JP2002169164A - 液晶配向膜および液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向膜および液晶表示素子

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JP2002169164A
JP2002169164A JP2000369048A JP2000369048A JP2002169164A JP 2002169164 A JP2002169164 A JP 2002169164A JP 2000369048 A JP2000369048 A JP 2000369048A JP 2000369048 A JP2000369048 A JP 2000369048A JP 2002169164 A JP2002169164 A JP 2002169164A
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Etsuko Sugawa
悦子 須川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラビング法を用いなくても液晶を配向させる
ことができ、ラビングで問題となっていた素子の汚染問
題や、静電気による素子破壊を軽減することができる液
晶配向膜を提供する。 【解決手段】 少なくとも一方に電極が形成された一対
の基板間に液晶を挟持してなる液晶表示素子に用いられ
る液晶配向膜であって、有機圧電膜からなる液晶配向
膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶配向膜、液晶
配向能の付与方法、及び液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶表示素子は、液晶と接する面
にポリイミド等の液晶配向膜が形成された一対の透明電
極基板が、一定の距離を隔てて対向配置され、その電極
基板間に液晶が封入された構成となっている。液晶表示
素子には多数の画素があり、透明電極によって液晶層に
電圧が印加されることによって各画素部の液晶分子の配
向方向が変化することを利用して画像等が表示されてい
る。
【0003】近年では、各画素部の電極基板上に薄膜ト
ランジスタ(TFT)等のスイッチング素子が組み込ま
れたものがあり、これらはアクティブマトリックス型液
晶表示素子として知られている。アクティブマトリック
ス型液晶表示素子では、一般に、電極間に電圧が印加さ
れていない時には液晶分子の配列方向が一方の電極基板
から他方の電極基板に向かってほぼ90°ねじれたツイ
ステッドネマチック(TN)型液晶表示方式が採用され
ている。TN型液晶表示方式の液晶表示素子では、電極
間に電圧を印加することで、液晶分子を傾けて階調表示
を可能にしている。ところが、この液晶分子の傾きには
方向性があるため、液晶表示素子を見る方向によって表
示色やコントラスト比が変化するなど視角依存性が問題
となっている。
【0004】この視角依存性を改善し広視野角化するた
めの方法には、一画素を構成する表示電極を分割して電
極毎に印加する電圧を変える画素分割法(特開平2−1
2号公報)、画素内を分割し領域毎にプレチルト角(特
開昭62−159119号公報)あるいは液晶分子の配
向方向(特開昭63−106624号公報)を変える配
向分割法などが知られている。
【0005】液晶表示素子において、電極基板上の液晶
と接する面に形成された液晶配向膜は、液晶分子を膜表
面で一定方向に配向させる役割を果たす。この目的のた
めには、ラビング法と呼ばれる処理が広く行われてい
る。ラビング法は、基板上に形成されたポリイミド等の
高分子膜をベルベット状に多数の繊維で覆われた布で擦
ることによって、液晶配向能を持たせる方法で、簡便・
安価なプロセスである。
【0006】ラビング法以外の液晶配向制御方法として
は、SiO等の斜め蒸着膜を用いる斜方蒸着法(特開昭
56−66826号公報など)、フォトリソグラフィ等
