーケンス
データはメモリカートリッジMCに記憶されるものであ
る。シーケンスデータはタイミングデータとイベントデ
ータが演奏の進行順に記憶されているものである。タイ
ミングデータは1つ前のイベントデータとその次のイベ
ントデータの間の発生時間間隔を示すデータであり、所
定の音符長(例えば384分音符)を単位としたクロッ
ク数という値で表現されている。複数のイベントデータ
が同時に発生する場合には、タイミングデータとしては
「0」が記憶される。
【0033】イベントデータはノートイベント、歌詞に
関連する歌詞イベント、コントロールチェンジイベント
からなる。ノートイベントは演奏曲の音符に対応するノ
ートオン或いはノートオフを示すデータ、音高データ、
ベロシティデータからなる。コントロールチェンジデー
タは曲を演奏する上で必要な種々のデータであり、例え
ば音量、ピッチベンド、音色切り替えなどのデータが含
まれている。各々のノートイベント、コントロールチェ
ンジイベントには1〜16のチャンネルのいずれに属す
るかを示すチャンネルデータが付されており、このチャ
ンネルデータによって各イベントがどのチャンネルに属
するのかを識別するようになっている。なお、各チャン
ネルは演奏パートに対応したものであり、チャンネルデ
ータと共に各イベントを記憶することによって、複数パ
ートのイベントデータを混在させて記憶することができ
る。また、これらのデータの最後にはエンドデータが記
憶されている(図示せず)。このシーケンスデータの読
み出しは、第1の読み出しポインタによって行われる
(詳しくは後述)。
【0034】図8は前述の複数パート分の演奏データお
よび歌詞イベントからなるシーケンスデータのうち、パ
ッド操作によって読み出される複数種類の制御対象パー
ト(メロディパート、ベースパート、コード1パート、
コード2パート)のデータのみを抜き出したものであ
る。制御対象パートデータはRAM4に記憶される。こ
の制御対象パートデータは、メロディパート演奏のうち
のメロディモード2、ベースパート演奏、コード1パー
トの演奏、コード2パートの演奏に用いられる。制御対
象パートデータは、詳しくは後述するが、前述のシーケ
ンスデータ中に含まれる各パートの演奏データを、制御
に適した形態に多少加工したものが記憶される。なお、
記憶の形式は前述のシーケンスデータと同様にタイミン
グデータとイベントデータとで構成されるものなので、
詳細説明は省略する。この制御対象パートデータは、第
2の読み出しポインタによって読み出される。
【0035】図9は前述の複数パート分の演奏データお
よび歌詞イベントからなるシーケンスデータのうち、メ
ロディパートのデータのみを抜き出したものである。メ
ロディパートデータはRAM4に記憶される。メロディ
パートデータは前述のシーケンスデータ、制御対象パー
トデータとは異なり、タイミングデータやコントロール
チェンジイベントは含まれていない。また、ノートイベ
ントのうちでも、ノートオンイベントのみが記憶され、
ノートオフイベントは記憶されない。このメロディパー
トデータは、メロディパート演奏のうちのメロディモー
ド1の演奏に用いられる。メロディパートデータの読み
出しは、第3の読み出しポインタによって読み出され
る。
【0036】次に図10を用いて、ベースパート演奏、
コード1パート演奏、コード2パート演奏の時の演奏音
の音高制御について説明する。ベースパート演奏、コー
ド1パート演奏、コード2パート演奏は、読み出された
制御対象パートのノートイベントに基づいて発音がなさ
れるが、このとき、押さえられているフレットの位置に
応じてオクターブが変化するように制御される。すなわ
ち、フレットのネックに近い部分を操作した場合は低い
音高にて発音され、ボディに近い部分を操作した場合は
高い音高にて発音される。よって、単にメモリから読み
出されたノートイベントが示す音高で発音するだけでは
なく、操作者が発音される音の高さを制御することが出
来るため、変化に富んだ演奏が楽しめる。
【0037】図10(A)はROM3に記憶される発音
範囲規制テーブルを示す。これは、操作されているフレ
ットポジションに応じて、発音される音高が属する音域
を決定するためのテーブルである。例えば、フレットポ
ジション「0」(開放位置)ならばE0〜E2の範囲
に、フレットポジション「10」ならばC2〜C4の範
囲に、フレットポジション「20」(最もボディ寄り)
ならばG#3〜G#5の範囲になるように、フレットポ
ジションが1つ変わる毎に、2半音ずつ、発音範囲が変
化している。
【0038】図10(B)はこの発音範囲規制テーブル
によって発音音高のオクターブが制御される例を示すも
のである。今、入力音(制御対象パートデータから読み
出されたノートイベント)の音高がC4、C3、C2の
場合を考える。C4であった場合、フレットポジション
0〜9までには発音範囲にそのC4の音高は含まれてい
ない。このとき、C4の音高はC2に変更される。フレ
ットポジション10〜20までには発音範囲にC4の音
高が含まれるため、音高は変更されない。
【0039】入力音がC3であった場合、フレットポジ
ション0〜3までには発音範囲にそのC3の音高は含ま
れていない。このとき、C3の音高はC1に変更され
る。フレットポジション4〜16までには発音範囲にC
4の音高が含まれるため、音高は変更されない。そし
て、フレットポジション17〜20までには発音範囲に
C3の音高が含まれないため、C3の音高はC5に変更
される。
【0040】入力音がC2であった場合、フレットポジ
ション0〜10までには発音範囲にC2の音高が含まれ
るため、音高は変更されない。フレットポジション11
〜20までには発音範囲にC2の音高は含まれない。こ
のとき、C2の音高はC4に変更される。すなわち、変
更規則としては、「入力音が発音範囲に含まれていなけ
れば、その発音範囲に含まれる音高であって、偶数の添
字がついた音高は別の最も近い偶数の添字がついた音高
に、奇数の添字がついた音高は別の最も近い奇数の添字
がついた音高に、それぞれ変更される」ということにな
る。なお、この音高変更例はほんの一例に過ぎない。添
字の偶数、奇数は問わないようにしてもよい。規制する
発音範囲も図示のものに限らない。
【0041】次に、図11を用いてディスプレイDにお
ける表示例を示す。この例においては、ディスプレイD
には歌詞、メロディパート、ベースパート、コード1パ
ート、コード2パートの各演奏タイミング、選択されて
いるパート、現在の楽曲の進行位置、現在の操作者の操
作位置、進み具合が表示される。図11において、歌
詞、メロディパートの演奏タイミング、ベースパートの
演奏タイミング、コード1パートの演奏タイミング、コ
ード2パートの演奏タイミングが、それぞれ左から右方
向に向かって進行が進むような形式で、縦に並べて表示
されている。メロディパート、ベースパート、コード1
パート、コード2パートについては四角で表す部分が発
音している部分である。すなわち、四角の左端が発音開
始タイミング、横方向の長さが発音時間に相当する。な
お、ノートイベントに含まれるベロシティ値を検出し
て、該四角の縦方向の長さで示すことにより、パッドを
操作するときの推奨強度を表示してもよい。
【0042】ドットの網掛けにより、制御対象パートと
して選択されているパートが表示されている。図11に
おいてはメロディパートが選択されている。また、現在
の楽曲の進行位置が縦の実線により表示されている。こ
の縦の実線は、楽曲の演奏が進むにつれて、右側に移動
していく。また、縦線の網掛けにより現在の操作者の操
作位置が表示されている。図11においてはメロディパ
ートの発音タイミングを示す四角が左から3つ分塗りつ
ぶされている。これは、現在の操作位置が3つ目の音符
の位置であることを示している。
【0043】「進め」、「待て」で示す斜線による網掛
けの部分は、進み具合が表示される。楽曲の進行位置と
操作者による操作位置がほぼ同じ位置の場合、「進め」
が点灯する。カラー表示可能なディスプレイであれば、
例えば青色で点灯する。楽曲の進行位置に対して操作者
による操作位置が遅れている場合は、「急げ」を表すた
めに「進め」の表示が点滅する。逆に、楽曲の進行位置
に対して操作者による操作位置が進んでいる場合は、
「待て」が点灯する。カラー表示可能なディスプレイで
あれば、例えば赤色で点灯する。この表示により、操作
者は自分の操作をそのまま続けるべきなのか、早めるべ
きなのか、或いは少し待つべきなのかが一目で把握でき
る。なお、表示形態はこの例に限らず、進み具合表示と
して「進め」、「急げ」、「待て」の3種類を用意して
もよい。
【0044】次に、図12から図43を用いて、CPU
1による処理の流れを説明する。図12はパネルスイッ
チ処理を示すフローチャートである。この処理は所定期
間毎、例えば10ms毎に実行される。ステップs1に
おいてパネルスイッチを走査する。ステップs2におい
てスイッチ状態に変化があったか否かを判断し、変化が
あればステップs3にて変化のあったスイッチに応じた
処理を実行する。
【0045】図13は前述のステップs3における「変
化のあったスイッチに応じた処理」の一部である曲選択
スイッチ処理を示すフローチャートである。ステップs
11において押されたスイッチに対応する曲を選択し、
メモリカートリッジMCからシーケンスデータを読み出
す。ステップs12にて読み出されたシーケンスデータ
中の複数の演奏パートのうち、制御対象となるパートを
抽出する。抽出の一例として、メロディパートはチャン
ネル4の演奏パートを、ベースパートは音色名が「○○
ベース」に対応するプログラムチェンジイベントが初期
音色として記憶されている演奏パートを、コード1はす
べての演奏パートの中でドラムパートを除き音数が最も
多い演奏パートを、コード2パートはドラムパートを除
き2番目に音数が多い演奏パートをそれぞれ設定する。
ここで、チャンネル4のパートをメロディパートとし
た理由は、コンピュータミュージックの分野において、
一般的にメロディパートとして4チャンネルを使用する
ことが多いからである。このほか、演奏データ中にコメ
ント情報が記憶されており、その中に「メロディ」或い
はそれに対応したコメントが入っている場合などは、こ
のコメントを頼りにメロディパートを抽出するようにし
てもよい。また、ベースパートとしてプログラムチェン
ジイベントがベース音色を示すものをペースパートとし
て決定する以外に、上記メロディパートの抽出方法と同
じように、コメント情報を参照してもよいし、全パート
の中で、最も低音が多発するパートをベースパートとし
