JP2002178179A - 割断装置及びその方法 - Google Patents

割断装置及びその方法

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JP2002178179A
JP2002178179A JP2000377266A JP2000377266A JP2002178179A JP 2002178179 A JP2002178179 A JP 2002178179A JP 2000377266 A JP2000377266 A JP 2000377266A JP 2000377266 A JP2000377266 A JP 2000377266A JP 2002178179 A JP2002178179 A JP 2002178179A
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Satoshi Iwazu
聡 岩津
Naoki Sawada
直樹 沢田
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B33/00Severing cooled glass
    • C03B33/09Severing cooled glass by thermal shock
    • C03B33/091Severing cooled glass by thermal shock using at least one focussed radiation beam, e.g. laser beam
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 加工屑の発生なしに、割断予定線に沿って高
精度の割断を容易かつ経済的に行なえる割断装置及びそ
の方法を提供すること。 【解決手段】 被加工材料1の割断加工予定線を加熱し
て第一のレーザービームスポット12を生じさせる第一
のレーザー3と、第一のレーザービームスポット12の
一部に重複する第二のレーザービームスポット16を生
じさせる第二のレーザー4とを有し、第一及び第二のレ
ーザー3及び4が被加工材料1に対して相対的に移動
し、かつ、第二のレーザービームスポット16の少なく
とも一部分が上流側に向かって第一及び第二のレーザー
ビームスポット12及び16の重複部分と同等若しくは
それ以下の幅を有するように、第2のレーザービームの
マスク5を設ける割断装置及び割断方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、割断装置及びその
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体ウエーハやガラス(例えば、CCD
カメラの表面を形成する)等の脆性材料を切断(ダイシ
ング)する方法としては、従来、研磨材を使用する研
削、或いは、レーザービームによる溶断等の方法がある
が、これ等の方法によると、いずれの場合も、加工点に
熱による歪みが発生(レーザービームによる溶断時)し
たり、機械的な構造破壊(研削時)の発生によって加工
点の周辺に研削割れが生じる等の材料の劣化を伴うとい
う欠点があり、又、研磨屑の発生や蒸発や溶融による材
料の損失・ゆがみ等が避けられない等の欠点がある。
【0003】そこで、このような欠点を解消する為に、
レーザービームの照射によって生じる熱応力を利用して
材料を割断する、いわゆる、レーザー割断方法が、例え
ば、特許平7−323384公報「脆性材料の割断方
法」に提案されている。
【0004】この方法は、脆性材料に、予め切欠き等に
より加工予定線を形成しておき、その近傍にレーザービ
ームを照射して、その加熱によって発生する熱応力によ
り微小亀裂を発生させ、さらに、レーザービームを加工
予定線に沿う方向に誘導する事によって、亀裂を加工予
定線上で発生させて材料の分子間の結合を切って割断す
るというものである。
【0005】しかし、この技術を実際に実施しようとし
た場合に、予め材料にある程度の深さ以上の切欠きがな
いと加工予定線通りに割断する事ができず、その場合、
切り屑を発生させてしまい、その為に、材料の損失が少
なくなるという利点が若干失われてしまう。又、加工の
手間としては、そのまま切り欠きなしで切断してしまっ
ても結果が変わらなくなってくるという問題が指摘され
ている。
【0006】そして、もし、切欠きを用いた加工予定線
を予め形成しなかった場合には、特に加工材料におい
て、加工予定箇所を挟んで材料の両側の幅が対称でない
ものでは両側のそれぞれの材料の体積や表面積等が違う
為に、それぞれの剛性をも違ってしまい、加工予定線に
発生する熱応力に不均衡が生じてレーザーのスポットの
中心から外れた部分で割断が起こり、レーザーの誘導通
りに割断を行う事ができないという問題もある。
【0007】これに対し、例えば、特開平7−3233
85公報「脆性材料の割断方法」、特許平7−3287
81公報「脆性材料の割断方法」、特開平9−1370
公報「割断加工方法及び割断加工装置」、特開平11−
10374公報「割断加工方法」、特開平11−103
75公報「割断加工方法」等で、割断予定線を挟んだ両
側の幅が非対称なものに対しても、レーザーの誘導通り
に割断するための制御方法が開示されている。
【0008】しかし、加工用の熱源を2個以上準備して
全体の熱量をセンサー等で監視しながら、亀裂発生部分
の熱が均等に分布するようそれぞれの熱源の熱量を調整
する技術や、又、常に画像等で加工部分を監視しながら
加工し、もし亀裂が加工予定線からずれた場合には、レ
ーザーの位置を調整して加工予定線にもどるように誘導
する技術等があるが、いずれも制御に大変高度な技術が
必要であり、設備等にも多くの費用がかかり、実用化は
難しいものが多かった。
【0009】なお、ここで、従来の割断方法としては、
レーザービームにより起こる高温部と、レーザー通過後
の自然冷却による温度低下部とで発生する温度勾配(温
度差)から加工予定線に亀裂を発生させる方法も存在し
ていたが、さらに、レーザービームの通過後の熱をもっ
た部分に、冷風を当てることにより急冷し、亀裂の発生