の方法で配向膜表面にグレーティング状の凹凸を形成す
るフォトリソ法(特開昭60−60624号公報な
ど)、基板上への累積の際に引上げ方向に高分子鎖を配
向させるLB膜法(特開明62−195622号公報な
ど)、イオン等を斜め照射するイオン照射法(特開平3
−83017号公報他)、液体を斜めから高速に噴射す
る高速液体ジェット法(特開昭63−96631号公
報)、氷片を斜めから噴射するアイスブラスチング法
(特開昭63−96630号公報)、高分子表面にエキ
シマレーザーなどを照射して周期的な縞模様を形成する
エキシマレーザー法(特開平2−196219号公報
他)、熱可塑性材料上を電子線で走査して微細な凹凸を
形成する電子線走査法(特開平4−97130号公報
他)、塗布した配向膜溶液に遠心力を作用させ高分子鎖
を配向させる遠心法(特開昭63−213819号公
報)、すでに配向処理された基材を圧着することで配向
能を転写するスタンプ法(特開平6−43457号公報
他)、Y.Tokoらによるカイラル剤を添加すること
でツイストさせるランダム配向法(“J.Appl.P
hys.”,74(3),p.2071(199
3))、M.Schadtらによるポリケイ皮酸ビニル
の2+2付加環化反応を利用する光2量化法(“Jp
n.J.Appl.Phys.”,31 Part1,
No.7,p2155(1992))、長谷川らによる
ポリイミド膜を偏光紫外光で光分解する光分解法(液晶
討論会予稿集、p232(記事番号2G604)(19
94))などが提案されているが、工業的には利用され
ていない。
【0007】一方、ジアゾジアミン色素をポリイミド液
晶配向膜にドープしておきラビング法によって一定方向
に液晶を配向させたセルを作製し、これに偏光レーザー
光を照射することで配向膜表面の液晶の配向方向を照射
した偏光の電場方向と垂直方向に変化させることができ
ることが、W.M.Gibbonsらによって報告され
ている(“Nature”,351、P49(199
1))。また、市村によって液晶表示素子基板の表面を
フォトクロミック分子で化学修飾すると、光照射のみに
よって液晶分子の垂直配向・平行配向間をスイッチング
できること、さらに、偏光照射によって平行配向の方向
を変化させることができることが報告されている(“応
用物理”、62(10)、p998(1993)な
ど)。これらの研究は、現在実用化されている電界駆動
型液晶表示素子等の液晶表示素子とは異なる次世代の先
駆動型液晶表示素子の先駆的研究である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】液晶分子を膜表面で一
定方向に配向させるためにラビング法を用いた場合に
は、ラビング時にラビング布から繊維が脱落すること、
ラビング時に静電気が発生するため、ごみが付着しやす
くなること、繊維やごみを基板に擦り付けるため傷をつ
けること、繊維やごみが付着したままパネルが組まれる
とセルギャップが不良になること、これを避けるため、
ラビング後基板を洗浄する工程が必要となること、配向
膜の材料によっては、洗浄することで配向性能が劣化す
るなどの問題がある。また、アクティブマトリックス型
液晶表示素子では、静電気が原因でスイッチング素子が
破壊されることがある。さらに、凹凸がある基板や大面
積の基板では、均一にラビングすることが困難である。
【0009】ラビング法以外の液晶配向制御方法の中
で、斜方蒸着法、イオン照射法、及び電子線走査法は真
空装置を必要とし、特に大面積基板の処理には実用的で
ない。遠心法は大面積基板に対して一方向に配向処理す
るためには大規模な装置が必要となり実用的でない。高
速液体ジェット法及びアイスブラスチング法は、大面積
基板の処理において均一な配向を得るのが困難である。
スタンプ法では、型に利用される基板の繰返し利用可能
な回数が少なく量産化に向かない。ランダム配向法は微
細なドメインを形成するため広視野角になるもののドメ
イン境界からの光漏れなどが原因でコントラストが低く
