JP2002176334A - 音響共振器および音響共振器の組立方法 - Google Patents

音響共振器および音響共振器の組立方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】温度度変化や湿度に対して安定な音響共振器と
その組立方法。 【解決手段】本発明の音響共振器は基板(232)上に
浮かされた部分を備える層状スタックを有する。前記浮
かされた部分は、圧電体(216)と圧電体に電界を加
える電極(212および214)からなり、共振すると
ともに負の周波数温度係数を有する。圧電体と電極に音
響的に結合された補償手段(220)を設け、前記負の
周波数温度係数の関数である前記共振に対する温度誘導
効果を少なくとも一部分相殺するような性質を備えた材
料から構成されているようにした。電極と補償手段とは
好ましくは金属層である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、概して音響共振器
に関し、特に、音響共振器の共振周波数を制御する組立
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜から構成されている音響共振器は、
精密に制御された周波数を必要とする多数の応用分野を
有している。薄膜バルク音響共振器(FBAR)あるい
はスタックされた薄膜バルク音響共振器(SBAR)
は、大きさ、コストおよび周波数の安定性が重要なファ
クタであるセルラー電話他の装置におけるフィルタとし
て使える。
【0003】FBARは、二つの導電性電極間に圧電材
料の薄膜を有し、また、SBARは、複数の追加の圧電
材料層を有していて、その層のそれぞれが、二つの電極
を分離している。固体的に取り付けられた共振器が周知
であるが、FBARあるいはSBARの活性層はしばし
ば、該層の周辺部分を支持して空中に浮かされているこ
とがある。層スタックの両側において、空気/共振器界
面に、動作中に発生したエネルギの一部が捕捉される。
【0004】時間的に変化する電界が圧電層によって分
離されている二つの電極間に加えられるとき、圧電材料
は、電気エネルギの一部分を音波の形で機械的なエネル
ギに変換する。この音波は電界と同じ方向に伝播し、空
気/共振器界面において反射される。適切に作られたF
BARあるいはSBARでは、音波は特定の機械的な共
振をおこす。
【0005】上述したように、FBARあるいはSBA
Rはその機械的な共振周波数において動作できるときは
電子的な共振器として機能するので、フィルタとして使
える。この機械的な共振周波数において、共振器を伝わ
る音波の半波長は、圧電材料における音の所定の位相速
度に対する共振器の全体の厚さにほぼ等しい。音響共振
器は、単独であるいは組み合わせて使うことができる。
例えば、数個の共振器を電気的に接続して所望のフィル
タ応答を与える帯域フィルタが構成される。幾つかのフ
ィルタ構成が可能である。一つの好ましい形態は、半は
しご形であり、1群の共振器が直列に接続され(直列共
振器)、直列共振器の間には接地されている並列共振器
が接続されている。直列共振器は、その共振周波数が並
列共振器のそれのほぼ3%だけ高くなるように製造され
る。圧電層の厚さは直列および並列共振器について等し
くできるので、圧電材の堆積は共振器間で「共通化」さ
れることが多い。
【0006】音響共振器の重要な特性が、共振を維持す
る能力にあることが明らかになってきた。これは、音響
共振器が温度の変動を受ける環境に配置されるとき問題
であることが分かった。それは、温度変化(ΔT)によ
り共振器のいくつかの層に厚さの変化(Δt)や音波速
度の変化(ΔV)がおこり、それらにより周波数シフト
(Δf)が、生じるためである。特に、共振周波数f0
および周波数温度係数Δf/f0は、それぞれ以下のよう
に定義される。 f0=V/(2t0)・・・・・・(1) Δf/f0=ΔV/V―Δt/t0・・・・・・(2) ここでVは音響共振器を通過する音波の速度であり、お
よび、t0は共振器の厚さである。この厚さは、音波に
関して以下のように定義される。 t0)=λ/2・・・・・・・・・(3) ここで、λは音波が伝播する媒体内における音波の波長
である。音響共振器を製造するために使われる材料にお
いて、厚さt0は、通常、温度ΔTの正変化に伴って増