を促進させる方法もあった。
【0010】即ち、特許第3027768号「脆性非金
属材料の分断方法」等では、簡易制御法として、強制冷
却により、材料の任意の箇所で熱応力差を発生させて割
断する手法が提案されているが、実際に、半導体ウエー
ハやガラス等で実施してみると、これ等が熱伝達性の悪
い材料である為に、冷却風を当てた部分(表面)では綺
麗にクラックが入るが、完全には材料を割断できず、最
終的には機械的にかつ強制的に分断しなければならない
為に、切り屑も手間も発生し、実用的ではなかった。
【0011】さらに、この方法によると、吹き出し口か
ら冷風を放出してしまうので、被加工材料上における冷
却部分が広がってしまい、冷却点を絞れないので割断ラ
インが不均一となることがあった。又、冷却用に冷媒等
のガスを使用するので、冷却装置の構造が複雑になった
り、放出されたガスを再利用できないという欠点もあっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ここで図14の(a)
及び(b)に示すように、従来までの加工法では、レー
ザー53から集光レンズ58を通して被加工材料51に
照射されると共に矢印の方向へ移動するレーザービーム
54により起こる高温部(レーザービーム径60)と、
レーザービーム54の通過後の自然冷却によって生じる
温度低下部とで発生する温度勾配(温度差)から、ステ
ージ52に載置された被加工材料51に亀裂を発生させ
ていたために、加工開始点65と加工終了点66とを結
ぶ割断加工予定線57の両側で材料の幅等が非対称であ
った場合(図14(b)参照)には、その放熱効率の差
によって、温度分布が割断加工予定線57を中心に左右
対称にはならずにずれてしまい、これに伴なって発生す
る熱応力も偏りが発生してしまっていた。
【0013】それが、図14の(a)及び(b)に示す
ように、被加工材料51で、割断加工予定線57の両側
で材料が非対称であった場合に、割断が対称時割断辺5
5に示されるように割断加工予定線57通りに直線に行
かずに、非対称時割断辺56に示すように、割断線が弧
状にずれてしまう原因と考えられ、又、問題となってい
た。
【0014】なお、この非対称な形に被加工材料51が
割断される時の挙動を解析を用いて確認すると、割断加
工予定線57を境とした時に、被加工材料51の剛性の
弱い(幅や形等が小さい)側に発生した熱応力が編って
たわみとなって作用し、それが、結果的に弧状に割断加
工線がずれてしまう原因となっていることが確認でき
た。
【0015】それは、従来、図17(a)に示すよう
に、被加工材料51をL1部及びL1部よりも幅の短い
L2部のそれぞれの幅に割断加工する際には、割断加工
予定線57に沿ってレーザービームスポット59によっ
て生じる加熱部を、レーザー進行方向に向かって移動さ
せて熱分布線62を生じさせて行なう。
【0016】この際に、図17の(b)に示すように、
L1部よりも幅の短いL2部の剛性が小さいために、レ
ーザービームスポット59の加熱によって割断加工予定
線57付近が局所的に膨張すると、L2部側の応力が大
きくなって歪んでしまう。即ち、加熱部分の局所的な膨
張によって圧縮力が働き、その外周部には引っ張り力が
生じるという応力分布は、剛性の低いL2部側にシフト
する。
【0017】その結果、図17の(c)に示すように、
実際の割断線61は剛性の低いL2部側へ膨らんで弧を
描くような形状になり、割断加工予定線57から大きく
ずれてしまい、割断加工予定線57に忠実な高精度の加
工ができなかった。
【0018】次に、図15に示すように、レーザーによ
るレーザービーム照射を受けた部分である加熱部63
(円形にて図示)は加熱されるために、割断加工線57
上のレーザービームセンター20から円形の加熱部63
の外部に向かって矢印の方向へ膨張する。しかし、その
外周部は相対的にその影響を受けて伸ばされるために、
割断加工予定線57に沿って矢印9の方向にそれぞれ引
っ張り応力を受ける。又、加熱部63は逆に圧縮応力を
受ける。
【0019】なお、XY可動テーブル(図示せず)の動
きによりレーザービームが、被加工材料51の端部であ
る加工開始点65から加熱してゆき、レーザービームの
移動によってビーム径より若干内側まで照射された場合
を考えると、膨張を受ける外周部で一番材料の薄い部
分、即ち、レーザービームの移動した位置の後方のA部
が一番剛性が低いため、引っ張り応力が矢印bに示すよ
うに集中する。この引っ張り応力により、被加工材料5
1に亀裂が発生し進行する。
【0020】即ち、レーザービームセンター20から加
工開始点65までの距離Lがレーザービームセンター2
0から加工終了点66までの距離L3や割断加工線57
から被加工材料51のそれぞれの外辺部67までの距離
であるL1及びL2等より小さいので、A部は剛性が弱
く、引っ張り応力が強大になる。そのために、クラック
が発生し進展する。
【0021】この時の、被加工材料51上の最大主応力
の分布を、有限要素法解析によりシミュレートしたのが
図16である。
【0022】被加工材料51の端部(加工開始点65)
の応力が集中しているのが分かる。なお、引っ張り方向
の応力が+と定義されるので、この応力は引っ張り応力
である。そして、端部(加工開始点65)の応力は、前
述の図15に示すように、割断加工予定線57を挟んだ
それぞれの板幅の長さL1、L2が均等でない場合、長
さの短い側(図15においてはL1)に応力ピークが寄
る傾向がある。即ち、図16に示すように、割断加工予
定線57に対して応力のピーク位置がずれる。
【0023】これは応力ピーク位置から応力の減少する
方向にかけての勾配がゆるいので、ピーク位置が面内応
力の影響を受けやすいことが原因であると考えられる。
【0024】本発明は、上記のような従来の実情に鑑み
てなされたものであって、その目的は、加工手段を比較
的簡易で経済的なものとしながらも、割断予定線に沿っ
て高精度の割断を容易に行える割断装置及びその方法を
提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、被加工
