JP2002170181A - 生活活動度評価システム - Google Patents

生活活動度評価システム

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JP2002170181A
JP2002170181A JP2000366595A JP2000366595A JP2002170181A JP 2002170181 A JP2002170181 A JP 2002170181A JP 2000366595 A JP2000366595 A JP 2000366595A JP 2000366595 A JP2000366595 A JP 2000366595A JP 2002170181 A JP2002170181 A JP 2002170181A
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JP2000366595A
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Kazutoshi Takimoto
和利 滝本
Toru Watsuji
徹 和辻
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Sharp Corp
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Sharp Corp
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  • Alarm Systems (AREA)
  • Selective Calling Equipment (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安い導入費用で、しかも高齢者などの被験者
の日常の生活活動度をプライバシーを確保しながら最も
自然な形で集積でき、さらには被験者の生活活動度を的
確に評価できる生活活動度評価システムを提供する。 【解決手段】 被験者の活動を検知する検知手段1と、
検知手段1からの検知信号を受信し記憶する集積手段2
と、集積手段2に記憶された検知信号を解析し被験者の
生活活動度を評価する解析評価手段3とを設け、検知手
段1と集積手段2の間及び集積手段2と解析評価手段3
との間の少なくとも一方の通信をノーリンギング通信で
行う構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生活活動度評価シス
テムに関し、より詳細には被験者、特に高齢者の日常の
生活活動度をプライバシーを確保しながら最も自然な形
で集積して、被験者の生活活動度を評価し、介護・看護
・医療・福祉機関の活動に役立てる生活活動度の評価シ
ステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】わが国において、65歳以上の高齢者の
人口に占める割合が今後50年の間に30%を超えると
言われている。このような状況下で、要介護老人の対策
が現在注目・検討されているが、一方で多くの健康な高
齢者が存在していることも見過ごしてはならない。健康
な高齢者の中でも一人暮らしの高齢者は、空間的・人間
関係的に孤立していることが多く、これらの人の健康状
態を把握することは大変重要なことではあるが、特定多
数の人の健康状態を把握・管理するには人手が圧倒的に
不足している。
【0003】そこで、本出願人は、特願平12−101
311号において、高齢者などの被験者の日常の生活活
動度をプライバシーを確保しながら最も自然な形で集積
でき、さらには被験者の生活活動度を評価できるシステ
ムを提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記提案したシステム
では、通信手段については別段規定はしていなかった
が、安い費用でシステムを導入するには、既存の電話回
線を使用するのが望ましい。しかしながら、データ通信
のたびに電話のベルが鳴って被験者が受話器を取り上
げ、また被験者が受話器を取り上げるたびにデータ受信
側担当者がデータ送信であることを被験者に知らせてい
たのでは労力の無駄である。一方、専用回線によりデー
タ通信を行えばこのような無駄は生じないがコストが大
幅に増大する。
【0005】本発明はこのような従来の問題に鑑みてな
されたものであり、安い導入費用で、しかも高齢者など
の被験者の日常の生活活動度をプライバシーを確保しな
がら最も自然な形で集積でき、さらには被験者の生活活
動度を評価できるシステムを提供することをその目的と
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、被験者