加する。他方、材料を通過する音波の速度は、通常、温
度の正変化に伴って減少する。これらの二つの因子は、
周波数の負の温度変化係数として呼ばれる現象を発生さ
せるように組み合わせられる。式(1)および(2)か
ら、音響共振器の共振周波数f0は、通常、温度が高く
なると小さくなることが判る。共振のこの変動は、しば
しば、好ましくない特性となる。
【0007】温度変化に対して補償する周知の方法は、
周波数安定化回路との協働である。しかしながら、セル
ラー電話および類似の装置における空間的な制約が、補
助回路の使用を制限している。別の方法が、K.M.L
akin:“Thin Film Resonator
s and Fiters”、IEEE ULtras
onics Symposium(1999年6月1
日)において開示されている。この第2の方法では、固
体的に取り付けられた共振器(SMR)からなり、これ
は、支持面からの周辺支持により浮かされているのでは
なく支持面に沿って取り付けられている。SMRとこれ
が形成されている基板の音響的な分離が、SMRと基板
の間に反射体(ブラッグ反射体が普通である)を形成す
ることによって行なわれる。この反射体は、SMRの共
振周波数におけるほぼ1/2波長の厚さの各層からなる
高屈折率および低屈折率材料を交互に有する層スタック
である。この第2の方法によれば、二酸化シリコン(S
iO2)を特定屈折率層の一方を形成するために使え
ば、SiO2の温度係数の効果である程度の温度補償が
なされる。しかしながら、SiO2が親水性であるとい
う欠陥のために、SMRの性能は、湿度で劣化する。他
の懸案事項は、SiO2が1/4波長層として構成され
ているために、補償のレベルが、目標共振周波数によっ
て一部分決定されるということにある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】温度変化に対して一定
共振を維持する能力を改善した音響共振器と該音響共振
器の組立方法である。本発明の他の目的は湿度の影響が
少ない音響共振器と該音響共振器の組立方法である。
【0009】
【課題を解決するための手段】音響共振器は、電極・圧
電層スタックを備え、この電極・圧電層スタックは、電
極・圧電層スタックに対して補償手段を音響的に接続す
ることによって少なくとも部分的に相殺される負の周波
数温度係数を備えている。補償手段は、この補償手段を
共振に関して温度により誘導された効果を相殺するよう
にさせる性質を持った材料から構成されており、この効
果は、電極・圧電層スタックに対する温度変化により生
じるものである。
【0010】一つの実施例において、補償手段は、強磁
性材料から構成される。さらに好ましい実施例において
は、この材料は、ニッケルー鉄合金であり、最も好まし
い実施例においては、この合金が、ほぼ35%のニッケ
ルとほぼ65%の鉄により構成される。補償手段は、周
波数の正の係数を有していなければならない。補償手段
の厚さは、この補償手段の存在が共振に関する温度誘導
効果の大きさが電極・圧電層スタックが与える負の周波
数温度係数による共振に関する温度誘導効果の大きさに
ほぼ等しくなるように選択できる。一つの例として、ス
タックが厚さ1、520nmの厚さを備える窒化アルミ
ニウム層の反対側に110nmの厚さのモリブデン電極
を備えるとき、0ppm/℃複合係数が、ニッケルー鉄
合金補償手段が332nmの厚さを備えているとき得ら
れると考えられる。
【0011】強磁性体材料は、マイクロ周波数において
大きな電気的な損失に関連するという不具合を有してい
る。これを防ぐために、強磁性体合金を包囲するように
モリブデンの雨仕舞い層が用いられ、強磁性体合金の周
囲に電流を逸らせる。例えば、モリブデンの薄膜層(2
0nm)が、電極・圧電スタックの反対側にある補償手
段の一方の側に形成できる。他の材料を使うこともでき
るが、好ましい実施例では、雨仕舞い材料は、電極材料
と同じものが使われる。
【0012】なお、好ましい実施例を参照すると、補償
手段と電極・圧電スタックは、基板の表面から浮かされ
る。かくして、共振層を基板に接触させるためのブラッ
グ反射体あるいはその他の機構を備える必要がなくな
る。
【0013】電極・圧電スタックが通常示す負の周波数
温度係数を補償する従来技術の手段に比較して、本発明
の一つの利点は、本発明の補償手段が、目的とする共振
