JP2002169415A - 定着装置及びその定着装置を有する画像形成装置 - Google Patents

定着装置及びその定着装置を有する画像形成装置

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JP2002169415A
JP2002169415A JP2000369023A JP2000369023A JP2002169415A JP 2002169415 A JP2002169415 A JP 2002169415A JP 2000369023 A JP2000369023 A JP 2000369023A JP 2000369023 A JP2000369023 A JP 2000369023A JP 2002169415 A JP2002169415 A JP 2002169415A
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fixing device
time
fixing belt
roller
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Satohiko Baba
聡彦 馬場
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベルト巻き掛けローラ17と加熱ローラ18
とに巻き掛けられた定着ベルト15と、加圧ローラ16
との間に記録材Pを通し、加熱された定着ベルト15と
加圧ローラ16からの熱をトナー像Tに与えて、そのト
ナー像を定着する定着装置において、定着装置の立上げ
時間を短縮する。 【解決手段】 立上げ時に、定着ベルト15の目標温度
到達時間と加圧ローラ16の目標温度到達時間との差
が、立上げ時間の10%以内となるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録材に担持され
たトナー像を定着する定着装置と、その定着装置を有す
る画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子複写機、プリンタ、ファクシミリ、
或いはその少なくとも2つの機能を備えた複合機などと
して構成される画像形成装置に上記形式の定着装置を採
用することは従来より公知である。この種の定着装置と
して、加熱される定着部材と、その定着部材に圧接する
加圧部材とを回転させ、当該定着部材と加圧部材の間
に、トナー像を担持した記録材を通過させてトナー像を
定着する定着装置が従来より広く知られている。
【0003】この種の定着装置においては、定着部材と
加圧部材の目標温度がそれぞれ設定され、定着装置の立
上げ時に、定着部材と加圧部材の温度をそのそれぞれの
目標温度にまで上昇させ、しかる後、定着動作を行うよ
うに構成されている。ここで従来より問題となっている
点は、定着装置の立上げ時、すなわちそのウォームアッ
プ時に、定着部材と加圧部材が共にそのそれぞれの目標
温度に達するまでの立上げ時間をいかに短縮させるかと
いう点である。定着装置の立上げ時間が長くなれば、ユ
ーザが画像形成装置を使用できるまでの待ち時間が長く
なり、ユーザに多大な不便をかける欠点を免れない。
【0004】そこで従来より、定着装置の立上げ時間を
短縮するための構成が多数提案され、かつ実用化もされ
ているが、より一層の立上げ時間の短縮化が望まれてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した認
識に基づきなされたものであり、その第1の目的は、定
着装置の立上げ時間をより一層効率よく短縮化できる定
着装置を提供することにある。また、本発明の第2の目
的は、上記定着装置を有する画像形成装置を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記第1の目
的を達成するため、加熱される定着部材と、記録材を前
記定着部材に押し付けるための加圧部材とを具備し、前
記定着部材と加圧部材との間に、トナー像を担持した記
録材を通過させて該トナー像を定着する定着装置におい
て、定着装置の立上げ時に、定着部材がその目標温度に
到達して該定着部材の立上げを完了するまでの時間と加
圧部材がその目標温度に到達して該加圧部材の立上げを
完了するまでの時間との差の絶対値が、定着部材と加圧
部材が共にそのそれぞれの目標温度に達して定着装置の
立上げを完了するまでの時間の10%以内となるように
構成したことを特徴とする定着装置を提案する(請求項
1)。
【0007】また、本発明は上記第1の目的を達成する
ため、定着部材と、該定着部材を加熱する第1の熱源
と、記録材を前記定着部材に押し付けるための加圧部材
と、該加圧部材を加熱する第2の熱源とを具備し、定着
部材と加圧部材との間に、トナー像を担持した記録材を
通過させて該トナー像を定着する定着装置において、定
着装置の立上げ時に、定着部材がその目標温度に到達し
て該定着部材の立上げを完了するまでの時間と加圧部材
がその目標温度に到達して該加圧部材の立上げを完了す
るまでの時間との差の絶対値が、定着部材と加圧部材が
共にそのそれぞれの目標温度に達して定着装置の立上げ
を完了するまでの時間の10%以内となるように、前記
第1及び第2の熱源に対する電力配分を設定したことを
特徴とする定着装置を提案する(請求項2)。
【0008】さらに、本発明は上記第1の目的を達成す
るため、加熱される定着部材と、記録材を前記定着部材
に押し付けるための加圧部材とを具備し、前記定着部材
と加圧部材との間に、トナー像を担持した記録材を通過
させて該トナー像を定着する定着装置において、定着装
置の立上げ時に、定着部材がその目標温度に到達して該
定着部材の立上げを完了するまでの時間と加圧部材がそ
の目標温度に到達して該加圧部材の立上げを完了するま
での時間との差の絶対値が、定着部材と加圧部材が共に
そのそれぞれの目標温度に達して定着装置の立上げを完
了するまでの時間の10%以内となるように、立上げ時
の定着部材の表面線速を設定したことを特徴とする定着
