JP2002178281A - 把持力制御装置および把持力推定装置 - Google Patents

把持力制御装置および把持力推定装置

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JP2002178281A
JP2002178281A JP2000382669A JP2000382669A JP2002178281A JP 2002178281 A JP2002178281 A JP 2002178281A JP 2000382669 A JP2000382669 A JP 2000382669A JP 2000382669 A JP2000382669 A JP 2000382669A JP 2002178281 A JP2002178281 A JP 2002178281A
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gripping force
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JP2000382669A
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Hiroaki Kagaya
博昭 加賀谷
Keizo Miyahara
敬造 宮原
Takashi Moriyama
尚 森山
Masao Takatori
正夫 鷹取
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モータ駆動式の把持装置において、高価で扱
いにくい力センサを用いないで把持力を推定する新しい
方法を実施する装置を提供し、またその方法により推定
した把持力を用いて簡単に把持力制御を行う制御装置を
提供する。 【解決手段】 モータ駆動電流iとモータ回転速度ωを
入力して把持装置の把持力を推定する外乱推定オブザー
バObsを備え、その外乱推定オブザーバから出力される
把持力推定値τeと把持力目標値τcmdとの偏差を無くす
ように制御する。外乱推定オブザーバObsはモータ回転
速度と摩擦力の関係を用いて構成される摩擦力推定部C
wnを備えて、摩擦力推定部により把持装置の運動に伴う
摩擦力を推定し、この摩擦力推定値を相殺して把持力推
定値を求めるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械やロボッ
トなどに用いるモータ駆動式の把持装置における把持力
制御装置と把持力推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械や産業用ロボットにおいてワー
クをハンドリングする場合に、ワークが柔軟物であった
り易損品であったりすると、これらを破損しないように
して確実に把持するために、把持力を適正に保つ必要が
ある。従来、保持力を適正値に維持する方法として、把
持力をリアルタイムに検出して制御器にフィードバック
して力制御を行う方法があった。把持力は、歪みゲージ
やその他の感圧素子を用いた力センサを指先に付けて直
接的に測定していた。
【0003】可動部にセンサを取り付けて測定する方法
は、把持力を直接測定することができる利点があるが、
信号処理系の負荷を増大させるので、特に近年急激に高
速化しているシステムコントロール系に適用するには好
ましくない、力検出部には歪みゲージなどの検出端に力
歪み変換機能を有する薄板部材や細線部材を組み合わせ
て構成しなければならないため補強部材が必要となり結
局センサ自体の大型化が避けられない、そして結局アー
ム手先の寸法と重量の増大を招くことになるという欠点
を有する。また、力センサは位置センサなどと比較して
精度が低いうえ、非常に高価であり、取付が困難であ
る。このため、装置全体の価格が低いものには適用しに
くい。
【0004】一方、外付けセンサを用いない方法とし
て、外乱推定オブザーバを用いてモータの軸に作用する
トルクを推定する手法が開発されている。外乱推定オブ
ザーバを利用した方法として、たとえば、特開平6−3
39292には、工作機械やロボットなどモータを駆動
源とした装置で力センサを用いずに力制御を行う方法が
開示されている。この公報に開示された発明は、モータ
電流と速度からモータ軸に作用する外力を外乱推定オブ
ザーバにより推定し、これが力指令値と一致するように
フィードバック制御するものである。
【0005】すなわち、実速度に適当な係数を乗じた値
と力指令値の偏差を外乱推定オブザーバで求めた推定外
