JP2002177354A - 歩行補助具 - Google Patents

歩行補助具

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JP2002177354A JP2000381938A JP2000381938A JP2002177354A JP 2002177354 A JP2002177354 A JP 2002177354A JP 2000381938 A JP2000381938 A JP 2000381938A JP 2000381938 A JP2000381938 A JP 2000381938A JP 2002177354 A JP2002177354 A JP 2002177354A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半身不随で自力での歩行動作が困難な人の歩
行補助を目的とし、片足を引きずったり、段差に指先部
を引っ掛けたりする事のない、円滑で安全な歩行を可能
とする。また、装着方法が容易であるとともに、廉価な
製品を得る。 【解決手段】 帯状の弾性体3にて片足2の挿入部1を
設ける。この挿入部1の両側から連続して延長した一対
の弾性体3を、人体の前面の交差部5で交差させた後、
片足2とは反対側の肩部7にタスキ状に掛け渡すタスキ
部6を設ける。このタスキ掛け状態で片足2を上方に付
勢可能に弾性体3を張設するとともに一対の弾性体3を
片足2の背面側で連結する。また片足2の挿入部1の前
面上部と指先部13方向との間に、指先部13を上方に
付勢可能な付勢部14を張設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脳出血、事故等で半身
不随となり片足が不自由で、自力での歩行動作が困難な
人のための、歩行補助具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、脳出血や事故等が原因で、半身不
随となり片足が不自由で、自力での歩行動作が困難とな
った人が歩行を行う場合、不自由な片足を自力で引き上
げて進行方向に移動するのは容易ではなく、地面を引き
ずり易いため、円滑な歩行が困難であった。更に、足首
の関節の力も弱いので、片足を移動しようとした際に、
指先部が下がり易く、地面や階段等に指先部が引っ掛か
ったり、着地時に誤って足首を捻る事があり、転倒や怪
我の危険性が高かった。
【0003】この歩行を補助する器具として、特開平9
−313553号公報記載の如き従来発明が存在する。
この従来発明は、動作が困難な片足のふくらはぎ、足
裏、甲に、シート状の第1の装着体を装着し、この第1
の装着体とは別個に、第2の装着体を太股に装着し、膝
関節の屈伸動作を妨げないようにしている。そして、こ
の第1装着体と第2装着体とを、ゴムバンド等の伸縮体
で連結するとともに、この伸縮体を、足首及び甲の上面
に張設し、この伸縮体にて、指先部を上部方向に付勢し
ている。この伸縮体の付勢力を利用して、装着者の指先
部を上方に持ち上げ可能とし、歩行時の指先部の引っ掛
かりを防ごうとしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の補助器具は、指先部のみを上部に持ち上げるための
器具であり、片足全体を持ち上げる効果はなかった。そ
のため、自力で片足を持ち上げるのが困難な人が装着し
ても、かかと等が地面を引きずるものとなり、円滑な歩
行が行いにくいものであった。
【0005】また、シート状の装着体で足先やふくらは
ぎ等を被覆するので、夏等に使用すると、蒸れて装着感
が低下したり、衣服の着用時に嵩張って、外観を悪くす
る虞もある。また、複数のパーツに分かれているため、
装着に手間が掛かっていた。
【0006】本発明は上述の如き課題を解決しようとす
るものであって、自力での片足の歩行動作が困難な人の
歩行を補助するため、片足全体及び指先部の持ち上げを
容易に行う事を可能とするとともに、片足及び指先部を
下げる動作も容易な歩行補助具を得る。そして、歩行時
の地面や階段への指先部の引っ掛かりを防止し、転倒や
怪我等のない、安全で円滑な歩行を可能とするものであ
る。また、装着方法が容易で装着時の外観も損なわない