装置を提案する(請求項3)。
【0009】また、上記請求項1乃至3のいずれかに記
載の定着装置において、前記定着部材が、複数のローラ
に巻き掛けられた定着ベルトより成り、前記加圧部材が
前記定着ベルトに圧接する加圧ローラより成ると有利で
ある(請求項4)。
【0010】さらに、上記請求項1乃至3のいずれかに
記載の定着装置において、前記定着部材が、定着ローラ
より成り、前記加圧部材が前記定着ローラに圧接する加
圧ローラより成ると有利である(請求項5)。
【0011】また、本発明は、上記第2の目的を達成す
るため、請求項1乃至5のいずれかに記載の定着装置を
具備することを特徴とする画像形成装置を提案する(請
求項6)。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を説明
し、併せて前述の従来の欠点を図面に即してより具体的
に明らかにする。
【0013】図1は画像形成装置の一例であるカラープ
リンタの一部を示す概略図である。ここに示した画像形
成装置は、記録材上にトナー像を形成する作像手段1
と、そのトナー像を記録材上に定着する定着装置2とを
有している。先ず作像手段1の概略を明らかにする。
【0014】図1に示した作像手段1は、ドラム状の感
光体として構成された第1乃至第4の像担持体3Y,3
M,3C,3BKを有し、その各像担持体上にイエロー
トナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラ
ックトナー像がそれぞれ形成される。第1乃至第4の像
担持体3Y乃至3BKに対向して転写ベルト4が配置さ
れ、この転写ベルト4は、駆動ローラ5と従動ローラ6
に巻き掛けられて矢印A方向に走行駆動される。
【0015】第1乃至第4の各像担持体3Y,3M,3
C,3BK上にトナー像を形成する構成と、その作用は
実質的に全て同一であるため、第1の像担持体3Yにト
ナー像を形成する構成だけを説明する。この像担持体3
Yは図1における時計方向に回転駆動され、このとき帯
電ローラ7によって像担持体表面が所定の極性に均一に
帯電される。次いでその帯電面に、レーザ書き込みユニ
ット8から出射する光変調されたレーザビームLが照射
される。これによって像担持体3Y上に静電潜像が形成
され、その静電潜像が現像装置9によってイエロートナ
ー像として可視像化される。
【0016】一方、図示していない給紙部から、例えば
転写紙又は樹脂シートや樹脂フィルムなどから成る記録
材Pが給送され、その記録材Pが、像担持体3Yと転写
ベルト4の間に送り込まれ、転写ベルト4に担持されて
搬送される。転写ベルト4を挟んで、像担持体3Yにほ
ぼ対向する位置には転写ローラ10が配置され、その転
写ローラ10に対し、像担持体3Y上のトナーの帯電極
性と逆極性の電圧が印加され、これによって像担持体3
Y上のイエロートナー像が記録材P上に転写される。記
録材Pに転写されず、像担持体3Y上に残された転写残
トナーは、クリーニング装置11によって除去される。
【0017】全く同様にして、第2乃至第4の像担持体
3M,3C,3BK上にマゼンタトナー像、シアントナ
ー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これら
のトナー像が、イエロートナー像の転写された記録材P
上に順次重ね合されて転写される。
【0018】上述のようにして4色のトナー像が形成さ
れた記録材Pは、定着装置2を通過し、このときそのト
ナー像が記録材P上に定着される。定着装置2を通過し
た記録材は、図示していない排紙トレイ上に排出され
る。このように、図1に例示した画像形成装置は、定着
装置2と、その定着装置2により定着されるトナー像を
記録材P上に形成する作像手段1を具備している。
【0019】図2は定着装置2の拡大断面図であり、こ
こに示した定着装置2は、定着部材の一例である無端状
の定着ベルト15と、その定着部材に圧接する加圧部材
の一例である円筒状の加圧ローラ16と、この加圧ロー
ラ16に対向して位置するベルト巻き掛けローラ17
と、加熱ローラ18とを有していて、定着ベルト15は
加熱ローラ18とベルト巻き掛けローラ17とに巻き掛
けられている。加熱ローラ18は円筒状に形成され、そ
の内部には、定着ベルト15より成る定着部材を加熱す
る熱源の一構成例であるヒータ19が設けられている。
加熱ローラ18に巻き付いた定着ベルト部分の外表面に
は、サーミスタ20が当接し、このサーミスタ20は定
着部材の温度を検知する温度検知手段の一例を構成す
る。定着ベルト15は、ヒータ19により加熱された加
熱ローラ18から熱を伝えられて加熱される。加熱ロー
ラ18は、定着ベルト15に張力を付与するテンション
ローラとしての用もなす。図2に示した例では、定着ベ
ルト15が加熱ローラ18とベルト巻き掛けローラ17
の2つのローラに張設されているが、定着ベルトを3以
上のローラに巻き掛けてもよい。
【0020】また、本例の定着装置2においては、加圧
ローラ16の内部にもその加圧ローラ16を加熱する熱
源の一例であるヒータ21が配置されていると共に、そ
の加圧ローラ16の表面の温度を検知する温度検知手段
としてのサーミスタ22が設けられている。図示した定
着装置では、ヒータ19,21としてハロゲンヒータが
用いられている。
【0021】加圧ローラ16は、定着ベルト15を介し
てベルト巻き掛けローラ17に圧接しているが、ベルト
巻き掛けローラ17と加熱ローラ18とに接触していな
い定着ベルト部分に加圧ローラ16を圧接させてもよ
い。いずれの場合も、加圧ローラ16は、定着ベルト1
5の周方向における所定の長さ範囲に亘ってその定着ベ
ルト15を湾曲変形させながら、定着ベルト15に圧接
する。
【0022】トナー像の定着動作時に、加圧ローラ16
が図2における反時計方向に駆動され、これにより定着
ベルト15が矢印B方向に従動回転し、これに伴ってベ
ルト巻き掛けローラ17と加熱ローラ18が図2におけ
る時計方向にそれぞれ回転する。表面に未定着トナー像
Tを担持した記録材Pは、矢印C方向に搬送されて定着
