JP2002179864A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JP2002179864A
JP2002179864A JP2000381960A JP2000381960A JP2002179864A JP 2002179864 A JP2002179864 A JP 2002179864A JP 2000381960 A JP2000381960 A JP 2000381960A JP 2000381960 A JP2000381960 A JP 2000381960A JP 2002179864 A JP2002179864 A JP 2002179864A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
propylene
styrene
graft
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000381960A
Other languages
English (en)
Inventor
Masatake Uchikawa
正剛 内川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
A&M Styrene Co Ltd
Original Assignee
A&M Styrene Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by A&M Styrene Co Ltd filed Critical A&M Styrene Co Ltd
Priority to JP2000381960A priority Critical patent/JP2002179864A/ja
Publication of JP2002179864A publication Critical patent/JP2002179864A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチレン系樹脂本来の優れた成形性、剛性、
寸法安定性、着色時外観に加え、優れた耐熱性及び耐油
性、耐薬品性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供するこ
と。 【解決手段】 スチレン系樹脂(A)とプロピレン系樹
脂(B)とを含む樹脂組成物において、相溶化剤(C)
として、2−ブタノン不溶部が、結晶化度が20%以上
のプロピレン部分を有し、グラフト率の指標Grが0.
05以上、平均グラフト本数の指標Gnが0.5以上で
あり、重量平均分子量(Mw)が60万以下である、グ
ラフト変性プロピレン系樹脂を用いることを特徴とする
樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相溶性が良好であ
り、耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐衝撃性、剛性、寸法
安定性及び外観に優れた、スチレン系樹脂とプロピレン
系樹脂からなる樹脂組成物及びそれからなる成形体に関
する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は成形加工性、耐衝撃
性、剛性、耐油性等の良好なバランスを有する汎用樹脂
として、各種容器、家庭用品、玩具、事務用品などの雑
貨用及び各種弱電機器の部品、ハウジングなどの工業用
品などに広く使用されている。近年これらの分野のなか
で、スチレン系樹脂の特性に加えて耐熱性、耐薬品性を
兼ね備える材料への要望が、特に強くなっている。例え
ば、スチレン系樹脂の主要用途分野において、熱暴露に
より変形する問題や、洗浄剤の進歩に伴っていわゆるス
トレスクラックが発生する等の問題が生じているが、従
来技術ではこれに充分に対応する事ができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】スチレン系樹脂の特性
を失わずに耐熱性を改良したものとして、例えば特開昭
62−94539号公報に開示されているように、スチ
レン−(メタ)アクリル酸系共重合体よりなる成形体が