て決定してもよい。
【0046】また、コード1、2パートの抽出方法とし
て、音の長さを考慮し、発音している総時間が最も長い
ものをこれらのパートとして抽出してもよい。また、音
数が最も多いパートをコード1、2パートとしてもよ
い。また、上記メロディやベースパートと同様、コメン
ト情報を参照してもよい。また、予め、演奏データ中に
どのパートを制御対象として抽出すべきかを示す情報を
持たせるようにしてもよい。また、自動的に決定した制
御対象パートを、操作者が変更できるようにしてもよ
い。
【0047】ステップs13では抽出された制御対象パ
ートのそれぞれについて、制御用のデータを作成する。
制御用のデータとは、制御対象パートに対応する元のシ
ーケンスデータの内容を多少修正して、制御に適するよ
うにしたものである。元のシーケンスデータは本発明に
よる制御を意図せずに作成されていることもあり、この
ようなシーケンスデータをそのまま用いると制御に適さ
ない場合がある。例えば、シーケンスデータの各パート
中の音符と音符の間には、若干の無発音期間があるのが
普通である(無発音期間が全くないと、常にレガート演
奏になってしまい、リズム感のない単調な音楽になって
しまう)。メロディパートのメロディモード2、ベース
パート、コード1パート、コード2パートの演奏はパッ
ド操作時点における音をならすため、この無発音期間の
間に操作者がパッドの操作をすることにより発音指示を
した場合、操作があったにも係わらず、何も発音されな
いという不都合が起こる。このような不都合を防ぐた
め、予め無発音期間のない演奏データを作成しておき、
それを制御対象パートのデータとして記憶するようにし
ているのである。
【0048】無発音期間の無い演奏データは、例えば次
のいずれかのルールで作成する。 (1)無発音期間の次にくるノートイベントで、無発音
期間を埋める。すなわち、次のノートイベントの発音開
始タイミングを、前のノートイベントの消音タイミング
の直後とする。 (2)無発音期間の中間に、前のノートイベントの消音
タイミングと、次のノートイベントの発音開始タイミン
グをもってくる。すなわち、前のノートイベントの消音
タイミングが無発音期間の中間まで遅れると共に、次の
ノートイベントの発音開始タイミングが無発音期間の中
間まで早まる。 (3)すべてのノートイベントの発音開始タイミングを
所定時間だけ早める。これにより、例えば拍の頭で鳴る
べき音を発音させようと、拍の頭の付近でパッドを操作
したが、操作が若干早すぎたために、意図する音が発音
されなかったという不都合を解消することが出来る。そ
れでもなお、無発音期間が存在するのであれば、上記
(1)、(2)などを適用して無発音期間をなくす。な
お、無発音期間の無い演奏データの作成ルールは、上記
例以外であってもよい。また、制御対象パート毎に、作
成ルールを異ならせるようにしてもよい。
【0049】次に、ステップs14でシーケンスデータ
から曲の調を検出する。例えば、出現する各音に、その
長さ(音価)を掛けたものの総計をもとめ、その分布か
らその曲の調を求める。なお、曲の調の求め方は従来よ
り様々なものが発案されているので、そのうちの任意の
ものを適用することが出来る。そして、ステップs15
において、求められた調とシーケンスデータ中のノート
データに基づいて曲のコード進行を検出する。複数の演
奏パートを考慮してコード進行を決定してもよいし、あ
る特定のパートのみに着目してコード進行を検出しても
よい。着目する演奏パートは、音数が最も多いパート、
平均発音長さが最も長いパートなどにより決定すること
が出来る。曲のコード進行の求め方も従来より様々なも
のが発案されているので、そのうちの任意のものを適用
することが出来る。
【0050】ステップs16では歌詞イベントに含まれ
る改行コードに基づいて、フレーズの区切り位置を抽出
する。前述のようにシーケンスデータには、歌詞の進行
に従って歌詞イベントが記憶されている。例えば歌詞イ
ベントは、その歌詞に対応する音符と同じ位置に、1文
字分ずつ記憶されている。歌詞を表示する際に、所定の
フレーズ区切りで歌詞表示を改行する必要があるので、
歌詞イベントのうちの所定のものには、改行を指示する
改行コードが含まれている。この改行コードはフレーズ
毎に含まれていると考えることが出来るので、この実施
例においては、改行コードを検出することにより、フレ
ーズの区切り位置を抽出するようにしている。なお、曲
データの構造解析をすることによってフレーズ位置を抽
出するようにしてもよい。
【0051】ステップs17では、求められた調、コー
ド進行、フレーズに基づいて音階テーブルを作成する。
すなわち、求められた調に基づいて、ダイアトニックス
ケール、ペンタトニックスケール1、2を作成し、コー
ド進行に基づいてコード構成音のスケールを作成し、フ
レーズ区切り位置によってメロディを区切り、各区間で
出現する音高に基づいてメロディ構成音のスケールを作
成する。なお、コード構成音、メロディ構成音は、曲の
進行に従って逐次変化していくので、この時点では出現
するコードの種類分、フレーズ分の各スケールを作成し
ておき、曲の進行に従ってテーブルを逐次切り換えてい
くようにする。
【0052】ステップs18では、求められた調に応じ
た自動アドリブフレーズをフレットの数に対応する数だ
け作成する。例えばペンタトニックスケール、ダイアト
ニックスケールでそれぞれ複数種類ずつ作成し、適当に
フレットに割り当てる。このとき、フレット位置に応じ
て、音域が変わるようにするのが好ましい。なお、自動
アドリブフレーズは、調のスケール音をランダムに並べ
たものであってもよいし、所定のフレーズを予め記憶し
ておき、求めた調に応じて音高を修正して作成するよう
にしてもよい。
【0053】図14は前述のステップs3における「変
化のあったスイッチに応じた処理」の一部であるスター
ト/ストップスイッチ処理を示すフローチャートであ
る。ステップs21において自動演奏中であることを示
すランフラグRUNが1であるか否かを判断し、1では
ない、すなわち非自動演奏中である時は、ステップs2
2で自動演奏処理(後述)を許可する。これにより自動
演奏処理が開始される。続くステップs23では第1、
第2、第3、第4の読み出しポインタをそれぞれ対応す
るデータの先頭へとセットする。
【0054】一方、ステップs21でランフラグRUN
が1であると判断したときはステップs24で自動演奏
処理を禁止することにより、自動演奏を停止させ、ステ
ップs25で音源回路へオールノートオフコマンドを出
力することによりその時点で発音中であった音を消音さ
せる。
【0055】図15は前述のステップs3における「変
化のあったスイッチに応じた処理」の一部である制御対
象パート選択スイッチ処理を示すフローチャートであ
る。ステップs31で、発音中の制御対象パートの音が
有れば、その音に対応するキーオフイベントを音源回路
の制御対象パートのチャンネルへと出力する。これによ
り、制御対象パートが変更されたとき、前の制御対象パ
ートの音が消音される。ステップs32では押されたス
イッチに応じて制御対象パートを変更する。ステップs
33では変更後の制御対象パートを示すため、ディスプ
レイDにおける制御対処パートの表示を変更するととも
に、選択されたパートに対応したLEDを点灯させる。
【0056】次に、ステップs34では新たに選択され
た制御対象パートがメロディパートであるか否かを判断
する。メロディパートではないときは、この後、直ちに
この制御対象パート選択スイッチ処理を終える。メロデ
ィパートであったときは、ステップs35でシーケンス
モードであるか、それともアドリブモードであるかを判
断する。アドリブモードであれば、制御対象パート選択
スイッチ処理を終える。シーケンスモードであったなら
ば、ステップs36にてメロディモードが1であるの
か、それとも2であるのかが判断される。メロディモー
ドが2であるならば制御対象パート選択スイッチ処理を
終える。メロディモードが1であったとき、ステップs
37でメロディパートの自動演奏を実行することを示す
フラグAUTOを1にセットする。これにより、メロデ
ィパートは自動演奏状態、すなわち、操作者がパッドを
操作しなくても自動的にメロディ演奏がなされる状態に
なる。また、メロディパートの自動演奏は、現在の楽曲
の進行位置と同期したものとなる。
【0057】これは、次のような理由による。メロディ
モード1はパッド操作をしない限り次の音に移行しない
ため、制御対象パートを他のパートからメロディパート
に切り換えたとき、直ちにパッドを操作しなければメロ
ディの進行位置はどんどん遅れてしまう。しかしなが
ら、他の演奏パートからメロディパートに切り換えた直
後であるので、操作者はメロディパートの演奏がどのよ
うに進行していくのか、すなわち、どのようにパッドを
操作すれば正しいメロディが演奏されるかがわからない
場合が多い。従って、切り換えた直後はメロディパート
の演奏を自動的に実行することによって、操作者にメロ
ディパートの流れを把握させ、その後、任意の時点でパ
ッド操作を開始することにより、その時点から操作者の
操作によってメロディパートの演奏が制御されるように
するのがよいからである。
【0058】図16は前述のステップs3における「変
化のあったスイッチに応じた処理」の一部であるシーケ
ンススイッチ処理を示すフローチャートである。ステッ
プs41では制御対象パートがメロディパートであるか
否かを判断し、メロディパート以外であれば、以下の処
理は関係ないのでこの処理を終了する。メロディパート
であったとき、ステップs42で現在のモードがシーケ
ンスモードであるのか、それともアドリブモードである
のかを判断する。シーケンスモードであった場合は、ス
テップs43でメロディモード切り替え処理(後述)を
実行する。一方、アドリブモードであった場合は、ステ
ップs44でシーケンスモードに切り替え、ステップs
45でメロディモードが1であるのか、2であるのかを
判断する。メロディモードが1であれば前述のステップ
s37と同様に、ステップs46でフラグAUTOを1
にセットする。これにより、現在の楽曲の進行位置と同
期したメロディパートの自動演奏が実行される。メロデ
ィモードが2であればこのステップs46の処理は行わ
ない。そして、ステップs47では発音中のメロディパ
ートの音があれば対応するキーオフイベントを音源回路
のメロディパートのチャンネルへと出力し、該音を消音
させる。そしてステップs48で、選択されたモードに
応じたLEDを点灯させる。
【0059】図17は前述のステップs43におけるメ