ベルト15と加圧ローラ16の間に送り込まれ、定着ベ
ルト15を介してベルト巻き掛けローラ17と加圧ロー
ラ16が互いに圧接したニップ部を通過する。このとき
記録材Pは加圧ローラ16により定着ベルト15に押し
付けられ、かつその加圧ローラ16と定着ベルト15か
ら熱を付与される。このようにして、定着ベルト15の
表面に当接する記録材P上のトナー像Tは、圧力と熱の
作用を受けて、記録材P上に定着される。加圧ローラ1
6の表面には、分離爪30が当接し、定着ベルト15と
加圧ローラ16の間を出た記録材が加圧ローラ16に巻
き付いたとき、分離爪30によって、その記録材が加圧
ローラ16から分離される。
【0023】サーミスタ20は、定着ベルト15の幅方
向中央部に配置されていると共に、加熱ローラ18に接
触した定着ベルト部分の周方向のほぼ中央部に配置され
ている。またサーミスタ22も、加圧ローラ16の長手
方向中央部に当接し、しかも加圧ローラ16に接触した
定着ベルト部分の周方向中心部から、その加圧ローラ1
6の回転方向上流側に約90°離れた位置に設けられて
いる。
【0024】また図示した例では、定着ベルト15と加
圧ローラ16をそれぞれ加熱する熱源として、加熱ロー
ラ18の内側と加圧ローラ16の内側に配置されたヒー
タ19,21を用いたが、ベルト巻き掛けローラ内に設
けたヒータ(図示せず)、或いは両ローラ17,18の
それぞれに設けたヒータなどにより、定着ベルトを加熱
してもよい。さらに、定着ベルト15及び加圧ローラ1
6の外部からこれらを加熱する熱源を用いることもでき
る。また、定着ベルト15と加圧ローラ16自体が発熱
機能を有するように構成してもよく、この場合には定着
ベルト15より成る定着部材自体と、加圧ローラ16よ
り成る加圧部材自体が、それぞれ熱源を具備する。これ
らの構成は、後述するように、定着部材が定着ローラよ
り成り、加圧部材がこの定着ローラに圧接する加圧ロー
ラより成る定着装置にも適用できるものである。
【0025】上述のように、本例の定着装置は、加熱さ
れる定着部材の一例である定着ベルト15と、記録材P
をその定着部材に押し付けるための加圧部材の一例であ
る加圧ローラとを有していると共に、定着部材を加熱す
るヒータ19より成る熱源と、加圧部材を加熱するヒー
タ21より成る熱源を有しているが、これらの熱源を識
別する必要のあるときは、前者の熱源を第1の熱源、後
者の熱源を第2の熱源と称すると共に、前者のヒータ1
9を第1ヒータ、後者のヒータ21を第2ヒータと称す
ることにする。同様にサーミスタ20を第1サーミス
タ、もう一方のサーミスタ22を第2サーミスタとす
る。
【0026】上述のようにトナー像の定着が行われると
き、定着ベルト15の表面と加圧ローラ16の表面が、
トナー像の定着に適した定着温度TR1,TR2となる
ように制御される。すなわち、定着ベルト15より成る
定着部材と加圧ローラ16より成る加圧部材の表面温度
をサーミスタ20,22より成る温度検知手段により検
知し、その温度検知手段の検知結果に基づいて、図示し
ていない温度制御回路により、定着部材と加圧部材の温
度が定着温度TR1,TR2となるように、ヒータ1
9,21より成る熱源への通電を制御しながら、互いに
同期して回転する定着部材と加圧部材の間に、トナー像
を担持した記録材を通過させて熱と圧力の作用により、
そのトナー像を記録材上に定着するのである。
【0027】上述した定着装置2の各構成要素のより具
体的な構成例を説明すると、定着ベルト15は、例え
ば、耐熱性樹脂や金属などから構成された無端状のベル
ト基体を有し、その耐熱性樹脂としては、例えば、ポリ
イミド,ポリアミドイド,ポリエーテルケトン(PEE
K)などが使用され、またベルト基体を構成する金属と
しては、例えば、ニッケル、アルミニウム、鉄などが使
用される。ベルト基体の熱容量を小さくするため、その
厚さは100μm以下であることが望ましい。
【0028】また定着ベルト15の表面には、記録材P
とトナーとが加圧接触するので、その記録材やトナーが
定着ベルト15の表面に付着しないように、当該定着ベ
ルト15の表面が離型性を有していることが好ましく、
また定着ベルト15が耐熱性と耐久性に優れていること
が望ましい。このため、定着ベルト15のベルト基体の
表面には、フッ素系樹脂や高離型性シリコーンゴムなど
の耐熱離型層が被覆されていることが好ましい。フッ素
系樹脂を吹き付けなどによりベルト基体の表面に塗装
し、これを加熱融着させることにより、表面離型層を形
成できる。また、高離型性シリコーンゴム層のゴム硬度
が25乃至65度(JIS A硬度計)、その厚さが1
00乃至300μmに設定されていることが望ましく、
これによってトナー像の定着性と熱応答性を高めること
ができる。
【0029】ベルト巻き掛けローラ17は、例えば、芯
金と、その外周面に設けられた断熱性弾性部材を備え、
その断熱性弾性部材は、軟質な耐熱性を有する材料、例
えば発泡シリコーンゴムなどにより構成され、その厚さ
はベルト巻き掛けローラ17の直径の15%乃至20%
程の大きな厚さとなっていることが好ましい。かかる断
熱性弾性部材を用いることにより、ベルト巻き掛けロー
ラ17と加圧ローラ16とを広い面積で圧接させること
ができ、その間を通過する記録材P上のトナーに対して
充分な量の熱を付与でき、その定着性を高めることがで
きる。
【0030】加圧ローラ16は、例えば、アルミニウ
ム、ステンレス鋼、或いは炭素鋼などから成る芯金の表
面に、フッ素系樹脂又は高離型シリコーンゴムなどから
成る耐熱性の離型層を積層したものから成る。その際、
加圧ローラ16の離型層を、ベルト巻き掛けローラ17
の表面よりも硬く構成し、定着ベルト15を介して加圧
ローラ16に圧接したベルト巻き掛けローラ17の断熱
弾性部材部分を大きく圧縮変形させることが好ましい。
これにより、記録材Pを、定着ベルト15と加圧ローラ
16の間から、図2に矢印Dで示すように下向きに排出
させ、記録材を定着ベルト15の表面から離れやすくす
ることができる。加圧ローラ16の離型層の厚さを、例