周波数に必要な波長には無関係な厚さを維持することが
できることにある。すなわち、ブラッグ反射体内で1/
4波長層となるべき厚さを備えるものに比較して、この
補償手段の厚さは、補償手段の能力を調節するように選
択できる。本発明のその他の利点は、補償手段が金属に
より形成されるので、電極の電気抵抗は、悪い影響を受
けないで済むことにある。本発明のさらにその他の利点
は、本実施例に好適なニッケルー鉄合金は、電極パター
ンの構成に従来用いられていたのと同じウェットエッチ
ングによりエッチングできることである。その上、補償
手段は親水性ではないので、湿度の高い環境において劣
化することがない。
【0014】
【発明の実施の形態】図1において、本発明の一実施例
の音響共振器10は相対する電極12,14の対を有す
る。相対する電極12,14の間には圧電体16があ
り、電極・圧電スタック18が形成されている。この電
極・圧電スタック18は一般に薄膜バルク音響共振器
(FBAR)と呼ばれている。電極・圧電スタック18
に隣接して、温度変化に対する音響共振器10の共振周
波数の安定性を促進する補償手段20が配置されてい
る。これは、正の周波数温度係数を備える幾つかの材料
により補償手段20を形成して実現される。この正の周
波数温度係数は、電極・圧電スタック18が形成されて
いる材料における負の周波数温度係数を補償する。
【0015】通常、圧電体16は、十分に高い電気機械
結合係数と低い誘電体定数を与える圧電材料により構成
される。使うことのできる誘電体材料は、ZnO、Al
NおよびPZTである。電極12と14は、アルミニウ
ム、金、モリブデン、チタン、タングステンなどのよう
な導電性材料から構成される。圧電体16、電極12と
14を構成する材料の特性は、温度変化に応じて変化す
る。この変化により、温度の上昇に従って音響共振器1
0の共振周波数は減少する。特にこれらの材料の速度特
性は、温度上昇と共に減少するので、スタックを伝わる
音波の速度を遅くする。さらに、材料の厚さは、温度上
昇と共に厚くなる。
【0016】共振における温度変化への支配的な寄与
は、スタックを形成している材料の速度特性の変化に帰
することができる。その結果、補償手段20は、温度変
化に対応して積極的に変化する速度特性を備えるように
選択される。そのために、補償手段20は、およそ35
%のニッケルと65%の鉄から構成されている金属合金
が好ましい。この合金は、INVARという商標で、I
nternational Nickle Compa
nyによって販売されている。この合金は、温度変化に
対してほとんど不変の厚さを備えた層を形成する。速度
特性は、しかしながら、温度の変化に伴って積極的に変
化する。Y.Endoh他:“ZeroSound A
nomaly in a Ferromagnetic
INVAR Alloy”、Journal of
the Physical Society of J
apan,Vol.46,No.3,p.804−814
(March 1979)には、INVARが+170
ppm/℃の周波数温度係数を有していることを示唆し
ている。一方、これに比較して、L.I.Manosa
他:“Acoustic−mode Vibratio
nal Anhar−monicity Relate
d to the Anoma− lousTherm
al Expansion of INVAR Iro
n Alloys”、Physical Review
B,The AmericanPhysical S
ociety,volume 45,No.5,p.22
24−2236(1 February 1992)に
より示されているデータにおいては、INVARの周波
数温度係数がおよそ+239ppm/℃でるとされてい
る。補償手段20の厚さを適切に選択することによっ
て、音響共振器10は、実質的に0である複合周波数温
度係数を有するように形成できる。あるいは、この複合
周波数温度係数の大きさは、正あるいは負に設定できる
ので、共振の変化は、温度に正比例するかあるいは反比
例する。このようにして音響共振器10は、その応用に
対応して必要な温度係数を実質的に与えることができ
る。
【0017】図2において、電源22が、電極12と電
極14の間に接続される。電源22によって、電極12
と電極14との間に発生された電界は、圧電体16内で
