JP2002179467A - AlNメタライズ基板およびその製造方法 - Google Patents

AlNメタライズ基板およびその製造方法

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JP2002179467A
JP2002179467A JP2000379286A JP2000379286A JP2002179467A JP 2002179467 A JP2002179467 A JP 2002179467A JP 2000379286 A JP2000379286 A JP 2000379286A JP 2000379286 A JP2000379286 A JP 2000379286A JP 2002179467 A JP2002179467 A JP 2002179467A
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layer
melting point
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Tadashi Ishii
正 石井
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Toshiba Development and Engineering Corp
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Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱サイクル性および接合強度を向上させて高
信頼性を確保し、かつ、AlNメタライズ基板上に各種
部品を形成できるAlNメタライズ基板を提供する。ま
た、製造コストを低減した高信頼を有するAlNメタラ
イズ基板の製造方法を提供する。 【解決手段】AlN基板の少なくとも一方の面に高融点
金属を主成分とするメタライズ層を一体に形成したAl
Nメタライズ基板において、メタライズ層2を、AlN
の含有量が最上面側からAlN基板1との接合面側に向
かって漸増するAlNおよび高融点金属の傾斜組成層と
したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高集積化した半導
体素子を搭載するAlNメタライズ基板およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化および高密度化
が進行し、半導体素子をより一層高集積化,高速化,大
チップ化している。半導体素子の高集積化に伴い、電子
機器の使用時、半導体素子からの発熱が一層増加してお
り、この熱をいかに外部に放熱するかが技術的課題とな
っている。
【0003】窒化アルミニウム(AlN)は、高い熱伝
導率を有し、電気絶縁性が良好であり、Siとほぼ同一
の熱膨張率であるなどの優れた特性を有する。このた
め、半導体素子を搭載する基板材料として、窒化アルミ
ニウムを適用した窒化アルミニウム基板が実用化されて
いる。
【0004】窒化アルミニウム基板を半導体部品搭載用
基板として実際に使用する際、AlN基板表面に導電性
金属からなるメタライズ層を形成し、回路形成や電子部
品の搭載部を形成する必要がある。
【0005】メタライズ層を形成する方法の一つとし
て、同時焼成法(コ・ファイア法:Co−fire法)
が挙げられる。同時焼成法では、一般的に、以下に示す
手順で、窒化アルミニウム基板上にメタライズ層が形成
される。
【0006】窒化アルミニウム(AlN)粉末に、有機
化合物よりなる結合剤および溶剤を添加してスラリー化
し、このスラリーをドクターブレード法によりシート状
に成形し、AlNグリーンシートを得る。このAlNグ
リーンシートの表面に、WまたはMoなどの高融点金属
粉末を主成分とする高融点金属粉末ペーストを印刷し、
得られた成形体を加熱脱脂した後、非酸化性雰囲気で焼
結して、AlNメタライズ基板を得る。
【0007】同時焼成法では、AlN基板の焼結とメタ
ライズ層のAlN基板への焼き付けとが一回の焼成で同
時に行われる。このため、焼結によりAlN基板を形成
した後、このAlN基板上に導電性金属からなる回路層