えば、加圧ローラ16の直径の7%未満とし、その硬度
をJISAで40度以上とすることが好ましい。
【0031】加熱ローラ18は、例えば、アルミニウ
ム、炭素鋼、ステンレス鋼などの金属製の薄肉円筒体に
より構成される。
【0032】前述のように、トナー像の定着時に、定着
ベルト15と加圧ローラ16がそれぞれの定着温度TR
1,TR2となるように制御される。その際、これらの
定着温度TR1,TR2は、トナー像の定着不良が発生
しない温度に設定されるべきであるが、そのほか、定着
装置2により定着されたトナー像の光沢度も考慮に入れ
て各定着温度を設定することが好ましい。特に図1に示
した画像形成装置のように、カラー画像を形成するとき
は、その画質を高めるために、光沢度が10%以上であ
ることが望ましく、かかる光沢度が得られるように定着
温度を設定することが有利である。
【0033】図3は、図2に示した定着装置2を用いて
定着されたトナー像の光沢特性の一例を示す実験例であ
る。この実験では、定着ベルト15の線速を200mm/
秒とした。図3における横軸は定着動作時の加圧ローラ
16の定着温度を示し、縦軸はトナー像の光沢度を示し
ている。実線E、破線F及び鎖線Gは、それぞれ定着動
作時の定着ベルト15の定着温度が160℃、150℃
及び140℃であったときの結果を示している。
【0034】図3から判るように、10%以上の光沢度
を得るには、定着ベルト15の定着温度が150℃であ
る場合、加圧ローラ16の定着温度は約120℃以上必
要であり、定着ベルト15の定着温度が160℃の場合
には、加圧ローラ16の定着温度は約105℃以上必要
である。一方、加圧ローラ16には、ベルト巻き掛けロ
ーラ17との圧接によって大きな圧力が加えられるの
で、その剛性と強度を高める必要がある。従って、加圧
ローラ16の肉厚を比較的大きくしなければならない
が、これによって加圧ローラ16の熱容量が加熱ローラ
18や定着ベルト15に比べて大きくなる。このため、
加圧ローラ16の定着温度を高く設定しすぎると、加圧
ローラ16をその定着温度にまで上昇させるのに長い時
間が必要となり、立上げ時間が長くなってしまう。ま
た、定着ベルト15と加圧ローラ16は互いに接触し、
熱が両者の間を伝わるので、定着ベルト15と加圧ロー
ラ16の温度差を25℃以上保つことは実際上困難であ
り、定着ベルト15と加圧ローラ16の定着温度の差が
20℃以下となるように、その各定着温度を設定するこ
とが望ましい。
【0035】そこで、本例の定着装置2においては、定
着ベルト15の定着温度を150℃、加圧ローラ16の
定着温度を130℃に設定した。このように、定着部材
と加圧部材の定着温度を、定着されたトナー像の光沢度
に基づいて設定することにより、光沢度不足のない高品
質な画像を得ることができる。
【0036】ここで、画像形成装置の電源オン時には、
定着ベルト15と加圧ローラ16が予め決められた目標
温度となるまでこれらを加熱して定着装置を立上げ、し
かる後、定着動作を実行する必要がある。この目標温度
は適宜設定できるが、本例の定着装置では、定着ベルト
15と加圧ローラ16の目標温度が上述の定着温度と等
しく設定されている。すなわち、定着ベルト15と加圧
ローラ16の各目標温度がそれぞれTR1=150℃と
TR2=130℃に設定されているのである。
【0037】画像形成装置の電源がオンされ、第1及び
第2ヒータ19,21への通電が開始されてから、定着
ベルト15がその目標温度TR1である150℃に到達
すると、その定着ベルト15の立上げを完了し、加圧ロ
ーラ16がその目標温度TR2である130℃に到達す
ると、加圧ローラ16の立上げを完了する。定着ベルト
15と加圧ローラ16が共に、そのそれぞれの目標温度
である150℃と130℃に到達するまでの時間が、定
着装置の立上げ時間である。後述する実施例の説明から
判るように、画像形成装置の電源投入時、加圧部材の一
例である加圧ローラ16と、定着部材の一例である定着
ベルト15は停止しているが、定着部材が予め決められ
た所定の温度となったことが第1サーミスタ20により
検知されたとき、定着部材と加圧部材が、定着動作時と
同じ方向にプレ回転し、定着装置の立上げを完了すると
共に、そのプレ回転を停止する。
【0038】本例の定着装置2は、その立上げ時間が従
来の定着装置よりも効果的に短縮されるように構成され
ており、以下に、図2に示した定着装置の立上げ時の具
体的な実施例と、その比較例を通して、従来の定着装置
の欠点と、本例の定着装置の構成を明らかにする。比較
例は、図2に示した定着装置を従来の方法で制御して定
着装置を立上げたものであり、実施例は、本例の方法で
制御して定着装置を立上げたものである。
【0039】この実施例と比較例では、定着ベルト15
として、その周長が55mmで、厚さが40μmのニッケ
ルの基体に、耐熱性離型層として150μmのシリコー
ンゴムを被覆したエンドレスのベルトを用いた。また、
加圧ローラ16としては、厚さ0.6mmの鉄製中空ロー
ラの表面に、離型層として厚さ0.3mmのシリコーンゴ
ムをコーティングした外径40mmのローラを用いた。さ
らに、加熱ローラ18としては、外径が30mmで、厚さ
が0.6mmのアルミニウム製の中空ローラを用いた。ま
たベルト巻き掛けローラ17としては、耐熱性の発泡シ
リコーンゴムで構成された断熱性弾性部材を芯金のまわ
りに積層した外径30mmのローラを用いた。後述するプ
レ回転時の定着ベルト15の線速は200mm/秒であっ
た。また本実施例と比較例では、立上げ時の第1及び第
2ヒータ19,21の許容電力を1200Wとした。
【0040】また、この実施例及び比較例のいずれにお
いても、画像形成装置の電源投入に伴って第1及び第2
ヒータ19,21への通電を開始した時、加圧ローラ1
6を駆動せず、加圧ローラ16、定着ベルト15、ベル
ト巻き掛けローラ17及び加熱ローラ18を停止させた
ままとし、定着ベルト15が所定の温度、この例では最
初にその目標温度である150℃となったことが第1サ
ーミスタ20により検知されたとき、加圧ローラ16を
