JP2002179439A - 低圧複層ガラスの製造方法 - Google Patents

低圧複層ガラスの製造方法

Info

Publication number
JP2002179439A
JP2002179439A JP2000376734A JP2000376734A JP2002179439A JP 2002179439 A JP2002179439 A JP 2002179439A JP 2000376734 A JP2000376734 A JP 2000376734A JP 2000376734 A JP2000376734 A JP 2000376734A JP 2002179439 A JP2002179439 A JP 2002179439A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
sheet
low
heating
softening point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000376734A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiromi Hase
広美 長谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Glass Co Ltd filed Critical Central Glass Co Ltd
Priority to JP2000376734A priority Critical patent/JP2002179439A/ja
Publication of JP2002179439A publication Critical patent/JP2002179439A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】低圧複層ガラスの封着部においてペーストの残
渣成分を減少させることにより間隙部の圧力上昇を防
ぎ、耐久性および断熱性にすぐれた低圧複層ガラスの製
造方法を提供する。 【解決手段】低沸点ガラスのペースト6を1枚の板ガラ
ス3に塗布後、380℃〜400℃で加熱して残渣成分
を減少させ、さらに低沸点ガラスの軟化点以下T1に加
熱して、封着部を形成する加熱処理工程と、この板ガラ
スにもう1枚の板ガラス2を重ね、封着部を形成する温
度以下T2(≦T1)で加熱して、2枚の板ガラスの周
辺を封着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、最近、省エネルギ
ーが要求される、住宅・商店・事務所ビルなどの建築分
野、自動車・車両・船舶・航空機などの輸送分野、冷凍
庫・冷凍ショーケース・恒温恒湿槽などの設備機器分野
などにおいて、高い断熱性能が要求される開口部に使用
するための低圧複層ガラスおよびその作製方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】最近、エネルギーの大量消費によって排
出される、大気中の炭酸ガスやミストを低減し、快適で
健康な住環境をつくるために、高い断熱性能を有する複
層ガラスが、高頻度で使用され、急速に普及している。
【0003】高い断熱性能を有する複層ガラスとして、
対向する2枚の板ガラスの間隙部を低圧力にした低圧複
層ガラスが提案されている。
【0004】低圧複層ガラスは、間隙部の圧力を0.1
Pa以下にすることにより、間隙部が空気やアルゴンな
どの気体で充填されている複層ガラスより高い断熱性能
を得ることができる。この0.1Pa以下という低い圧
力を長期にわたって(例えば、10年以上)保持するた
めには、低圧複層ガラスの周辺部に使用される封着材
は、気体透過性の低い材料でなければならず、そのよう
な材料として低融点ガラスが推奨され、最も多く利用さ
れている。
【0005】低融点ガラスは、粉末にしたものをバイン
ダーと呼ばれる有機性の油とバインダーで混練し、ペー
ストにして用いられるのが、最も効率的で且つ経済的に
も有利である。
【0006】ペーストは、低圧複層ガラスを構成する2
枚の板ガラスに辺長が数mm程度で大きさの異なる板ガ