を直接接合してAlN回路基板を作成する直接接合法
(DBC:Direct Bonding Coppe
r)、または、AlN基板上にろう材を介して導電性金
属からなる回路層を接合する活性金属法(AMC:Ac
tive Metal Copper)などの方法(ポ
スト・ファイア法)に比べ、製造工程数が少ない。その
結果、同時焼成法によりAlNメタライズ基板を製造す
ることで、製造コストを低減できるという利点を有す
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、同時焼
成法により形成されたAlNメタライズ基板は、ポスト
・ファイア法により形成されたAlN基板に比べ、Al
N基板とメタライズ層との接合強度が低下するという問
題を有していた。
【0009】このため、高融点金属を主成分とするメタ
ライズ層中にAlN基板の共材であるAlN粒子を添加
して接合することでAlN基板とメタライズ層との密着
を強め、両者の接合強度を向上させる試みがなされてい
る。
【0010】しかし、メタライズ層中にAlN粒子を添
加した場合でも、AlN基板とメタライズ層とは熱膨張
率が異なるため、AlN基板とメタライズ層との熱膨張
差を無くすことは難しい。そのため、AlNメタライズ
基板に大電流を流すなどにより、AlNメタライズ基板
に昇温・冷却の熱サイクルを繰り返すと、次第にAlN
基板とメタライズ層との接合面に微小亀裂が生じ、機械
的性質や熱的性質が変化し、最終的には、メタライズ層
が剥離してしまうという問題を有していた。
【0011】また、メタライズ層中にAlN粒子を添加
すると、メタライズ層の表面にAlN成分が染み出す現
象があった。特に、メタライズ層中に添加するAlN粒
子がAlN基板と同様にイットリア等の焼結助剤を含む
場合には液相成分の染み出し現象も起き易かった。
【0012】通常、各種電子機器の構成部品として使用
されるAlNメタライズ基板は、AlN基板の両面にメ
タライズ層を形成することが多い。そして、このメタラ
イズ層の一方の面にNiめっきなどで半導体素子を搭載
し、メタライズ層の他方の面に、AlNメタライズ基板
と半導体素子とを収容する収納容器を半田層により一体
に接合して構成している。このため、メタライズ層表面
にAlN粒子を含む液相成分が染み出すと、めっきや半
田付けの際、液相成分が未接合部の発生原因となり、そ
の結果、AlNメタライズ基板上に各種部品を形成する
際に、接合不良が生じる原因になっていた。
【0013】本発明は、上述した問題を解決するために
なされたものであり、AlN基板とメタライズ層との接
合強度、および耐熱サイクル特性を向上させて高信頼性
を確保するとともに、AlNメタライズ基板上に各種部
品を搭載可能なAlNメタライズ基板を提供することを
目的とする。
【0014】また、製造コストを低減し、かつ高信頼の
AlNメタライズ基板を製造できるAlNメタライズ基
板の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を解決するためAlN粒子や液相成分がメタライズ層表
面に染み出す原因を種々研究した結果、メタライズ層中
に添加するAlN粒子の添加量を過大にすると、メタラ
イズ層表面での染み出しが発生し易いことが分かった。
そこで、AlN基板との接合面側のAlNの添加量を増
加させてAlN基板とメタライズ層との接合強度を確保
するとともに、AlN基板との接合面側からメタライズ
層の最上面側に向ってAlN粒子の添加量を減少させ、
メタライズ層最上面のAlN粒子の添加量を微量とした
傾斜組成層とすることで、液相成分の染み出しを効果的
に防止できることを見い出し、本発明を完成させたもの
である。
【0016】すなわち、本発明は、AlN基板の少なく
とも一方の面に高融点金属を主成分とするメタライズ層
を一体に形成したAlNメタライズ基板において、前記
メタライズ層を、AlNの含有量が最上面側から前記A
lN基板との接合面側に向かって漸増するAlNおよび
高融点金属の傾斜組成層としたことを特徴とする。
【0017】また、別の発明は、AlN基板の少なくと
も一方の面に高融点金属を主成分とするメタライズ層を
一体に形成したAlNメタライズ基板において、前記メ