ロディモード切り替え処理を示すフローチャートであ
る。ステップs51では現在メロディモード1が設定さ
れているのか、それともメロディモード2が設定されて
いるのかを判断し、メロディモードが1であればステッ
プs52でメロディモードを2に設定する。一方、メロ
ディモードが2であればステップs53でメロディモー
ドを1に設定し、ステップs54でフラグAUTOを1
にセットする。これにより、現在の楽曲の進行位置と同
期したメロディパートの自動演奏が実行される。
【0060】図18は前述のステップs3における「変
化のあったスイッチに応じた処理」の一部である音階選
択スイッチ処理を示すフローチャートである。ステップ
s61において押されたスイッチに対応する音階割り当
てテーブルを選択する。そして、ステップs62にて必
要に応じて最新のフレットポジションを格納しているフ
レットレジスタFRETの位置の音名が、今までのもの
と今回のものとで一致、または近い値になるように、必
要に応じて音階割り当てテーブルの内容を書き替える。
ステップs63では選択された音階に対応するLEDを
点灯させる。
【0061】図19は前述のステップs3における「変
化のあったスイッチに応じた処理」の一部であるアドリ
ブスイッチ処理を示すフローチャートである。ステップ
s71において、制御対象がメロディパートに設定され
ているか否かを判断する。メロディパート以外であれば
この処理を終了する。一方、メロディパートが設定され
ていれば、ステップs72にてアドリブモードが設定さ
れているのか、シーケンスモードが設定されているのか
を判断する。シーケンスモードが設定されている場合
は、ステップs73でアドリブモードに切り替える。一
方、アドリブモードが設定されている場合は、ステップ
s74においてマニュアルアドリブモードに設定されて
いるのか、それとも自動アドリブモードに設定されてい
るのかを判断する。マニュアルアドリブモードに設定さ
れている場合は、ステップs75において自動アドリブ
モードに切り替える。一方、自動アドリブモードが設定
されている場合は、ステップs76においてマニュアル
アドリブモードに切り替える。その後、ステップs77
において、設定されたモードに応じてLEDを点灯させ
る。
【0062】図20は前述のステップs3における「変
化のあったスイッチに応じた処理」の一部であるパニッ
クスイッチ処理を示すフローチャートである。ステップ
s81において、制御対象パートがメロディパートであ
るか否かを判断し、メロディパート以外であればこの処
理を終了させる。メロディパートであれば、ステップs
82においてシーケンスモードに設定されているのか、
それともアドリブモードに設定されているのかを判断す
る。アドリブモードに設定されている場合は、この処理
を終了させる。シーケンスモードに設定されているので
あれば、ステップs83にてメロディモード1に設定さ
れているのか、それともメロディモード2に設定されて
いるのかを判断する。メロディモード2に設定されてい
る場合はこの処理を終了させる。メロディモード1に設
定されている場合は、ステップs84にてフラグAUT
Oを1にセットする。これにより、現在の楽曲の進行位
置と同期したメロディパートの自動演奏が実行される。
そして、ステップs85にて、発音中のメロディパート
の音があれば対応するキーオフイベントを音源回路のメ
ロディパートのチャンネルへと出力し、該音を消音させ
る。
【0063】図21は前述のステップs3における「変
化のあったスイッチに応じた処理」の一部であるミュー
トスイッチ処理を示すフローチャートである。ステップ
s91においてスイッチがオンされたのか、それともオ
フされたのかを判断し、オンされたのであれば、ステッ
プs92にてミュートスイッチがオンされている状態を
示すミュートフラグMUTEを1にセットする。そし
て、ステップs93にて制御対象パートの音が現在発音
中であるか否かを判断し、発音中であれば、ステップs
94にて発音中の制御対象パートの楽音に対応するキー
オフイベントを、音源回路の制御対象パートに対応する
チャンネルへと出力することにより、該発音中の楽音を
消音させる。このとき、ミュートスイッチの操作タッチ
速度が検出されているので、その速度に応じて、楽音の
リリース時間を制御する。例えば速度が速いときはリリ
ース時間を短くし、遅いときはリリース時間を長くす
る。なお、リリース時間以外の楽音パラメータ、例えば
フィルタのカットオフ周波数などを制御することでリリ
ースの仕方を制御するようにしてもよい。このようにミ
ュートスイッチのタッチ速度に応じて楽音のリリースの
仕方を制御すると、例えばギターの弦を押さえてミュー
トする場合に、ブリッジの近辺を押さえた場合と、ブリ
ッジから多少離れた場所を押さえた時とで、音の減衰の
仕方が異なるような減少をシミュレートすることが出来
る。もちろん、音色がギター以外の時に上述した制御を
適用してもよい。
【0064】ステップs91にて、ミュートスイッチが
オフされたと判断されたときは、ステップs95にてフ
ラグMUTEに0をセットする。
【0065】図22は前述のステップs3における「変
化のあったスイッチに応じた処理」の一部であるフレッ
トスイッチ処理を示すフローチャートである。ステップ
s101においてフレットスイッチを走査する。ステッ
プs102にてフレットスイッチの押圧状態にに変化が
あれば、ステップs103にて操作されているフレット
スイッチのうち、最もボディに近いものの位置をフレッ
トポジションレジスタFRETへと格納する。
【0066】次に、図23から図28を用いて、パッド
打撃センサ処理について説明する。このパッド打撃セン
サは所定時間(例えば10ms)毎に実行される処理で
ある。まずステップs111にてパッド打撃センサの出
力値を読む。パッド打撃センサからの出力値は複数段階
(例えば128段階)の値を持ち、パッドの打撃がある
と、出力値が急激に増加し、ピークに達する。そしてピ
ークに達した後、徐々に減衰していく。ステップs11
2では値に変化があったかどうかを判断し、ステップs
113ではその変化により、出力値がピークを迎えたか
否かを判断する。ピークを迎えていたら、パッド操作が
あったと判断し、ステップs114へと進む。ピーク以
外、すなわち、増加している最中である、または減衰中
であるという場合は、ステップs113でNOと判断さ
れる。ステップs114ではピーク値を打撃強度として
ベロシティを格納するレジスタに記憶させる。そしてス
テップs115にてパッド発音処理を実行する。
【0067】図24は前述のステップs115のパッド
発音処理の詳細を示すフローチャートである。まずステ
ップs121において制御対象パートがメロディパート
であるか否かを判断する。メロディパートであればステ
ップs122へ進み、非メロディパートであればステッ
プs131のメロディモード2及び非メロディパート処
理へと進む。ステップs122ではシーケンスモードが
設定されているのか、それともアドリブモードが設定さ
れているのかを判断する。シーケンスモードが設定され
ている場合はステップs123へ進み、アドリブモード
が設定されている場合はステップs132のアドリブ処
理へと進む。
【0068】ステップs123ではメロディモード1が
設定されているのか、それともメロディモード2が設定
されているのかを判断する。メロディモード1が設定さ
れている場合はステップs124へ進み、メロディモー
ド2が設定されている場合はステップs131へと進
む。ステップs124では、フラグAUTOが1にセッ
トされていれば0にリセットする。これにより、今まで
パッド操作無しでも自動的に演奏されていたメロディパ
ートはパッド操作がないと演奏されない状態となる。そ
してステップs125では、発音中のメロディパートの
音があれば対応するキーオフイベントを音源回路のメロ
ディパートのチャンネルへと出力し、該音を消音させ
る。なお、ミュートスイッチの操作により、既に楽音が
消音されていれば、ここでの処理は行われない。ステッ
プs126では第3の読み出しポインタを進め、次のメ
ロディパートのデータを読み出す。そしてステップs1
27で音色変更処理を実行する。
【0069】図26及び図27はこの音色変更処理を示
すフローチャートである。図26の処理はパッドが操作
された時点でミュートスイッチが押されているか否かに
応じて楽音の音色を変えるものである。まずステップs
151にてミュートフラグMUTEに1がセットされて
いるか否かを判断し、1がセットされていればステップ
s152においてミュート音に対応するプログラムチェ
ンジ(音色変更コマンド+音色番号)を音源回路の制御
対象パートのチャンネルへと出力する。ミュート音に対
応するプログラムチェンジとは、例えば非ミュート時の
音色としてギターの音色が設定されている場合はミュー
トギターの音色に対応するプログラムチェンジであり、
非ミュート時の音色としてトランペットの音色が設定さ
れている場合はミュートトランペットの音色に対応する
プログラムチェンジである。一方、フラグMUTEに1
がセットされていない場合は、ステップs153にて非
ミュート音(例えば前述のギターやトランペット)に対
応するプログラムチェンジを音源回路の制御対象パート
のチャンネルへと出力する。このような処理により、ミ
ュートスイッチを押しながらパッドを操作すると、ミュ
ート音が発音され、ミュートスイッチを操作せずにパッ
ドを操作すると、非ミュート音が発音される。なお、上
述の例においてはパッドの操作がある毎に必ずプログラ
ムチェンジを音源回路へと出力するようにしたが、前回
のパッド操作時と今回の状態が同じであれば、プログラ
ムチェンジを出力せず、状態に変化があったときのみ出
力するほうが好ましい。
【0070】図27の処理は音色変更処理の他の例を示
すものであって、パッドが操作された時点におけるミュ
ートスイッチの押圧力に応じて楽音制御パラメータを変
更するものである。この処理では、ステップs161に
おいて、ミュートスイッチの押圧力を格納するレジスタ
MUTE_PRESに格納されている値に応じたフィル
タパラメータを作成し、音源回路の制御対象パートのチ
ャンネルへと出力する。これにより、ミュートスイッチ
が押されていないときは押圧力=0に対応するフィルタ
パラメータが音源回路へと与えられ、例えばフィルタカ
ットオフ周波数が高い、明るく派手な音色で楽音が発音
され、ミュートスイッチが押されているときは、その時
の押圧力に応じてカットオフ周波数が低域に移動してい
るフィルタパラメータが音源回路へと与えられ、丸く柔