乱負荷トルクで補正した値を力偏差値としてフィードバ
ック制御することにより、サーボモータから制御対象に
加える力が力指令値に一致するようにしている。しか
し、この開示方法では、ロボットが接触作業により対象
から受ける反作用力すなわち把持力や押し付け力などの
作用力による負荷に加えて、コリオリ力や遠心力、粘性
摩擦やクーロン摩擦など、機構内部作用力による負荷を
含んだものを外乱負荷として算出するため、把持力など
の純粋な外部作用力を取り出して制御することができな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、モータ駆動式の把持装置におい
て、高価で扱いにくい力センサを用いないで把持力を推
定する新しい方法に基づく装置を提供し、また当該方法
により推定した把持力を用いて簡単に把持力制御を行う
制御装置を提供することである。このような簡素な制御
機構を用いることにより、小型で安価でありながら精密
な作業を正確に行うロボットハンドを提供することがで
きるようになる。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のモータ駆動式把持装置の把持力制御装置
は、モータ駆動電流とモータ回転速度を入力して把持装
置の把持力を推定する外乱推定オブザーバを備え、その
外乱推定オブザーバから出力される把持力推定値と把持
力目標値との偏差を無くすように制御することを特徴と
する。また、外乱推定オブザーバはモータ回転速度と摩
擦力の関係を用いて構成される摩擦力推定部を備えて、
摩擦力推定部により把持装置の運動に伴う摩擦力を推定
し、この摩擦力推定値を相殺して把持力推定値を求める
ようにすることが好ましい。さらに、本発明の把持力制
御装置は、把持力推定値に1次のローパスフィルタを作
用させることができる。
【0008】本発明の把持力制御装置によれば、外部に
高価な力センサを設けなくても正確な把持力制御ができ
るから、小型軽量で安価なロボットハンドを得ることが
できる。また、力センサは高度な信号処理系を必要とす
るが、本発明の装置では信号処理系の負荷が軽くなり、
またシステム面での信頼性が向上する。また、モータ回
転速度と摩擦力の間には再現性の高い関係が成立するの
で、予めその関係を求めておいて利用することにより、
的確に摩擦力の影響を除去して把持力自体を精度よく推
定して制御することができる。さらに、取得した推定把
持力の信号出力は変動が激しいので、ローパスフィルタ
を作用させて利用することにより、安定した把持力制御
ができる。なお、本発明の制御装置は位置制御をベース
としているので、ハーモニックドライブギアのような摩
擦力が大きく作用する機構系においても有効である。
【0009】また、上記課題を解決するため、本発明の
把持力推定装置は、モータ駆動電流とモータ回転速度を
入力し、モータ駆動電流に所定の定数を乗じて第1の値
を求める第1の演算部と、モータ回転速度に粘性摩擦係
数を乗じて第2の値を求める第2の演算部と、モータ回
転速度の微分値に慣性モーメントを乗じて第3の値を求
める第3の演算部と、第1の値から第2の値と第3の値
を差し引いて把持力を推定する第4の演算部を備えるこ
とを特徴とする。なお、粘性摩擦係数を予め求めたモー
タ回転速度と摩擦力の関係を用いて定めることが好まし
い。さらに、把持力推定値に1次のローパスフィルタを
作用させることができる。
【0010】本発明の把持力推定装置によれば、力セン
サを使うことなく、アクチュエータに起因する情報のみ
を用いて把持力を推定することができる。また、速度摩
擦関係を利用することにより、正確な把持力を簡単に求
めることができる。さらにローパスフィルタにより推定
値を処理することにより、細かな変動を抑制して安定し
た把持力推定値とすることができ、制御などに用いても
制御性を害することがない。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、ロボットハンドの把持
力を、力覚センサを用いないで、外乱推定オブザーバを
利用してアクチュエータ自体の動作状況から推定するよ
うにしたものであり、この把持力推定値を用いて把持力
制御を行う把持力制御装置である。従来、外乱推定オブ
ザーバを利用した制御装置は、モータ軸に加わる外力を
総合した値を外乱として推定し、これを打ち消して出力
トルクを制御していた。しかし、本発明では、外力の内
から重力や摩擦力など駆動機構に基づいて発生する力を
除去して把持力のみを推定し、またこのようにして推定