図2における反時計方向に駆動し、定着ベルト15を矢
印B方向に回転させると共に、ベルト巻き掛けローラ1
7と加熱ローラ18を時計方向に回転させ、定着ベルト
15と加圧ローラ16の温度を均一化させた。これがプ
レ回転である。次いで定着ベルト15と加圧ローラ16
が共に、そのそれぞれの目標温度(TR1=150℃,
TR2=130℃)となったことが第1及び第2サーミ
スタ20,22により検知されたとき、定着装置2の立
上げを完了し、プレ回転を終了する。
【0041】図4は、ヒータの許容電界1200Wのう
ちの1100Wを第1のヒータ19に振り分け、残りの
100Wを第2のヒータ21に振り分けた従来の制御方
法により、定着装置を立上げたときの比較例の結果であ
る。図4のグラフの縦軸は定着ベルト15と加圧ローラ
16の表面温度を示し、横軸は時間を示してあり、この
グラフ中の実線は定着ベルト15の表面温度を、一点鎖
線は加圧ローラ16の表面温度をそれぞれ示している
(これは、図5乃至図7においても同じ)。また、図5
は、本例の制御方法によって定着装置を立上げたときの
実施例の結果であり、この場合には第2ヒータ21の電
力は300Wに高められ、第1ヒータ19の電力は90
0Wである。
【0042】図4及び図5に示すように、電源オン時か
ら第1及び第2のヒータ19,21への通電が開始され
て、定着ベルト15と加圧ローラ16の温度がそれぞれ
上昇し、定着ベルト15の温度が最初にその目標温度T
R1である150℃になったことが第1サーミスタ20
により検知された時(t0,T0)、前述のようにプレ
回転が開始される。定着ベルト15が最初にその目標温
度に達した時は、その定着ベルト15の立上げ完了を意
味しない。
【0043】プレ回転が開始されると、定着ベルト15
の熱が加圧ローラ16の側に大量に奪われるため、定着
ベルト15の温度は急激に低下する。この後も第1及び
第2ヒータ19,21への通電を続けることにより、図
4及び図5にt1,T1で示した時点で、定着ベルト1
5の温度が、その目標温度TR1である150℃に到達
し、定着ベルト15が立上げを完了する。この時、温度
制御回路により第1ヒータ19への通電がオフされ、そ
の後、定着ベルト15が150℃に維持されるように、
第1ヒータ19への通電のオン,オフ制御が開始され
る。
【0044】次いで、t2,T2の時点で、加圧ローラ
16の温度がその目標温度TR2である130℃に達し
たことが、第2サーミスタ22により検知されると、加
圧ローラ16の立上げを完了し、この時、温度制御回路
により、第2ヒータ21への通電がオフされ、引き続き
加圧ローラ16の温度が130℃に維持されるように、
第2ヒータ21へのオン,オフ制御が開始される。この
ようにして、t2,T2の時点で、定着ベルト15と加
圧ローラ16が共にそのそれぞれの目標温度TR1,T
R2に到達する。
【0045】図4及び図5に示した例では、電源投入時
からt2,T2の時点までの時間が、定着装置の立上げ
時間Tである。このようにして定着装置の立上げを完了
すると、プレ回転は停止する。次いで実際の画像形成装
置では、画像形成動作時に定着ベルト15と加圧ローラ
16の回転が再開され、これらの間に記録材Pが送り込
まれ、トナー像の定着が実行される。定着装置の立上が
り後であって、画像形成動作が開始されるまでの待機時
には、定着ベルト15と加圧ローラ16がその目標(定
着)温度となるように制御してもよいし、定着ベルト1
5と加圧ローラ16を、これよりも低い温度で待機さ
せ、画像形成動作の開始前に、定着ベルト15と加圧ロ
ーラ16をその各定着温度に昇温させるようにしてもよ
い。
【0046】図4及び図5に示した例では、加圧ローラ
16の温度がその目標温度TR2(=130℃)に到達
するよりも前に、t1,T1の時点で定着ベルト15の
温度がその目標温度TR1(=150℃)に達し、該定
着ベルト15の立上げを完了しているが、逆に加圧ロー
ラ16の方が先にその目標温度に達した場合には、その
時点で第2ヒータ21への通電がオフされ、その加圧ロ
ーラ16が130℃を維持するように第2ヒータ21の
オン,オフ制御が開始される。次いで定着ベルト15が
その目標温度に達して該定着ベルト15の立上げを完了
した時に、第1ヒータ19の通電がオフされ、定着ベル
ト15が150℃の温度を維持するように第1ヒータ1
9のオン,オフ制御が行われる。この場合には、定着ベ
ルト15がその目標温度に達して当該定着ベルト15が
立上げを完了した時点で定着装置の立上げが完了し、プ
レ回転が止められる。
【0047】ここで、図4に示した比較例の場合には、
定着ベルト15が目標温度TR1に到達するまでの時間
t1は約56秒、加圧ローラ16がその目標温度TR2
に到達するまでの時間t2は約72秒で、定着装置の立
上げ時間Tは約72秒である。
【0048】これに対し、図5に示した実施例では、定
着ベルト15が、その目標温度TR1である150℃に
到達するまでの時間T1は約60秒で、加圧ローラ16
がその目標温度TR2に達するまでの時間T2は約64
秒であり、定着装置の立上げ時間Tは約64秒である。
これは、比較例の定着装置の立上げ時間72秒よりも8
秒短縮されている。その理由は次のように考えられる。
【0049】定着ベルト15が目標温度TR1に到達し
てから、加圧ローラ16が目標温度TR2に到達するま
での時間をΔtとすると、この時間Δtの間は、第1ヒ
ータ19はオン,オフ制御されるので、第1ヒータ19
の点灯率が下がり、第1ヒータ19からの熱供給率は低
下する。従って、時間Δtが短かい程、第1ヒータ19
からの熱供給率が高くなり、定着装置の立上げ時間Tが
短かくなる。
【0050】定着ベルト15がその目標温度TR1(=
150℃)に達して立上げを終了する前に、加圧ローラ
16がその目標温度TR2(=130℃)に到達したと
きは、逆に第2ヒータ21の熱供給率が下がる。この場
合も、加圧ローラ16がその目標温度TR2に到達して
から、定着ベルト15が、その目標温度TR1に達して
その立上げを完了するまでの時間Δtが長くなる程、定
着装置の立上げ時間は長くなる。