の活動を検知する検知手段と、該検知手段からの検知信
号を受信し記憶する集積手段と、該集積手段に記憶され
た検知信号を解析し被験者の生活活動度を評価する解析
評価手段とを有する生活活動度評価システムであって、
前記検知手段と前記集積手段の間及び前記集積手段と前
記解析評価手段との間の少なくとも一方の通信をノーリ
ンギング通信で行うことを特徴とする生活活動度評価シ
ステムが提供される。
【0007】また本発明によれば、被験者の活動を検知
する検知手段と、該検知手段からの検知信号を受信し記
憶する集積手段と、該集積手段に記憶された検知信号を
解析し被験者の生活活動度を評価する解析評価手段と、
該解析評価手段による生活活動度の評価結果を介護・看
護・医療・福祉機関及び/又は被験者に送信する送信手
段を有する生活活動度評価システムであって、前記解析
評価手段と前記送信手段との間及び前記送信手段と(介
護・看護・医療・福祉機関及び/又は被験者)との間の
少なくとも一方の通信をノーリンギング通信で行うこと
を特徴とする生活活動度評価システムが提供される。
【0008】ここで被験者のプライバシーを確保しなが
ら最も自然な形で生活活動度を集積する観点から、前記
検知手段として、ガスメータ、水道メータ、電力メータ
を用いるのが好ましい。
【0009】また集積した生活活動度を精度よく評価す
る観点から、被験者の在宅・外出を入力する入力手段、
あるいは被験者の外出を検知する外出検知手段を設ける
のがよく、このような外出検知手段としては、出入り口
の施錠の有無又は人体の存在を検知するものが好まし
い。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者等は、高齢者などの被験
者の日常の生活活動度を評価する基礎となる、家電製品
の使用状況や電気・ガス・水道などの使用状況といった
データを、専用回線を用いずに既存の電話回線を利用し
て通信することができないか鋭意検討を重ねた結果、通
信手段としてノーリンギング通信を用いればよいことを
見出し本発明をなすに至った。
【0011】図1に、本発明の生活活動度評価システム
の一例を示す概説図を示す。宅内に配設された各種検知
センサ1や被験者が携帯した検知センサ1で検知された
信号は集積手段2に送られ、ここで時系列データとして
集積・記憶される。集積手段2に記憶された時系列デー
タは所定時間ごとあるいは送信要求があったときに解析
評価手段3に送られる。解析評価手段3では収集された
時系列データを解析・評価を行う。解析評価手段3によ
る評価結果は送信手段4を用いて必要により被験者宅の
出力装置12および介護・看護・医療・福祉機関の出力
装置62に送られ、健康状態の自己管理や当該機関によ
る活動に活用される。ここで遠隔地間のデータ送信に
は、ノーリンギング通信を用いる。以下ノーリンギング
通信について説明する。
【0012】図2に、ノーリンギング送信の概説図を示
す。通話用端末装置である宅内電話機11と出力装置1
2、集積手段2とを接続した端末網制御装置10(以下
「T−NCU」と略すことがある)を、ノーリンギング
通信回線でセンター装置のセンター網制御装置20(以
下「C−NCU」と略すことがある)と接続して通信シ
ステムが構成される。T−NCU10は、基本的な動作
条件および発信先電話番号などを記憶装置内に格納して
おり、センターからのノーリンギング着信により動作
し、センターと通信して集積手段2からのデータを解析
評価手段3へ送信する。
【0013】このノーリンギング通信は通常1,200
bps以下の伝送速度の半二重通信方式で行なう。伝送
速度に上限があるのは、ノーリンギングトランクを制御
するためのノーリンギング制御信号(2765Hz)が
常にリンク中に重畳されており、1,200bpsより
速い伝送速度で通信を行うとこのノーリンギング制御信
号がノイズとなるからである。後述する検知手段の種類
によっては1,200bps以下の伝送速度で十分な場
合があるが、多量のデータを送信する場合にはこのよう
な伝送速度では対応できない。そこで、このような場合
には次のような制御を行ってもよい。
【0014】C−NCUからT−NCUにノーリンギン
グ通信によってノーリンギング着信があった場合に、T
−NCUが着信認識した後、接続された回線を一旦切断
する。そしてノーリンギング着信時にC−NCUから送
信される発信先情報に基づく発信先電話番号に公衆電話
通信網を利用して端末発信する。このようにすれば、ノ
ーリンギング通信の伝送速度の制限を受けることなく大
量のデータを通信することができる。
【0015】本発明のシステムにおいて、通信手段とし
てノーリンギング通信を用いるのは離れた場所にある手
段の間でデータ通信を行う場合である。図1のシステム
では、集積手段2と解析評価手段3との間、及び送信手