なる問題がある。
【0010】光分解法は、配向膜材料であるポリイミド
等の分子量が低下するため膜の強度が低下したり耐液晶
性が低下するおそれがある。フォトリソ法は、工程が煩
雑であり実用的でない。LB膜法は、累積に時間を要し
量産には不向きである。エキシマレーザー法は高価な装
置を必要とする上、従来の液晶配向膜に使われているよ
うな薄膜には適用できない上、大面積の基板を処理する
ためには走査するなどの方法が必要となり時間がかか
る。また、光二量化法および電子線走査法やフォトリソ
法、エキシマレーザー法などグレーティング状の凹凸を
形成する方法では、プレチルト角を生じさせることが困
難である。
【0011】さらに、広視野角液晶表示素子を製造する
ためには、ランダム配向法以外の方では画素分割あるい
は配向分割が必要とされるが、画素分割法では、視角依
存性の改善効果が不十分である。また、配向分割法に関
しては、ラビング法以外の液晶配向制御方法では、困難
であるかまたは工程が煩雑になる。
【0012】一方、W.M.Gibbonsらのジアゾ
ジアミン色素をポリイミド液晶配向膜にドープする色素
ドープ法を電界駆動型液晶表示素子の液晶配向膜として
利用しようとすると、長い期間に色素が液晶層に拡散し
てきて液晶配向能を失ったり液晶表示素子としての表示
特性を損なう恐れがある。それゆえ、このように光駆動
型液晶表示素子のための液晶配向膜を電界駆動型液晶表
示素子の液晶配向膜として利用しようとすると配向能力
の安定性が不足する。
【0013】本発明は、この様な従来技術の問題点を解
決するためになされたものであり、液晶配向膜に有機圧
電膜を用いることにより、ラビング法を用いなくても液
晶を配向させることができ、ラビングで問題となってい
た素子の汚染問題や、静電気による素子破壊を軽減する
ことができる液晶配向膜を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の有機圧電膜を用いた液晶配向膜
を使用することにより、安定化した液晶表示素子を提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、少
なくとも一方に電極が形成された一対の基板間に液晶を
挟持してなる液晶表示素子に用いられる液晶配向膜であ
って、有機圧電膜からなることを特徴とする液晶配向膜
である。
【0015】前記有機圧電膜が高分子膜からなるのが好
ましい。前記有機圧電膜が、該膜面内で分子配向を保持
した膜であり、該膜に面内ずり応力を与えることで圧電
性を発現させるのが好ましい。前記有機圧電膜が溝構造
を有するのが好ましい。前記有機圧電膜が、該膜面内で
分子配向を保持し、かつ溝構造を膜表面に形成した膜で
あり、該膜に面内ずり応力を与えることで圧電性を発現
させるのが好ましい。
【0016】前記有機圧電膜が光学活性天然高分子関連
物質からなるのが好ましい。前記有機圧電膜がポリヒド
ロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、ヒドロ
キシブチレート−ヒドロキシバリレート共重合体または
ポリ乳酸からなるのが好ましい。
【0017】また、本発明は、片面の一部分もしくは全
面に上記の液晶配向膜を形成させた基板と、該液晶配向
膜と同一であっても異なってもよい液晶配向膜を形成さ
せた基板とが対向配置され、該基板間に液晶が挟持され
ていることを特徴とする液晶表示素子である。前記一対
の基板の少なくとも一方に電極が形成されているのが好
ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液晶配向膜は、少なくとも一方に電極が形成さ
れた一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶表示素子に
用いられる液晶配向膜であって、有機圧電膜からなるこ
とを特徴とする。
【0019】本発明の上記の目的は、有機圧電膜を液晶
配向膜に用いることで達成される。現在知られている高