された把持力推定値に基づいて把持力の制御を行うこと
ができる。
【0012】特に、機構に起因する摩擦成分がモータの
回転速度に関連する関数であって、再現性がある上、こ
の関数に与える把持負荷の影響が小さいことに注目し
て、本発明がなされたのである。本発明により、たとえ
ば産業用ロボットによるワークのハンドリングにおい
て、ハンドの把持力を適正に保ちながらワークを把持す
るので、柔軟物や易損品を破損しないように把持するこ
とが可能になる。以下、本発明について実施例に基づき
図面を用いて詳細に説明する。
【0013】モータ駆動方式の把持装置の運動方程式は
一般に下の式(1)で表すことができる。 Jd2θ/dt2+Cdθ/dt+τd=Kti (1) ただし、Jはモータ軸換算慣性モーメント、Cは粘性摩
擦係数、Ktはトルク定数、θはモータの回転角、iは
モータ電流、τd=(爪長さ×把持力/ギヤ比)は外力
トルクである。把持力は式(1)の外力トルクに当たる
ので、推定すべき把持力τdは、モータ電流iとモータ
回転角速度ω=dθ/dtの観測値を用いて、下の式
(2)により求めることができる。 τd=Kti−Jdω/dt−Cω (2)
【0014】図1はこの演算を実行して把持力を推定す
る把持力推定装置の機能を表すブロック図である。この
把持力推定装置は外乱推定オブザーバとして知られるも
のと同じ構造を有する。把持力推定装置では、モータ駆
動電流値iにトルク係数Ktを乗じて得られる値から、
モータ回転角速度ωに粘性摩擦係数Cを乗じて得られる
値と、モータ回転角速度を微分したものにモータ軸の慣
性モーメントJを乗じた値を差し引いて把持力τdを推
定する。このように、モータの出力から駆動部の慣性と
摩擦に基づくトルクを相殺すれば、外力である把持力を
推定することができる。この装置は把持力を直接測定す
る力センサを必要としないから、これを用いる把持装置
の把持部は極めて小型に形成することができ、また演算
負荷も小さいため簡単な信号処理装置を備えればよい。
さらに把持部と本体の間に多数の信号ケーブルを張り巡
らす必要がないので、極めて扱いやすいロボットハンド
を構成することができる。
【0015】なお、この方法では、回転角速度ωを微分
するため高域におけるノイズが増幅されて出力が不安定
になる傾向があるので、実用のためには出力にローパス
フィルタを作用させることが好ましい。ローパスフィル
タは、システムに適合した高次のものを用いることが好
ましいが、式(3)に表すような最も簡素な1次のフィ
ルタFであっても十分な効果がある。 F=ωc/(s+ωc) (3) ここで、sは微分演算子、ωcはフィルタの遮断角周波
数である。
【0016】さらに、式(3)のフィルタFを作用させ
て把持力推定値τeを求める場合は、推定式を次式
(4)のように変形すると、微分演算を排除して積分器
のみで回路を構成することができるようになる。 τe=ωc/(s+ωc)×(Kti−Jdω/dt−Cω) =ωc/(s+ωc)×(Kti−Jdω/dt+Jωcω−Jωcω−Cω) =ωc/(s+ωc)×(Kti+Jωcω−Cω−(Jsω+Jωcω)) =ωc/(s+ωc)×(Kti+Jωcω−Cω)−Jωcω (4) ここで、角速度ωの係数Cは摩擦成分を表し、摩擦には
粘性摩擦の他に機構の静止摩擦Fsやクーロン摩擦Fcが
含まれる。また粘性摩擦は非線形特性を示す場合が多
い。そこで、粘性摩擦係数Cをこれら全ての摩擦を包含
した総合的な摩擦係数を表す非線形関数Cwに置き換え
ることにより、より正確な表現とすることができる。
【0017】図2は、式(4)の粘性摩擦係数Cを総合
的な摩擦係数Cwで置き換えた関係式に基づいて推定把
持力τeを出力する把持力推定装置の機能を表すブロッ
ク図である。図2に表した外乱推定オブザーバすなわち
把持力推定装置では、モータ駆動電流i状態にトルク係
数を乗じて得られる駆動トルク変数値から、モータ回転
角速度ωに非線形関数Cwを作用させて得られる摩擦成
分値を差し引き、モータ回転角速度に慣性モーメントJ
と遮断角周波数ωcを掛け合わせた値を加えて得られる
変数値をローパスフィルタFlに通して、さらにモータ
回転角速度に慣性モーメントJと遮断角周波数ωcを掛
け合わせた値を差し引いて、把持装置の把持力を推定す
る。この把持力推定装置は、微分器を用いないため、高
周波成分のノイズに影響されることなく比較的安定した
把持力推定出力信号を得ることができる。
【0018】図3は、上記の把持力推定装置を組み込ん
だ把持力制御装置を表すブロック図である。制御対象P