ラスを用い、2枚の板ガラスを重ねたときにできる周辺
の段差部分に塗布し、加熱によりバインダーを蒸散させ
つつ、溶融した低融点ガラスを毛細管現象を利用してガ
ラスの間に浸透させ、周辺部の封着を行っていた。
【0007】あるいは、大きさが同じ2枚の板ガラスを
用いて1枚の板ガラスの周辺部にペーストを塗布した
後、予備加熱を行ってバインダーを蒸散させ、室温付近
まで冷却後、もう1枚の板ガラスを重ね、低融点ガラス
の軟化点以上の温度で加熱し、周辺部の封着を行ってい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述の、低圧複層ガラ
スの周辺部を封着する方法では、バインダーを完全に除
去することができず、周辺の封着部にバインダーがわず
かながらも残渣成分として残ってしまう。
【0009】低圧複層ガラスが−5℃以下の空気に触れ
ると、残渣成分に起因した微小なクラックが発生し、封
着部に内包されていた気体成分が低圧複層ガラスの間隙
部に放出されてしまい、圧力が上昇し、初期よりも断熱
性能が劣化するといった問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の低圧複層ガラス
の製造方法は、対向する2枚の板ガラスを所定の間隔で
隔置し、この間隔を保持する点状、線状または網状のス
ペーサーを配設するとともに、該2枚の板ガラスの周縁
部が低融点ガラスにより封着され、該2枚の板ガラスの
間に形成される間隙部が排気されて低圧力となっている
低圧複層ガラスの製造方法において、2枚の板ガラスの
内の1方の板ガラス(板ガラス1)の周辺部に低融点ガ
ラスのペーストを塗布後、該低融点ガラスの軟化点Tg1
と板ガラス1の軟化点Tg2に対して、Tg1<T1<Tg2
の加熱温度T1で加熱して、板ガラス1の周辺部に封着
部を形成する加熱工程1と、加熱工程1の後に、該2枚
の板ガラスの内の他方の板ガラス(板ガラス2)を板ガ
ラス1に封着部側に重ねて、板ガラス1の軟化点と板ガ
ラス2の軟化点との低い方の軟化点をTg3として、Tg1
<T2<Tg3の加熱温度T2で加熱する加熱工程2の2
つの加熱工程があり、T2≦T1であることを特徴とす
る低圧複層ガラスの製造方法である。
【0011】また、対向する2枚の板ガラスを所定の間
隔で隔置し、この間隔を保持する点状、線状または網状
のスペーサーを配設するとともに、該2枚の板ガラスの
周縁部が低融点ガラスにより封着され、該2枚の板ガラ
スの間に形成される間隙部が排気されて低圧力となって
いる低圧複層ガラスの製造方法において、板ガラス1の
周辺部に低融点ガラスのペーストを塗布後、板ガラス1
を低圧力のボックス内に置き、該低融点ガラスの軟化点
g1と板ガラス1の軟化点Tg2に対して、Tg1<T1<
g2の加熱温度T1で加熱して、板ガラス1の周辺部に
封着部を形成する加熱工程1と、加熱工程1の後に、板
ガラス2を板ガラス1の封着部側に重ねて、板ガラス1
の軟化点と板ガラス2の軟化点との低い方の軟化点をT
g3として、Tg1<T2<Tg3の加熱温度T2で加熱して
封着する加熱工程2の2つの加熱工程があることを特徴
とする低圧複層ガラスの製造方法である。
【0012】前記する2つの加熱工程によって、低圧複
層ガラスの封着部にペーストの残渣成分を減少させ、ー
5℃より低い気温における間隙部の圧力上昇を防ぎ、耐
久性の良い低圧複層ガラスが作製できる。
【0013】
【発明の実施の形態】対向する2枚の板ガラスとは、ク
リアなフロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射
板ガラス、高性能熱線反射板ガラス、低放射板ガラス、
線入板ガラス、網入板ガラス、型板ガラス、強化ガラ
ス、倍強度ガラス、低反射板ガラス、高透過板ガラス、
摺りガラス、タペスティ(フロスト)ガラス、セラミッ
クス印刷ガラス、合わせガラスなど各種板ガラスを適宜
組み合わせることができる。
【0014】対向する2枚の板ガラスの内、少なくとも
一枚は、排気のための貫通孔(以後排気口と呼ぶ)を、
1箇所以上に設ける。排気口は、直径1〜10mmφの
円形であることが好ましい。
【0015】2枚の板ガラスの板厚は通常、ともに1.