とともに、製造が容易で廉価な製品を得る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の如き課題
を解決するため、帯状の弾性体により片足の挿入部を設
け、この挿入部の両側から連続して延長した一対の弾性
体を、人体の前面の交差部で交差させた後、片足とは反
対側の肩部にタスキ状に掛け渡すタスキ部を形成し、こ
のタスキ掛け状態で片足を上方に付勢可能に弾性体を張
設するとともに一対の弾性体を片足の背面側で連結し、
また片足の挿入部の前面上部と片足の指先部方向との間
に、指先部を上方に付勢可能な付勢部を張設して成るも
のである。
【0008】また、タスキ部は、肩部との接触部分にス
ライド自在に肩パッドを接続するとともにこの肩パッド
に、脇の下に止着するズレ止め紐を接続しても良い。
【0009】また、タスキ部は、長さ調整可能な調整部
を腹部側に設けても良い。
【0010】
【作用】本発明は上述の如く構成したものであり、脳出
血、事故等により自力での歩行動作が困難となった片足
に歩行補助具を装着するには、まず、片足の挿入部に、
指先部側から片足を挿入する。この挿入により、帯状の
弾性体が片足の表面に弾性的に密着するので、歩行動作
時に挿入部から片足が容易に脱げる事はなく、安定的な
装着が可能となる。そして、この装着により、足の挿入
部の前面上部と指先方向との間には、付勢部が伸張状態
で配置され、指先部を上方に付勢可能となる。また、こ
の弾性体の弾性収縮により、多少のサイズ調整が可能で
あるので、装着可能な足のサイズが限定されず、一定幅
の足サイズの人々への汎用的な使用が可能である。
【0011】尚、この挿入部への片足の挿入時は、後の
タスキ部の装着作業を容易とするため、一対の弾性体の
連結部が片足の背面側に位置し、一対の弾性体の交差部
及びタスキ部は前面側に位置するように注意して挿入動
作を行う。
【0012】次に、タスキ部を装着者の肩部に掛け渡
す。それには、装着者の前面に於いて、一対の弾性体を
伸張し、挿入部に挿入した片足と同じ側の腕及び頭部を
タスキ部にくぐらせた後、挿入部に挿入した片足とは反
対側の肩部にタスキ部を掛け渡す。この肩部へのタスキ
部の装着により、本発明の歩行補助具の装着が完了す
る。
【0013】このタスキ掛け状態では、挿入部の両側か
ら連続的に延長した一対の弾性体が伸張状態で片足の外
周に配置され、その復元力で片足を上部方向に付勢する
ものとなる。この一対の弾性体は、片足の背面側で連結
した後、前面側で交差させているので、片足の曲げ伸ば
し動作を繰り返し行っても、一対の弾性体が片足と分離
する事はなく、良好な装着状態が維持可能である。ま
た、前述の如く、一対の弾性体を片足の背面側で連結し
ているので、膝の前面に弾性体が配置する事がなく、膝
の曲げ動作が妨げられる事はない。
【0014】尚、上記一対の弾性体による片足の付勢力
と、付勢部による指先部の付勢力は、自力での曲げ伸ば
し動作が困難な片足への装着状態で、重心を非装着足側
に移動した時に、片足全体と指先部とが容易に持ち上が
る引張り強度とする。しかし、この片足側に身体の重心
を移動した場合には、バランスを崩す事なく、片足を容
易に地面に着地できるものとする。
【0015】このように、片足を挿入部に挿入し、タス
キ部を肩部に掛け渡すだけで、短時間で簡単に歩行補助
具を装着する事ができる。また、帯状の弾性体で形成し
ているので、人体に平面的にフィットし、歩行補助具の
装着状態で衣服を着用しても、嵩張る事がなく、快適な
装着が可能となるとともに、他人から気付かれにくいも
のとなる。また、片足の指先部側と、肩部のみに止着
し、弾性体で腰回りや太股を締め付けていないので、歩
行補助具を装着したままでも、トイレ等での下着の上げ
下ろしを妨げる事はない。
【0016】そして、歩行補助具の装着状態で歩行を行
うには、歩行補助具を装着していない健康な非装着足を
一歩進行方向に出し、この非装着足に重心を移動する。
次に、不自由な片足を進行方向に移動するが、一対の弾
性体の付勢力により、この片足全体が上方に持ち上がっ
ているので、地面を引きずる事なく、不自由な片足を進
行方向に移動する事が可能となる。また、挿入部の前面
と指先部方向との間に張設した付勢部の付勢力で、指先
部も持ち上がっているので、片足の移動の際に、指先部
が地面や階段等に引っ掛かるのを防止して、円滑で安全
な歩行が可能となる。