rは、電動モータにより駆動される1対の指でワークを
把持する把持装置であって、ブロック図はこれを典型的
に表現したものである。電流iを入力するとモータに磁
束×電流に対応するトルクKtiが発生し、このトルク
は慣性モーメントJに対応してモータに加速度を与える
ので、トルクを積分した値がモータ回転角速度ω=dθ
/dtの変化分となり、さらに回転角速度ωが積分され
て回転角θとなって出力される。なお、モータ回転角速
度ωにより機構内に摩擦力が発生して駆動トルクを減滅
させる。なお、制御対象Prがワークに対して把持力τd
を及ぼすときには、発生するトルクのうちから把持力に
相当する分が相殺されて、指先の角速度ωや動きθを減
少させる。
【0019】この制御対象Prは制御器Cntにより制御
される。制御器Cntは、速度制御ゲインKvと速度制御
積分ゲインKiを有する比例積分制御器と位置制御ゲイ
ンKpを有する比例制御器と力制御ゲインKfを有する積
分制御器を備えている。従来、ロボットハンドは通常、
マイナーループとしての速度制御とメイジャーループと
しての位置制御の2重のフィードバック制御を行う。す
なわち、モータの角速度ωを検出しこれをフィードバッ
クして比例積分制御器によりサーボ制御を行い安定した
動きを確保しながら、回転角θをフィードバックして位
置制御を行い指先位置を調整する。
【0020】本実施例では、さらに把持力推定装置Obs
を備えて指先の把持力を推定し、この推定値と把持力指
令値の偏差に基づいて把持力の制御を行う。把持力推定
装置Obsは、制御対象Prに加えられる駆動電流iとモ
ータ角速度ωのみを用いて把持力を推定するもので、図
2に示す把持力推定装置と同じものである。駆動電流と
モータ角速度はアクチュエータ自体から取得できる信号
であるから、指先に力センサを備える必要がない。ここ
で、外乱推定に用いる補償係数Ktn,Cwn,Jnはそれ
ぞれ制御対象Prにおける対応係数Kt,Cw,Jの公称
値であって、これらの補償係数を使用することにより最
も確からしい推定値を得ることができる。総合的な摩擦
係数Cwは実機に基づいた試験により予め得ておくこと
ができる。なお、出力部に不感帯Dあるいは適当なロー
パスフィルタを備えてもよい。
【0021】本実施例の把持力推定装置Obsは、対象と
する把持装置Prの駆動トルクと慣性力と摩擦成分を適
正に推定して相殺することにより、外力τdである把持
力を的確に推定する。この把持力推定値τeを制御装置
Cntにフィードバックして設定把持力τcmdとの偏差を
求める。この偏差に力制御ゲインを掛けて積分して位置
制御器の設定値とすることにより、把持力推定値τeが
常時設定把持力τcmdと同じ値になるように調整がされ
る。本実施例の制御装置は位置制御をベースとするもの
であるため、摩擦力が大きく作用する機構系であっても
有効に作用する。なお、把持力推定値τeは不感帯Dあ
るいは別のローパスフィルタを作用させた上で使用する
と、把持装置の無意味なビリツキを抑制することができ
る。
【0022】このようにして、把持装置がワークに対し
て作用する把持力を所望の値に保持することができるの
で、ワークが柔軟物であったり易損品であっても、それ
ぞれに適合する把持力を設定することにより、安全に把
持することができる。また、把持装置にハーモニックド
ライブギアのように摩擦力が大きな機構要素を含まれる
場合であっても、精度よく把持力を推定することができ
正確に把持力制御をすることができる。なお、把持力推
定装置Obsや制御装置Cntは電子計算機によっても構成
することができることはいうまでもない。
【0023】
【適用例】図4は、本実施例の把持力制御装置を適用し
た2指把持装置の透視図である。本把持装置は1対の把
持爪を1個のモータで回転開閉させて物体を把持する機
構である。モータ1は小径平歯車2を駆動し、小径平歯
車2は2.5倍の径を有する第1の大径平歯車3と噛み
合ってこれを駆動し、第1の大径平歯車3は同じ径を有
する第2の大径平歯車4と噛み合ってこれを反対方向に
駆動する。第1の大径平歯車3は200倍のハーモニッ
クドライブギア5を介して把持爪6の軸を駆動する。第
2の大径平歯車4も同様にハーモニックドライブギアを
介して把持爪7を駆動し、把持爪6,7でワークを挟持
することができる。なお、これらの機構は筐体9に納め
られ、図示しないツールチェンジャーにより力センサを
介してロボットアームに取り付けられる。制御装置は、
制御アルゴリズムを1msの周期で繰り返し実行してい
る。ここで、具体的な減速比や制御周期を例として挙げ