9mm以上のものが用いられるが、強化ガラスの場合
で、とくに化学強化ガラスなどの場合はこの限りではな
く、1.9mm以下のものを用いることもできる。
【0016】また、2枚の板ガラスの少なくとも1枚
は、板ガラス表面にCVD法あるいはスパッタリング法
などにより特殊金属膜をコーティングした、低放射板ガ
ラスを採用すると断熱性能が高くなるので好ましい、さ
らに、当該低放射板ガラスは、JIS R3106ー1
985(板ガラスの透過率・反射率・日射熱取得率試験
方法)に定める垂直放射率が0.20以下の、好ましく
は0.10以下のガラスを1枚以上使用したもの、また
は垂直放射率が0.35以下の、好ましくは0.25以下
のガラスを2枚使用したものである 当該低放射ガラスの具体的な膜構成としては、例えば、
膜厚が10〜60nmの亜鉛、錫、チタン、インジウ
ム、ビスマス、ジルコニウムの酸化物の中から1種類以
上選択した反射金属酸化物層、膜厚が5〜30nmの銀
層と、アルミニウム、チタン、亜鉛、タンタル及びニッ
ケルクロム合金から1種類以上選択した金属を含有する
膜厚が0.3〜30nmの酸化防止層、膜厚が30〜1
00nmの亜鉛、錫、チタン、インジウム、ビスマス、
ジルコニウムの酸化物の中から1種類以上選択した金属
酸化物反射層からなる皮膜層が順に積層された、耐熱性
に優れた低放射ガラスを用いることが好ましい。
【0017】あるいは、膜厚が10〜60nmの亜鉛、
錫、チタン、インジウム、ビスマス、ジルコニウムの酸
化物の中から1種類以上選択した金属酸化物反射層、ア
ルミニウム、チタン、亜鉛、タンタル及びニッケルクロ
ム合金から1種類以上選択した金属を含有する膜厚が
0.3〜30nmの酸化防止層、膜厚が5〜30nmの
銀層と、アルミニウム、チタン、亜鉛、タンタル及びニ
ッケルクロム合金から1種類以上選択した金属を含有す
る膜厚が0.3〜30nmの酸化防止層、膜厚が30〜
100nmの亜鉛、錫、チタン、インジウム、ビスマ
ス、ジルコニウムの酸化物の中から1種類以上選択した
金属酸化物反射層からなる皮膜層が順に積層された、耐
熱性に優れた低放射ガラスを用いることが好ましい。
【0018】対向する2枚の板ガラスは同じ大きさとし
ても、異なる大きさとしてもよい。
【0019】また、板ガラスはエッジを取り扱い時の安
全性やエッジ部の強度向上のために機械研磨、レーザー
等により面取り加工したものであることが好ましい。
【0020】板ガラスの間隔を保持する点材、線材また
は網材スペーサー用材料としては、ガラスに比べ硬度が
低く、かつ適切な圧縮強さを有するものであれば、とく
に限定されないが、金属、合金、鉄鋼、セラミックスま
たはプラスチックが好ましい。金属では鉄、銅、アルミ
ニウム、タングステン、ニッケル、クロム、チタンな
ど、合金、鉄鋼では炭素鋼、クロム鋼、ニッケル鋼、ス
テンレス鋼、ニッケルクロム鋼、マンガン鋼、クロムマ
ンガン鋼、クロムモリブデン鋼、珪素鋼、真鍮、ハン
ダ、ニクロム、ジュラルミンなどが用いられる。
【0021】点材スペーサーは、球状、円柱状、本出願
人が特願平2000−158407で提案した形状の略
円柱状、角柱状、そろばん玉形状、ビヤダル状などの形
状で例えば格子状に配置する。
【0022】線材スペーサーは、断面が円形、半円形、
角形などで、直線状と曲線状のものがあり、網状スペー
サーは角形、菱形などが用いられる。
【0023】金属または合金で作製したスペーサーにセ
ラミックスをコーティングしたものでは、着色すること
により意匠性を向上させるとともに、金属特有の反射を
抑制することができる。
【0024】点状、線状または網状スペーサーの配設間
隔は、100mm以下であり、75mm以下が好まし
い。
【0025】これらスペーサーの配設は、当該配設間隔
の範囲内であれば、規則的でも不規則的でも構わない。
【0026】複数枚の板ガラスの間隔は、0.05mm
以上、2.0mm以下であり、0.1mm以上、1.0m
m以下が好ましい。
【0027】周縁部の封着に用いるペーストは、低融点
ガラスの粉末あるいは低融点ガラスの粉末とセラミック
スの粉末とを混合したものなどの粉末を、酢酸アミル、
α−テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、
グリセリン等の油成分とセルロース、ニトロセルロース
等のバインダーで形成されるビヒクルに分散させたもの
である。
【0028】低融点ガラスは、例えば、特開昭49−1
10709号公報、特開平1−224248号公報、特
開平8−119665号公報、本出願人による特開平8
−220885号公報等に記載されている、鉛ケイ酸塩
ガラスや鉛ホウケイ酸塩ガラス及びそれらにチタン酸
鉛、珪酸ジルコン、β−スポジュメン等の低膨張セラミ
ックス粉末を混合させたものである。