分子圧電材料としては、ポリ−γ−ベンジル−L−グル
タメート等のポリペプチド型のもの、ポリヒドロキシブ
チレート等のポリエステル型のもの、ポリ塩化ビニル等
のエレクトレット型のもの、ポリ弗化ビニリデン、弗化
ビニリデン−三弗化エチレン共重合体、ビニリデンシア
ナイド酢酸ビニル共重合体等の強誘電体型のものなど種
々ある。
【0020】合成極性高分子の強誘電体型の圧電材料で
あるポリ弗化ビニリデン、弗化ビニリデン−三弗化エチ
レン共重合体、ビニリデンシアナイド−酢酸ビニル共重
合体は、配向の制御方法は延伸及び電場配向であり、保
持機構は自発分極及び凍結分極であり、配向の状態は一
軸極性配向である。これらの材料は圧電性を得るために
は延伸処理とポーリング処理を必要とする。また、エレ
クトレット型のポリ塩化ビニル等のフィルムもポーリン
グ処理により極性基を配向させて圧電性を付与したもの
である。これに対し、ポリペプチド型のポリ−γ−ベン
ジル−L−グルタメート、DNA、ポリヒドロキシブチ
レート、ポリエステル型のポリ(3−ヒドロキシブチレ
ート)[P(3HB)]やポリ(3−ヒドロキシバリレ
ート)[P(3HV)]等の天然高分子関連物質の人工
配向フィルムは、配向の制御方法は力学的延伸であり、
保持機構は結晶構造であり、配向の状態は一軸延伸で無
極性である。これらのフィルムはポーリング処理を行な
わなくてもXY方向のずりをフィルムに与えると、Z方
向に分極する圧電性をもっている。
【0021】現在、液晶配向膜として一般に使われてい
るポリイミド・ラビング膜における液晶の配向機構につ
いてはいまだ定説が無いが、次のようなことが要因と考
えられている。 (1)配向膜表面の数分子層で変化するポリマー分子鎖
の再配列。(配向) (2)表面構造(例えば、溝構造)。 (3)配向膜ポリマーのコンホメーション。 (4)配向膜ポリマーの構成分子と液晶分子との相互作
用。
【0022】本発明に用いる有機圧電膜は、高分子圧電
膜で高分子が一軸配向し、かつ異方性をもち、更に応力
により発生する電荷が液晶分子と効果的に作用するた
め、液晶の配向及びプレチルト角を与えるものと考えら
れる。
【0023】本発明に用いる有機圧電膜は、面内ずり応
力(XY面)によりZ方向に分極するものであればよ
く、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)[P(3H
B)]等のポリエステル型、ポリ−γ−ベンジル−L−
グルタメート等のポリペプチド型、ポリ塩化ビニル等の
エレクトレット型、ポリ弗化ビニリデン等の強誘電体型
のものなどが考えられるが、圧電性付与にポーリングの
必要のないポリエステル型、ポリペプチド型のものがデ
バイス作成上好適に用いられる。特に、微生物由来のポ
リ(3−ヒドロキシアルカノエート)[P(3HA)]
は全てD体の完全アイソタクト高分子であり、これから
成る圧電膜は液晶分子との相互作用が強く、液晶配向膜
として好適に用いられる。
【0024】即ち、本発明は、主鎖構造にポリエステル
系樹脂、あるいはポリペプチド系樹脂をもつ有機圧電膜
からなる液晶配向膜を提供するものである。本発明にお
ける有機圧電膜に用いられる高分子としては、好ましく
はポリ(3−ヒドロキシブチレート)等のポリヒドロキ
シブチレート、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポ
リ(3−ヒドロキシバリレート)等のポリヒドロキシバ
リレート、ヒドロキシブチレート−ヒドロキシバリレー
ト共重合体またはポリ乳酸等が挙げられる。
【0025】次に、本発明の液晶配向膜の作成方法は、
上記圧電膜材料をクロロホルム等に溶解し、キャスト
法、射出成形法、スピンコート法等により製膜すること
ができる。射出成形法、スピンコート法ではそのままで
膜面内に高分子が配向するため延伸の必要性はない。キ
ャスト法により作成した膜についてはガラス転移温度に
まで膜を加熱しながら一軸延伸する。
【0026】液晶を配向させる効果を発揮させるものと