挙げられる。しかしながら、スチレン−(メタ)アクリ
ル酸系共重合体の成形体は、耐熱性は優れるものの、耐
薬品性が劣る欠点を有する。スチレン系樹脂からなる成
形体の問題に対応して耐熱性、耐薬品性を要する用途に
は、例えばプロピレン系樹脂が使用されている。しかし
ながら、プロピレン系樹脂を使用した成形体は、剛性に
乏しく、また、結晶性樹脂であるために寸法安定性が悪
くまた、ある種の成形法においてはその成形性に劣ると
いった欠点を有している。
【0004】スチレン系樹脂の成形性、剛性とプロピレ
ン系樹脂の耐熱性、耐薬品性の両者を満足させるため、
プロピレン系樹脂にスチレンをグラフトさせる方法(特
開平10−158424号公報)、プロピレン系樹脂に
スチレン系樹脂をブレンドする方法(特公昭43−13
375号公報)が開示されているが、これらはポリスチ
レンの配合量が少なく、したがって耐熱性、耐薬品性は
優れるものの、架橋などの工程を必要とし、得られた発
泡体の剛性が劣るなどの欠点を有している。また、スチ
レン系樹脂とプロピレン系樹脂の相溶化剤として水添S
IS、水添SEBSなどを用いると、微分散は達成され
るものの相溶化剤自身の耐薬品性が劣る為、得られた成
形品の耐薬品性が劣るという問題があった。
【0005】一方、従来のグラフト変性プロピレン系樹
脂(PP−g−PS体)は相溶化剤として用いても、そ
の役割を充分果たす事が出来なかった。プロピレン系重
合体の耐熱性、耐薬品性等の優れた長所と、スチレン系
重合体の剛性、耐衝撃性、真空成形性等の優れた長所と
を併せ持った複合材料として、プロピレン重合体樹脂、
スチレン含有重合体樹脂及び改質プロピレン共重合体樹
脂からなる熱可塑性樹脂が開示されたが(特開昭59−
217742号公報)、外観において十分満足できるも
のではなかった。また、プロピレン系重合体とスチレン
系重合体よりなる樹脂組成物に比べて、表面性、耐熱変
形性、剛性、防湿性、などがバランス良く優れる材料と
して、プロピレン系重合体とスチレン系重合体とからな
る樹脂組成物に、溶融状態のプロピレン系重合体に芳香
族ビニル単量体を溶融混練重合反応して得られた変性プ
ロピレン系重合体を加えた熱可塑性樹脂が開示されたが
(特開平5−59232号公報)、寸法安定性に問題が
あり、また着色時に色むらがあり市場の要求を満たすも
のではなかった。本発明は、かかる従来の問題点に鑑み
てなされたもので、スチレン系樹脂本来の優れた成形
性、剛性に加え、優れた耐熱性、耐薬品性および耐油性
を有するスチレン系樹脂組成物及びその成形体を提供す
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の問題
点を解決するため鋭意検討を重ねた結果、スチレン系樹
脂とプロピレン系樹脂に、相溶化剤として特定のグラフ
ト変性プロピレン系樹脂(PP−g−PS体)を使用す
ることにより前記の課題を解決し、相溶性が良好で、耐
熱性、耐薬品性、耐油性、耐衝撃性、剛性、及び引張り
強度、並びに寸法安定性、着色時外観に優れる樹脂組成
物を見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、ス
チレン系樹脂(A)、プロピレン系樹脂(B)、及び相
溶化剤として結晶化度が20%以上のプロピレン部分を
有し、後述する式(1)で表されるグラフト率の指標G
rが0.05以上、後述する式(2)で表される平均グ
ラフト本数の指標Gnが0.5以上であり、グラフト変
性プロピレン系樹脂の2−ブタノン不溶部のポリプロピ
レン換算重量平均分子量(Mw)が60万以下であるグ
ラフト変性プロピレン系樹脂(PP−g−PS体)
(C)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物
である。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明で用いるスチレン系樹脂(A)としては、スチレン
系単量体を単独もしくは共重合させた樹脂、ゴム変性ス
チレン系樹脂を用いることができる。スチレン系単量体
を単独もしくは共重合させた樹脂におけるスチレン系単
量体としては、スチレンの他、α−メチルスチレン、α