音波を発生する。音波は、面26と面28間を伝わる。
面26は、補償手段20と周囲の環境との界面である。
面28は、電極14と周囲の環境との界面である。
【0018】前述したように、音響共振器の各層は、温
度に従って変化する厚さ(t)と音波速度(V)を有し
ている。音響共振器内を面26と面28間を伝わる波の
位相(φ)は、音響共振器の周波数の関数として変化す
るとされている。特に、図1および図2の音響共振器1
0内を伝わる波の位相は次式であらわせる: φ=2πf(t1/V1+t2/V2+t3/V3+t4/V4)・・・・・(4)。 ここで、t1およびV1が底部電極14の性質に関係し、
2およびV2が圧電体16のの性質に関係し、t3およ
びV3が上部電極12の性質に関係し、および、t4およ
びV4が補償手段20の性質に関係する厚さと音波速度
である。周波数の安定性は、φ=πおよび式(4)にお
けるカッコ内の係数の和が一定であるとき、得られる。
本発明の好ましい実施例において、この和は、第4の係
数(例えば、t4/V4)をその他の三つの係数(例え
ば、t1/V1+t2/V2+t3/V3)の和とは反対に変
化させることによりほぼ固定できる。
【0019】音響共振器10の温度が上昇すると、圧電
体16内の音波24の速度V2は、遅くなるとともに厚
さt2が厚くなる。さらに、V1およびV3として示され
ている電極12と14を伝わる音波の速度は、それぞ
れ、遅くなり、厚さt1およびt3は、厚くなる。しかし
ながら、音波の遅くなった速度は、補償手段20の存在
により補償される。特に、補償手段20内の音波の速度
4は、温度の上昇につれて大きくなる。補償手段内に
おける温度により誘導された変化の大きさが電極・圧電
スタックにおける温度により誘導されたこのような変化
の大きさに等しいとすると、面26および面28間を伝
わる音波における全体の位相φには、知覚できる変化は
認められないであろう。従って、音響共振器10におけ
る共振周波数は、温度の変化の存在する範囲内で維持さ
れる筈である。
【0020】図3に示す本発明の特定の実施例におい
て、音響共振器110は、従来周知の半導体プロセスを
用いて組立られる。そのために、音響共振器110は、
キャビティ132を形成するようにエッチングされた一
つの面を備えたシリコンウェファ130上に組立てられ
る。これは、KOHを用いて、プリスロッティングとし
て知られているシリコンの数ミクロンの除去により行な
われる。KOHによって除去されるシリコンの量は、引
き続く処理中にウェファ130の構造的な欠陥の発生を
避けるために選ばれる。PSG( Phospho-silicate glas
s)膜134が、キャビティ内に挿入され、周知の機械
的なやり方で平らに研磨される。PSG膜134の挿入と
それに引き続く除去のプロセスは、米国特許第6.06
0,818号明細書に記載されている。
【0021】PSG膜134がキャビティ132内に形成
された後、一つの電極114が、ウエファ130の面に
堆積される。この実施例においては、電極114は、ス
パッタ技術により堆積されて約110nmの厚さのモリ
ブデン層を形成する。これは、約−45ppm/℃の負
の周波数温度係数を備えた電極114を生じる。
【0022】圧電体が、約1、520nmの厚さを備え
て電極114に隣接してAlNの層を蒸着によって形成
される。これは、約−25ppm/℃の負の周波数温度
係数を備えた圧電体116を生じる。
【0023】モリブデンから形成される追加の電極11
2が、次いで、約110nmの厚さを備えるようにAl
N116に隣接して蒸着される。補償手段120が、約
332nmの厚さを備えるようにスパッタ技術を用いて
電極112に隣接して形成される。補償手段は、約17
0ppm/℃の正の周波数温度係数を備えている。製造
中、部材112、116および120のエッジは、写真
製版的にエッチングされて互いにおよびキャビティ13
2のエッジと整合させられる。かくして、浮かされたス
タックのすべての点が、同一の共振周波数f0を備える
ことになる。その結果、部分質量負荷効果によって生じ
る「スプリアス」共振が阻止される。
【0024】電極112と補償手段120の堆積後、P
SG膜134は、共振器構造の下方からエッチングされ
てキャビティ132の形成を完成させる。これは、希釈