して、配向膜表面の溝構造が知られているが、本発明の
液晶配向膜では、成膜時に膜内部に細かな気泡を発生さ
せ、これを射出成形、スピンコート、キャスト後に一軸
延伸すること等で膜表面に溝構造を形成する事が出来
る。
【0027】膜内部に気泡を発生させる方法としては種
々あるが、簡便な手法としては高分子を溶媒に溶解させ
た後、成膜直前に超音波をかけるか、超音波をかけなが
ら減圧する等の手法が好適に行なわれる。
【0028】次に、液晶表示素子及びその製造方法につ
いて説明する。本発明は、片面の一部分もしくは全面に
上記の本発明の液晶配向膜を形成させた基板と、これと
同一であっても異なってもよい液晶配向膜を形成させた
基板とを対向配置させ、その基板間には液晶が挟持され
ている液晶表示素子も提供する。前記液晶表示素子は、
片面の一部分もしくは全面に本発明の液晶配向膜を形成
させた基板と、これと同一であっても異なってもよい液
晶配向膜を形成させた基板とを対向配置させ、その基板
間に液晶を封入して製造することができる。
【0029】基板の片面の一部もしくは全面に本発明の
液晶配向膜を形成させるには、スピンコート法であれば
基板に直接行なえるが、射出成形法については成膜した
ものをそのまま、キャスティング法については一軸延伸
した後基板上にエポキシ系等の接着剤で接着する。この
時、XY面内方向に、膜を引っ張りながら基板上に接着
することで膜内の圧電性を発現させることが出来る。
【0030】前記一対の基板のうちの少なくとも一方に
は電極が形成される。電極はITO(Indium T
in Oxide)等の透明電極、金属電極等を用いる
ことができる。一対の基板のうちの少なくとも一方は透
明基板が使用され、透明基板には、ガラス基板、プラス
チック基板、フィルム状基板等を用いることができる。
また、透明基板等には、特定のスペクトルを透過する基
板を用いることができる。すなわち、無色透明である必
要はない。また、透明基板等は、特定の偏光を透過する
基板を用いることができる。また透明基板等は、特定の
光学特性を有する基板を用いることができる。本発明の
液晶配向膜は、一対の基板の少なくとも一方に形成させ
るようにすることができる。
【0031】本発明に用いられる液晶表示素子の動作モ
ードは、TNであってもSTNであってもIPS(In
−Plane Switching)であってもよい。
また、使用する液晶は、ネマチック液晶以外にも強誘電
液晶、反強誘電液晶等を用いることもできる。すなわ
ち、液晶相としては、ネマチックであっても、コレスチ
ック、スメクチック又はディスコチックであってもよ
い。液晶配向膜によって液晶分子の配列を制御してお
り、電極を用いて液晶分子の配列状態を変化させる液晶
表示素子であれば、本発明の液晶配向膜を利用すること
ができる。即ち、本発明は、少なくとも一方に電極が形
成され液晶配向膜が形成された1対の基板の間に上記液
晶を注入し挟持する液晶表示素子及び製造方法をも提示
するものである。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。なお、化合物の略号は以下の通りである。 PHB:ポリヒドロキシブチレート PHV:ポリヒドロキシバレレート P(HB−co−HV):ヒドロキシブチレート−ヒド
ロキシバレレート共重合体 PLLA:ポリ乳酸
【0033】実施例1 (表1に示す、微生物生産PHB、一軸配向、溝構造無
し、応力有り、の実施例)PHBペレット(バイオポー
ル、日本モンサント株式会社)をクロロホルムに溶解し
1重量%溶液を作成した。これをガラス基板にキャスト
し、ゆっくりと乾燥させた。乾燥後160℃の恒温槽内
で延伸し約4倍長とし、フィルム厚8μmを得た。フィ
ルム延伸方向に対し45°方向に引っ張った状態で保持
し、ガラス基板に接着したものを2枚用意した。接着は
エポキシ系の接着剤を用い接着した。
【0034】図1に示す様に、配向膜2のPHBを接着
したガラス基板1をPHBが内側となり、かつ、PHB
フィルムの延伸軸が平行となるように対向させ、この2