−メチルp−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、t−ブチル
スチレンあるいはブロモスチレン、クロロスチレン、イ
ンデンなどが挙げられるがスチレンが好ましい。これら
のスチレン系単量体は二種以上使用することができる。
【0008】また、本発明では、必要に応じ、スチレン
系単量体と共重合可能な他の不飽和単量体を組み合わせ
て使用しても良い。共重合可能な他の不飽和単量体とし
ては、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン
酸やアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等の
(メタ)アクリル酸エステルなどの不飽和カルボン酸の
アルキルエステル、更にアクリロニトリル、無水マレイ
ン酸、フェレニルマレイミドなどが挙げられる。これら
は、2種以上組み合わせて使用することがきる。
【0009】ゴム変性スチレン系樹脂は、共役ジエン系
ゴムの存在下、上記したスチレン系単量体を重合させる
ことにより製造することができる。共役ジエン系ゴムと
しては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、
ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体などを使用するこ
とができるが、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエ
ン共重合体が好ましい。ポリブタジエンはシス含有率の
高いハイシスポリブタジエン、シス含有率の低いローシ
スポリブタジエンのいづれも用いることができる。ま
た、スチレン−ブタジエン共重合体は、ランダム構造、
ブロック構造のいづれも用いることができる。これらの
共役ジエン系ゴムは一種もしくは二種以上使用すること
ができる。
【0010】本発明における(A)成分としては、ゴム
変性スチレン系樹脂、またはゴム変性スチレン系樹脂と
非ゴム変性のスチレン系樹脂を組み合わせて用いること
が好ましく、(A)成分中の好ましい共役ジエン系ゴム
の含有量は1〜15重量%である。ゴムの含有量が1重
量%より少ないと耐衝撃性が低下し、また15重量%を
越えると表面外観が悪化し、また剛性が低下して好まし
くない。好ましい平均ゴム粒子径は0.15〜2.5μ
mの範囲である。平均ゴム粒子径が0.15より小さい
と耐衝撃性が充分でなく、2.5μmを越えると良好な
表面外観が得られず好ましくない。
【0011】本発明で用いるプロピレン系樹脂(B)と
しては、プロピレン単量体を主成分として重合した結晶
性のポリマーであれば特に制限はなく、エチレン、ブテ
ン、2−メチルペンテン−1のような共重合可能な単量
体単位を含んでいてもかまわない。特に好ましいプロピ
レン系樹脂としては、ポリプロピレン単独重合樹脂、プ
ロピレン単量体単位とエチレン単量体単位のブロック共
重合樹脂である。
【0012】本発明で用いる相溶化剤、即ちグラフト変
性プロピレン系樹脂(C)としては、結晶化度20%以
上のプロピレン部分を有し、次式(1)で表されるGr
が0.05以上、次式(2)で表されるGnが0.5以
上であり、グラフト変性プロピレン系樹脂の2−ブタノ
ン不溶部のポリプロピレン換算重量平均分子量(Mw)
が60万以下であるグラフト変性プロピレン系樹脂(P
P−g−PS体)である。 Gr=Wps/Wpp・・・(1) Gn=(Gr/Mn_ps)×105 ・・・(2) (ここで、Wps、Wppはグラフト変性プロピレン系
樹脂の2−ブタノン不溶部のスチレン系樹脂、プロピレ
ン系樹脂の重量分率。Mn_psはグラフト変性プロピ
レン系樹脂の2−ブタノン可溶部のポリスチレン換算数
平均分子量。)グラフト変性プロピレン系樹脂のプロピ
レン部分の結晶化度が20%未満では、樹脂組成物とし
た場合の耐熱性、耐薬品性が劣る。結晶化度が30%以
上のプロピレン部分を有するグラフト変性プロピレン系
樹脂がより好ましい。
【0013】Grはグラフト変性プロピレン系樹脂中の
スチレン系樹脂部分とプロピレン系樹脂部分の重量比を
表し、Grが0.05未満ではグラフトスチレン系樹脂
部分が少なく、スチレン系樹脂(A)とプロピレン系樹