材料の被割断位置を加熱して第一の加熱部を生じさせる
第一の加熱手段と、前記第一の加熱部の一部に重複する
第二の加熱部を生じさせる第二の加熱手段とを有し、前
記第一及び第二の加熱手段が前記被加工材料に対して相
対的に移動し、かつ、前記第二の加熱部の少なくとも一
部分が上流側に向かって前記第一及び第二の加熱部の重
複部分と同等若しくはそれ以下の幅を有している割断装
置に係るものである。
【0026】本発明は又、被加工材料の被割断位置を加
熱して加熱部を生じさせる加熱手段が前記被加工材料に
対して相対的に移動し、かつ、前記加熱部が、上流側に
向かって幅の狭くなる領域を有している割断装置に係る
ものである。
【0027】本発明は又、被加工材料の被割断位置を加
熱して第一の加熱部を生じさせる第一の加熱手段と、前
記第一の加熱部の一部に重複する第二の加熱部を生じさ
せる第二の加熱手段とを前記被加工材料に対して相対的
に移動させながら加熱を行ない、この際、上流側に向か
って前記第一及び第二の加熱部の重複部分と同等若しく
はそれ以下の幅をなすように、前記第二の加熱部の少な
くとも一部分を形成する割断方法に係るものである。
【0028】本発明は、更に、被加工材料の被割断位置
を加熱して加熱部を生じさせる加熱手段を、前記被加工
材料に対して相対的に移動させながら加熱を行ない、こ
の際、上流側に向かって幅が狭くなる領域を有するよう
に、前記加熱部を形成する割断方法に係るものである。
【0029】本発明によれば、第一の加熱部による加熱
加えて、この第一の加熱部と第二の加熱部との重複部に
おける二重の加熱がなされるために、割断加工予定線に
対する加熱効率が十分となり、かつ、これに続けて、割
断加工予定線を挟んで上流方向へ同等若しくはそれ以下
の幅で第二の加熱手段による加熱がなされることにな
る。これにより、この加熱部においては割断加工予定線
が連続して十分に加熱されると同時に、その周囲との間
には十分な温度差が生じることになり、加熱による応力
が被加工材料の厚さ方向へ生じ易く、しかも割断加工予
定線の近傍に温度差による応力を集中させることがで
き、そのためにクラックが厚さ方向へ生じ易くかつ割断
加工予定線に沿って生じることとなり、常に目的とする
ライン上を高精度に割断加工することができる。
【0030】又、単一の加熱手段による加熱において
も、加熱部が上流側へ向かって幅が狭くなる領域を有し
ているので、この加熱においては、下流側で十分に加熱
した後に幅狭の加熱を上流側へ連続して行えることにな
る。これにより、この加熱部においては、割断加工予定
線が連続して十分に加熱されると同時に、その周囲との
間には十分な温度差が生じることにより、加熱による応
力が被加工材料の厚さ方向へ生じ易く、しかも、割断加
工予定線の近傍に温度差による応力を集中させることが
でき、そのために、クラックが厚さ方向へ生じ易く、か
つ割断加工予定線に沿って生じることとなり、常に目的
とするライン上を高精度に割断加工することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明においては、加熱手段に加
熱ビームが用いられ、加熱部が、加熱ビームを部分的に
遮蔽するマスク手段によって形成され、このマスク手段
に設けられた切り欠き部によって加熱部が形成されるの
が望ましい。
【0032】又、加熱部の外側が冷却手段によって冷却
され、加熱部が、被割断位置に関して対称的な形状をな
しているのが望ましい。
【0033】以下に、本発明の好ましい実施の形態を図
面の参照下に詳しく説明する。
【0034】第1の実施の形態 本実施の形態による割断装置は、図3に示すように、台
座19と、ガラス或いはアルミナセラミック、シリコン
ウエーハ等の被加工材料1を載置するXY可動テーブル
2と、このXY可動テーブル2上に置かれた被加工材料
1の加工開始点6から加工終了点7にかけてレーザービ
ーム15を照射し、レーザー発振器11、外部ミラー1
0及び集光レンズ9より成る第一のレーザー3及び第二
のレーザー4と、マスク支持脚18によって支持されて
XY可動テーブル2を遮蔽するマスク5等とで構成され
ている。
【0035】そして、XY可動テーブル2は、X軸及び
Y軸方向に可動させることができ、その移動により、第
一及び第二のレーザー3及び4からそれぞれ照射される
レーザービーム15の被加工材料1への照射位置を割断
加工予定線8(図示せず)上に沿って移動させる事がで
きる。
【0036】なお、本実施の形態では、この第二のレー
ザー4から照射されるレーザービーム15の一部を遮っ
て被加工材料1上の第二のレーザービームスポット16
に冷却用の影部14を設けることができるように、被加
工材料1と第二のレーザー4との間にマスク5を設置す
る。
【0037】なお、マスク5は、例えば、図2(図3を
A方向から見た)及び図4に示すような、切り欠き部1
7を有する形をしており、例えば、第二のレーザービー
ムスポット16の径が6mmφであるとするならば、第
二のレーザー4のレーザービームスポット16に対し
て、その径の1/5〜1/10程度と小さい、そして、
割断加工予定線8に沿って等幅で、例えば0.7mm幅
の帯状のレーザービーム照射域を発生することの可能な
形状を有するものである。なお、マスク5は、割断加工
予定線8に対して、第二のレーザービームスポット16
にマスク5の切り欠き部17によって生じる影部14が
左右対称になるように位置するように、配置する。
【0038】さらに、本実施の形態では、第一及び第二
のレーザー3、4の出力はそれぞれ70Wであり、XY
可動テーブル2の移動速度は30mm/secである。
【0039】次に、本実施の形態によるレーザー2本構
成の割断装置で、後方の第二のレーザービームスポット
16にマスク5で影部(非加熱帯)14を与えた場合に
ついて述べる。
【0040】さて、第一のレーザー3により照射を受け
た部分である第一のレーザービームスポット12が加熱
されて膨張するのは、従来の1本レーザー構成の場合と
同様である。しかしながら、さらに、第一のレーザー3
による加熱に加え第二のレーザー4によっても加熱さ
れ、又、さらにその第二のレーザービームスポット16