タライズ層は、高融点金属層と、この高融点金属層の下
層に形成され、AlNの含有量が、前記高融点金属層と
の接合面側から前記AlN基板との接合面側に向かって
漸増するAlNおよび高融点金属の傾斜組成層と、を備
えることを特徴とする。
【0018】上記のAlNメタライズ基板において、傾
斜組成層はAlNの含有量を一定範囲ごとに区分した3
層の構造を有するものとすることが望ましい。このよう
に傾斜組成層を3層構造とすることが望ましい理由は、
傾斜組成層を2層以下とすると、メタライズ層中のAl
Nのばらつきが大きくなり、AlNメタライズ基板に大
電流を流した際の温度上昇に伴い、各層の接合面で熱膨
張に起因した割れ・剥離などが生じるためである。
【0019】そして、3層構造とした傾斜組成層を、A
lNの高融点金属に対する質量%を最上面側の層から順
に、0〜10%、11〜50%、51〜100%とする
ことが好ましい。なお、メタライズ層の最上層はAlN
を含まない高融点金属層(AlNの高融点金属に対する
質量%が0%)であってもよいが、好ましくは3〜10
質量%とする。このように、各層におけるAlNの添加
量を規定し、AlNを均一に添加することで、メタライ
ズ層中における抵抗値のばらつきを低減し、その結果、
優れた耐熱サイクル特性を備えたAlNメタライズ基板
を得ることができる。さらに、メタライズ層の表面への
染み出しの原因になるAlN成分を表面(メタライズ層
の最上面)にいくにしたがって少なくしていることから
染み出し現象も抑制することができる。
【0020】上記のAlNメタライズ基板において、メ
タライズ層の厚さを10〜30μmとすることが望まし
い。メタライズ層の厚さが10μm未満であると十分な
接合強度を得難くさらに染み出し現象も起き易い。一
方、厚さが30μmを超えると製造コストが増大するた
めである。さらに好ましくは10〜20μmである。な
お、本発明のメタライズ層中に添加するAlN成分は、
AlN粒子単独であってもよいし、AlN粒子とイット
リア等のAlN基板の焼結助剤成分との混合物であって
もよい。AlN基板の焼結助剤成分を使用する場合は、
AlN粒子とAlN基板の焼結助剤の合計量により、メ
タライズ層中のAlNの高融点金属に対する質量%を測
定するものとする。
【0021】また、AlNを含まない高融点金属層を用
いる場合、AlNを含まない高融点金属層の厚さは5μ
m以下とすることが好ましい。AlNを含まない高融点
金属層の厚さが5μmを超えるとメタライズ層の下層側
(AlN基板側)にAlNを添加している効果が小さく
なり、接合強度の向上が見られず、メタライズ層の割れ
・剥離などが生じるためである。このような観点からす
ると、AlNを含まない高融点金属層を用いる場合、A
lNを含む高融点金属層を3層としたものに、AlNを
含まない高融点金属層を設ける形態が好ましいといえ
る。
【0022】さらに、上記のAlNメタライズ基板にお
いて、メタライズ層の任意の2ヶ所における抵抗値の差
が20mΩ/□以下であることが望ましい。この抵抗値
の差について、3mm以上離れた任意の2ヶ所を選び、
4端子法により測定した場合の値を示している。
【0023】AlNは絶縁体であるため、メタライズ層
中に均一にAlNを混合しないとAlNの偏析により抵
抗値のばらつきが生じる。メタライズ層の任意の各箇所
での抵抗値の差が過大となると、大電流を流した際にメ
タライズ層の各箇所において発熱状態が異なりメタライ
ズ層に部分的な熱膨張差が生じ、割れ・剥離などの原因
になり易い。このため、本発明のように、抵抗値の差が
20mΩ/□以下となる均一混合状態とすることが望ま
しい。
【0024】また、上記のAlNメタライズ基板におい
て、高融点金属は、タングステンまたはモリブデンのい
ずれか一種の金属であることが望ましい。
【0025】さらに、窒化アルミニウム基板は、複数の
基板要素を積層した多層構造を有するような構成であっ
てもよい。このような優れた放熱性を有するAlN基板
を多層構造とすることにより、高集積化、高密度化し、
電子機器の小型化および高密度化を図れる。
【0026】また、本発明に係るAlNメタライズ基板
の製造方法は、AlN成形体と、AlNの添加量を変え