脂(B)の相溶化が十分でないため、外観、強度が劣
る。Gnはプロピレン系樹脂部分の単位重量あたりのグ
ラフトスチレン系樹脂部分の本数の多少を表し、Gnが
0.5未満ではグラフトスチレン系樹脂部分の本数が少
なく、スチレン系樹脂(A)とプロピレン系樹脂(B)
の相溶化が十分でないため、外観、強度が劣る。
【0014】さらに、グラフト変性プロピレン系樹脂の
2−ブタノン不溶部のポリプロピレン換算重量平均分子
量(Mw)が60万以上では、スチレン系樹脂とプロピ
レン系樹脂の相溶化が不十分となり、寸法安定性が低下
したり、あるいは得られた成形品の外観が悪くなる。重
量平均分子量の好ましい下限は3万である。3万以下で
は耐薬品性が十分でなくなるおそれがある。相溶化剤と
して上記した様に、結晶化度20%以上のプロピレン部
分を有し、グラフト率の指標Grが0.05以上、平均
グラフト本数の指標Gnが0.5以上であり、グラフト
変性プロピレン系樹脂の2−ブタノン不溶部のポリプロ
ピレン換算重量平均分子量が60万以下であるグラフト
変性ポリプロピレン系樹脂を用いることによりスチレン
系樹脂とプロピレン系樹脂の相溶化と成形品の耐薬品性
が同時に解決される。
【0015】スチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂の
アロイに結晶化度が高いPP−g−PS体を用いると、
PP−g−PSの耐油性が高いため、スチレン系樹脂と
ポリプロピレン系樹脂のアロイの各種成形品、発泡体の
耐油性が向上する。しかしながら、通常のPP−g−P
S体では相溶化能が不十分で、その結果耐熱性及び機械
的性質が好ましくない。ここにおいて、本発明による、
結晶化度が20%以上のプロピレン部分を有し、上記式
(1)で表されるGrが0.05以上であり、且つ上記
式(2)で表されるGnが0.5以上であり、グラフト
変性プロピレン系樹脂の2−ブタノン不溶部のポリプロ
ピレン換算重量平均分子量(Mw)が60万以下である
グラフト変性プロピレン系樹脂(PP−g−PS体)を
用いることにより相溶化能が向上し、実用物性を満足す
る樹脂組成物を実現することが出来るのである。
【0016】本発明の組成物において、スチレン系樹脂
(A)と、プロピレン系樹脂(B)との組成比はスチレ
ン系樹脂(A)50乃至95重量部、プロピレン系樹脂
(B)5乃至50重量部である事が好ましい。更に好ま
しくはスチレン系樹脂(A)60乃至85重量部、プロ
ピレン系樹脂(B)15乃至40重量部である。(A)
成分が50重量部以下では寸法安定性、剛性に劣り、9
5重量部を越えると充分な耐熱性、耐薬品性が得られな
い。
【0017】本発明組成物における相溶化剤、即ちグラ
フト変性プロピレン系樹脂(PP−g−PS体)(C)
の含有量は、スチレン系樹脂(A)と、プロピレン系樹
脂(B)とからなる樹脂組成物100重量部に対し、
0.1乃至30重量部が好ましく、更に好ましくは3乃
至20重量部である。該相溶化剤(C)の含有量が、
0.1重量部より低いと相溶性が十分でなく組成物の耐
衝撃性、寸法安定性が低く、また層状剥離が生じること
もあり好ましくない。また、該相溶化剤(C)の含有量
を30重量部より高くすることは経済的な面から言って
も必要ない。
【0018】本発明樹脂組成物の製造において、スチレ
ン系樹脂(A)、プロピレン系樹脂(B)及び相溶化剤
(C)の混合方法は、特に制限されるものではなく公知
の方法が利用できる。例えば、原料をタンブラーやヘン
シェルミキサーなどの高速撹拌機等を用いて均一混合し
た後、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機、
コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混練機を
用い溶融混練するなど通常公知の方法で得ることができ
る。また、原料の一部を事前に混練し、更に残りの原料
と2段階で混練する事も可能である。上記した構成成分
と該成分組成により、プロピレン系樹脂分散相を微細と
する事が出来る。そして本発明の目的であるスチレン系
樹脂、プロピレン系樹脂固有の特性を併せ持つ成形体の
実現を達成したのである。
【0019】本発明の樹脂組成物には必要に応じて通常