段4と(介護・看護・医療・福祉機関及びは被験者)と
の間の通信をノーリンギング通信で行う。また、図3に
示すような、被験者の家屋に検知手段1が配設され、セ
ンターに集積手段2、解析評価手段3、配信手段4が設
置されいる場合では、検知手段1と集積手段2との間、
配信手段4と(介護・看護・医療・福祉機関及び被験
者)との間の通信手段としてノーリンギング手段を用い
る。なお、図3では集積手段2と解析評価手段3を別体
としているが、両者を一体として形成してももちろん構
わない。
【0016】また図4に示すような、被験者の家屋に検
知手段1、集積手段2、解析評価手段3が備えられ、セ
ンターに配信手段4が備えられている場合では、解析評
価手段3と配信手段4との間、及び配信手段4と(介護
・看護・医療・福祉機関及び被験者)との間の通信手段
としてノーリンギング手段を用いる。
【0017】本発明で使用する検知手段としては、例え
ばガスメータ、水道メータ、電力メータなどのライフラ
インメータ;エアコン、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、
マットなどの家電製品;振動センサ、加速度センサ、赤
外線センサなどのセンサなど従来公知のものを用いるこ
とができ、これらを複数個組み合わせて使用することが
生活活動度をより詳細に検知する上で望ましい。
【0018】例えば検知手段として電気・ガス・水道の
各メータを用い、電気・ガス・水道の使用量をノーリン
ギング通信によりセンターに送信するいわゆるテレメー
タシステムを用いることが推奨される。図5に示すよう
な、センターに集積手段2と解析評価手段3、配信手段
4とを設け、被験者宅に電気・ガス・水道の使用量を検
知する検針器13を設け、集積手段2からC−NCU2
0を介してノーリンギング通信により被験者宅のT−N
CU10に電気・ガス・水道のメータの検針を所定周期
で要求させる。T−NCU10は、被験者宅の電話機1
1の呼び出しベルを鳴らすことなく検針要求を受信し
て、各メータの検針値を集積手段2に返信する。集積手
段2は返信された各メータの検針値を時系列データとし
て集積・記憶する。そして後述するように、集積手段2
に集積・記憶された時系列データを基に解析評価手段3
において被験者の生活活動度が評価される。このよう
に、自動検針システムとして既に実施されているテレメ
ータシステムを本発明の検知手段として活用することに
より、被験者宅への新たな検知手段の配設が不要となり
安い費用で本発明のシステムを導入できるようになる。
【0019】また図5には図示していないが、T−NC
U10に時計機能、データ記憶機能を持たせ、電気・ガ
ス・水道の各検針器13をより短い周期で検針させて、
その結果をT−NCU10内に記憶させておく。一方、
集積手段2は比較的長い周期でC−NCU20を介して
ノーリンギング通信により被験者宅のT−NCU10に
電気・ガス・水道のメータの検針を所定周期で要求し、
集積手段2からの検針要求があるとT−NCU10は記
憶していた検針値データを集積手段2に送信する。この
ようにすれば、センターと被験者宅とのノーリンギング
通信回数を減らすことができるので通信コストを下げる
ことができ、また同時により細かな検針値の時系列デー
タも得られる。
【0020】図6に、電気・ガス・水道の各検針値デー
タのタイムチャート図の一例を示す。図6のタイムチャ
ート図は横軸として時間、縦軸として検針値から算出し
た使用量をとったものである。例えばガス使用量の時系
列変化を見ると、6時から7時、12時〜13時、18
時〜19時に使用量が多くなっている。これらの時間帯
は朝・昼・晩の食事の準備時間帯であることから、この
ようなガス使用量変化から被験者はこの時間帯に食事の
準備をしていたと推測できる。その他にも、水道使用量
が17時〜19時に多くなっていることから、この時間
帯に被験者が風呂の準備・入浴したこと、あるいは電力
使用量が10時〜17時の時間帯に多くなっていること
から、被験者がエアコンを日中継続して使用していたこ
となどが推測できる。
【0021】ここで、電気・ガス・水道の各メータを被
験者宅に複数個配設する、例えばブレーカが部屋ごとに
別れている場合には、各ブレーカごとに電気メータを設
置すれば各部屋ごとの電力使用量がわかる。また風呂、
台所などの蛇口ごとに水道メータを設置すれば、蛇口ご
との水道使用量がわかる。これにより、被験者がいつ・
どこで・何をしたかといった被験者の活動がより詳細に
検知できる。
【0022】また電気・ガス・水道の単位当たりの使用
量を、例えば10分単位、30分単位、1時間単位、1
日単位などの種々の単位で算出することにより、被験者
の活動度をミクロ及びマクロの両面から解析することが
できるようになる。
【0023】ところで、被験者が外出した場合、被験者