【0029】また、例えば、特開平6−183775号
公報、特開平9−175833号公報、特開平9−18
8544号公報等に記載されている鉛を含まないリン酸
塩ガラス、本出願人が特願2000−241233で提
案している硼酸塩系のガラスを使用することができる。
【0030】ペーストは、2枚の板ガラスの内の一方の
板ガラス周辺に、辺に沿って塗布する。この時、板ガラ
スのコーナー部付近では、塗布しない方が、ペーストの
余剰によるダレなどが無くなって、外観が良好になるの
で、好ましい。コーナー部での塗布しない範囲は、コー
ナーから両辺とも、5mm〜15mmとすることが好ま
しい。
【0031】2枚の板ガラスの内の、1枚の板ガラス1
にペーストを塗布後、低融点ガラスの軟化点Tg1以上の
温度T1で加熱して、ビヒクル中の油成分とバインダー
を蒸散させ、ペーストを板ガラス1に焼き付け、封着部
を形成する。温度T1は板ガラス1の軟化点よりも低い
温度にする。この加熱処理を以後加熱工程1と呼ぶ。
【0032】加熱工程1において、バインダーの蒸散が
活発となる300〜380℃の温度範囲を、適当な時間
保持することが望ましく、例えば1〜5℃/分の昇温速
度で加熱するとバインダーが蒸散しやすく好ましい。
【0033】加熱工程1で加熱後、板ガラス1が好まし
くは100℃以下まで冷却した後、2枚の板ガラスの内
の他方の、予めスペーサーを配設されている板ガラス2
に、板ガラス1を、スペーサーを介し、封着部を挟んで
重ねる。この時、対向する2枚の板ガラス1と板ガラス
2とをクリップで挟むなどして固定すると、封着時に板
ガラス1と板ガラス2とがずれないので好ましい。重ね
た後、低融点ガラスの軟化点Tg1以上であって、板ガラ
ス1あるいは板ガラス2の軟化点のどちらか低い方の温
度Tg3以下である温度T2で加熱し、対向する2枚の板
ガラスを封着する。この加熱処理を加熱工程2と呼ぶ。
【0034】加熱行程2において、温度T2は温度T1
よりも低くする方が好ましい。これは、低融点ガラスが
流動して外観を損なうのを防ぐためである。望ましく
は、温度T2は温度T1より30℃低いことが好まし
い。
【0035】加熱工程2で2枚の板ガラスを封着した
後、対向する2枚のガラス間の間隙部を排気口を用いて
排気し、間隙部を低圧力にする。
【0036】排気は、例えば、真空ポンプなどを用い
て、真空ポンプと排気口を管で繋いで行う。
【0037】排気口の排気後の封止は、ガラス製の排気
管を、周辺の封着に用いるペーストと同様のペーストを
用いて排気口に固定し、排気後、該排気管を加熱や圧着
による手段で閉塞し封止する方法、あるいは、排気管を
使用せずに排気開口部を閉塞蓋で封止する方法を採用す
ることができる。
【0038】また、排気時の雰囲気温度はT3とし、5
0℃以上にすると効率良く排気できるので、加熱工程2
の後に、板ガラスが常温になる前の冷却中に、温度を5
0℃以上に保ち、実施することが好ましい。
【0039】なお、ペーストを塗布された板ガラス1を
低圧力にしたボックス内に置き、加熱工程1と同様の加
熱処理をする加熱工程3を行うと、加熱工程1を大気圧
中で行うよりも、封着部の残渣が少なくなるので、好ま
しい。
【0040】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。
【0041】実施例1 図1は、実施例1で作製した低圧複層ガラスの断面を
す。
【0042】2枚の板ガラスには、いずれも、厚みが3
mmで、大きさが1040mm×1040mmのフロー
トガラスを用いた。
【0043】板ガラス2の1つのコーナー部には、2つ
の辺から共に60mmの位置に、2mmφの排気口4を
設けた。
【0044】板ガラス3は、空隙部に面する片面に、垂
直放射率0.1の低放射膜をコーティングしたものであ
る。
【0045】まず、PbO(85重量%)、B23(1
3重量%)、Al23(1重量%)、SiO2(1重量
%)からなる組成の低融点ガラス粉末(軟化点380
℃)と、フロートガラスの熱膨張係数に近似させるため
のPbTiO3粉末を重量比で70:30になるように
混合し、この混合粉末に、ブチルカルビトールアセテー
トとα−ターピネオールからなる油分とセルロースバイ
ンダーとを配合したビヒクルを13重量%加えて、混練
して、ペースとを作製した。該ペーストを板ガラス3の
周辺部に、辺に沿って、5mm幅、0.4mm厚さで塗
布した。この時、コーナー部の塗布は、コーナーから6
mmの長さの範囲を行わなかった。板ガラス3へのペー
スト塗布の状態を図2に示す。
【0046】ペースト6を塗布した板ガラス3に対し、
図3に示す昇温プロセスの加熱工程1を行った。図3に
おいて、の昇温速度は10°/分、の昇温速度は
1.6℃/分、の昇温速度は4℃/分とした。の昇