は、マスク5により、割断加工予定線8付近のみを加熱
するようになっているので、第二のレーザービームスポ
ット16の割断加工予定線8上は、1本レーザー構成の
時よりさらに加熱される。
【0041】次に、この時の、被加工材料1上の最大主
応力の分布を有限要素法解析によりシミュレートして示
したのが図5である。被加工材料1の端部(加工開始点
6)の応力が高いのは、従来例による図16の1本ビー
ム構成の場合と同様であるが、割断加工予定線8付近が
後続のレーザーによって限定した領域でさらに加熱され
ていることから、熱勾配が急であり、それに伴い、最大
主応力の勾配も急になっていることが分かる。
【0042】なお、従来例である図16に示した最大主
応力の分布図においては、端部、最大主応力の幅方向の
勾配が緩やかであるために、図15に示すように、被加
工材料51の板幅への長さL1、L2が均等でないため
に、長さの短いL1側に応力のピークが寄る影響が大き
くなりやすい。一方、図5においては、端部最大主応力
の幅方向への勾配は急であるため、図15に示したよう
に、L1、L2が均等でない応力の影響は従来例と同様
に受けるものの、応力のピークが幅の短いL1側に寄る
量は少なくなる。これは、熱による最大主応力が支配的
で、構造非対称による面内応力の短い辺への偏りの影響
は少ないためであると考えられる。
【0043】次に、第二のレーザーより照射されるレー
ザービーム15の一部を遮光するマスク5においては、
本実施の形態の図1(a)に示すように、第二のレーザ
ービームを0.7mm幅に等幅で狭くする方法を用いる
のが1例であるが、図1の(b)や(c)のように、上
流に向かって直線的に徐々に幅を狭めるものであっても
その効果は同じであると考えられる。又、温度変化の連
続性を重視して、上記の他、曲線の影部(非加熱帯)1
4をつけても、その効果は同じであると考えられる。
【0044】又、レーザー1本構成のレーザービームで
あっても、図1の(d)及び(e)のように、下流側は
広いが連続して上流に向かって直線的に徐々に幅を狭め
る領域を有するように影部(非加熱帯)14をつける
と、同様な効果があることが確認されている。
【0045】なお、第一及び第二のレーザーの設置位
置、台数、それぞれの出力、設置角度、移動速度、移動
方法、レーザービームスポットの大きさ、第一及び第二
のレーザーから被加工材料までの距離等は被加工材料の
状況等に合わせて変化して良い。
【0046】更に、第一及び第二のレーザーは、それぞ
れが各個移動式となるか連動式となるかは自由に変化し
て良い。又、被加工材料への加熱手段は、所定の効果が
あるならばレーザー以外の方法を用いても良い。
【0047】又、XY可動テーブルの長さ、幅、厚さ、
形状、移動方法、移動速度等は被加工材料の状況に合わ
せて自由に変えられる。又、マスクの大きさ、形状、長
さ、幅、圧さ、材質、移動速度、移動手段等は所定の効
果があるならば様々に変えて良い。
【0048】又、第二のレーザービームスポットの遮蔽
手段については、所定の効果があるならばマスク以外の
方法等を用いて良い。又、切り欠き部の幅、長さ、厚
さ、形状等は自由に変えて良い。又、レーザー、XY可
動テーブル、マスク等の移動方法については、それぞれ
が各個移動式或いは連動式のどちらでも良い。
【0049】又、レーザービームスポットにおいては、
第一のレーザービームスポットと第二のレーザービーム
スポットとの重複する加熱部分の径は、第二のレーザー
ビームスポットの径よりも小さく、しかも所定の効果が
あるならば、自由に変えて良い。又、第二のレーザービ
ームスポットにおける影部(非加熱帯)の面積は所定の
効果が得られれば自由に変えて良い。
【0050】なお、1本ビーム使用の割断装置において
は、レーザービームスポットの下流における加熱部の径
は、レーザービームスポット径より小さく、かつ所定の
効果が得られれば、自由に変えて良い。
【0051】又、上記の影部(非加熱帯)の形状は相対
的に上流に向かって直線的に広まっていく(加熱部が狭
くなる。)が、他にも、曲線状、ステップ状或いは上記
の組み合わせ等の様々な形状に自由に変えて良い。
【0052】なお、上記の実施の形態は、被加工材料を
強制冷却せずにレーザービーム15に影部14を作るこ
とで、熱勾配を意図的に作り出すものであり、冷却装置
の風量や温度等の設定が不要で、簡便であり、設備的に
も安価で実施することが可能である。
【0053】又、割断加工に冷却手段を併用して割断す
る従来の方法は、被加工材料の熱伝導率が悪い場合に
は、冷却状態が、被加工材料1の裏側まで伝わらないう
ちにクラッキングを起こし、また厚い被加工材料の場合
は、表面が割断状態になるだけなので、さらに力を加え
て割ったりせねばならず、2度手間であった。
【0054】しかし、この実施の形態においては、熱が
厚み方向に伝わることを利用するので、被加工材料があ
る程度の透過性をもつガラス等の場合は、強制冷却する
場合よりも深い位置に温度勾配を設けることができるた
め、より厚い被加工材料でも、レーザーだけでの割断が
可能となる。
【0055】なお、この実施の形態は、レーザースポッ
トに影部(非加熱帯)を設定するだけの簡便なものであ
り、レーザーのパワーによっては、例えば、一本のレー
ザービームに影部(非加熱帯)をつけるだけで、温度勾
配を急峻にすることが可能で、複数のレーザーで温度勾
配の制御を行なうよりも簡便で安価な割断加工が可能で
ある。
【0056】又、これまでネックとなっていたレーザー
ビームによる割断加工の制御を、安価で簡易に実施でき
るようになり、また、材料の損失が少なくなり、効率的
に材料を使用することができるようになる。
【0057】なお、従来までの割断技術では、切り屑、
研摩屑等が発生し、洗浄工程が材料の加工後に必要であ
ったが、この加工方法を実現できることにより、屑が殆
ど発生しないため、洗浄の必要が無くなり、工程削減が
図れ、洗浄設備も必要無くなり、大幅なコストダウンが
可能となる。
【0058】又、従来までの接触加工方法では、治具の
磨耗等が発生するため、加工前半と後半とでの製品の精
度のバラツキ、定期的なメンテナンス、又、治具の刃等