らかい音色で楽音が発音される。なお、これらの音色変
更処理のいずれか一方を適用してもよいし、両方を同時
に適用してもよい。
【0071】次にステップs128で、読み出されたキ
ーオンイベントデータに含まれているベロシティをパッ
ド操作により得られたベロシティと入れ替えた後、該キ
ーオンイベントを音源回路のメロディパートへと出力す
る。以上の動作により、それまで発音されていた楽音が
消音されると共に、新たに読み出されたノートイベント
に対応した音高、パッドの操作強度に応じたベロシテ
ィ、ミュースイッチの押圧状態に応じた音色にて楽音が
発音され、メロディ演奏が行われる。続いて、ステップ
s129において、出力したキーオンイベントに対応す
る表示要素(図11において前述した各パートの四角)
の表示態様を変更(図11においては縦線の網掛け)
し、操作者が現在どの音を演奏しているのかを表示す
る。そして、ステップs130において第3、第4の読
み出しポインタの位置の差に応じて「進み具合」の表示
態様を変更する。第4ポインタは後述する自動演奏処理
において進められるものであり、本来のメロディパート
の進行と同期して進められるものである。表示態様は、
例えば、前述のように第3ポインタと第4ポインタの位
置がほぼ一致していれば青色を点灯、第3ポインタの位
置が第4ポインタの位置に比べてかなり遅い場合は、青
色を点滅、第3ポインタの位置が第4ポインタの位置に
比べてかなり進んでいる場合は、赤色を点灯させる。こ
れにより、操作者は自分の操作が適正なのか、または早
すぎる、遅すぎるのかがわかり、操作がしやすくなる。
【0072】図25は前述のステップs131における
メロディモード2及び非メロディパート処理を示すフロ
ーチャートである。ステップs141において、発音中
の制御対象パートの音があれば対応するキーオフイベン
トを音源回路の制御対象パートのチャンネルへと出力
し、該音を消音させる。なお、ミュートスイッチの操作
により、既に楽音が消音されていれば、ここでの処理は
行われない。ステップs142では図26或いは図27
の音色変更処理を実行する。次に、ステップs143に
おいて制御対象パートがメロディパートであるか否かを
判断し、メロディパートであればステップs144に
て、制御対象パートレジスタの内容に基づき、ベロシテ
ィをパッド操作により得られたベロシティを入れ替え
て、キーオンイベントを音源回路のメロディパートのチ
ャンネルへと出力する。これにより、メロディパートか
ら読み出され、現在の楽曲の進行位置に対応した音高の
楽音が、パッド操作により発音され、メロディ演奏が行
われる。なお、制御対象パートレスタには、現在の進行
位置において制御対象パートから読み出されているノー
トベントが記憶されている(詳しくは後述)。
【0073】一方、制御対象パートがメロディパート以
外の時は、ステップs145へ進み、制御対象パートレ
ジスタに記憶されているノートイベントのキーコードの
オクターブを、必要に応じて発音範囲規制テーブル内容
とフレットポジションレジスタFRETの内容に従って
変換し、ベロシティをパッド操作により得られたベロシ
ティを入れ替えて、キーオンイベントを音源回路の制御
対象パートのチャンネルへと出力する。これにより、ベ
ースパート、コード1パート、コード2パートのいずれ
かのパートから読み出され、現在の楽曲の進行位置に対
応した音高の楽音が、フレット操作位置に対応したオク
ターブに変更された状態で、パッド操作により発音さ
れ、バッキング演奏が行われる。続いて、ステップs1
46へと進み、出力したキーオンイベントに対応する表
示要素(図11の四角)の表示態様を変更する。
【0074】図28は前述のステップs132における
アドリブ処理を示すフローチャートである。まずステッ
プs171にて発音中のメロディパートの音があれば対
応するキーオフイベントを音源回路のメロディパートの
チャンネルへと出力し、該音を消音させる。なお、ミュ
ートスイッチの操作により、既に楽音が消音されていれ
ば、ここでの処理は行われない。次にステップs172
にてマニュアルアドリブモードが設定されているのか、
或いは自動アドリブモードが設定されているのかを判断
する。マニュアルアドリブモードが設定されている場合
は、ステップs173にてフレットポジションレジスタ
FRETの記憶内容に対応するノートナンバを、選択さ
れている音階割り当てテーブルから読み出す。一方、自
動アドリブモードが設定されている場合は、ステップs
174にてフレットポジションレジスタFRETの記憶
内容に対応する自動アドリブシーケンスデータのポイン
タを進め、ノートナンバを読み出す。次にステップs1
75で図26或いは図27の音色変更処理を実行した
後、ステップs176で、ステップs173またはステ
ップs174にて決定されたノートナンバに、パッド操
作により得られたベロシティを付加したキーオンイベン
トを、音源回路のメロディパートへと出力する。これに
より、メロディアドリブ演奏がなされる。 次に、図2
9から図38を用いて、所定時間(例えば10ms)毎
に実行される自動演奏処理について説明する。
【0075】図29において、ステップs181ではシ
ーケンスデータから読み出されたタイミングデータを格
納するレジスタTIME1から所定値Kを減算する。所
定値Kは自動演奏処理の周期(例えば10ms)の間に
進めるべき単位音符の長さに対応しており、K=(テン
ポ×分解能×実行周期)/(60×1000)で表され
る。ここで、「テンポ」は1分間に演奏される4分音符
数であり、「分解能」はシーケンスデータのタイミング
データが、4分音符をいくつに分けたものによって記述
されているかをかを表す。例えば、前述のようにタイミ
ングデータが384分音符を単位として記述されている
場合、384分音符は4分音符を96に分けたものであ
るから、「分解能」は96となる。「実行周期」は自動
演奏処理が実行されるときの処理周期であり、前述のよ
うにこの実施形態においては例えば10msである。従
って、「テンポ」が120、「分解能」が96、「割込
周期」が10ならば、Kの値は1.92となり、1回の
自動演奏処理によってタイミングデータが1.92だけ
進むことになる。例えば、タイミングデータの値が「1
92(=2分音符の長さに相当)」であったとすると、
100回の自動演奏処理によって2分音符分の演奏が進
むことになる。言い換えると、Kの値を変更することに
より、再生テンポを変更することができる。なお、演奏
のテンポを変更する方法は、自動演奏処理の実行周期を
変更するものや、実行周期はそのままでタイミングデー
タの値を修正するものあってもよい。なお、レジスタT
IME1の初期値としては、図示はしないが演奏スター
ト時にシーケンスデータの中の最初のタイミングデータ
がセットされる。
【0076】ステップs181の結果、レジスタTIM
E1の値が0以下になったとき、ステップs182でY
ESと判断され、ステップs183において第1の読み
出しポインタを進め、該ポインタが示すシーケンスデー
タを読み出す。ステップs184では読み出されたデー
タがタイミングデータであるか否かが判断される。演奏
スタート時には既に先頭のタイミングデータが読み出さ
れているので、ステップs183ではタイミングデータ
の次の記憶されているイベントデータが読み出される。
従って、ステップs184の判断はNOとなり、ステッ
プs185へと進む。
【0077】ステップs185では読み出されたイベン
トデータに応じた処理が実行される。この処理について
は後述する。その後、再びステップs183へ戻り、第
1の読み出しポインタを進め、次のデータを読み出す。
イベントデータの次にはタイミングデータが記憶されて
いるので、ステップs184ではYESと判断され、ス
テップs186でレジスタTIME1に読み出されたタ
イミングデータが加算される。タイミングデータを加算
した結果、TIME1の値が正の値になっていれば、ス
テップs188へと進む。ノートイベントデータと歌詞
イベントデータが連続する場合や、和音に対応したノー
トイベントデータが存在する場合などは、タイミングデ
ータの値が0或いは0に近い値を取ることもあり、その
ような場合は、ステップs187でNOと判断され、さ
らにステップs183以降を繰り返す。
【0078】ステップs188では先読み表示処理(後
述)を実行し、その後ステップs189で現在の進行位
置表示バーの位置を自動演奏処理の実行周期(例えば1
0ms)に対応した量だけ右側へと移動させ、次にステ
ップs190で制御対象パートの読み出し処理(後述)
を実行する。そして、ステップs191にて音階割り当
てテーブルの書き換え処理を行う。音階割り当てテーブ
ルのうち、コード構成音の音階とメロディ構成音の音階
に関しては曲の進行に従ってその時点の音階に逐次変更
する必要がある。従って、この音階割り当てテーブル書
き換え処理では、現在の楽曲の進行位置がコード変更位
置であれば、コード構成音の音階を変更されるコードに
応じたものに変更し、フレーズの区切り位置であれば、
メロディ構成音の音階を、該フレーズ区間に対応したも
のへと変更する。なお、コード変更位置やフレーズ区切
り位置であることの判別は、次のようにすればよい。す
なわち、図13において前述したステップs15にてコ
ード進行を検出し、ステップs16にてフレーズを抽出
しているので、コードの変更位置やフレーズの区切り位
置をこの時点で記憶しておき、図29の自動演奏処理に
おいて現在の進行位置を管理し、コード変更位置やフレ
ーズ区切り位置と現在進行位置とを比較することにより
判別できる。
【0079】図30は前述のステップs185の「イベ
ントデータに応じた処理」の一部である演奏イベント処
理を示すフローチャートである。まずステップs201
においてメロディパートのイベントであるか否かを判断
する。各イベントにはチャンネルナンバが付与されてい
るので、このチャンネルナンバを見ることでどのパート
のイベントであるかを判断することが出来る。メロディ
パートのイベントであったときは、ステップs202に
て、それがキーオンイベントであるか否かを判断する。
キーオンイベントであったときは、ステップs203に
て第4の読み出しポインタを進める。これにより、第4
の読み出しポインタは、常に正規の進行位置と同期して
進められることになる。次にステップs204にてフラ
グAUTOが1にセットされているか否かを判断する。
1にセットされているときは、ステップs205へ進ん
で第3の読み出しポインタを第4の読み出しポインタの