温速度を小さくしたのは、バインダーを蒸散させるため
である。さらに、図3の加熱は、加熱工程1の加熱温
度T1で、10分間行った。加熱温度T1は480℃と
した。図3のは、自然冷却である。
【0047】加熱工程1を実施した後、ペーストを板ガ
ラス3に焼き付けてできた封着部は、5mm幅、0.3
mm厚さとなった。
【0048】次に、予め、スペーサー7を20mm×2
0mmピッチで格子状に配設した板ガラス2に、板ガラ
ス3を重ねた。スペーサー7には、SUS430製で、
0.5mmφ、高さ0.2mmの円柱のものを用いた。
【0049】さらに、板ガラス2に設けた排気口4に、
内径1.5mmφ、外径2mmφのソーダ石灰ガラス製
の排気管8を挿入し、周辺部の封着に使用したペースト
を、内径2mmφ、外径2mmφ、厚さ1mmのペレッ
トに成形し、排気管8の周囲に配置し、板ガラス2と板
ガラス3を重ねたものを、図4に示す昇温プロセスの加
熱工程2を行った。
【0050】加熱工程2は昇温、と、加熱温度T1
を保持する加熱および自然冷却からなり、加熱温度
T2は、430℃とした。加熱工程2で、封着部5は、
流動的になり、板ガラス2と板ガラス3の周辺部全周
を、ペーストを塗布しないコーナー部も含め、封着する
ことができた。
【0051】加熱工程2の後、自然冷却後、130℃の
雰囲気温度に保った状態で、真空ポンプに繋がれている
管を排気管8に連結し、間隙部を0.1Pa以下に減圧
し、排気管8の排気口4とは反対側をバーナーで加熱融
着させて、排気管8を閉塞し、本発明の低圧複層ガラス
を得た。
【0052】実施例2 板ガラス1を圧力100Paのボックス内に置き、加熱
工程1の加熱温度T1を410℃とした以外は、実施例
1と同様の方法で低圧複層ガラスを得た。
【0053】比較例1 加熱温度T1を410℃とした以外は、実施例1と同様
の方法で低圧複層ガラスを得た。
【0054】比較例2 2枚の板ガラスが共に厚み3mmで、1枚が1034m
m×1034mmの大きさ、もう1枚が1040mm×
1040mmの大きさの、フロート板ガラスを用い、2
枚のガラスをスペーサーを介して重ね、周辺部に生じる
段差部に、実施例1で用いたと同じペーストを塗布し
た。次に、実施例1の加熱工程2の加熱を行い、実施例
1と同様の排気と排気管の封止を行って、低圧複層ガラ
スを得た。比較例2の周辺部の封着の形状を図5に示
す。
【0055】実施例1、実施例2、比較例1および比較
例2で得た低圧複層ガラスの熱貫流率は、全て、0.6
W/m℃となった。これらの低圧複層ガラスに対し、低
温環境の耐久性試験を行った。試験内容は、資料温度が
−20℃の状態を2時間維持し、その後試料温度が20
℃になった時点を1サイクルとする、冷却の繰り返しで
ある。この試験により、表1に示す結果が得られ、実施
例1と実施例2の低圧複層ガラスは、試験中に初期の熱
貫流率を保持したが、比較例1と比較例2の低圧複層ガ
ラスは、初期の熱貫流率を保持できず、断熱性能が劣化
した。
【0056】表1の結果から、本発明による低圧複層ガ
ラスの作製方法は、周辺の封着部の残渣に起因する断熱
性能の劣化を防ぐ有効な手段であることを確認した。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明の低圧複層ガラスの作製方法は、
低圧力の保持に優れた、耐久性の良い低圧複層ガラスを
提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、実施例1で得られた低圧複層ガ
ラスの断面図である。
【図2】実施例1のペーストを塗布した形状を示す図で
ある。
【図3】実施例1の加熱工程1の温度プロセスを示すグ
ラフである。
【図4】実施例1の加熱工程2の温度プロセスを示すグ
ラフである。
【図5】比較例2の低圧複層ガラスの封着部の断面図で
ある。
【符号の説明】
1 板ガラス1 2 板ガラス2 3 Low−E膜付板ガラス 4 排気口 5 封着部 6 ペースト 7 スペーサー 8 排気管

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対向する2枚の板ガラスを所定の間隔で隔
    置し、この間隔を保持する点状、線状または網状のスペ
    ーサーを配設するとともに、該2枚の板ガラスの周縁部
    が低融点ガラスにより封着され、該2枚の板ガラスの間
    に形成される間隙部が排気されて低圧力となっている低
    圧複層ガラスの製造方法において、2枚の板ガラスの内
    の1方の板ガラス(板ガラス1)の周辺部に低融点ガラ
    スのペーストを塗布後、該低融点ガラスの軟化点Tg1
    板ガラス1の軟化点Tg2に対して、Tg1<T1<Tg2
    加熱温度T1で加熱して、板ガラス1の周辺部に封着部