【0051】従って、定着装置の立上げ時間Tを短縮す
るには、定着ベルト15と加圧ローラ16の昇温速度を
調整し、定着ベルト15の目標温度到達時間t1,T1
と加圧ローラ16の目標温度到達時間t2,T2との差
Δtの絶対値をできるだけ小さくし、第1、第2ヒータ
19,21からの熱供給率を上げるようにすればよい。
理想的には、定着ベルト15と加圧ローラ16が、同時
にそのそれぞれの目標温度TR1,TR2に到達して立
上げを完了すれば、電源投入時から定着装置の立上げ完
了時まで、第1及び第2ヒータ19,21のオフ時間が
なくなり、立上げ時の許容電力を最大限に活用でき、定
着装置の立上げ時間Tを最小にすることができる。
【0052】ここで、図4に示した比較例の場合、前述
のように第2ヒータ21の電力が100Wで、第1ヒー
タ19の電力が1100Wであり、第2ヒータ21の電
力が第1ヒータ19の電力に比べて極端に小さい。この
ため、定着ベルト15がその目標温度に達して立上げを
完了するまでの時間は短かいが、加圧ローラ16がその
目標温度TR2に到達するまでの時間t2が長くなり、
従ってΔtも大きくなって、定着装置の立上げ時間Tが
長くなっているのである。
【0053】これに対し、図5に示した実施例の場合に
は、第2ヒータ21の電力が300Wに高められ、第1
ヒータ19の電力が900Wとなっているので、図4の
場合に比べ、加圧ローラ16の昇温速度が高められ、加
圧ローラ16がその目標温度TR2に到達するまでの時
間T2が短かくなっている。引き換えに、第2ヒータ2
1の電力が上げられた分、第1ヒータ19の電力が下が
るので、定着ベルト15の昇温速度が下がり、定着ベル
ト15がその目標温度TR1(=150℃)に到達する
までの時間T1は長くなる。しかし、加圧ローラ16が
その目標温度TR2の130℃に到達する時間T2と、
定着ベルト15がその目標温度TR1の150℃に到達
する時間T1の差Δtが縮まるので、第1ヒータ19を
オン,オフ制御する時間Δtが図4の場合に比べて短か
くなり、図4の場合よりも第1ヒータ19の熱供給率が
高められる。従って、定着ベルト15が目標温度TR1
に到達する時間の遅れよりも、第1ヒータ19をオン,
オフ制御する時間の短縮の方が大きくなり、結局、図5
の場合の定着装置の立上げ時間Tが短かくなる。
【0054】図5の場合には、Δtは約4秒で、これ
は、定着装置の立上げ時間Tの約6%であるが、これが
10%以内となるように構成することにより、定着装置
の立上げ時間を従来よりも大幅に短縮することができ
る。定着装置の立上げ時に、定着部材がその目標温度に
到達してその定着部材の立上げを完了するまでの時間と
加圧部材がその目標温度に到達してその加圧部材の立上
げを完了するまでの時間との差の絶対値が、定着部材と
加圧部材が共にそのそれぞれの目標温度に達して定着装
置の立上げを完了するまでの時間の10%以内、好まし
くは5%以下、より好ましくは定着部材の目標温度到達
時間と加圧部材の目標温度到達時間が等しくなるよう
に、すなわちΔt=0となるように構成することによ
り、定着装置の立上げ時間を確実に短縮することができ
るのである。
【0055】上述した例では、第1及び第2ヒータ1
9,21、すなわち第1及び第2の熱源に対する電力配
分を設定することによって、定着部材の目標温度到達時
間と加圧部材の目標温度到達時間との差の絶対値が、定
着部材と加圧部材が共にそのそれぞれの目標温度に達す
るまでの時間の10%以内となるように構成したが、次
の例のように、立上げ時の定着部材の表面線速を設定す
ることによっても、上述したところと同じ構成を達成で
きる。
【0056】図6及び図7は、この構成を明らかにする
実施例と比較例を示しており、図6は従来の制御方式を
採用した比較例の結果を、また図7は本例の制御方式を
採用した実施例の結果を示している。これらの比較例と
実施例においても、定着装置の立上げ時の第1及び第2
ヒータ19,21の許容電力は1200Wとし、第1ヒ
ータ19の電力を700W、第2ヒータ21の電力を5
00Wとした。図6の場合には、プレ回転時の定着ベル
ト15の表面線速を200mm/秒とし、図7の場合に
は、プレ回転時の定着ベルト15の表面線速を80mm/
秒とした。他の条件は、図4及び図5を参照して先に説
明した条件と変りはない。
【0057】図6及び図7のいずれの場合も、画像形成
装置の電源投入からそれぞれtN,TNの時間が経過し
たところで、定着ベルト15の温度が、最初にその目標
温度TR1である150℃に達し、この時点からプレ回
転が開始された。そして、それぞれt3,T3の時点で
加圧ローラ16がその目標温度TR2である130℃に
達し、ここで第2ヒータ21はオフされ、次いでそのオ
ン,オフ制御が開始された。一方、電源投入後、それぞ
れt4,T4を経過した時点で定着ベルト15がその目
標温度TR1に達してその立上げを完了し、ここで第1
ヒータ19はオフされ、次いでそのオン,オフ制御が開
始され、同時に定着装置の立上げを完了した。この時点
でプレ回転が停止された。
【0058】図6の場合、t3=約55秒、t4=約6
3秒で、定着装置の達上げ時間Tは約63秒であった。
これに対し、図7の場合には、T3とT4がほぼ等し
く、両者の差はほぼ0となり、定着装置の立上げ時間T
は、図6の場合に比べ大きく短縮した。その理由は次の
ように考えられる。
【0059】定着装置の立上げ時の熱のやり取りは、主
に、加熱ローラ18と定着ベルト15の間、及び定着ベ
ルト15と加圧ローラ16の間で行われる。その際、定
着ベルト15の線速が速くなると、その定着ベルト15
が単位時間当りに加圧ローラ16に接触する面積が大き
くなるので、定着ベルト15から加圧ローラ16に伝え
られる熱量が増大し、逆に定着ベルト15の線速が遅く
なると、定着ベルト15から加圧ローラ16に伝えられ
る熱量は少なくなる。従って、プレ回転速度が200mm
/秒である図6の場合の方が、その速度が80mm/秒で
ある図7の場合に比べて、プレ回転開始直後の定着ベル
ト15の温度低下が大きくなる。このように、プレ回転