た3種の高融点金属ペーストとを準備し、これらの高融
点金属ペーストを所定の配線パターンに沿い、AlN添
加量が多い高融点金属ペーストの順に前記AlN成形体
上に印刷した後、脱脂処理を施し、その後、同時焼成し
て窒化アルミニウム基板上にAlNの組成を傾斜させた
傾斜組成層からなるメタライズ層を一体に形成すること
を特徴とする。本発明によれば、同時焼成法を用いるこ
とにより、製造工程が簡略化され、それにより低コスト
化を図れるとともに、高信頼性のAlNメタライズ基板
を製造することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明のAlNメタライズ
基板およびその製造方法について、図1、表1および表
2を用いて説明する。
【0028】第1実施形態(表1) 本実施形態では、実施例1〜実施例10,比較例1〜比
較例6に示すAlNメタライズ基板を作製した。
【0029】実施例1〜実施例10 平均粒径1.0μmの窒化アルミニウム(AlN)粉末
に、焼結助剤として酸化イットリウム(Y)粉末
を質量%で5%添加して原料粉末を調整し、ボールミル
にて解砕および混合を行った。この原料粉末に有機バイ
ンダおよび有機溶剤(エタノール)を添加した後、混合
してスラリー化した。このスラリーをドクターブレード
法によりシート状に成形し、焼成後の収縮を考慮して厚
さが1〜1.2mm程度であるAlNグリーンシートを
多数作製した。
【0030】一方、平均粒径4.0μmのタングステン
(W)粉末または平均粒径4.0μmのモリブデン(M
o)粉末を準備し、所定量のAlN粉末、適量の樹脂バ
インダおよび分散剤を混合して、AlN含有Wペースト
またはAlN含有Moペーストを作製した。具体的に
は、AlN粉末の添加量を、Wに対してAlN粒子を質
量%で51〜100%、11〜50%、3〜10%添加
した各AlN含有Wペーストを作製した。また同様に、
Moに対してAlN粒子を質量%で51〜100%、1
1〜50%、3〜10%添加した各AlN含有Moペー
ストを作製した。上記各AlN含有Wペーストおよび各
AlN含有Moペーストをそれぞれ3段ローラに10回
以上通過させて、AlN粒子が均一に分散したW又はM
oペーストを調整した。
【0031】AlNグリーンシート上に、Wに対してA
lN粒子を質量%で51〜100%、11〜50%、3
〜10%添加した各AlN含有Wペーストをスクリーン
印刷により順番に塗布して、AlNグリーンシート上に
傾斜組成層を形成した。
【0032】また、別のAlNグリーンシート上に M
oに対してAlN粒子を質量%で51〜100%、11
〜50%、3〜10%添加した各AlN含有Moペース
トをスクリーン印刷により塗布して、AlNグリーンシ
ート上に傾斜組成層を形成した。
【0033】上記傾斜組成層を形成したAlNグリーン
シートを、窒素雰囲気中、900℃の温度で3時間脱脂
処理を行った。
【0034】AlNからなるセッター(焼結板)上に、
脱脂処理した各AlNグリーンシートを配置し、窒素雰
囲気中、0.8MPaの加圧下、1800℃で8時間焼
結を行い、AlN基板とW層またはAlN基板とMo層
を同時焼結した複数のAlNメタライズ基板を得た。
【0035】得られたAlNメタライズ基板を測定した
ところ、AlN基板サイズは、縦20mm,横30m
m,厚さ0.8mmであり、メタライズ層の面積サイズ
は縦15mm,横25mmであった。
【0036】比較例1〜比較例8 本比較例では、比較例1〜比較例8のAlNメタライズ
基板を作製した。
【0037】高融点金属をWとし、AlN粒子を所定量
含んだ1層からなるメタライズ層を有するAlNメタラ
イズ基板(比較例1,比較例2)を作製した。
【0038】また、高融点金属をWとし、2層からなる
傾斜組成層としたAlNメタライズ基板(比較例3)、
高融点金属をMoとし、2層からなる傾斜組成層とした
AlNメタライズ基板(比較例4)を作製した。
【0039】さらに、高融点金属をMoとし、AlNの
添加量を本発明の範囲外として3層からなる傾斜組成層
としたAlNメタライズ基板(比較例5)、高融点金属
をWとし、AlNの添加量を本発明の範囲外として3層
からなる傾斜組成層としたAlNメタライズ基板(比較