たがこの値は任意に選択できることはいうまでもない。
【0024】まず、摩擦力の同定を行って総合的な摩擦
係数Cwを求める。摩擦力は、無負荷の状態で等速区間
を設けた速度指令を与えて、速度毎の電流値を測定する
ことにより求める。さらに、得られたデータセットにつ
いて最小二乗法による2次多項式近似を行って、摩擦係
数Cwを求める。このようにして求めた摩擦係数Cwに±
10rpmの範囲でほぼ±0.015Nmの摩擦力のヒス
テリシス特性を設けて、把持力推定装置の摩擦力算出用
補償係数Cwnとする。ヒステリシス特性は速度ゼロ付近
におけるジャンプ防止に効果がある。
【0025】図5は、適用例の把持装置について把持力
推定装置に使用した摩擦用補償係数Cwnを示す図面であ
り、図6はその低速部分における拡大図である。横軸に
角速度をとり、縦軸に摩擦力をとってある。丸印は実測
値である。実地試験に基づいて得られた摩擦係数は高速
になるにつれて摩擦力の増加率がやや鈍化している。こ
の摩擦用補償係数Cwnは角速度ゼロの点に関してほぼ点
対称な非線形関数になっている。
【0026】図7と図8は、本実施例の有効性を確認す
るために、本適用例において無負荷で運転したときの把
持力推定値を計測した結果の一部を示す図面である。図
7は駆動モータの回転数を500rpmに設定したときの
トルク実測値と推定値を示す。上段、中段、下段の各グ
ラフは同じ時刻における変化を観察したもので、上段の
グラフは速度指令信号に対する実際の速度を示し、中段
のグラフは電流値から求めた出力トルクと本実施例によ
る摩擦力推定値を示し、下段のグラフは把持トルク推定
値の出力をローパスフィルタに通した状態で表示したも
のである。また、図8はモータ回転数を3000rpmに
設定したときのものである。トルクに若干の偏差がある
のは、不感帯要素Dを用いたためである。把持力の推定
値は、摩擦用補償係数Cwnにおけるヒステリシスの影響
を除くとほぼゼロとなっていて、満足できる推定能力を
有することが実証できた。
【0027】図9、図10、図11は、図4に示した把
持装置に図5の摩擦用補償係数を適用して、把持トルク
指令値をそれぞれ定格値の30%、40%、50%に設
定して、物体の把持実験を行った結果を示す図面であ
る。実験では、厚さ10mmの緩衝材を取り付けた把持
部により所定の把持力でスチール缶を把持させた。各図
は、最上段のグラフに駆動モータの各速度、第2段目の
グラフにモータ回転角、第3段目のグラフにトルクモニ
タ値と摩擦力推定値、最下段のグラフにフィルタを通っ
た後の把持トルク推定値を同じ時間軸で表示したもので
ある。
【0028】たとえば、図9を参照すると、定格トルク
の30%の力でスチール缶を把持させる場合に、ハンド
がスチール缶に接触するとまでは指が内側に運動し、こ
の間はモータの発生トルクと指の内部機構に生ずる摩擦
力がほぼ同じ値になり、把持力は生じない。指がスチー
ル缶と接触すると、指の運動が止まるため摩擦起因のト
ルクが減少し、発生トルクはほぼ指の把持力となり、指
示値近くの把持力でスチール缶を把持する。ただし、摩
擦用補償係数にはヒステリシスが与えられており、また
力把持力推定出力には±10%の不感帯要素が介在する
ため、摩擦力推定値は指が動かない場合にも若干の偏差
を有し、また把持力推定値は約10%の偏差を有する。
【0029】図10においても、定格トルクの40%に
設定してほぼ30%のトルクで把持しており、図11で
は定格トルクの50%に設定してほぼ40%のトルクで
スチール缶を把持していることが読み取れる。このよう
に、本実施例の把持装置によれば、ケースに従った適正
な補正を行えば、把持力指令値通りの把持力で物体を把
持できることが確認できた。
【0030】なお、本実施例では2本指方式の把持装置
に適用しているが、本発明は、モータ駆動式の機構であ
れば把持する指が1本もしくは3本以上ある場合にも適
用できることはいうまでもない。また、摩擦用補償係数
に取り込むヒステリシス部は、さらに複雑な特性表現や
静止摩擦力近傍における負の粘性摩擦をより厳密に考慮
したいわゆるストリベック(Stribeck)型の摩擦モデル
を用いたものなどであってもよい。
【0031】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の把持力推定
装置および把持力制御装置を用いれば、モータ駆動式把
持装置において、アクチュエータ自体から信号として取
得可能なモータ電流値とモータ回転速度の情報のみを用