宅のガス・水道は基本的に使用されないため、何らの手
段を講じなければ解析評価手段は被験者に異常が発生し
たものと誤った判断をするおそれがある。そこで、被験
者が在宅なのか外出なのかを入力するための入力手段を
さらに本発明のシステムに設けるのが望ましい。入力手
段としては、例えばオン−オフ切換スイッチを挙げるこ
とができ、このスイッチを玄関などの出入り口に配設し
ておき、外出するときにオンとし、帰宅したときにオフ
とする操作を行う。このスイッチからの信号は集積手段
又はT−NCUに送られ、最終的に解析評価手段に送ら
れ、スイッチがオンとなっている時間帯については検知
手段のデータに拘わらず、被験者が異常との判断はしな
いよう制御される。
【0024】さらに前記オン・オフ操作の被験者の忘れ
をも考慮して、より正確な検知を行うために、被験者の
在宅・外出を被験者の操作によらず自動的に検知するよ
うにしてもよい。例えば、被験者の外出を検知する外出
検知手段を被験者が外出するときに必ず通過する場所に
設置して外出および帰宅を検知する。このような外出検
知手段としては、例えば被験者宅の出入り口の施錠の有
無を検知するものや人体の存在を検知するものなどが挙
げられる。
【0025】例えば、被験者宅の玄関等の出入り口扉に
施錠・解錠を検知する検知手段を設けておき、その検知
信号をT−NCU又は集積手段に送るようにする。検知
信号は最終的に解析評価手段に送られ、前記と同様に、
扉が施錠されている時間帯については被験者が外出して
いるとして検知手段のデータに拘わらず、被験者が異常
との判断はしないよう制御される。
【0026】また他の態様としては、施錠・解錠を検知
する検知手段に代えて、通過型の人体検知センサを出入
り口に配設し、被験者の存在とその通過方向を検知させ
る。被験者が宅外へ出ていくのを検知した場合には外出
と判断する一方、宅内に入ってくるのを検知した場合に
は在宅と判断し、その旨の信号をT−NCU又は集積手
段に送り以後は前記と同様の制御を行う。なお、通過型
の人体検知センサに代えて、人の有無検知のみを行う反
射型の人体検知センサを離隔して2台設け、人が通過す
るときに2台の人体検知センサが検知する際の時間差か
ら被験者の通過方向を判断してもよい。
【0027】次に、このような集積した検知データに基
づいて解析評価手段が解析・評価する方法について説明
する。この解析・評価方法としては、例えば最も単純な
例を示せば、検知手段が一定時間以上被験者の活動を検
知しなかった、あるいは活動の検知が極端に少なくなっ
た場合は、被験者に異常が生じたものとして被験者の安
否を評価する方法が考えられる。
【0028】また別の例としては、被験者の生活活動度
の時系列データを蓄積して日常の生活活動パターンを割
り出し、これを基準データとして記憶部に記憶してお
き、検知された時系列データがこの基準データと異なる
パターンを示したときは、異常が生じたものとして被験
者の健康状態を評価するクラスター分析方法がある。例
えば図6に示したような電気・ガス・水道の使用量のタ
イムチャートを作成して、電気・ガス・水道は一日平均
どれくらい使用されるか、一日における使用ピークは何
時頃かといった平均データを抽出・記憶しておき、検知
データをこの平均データと比較して被験者の状態に変化
がないか評価するのである。検知データが平均データと
著しく異なる場合、例えば一日の電力使用量が極端に多
く、ガスがまったく使用されていないといった場合に
は、被験者に何らかの異常が発生したものと評価し、そ
の旨外部に報知する。
【0029】さらに一歩進んだ解析・評価方法として
は、日常の生活活動度と関連づけられる解析結果を基準
データとして記憶部に記憶しておき、時系列データの解
析結果と基準データとの比較を行い、一致又は近似して
いる基準データから被験者の生活活動度をより詳細に推
測・評価することもできる。この方法の概説図を図7に
示す。集積手段2から解析評価手段3へ送られてきた時
系列データはまず解析部31で解析される。具体的解析
手法については後述する。そして被験者の生活活動度と
関連づけられる解析結果は基準データとして記憶部32
に記憶される。一方、順次送られてくる時系列データの
解析結果はこの基準データと比較され、一致又は近似し
ている基準データから被験者の生活活動度が推測・評価
され、出力部34で出力される。
【0030】ここで検知されるデータが行動など生体に
関するものである場合には、それらデータは一般に非線
形データであるため、解析方法としては非線形解析方法
を用いるのがよく、中でも非線形データの解析手法とし
て広く用いられているカオス解析が前記時系列データの
解析方法に最も好適に用られる。このカオス解析には、
フラクタル次元解析やリアプノフ指数解析、カオスアト
ラクタ解析など種々の解析方法があるが、生体情報に関