の消耗品の交換等が発生していたが、非接触のレーザー
が使用できるので、その必要がなくなる。
【0059】又、非接触加工であるレーザービームの溶
断加工方法は、ウエーハ等で実施しようとすると、溶解
若しくは蒸発した物質がウエーハ等に集積したLSIや
ICの表面に付着し、電極部の導電性を劣化させる等の
悪影響があったため、行なえなかったが、本発明に基づ
けば実施できるようになる。
【0060】又、特に、ウエーハに関しては、加熱温度
が300℃を越えると、配線、回路にダメージを与える
ため、強力なレーザービームを照射し難かったが、冷却
媒体の温度を低くすることにより加熱部と冷却部との温
度差を大きくとれるので、レーザー自体の加熱温度を抑
え、冷却に例えば液体窒素を使うことで大きな温度差を
生じさせることができ、実施できるようになる。
【0061】又、特に、ウエーハ等の加工では、その品
質の維持のために、クリーンルームでの加工や、何回も
の洗浄が行われるが、屑の出ない本加工法により、工程
を大幅に削減でき、又、品質信頼性を向上させることが
できる。
【0062】さらに、この手法においては、急峻な温度
勾配(又は応力勾配)で割断を行なうため、割断後の形
状は短冊状に限定する必要がなく、意図的な曲線でカッ
トすることも可能となり、例えば円形にカットすること
も可能となる。
【0063】本実施の形態によれば、第一の加熱部によ
る加熱に加えて、この第一の加熱部と第二の加熱部との
重複部における二重の加熱がなされるために、割断加工
予定線に対する加熱効率が十分となり、かつ、これに続
けて、割断加工線を挟んで上流方向へ同等若しくはそれ
以下の幅で第二の加熱手段による加熱がなされることに
なる。
【0064】これにより、この加熱部においては、割断
加工予定線が連続して十分に加熱されるのと同時に、そ
の周囲との間には十分な温度差が生じることにより、加
熱による応力が被加工材料の厚さ方向へ生じ易く、しか
も割断加工予定線の近傍に温度差による応力を集中させ
ることができ、そのためにクラックが厚さ方向へ生じ易
く、かつ、割断加工予定線に沿って生じることとなり、
常に目的とするライン上の高精度な割断加工が可能であ
る。
【0065】又、単一のレーザーによる加熱手段におい
ても、加熱部が上流に向かって幅が狭くなる領域を有し
ているので、この加熱部においては、下流側で十分に加
熱した後に幅狭の加熱を上流側へ連続して行なうことに
なる。これにより、この加熱部においては、割断加工予
定線が連続して十分に加熱されるのと同時に、その周囲
との間には十分な温度差が生じることにより、加熱によ
る応力が被加工材料の厚さ方向へ生じ易く、しかも割断
加工予定線の近傍に温度差による応力を集中させること
ができ、そのためにクラックが厚さ方向へ生じ易く、か
つ、割断加工予定線に沿って生じることとなり、常に目
的とするライン上の高精度な割断加工が可能となる。
【0066】第2の実施の形態 本実施の形態による割断装置は、図6に示すように、台
座19と、ガラス、或いはアルミナセラミック、シリコ
ンウエーハ等の被加工材料1を載置するXY可動テーブ
ル2と、このXY可動テーブル2上に置かれた被加工材
料1の加工開始点6から加工終了点7にかけて光ビーム
23を照射し、光源21、外部ミラー10及び集光レン
ズ9よりなる光源装置22と、光源装置22から照射さ
れる光ビーム23の一部を透過又は反射させるビームス
プリッタ24と、反射したビーム23を反射するミラー
25と、マスク支持脚18によって支持されてXY可動
テーブル2を遮蔽するマスク5等とで構成されている。
【0067】そして、XY可動テーブル2は、X軸及び
Y軸方向に可動させることができ、その移動により、ビ
ームスプリッタ24を透過した光ビーム23と、ビーム
スプリッタ24によって反射し、ミラー25によって反
射される光ビーム23との被加工材料1への各照射位置
を割断加工予定線8(図示せず)上に沿って移動させる
ことができる。
【0068】なお、本実施の形態では、光源装置22か
らビームスプリッタ24を透過して照射される光ビーム
23の一部を遮って、被加工材料1の第二の光ビームス
ポット27に冷却用のに影部14を設けることができる
ように、被加工材料1と光源装置22との間にマスク5
を設置する。
【0069】なお、マスク5は、例えば、図2に示すの
ような切り欠き部17を有する形をしており、例えば第
二の光ビームスポット27の径が6mmφであるとする
ならば、第二の光ビームスポット27に対して、その径
の1/5〜1/10程度と小さく、そして、割断加工予
定線8に沿って等幅な例えば、0.7mm幅の帯状の光
ビーム照射スポットを発生することの可能な形状を有す
るものである。なお、マスク5は、割断加工予定線8に
対して第二の光ビームスポット27にマスク5の切り欠
き部によって生じる影部14が左右対称になるように配
置する。
【0070】さらに本実施の形態では、光源装置22の
出力は70Wであり、XY可動テーブル2の移動速度は
30mm/secである。
【0071】次に、本実施の形態による光ビーム2本構
成で、後方の第二の光ビームスポット27にマスク5で
影部(非加熱帯)14(図示せず)を与える場合につい
て述べる。
【0072】さて、第一の光ビーム41により照射を受
けた部分が加熱されて膨張する。続けて、第二の光ビー
ム42によっても加熱される。そして、生じる第二の光
ビームスポット27は、マスク5の切り欠き部17によ
り、割断加工予定線8(図示せず)付近のみを加熱する
ようになっているので、第二の光ビームレーザースポッ
ト27の割断加工予定線8上はさらに加熱される。
【0073】なお、所定の効果があるならば、光源装置
22における光源の種類、光源装置から被加工材料1の
表面までの距離、光ビームの出力等は自由に変えて良
い。又、所定の効果があるならば、ビームスプリッタ2
4の設置する位置、設置角度、大きさ、形状、材質、設
置手段等は自由に変えて良い。
【0074】又、所定の効果があるならば、ミラー25
の設置する位置、設置角度、大きさ、形状、材質、設置
手段等は自由に変えて良い。
【0075】本実施の形態によれば、一基の加熱装置