【0017】また、この不自由な片足の移動を行った
ら、この片足側に体重を移動する事により、弾性体の付
勢力に抗して、片足を地面に安定して着地する事ができ
る。そして、不自由な片足を軸として、非装着足を、何
ら支障なく進行方向に移動する事ができる。従って、自
力での歩行動作が困難な人でも、転倒や怪我のない、安
全で円滑な歩行が可能となる。
【0018】また、タスキ部を掛け渡した肩部には、弾
性体の付勢力が集中して掛かり、長時間の使用により、
弾性体が肩部に食い込んで痛みを覚える事がある。その
ため、このタスキ部と肩部との接触部分に肩パッドを配
置すれば、付勢力を分散して弾性体の食い込みを防止
し、装着者への負担を軽減する事ができる。また、この
肩パッドは、タスキ部にスライド自在に接続すれば、装
着者の身長や体型に対応して、最適な位置に肩パッドを
移動配置する事ができる。また、この肩パッドは、脇の
下に止着するためのズレ止め紐を接続すれば、肩パッド
及びタスキ部の肩部への安定性が向上し、装着者の動作
によりタスキ部や肩パッドが位置ズレを生じたり、肩部
から脱落する事がなく、快適で機能性に優れた装着が持
続可能となる。
【0019】また、歩行補助具は、伸縮自在な弾性体に
て形成しているので、ある程度の身長差や体型差に対応
した装着が可能である。しかし、基準とする装着者との
身長差や体型差が大きすぎると、良好な付勢力が得られ
ず、円滑な歩行ができなくなる事がある。即ち、身長や
体型が大きな人が装着した場合は、弾性体による付勢力
が強すぎて、片足を地面に着地するのが困難となり、円
滑な歩行ができなくなる。逆に、小さな人が装着する
と、弾性体の十分な付勢力が得られず、片足の持ち上げ
ができなくなる。そのため、身長や体型に応じた多くの
サイズで歩行補助具を製造する必要があり、コスト高と
なる虞がある。
【0020】上記問題を解消するため、タスキ部に、装
着者の身長や体型に応じて長さ調整可能な調整部を設け
れば、適度な高さに片足を持ち上げて、進行方向への移
動と着地が容易となるように、付勢力を調整する事がで
きる。従って、装着者の身長や体型に関わらず、常に優
れた歩行補助機能を発揮する事が可能となる。また、こ
の調整部は、ベルトのバックルやボタン等の部材を用い
れば簡単に実施が可能となる。そして、この調整部は、
腹部側に設ければ、装着者が自身で容易に長さ調整する
事が可能であるし、硬いバックルやボタン等が肋骨その
他を刺激せず、快適な使用が可能となる。
【0021】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面に於いて説明す
れば、(1)は挿入部で、脳出血、事故、その他が原因で
半身不随となり、自力での歩行動作が困難となった片足
(2)を挿入可能としている。この挿入部(1)は、帯状の
弾性体(3)にてサンダル状に形成し、片足(2)の両側か
ら土踏まず側に掛け渡す底部(20)と、指先部(13)側
の甲及び足裏を被覆する被覆部(21)と、この被覆部
(21)から弾性体(3)を踵方向に延長し踵に掛け渡し可
能として踵掛部(22)とから構成している。そして、こ
の挿入部(1)の底部(20)の両側から連続して一対の弾
性体(3)を延長し、胴体に装着する肩掛帯(4)を構成し
ている。
【0022】そして、肩掛帯(4)は、一対の弾性体(3)
を人体の前面側の交差部(5)で交差させた後、この交差
部(5)の上部側にループ状に配置して、タスキ部(6)を
形成している。このタスキ部(6)は、挿入部(1)に挿入
する片足(2)とは反対側の肩部(7)に、タスキ状に掛け
渡し可能としている。
【0023】また、前記一対の弾性体(3)の交差部(5)
は、互いに縫い付けて分離不能としても良いが、本実施
例では、スナップやボタン、ベロクロスファスナー等を
用いて、互いに分離可能としている。更に、装着者(8)
の身長や体型に応じて、適切な位置で交差可能なよう
に、交差部(5)には複数個のスナップ、ボタン等を適宜
間隔で配置し、交差部(5)の位置を任意に変更可能とし
ている。また、ベロクロスファスナーを用いる場合は、
何れの位置でも止着可能なように長めのものを用いる。
【0024】また、タスキ部(6)は、図1、図4に示す
如く、肩部(7)との接触部分に肩パッド(10)を配置し
ている。この肩パッド(10)は、外面に設けた挿通部