時の定着ベルト15の線速を変えると、定着ベルト15
の昇温速度が変り、定着ベルト15の線速を遅くすれば
する程、定着ベルト15の昇温速度は速くなるのであ
る。これに対し、定着ベルト15と、第2ヒータ21を
内蔵した加圧ローラ16の間の熱のやり取りは、定着ベ
ルト15の線速にあまり影響されず、定着ベルト15の
線速を変えても加圧ローラ16の昇温速度はほとんど変
らない。
【0060】ここで、図6の場合には、定着ベルト15
の線速が200mm/秒であり、図7の場合はその線速が
80mm/秒であるため、前者の方がプレ回転開始直後の
定着ベルト15の温度低下が著しくなっており、これに
よって定着ベルト15がその目標温度TR1に到達し、
その定着ベルトの立上げを終了するまでの時間t4が長
くなり、定着装置の立上げ時間T(=t4)が長くなっ
ている。
【0061】図7の場合には、プレ回転開始直後の定着
ベルト15の温度低下が少ないので、定着ベルト15の
昇温速度が速くなり、これによって定着ベルト15がそ
の目標温度TR1に到達してその立上げを完了するまで
の時間T4が短かくなり、結局、定着装置の立上がり時
間Tが短縮されている。
【0062】定着ベルト15の線速を下げれば下げる
程、その定着ベルト15の昇温速度が高められるが、こ
れによって、必ず定着装置の立上げ時間Tが短縮される
というものでもない。定着ベルト15の線速が遅くなり
すぎると、定着ベルト15が、過度に早期にその目標温
度TR1に到達してしまうことになり、それ以降、第1
ヒータ19はオン,オフ制御されるので、その第1ヒー
タ19からの熱供給率が低下し、定着ベルト15を介し
て加圧ローラ16へ伝えられる熱量が減少する。その結
果、定着装置の立上げ時間がかえって長くなってしまう
のである。
【0063】図8は、これを示す実験例であり、ここに
示した例では、定着ベルト15の線速が80mm/秒であ
るとき、定着装置の立上げ時間Tが最も短かい。プレ回
転時の定着ベルト15の線速が80mm/秒よりも速くな
ればなる程、定着ベルト15の昇温速度が遅くなり、こ
れによって、図6の例のように、定着ベルト15よりも
加圧ローラ16の方が先にその目標温度TR2に到達す
る。従って、第2ヒータ21がオン,オフ制御される時
間が長くなり、第2ヒータ21がオフされる時間が長く
なって第2ヒータ21からの熱供給率が低下し、これに
よって定着装置り立上げ時間が長くなる。
【0064】逆に、プレ回転時の定着ベルト15の線速
が80mm/秒よりも遅くなればなる程、定着ベルト15
の昇温速度が上昇し、定着ベルト15がその目標温度T
R1に達しその立上げを完了するまでの時間が短かくな
り、加圧ローラ16よりも定着ベルト15の方が早くそ
の目標温度となる。このため、第1ヒータ19がオン,
オフ制御される時間が長くなり、第1ヒータ19がオフ
される時間が長くなって、定着装置の立上げ時間が長く
なってしまうのである。
【0065】図8の例では、定着ベルト15の線速が8
0mm/秒であるとき、定着ベルト15がその目標温度T
R1に達してその立上げを完了するまでの時間と、加圧
ローラ16がその目標温度TR2に達するまでの時間が
一致し、定着装置の立上がり終了までに、第1及び第2
ヒータ19,21がオフされる時間がなくなり、その点
灯率が100%となり、定着装置の立上げ時間が約53
秒と、最も短かくなっている。
【0066】上述のように、定着装置の立上げ時に、定
着部材がその目標温度に到達して該定着部材がその立上
げを完了するまでの時間と加圧部材がその目標温度に到
達してその加圧部材の立上げを完了するまでの時間との
差の絶対値が、定着部材と加圧部材が共にそのそれぞれ
の目標温度に達して定着装置の立上げを完了するまでの
時間の10%以内となるように、立上げ時の定着部材の
表面線速を設定することができる。特に、立上げ時に、
定着部材と加圧部材が同時又はほぼ同時に立上げをそれ
ぞれ完了するように、定着部材の線速を設定することに
より、定着装置の立上げ時間を大幅に短縮することがで
きる。
【0067】上述した構成は、加圧ローラ16を加熱す
る熱源を有していない定着装置にも適用することができ
る。前述のように定着ベルト15の線速を下げれば、定
着ベルト15の昇温速度は上昇するが、その際、加圧ロ
ーラ16を加熱する第2ヒータが設けられていないと、
これが設けられている場合に比べて、定着ベルト15か
ら加圧ローラ16に伝わる熱量が増大するので、その熱
量と定着ベルト15の線速のバランスをとることによ
り、定着ベルト15と加圧ローラ16が、そのそれぞれ
の目標温度に達して立上げを完了するまでの時間を短縮
し、好ましくはその時間を同一の時間とすることによ
り、定着装置の立上げ時間を効果的に短縮することがで
きる。
【0068】また、図2に示した例では、定着ベルト1
5の温度を第1サーミスタ20によって直に検知してい
るが、第1サーミスタ20を加熱ローラ18の表面に当
接させてその加熱ローラ18の温度を検知するように構
成し、加熱ローラ18の目標温度を設定して、加熱ロー
ラ18の温度によって立上げを判断することもできる。
この場合には、定着ベルト15の目標温度が間接的に設
定されることになり、定着装置の立上げ時に、加熱ロー
ラの温度を検知することによって、間接的に、定着ベル
ト15の目標温度到達時間と加圧ローラ16の目標温度
到達時間の差を知ることができ、その差の絶対値が、定
着装置の立上げ時間の10%以内となるように構成す
る。
【0069】また、図2及びこれに関連して説明した上
述の例では、定着部材が、複数のローラに巻き掛けられ
た定着ベルト15より成り、加圧部材が定着ベルト15
に圧接する加圧ローラ16より成るが、かかる定着装置
においては、その定着ベルト15の熱容量を小さくする
ことができるので、定着装置の立上げ時に比較的短かい
時間でその定着ベルト15を目標温度まで上昇させるこ
とができる。従ってかかる定着ベルトを有する定着装置
に本発明に係る構成を採用することにより、より効果的
に立上げ時間の短縮を図ることができるが、本発明は、
定着部材が定着ベルトより成る定着装置以外の定着装置