されたフッ化水素酸溶液を用いて行なうことができる。
残りの膜の除去により、電極114の基本的な部分は残
り、従って、音響共振器110はウエファ130から距
離を置いて配置されることになる。
【0025】このようにして、音響共振器110は、約
0ppm/℃の周波数温度係数を備えるように形成され
る。かくして、本実施例の音響共振器110は、−30
℃〜85℃の温度変化範囲で、約1.9GHzの一定共
振周波数を維持するように組立られる。この技術は、
0.4〜10GHzの範囲にある周波数において音響共
振器を形成するように適用可能である。
【0026】図4において、本発明のさらに別の実施例
である音響共振器210が、補償手段220を覆う雨仕
舞い230を備えるように示されている。ここで、補償
手段220が形成される好ましい材料は、大きな電気的
な損失を示す強磁性体材料である。この損失の存在は、
音響共振器のQ(良さの指数)を劣化させ、従って、具
合が悪い。雨仕舞い230は、補償手段220の回りに
低損失電流経路を形成するために設けられている。その
ために、雨仕舞い230は、補償手段220の露出され
た部分を被覆し、すなわち、電極212に隣接していな
い領域を被覆する。雨仕舞い230はいかなる導電性の
材料からも形成できるが、雨仕舞い230は、電極21
2と電極214と同じ材料から形成されることが好まし
い。雨仕舞いは、写真製版的にパターン化されるので、
電極212のエッジ上における雨仕舞い230の過剰質
量はシリコン基板232上にある。これは、「スプリア
スの」共振を抑制するのに効果的である。
【0027】雨仕舞い230および電極212、214
は、モリブデン(Mo)から形成され、それぞれ、約1
10nmの厚さを備えている。圧電体216が、−25
ppm/℃である負の周波数温度係数を備えるAlNか
ら形成される。従って、音響共振器216が約0ppm
/℃である周波数温度係数を備えることが望ましいとき
は、補償手段220は、十分な厚さを備えて相殺する正
の周波数温度係数を提供しなければならない。このよう
な構成によって、シリコン基板の音響共振器210は、
−30℃〜85℃の温度変化範囲で、200MHz〜1
0GHzの範囲で選択された周波数において一定の共振
周波数に維持することができる。
【0028】上述の説明および添付の図面に基づいて本
発明に対して種々の修正を行なうことは、当該技術に通
常に知識を有するものであれば容易に行ない得ることで
あろう。例えば、上記議論は、FBAR技術に関するも
のであった。しかしながら、本発明は、SBAR技術に
も等しく適用可能である。さらに、補償手段は、基板の
反対側の電極・圧電スタックの片側に配置されるように
示されたが、補償手段は、基板上に直接形成すること
も、基板に接触する雨仕舞い上にけいせいすることもで
きよう。従って、本発明は、上述された実施例に限定さ
れるものではなく、添付の特許請求の範囲およびその均
等物によって定められるべきものである。以下に、本発
明の実施態様を例示して大方の参考に供する。
【0029】(実施態様1)基板(130および23
2)と、前記基板に集積された層状スタック(18)で
あって、浮かされた部分を備え、前記浮かされた部分
が、圧電体(16;116および216)および前記圧
電体に電界を加えるように配置された電極(12および
14;112および114;および212および21
4)からなり、前記圧電体および前記電極が、共振する
とともに負の周波数温度係数を備えているようにした層
状スタック(18)と、前記圧電体および前記電極に音
響的に接続された補償手段(20;120および22
0)であって、前記補償手段が前記負の周波数温度係数
の関数である前記共振に対する温度誘導効果を少なくと
も一部分相殺するような性質を備えた材料から構成され
ているようにした補償手段(20;120および22
0)とを有する音響共振器(10;110および21
0)。
【0030】(実施態様2)前記補償手段(20;12
0および220)が、前記電極(12;112および2
12)の一つによって前記圧電体(16;116および
216)から距離を置いて配置されている強磁性体層で
あるようにした実施態様1に記載の音響共振器。
【0031】(実施態様3)前記層状スタック(18)
が、前記浮かされている部分を支持するように前記基板
に接触する周辺領域を含むようにした実施態様1あるい