する解析手法としてはカオスアトラクタ解析が適してい
る。中でもカオスアトラクタの軌道周期を測定し、その
軌道周期の揺らぎから生活活動度を解析する方法が好ま
しい。
【0031】以下具体的にこの解析方法について説明す
る。図8に、実際に測定した被験者による歩行の加速度
データを示す。図8は、横軸を時間、縦軸を加速度とし
て歩行による加速度の経時変化を示した図であって、図
8(a)が健康時の加速度データ、同図(b)が体調不
良時の加速度データである。これらの図から理解される
ように、加速度データの波形を比較してもその違いは明
確にはわからないことが多い。
【0032】次に、このデータに基づき2次元数空間に
描いたカオスアトラクタを図9に示す。図9(a)が健
康時のカオスアトラクタ、同図(b)が体調不良時のカ
オスアトラクタである。カオスアトラクタの形状から、
パターンマッチング法を用いて評価を行える場合はこの
段階で評価を行ってもよいが、この図の場合のように両
者の違いが不明確であることもあり、このような場合に
はパターンマッチング法を適用することができない。
【0033】そこで、図9のカオスアトラクタの構成要
素の平均値を求め、その平均値座標点を原点としてカオ
スアトラクタを極座標変換してカオスアトラクタの軌道
周期を測定した。具体的にはカオスアトラクタの点Oか
ら右方向に水平線Sを引き、この水平線Sを基準線とし
てアトラクタ軌道が反時計回りに360°回転して基準
線に戻ってくるまでの時間を軌道周期とした。
【0034】アトラクタ軌道周期の測定結果を図10に
示す。図10(a)が健康時のアトラクタ軌道周期、同
図(b)が体調不良時のアトラクタ軌道周期である。ま
た加速度データおよびカオスアトラクタは示さなかった
が、被験者が体調を崩す前日のカオスアトラクタの軌道
周期を図11に示す。図10の(a)、(b)及び図1
1を比較してみればわかるように、カオスアトラクタの
パターンマッチング法ではわからなかった、体調の違い
による歩行データの違いがアトラクタ軌道周期の揺らぎ
から見いだせるのである。したがって種々の状態時のア
トラクタ軌道周期の揺らぎを基準データとして記憶部に
記憶させておけば、基準データの揺らぎ特性と測定した
揺らぎ特性を順次比較してその一致性を検出することに
よりそのときの状態、上記例で言えば健康、体調不良の
前兆、体調不良を判定することができる。
【0035】アトラクタ軌道の揺らぎを分析する方法と
しては、デトレンド変動分析(DFA:Detrended Fluc
tuation Analysis)、フーリエ変換などの周波数変換、
ウェーブレット解析、マルチフラクタル解析など従来公
知の分析方法を用いることができるが、大きな揺らぎに
対しても客観的かつ正確に分析できる点からDFAが望
ましい。
【0036】DFAによる分析方法を概説すると、まず
揺らぎの系を所定のウインドウサイズで区切り、各ウイ
ンドウ毎に波形を直線近似する。そしてその直線近似か
らのズレの絶対値を積分し、この積分値を揺らぎの大き
さとする。揺らぎの大きさを縦軸とし、ウインドウサイ
ズを縦軸として、各ウインドウサイズに対する揺らぎの
大きさをプロットとし、その傾きやy切片を状態の判定
・予測の指標とするのである。
【0037】図10(a),(b)に示したアトラクタ
軌道周期の揺らぎをDFAで分析した結果を図12に示
す。図12は、横軸をウインドウサイズ、縦軸を揺らぎ
の大きさとして、健康時と体調不良時をそれぞれ実線と
破線で表したものである。体調不良時の破線は、健康時
の実線に比べて線の傾きが小さくなっている。したがっ
てこの場合は主として線の傾きの変化から健康、体調不
良の評価を行うことができる。
【0038】また時系列データとして歩行時の振動デー
タを用いて、アトラクタ軌道周期の揺らぎをDFAで分
析した結果を図13に示す。なお歩行時の振動は振動ス
イッチ(光進社製)を用いて測定した。また振動スイッ
チの出力は「1」と「0」のデジタル的な信号であるの
で、信号を加算平均してスムージングを行いカオスアト
ラクタを描いた。図12と同様に図13は、横軸をウイ
ンドウサイズ、縦軸を揺らぎの大きさとして、健康時と
体調不良時をそれぞれ実線と破線で表したものである。
健康時の実線と体調不良時の破線とはy切片および傾き
が異なっているから、この相違点から健康、体調不良の
判定を行うことができる。
【0039】
【発明の効果】本発明の生活活動度評価システムでは、
被験者の活動を検知する検知手段と、該検知手段からの
検知信号を受信し記憶する集積手段と、該集積手段に記
憶された検知信号を解析し被験者の生活活動度を評価す
る解析評価手段とを有するので、高齢者などの被験者の
日常の生活活動度をプライバシーを確保しながら最も自
然な形で集積でき、さらには被験者の生活活動度を評価