にも広く適用できる。例えば、定着部材を定着ローラと
して構成し、その定着ローラを加熱する加熱手段を設
け、当該定着ローラに加圧ローラより成る加圧部材を圧
接させ、必要に応じて、その加圧部材を加熱する加熱手
段を設け、定着ローラと加圧ローラを回転させながら、
その間に記録材を通過させて記録材上のトナー像を熱と
圧力の作用で定着する定着装置にも本発明を支障なく適
用することができる。その際、それ自体周知のように、
定着ローラの表面を非粘着性の弾性体で構成したり、芯
金表面を弾性体で被覆した加圧ローラなどを用いること
ができる。
【0070】また、いずれの形式の定着装置の場合も、
定着部材と加圧部材を常時圧接させておくように構成し
てもよいが、これらの間に記録材が通過していないと
き、加圧部材と定着部材を互いに離間させるように構成
することもでき、かかる定着装置にも本発明を支障なく
適用することができる。
【0071】さらに、以上説明した定着装置を有する画
像形成装置も、図2に示した形式以外の画像形成装置で
あってもよく、例えば記録材上に単色の画像を形成する
画像形成装置にも本発明を適用できる。
【0072】
【発明の効果】請求項1乃至3に係る発明によれば、定
着装置の立上げ時間を簡単な構成によって短縮すること
ができる。
【0073】請求項4に係る発明によれば、より効果的
に立上げ時間を短縮することができる。
【0074】請求項5に係る発明によれば、定着装置の
構成を簡素化できる利点も得られる。
【0075】請求項6に係る発明によれば、上述の各効
果を奏する画像形成装置を供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】定着装置の拡大断面図である。
【図3】定着後のトナー像の光沢度と、加圧ローラ及び
定着ベルトの温度との関係の一例を示す図である。
【図4】定着装置立上げ時の定着ベルトと加圧ローラの
温度変化の従来例を示す図である。
【図5】定着装置立上げ時の定着ベルトと加圧ローラの
温度変化の一例を示す図である。
【図6】定着装置立上げ時の定着ベルトと加圧ローラの
温度変化の他の従来例を示す図である。
【図7】定着装置立上げ時の定着ベルトと加圧ローラの
温度変化の他の例を示す図である。
【図8】定着ベルトの線速と立上げ時間の関係の一例を
示す図である。
【符号の説明】
15 定着ベルト 16 加圧ローラ 17 ローラ 18 ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H027 DA12 EA12 EA16 EC20 ED25 EE03 EE07 EF04 EF06 2H033 AA30 BA11 BA12 BA30 BB37 CA03 CA07 CA28 CA30 CA40 CA48 3K058 AA02 BA18 CA23 CA61 DA04 GA06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱される定着部材と、記録材を前記定
    着部材に押し付けるための加圧部材とを具備し、前記定
    着部材と加圧部材との間に、トナー像を担持した記録材
    を通過させて該トナー像を定着する定着装置において、 定着装置の立上げ時に、定着部材がその目標温度に到達
    して該定着部材の立上げを完了するまでの時間と加圧部
    材がその目標温度に到達して該加圧部材の立上げを完了
    するまでの時間との差の絶対値が、定着部材と加圧部材
    が共にそのそれぞれの目標温度に達して定着装置の立上
    げを完了するまでの時間の10%以内となるように構成
    したことを特徴とする定着装置。
  2. 【請求項2】 定着部材と、該定着部材を加熱する第1
    の熱源と、記録材を前記定着部材に押し付けるための加
    圧部材と、該加圧部材を加熱する第2の熱源とを具備
    し、定着部材と加圧部材との間に、トナー像を担持した
    記録材を通過させて該トナー像を定着する定着装置にお
    いて、 定着装置の立上げ時に、定着部材がその目標温度に到達
    して該定着部材の立上げを完了するまでの時間と加圧部
    材がその目標温度に到達して該加圧部材の立上げを完了
    するまでの時間との差の絶対値が、定着部材と加圧部材
    が共にそのそれぞれの目標温度に達して定着装置の立上
    げを完了するまでの時間の10%以内となるように、前
    記第1及び第2の熱源に対する電力配分を設定したこと
    を特徴とする定着装置。
  3. 【請求項3】 加熱される定着部材と、記録材を前記定
    着部材に押し付けるための加圧部材とを具備し、前記定
    着部材と加圧部材との間に、トナー像を担持した記録材
    を通過させて該トナー像を定着する定着装置において、 定着装置の立上げ時に、定着部材がその目標温度に到達
    して該定着部材の立上げを完了するまでの時間と加圧部
    材がその目標温度に到達して該加圧部材の立上げを完了
    するまでの時間との差の絶対値が、定着部材と加圧部材
    が共にそのそれぞれの目標温度に達して定着装置の立上
    げを完了するまでの時間の10%以内となるように、立
    上げ時の定着部材の表面線速を設定したことを特徴とす
    る定着装置。
  4. 【請求項4】 前記定着部材が、複数のローラに巻き掛
    けられた定着ベルトより成り、前記加圧部材が前記定着
    ベルトに圧接する加圧ローラより成る請求項1乃至3の
    いずれかに記載の定着装置。
  5. 【請求項5】 前記定着部材が、定着ローラより成り、
    前記加圧部材が前記定着ローラに圧接する加圧ローラよ
    り成る請求項1乃至3のいずれかに記載の定着装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の定着
    装置を具備することを特徴とする画像形成装置。
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