位置に合わせる。これにより、メロディの自動演奏時は
第3の読み出しポインタも正規の進行位置と同期して進
むことになり、その後のパッド操作によって、正規の進
行位置からメロディモード1の演奏を再開することが可
能となる。そして、ステップs206にてこのキーオン
イベントを音源のメロディパートのチャンネルへと出力
し、メロディパートの楽音が発音される。フラグAUT
Oが1にセットされていないときは、ステップs207
において第3、第4の読み出しポインタの位置の差に応
じて、「進み具合」の表示態様を前述のステップs13
0の処理と同様に変更する。そして、操作者のパッドに
よるメロディ演奏のため、音源回路へのデータ出力は行
わない。
【0080】ステップs202においてキーオンイベン
トではないと判断されたとき(すなわちキーオフイベン
トやコントロールチェンジイベント)、ステップs20
8へ進み、フラグAUTOが1にセットされているか否
かを判断し、1にセットされていたら、ステップs20
9にてイベントデータを音源回路のメロディパートのチ
ャンネルへと出力することにより、メロディパートの楽
音の消音や音量、ピッチ、音色等の制御がなされる。フ
ラグAUTOが1にセットされていなければ、操作者の
パッドによるメロディ演奏のため、音源回路へのデータ
出力は行わない。
【0081】一方、ステップs201においてメロディ
パート以外のイベントであったと判断されたとき、ステ
ップs210で制御対象パート以外のイベントであるか
否かを判断する。制御対象パート以外のイベントであれ
ば、ステップs211にてイベントデータを音源回路の
該当チャンネルへと出力することにより、楽音の発生や
消音等がなされる。制御対象パートのイベントであれ
ば、楽音の発音は操作者のパッド操作により行われるた
め、ここでは音源回路へのデータの出力は行わない。
【0082】図31は前述のステップs185の「イベ
ントデータに応じた処理」の一部である歌詞イベント処
理を示すフローチャートである。ステップs221では
読み出された歌詞に対応する文字の色を変更することに
より、歌詞の進行位置を表示する。このとき、歌詞の色
が左側から徐々に変化していくようにしてもよいし、一
度に変化するようにしてもよい。
【0083】図32は前述のステップs185の「イベ
ントデータに応じた処理」の一部であるエンドデータ処
理を示すフローチャートである。ステップs231にて
自動演奏処理を禁止させい、ステップs232にて音源
回路へオールノートオフを出力する。これによって自動
演奏は停止する。
【0084】図33は前述のステップs188の先読み
表示処理の詳細を示すフローチャートである。まずステ
ップs241において現在の進行位置が小節戦に対応す
るタイミングであるか否かを判断する。小節戦のタイミ
ングであれば、ステップs242にて小節カウントレジ
スタMEASUREの値を1だけインクリメントし、ス
テップs243にてその値が5になったか否かを判断
し、5になっていれば、ステップs244でMEASU
REの値を1にセットし、ステップs245にて過去の
4小節分の表示を消去し、表示段をずらす。そして、ス
テップs246において4小節分の各制御対象パートの
演奏イベント及び歌詞イベントをシーケンスデータの中
から先読みし、表示のためのデータを作成してディスプ
レイDへと表示する。すなわち、この例においては、1
段の表示量を4小節分とし、これを複数段(例えば2
段)表示可能なようにしている。そして、演奏が4小節
経過する毎に最も過去の4小節分の表示を消去し、その
かわりに、現在位置から4小節先までの演奏及び歌詞の
データを先読みして表示するようにしている。このと
き、過去の4小節消去するをことにより空いた表示領域
に、既に表示されている他の段をずらして表示し、空い
た領域に最新の4小節分の表示をするようにしている。
なお、表示の仕方はこのような表示態様に限るものでは
ない。
【0085】図34は前述のステップs190の制御対
象パート読み出し処理の詳細を示すフローチャートであ
る。ステップs251では制御対象パートデータから読
み出されたタイミングデータを格納するレジスタTIM
E2から所定値Kを減算する。所定値Kは前述のステッ
プs251にて減算した値と同じ値である。なお、レジ
スタTIME2の初期値としては、図示はしないが演奏
スタート時に制御対象パートデータの中の最初のタイミ
ングデータがセットされる。
【0086】ステップs251の結果、レジスタTIM
E2の値が0以下になったとき、ステップs252でY
ESと判断され、ステップs253で第2の読み出しポ
インタを進め、該ポインタが示す制御対象パートデータ
を読み出す。ステップs254では読み出されたデータ
がタイミングデータであるか否かが判断される。演奏ス
タート時には既に先頭のタイミングデータが読み出され
ているので、ステップs253ではタイミングデータの
次の記憶されているイベントデータが読み出される。従
って、ステップs254の判断はNOとなり、ステップ
s255へと進む。
【0087】ステップs255では読み出されたイベン
トデータに応じた処理が実行される。この処理について
は後述する。その後、再びステップs253へ戻り、第
2の読み出しポインタを進め、次のデータを読み出す。
イベントデータの次にはタイミングデータが記憶されて
いるので、ステップs254ではYESと判断され、ス
テップs256でレジスタTIME2に読み出されたタ
イミングデータが加算される。タイミングデータを加算
した結果、TIME2の値が正の値になっていれば、こ
の処理を終了する。ノートイベントデータが連続する場
合、タイミングデータの値が0或いは0に近い値を取る
こともあり、そのような場合は、ステップs257でN
Oと判断され、さらにステップs253以降を繰り返
す。
【0088】図35から図38は前述のステップs25
5における「イベントデータに応じた処理」の詳細を示
すフローチャートである。図35はメロディパートのイ
ベントデータが読み出されたときの処理である。まず、
ステップs261にて読み出されたイベントデータがキ
ーオンイベントであるか否かを判断する。キーオンイベ
ントであれば、ステップs262にて該キーオンイベン
トをメロディレジスタへと書き込む。一方、キーオフイ
ベントであった場合は、ステップs263へと進み、該
キーオフイベントに対応し、既に書き込まれているキー
オンイベントを、メロディレジスタから消去する。この
メロディレジスタは、複数の記憶領域を有し、楽曲の各
進行位置において、その時点で発音しているはずのキー
イベントを保持するレジスタである。キーオンイベント
が読み出されたときはこのレジスタに記憶され、キーオ
フイベントが読み出されたときは対応するキーオンイベ
ントをレジスタから消去する。基本的にはメロディパー
トは単音発音であるが、デュエット曲などは複数の音が
同時になることもある。この点を考慮して、複数の記憶
領域を設けてある。メロディモード2においてパッドが
操作されたときは、このレジスタの内容が前述のステッ
プs144にて読み出され、発音される。
【0089】図36はベースパートのイベントが読み出
されたときの処理である。まず、ステップs271にて
読み出されたイベントデータがキーオンイベントである
か否かを判断する。キーオンイベントであれば、ステッ
プs272にて該キーオンイベントをベースレジスタへ
と書き込む。一方、キーオフイベントであった場合は、
ステップs273へと進み、該キーオフイベントに対応
し、既に書き込まれているキーオンイベントを、ベース
レジスタから消去する。このベースレジスタは、前述の
メロディレジスタと同様の機能を持つレジスタである。
ベース演奏モードにおいてパッドが操作されたときは、
このレジスタの内容が前述のステップs144にて読み
出され、発音される。
【0090】図37はコード1パートのイベントが読み
出されたときの処理である。まず、ステップs281に
て読み出されたイベントデータがキーオンイベントであ
るか否かを判断する。キーオンイベントであれば、ステ
ップs282にて該キーオンイベントをコード1レジス
タへと書き込む。一方、キーオフイベントであった場合
は、ステップs283へと進み、該キーオフイベントに
対応し、既に書き込まれているキーオンイベントを、コ
ードレジスタから消去する。このコード1レジスタも、
前述のメロディレジスタと同様の機能を持つレジスタで
ある。コード1演奏モードにおいてパッドが操作された
ときは、このレジスタの内容が前述のステップs144
にて読み出され、発音される。
【0091】図38はベースパートのイベントが読み出
されたときの処理である。まず、ステップs291にて
読み出されたイベントデータがキーオンイベントである
か否かを判断する。キーオンイベントであれば、ステッ
プs292にて該キーオンイベントをコード2レジスタ
へと書き込む。一方、キーオフイベントであった場合
は、ステップs293へと進み、該キーオフイベントに
対応し、既に書き込まれているキーオンイベントを、コ
ード2レジスタから消去する。このコード2レジスタ
も、前述のメロディレジスタと同様の機能を持つレジス
タである。コード2演奏モードにおいてパッドが操作さ
れたときは、このレジスタの内容が前述のステップs1
44にて読み出され、発音される。
【0092】次に、図39から図43を用いて、その他
の各種センサの処理について説明する。各処理は所定周
期(例えば10ms)毎に実行される。図39はフレッ
トアフタタッチセンサの処理を示すフローチャートであ
る。ステップs301にてフレットアフタタッチセンサ
の出力を読む。センサ出力に変化があったか否かをステ
ップs302にて判断し、変化があったときは、ステッ
プs303にてフレットアフタタッチセンサの出力値を
第1アフタタッチとし、該値を音源回路の制御対象パー
トのチャンネルへと出力する。第1アフタタッチにより
制御される楽音パラメータは、任意に設定可能である
が、例えばビブラートの深さが制御される。したがっ
て、フレットを押さえる強さを変えることによってビブ
ラートの係り具合を制御することが出来る。
【0093】図40はパッドアフタタッチセンサの処理
を示すフローチャートである。ステップs311にてパ
ッドアフタタッチセンサの出力を読む。センサ出力に変
化があったか否かをステップs312にて判断し、変化
があったときは、ステップs313にてパッドアフタタ
ッチセンサの出力値を第2アフタタッチとし、該値を音
源回路の制御対象パートのチャンネルへと出力する。第
2アフタタッチにより制御される楽音パラメータは、任