は2に記載の音響共振器。
【0032】(実施態様4)前記層状スタック(18)
がさらに、前記電極(212および214)と前記圧電
体(216)の反対側である前記補償手段(220)の
一方の側に金属雨仕舞い層(230)を含んでいるよう
にした実施態様1に記載の音響共振器。 (実施態様5)前記層状スタック(18)が、薄膜バル
ク共振器(FBAR)スタックであるようにした実施態
様1、2、3あるいは4に記載の音響共振器。
【0033】(実施態様6)前記補償手段(20;12
0および220)が、正の周波数温度係数を備えた材料
から形成されるとともに前記補償手段の存在によって前
記共振に与える温度誘導効果の大きさが前記負の周波数
温度係数における関数としての前記共振に関しする前記
温度誘導効果の大きさに等しくなるような厚さを備えて
いるようにした実施態様1、2、3、4あるいは5に記
載の音響共振器。
【0034】(実施態様7)前記基板(130および1
32)が、シリコン基板であり、前記電極(12および
14;112および114;および212および21
4)および前記補償手段(20;120および220)
が、金属層であるようにした実施態様1、2、3、4、
5あるいは6に記載の音響共振器。
【0035】(実施態様8)基板(130および23
2)を設け、該基板上に薄膜を設け、該薄膜の少なくと
も一部分が、前記基板と接触するようにして浮かせた音
響共振器(10;110および210)を組立てる方法
において、(a)負の周波数温度係数を備えた電極・圧
電体スタック(18)を形成し、(b)正の周波数温度
係数を備えた材料からなり、前記電極・圧電体スタック
(18)に隣接して補償手段層(20;120および2
20)を形成することを含む音響共振器の組立方法。
【0036】(実施態様9)前記(b)の過程が、ニッ
ケル−鉄合金からなる材料を選択する過程を含んでいる
ようにした実施態様8に記載の音響共振器の組立方法。 (実施態様10)前記(b)の過程が、前記電極・圧電
体スタック(18)の作動が共振に与える温度誘導効果
の大きさと前記補償手段層(20;120および22
0)が前記共振に与える温度誘導効果の大きさとをほぼ
一致させるように層の厚さを選択する過程を含んでいる
ようにした実施態様8あるいは9に記載の音響共振器の
組立方法。
【0037】(実施態様11)前記薄膜を形成する過程
がさらに、前記電極・圧電体スタック(18)の反対側
である前記補償手段層(20;120および220)の
一方の側に金属雨仕舞い層(230)を含んでいるよう
にした実施態様8、9あるいは10に記載の音響共振器
の組立方法。
【0038】
【発明の効果】本発明の効果を例示再掲すれば次の通
り。本発明の補償手段が、目的とする共振周波数に必要
な波長には無関係な厚さを維持することができることに
ある。すなわち、ブラッグ反射体内で1/4波長層とな
るべき厚さを備えるものに比較して、この補償手段の厚
さは、補償手段の能力を調節するように選択できる。本
発明のその他の利点は、補償手段が金属により形成され
るので、電極の電気抵抗は、悪い影響を受けないで済む
ことにある。本発明のさらにその他の利点は、本実施例
に好適なニッケルー鉄合金は、電極パターンの構成に従
来用いられていたのと同じウェットエッチングによりエ
ッチングできることである。また、別の利点は、補償手
段は親水性ではないので、湿度の高い環境において劣化
することがないことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による音響共振器の側断面図である。
【図2】図1に示される音響共振器が、電源に接続され
ている状態を示す側断面図である。
【図3】ウェファ上に形成された図1に示す音響共振器
の側断面図である。
【図4】本発明の他の実施例による音響共振器の側断面
図である。
【符号の説明】
10;110および210 音響共振器 12、14;112、114;および212、214
電極 16;116および216 圧電体 18 層状スタック 20;120および220 補償手段 130および232 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 399117121 395 Page Mill Road P alo Alto,California U.S.A.