(光源装置)で被加工材料を加熱できるので、割断装置
を比較的簡易な構造にし、かつ、安価なものにできると
考えられる。
【0076】その他、本実施の形態は、上述した第1の
実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0077】第3の実施の形態 本実施の形態による割断装置は、図7及び8に示すよう
に、台座19と、ガラス或いはアルミナセラミック、シ
リコンウエハ等の被加工材料1を載置するXY可動テー
ブル2と、このXY可動テーブル2上に置かれた被加工
材料1の加工開始点6から加工終了点7にかけてパルス
レーザービーム33を照射するための複数のパルスレー
ザー30と、そのパルス発振によってレーザービームを
制御して照射するパルス発振器29と、外部ミラー10
と、レーザービーム33のスポットサイズを調整する対
物レンズ32等とで構成されている。
【0078】そして、XY可動テーブル2は、X軸及び
Y軸方向に可動させることができ、その移動により、レ
ーザービーム33の被加工材料1への照射位置を割断加
工予定線8(図示せず)上に沿って移動させることがで
きる。
【0079】なお、本実施の形態では、対物レンズ32
を通してパルスレーザ30から照射されるレーザービー
ムのスポット28のサイズを変えることによって、従来
の1本型の円形のレーザービームスポットではなく、図
13(c)に示すように、複数のレーザービームスポッ
ト28による加熱部が、例えば中央のものは一定とし、
その両側で徐々に小さくなるようにし、かつ割断加工予
定線8をはさんで上流に向かって狭まるような形状にす
る。
【0080】なお、割断加工予定線8に対して、レーザ
ービームスポット28の集合体の形状が左右対称になる
ように配置する。さらに、本実施の形態では、例えばパ
ルスレーザー31の出力は70Wであり、XY可動テー
ブル2の移動速度は30mm/secである。
【0081】なお、上記の実施の形態においては、所定
の効果があるならば、パルス発振器29の発するパルス
波形、大きさ、形状、設置方法、被加工材料までの距離
等は自由に変えて良い。又、所定の効果があるならば、
パルスレーザー30から照射されるパルスレーザービー
ムの本数、出力等は自由に変えて良い又、図13(c)
に仮想線によって示すように、レーザービームスポット
の径を変えてもよい。
【0082】本実施の形態によれば、パルスレーザーと
対物レンズとによってパルスレーザービームスポットの
形状を自在に変化させることによって、影部を設けるた
めのマスク等の遮蔽手段が不要となり、割断装置を比較
的簡易で安価な構造にできる。
【0083】その他、本実施の形態は、上述した第1の
実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0084】第4の実施の形態 本実施の形態による割断装置は、図9及び図10に示す
ように、台座19と、ガラス或いはアルミナセラミッ
ク、シリコンウエーハ等の被加工材料1を載置するXY
可動テーブル2と、このXY可動テーブル2上に置かれ
た被加工材料1の加工開始点6から加工終了点7にかけ
てにレーザービームを照射するレーザー(図示せず)
と、レーザービームスポット13の一部を冷却する冷却
ノズル38及び冷却部を限定する折曲された遮蔽板36
等で形成されている。
【0085】そして、XY可動テーブル2はX軸及びY
軸方向に可動させることができ、その移動により、レー
ザービームの被加工材料1への照射位置を割断加工予定
線8上に沿って移動させることができる。
【0086】なお、本実施の形態では、レーザービーム
スポット13に対し、割断加工予定線8を挟み、かつ上
流に向かって狭まる部分以外を冷却することができるよ
うに、被加工材料1とレーザーとの間に冷却ノズル38
及び冷却部を限定する折曲形状の遮蔽板36を設置す
る。
【0087】そして、レーザービームスポット13の移
動に供なって冷却ノズル38も移動し、遮蔽板36の冷
却ノズル38側の部分を、冷却ノズル38を通って噴出
口39より噴出する冷却剤37によって冷却する。
【0088】なお、冷却ノズル38は、割断加工予定線
8に対して、レーザービームスポット13における冷却
部34が割断加工予定線8を挟んで左右対称になるよう
に位置する。又、本実施の形態では、レーザーの出力は
70Wであり、XY可動テーブル2の移動速度は30m
m/secである。
【0089】次に、図13の(a)及び(b)に示すよ
うに、一本ビーム及び2本ビームの双方の構成におい
て、加熱部が徐々に幅を狭めるように冷却ノズル38の
遮蔽板36の取付け角度と位置とを決める。
【0090】なお、遮蔽板36の厚さ、材質、長さ、
幅、取付け位置、取付け角度、折曲の形状等は所定の効
果があるならば自由に変えて良い。
【0091】又、本実施の形態では、冷却ノズル38の
径は、例えば0.3mmφ程度とした。しかし、同等の
効果があるならば、ノズルの径や位置等は自由に変えて
よい。
【0092】さらに、冷却ノズル38の曲部(先端部)
38aは被加工材料1の表面に一定の圧力で接しなが
ら、レーザーに伴なって移動してよいが、その接触圧や
接触面積は任意に変えてよい。
【0093】又、冷却ノズル38内を通過する冷媒の温
度や送量は、被加工材料1の種類、厚さやレーザーの出
力パワー等の諸条件によって異なるが、本実施の形態で
は、室温(25℃程度)の水等の冷却剤37を送ること
により割断加工を行なえる。
【0094】本実施の形態によれば、レーザーによる加
熱部の一部の遮蔽板で仕切られた個所のみに冷却剤を吹
き付けて強制冷却するために、レーザーによる加熱部と
冷却ノズルによる冷却部との間の温度差によって生じる
応力がシャープになり、割断加工予定線8に沿った被加
工材料の厚さ方向へのクラックが入り易くなると考えら
れる。
【0095】その他、本実施の形態は、上述した第1の
実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0096】第5の実施の形態 本実施の形態は、図11に示すように、冷却手段に冷却
パイプ40を用いる以外は第4の実施の形態と同様であ