意に設定可能であるが、例えば音量が制御される。した
がって、パッドを操作した後、さらにパッドを押し込む
ように操作することで、楽音を発音させた後の音量を制
御することが出来る。なお、パッドアフタタッチセンサ
とパッド打撃センサとは異なる種類のセンサであり、押
し込むような操作では、打撃センサはあまり反応しない
ようにするとよい。
【0094】図41はパッド回転センサの処理を示すフ
ローチャートである。ステップs321にてパッド回転
センサの出力を読む。センサ出力に変化があったか否か
をステップs322にて判断し、変化があったときは、
ステップs323にてパッド回転センサの出力値をピッ
チベンドの値に変換する。このとき、楽曲の調とその時
発音されている楽音の音高とに応じて、パッド回転セン
サを最大操作した場合に、楽曲の調におけるスケール上
の音に達するように、ピッチベンド値に所定の係数を掛
ける。このようにすると、パッド回転操作子を最大限に
操作した場合に必ずスケール上の音になり、初心者であ
っても音楽的におかしくない演奏が可能である。そし
て、係数を掛けたピッチベンド値を音源回路の制御対象
パートのチャンネルへと出力する。なお、非発音中にパ
ッド回転センサを操作し、操作した状態でパッドを操作
したときは、係数としてどの値を掛ければ最終ピッチが
スケール上の音になるかはわからないため、このような
場合には係数を掛けず、センサの出力値をそのままピッ
チベンド値として用いる。
【0095】図42はホイールセンサの処理を示すフロ
ーチャートである。ステップs331にてホイールセン
サの出力を読む。センサ出力に変化があったか否かをス
テップs332にて判断し、変化があったときは、ステ
ップs333にてホイールセンサの出力値をホイール値
とし、該値を音源回路の制御対象パートのチャンネルへ
と出力する。ホイール値により制御される楽音パラメー
タは、任意に設定可能であるが、例えばフィルタのカッ
トオフ周波数が制御される。したがって、パッドを操作
した後、パッド近傍のホイールを操作することで、楽音
の音色を制御することが出来る。
【0096】図43はミュートスイッチ圧力センサの処
理を示すフローチャートである。ステップs341にて
ミュートスイッチ圧力センサの出力を読む。センサ出力
に変化があったか否かをステップs342にて判断し、
変化があったときは、ステップs343にてミュートス
イッチ圧力センサの出力値をレジスタMUTE_PRE
Sへと格納する。このレジスタMUTE_PRESの値
は、前述のようにパッド操作時の音色制御に用いられ
る。
【0097】なお、上述した例においては、無発音期間
を無くした制御対象パートデータというものを予め作成
しておき、それに基づいてメロディパートのメロディモ
ード2、ベースパート、コード1パート、コード2パー
トの演奏するようにしたが、このようなデータを予め作
成することはせず、パッドの操作があった時点で、その
時点が無発音期間であれば、発音すべきノートイベント
をサーチするようにしてもよい。例えば、 (1)パッドの操作があった時点が無発音期間であれ
ば、所定時間後にノートイベント(ノートオン)が有る
かどうかチェックする。ノートイベントが有れば、その
音で発音する(図44(A))。 (2)(1)でノートイベントが無ければ、前後所定区
間(例えば1小節)内にノートイベントが有るかどうか
チェックする。ノートイベントが有れば、そのうちの最
も近いノートイベントの音で発音する(図44
(B))。 (3)(2)でもノートイベントがなければ、パッド操
作時点における制御対象パート以外のパートの音を探
し、見つかった音からコードを検出し、該コード構成音
のうち、少なくとも1つを発音する(メロディパート、
ベースパートの時は1音を発音、コード1、2パートの
時は複数音を発音)。といった具合にしてもよい。
【0098】次に、他の実施の形態について説明する。
この実施の形態においては、前述の形態とは次の点で異
なる。 (1)厳密な調検出やコード検出を行うことなく、スケ
ール音、コード音を決定する。 (2)いずれかのフレットスイッチを押しながらパッド
を操作したときはアドリブ演奏モード、フレットスイッ
チを押さずにパッドを操作したときはシーケンス演奏モ
ードに自動的に切り替わる。 (3)アドリブ演奏モードにおいて、発音中にフレット
スイッチをオフしたら、その時点で鳴っている自動演奏
楽音のうちのいずれか最も近い音高へと自動的に移行す
る。その後、再度フレットスイッチが操作されるか、ま
たはパッドが操作されるまで、その時点で鳴っている自
動演奏楽音のうちのいずれか最も近い音高へと自動的に
移行する動作が継続する(アドリブ追従モード)。
【0099】図45から図51を用いて、他の実施の形
態について詳しく説明する。なお、ここでは前述の装置
と異なる部分のみを説明する。図45はスケール音検出
処理を示すフローチャートである。この処理は、前述の
図13におけるステップs14の調検出、及びステップ
s17の音階割り当てテーブル作成の代わりに実行され
るものである(その他の処理は省略した)。ステップs
351にて、曲全体で出現する音数、或いは数×音価
(音の長さ)を、各音名毎に求め、多いほうから順位を
付ける。ステップs352では順位付けされた音名のう
ち、上位7音をスケール音として決定し、それに基づい
て音階割り当てテーブルを作成する。すなわち最も多く
出現する7音を、楽曲の調におけるスケール音とほぼ等
価であると見なし、上位7音をその楽曲のスケール音と
してしまうのである。このようにすると、複雑な調検出
のアルゴリズムが不要となり、装置を簡略化することが
出来る。
【0100】図46はパッド音発音処理を示すフローチ
ャートである。この処理は前述の図24に代わる処理で
ある。まずステップs361において、いずれかのフレ
ットスイッチがオンされているか否かを判断する。フレ
ットスイッチがオンされているときは、ステップs36
2にてモードをアドリブ演奏モードに設定すると同時
に、アドリブ追従モード(後述)も解除する。その後ス
テップs363にてアドリブ演奏音決定処理を実行した
後、ステップs364で、決定した音で発音させる。一
方、すべてのフレットスイッチが離された状態でパッド
の操作があったときは、ステップs365にてモードを
シーケンス演奏モードに設定し、ステップs366でシ
ーケンス演奏音を発音させる。このステップs366の
処理は前述のシーケンスモードにおける処理と同様の処
理であり、ここでの詳細説明は省略する。
【0101】図47は前述のステップs363における
アドリブ演奏音決定処理を示すフローチャートであり、
コード音の音階で発音する場合である。ステップs37
1において、自動演奏(ドラムパート以外のパート)に
おいて現在発音されているすべての音名をサーチする。
ステップs372では、見つかった音名に基づいて音階
割り当てテーブルを作成する。すなわち、パッドが操作
された時点で、自動演奏において発音されている音名
を、その時点におけるコード構成音とほぼ等価であると
見なしている。このようにすると、複雑なコード検出の
アルゴリズムが不要となり、装置を簡略化することが出
来る。なお、パッドが操作された時点を含む所定区間
(例えば1拍)の間に発生する音名を検出し、その時点
におけるコード構成音としてもよい。そして、ステップ
s373で操作されているフレットに対応する音を音階
割り当てテーブルから探し、発音する音を決定する。
【0102】図48は前述のステップs363における
アドリブ演奏音決定処理を示すフローチャートであり、
スケール音の音階で発音する場合である。スケール音の
音階割り当てテーブルは前述のステップs352におい
て作成されているので、ステップs381では操作され
ているフレットに対応する音を音階割り当てテーブルか
ら探し、発音する音を決定する。
【0103】図49は前述のステップs363における
アドリブ演奏音決定処理を示すフローチャートであり、
コード音とスケール音が混合された音階で発音する場合
である。すなわち、自動演奏において鳴っている音名が
7音に満たない場合や、8音以上ある場合に、スケール
音を考慮することによって7音にそろえるようにする。
まずステップs391にて、自動演奏(ドラムパート以
外のパート)において現在発音されているすべての音名
をサーチする。次にステップs392で、見つかった音
名が7音であるか否かを判断し、7音であった場合はス
テップs393でその7音を元に音階割り当てテーブル
を作成する。ステップs392で7音ではないと判断さ
れたとき、ステップs394で7音よりも少ないか、そ
れとも多いかを判断する。7音よりも少ないときは、ス
テップs395で7音になるようにスケール音のうちの
上位の音名の中で、コード音に含まれていない音を加え
て7音にする。ステップs394で7音よりも多いと判
断されたときは、ステップs396でいずれかの音を削
除して7音とする。このとき、削除する音はスケール音
の上位に無い音を優先的に削除する。そしてステップs
393でその7音を元に音階割り当てテーブルを作成す
る。これらの後、ステップs397において、操作され
ているフレットに対応する音を音階割り当てテーブルか
ら探し、発音する音を決定する。このようにすると、次
のような利点がある。スケール音のみによって音階を決
定する方法は、曲が進行しても音階が変化しないため、
パッド操作時点におけるコードとの相性が悪い音が発生
する可能性がある。一方、コード音のみによって音階を
作成する方法は、コード進行に伴って逐次音階が変化す
るので、パッド操作時点におけるコードとの相性は非常
によいが、常にコード構成音しかならないため、単調で
表現力に乏しい。コード音の足りないところをスケール
音で補うようにすると、コード進行と相性の良い音が出
る確率が高いと共に、たまにコード構成音にはない音が
でることがあり、単調さをなくすことが出来る。しかも
その音はスケール音であるので、音楽的にそれほどおか
しくなることはない。
【0104】図50はフレットスイッチ処理を示すフロ
ーチャートである。この処理は図22のフレットスイッ
チ処理に代わる処理である。ステップs401におい
て、フレットスイッチがオンされたのか、それともオフ
されたのかを判断する。オンされたときは、該オンされ
たフレットスイッチの位置を得る。ステップs403に
て、現在アドリブ追従モードであるか否か、ステップs
404で現在発音中であるか否かを判断する。両者とも
にYESであれば、ステップs405で前述のアドリブ
演奏音決定処理を実行し、その後、ステップs406に