例6)を作製した。
【0040】また、メタライズ層の厚さを9μmとした
AlNメタライズ基板(比較例7)、メタライズ層の厚
さを40μmとしたAlNメタライズ基板(比較例8)
を作製した。なお、上記比較例1〜比較例8に示すAl
Nメタライズ基板の作製手順は、上記実施例の作製手順
と同様とした。なお、AlN粒子を添加した高融点金属
ペーストの均一混合法として、比較例1〜2は3段ロー
ラを1回のみ通過、比較例3〜8は10回通過させたも
のを用いたものとする。
【0041】上記実施例1,比較例1,比較例3のAl
Nメタライズ基板の断面をSEMにより500倍に拡大
して、観察を行った。図1,図2にSEM写真の模式図
を示す。図1は実施例1、図2は比較例1である。な
お、黒く示された箇所はAlNであり、白く示された箇
所はWである。
【0042】図1に示すように、実施例1の場合には、
AlN基板1の表面に、AlNの添加量を変えて、傾斜
組成層を、第1の層と、第2の層と、第3の層とからな
る3層構造の傾斜組成としたメタライズ層2が形成され
ている。
【0043】また、図2に示すように、比較例1の場合
には、AlN基板1の表面に、AlNを添加したメタラ
イズ層2が形成されている。比較例1では傾斜組成を具
備していないことから、メタライズ層の上面側、さらに
は表面にAlN粒子の偏析が見られる。
【0044】次に、上記実施例1〜実施例10,比較例
1〜比較例8の各基板に対し、AlN基板とメタライズ
層との接合強度の測定を行い、メタライズ層の任意の2
ヶ所における抵抗値を測定するとともに、TCT試験を
実施して耐熱サイクル特性を評価した。
【0045】接合強度の測定は、メタライズ層上に厚さ
5μmのNiめっきを施した後、BAG8のロウ材を用
いて接合面積5mm×10mmとしてコバール板(サイ
ズ:5mm×30mm×0.1mm)を接合し、ピール
強度を測定したものである。
【0046】抵抗値の測定は、4mm離れた任意の2点
を選択して4端子法により測定したものである。第一の
測定点の抵抗値を抵抗値1とし、第二の測定点の抵抗値
を抵抗値2とし、抵抗値1と抵抗値2との差をとり抵抗
差を算出した。なお、この抵抗差を算出するために同様
の測定を3回行い、その中で最も大きな抵抗差を示した
ものとする。
【0047】TCT試験は、AlNメタライズ基板に昇
温・冷却の熱サイクルを1000回繰り返し、1000
サイクル後におけるAlNメタライズ基板を観察したも
のである。なお、1サイクルは、125℃×30分→室
温×10分→40℃×30分→室温×10分とした。昇
温・冷却の熱サイクルを施した後、SEM写真により5
00倍に拡大して、AlNメタライズ基板の観察により
メタライズ層の剥離の状況を調べた。メタライズ層の剥
離が確認されなかった場合は、TCT特性を「良好」と
し、メタライズ層の剥離が確認された場合は、TCT特
性を「不良」とした。この結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1に示すように、メタライズ層を3層か
らなる傾斜組成層とした実施例1〜実施例10は、いず
れも抵抗差が低くなっており、メタライズ層の剥離が観
察されずTCT試験は良好であった。
【0050】一方、傾斜組成層を1層から形成した比較
例1,比較例2では、ピール強度は良好であったが、抵
抗差が大きいことから、TCT試験が不良であった。ま
た、比較例3,比較例4は、傾斜組成層を2層構造とし
たため、TCT試験が不良であった。比較例5,比較例
6は、AlNの含有量を本発明の範囲外としたため、ピ
ール強度が低下してTCT試験が不良であった。さら
に、比較例7,比較例8は、メタライズ層の厚さを好ま
しい範囲外としたため、ピール強度が低下し、TCT試
験が不良であった。
【0051】本実施形態によれば、メタライズ層をAl
N粒子の添加量を種々変えてAlN基板との接合面側か
らAlN含有量を減少させた傾斜組成層とすることで、
接合強度を確保するとともに、耐熱サイクル特性を向上
させた長期間の使用でも高信頼性を有するAlNメタラ
イズ基板を得ることができる。その結果、優れた放熱特
性を有するAlNメタライズ基板を半導体部品の搭載基
板として使用でき、一層、電子機器の小型化,高密度化