の熱可塑性樹脂に使用される任意の添加剤を配合するこ
とができる。例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、硫酸カルシウム、タルク等の無機充填剤、有
機繊維、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤、ス
テアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウ
ム、エチレンビスステアリルアミド等の滑剤、離形剤、
有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の可塑剤、ヒン
ダードフェール系、リン系等の酸化防止剤、難燃剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、ガラス繊維、炭素繊維、金属
ウィスカ等の補強剤、その他添加剤あるいはこれらの混
合物等が挙げられる。また、得られた熱可塑性組成物は
公知の任意の成形加工法、例えば、押出成形、射出成
形、中空成形、化学発泡、物理発泡等の成形加工法によ
って、シート、フィルム、各種形状の射出成形品、中空
成形品、圧空成形品、真空成形品、真空圧空成形品、発
泡成形品等多種の製品に成形加工することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】つぎに本発明を実施例に基づき詳
細に説明するが、本発明はかかる実施例に制限されるも
のではない。尚、実施例、比較例において用いた評価方
法は以下の通りである。実施例で用いた樹脂は以下の通
りである。 (A)スチレン系樹脂 非ゴム変性スチレン系樹脂として、エー・アンド・エム
スチレン株式会社製、G8102を用いた。また、ゴム
変性スチレン系樹脂として、エー・アンド・エムスチレ
ン株式会社製、H8672を用いた。 (B)プロピレン系樹脂 プロピレン系樹脂として、日本ポリケム株式会社製EC
−7を用いた。
【0021】<相溶化剤としてのグラフト変性プロピレ
ン系樹脂(C)の製造> <(C−1)の製造>内容量3Lのオートクレーブに純
水1400g、懸濁剤としてポリビニルアルコール14
gを加え、これにペレット状のプロピレン系樹脂(日本
ポリケム(株)製EA6)500gを仕込み、攪拌によ
り懸濁させた。別に重合開始剤としてパーブチルZ(日
本油脂(株)製)3.0gをスチレンモノマー500g
に溶解させ、これを前記懸濁系に投入し、オートクレー
ブ内温度を90℃に昇温させ、8時間保持して重合開始
剤を含むスチレンモノマーをプロピレン系樹脂ペレット
中に含浸させた。この懸濁液を105℃に昇温し、該温
度で2時間維持して重合反応させ、さらに120℃に昇
温し、該温度で5時間維持して重合を完結させた。冷却
後、内容物を取出して水洗し、脱水乾燥してグラフト変
性プロピレン系樹脂(C−1)を得た。(C−1)のプ
ロピレン部分の結晶化度は46%で、(C−1)の2−
ブタノン不溶部のGr=0.37、Gn=2.0、Mw
=20万であった。
【0022】<(C−2)の製造>内容量3Lのオート
クレーブに純水1400g、懸濁剤としてポリビニルア
ルコール14gを加え、これにペレット状のプロピレン
系樹脂(日本ポリケム(株)製EA6)500gを仕込
み、攪拌により懸濁させた。別に重合開始剤としてパー
ブチルZ1.0gをスチレンモノマー500gに溶解さ
せ、これを前記懸濁系に投入し、オートクレーブ内温度
を90℃に昇温させ、8時間保持して重合開始剤を含む
スチレンモノマーをプロピレン系樹脂ペレット中に含浸
させた。この懸濁液を100℃に昇温し、該温度で3時
間維持して重合反応させ、さらに120℃に昇温し、該
温度で5時間維持して重合を完結させた。冷却後、内容
物を取出して水洗し、脱水乾燥してグラフト変性プロピ
レン系樹脂(C−2)を得た。(C−2)のプロピレン
部分の結晶化度は52%で、(C−1)の2−ブタノン
不溶部のGr=0.2、Gn=0.15、Mw=55万
であった。
【0023】<(C−3)の製造>プロピレン系樹脂
(日本ポリケム(株)製TA8)を吐出量8kg/hで
バレル温度180℃に設定した30mm径二軸押出機に
供給し、途中からスチレンモノマー100重量部に対し