    を形成する加熱工程1と、加熱工程1の後に、該2枚の
    板ガラスの内の他方の板ガラス(板ガラス2)を板ガラ
    ス1の封着部側に重ねて、板ガラス1の軟化点と板ガラ
    ス2の軟化点との低い方の軟化点をTg3として、Tg1
    T2<Tg3の加熱温度T2で加熱して封着する加熱工程
    2の2つの加熱工程があり、T2≦T1であることを特
    徴とする低圧複層ガラスの製造方法。
  2. 【請求項2】対向する2枚の板ガラスを所定の間隔で隔
    置し、この間隔を保持する点状、線状または網状のスペ
    ーサーを配設するとともに、該2枚の板ガラスの周縁部
    が低融点ガラスにより封着され、該2枚の板ガラスの間
    に形成される間隙部が排気されて低圧力となっている低
    圧複層ガラスの製造方法において、板ガラス1の周辺部
    に低融点ガラスのペーストを塗布後、板ガラス1を低圧
    力のボックス内に置き、該低融点ガラスの軟化点Tg1
    板ガラス1の軟化点Tg2に対して、Tg1<T1<Tg2
    加熱温度T1で加熱して、板ガラス1の周辺部に封着部
    を形成する加熱工程1と、加熱工程1の後に、板ガラス
    2を板ガラス1の封着部側に重ねて、板ガラス1の軟化
    点と板ガラス2の軟化点との低い方の軟化点をTg3とし
    て、Tg1<T2<Tg3の加熱温度T2で加熱して封着す
    る加熱工程2の2つの加熱工程があることを特徴とする
    低圧複層ガラスの製造方法。
JP2000376734A 2000-12-12 2000-12-12 低圧複層ガラスの製造方法 Pending JP2002179439A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000376734A JP2002179439A (ja) 2000-12-12 2000-12-12 低圧複層ガラスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000376734A JP2002179439A (ja) 2000-12-12 2000-12-12 低圧複層ガラスの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002179439A true JP2002179439A (ja) 2002-06-26

Family

ID=18845555

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000376734A Pending JP2002179439A (ja) 2000-12-12 2000-12-12 低圧複層ガラスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002179439A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011506252A (ja) * 2007-12-14 2011-03-03 ガーディアン・インダストリーズ・コーポレーション 真空断熱ガラスユニットのための端密封部の局部的過熱および/またはそれを達成するためのユニット化されたオーブン
WO2012157520A1 (ja) * 2011-05-16 2012-11-22 旭硝子株式会社 真空複層ガラス
JP2016175811A (ja) * 2015-03-20 2016-10-06 パナソニックIpマネジメント株式会社 真空ガラスパネルの製造方法
WO2017056419A1 (ja) * 2015-09-29 2017-04-06 パナソニックIpマネジメント株式会社 ガラスパネルユニットの製造方法およびガラス窓の製造方法
JP2020506861A (ja) * 2017-01-26 2020-03-05 連 玉 ▲チー▼Lian, Yuqi 真空ガラスおよびその作製方法
WO2020075406A1 (ja) * 2018-10-12 2020-04-16 パナソニックIpマネジメント株式会社 ガラスパネルユニット及びガラス窓
US10697231B2 (en) 2015-08-20 2020-06-30 Vkr Holding A/S Small diameter evacuation head for VIG unit manufacture

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011506252A (ja) * 2007-12-14 2011-03-03 ガーディアン・インダストリーズ・コーポレーション 真空断熱ガラスユニットのための端密封部の局部的過熱および/またはそれを達成するためのユニット化されたオーブン