できる。また検知手段と集積手段の間及び集積手段と解
析評価手段との間の少なくとも一方の通信をノーリンギ
ング通信で行うので、専用回線などのコストの高い通信
設備を新設することなく安い費用で本発明の生活活動度
評価システムは導入できる。
【0040】また、解析評価手段による生活活動度の評
価結果を送信する送信手段をさらに備え、解析評価手段
と前記送信手段との間及び前記送信手段と(介護・看護
・医療・福祉機関及び/又は被験者)との間の少なくと
も一方の通信をノーリンギング通信で行う本発明の生活
活動度評価システムでは、評価結果を被験者の日常生活
の改善や前記機関の活動に役立てることができ、また専
用回線を新たに設けることなく安い費用で導入できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の生活活動度評価システムの一例を示
す概略構成図である。
【図2】 ノーリンギング通信の一例を示す構成図であ
る。
【図3】 本発明の生活活動度評価システムの他の例を
示す概略構成図である。
【図4】 本発明の生活活動度評価システムの他の例を
示す概略構成図である。
【図5】 本発明の生活活動度評価システムの他の例を
示す概略構成図である。
【図6】 ガス・水道・電気の各使用状況を示すタイム
チャート図である。
【図7】 解析評価手段の一例を示す概説図である。
【図8】 歩行時の加速度変化を示す図である。
【図9】 歩行時の加速度変化から2次元数空間に描い
たカオスアトラクタ図である。
【図10】 アトラクタ軌道周期の変化を示す図であ
る。
【図11】 アトラクタ軌道周期の変化を示す図であ
る。
【図12】 アトラクタ軌道周期の揺らぎをDFAによ
り分析した結果を示す図である。
【図13】 アトラクタ軌道周期の揺らぎをDFAによ
り分析した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 検知センサ(検知手段) 2 集積手段 3 解析評価手段 4 送信手段 11,61 電話 12,62 出力装置 31 解析部 32 記憶部 33 評価部 34 出力部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5C087 AA02 AA03 AA08 AA19 BB12 BB46 BB58 BB64 BB65 BB74 DD03 DD24 DD29 DD30 DD49 EE05 EE08 EE20 FF04 GG11 GG12 GG19 GG32 5K048 BA13 BA55 DC07 EB10 EB12 HA01 HA02 5K101 KK19 LL01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被験者の活動を検知する検知手段と、該
    検知手段からの検知信号を受信し記憶する集積手段と、
    該集積手段に記憶された検知信号を解析し被験者の生活
    活動度を評価する解析評価手段とを有する生活活動度評
    価システムであって、 前記検知手段と前記集積手段の間及び前記集積手段と前
    記解析評価手段との間の少なくとも一方の通信をノーリ
    ンギング通信で行うことを特徴とする生活活動度評価シ
    ステム。
  2. 【請求項2】 被験者の活動を検知する検知手段と、該
    検知手段からの検知信号を受信し記憶する集積手段と、
    該集積手段に記憶された検知信号を解析し被験者の生活
    活動度を評価する解析評価手段と、該解析評価手段によ
    る生活活動度の評価結果を介護・看護・医療・福祉機関
    及び/又は被験者に送信する送信手段を有する生活活動
    度評価システムであって、 前記解析評価手段と前記送信手段との間及び前記送信手
    段と(介護・看護・医療・福祉機関及び/又は被験者)
    との間の少なくとも一方の通信をノーリンギング通信で
    行うことを特徴とする生活活動度評価システム。
  3. 【請求項3】 前記検知手段として、ガスメータ、水道
    メータ、電力メータを用いる請求項1又は2記載の生活
    活動度評価システム。
  4. 【請求項4】 被験者の在宅・外出を入力する入力手段
    をさらに備えた請求項1〜3のいずれかに記載の生活活
    動度評価システム。
  5. 【請求項5】 被験者の外出を検知する外出検知手段を
    さらに備えた請求項1〜3のいずれかに記載の生活活動
    度評価システム。
  6. 【請求項6】 前記外出検知手段が、出入り口の施錠の
    有無又は人体の存在を検知するものである請求項5記載
    の生活活動度評価システム。
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