パーブチルZ1重量部を加えた混合液を2kg/hで液
添してグラフト重合反応させ、ベントで未反応のスチレ
ンモノマーを回収して、グラフト変性プロピレン系樹脂
(C−3)を得た。(C−3)のプロピレン部分の結晶
化度は45%で、(C−3)の2−ブタノン不溶部のG
r=0.04、Gn=0.4、Mw=70万であった。
【0024】<(C−4)の製造>プロピレン系樹脂と
して(C−3)を用いて、(C−3)と同様の操作を行
い、グラフト変性プロピレン系樹脂(C−4)を得た。
(C−4)のプロピレン部分の結晶化度は45%で、
(C−4)の2−ブタノン不溶部のGr=0.06、G
n=0.8、Mw=65万であった。 <(C−5)の製造>プロピレン系樹脂として(C−
4)を用いて、(C−3)と同様の操作を2回繰り返し
て行い、グラフト変性プロピレン系樹脂(C−5)を得
た。(C−5)のプロピレン部分の結晶化度は44%
で、(C−5)の2−ブタノン不溶部のGr=0.1
2、Gn=1.7、Mw=51万であった。
【0025】<(C−6)の製造>相溶化剤(C−6)
として、日本油脂(株)製モディパーA3101(PP
−g−PS体)を使用した。該A3101のプロピレン
部分の結晶化度は61%で、この2−ブタノン不溶部の
Gr=0.41、Gn=2.1、Mw=17万であっ
た。 <(C−7)の製造>プロピレン系樹脂として宇部レキ
セン(株)製ウベタックAPAO、UT2180を使用
した以外は(C−1)と同様の方法でグラフト変性プロ
ピレン系樹脂(C−7)を得た。(C−7)のプロピレ
ン部分の結晶化度は10%で、(C−7)の2−ブタノ
ン不溶部のGr=0.5、Gn=1.9、Mw=23万
であった。
【0026】上記グラフト変性プロピレン系樹脂の特性
の測定方法について説明する。 <グラフト変性プロピレン系樹脂の2―ブタノン不溶部
の分別>グラフト変性プロピレン系樹脂をo−ジクロロ
ベンゼンを用いて140℃で溶解した後、メタノールで
再沈させた。沈殿物を減圧乾燥させた後、2−ブタノン
を溶媒として、10時間ソックスレー抽出し、2−ブタ
ノン可溶部と2−ブタノン不溶部に分別した。
【0027】<グラフト変性プロピレン系樹脂中のP
S、PP組成(Wps、Wpp)>Nicolet社製
フーリエ変換赤外分光光度計Magna−IR550を
用い、グラフト変性プロピレン系樹脂の2−ブタノン不
溶部中のスチレン系樹脂とプロピレン系樹脂の重量分率
Wps、Wppは次式により算出した。 Wps=1/[1.53×D(972cm-1)・D(1
601cm-1)+1] Wpp=1−Wps ここで、D(972cm-1)とD(1601cm-1)は
それぞれ赤外吸収スペクトルの972cm-1と1601
cm-1におけるバックグランドを補正した吸光度であ
る。
【0028】<グラフト変性プロピレン系樹脂の結晶化
度測定方法>セイコー電子社製示差走査熱量測定装置S
SC−5200Hを使用し、グラフト変性プロピレン系
樹脂の2−ブタノン不溶部約5mgを窒素雰囲気中、室
温から200℃まで50℃/minの昇温速度で加熱溶
融した後、10℃/minで0℃まで冷却し、さらに、
10℃/minで加熱したときの融解熱量(ΔH)を測
定した。結晶化度は下記式で算出した。 結晶化度=ΔH÷(Wpp×209) ここで完全結晶時の結晶化エネルギーとして209J/
g(POLYMER HANDBOOK 3rd Ed. V/27)を使用した。
【0029】<グラフト変性プロピレン系樹脂の分子量
測定方法>ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GP
C)法で分析した。グラフト変性プロピレン系樹脂の2
−ブタノン可溶部は、東ソー社製システム8010装置
にカラムとして東ソー社製TSKgelGMH−HRH
を3本用い、移動相溶媒としてテトラヒドロフラン(流
量1ml/min)、および紫外可視検出器(波長25
4nm)を用いて、試料濃度約2mg/ml、カラム温
度40℃で測定した。グラフト変性プロピレン系樹脂の
2−ブタノン不溶部の分子量は、Water社製150
C装置にカラムとしてShodexAD−806MSを
3本用い、移動相溶媒としてオルトジクロロベンゼン
(流量1ml/min)、および赤外検出器(波長3.