り、同様の効果が得られる。
【0097】即ち、冷却パイプ8の所定幅の先端部40
aを、第4の実施の形態における冷却用の遮蔽板36と
同じ位置に配置することにより、レーザービーム(図示
せず)による加熱部の一部をレーザービームの移動に供
って強制冷却し、それによって、レーザーによる加熱部
と冷却パイプの先端部40aも冷却された冷却部との温
度差によって応力がシャープになり、割断加工予定線8
に沿った被加工材料の厚さ方向へのクラックが入り易く
なると考えらえる。
【0098】なお、本実施の形態では、冷却パイプ40
のパイプ径は、例えば0.3mmφ程度とし、レーザー
ビームスポットに所定幅で接触するように配置する。し
かし、同等の効果があるならば、パイプ径や位置等は自
由に変えてよい。
【0099】又、冷却パイプ40は被加工材料1の表面
に一定の圧力で接しながらレーザーに供なって移動して
よいが、その接触圧や接触面積は任意に変えてもよい。
【0100】なお、冷却パイプ40内の冷媒の冷却温度
については、温度勾配によって熱応力を発生させて亀裂
を進展させる技術であるため、低くできればできる程、
加工速度が上がることから、結果が一層良好となる。な
お、加熱部を強制冷却することが目的であるため、冷媒
はガス状の気体である必要はなく、冷却水や液体窒素等
の冷却液体を用いてよい。
【0101】その他、本実施の形態は、上述した第1の
実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0102】次に、本実施の形態による冷却手段は、例
えば、図12の(a)及び(b)に示すように、ガラ
ス、アルミナセラミック、シリコンウエーハ等の被加工
材料1を載置するステージ2上に置かれた被加工材料1
に冷却剤37を吹き付ける冷却ノズル38を具備してい
る。
【0103】そして、冷却ノズル38は矢印の方向へ移
動させることができ、その移動により、冷却ノズル38
の被加工材料1への冷媒噴出口39の位置をレーザーの
移動に伴なって割断加工予定線8上に沿って移動させる
ことができる。
【0104】又、本実施の形態による冷却手段は、レー
ザービームによって加熱された被加工材料1を局部的に
強制冷却することが目的であるので、冷却剤37として
必ずしも冷却風のような気体を用いる必要はなく、冷却
水や液体窒素等の冷却液体を用いてもよい。
【0105】この場合は、図12の(a)に示すよう
に、冷却剤37を通した冷却パイプ40の先端部40a
を加熱された被加工材料1に所定幅で接触させ、強制冷
却する方法や、図12の(b)に示すように、冷却剤3
7を通した冷却ノズル38の曲部38aを加熱された被
加工材料1に所定幅で接触させる方法等を用いてもよ
く、その方法にはこだわらない。
【0106】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
上述の実施の形態は本発明の技術的思想に基づいて更に
変形が可能である。
【0107】例えば、所定の効果が得られるならば、被
加工材料の加熱に二本のレーザービームを使う際に、双
方のレーザービームスポットがマスクによって遮蔽され
ても良い。
【0108】又、所定の効果があり、先頭からレーザー
ビームスポットを次第に小さくするならば、レーザービ
ームの本数は二本以上に増やしても良い。
【0109】又、被加工材料に所定幅で接触する冷却手
段は、上述したもの以外であってよく、例えば、ペルテ
ィエ素子のような電気的制御が可能な冷却用素子を用い
ると、冷却径を一層小さくでき、かつ高効率な冷却が可
能となり、また冷却部を小型、軽量化し、構造も簡略化
できる。ペルティエ素子はまた、局部加熱用としてもレ
ーザービームの代りに用いることもできる。
【0110】
【発明の作用効果】本発明によれば、第一の加熱部によ
る加熱に加えて、この第一の加熱部と第二の加熱部との
重複部における2重の加熱がなされるために、割断加工
予定線に対する加熱効率が十分となり、かつ、これに続
けて、割断加工線を挟んで上流方向へ同等若しくはそれ
以下の幅で第2の加熱手段による加熱がなされることに
なる。これにより、この加熱部においては、割断加工予
定線が連続して十分に加熱されるのと同時に、その周囲
との間には十分な温度差が生じることにより、加熱によ
る応力が被加工材料の厚さ方向へ生じ易く、しかも割断
加工予定線の近傍に温度差による応力を集中させること
ができ、そのためにクラックが厚さ方向へ生じ易く、か
つ、割断加工予定線に沿って生じることとなり、常に目
的とするライン上の高精度な割断加工が可能となる。
【0111】又、単一の加熱手段を用いる場合において
も、加熱部が上流に向かって幅が狭くなる領域を有して
いるので、この加熱部においては、下流側で十分に加熱
した後に幅狭の加熱を上流側へ連続して行なうことにな
る。これにより、この加熱部においては、割断加工予定
線が連続して十分に加熱されるのと同時に、その周囲と
の間には十分な温度差が生じることにより、加熱による
応力が被加工材料の厚さ方向へ生じ易く、しかも割断加
工予定線の近傍に温度差による応力を集中させることが
でき、そのためにクラックが厚さ方向へ生じ易く、か
つ、割断加工予定線に沿って生じることとなり、常に目
的とするライン上の高精度な割断加工ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるレーザービ
ームスポットの平面図である。
【図2】同、割断装置の平面図である。
【図3】同、割断装置の側面図である。
【図4】同、割断装置の斜視図である。
【図5】同、レーザー照射時の立体応力分布図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における割断装置の
側面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における割断装置の
側面図である。
【図8】同、割断装置の斜視図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態における割断装置の
断面図及び平面図である。