(9)に、タスキ部(6)の弾性体(3)を挿通する事によ
り、タスキ部(6)に対してスライド自在に取り付けてい
る。更に、この肩パッド(10)にゴム紐等をループ状に
接続し、タスキ部(6)を掛け渡した肩部(7)側の脇の下
に止着するズレ止め紐(11)としている。尚、このズレ
止め紐(11)は、肩パッド(10)に一対の紐を接続し、
脇の下で互いに結んで使用するものであっても良い。
【0025】そして、前記タスキ部(6)を肩部(7)にタ
スキ掛けした状態で、片足(2)を上方に付勢可能となる
よう、肩掛帯(4)の引張り強度を調整している。尚、こ
の付勢力は、歩行補助具を装着していない非装着足(1
5)側に体重を移動した時は、片足(2)を容易に持ち上
げる事が可能であるが、片足(2)側に体重を移動した時
には、バランスを崩す事なく、付勢力に抗して容易に片
足(2)を地面に着地できる強さとする。
【0026】また、肩掛帯(4)の一対の弾性体(3)は、
図2に示す如く、片足(2)の背面側で、弾性素材製の連
結帯(12)を介して互いに連結している。この連結帯
(12)は、片足(2)の膝関節の背面に掛け渡し可能に配
置するとともに、身長や体型に応じて適切な位置に任意
に移動できるように、弾性体(3)と連結帯(12)とを、
スナップやボタン、ベロクロスファスナー等で取り外し
及び位置移動が可能に接続している。また、このよう
に、片足(2)の背面側で連結する事により、一対の弾性
体(3)が膝に被さる事はなく、膝関節の曲げ動作を妨げ
る事がないものとなる。
【0027】また、肩掛帯(4)の一対の弾性体(3)は、
図2に示す如く、足首の前面側でも支持帯(23)にて連
結している。そして、この支持帯(23)と挿入部(1)の
被覆部(21)との間に、指先部(13)を上方に付勢可能
な付勢部(14)を張設している。この付勢部(14)は、
本実施例では、両端をそれぞれ支持帯(23)と被覆部
(21)の裏面側に接続して、親指と人差し指とで挟持可
能な鼻緒状に形成する事により、指先部(13)を上部方
向に確実に付勢可能とするとともに、挿入部(1)の片足
(2)への装着安定性も高めている。
【0028】上述の如く形成した歩行補助具を装着する
際は、衣服の上から装着しても良いが、帯状の弾性体
(3)で形成しているので、歩行補助具を下着の上に装着
した後、嵩張る事なく衣服を着用する事ができるし、他
人から気付かれにくいものとなる。そして、まず挿入部
(1)に、自力での歩行動作が困難な片足(2)を挿入す
る。この挿入時は、予め一対の弾性体(3)の交差部(5)
と連結帯(12)とから構成されるループ内に背面側から
片足(2)を通しておき、連結帯(12)が片足(2)の背面
側に配置され、交差部(5)が前面側に配置されるように
する。
【0029】その後、挿入部(1)の弾性体(3)を伸張し
ながら、支持帯(23)と踵掛部(22)とで構成されるル
ープ内に片足(2)を挿入し、土踏まずの外周に底部(2
0)を配置するとともに、被覆部(21)にて片足(2)の
甲及び足裏を被覆する。更に、踵掛部(22)を踵に掛け
渡すとともに、支持帯(23)と被覆部(21)との間に接
続配置した付勢部(14)を、親指と人差し指の股部で挟
む事により、挿入部(1)を片足(2)に装着する。このよ
うに指で付勢部(14)を挟むとともに、帯状の弾性体
(3)が弾性的に片足(2)に密着するので、挿入部(1)か
ら片足(2)が容易に脱落する事のない安定した装着が可
能となる。
【0030】次に、タスキ部(6)を肩部(7)に掛け渡す
ために、肩掛帯(4)を上部方向に伸張し、タスキ部(6)
を装着者(8)の前面上部に配置する。そして、挿入部
(1)に挿入した片足(2)と同じ側の腕と頭部をタスキ部
(6)のループにくぐらせた後、挿入部(1)に挿入した片
足(2)とは反対側の肩部(7)に掛け渡す。また、肩パッ
ド(10)を適宜にスライドさせて肩部(7)と弾性体(3)
との接触部に配置し、肩部(7)への弾性体(3)の食い込
みや付勢力の一点集中を防ぐ。次に、肩パッド(10)に
接続したズレ止め紐(11)を脇の下に止着し、肩パッド
(10)の位置を固定する。この固定により、肩パッド
(10)やタスキ部(6)の位置ズレや、肩部(7)からの脱
落を防ぎ、快適な装着感が持続し、装着者(8)の自由な
動作を可能とするものである。