を図ることができる。
【0052】また、本実施形態では、同時焼成法を用い
てAlNメタライズ基板を製造可能であるため、製造工
程数の削減により製造コストの低減が可能であり、その
結果、AlNメタライズ基板の量産化を図れる。
【0053】さらに、本実施形態では、Wペースト等を
塗布したAlNグリーンシートをそのまま単層構造のA
lN成形体としたが、AlNグリーンシートを複数枚積
層して多層構造のAlN成形体(積層体)としても良
い。AlN基板を多層構造とした場合、より一層高集積
密度化して、電子機器の小型化,高密度化を図ることが
できる。
【0054】なお、本実施形態では傾斜組成層を3層構
造としたが、傾斜組成層を3層以上の構造として、Al
Nの添加量を変化させて傾斜を緩やかにした構造として
も良い。
【0055】第2実施形態(表2) 本実施形態では、AlNを含まない高融点金属層と、こ
の高融点金属層の下層に形成される傾斜組成層とからな
るメタライズ層を形成したAlNメタライズAlN基板
を作製した。なお、製造手順は第1実施形態と同様とし
た。
【0056】実施例11〜実施例15 実施例11〜実施例13では、第1実施形態の実施例2
に示す傾斜組成層を適用し、各傾斜組成層上にAlNを
含有しないWからなる厚さ1〜5μmの高融点金属層を
形成し、各AlNメタライズ基板を作製した。
【0057】また、実施例14,実施例15では、第1
実施形態の実施例8に示す傾斜組成層を適用し、各傾斜
組成層上にAlNを含有しないMoからなる厚さ3〜5
μmの高融点金属層を形成し、各AlNメタライズ基板
を作製した。
【0058】比較例9,比較例10 比較例9では、第1実施形態の実施例2に示す傾斜組成
層を適用し、傾斜組成層上にAlNを含有しないWから
なる厚さ7μmの高融点金属層を形成し、AlNメタラ
イズ基板を作製した。
【0059】また、比較例10では、第1実施形態の実
施例8に示す傾斜組成層を適用し、傾斜組成層上にAl
Nを含有しないWからなる厚さ7μmの高融点金属層を
形成し、AlNメタライズ基板を作製した。
【0060】上記実施例11〜実施例15,比較例7,
比較例8の各基板に対し、AlN基板とメタライズ層と
の接合強度の測定を行い、メタライズ層の任意の2ヶ所
における抵抗値を測定するとともにTCT試験を実施し
て耐熱サイクル特性を評価した。なお、各試験条件は第
1実施形態と同様とした。その結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】表2に示すように、実施例11〜実施例1
5では、いずれもピール強度が8kg/cm以上とな
っており、AlN基板とメタライズ層とが強固に接合さ
れていた。また、AlN粒子を含有しない高融点金属層
を設けたため、実施例11〜実施例15および比較例
9、比較例10のいずれも抵抗値の差が4mΩ/□と以
下となっており、抵抗値のばらつきを低減することがで
きた。さらに、TCT試験の結果、実施例8〜実施例1
0はいずれも耐熱サイクル特性が良好であったが、高融
点金属層の厚さを7μmとした比較例3では、TCT試
験後にふくれ現象が確認され、耐熱サイクル特性が不良
であった。
【0063】本実施形態によれば、メタライズ層の最上
面に、AlN粒子を添加していない5μm以下の高融点
金属層を形成することにより、より一層抵抗値の差を低
減でき、その結果、優れた耐熱サイクル特性を得られ
る。従って、AlN基板サイズを大型化し、より一層優
れた耐熱サイクル特性が要求される環境下で、本実施形
態に示すAlNメタライズ基板を適用することが望まし
い。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のAlNメ
タライズ基板によれば、接合強度および耐熱サイクル特
性を向上させて、長期間の使用でも高信頼性を有する放
熱特性の優れたAlNメタライズ基板を得られることか
ら、半導体素子をより一層高集積化,高速化,大チップ
化できる。また、本発明のAlNメタライズ基板の製造
方法によれば、同時焼成法により高信頼性を有するAl
Nメタライズ基板を得られるため、製造コスト低減によ