【図10】同、割断装置の斜視図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態における割断装置
の斜視図である。
【図12】同、割断装置の断面図である。
【図13】本発明の他の実施の形態におけるレーザービ
ームスポットの平面図である。
【図14】従来例による割断装置の断面図及び平面図で
ある。
【図15】同、レーザー照射時の平面応力分布図であ
る。
【図16】同、レーザー照射時の立体応力分布図であ
る。
【図17】同、割断される被加工材料の応力分布と割断
状態を示す平面図である。
【図18】同、割断された被加工材料の平面図である。
【符号の説明】
1…被加工材料、2…XY可動テーブル、3…第一のレ
ーザー、4…第二のレーザー、5…マスク、6…加工開
始点、7…加工終了点39、8…割断加工予定線40、
9…集光レンズ、10…外部ミラー、11…レーザー発
振器、12…第一のレーザービームスポット、13…レ
ーザービームスポット、14…影部(非加熱帯)、15
…レーザービーム、16…第二のレーザービームスポッ
ト、17…切り欠き部、18…マスク支持脚、19…台
座、20…レーザービームセンター、21…光源、22
…光源装置、23…光ビーム、24…ビームスプリッ
タ、25…ミラー、26…第一の光ビームスポット、2
7…第二の光ビームスポット、28…パルスレーザービ
ームスポット、29…パルス発振器、30…パルスレー
ザー発振器、31…パルスレーザー、32…対物レン
ズ、33…パルスレーザービーム、34…冷却部、35
…加熱部、36…遮蔽板、37…冷却剤、38…冷却ノ
ズル

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工材料の被割断位置を加熱して第一
    の加熱部を生じさせる第一の加熱手段と、 前記第一の加熱部の一部に重複する第二の加熱部を生じ
    させる第二の加熱手段とを有し、前記第一及び第二の加
    熱手段が前記被加工材料に対して相対的に移動し、か
    つ、前記第二の加熱部の少なくとも一部分が上流側に向
    かって前記第一及び第二の加熱部の重複部分と同等若し
    くはそれ以下の幅を有している割断装置。
  2. 【請求項2】 前記第一及び第二の加熱手段に加熱ビー
    ムが用いられ、前記第二の加熱部が、加熱ビームを部分
    的に遮蔽するマスク手段によって形成される、請求項1
    に記載の割断装置。
  3. 【請求項3】 前記マスク手段に設けられた切り欠き部
    によって前記第二の加熱部が形成される、請求項2に記
    載の割断装置。
  4. 【請求項4】 前記第二の加熱部の外側が冷却手段によ
    って冷却される、請求項1又は2に記載の割断装置。
  5. 【請求項5】 前記第一及び第二の加熱部が、前記被割
    断位置に関して対称的な形状をなしている、請求項1に
    記載の割断装置。
  6. 【請求項6】 被加工材料の被割断位置を加熱して加熱
    部を生じさせる加熱手段が前記被加工材料に対して相対
    的に移動し、かつ、前記加熱部が、上流側に向かって幅
    の狭くなる領域を有している割断装置。
  7. 【請求項7】 前記加熱手段に加熱ビームが用いられ、
    前記加熱部が、加熱ビームを部分的に遮蔽するマスク手
    段によって形成される、請求項6に記載の割断装置。
  8. 【請求項8】 前記マスク手段に設けられた切り欠き部
    によって前記加熱部が形成される、請求項7に記載の割
    断装置。
  9. 【請求項9】 前記加熱部の外側が冷却手段によって冷
    却される、請求項6又は7に記載の割断装置。
  10. 【請求項10】 前記加熱部が、前記被割断位置に関し
    て対称的な形状をなしている、請求項6に記載の割断装
    置。
  11. 【請求項11】 被加工材料の被割断位置を加熱して第
    一の加熱部を生じさせる第一の加熱手段と、前記第一の
    加熱部の一部に重複する第二の加熱部を生じさせる第二
    の加熱手段とを前記被加工材料に対して相対的に移動さ
    せながら加熱を行ない、この際、上流側に向かって前記
    第一及び第二の加熱部の重複部分と同等若しくはそれ以
    下の幅をなすように、前記第二の加熱部の少なくとも一
    部分を形成する割断方法。
  12. 【請求項12】 前記第一及び第二の加熱手段に加熱ビ
    ームを用い、前記第二の加熱部を、加熱ビームを部分的
    に遮蔽するマスク手段によって形成する、請求項11に
    記載の割断方法。
  13. 【請求項13】 前記マスク手段に設けられた切り欠き
    部によって前記第二の加熱部を形成する、請求項12に
    記載の割断方法。
  14. 【請求項14】 前記第二の加熱部の外側を冷却手段に
    よって冷却する、請求項11又は12に記載の割断方
    法。
  15. 【請求項15】 前記第一及び第二の加熱部を、前記被
    割断位置に関して対称的な形状とする、請求項11に記
    載の割断方法。
  16. 【請求項16】 被加工材料の被割断位置を加熱して加
    熱部を生じさせる加熱手段を、前記被加工材料に対して
    相対的に移動させながら加熱を行ない、この際、上流側
    に向かって幅が狭くなる領域を有するように、前記加熱
    部を形成する割断方法。
  17. 【請求項17】 前記加熱手段に加熱ビームを用い、前
    記加熱部を、加熱ビームを部分的に遮蔽するマスク手段
    によって形成する、請求項16に記載の割断方法。
  18. 【請求項18】 前記マスク手段に設けられた切り欠き
    部によって前記加熱部を形成する、請求項17に記載の
    割断装置。
  19. 【請求項19】 前記加熱部の外側を冷却手段によって
    冷却する、請求項16又は17に記載の割断方法。
  20. 【請求項20】 前記加熱部を、前記被割断位置に関し
    て対称的な形状とする、請求項16に記載の割断方法。
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