【0031】また、タスキ部(6)を肩部(7)に掛け渡し
たら、肩掛帯(4)の連結帯(12)が膝関節の裏面側に位
置するように連結位置を調整するとともに、ヨレ等を整
えて肩掛帯(4)の弾性体(3)を装着者(8)の身体に平面
的にフィットさせる事により、歩行補助具の装着を完了
する。この装着が完了すると、挿入部(1)両側から延長
した一対の弾性体(3)を、膝関節の背面側で連結帯(1
2)により連結し、装着者(8)の前面の交差部(5)で交
差しているから、肩掛帯(4)は、片足(2)との一体感に
優れた装着が可能となる。そのため、歩行動作を繰り返
しても、肩掛帯(4)が片足(2)から脱落したり、ズレた
りする事がなく、良好な使用が持続できる。また、肩掛
帯(4)の一対の弾性体(3)を膝関節の背面側で連結して
いるので、膝関節の曲げ動作が妨げられる事もない。
【0032】また、この歩行補助具の装着が完了した状
態では、図2に示す如く、付勢部(14)が挿入部(1)の
前面上方に伸張状態で配置され、指先部(13)を上方に
付勢する。この付勢力は、足首の力を抜いた状態で、指
先部(13)を上方に持ち上げ可能な引張り強度としてい
る。
【0033】このように、本発明の歩行補助具は、挿入
部(1)に片足(2)を挿入し、タスキ部(6)を肩部(7)に
掛け渡すだけなので、従来製品に比べて簡単かつ迅速に
装着する事ができる。そして、この歩行補助具の装着状
態で、上着やズボン等の衣服を着用しても、嵩張りや着
膨れを防いで、衣服を外観良く着用する事ができるし、
歩行補助具を装着している事を他人に気付かれにくいも
のとなる。
【0034】そして、歩行補助具を装着して歩行を行う
には、まず歩行補助具を装着していない健康な側の非装
着足(15)を進行方向に一歩出し、この非装着足(15)
に体重を移動する。すると、弾性体(3)の付勢力によ
り、片足(2)の膝関節や股関節が曲がっているので、前
述の如き体重移動により、片足(2)全体が地面から持ち
上がる。そのため、片足(2)を進行方向に移動する際
に、片足(2)を地面に引きずる事がなく、円滑に移動す
る事ができる。更に、図3に示す如く、付勢部(14)の
付勢力で、片足(2)の指先部(13)が持ち上がっている
ので、特に階段等の段差のある場所の歩行では、指先部
(13)の引っ掛かりを確実に防いで、転倒や怪我のな
い、安全で円滑な歩行が可能となる。
【0035】次に、この片足(2)の進行方向への移動を
行ったら、体の重心を片足(2)側に移動する事により、
弾性体(3)の付勢力に抗して片足(2)を容易に地面に着
地する事ができ、安定した着地が可能である。次に、こ
の片足(2)に体重移動する事により、非装着足(15)を
進行方向に移動する事ができる。以上の動作を繰り返す
事により、半身不随で自力での歩行動作が困難な人で
も、円滑で安全な歩行が可能となる。
【0036】また、本発明の歩行補助具は、装着者(8)
の腰回りや太股の上部を締め付けていないので、歩行補
助具を装着した状態でも、トイレ等で下着の上げ下ろし
を容易に行う事ができる。
【0037】また、上記第1実施例の歩行補助具は、伸
縮自在な弾性体(3)で形成しているので、ある程度の身
長差や体型差に対応した装着が可能である。しかし、基
準となる装着者(8)との身長差や体型差が大きすぎる
と、装着時の付勢力が強すぎたり、逆に付勢力が少なす
ぎる事があり、良好な歩行補助機能が得られない。
【0038】そのため、他の異なる第2実施例では、図
5に示す如く、タスキ部(6)に、長さを自在に調整可能
な調整部(16)を設けている。この調整部(16)は、タ
スキ部(6)を構成する一対の弾性体(3)の一方に、ベル
トのバックル(24)を接続し、このバックル(24)の止
着金具(25)を係合する複数個の止着穴(26)を、他方
の弾性体(3)に設けて形成している。そして、装着者
(8)の身長や体型に応じて、適宜の止着穴(26)に止着
金具(25)を係合し、タスキ部(6)の長さを調整可能と
している。また、歩行動作時の刺激で、この止着穴(2
6)と止着金具(25)との係合が解除される不安がある
場合は、装着者(8)に合わせて長さ調整した後に、調整
部(16)付近で一対の弾性体(3)を縫い付けて、互いに
分離不能にしても良い。
【0039】このようなタスキ部(6)の長さ調整機能に