おいて、決定したピッチにて、ポルタメントコントロー
ルコマンドを音源回路へ出力する。これにより、それま
で発音していた楽音は、ステップs405にて決定され
たピッチへと滑らかに変化する。このアドリブ追従モー
ドは、アドリブ演奏によって発生された楽音が非コード
構成音であり、それが長時間継続して発音していると、
他の自動演奏のパートと協和しなくなり、耳障りになる
ことがある。これを防ぐため、フレットスイッチをオフ
しており、すぐにアドリブ演奏を続ける意志がないと判
断されるときは、このアドリブ追従モードに自動的に移
行するようにしている。
【0105】一方、ステップs401でフレットスイッ
チがオフされたと判断されたとき、ステップs407で
その時点で発音中であるか否かを判断する。フレットス
イッチをオフする前にミュートスイッチを操作している
場合は、ここでの判断はNOとなるが、それ以外の時は
YESと判断される。ステップs408では自動演奏に
おいて現在鳴っているすべての音をサーチし、その時点
での疑似コード構成音を検出する。ステップs409で
は見つかった音の中で発音中の音に最も近い音を探し、
新たに発音する音として決定する。そして、ステップs
410でアドリブ追従モードに設定する。
【0106】図51は発音ピッチ変更処理を示すフロー
チャートであり、所定時間(例えば100ms)毎に実
行される処理である。この処理に対応する処理は、前述
の実施の形態にはない。アドリブ追従モードのための処
理である。まずステップs411にてアドリブ追従モー
ドに設定されているか否かを判断し、設定されていれ
ば、ステップs412で現在アドリブ演奏音が発音中で
あるか否かが判断される。発音中であれば、ステップs
413で自動演奏において現在鳴っているすべての音を
サーチする。ステップs414では見つかった音の中に
前記発音中の音が無いか否かを判断し、無ければ、ステ
ップs415で見つかった音の中で、発音中の音に最も
近い音を探し、新たに発音する音を決定する。そして、
ステップs416にて、決定したピッチにて、ポルタメ
ントコントロールコマンドを音源回路へ出力する。これ
により、それまで発音していた楽音は、ステップs41
5にて決定されたピッチへと滑らかに変化する。
【0107】なお、次のような変形も可能である。フレ
ットスイッチは1列のみ配置したが、ギターの弦のよう
に複数列配置してもよい。このとき、アドリブ演奏なら
ば各スイッチ列毎にスケールを異ならせたり、音域を異
ならせたりすることが出来る。また、シーケンス演奏な
らば各スイッチ列毎に演奏するパートを異ならせたり、
音域を異ならせたりすることが出来る。また、フレット
部をスイッチにて構成するものに限らず、感圧センサな
どにより構成することもできる。メロディモード2やバ
ッキングパートの演奏において、パッド操作による発音
開始から所定時間以内に次の音が読み出されていたら、
その時点で次の音のピッチに移行するようにしてもよ
い。すなわち、本来は次の音のピッチで発音開始させる
つもりであったのに、若干早めにパッド操作をしてしま
い、前の音で発音しはじめてしまった場合にも、本来の
意図した音で演奏をすることが出来る。
【0108】制御対象パートに含まれるコントロールチ
ェンジデータは無視するような例を示したが、これらの
データも有効とするようにしてもよい。操作者による演
奏の時、ノートイベントのベロシティはパッド操作から
得られた値を用いるようにしたが、本来のノートイベン
ト中に含まれるベロシティの値をそのまま用いてもよい
し、パッド操作のベロシティとノートイベントに含まれ
るベロシティを合成して、両者の中間のベロシティとし
てもよい。形状はギタータイプの楽器に限らない。操作
子も、パッドに限らず、スイッチであってもよい。要
は、少なくともパッド等の演奏のための操作子を有して
いればよい。
【0109】上述したすべての機能を1つの電子楽器で
実現する必要はなく、個々の機能を単独で搭載していて
もよい。曲データはメモリカートリッジで供給するほ
か、MIDIインターフェースを介して供給するように
してもよいし、各種通信手段を用いて供給するようにし
てもよい。さらに背景映像を表示できるようにしてもよ
い。
【0110】操作者による操作の善し悪しを採点しても
よい。また、採点結果を各種モードの制御に反映させて
もよい。例えば、採点結果が良ければより高度な演奏方
法のモードに切り替え、逆に採点結果が悪ければより簡
単な演奏方法のモードに切り替えるようにしてもよい。
また、採点結果が良ければ拍手を、採点結果が良くなけ
ればブーイングを発音するようにしてもよい。また、演
奏途中での採点結果が悪い場合に、途中で操作者による
演奏に代えて、自動演奏に移行するようにしてもよい。
各種スイッチの種類や、操作性(どのように操作すると
どのような機能が実行されるか、など)は任意であって
よい。 複数台の電子楽器を接続して、それぞれが異な
るパートを担当してアンサンブル演奏をするようにして
もよい。その場合、演奏データを各楽器間でやり取りを
して、全部の楽器の動作を総合的に制御するようにして
もよいし、制御は1つの楽器が集中して担当し、その他
の楽器は操作情報のみを1つの楽器に対して送信するだ
けという形式にしてもよい。
【0111】最後に、本発明の電子楽器に関連する電子
楽器の実施の形態として、次のようなものがあることを
付記しておく。 (1)第1の操作子と、第2の操作子と、演奏データを
記憶した記憶手段と、第1の操作子の操作に応じて、前
記記憶手段から演奏データを読み出して音源回路に対し
て該演奏データに基づく発音を指示する読み出し手段で
あって、第1の操作子の操作毎に演奏位置を更新すると
ともに、既に発音指示されている音に関する消音を指示
するものと、第2の操作子の操作に応じて、音源回路に
対して消音を指示する消音指示手段と、を備えたことを
特徴とする電子楽器。上記構成によれば、第1の操作子
の操作がある毎に記憶手段から演奏データが読み出さ
れ、発音される。これと同時に、それまで発音されてい
た音が消音される。従って、第1の操作子を操作するだ
けで、レガート気味の演奏が可能となる。必要に応じて
第2の操作子を操作すれば、発音中の楽音を消音させる
ことが出来るので、スタッカート気味の演奏もできる。
【0112】(2)第1の操作子と、第2の操作子と、
演奏データを記憶した記憶手段と、演奏の進行に従っ
て、前記記憶手段から演奏データを順次読み出す読み出
し手段と、第1の操作子の操作に応じて、該操作時にお
いて前記記憶手段から読み出されている演奏データに対
応する発音を音源回路に対して指示するとともに、既に
発音指示されている音に関する消音を指示する発音消音
指示手段と、第2の操作子の操作に応じて、音源回路に
対して消音を指示する消音指示手段と、を備えたことを
特徴とする電子楽器。上記構成によれば、第1の操作子
の操作がある毎に、その時点において記憶手段から読み
出されている演奏データに基づく発音がなされる。これ
と同時に、それまで発音されていた音が消音される。従
って、第1の操作子を操作するだけで、レガート気味の
演奏が可能となる。必要に応じて第2の操作子を操作す
れば、発音中の楽音を消音させることが出来るので、ス
タッカート気味の演奏もできる。また、第1の操作子の
操作が無くても演奏位置は順次更新されるため、操作者
は演奏位置を気にせずに第1の操作子を操作すればよ
い。
【0113】(3)第1の操作子と、第2の操作子と、
演奏データを記憶した記憶手段と、演奏の進行に従っ
て、前記記憶手段から演奏データを順次読み出す読み出
し手段と、第2の操作子の操作に応じて、前記読み出し
手段により読み出された演奏データの音高を変更する音
高変更手段と、第1の操作子の操作に応じて、該操作時
において前記記憶手段から読み出され、前記音高変更手
段により変更された音高を有する演奏データに対応する
発音を音源回路に対して指示する発音指示手段と、を備
えたことを特徴とする電子楽器。上記構成によれば、第
2の操作子の操作により音高が変更制御された楽音が、
第1の操作子の操作により発音される。従って、記憶手
段に記憶された演奏データをそのまま発音させるものに
比べて、操作者の意図を楽音に反映させることが出来
る。
【0114】(4)複数の操作位置を有した第1の操作
子と、第2の操作子と、演奏データを記憶した記憶手段
と、前記演奏データの調またはコード進行にあった音階
を決定し、決定した音階を前記第1の操作子の複数の操
作位置へと割り当てる割り当て手段と、前記第2の操作
子の操作に応じて、前記第1の操作子において操作され
ている操作位置に割り当てられた音高に基づく発音を、
音源回路に対して指示する発音指示手段と、を備えたこ
とを特徴とする電子楽器。上記構成によれば、第1の操
作子の操作位置に応じてた音高の楽音が、第2の操作子
の操作により発音される。このとき、発音される音高は
曲の調やコード進行にあった音高であるので、曲にマッ
チしたアドリブ演奏を簡単に演奏することが出来る。
【0115】(5)上述した(4)に記載の電子楽器で
あって、前記割り当て手段は前記演奏データの調または
コード進行にあった音階を複数種類決定するものであ
り、そのうちの選択された1つの音階が前記第1の操作
子の複数の操作位置へと割り当てられることを特徴とす
る電子楽器。このようにすると、アドリブ演奏の雰囲気
を変えることが出来る。
【0116】(6)複数の操作位置を有した第1の操作
子と、第2の操作子と、演奏データを記憶した記憶手段
と、前記演奏データ中に含まれる各音名の出現度合いを
求め、度合いの高い上位複数個を前記演奏のスケール音
として決定し、決定したスケール音を前記第1の操作子
の複数の操作位置へと割り当てる割り当て手段と、前記
第2の操作子の操作に応じて、前記第1の操作子におい
て操作されている操作位置に割り当てられた音高に基づ
く発音を、音源回路に対して指示する発音指示手段と、
を備えたことを特徴とする電子楽器。上記構成によれ
ば、曲の中に含まれる各音名の出現度合いが高い音を、
スケール音と見なすようにしている。複雑な調検出のア
ルゴリズムを用いることなく、曲にあった音を用いてア
ドリブ演奏をすることが可能となる。
【0117】(7)複数の操作位置を有した第1の操作
子と、第2の操作子と、演奏データを記憶した記憶手段
と、演奏の進行に従って、前記記憶手段から演奏データ
を順次読み出す読み出し手段と、前記第2の操作子が操
作された時点において、前記読み出し手段により読み出
されている演奏データに含まれる複数の音名を検出し、
該検出された複数の音名をコード構成音として決定し、