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と、 前記基板に集積された層状スタックであって、浮かされ
    た部分を備え、前記浮かされた部分が、 圧電体および前記圧電体に電界を加えるように配置され
    た電極からなり、前記圧電体および前記電極が、共振す
    るとともに負の周波数温度係数を備えているようにした
    層状スタックと、 前記圧電体および前記電極に音響的に接続された補償手
    段であって、前記補償手段が前記負の周波数温度係数の
    関数である前記共振に対する温度誘導効果を少なくとも
    一部分相殺するような性質を備えた材料から構成されて
    いるようにした補償手段とを有する音響共振器。
  2. 【請求項2】前記補償手段が、前記電極の一つによって
    前記圧電体から距離を置いて配置されている強磁性体層
    であるようにした請求項1に記載の音響共振器。
  3. 【請求項3】前記層状スタックが、前記浮かされている
    部分を支持するように前記基板に接触する周辺領域を含
    むようにした請求項1あるいは2のいずれかに記載の音
    響共振器。
  4. 【請求項4】前記層状スタックがさらに、前記電極と前
    記圧電体の反対側である前記補償手段の一方の側に金属
    雨仕舞い層を含んでいるようにした請求項1に記載の音
    響共振器。
  5. 【請求項5】前記層状スタックが、薄膜バルク共振器
    (FBAR)スタックであるようにした請求項1、2、
    3あるいは4のいずれかに記載の音響共振器。
  6. 【請求項6】前記補償手段が、正の周波数温度係数を備
    えた材料から形成されるとともに前記補償手段の存在に
    よって前記共振に与える温度誘導効果の大きさが前記負
    の周波数温度係数における関数としての前記共振に関し
    する前記温度誘導効果の大きさに等しくなるような厚さ
    を備えているようにした請求項1、2、3、4あるいは
    5のいずれかに記載の音響共振器。
  7. 【請求項7】前記基板が、シリコン基板であり、前記電
    極および前記補償手段が、金属層であるようにした請求
    項1、2、3、4、5あるいは6のいずれかに記載の音
    響共振器。
  8. 【請求項8】基板を設け、該基板上に薄膜を設け、該薄
    膜の少なくとも一部分が、前記基板と接触するように浮
    かせた音響共振器を組立てる方法において、 (a)負の周波数温度係数を備えた電極・圧電体スタッ
    クを形成し、 (b)正の周波数温度係数を備えた材料からなり、前記
    電極・圧電体スタックに隣接して補償手段層を形成する
    ことを含む音響共振器の組立方法。
  9. 【請求項9】前記(b)の過程が、ニッケル−鉄合金か
    らなる材料を選択する過程を含んでいるようにした請求
    項8に記載の音響共振器の組立方法。
  10. 【請求項10】前記(b)の過程が、前記電極・圧電体
    スタックの作動が共振に与える温度誘導効果の大きさと
    前記補償手段層が前記共振に与える温度誘導効果の大き
    さとをほぼ一致させるように層の厚さを選択する過程を
    含んでいるようにした請求項8あるいは9のいずれかに
    記載の音響共振器の組立方法。
  11. 【請求項11】前記薄膜を形成する過程がさらに、前記
    電極・圧電体スタックの反対側である前記補償手段層の
    一方の側に金属雨仕舞い層を含んでいるようにした請求
    項8、9あるいは10のいずれかに記載の音響共振器の
    組立方法。
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