より、装着者(8)の身長や体型に応じて歩行補助具のサ
イズを変える事ができ、引っ張り過ぎや弛みのない適度
な付勢力で歩行補助具を装着する事ができる。また、こ
の調整部(16)は、腹部側に設けているので、装着者
(8)自身が装着過程で容易に長さ調整する事が可能であ
るとともに、硬いバックル(24)が肋骨等に突き当たる
のを防止し、快適な使用を可能とする。
【0040】また、第1実施例と同様に、タスキ部(6)
の長さ調整を行っても、スライド自在な肩パッド(10)
を設ける事により、肩部(7)との接触部分に肩パッド
(10)を確実に配置する事ができ、位置ズレや付勢力の
一点集中を防止できるものである。更に、歩行補助具の
長さ調整を行った場合でも、弾性体(3)の交差部(5)や
連結帯(12)を、スナップ、ボタン、ベロクロスファス
ナー等で任意に位置移動が可能なように形成する事によ
り、装着者(8)の身長や体型に適応した装着が可能とな
り、優れた歩行補助効果を得る事ができる。
【0041】また、上記第1実施例では、一対の弾性体
(3)は、膝の背面側で連結帯(12)を介して連結してい
るが、他の異なる実施例として、一対の弾性体(3)を背
面側で縫い付けても良いし、スナップ、ボタン、ベロク
ロスファスナーで接続しても良い。また、他の方法で連
結しても良い。また、連結位置も、膝関節の裏面側では
なく、太股の裏面側であっても良いが、股関節に近すぎ
ると、歩行補助具を装着した状態での下着の上げ下げ等
が困難となる。逆に、連結位置をふくらはぎの背面側で
行っても良いが、足首に近すぎると、歩行動作に伴って
一対の弾性体(3)が膝関節の前面側に移動し、膝関節の
曲げ動作を妨げる事があるので、これらを考慮して連結
位置を決定する。
【0042】
【発明の効果】本発明は上述の如く構成したものである
から、半身不随により自力での歩行動作が困難な片足に
歩行補助具を装着する事により、弾性体の付勢力で片足
全体を容易に持ち上げ可能となるとともに、指先部の持
ち上げも可能となる。そのため、不自由な片足の進行方
向への移動時に、片足が地面を引きずる事のない、円滑
な動作が可能となる。特に、指先部が確実に持ち上がる
ので、階段等の段差への引っ掛かりを良好に防止して、
転倒や怪我のない安全な歩行が可能となる。また、装着
方法が簡単で迅速に装着する事ができる。また、帯状の
弾性体が人体の表面に平面的にフィットするので、衣服
の下に装着しても、嵩張る事がなく、快適な装着が可能
となるとともに、他人に気付かれにくいものとなる。ま
た、廉価な素材で簡易な製造工程で製造できるので、低
コストな製品を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歩行補助具を装着した状態の概念図。
【図2】挿入部付近の拡大側面図。
【図3】片足を持ち上げた状態の側面図。
【図4】肩パッドのズレ止め紐を脇の下に止着した状態
の斜視図。
【図5】タスキ部に長さ調整可能な調整部を設けた第2
実施例の歩行補助具。
【符号の説明】
1 挿入部 2 片足 3 弾性体 5 交差部 6 タスキ部 7 肩部 10 肩パッド 11 ズレ止め紐 13 指先部 14 付勢部 16 調整部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状の弾性体により片足の挿入部を設
    け、この挿入部の両側から連続して延長した一対の弾性
    体を、人体の前面の交差部で交差させた後、片足とは反
    対側の肩部にタスキ状に掛け渡すタスキ部を形成し、こ
    のタスキ掛け状態で片足を上方に付勢可能に弾性体を張
    設するとともに一対の弾性体を片足の背面側で連結し、
    また片足の挿入部の前面上部と片足の指先部方向との間
    に、指先部を上方に付勢可能な付勢部を張設した事を特
    徴とする歩行補助具。
  2. 【請求項2】 タスキ部は、肩部との接触部分にスライ
    ド自在に肩パッドを接続するとともにこの肩パッドに、
    脇の下に止着するズレ止め紐を接続した事を特徴とする
    請求項1の歩行補助具。
  3. 【請求項3】 タスキ部は、長さ調整可能な調整部を腹
    部側に設けた事を特徴とする請求項1の歩行補助具。
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