り、AlNメタライズ基板の量産化を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるAlNメタライズ基
板の断面のSEM写真の一例を示した模式図。
【図2】比較例1におけるAlNメタライズ基板の断面
のSEM写真の一例を示した模式図。
【符号の説明】
1 AlN基板 2 メタライズ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E351 AA09 BB31 CC11 DD17 EE02 EE03 GG04 4G001 BA09 BA36 BA61 BB09 BB36 BB61 BC13 BC17 BC32 BC34 BD13 BD38 BE15 5E319 AA03 AC04 AC16 AC17 BB05 CC33 CD29 GG20 5E343 AA02 AA24 BB06 BB09 BB15 BB39 BB40 BB72 DD02 ER35 GG01 GG20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 AlN基板の少なくとも一方の面に高融
    点金属を主成分とするメタライズ層を一体に形成したA
    lNメタライズ基板において、前記メタライズ層を、A
    lNの含有量が最上面側から前記AlN基板との接合面
    側に向かって漸増するAlNおよび高融点金属の傾斜組
    成層としたことを特徴とするAlNメタライズ基板。
  2. 【請求項2】 AlN基板の少なくとも一方の面に高融
    点金属を主成分とするメタライズ層を一体に形成したA
    lNメタライズ基板において、前記メタライズ層は、高
    融点金属層と、この高融点金属層の下層に形成され、A
    lNの含有量が、前記高融点金属層との接合面側から前
    記AlN基板との接合面側に向かって漸増するAlNお
    よび高融点金属の傾斜組成層と、を備えることを特徴と
    するAlNメタライズ基板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のAlNメタラ
    イズ基板において、傾斜組成層を3層構造とし、AlN
    の高融点金属に対する質量%を最上面側の層から順に、
    0〜10%、11〜50%、51〜100%としたこと
    を特徴とするAlNメタライズ基板。
  4. 【請求項4】 請求項1から3までのいずれかに記載の
    AlNメタライズ基板において、メタライズ層の厚さは
    10〜30μmであることを特徴とするAlNメタライ
    ズ基板。
  5. 【請求項5】 請求項2記載のAlNメタライズ基板に
    おいて、高融点金属層の厚さは5μm以下であることを
    特徴とするAlNメタライズ基板。
  6. 【請求項6】 請求項1から5までのいずれかに記載の
    AlNメタライズ基板において、メタライズ層の任意の
    2ヶ所における抵抗値の差が20mΩ/□以下であるこ
    とを特徴とするAlNメタライズ基板。
  7. 【請求項7】 請求項1から6までのいずれかに記載の
    AlNメタライズ基板において、高融点金属は、タング
    ステンまたはモリブデンのいずれか一種の金属であるこ
    とを特徴とするAlNメタライズ基板。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のAlNメタライズ基板に
    おいて、AlN基板は複数枚の基板要素を積層した多層
    構造としたことを特徴とするAlNメタライズ基板。
  9. 【請求項9】 AlN成形体と、AlNの添加量を変え
    た3種の高融点金属ペーストとを準備し、これらの高融
    点金属ペーストを所定の配線パターンに沿い、AlN添
    加量が多い高融点金属ペーストの順に前記AlN成形体
    上に印刷した後、脱脂処理を施し、その後、同時焼成し
    て窒化アルミニウム基板上にAlNの組成を傾斜させた
    傾斜組成層からなるメタライズ層を一体に形成すること
    を特徴とするAlNメタライズ基板の製造方法。
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