いて手先把持力を推定し、さらに制御に用いることがで
きる。したがって、高価で取り扱いの困難な外付けの力
センサを用いることなく、小型で高性能な把持装置を構
成することが可能となる。また、信号処理装置もより簡
便なもので十分機能するので、把持装置全体として経済
的に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の把持力推定装置の原理を表すブロック
図である。
【図2】本発明の把持力推定装置の実施例を表すブロッ
ク図である。
【図3】本発明の把持力制御装置の実施例を表すブロッ
ク図である。
【図4】本実施例を適用した2指把持装置の透視図であ
る。
【図5】本実施例を適用した把持装置について把持力推
定に用いた摩擦用補償係数を示す図面である。
【図6】図5の一部拡大図である。
【図7】本適用例においてある回転数で無負荷運転した
ときの把持力推定値の計測結果を示す図面である。
【図8】本適用例において別の回転数で無負荷運転した
ときの把持力推定値の計測結果を示す図面である。
【図9】本適用例において把持トルク指令値を所定の値
に設定して、物体の把持実験を行った結果を示す図面で
ある。
【図10】本適用例において把持トルク指令値を別の所
定の値に設定して、物体の把持実験を行った結果を示す
図面である。
【図11】本適用例において把持トルク指令値をさらに
別の所定の値に設定して、物体の把持実験を行った結果
を示す図面である。
【符号の説明】
Cw 総合的摩擦係数 Cwn 摩擦力算出用補償係数 D 不感帯要素 Fl ローパスフィルタ 1 駆動モータ 2 平歯車 3,4 平歯車 5 ハーモニックドライブギア 6,7 把持部 9 ハウジング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森山 尚 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 (72)発明者 鷹取 正夫 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 Fターム(参考) 3C007 DS01 ES03 ET03 EU02 EV03 HS27 LV10 NS07 3F059 CA06 DC05 FC03 FC04 3F061 AA01 BA03 BB03 BC03 BD04 BE03 DB02 DD02 5H004 GA31 GA34 GB16 HA07 HB10 JB22 KA45 KB04 KB06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータ駆動電流とモータ回転速度を入力
    して把持装置の把持力を推定する外乱推定オブザーバを
    備え、該外乱推定オブザーバから出力される把持力推定
    値と把持力目標値との偏差を無くすように制御するモー
    タ駆動式把持装置の把持力制御装置。
  2. 【請求項2】 前記外乱推定オブザーバがモータ回転速
    度と摩擦力の関係を用いて構成される摩擦力推定部を備
    え、該摩擦力推定部により把持装置の運動に伴う摩擦力
    を推定して、該摩擦力推定値を相殺して把持力推定値を
    求めることを特徴とする請求項1記載の把持力制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記把持力推定値に1次のローパスフィ
    ルタを作用させることを特徴とする請求項1または2記
    載の把持力制御装置。
  4. 【請求項4】 モータ駆動電流とモータ回転速度を入力
    し、該モータ駆動電流に所定の定数を乗じた第1の値を
    求める第1の演算部と、前記モータ回転速度に摩擦係数
    を乗じた第2の値を求める第2の演算部と、該モータ回
    転速度の微分値に慣性モーメントを乗じた第3の値を求
    める第3の演算部と、第1の値から第2の値と第3の値
    を差し引いて把持力推定値として出力する第4の演算部
    を備えるモータ駆動把持装置の把持力推定装置。
  5. 【請求項5】 前記摩擦係数を、予め求めたモータ回転
    速度と摩擦力の関係を用いて定めることを特徴とする請
    求項4記載の把持力推定装置。
  6. 【請求項6】 前記把持力推定値出力に作用する1次の
    ローパスフィルタを備えることを特徴とする請求項4ま
    たは5記載の把持力推定装置。
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