決定したコード構成音を前記第1の操作子の複数の操作
位置へと割り当てる割り当て手段と、前記第2の操作子
の操作に応じて、前記第1の操作子において操作されて
いる操作位置に割り当てられた音高に基づく発音を、音
源回路に対して指示する発音指示手段と、を備えたこと
を特徴とする電子楽器。上記構成によれば、第2の操作
子が操作された時点において、読み出し手段により読み
出されている複数の音名を、その時点におけるコード構
成音と見なすようにしている。複雑なコード検出のアル
ゴリズムを用いることなく、曲にあった音を用いてアド
リブ演奏をすることが可能となる。
【0118】(8)複数の操作位置を有した第1の操作
子と、第2の操作子と、演奏データを記憶した記憶手段
と、演奏の進行に従って、前記記憶手段から演奏データ
を順次読み出す読み出し手段と、前記演奏データ中に含
まれる各音名の出現度合いを求め、度合いの高い上位複
数個を前記演奏のスケール音として決定するスケール音
決定手段と、前記第2の操作子が操作された時点におい
て、前記読み出し手段により読み出されている演奏デー
タに含まれる複数の音名を検出し、該検出された複数の
音名をコード構成音として決定し、決定したコード構成
音を前記第1の操作子の複数の操作位置へと割り当てる
割り当て手段であって、検出された複数の音名が、所定
数に達していない場合、前記決定されたスケール音の中
からいずれかを選択して前記コード構成音に加え、所定
数になるようにするものと、前記第2の操作子の操作に
応じて、前記第1の操作子において操作されている操作
位置に割り当てられた音高に基づく発音を、音源回路に
対して指示する発音指示手段と、を備えたことを特徴と
する電子楽器。上記構成によれば、第2の操作子が操作
された時点において、読み出し手段により読み出されて
いる複数の音名を、その時点におけるコード構成音と見
なすとともに、該複数の音名が所定数に達していないと
きは、曲の中に存在する各音名のうち、出現度合いの高
いものを前記コード構成音に加えるようにしている。こ
のようにすると、コード構成音以外の音もアドリブ演奏
時に発音されることがあり、演奏が単調になることがな
い。
【0119】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の電子楽
器においては、簡単な操作により、初心者であっても表
現力の高い演奏を楽しむことが出来るという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態における電子楽器の外観を
示す図である。
【図2】 本発明の実施形態におけるパネルスイッチP
Sの詳細を示す図である。
【図3】 本発明の実施形態におけるハード構成の概略
ブロックを示す図である。
【図4】 本発明の実施形態におけるシーケンスモード
におけるメロディモード1の演奏例を示す図である。
【図5】 本発明の実施形態におけるシーケンスモード
におけるメロディモード2の演奏例を示す図である。
【図6】 本発明の実施形態における音階割り当てテー
ブルを示す図である。
【図7】 本発明の実施形態における演奏曲の元データ
を示すシーケンスデータを示す図である。
【図8】 本発明の実施形態におけるパッド操作によっ
て読み出される複数種類の制御対象パート(メロディパ
ート、ベースパート、コード1パート、コード2パー
ト)のデータを示す図である。
【図9】 本発明の実施形態におけるメロディパートの
データを示す図である。
【図10】 本発明の実施形態における発音範囲規制テ
ーブル及び発音範囲規制テーブルによって発音音高のオ
クターブが制御される例を示す図である。
【図11】 本発明の実施形態におけるディスプレイD
における表示例を示す図である。
【図12】 本発明の実施形態におけるパネルスイッチ
処理のフローチャートを示す図である。
【図13】 本発明の実施形態における曲選択スイッチ
処理のフローチャートを示す図である。
【図14】 本発明の実施形態におけるスタート/スト
ップスイッチ処理のフローチャートを示す図である。
【図15】 本発明の実施形態における制御対象パート
選択スイッチ処理のフローチャートを示す図である。
【図16】 本発明の実施形態におけるシーケンススイ
ッチ処理のフローチャートを示す図である。
【図17】 本発明の実施形態におけるメロディモード
切り替え処理のフローチャートを示す図である。
【図18】 本発明の実施形態における音階選択スイッ
チ処理のフローチャートを示す図である。
【図19】 本発明の実施形態におけるアドリブスイッ
チ処理のフローチャートを示す図である。
【図20】 本発明の実施形態におけるパニックスイッ
チ処理のフローチャートを示す図である。
【図21】 本発明の実施形態におけるミュートスイッ
チ処理のフローチャートを示す図である。
【図22】 本発明の実施形態におけるフレットスイッ
チ処理のフローチャートを示す図である。
【図23】 本発明の実施形態におけるパッド打撃セン
サ処理のフローチャートを示す図である。
【図24】 本発明の実施形態におけるパッド発音処理
のフローチャートを示す図である。
【図25】 本発明の実施形態におけるメロディモード
2及び非メロディパート処理のフローチャートを示す図
である。
【図26】 本発明の実施形態における第1の音色変更
処理のフローチャートを示す図である。
【図27】 本発明の実施形態における第2の音色変更
処理のフローチャートを示す図である。
【図28】 本発明の実施形態におけるアドリブ処理の
フローチャートを示す図である。
【図29】 本発明の実施形態における自動演奏処理の
フローチャートを示す図である。
【図30】 本発明の実施形態における演奏イベント処
理のフローチャートを示す図である。
【図31】 本発明の実施形態における歌詞イベント処
理のフローチャートを示す図である。
【図32】 本発明の実施形態におけるエンドデータ処
理のフローチャートを示す図である。
【図33】 本発明の実施形態における先読み表示処理
のフローチャートを示す図である。
【図34】 本発明の実施形態における制御対象パート
読み出し処理のフローチャートを示す図である。
【図35】 本発明の実施形態におけるメロディパート
イベント処理のフローチャートを示す図である。
【図36】 本発明の実施形態におけるベースパートイ
ベント処理のフローチャートを示す図である。
【図37】 本発明の実施形態におけるコード1パート
イベント処理のフローチャートを示す図である。
【図38】 本発明の実施形態におけるコード2パート
イベント処理のフローチャートを示す図である。
【図39】 本発明の実施形態におけるフレットアフタ
タッチセンサ処理のフローチャートを示す図である。
【図40】 本発明の実施形態におけるパッドアフタタ
ッチセンサ処理のフローチャートを示す図である。
【図41】 本発明の実施形態におけるパッド回転セン
サ処理のフローチャートを示す図である。
【図42】 本発明の実施形態におけるホイールセンサ
処理のフローチャートを示す図である。
【図43】 本発明の実施形態におけるミュートスイッ
チ圧力センサ処理のフローチャートを示す図である。
【図44】 本発明の実施形態における無発音期間にお
いて発音すべきノートイベントを決定する方法を示す図
である。
【図45】 本発明の実施形態におけるスケール音検出
処理のフローチャートを示す図である。
【図46】 本発明の実施形態におけるパッド音発音処
理のフローチャートを示す図である。
【図47】 本発明の実施形態におけるアドリブ演奏音
決定処理(コード音)のフローチャートを示す図であ
る。
【図48】 本発明の実施形態におけるアドリブ演奏音
決定処理(スケール音)のフローチャートを示す図であ
る。
【図49】 本発明の実施形態におけるアドリブ演奏音
決定処理(コード音+スケール音)のフローチャートを
示す図である。
【図50】 本発明の実施形態におけるフレットスイッ
チ処理のフローチャートを示す図である。
【図51】 本発明の実施形態における発音ピッチ変更
処理のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1…CPU、3…ROM、4…RAM、9…音源回路、
P…パッド、D…表示回路、MC…ミュージックカート
リッジ、PS…パネルスイッチ、FS…フレットスイッ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳥村 浩之 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 (72)発明者 知花 昌信 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 Fターム(参考) 5D378 KK06 KK16 KK19 SD04 SD06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の操作子と、 第2の操作子と、 第1及び第2の演奏データを記憶した記憶手段と、 第1の操作子の操作に応じて、前記記憶手段から第1の
    演奏データを読み出して音源回路に対して該第1の演奏
    データに基づく発音を指示する第1の読み出し手段であ
    って、第1の操作子の操作毎に演奏位置を更新するもの
    と、 演奏の進行に従って、前記記憶手段から第2の演奏デー
    タを順次読み出して音源回路に対して該第2の演奏デー
    タに基づく発音を指示する第2の読み出し手段と、 第1の読み出し手段により読み出された第1の演奏デー
    タによる発音と、第2の読み出し手段により読み出され
    た第2の演奏データによる発音のいずれか一方を選択的
    に有効とする切り替え手段であって、第1の読み出し手
    段による発音が有効となっている状態で、第2の操作子
    の操作があったとき、第1の読み出し手段による発音に
    代えて、第2の読み出し手段による発音を有効とするも
    のと、を備えたことを特徴とする電子楽器。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電子楽器であって、前
    記切り替え手段は、第2の読み出し手段による発音が有
    効となっている状態で、第1の操作子の操作があったと
    き、第2の読み出し手段による発音に代えて、第1の読
    み出し手段による発音を有効とすることを特徴とする電
    子楽器。
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