WO2012157520A1 (ja) * 2011-05-16 2012-11-22 旭硝子株式会社 真空複層ガラス
JPWO2012157520A1 (ja) * 2011-05-16 2014-07-31 旭硝子株式会社 真空複層ガラス
JP2016175811A (ja) * 2015-03-20 2016-10-06 パナソニックIpマネジメント株式会社 真空ガラスパネルの製造方法
US10697231B2 (en) 2015-08-20 2020-06-30 Vkr Holding A/S Small diameter evacuation head for VIG unit manufacture
US10882784B2 (en) 2015-09-29 2021-01-05 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Glass panel unit manufacturing method and glass window manufacturing method
JPWO2017056419A1 (ja) * 2015-09-29 2018-07-26 パナソニックIpマネジメント株式会社 ガラスパネルユニットの製造方法およびガラス窓の製造方法
WO2017056419A1 (ja) * 2015-09-29 2017-04-06 パナソニックIpマネジメント株式会社 ガラスパネルユニットの製造方法およびガラス窓の製造方法
JP2020506861A (ja) * 2017-01-26 2020-03-05 連 玉 ▲チー▼Lian, Yuqi 真空ガラスおよびその作製方法
JP7064498B2 (ja) 2017-01-26 2022-05-10 玉 ▲チー▼ 連 真空ガラスおよびその作製方法
WO2020075406A1 (ja) * 2018-10-12 2020-04-16 パナソニックIpマネジメント株式会社 ガラスパネルユニット及びガラス窓
JPWO2020075406A1 (ja) * 2018-10-12 2021-09-24 パナソニックIpマネジメント株式会社 ガラスパネルユニット及びガラス窓
JP7126130B2 (ja) 2018-10-12 2022-08-26 パナソニックIpマネジメント株式会社 ガラスパネルユニット及びガラス窓

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN103443044B (zh) 包括两个低辐射性叠层的隔离性多层窗玻璃
RU2639750C2 (ru) Изолирующие стеклопакеты с низкоэмиссионными и антиотражающими покрытиями
TWI597412B (zh) 具有經紫外光(uv)處理低發射率塗層的窗片及製造該窗片的方法
JP4763569B2 (ja) 高赤外反射コーティング、薄膜コーティング堆積方法および関連技術
US10526244B2 (en) Insulated glazing unit
WO1999047466A1 (fr) Unite de double vitrage
KR20220044898A (ko) Vig 조립체용 특수 코팅 유리
WO2018207435A1 (ja) 複層ガラス及びその製造方法
WO2004106255A1 (ja) 断熱・遮熱性ガラスパネル
JP2019535617A (ja) 低い可視光透過率の、吸収体層を有する低e被膜を含む銀色に着色した被覆物品
JP2002179439A (ja) 低圧複層ガラスの製造方法
JP2002226235A (ja) 低圧複層ガラス
JP2002012455A (ja) 低圧複層ガラス
JP6601419B2 (ja) 積層膜付きガラス板および複層ガラス
JPWO2002092529A1 (ja) 断熱・遮熱性ガラスパネル
KR102269782B1 (ko) 차폐성능이 향상된 열처리 가능한 저방사 유리 및 그 제조방법
JP2000103651A (ja) 低圧複層ガラスおよびその製造方法
JP2000352274A (ja) 多重の低圧空間を有する複層ガラスおよび製造方法
CN112250322A (zh) 一种单银层low-e真空玻璃
JP2002080247A (ja) 低圧複層ガラス
JP2002255593A (ja) 低圧複層ガラスの製造方法
JP2001064042A (ja) 低圧複層ガラスおよびその製造方法
JP2000044290A (ja) 低圧複層ガラスおよびその製造方法
JP2002053349A (ja) 低圧複層ガラスおよびその製造方法
JP2000220357A (ja) 低圧複層ガラスおよびその製造方法