42μm)を用いて、試料濃度約0.1%、カラム温度
140℃で測定した。いずれも標準ポリスチレンでGP
Cの較正曲線を作成し、2−ブタノン可溶部の分子量分
布はこの較正曲線から得られたポリスチレン換算分子量
を、また2−ブタノン不溶部はポリスチレン換算分子量
を下記の粘度式を用いてポリプロピレン換算した値を用
いた。 [η]=0.000108×M0.723 ポリスチレン換算 [η]=0.000242×M0.707 ポリプロピレン換
【0030】(熱可塑性樹脂組成物の実用物性) (耐油性測定方法)成形体の場合は、125mm×12
mm×6mmの短冊を成形し、n−へプタンに室温で2
4時間浸漬し、重量増加を測定し、試験サンプルの元重
量に対する比率として示した。 n−へプタン吸収量(%)=重量増加量(g)/試験サ
ンプル重量(g)×100
【0031】(耐薬品性測定方法)圧縮成形し、短冊型
に切った厚さ2mmの試験片を1/4楕円治具(長径2
50mm、短径150mm)に取り付け、表面にエタノ
ールを塗布し、室温(25℃)で24時間放置した後、
クラック、またはクレイズの発生位置を光学顕微鏡で読
みとった。楕円中心から長径方向への距離Xより臨界歪
み値(ε)を次式で算出した。臨界歪み値(ε)は大き
い程、薬品と接触した際に割れにくいことを表す。必要
な臨界歪み値は、使用条件(残留歪みなど)により異な
り、用途により異なるが、通常0.4%以上であれば薬
品により割れる可能性は低い。
【0032】
【数1】 ここで、aは楕円治具の長径、bは楕円治具の短径、t
は試験片厚みである。
【0033】(耐熱性の測定方法)ビカット軟化温度を
ISO306に従って測定した。 (寸法安定性の測定方法)成形収縮率をASTM−D9
55に従って測定した。 (剛性の測定方法)曲げ弾性率をISO178に従って
測定した。 (色むらの測定方法)目視により測定した。良好なるも
のを○で、不良なるものを×で表した。
【0034】
【実施例1〜7、比較例1〜6】表1に示した成分を表
1に示した量比で混合し、シリンダー温度200〜24
0℃に設定した二軸押出機にて溶融混練後、ペレタイズ
して樹脂組成物ペレットを得た。その後、射出成形によ
り各試験片を成形し、得られた試験片を用いて上記の評
価を行った。なお、比較例6で使用した相溶化剤「セプ
トン2104」は、クラレ(株)製のスチレン系熱可塑
性エラストマーであり、具体的にはスチレン−エチレン
−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)
である。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1に示したとおり、実施例1〜7におけ
る成形品は、スチレン系樹脂単独(比較例1)に比べて
耐熱性、耐薬品性がすぐれており、相溶化剤として熱可
塑性エラストマーを使用した場合(比較例6)やグラフ
ト変性プロピレン系樹脂のプロピレン部分の結晶化度が
低い場合(比較例5)に比べて耐熱性、耐油性および剛
性が優れている。また、相溶化剤として本発明の要件を
満たさないグラフト変性プロピレン系樹脂を使用した場
合(比較例2、3、4)に比べて、寸法安定性や着色時
の外観が優れている。以上の記載より、本発明における
熱可塑性樹脂組成物はスチレン系樹脂とプロピレン系樹
脂、および相溶化剤として特定のグラフト変性プロピレ
ン系樹脂を使用することで、はじめて、実用可能な相溶
性と優れた物性バランスを有する成形品を得ることがで
きる。
【0037】
【発明の効果】本発明のスチレン系樹脂とプロピレン系
樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物は、相溶性が良好であ
り、耐熱性、耐薬品性、耐薬品性、耐油性、耐衝撃性、
剛性、及び引張強度、並びに寸法安定性や着色時の外観
に優れているため、各種容器、家庭用品、玩具、事務用
品などの雑貨用及び各種弱電機器の部品、ハウジングな
どの工業用の最適な成形品を容易に得ることができる。
この効果は特定の相溶化剤である本発明のグラフト変性
プロピレン系樹脂を用いることではじめて達成される。
すなわち、一般にPS/PPアロイに結晶化度が高いP
P−g−PS体を用いると、PP−g−PSの耐薬品性
が高いため、PS/PPアロイの各種成形品の耐薬品性
が向上する。しかし従来のPP−g−PS体では相溶化
能が不十分なため、耐衝撃性他の性能が低く目標とする
熱可塑性樹脂組成物は得られない。これに対し、本発明
の特定の結晶化度、グラフト率、グラフト点数及び分子
量を有するPP−g−PS体を用いることで、樹脂組成
物の相溶性が良好で、ために耐薬品性、耐熱性に加え耐
衝撃性、寸法安定性、更に剛性にも優れ、また色むらも
少ないといった特徴を有する熱可塑性樹脂組成物が実現
する。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA20 AA20X AA22 AA22X AA77 AA81 AA85 AA89 AF02 AF05 AF54 BA01 BB05 BC01 4J002 BB122 BB142 BB152 BC031 BC071 BC081 BC091 BC111 BH011 BK001 BN021 BN033 BN141 BN213 BP022 GG01 GM00 GQ00 4J026 AA13 AC15 BA05 BB01 GA09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系樹脂(A)、プロピレン系樹
    脂(B)及び相溶化剤としてプロピレン系樹脂に芳香族
    ビニル単量体がグラフト重合したグラフト変性プロピレ
    ン系樹脂(C)とを含む樹脂組成物において、グラフト
    変性プロピレン系樹脂(C)が、結晶化度20%以上の
    プロピレン部分を有し、次式(1)で表されるGrが
    0.05以上であり、且つ次式(2)で表されるGnが
    0.5以上であり、グラフト変性プロピレン系樹脂
    (C)の2−ブタノン不溶部のポリプロピレン換算重量
    平均分子量(Mw)が60万以下であることを特徴とす
    る熱可塑性樹脂組成物。 Gr=Wps/Wpp・・・(1) Gn=(Gr/Mn_ps)×105 ・・・(2) (ここで、Wps、Wppはグラフト変性プロピレン系
    樹脂の2−ブタノン不溶部のスチレン系樹脂、プロピレ
    ン系樹脂の重量分率。Mn_psはグラフト変性プロピ
    レン系樹脂の2−ブタノン可溶部のポリスチレン換算数
    平均分子量。)
  2. 【請求項2】 スチレン系樹脂(A)50乃至95重量
    部とプロピレン系樹脂(B)5乃至50重量部とからな
    る樹脂組成物100重量部に対し、グラフト変性プロピ
    レン系樹脂(C)を0.1乃至30重量部添加すること
    を特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の熱可塑性樹
    脂組成物からなる成形体。
JP2000381960A 2000-12-15 2000-12-15 熱可塑性樹脂組成物 Pending JP2002179864A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000381960A JP2002179864A (ja) 2000-12-15 2000-12-15 熱可塑性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000381960A JP2002179864A (ja) 2000-12-15 2000-12-15 熱可塑性樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002179864A true JP2002179864A (ja) 2002-06-26

Family

ID=18849874

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000381960A Pending JP2002179864A (ja) 2000-12-15 2000-12-15 熱可塑性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002179864A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100646090B1 (ko) 2006-05-19 2006-11-15 한영주 열가소성 수지계 성형 조성물

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100646090B1 (ko) 2006-05-19 2006-11-15 한영주 열가소성 수지계 성형 조성물

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2508794C (en) High flow engineering thermoplastic compositions and products made therefrom
KR100703582B1 (ko) 괴상 중합된 고무-개질된 모노비닐리덴 방향족 공중합체 조성물, 이의 제조방법 및 이로부터 제조된 성형품 또는 압출품
US7312277B2 (en) Mass polymerized rubber-modified monovinylidene aromatic copolymer composition
KR102171738B1 (ko) 열가소성 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 사출 성형품
JPH11335433A (ja) 新規なゴム状重合体及びその製造方法及びその樹脂組成物
KR102457383B1 (ko) 열가소성 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이로부터 제조된 성형품
JP2004189805A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
CA2382071C (en) Improved flow carbonate polymer blends
JPH09302197A (ja) 耐塗装性熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法
EP0381358B1 (en) Low gloss agents, process for production thereof, low gloss thermoplastic resin compositions and molded articles
JP2002179864A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
KR20130068871A (ko) 고온에서의 가공성 및 내변색성이 우수한 내열성 abs수지 조성물 및 이의 제조방법
US5516842A (en) Polycarbonate resin composition and molded product thereof
JP2003020377A (ja) 複合樹脂組成物
JP2002060573A (ja) 熱可塑性樹脂組成物、及びその製造方法
JP4860161B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JPH05320446A (ja) ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物およびそれからの成形品
JPH107854A (ja) ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるブロー成形品
JP2022068044A (ja) 樹脂組成物、マスターバッチ及びシート
JPH01103657A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP2004189806A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JPH08165422A (ja) ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
JP2001234009A (ja) 樹脂複合組成物
JP2004161933A (ja) 艶消性熱可塑性樹脂組成物
JPH1149828A (ja) 耐シクロペンタン性に優れたゴム含有スチレン系樹脂および成形品