枚のPHBフィルムの間に、ギャップが10μmとなる
ようにスペーサーとしてラテックス粒子4(10μm)
を添加した液晶3(ZLI−4792、メルク社製)を
室温で封入し、液晶セルを形成した。そのセル構造を図
1に示す。この液晶セルを偏光板を通して観察し、配向
性を評価をした。液晶配向性の評価結果は、配向の良い
物から不良の物までを良好な順に◎、○、△、×で評価
した。その結果を表1に示す。
【0035】実施例2 (表1に示す、合成PHB、一軸配向、溝構造有り、応
力有り、の実施例)実施例1と同様の1重量%PHB溶
液を用意した。この溶液に減圧下で超音波をかけて微細
な泡を形成させた後、ガラス基板にキャストし乾燥させ
PHBフィルムを得た。このフィルムを160℃の恒温
槽内で延伸し約4倍長としたところ溝構造が形成され
た。このフィルムを用いて実施例1と同様に応力をかけ
た状態でガラス基板に接着し、試験用セルを作成し配向
性の評価をした。その溝構造6をもつ試験用セルの構造
を図2に示す。尚、この時作成したフィルムの膜厚は1
8μmであった。その結果を表1に示す。
【0036】比較例1 (表1に示す、合成PHB、一軸配向、溝構造無し、応
力なし、の比較例)実施例1と同様のPHBフィルムを
作成し延伸した後、フィルムに応力を掛けずガラス基板
に接着し、PHBフィルムの延伸軸をそろえ対向させ、
実施例1と同様にスペーサーを添加した液晶ZLI−4
792を挟み試験用セルとした。以降は実施例1と同様
に配向性の評価をした。尚<この時作成したフィルムの
膜厚は12μmであった。その結果を表1に示す。
【0037】比較例2 (表1に示す、合成PHB、無配向、溝構造無し、応力
なし、の比較例)実施例1と同様のPHBフィルムを作
成し、延伸はせずに、応力もかけずにガラス基板に接着
し、2枚のPHBフィルムの間にスペーサーを添加した
液晶ZLI−4792を挟み試験用セルとした。以降は
実施例1と同様に配向性の評価をした。尚、この時作成
したフィルムの膜厚は40μmであった。その結果を表
1に示す。
【0038】実施例3 (表1に示す、微生物生産P(HB−co−HV)、一
軸配向、溝構造無し、応力有り、の実施例)P(HB−
co−HV)はバイオポール(日本モンサント株式会
社、PHV12重量%)を用いた。実施例1と同様にフ
ィルムを作成したところ、膜厚10μmのフィルムを得
た。実施例1と同様に応力をかけた状態でガラス基板に
接着し、試験用セルを作成し配向性評価を行なった。そ
の結果を表1に示す。
【0039】実施例4 (表1に示す、微生物生産P(HB−co−HV)、一
軸配向、溝構造有り、応力有り、の実施例)実施例3と
同様の1重量%P(HB−co−HV)溶液を用意し
た。この溶液に減圧下で超音波をかけて微細な泡を形成
させた後、ガラス基板にキャストし乾燥させ、その後実
施例3と同様に延伸し溝構造を有する一軸延伸フィルム
を得た。実施例1と同様に膜にずり応力をかけ試験用セ
ルを作成し、スペーサーを添加した液晶ZLI−479
2を注入し配向性の評価をした。尚、この時作成したフ
ィルムの膜厚は15μmであった。その結果を表1に示
す。
【0040】比較例3 (表1に示す、微生物生産P(HB−co−HV)、一
軸配向、溝構造無し、応力なし、の比較例)実施例3と
同様のP(HB−co−HV)フィルムを作成し、延伸
した後、応力をかけずにガラス基板に接着したものを2
枚用意した。P(HB−co−HV)フィルムの延伸軸
をそろえ対向させ、この間にスペーサー用ラテックス
(10μm)を添加した液晶ZLI−4792を挟み試
験用セルとした。以降は実施例1と同様に配向性の評価
をした。尚、この時作成したフィルムの膜厚は25μm
であった。その結果を表1に示す。
【0041】比較例4 (表1に示す、微生物生産P(HB−co−HV)、無
配向、溝構造無し、応力なし、の比較例)実施例4と同
様のP(HB−co−HV)フイルムを作成し、延伸は
せずに応力もかけずにガラス基板に挟み接着した。以降
は実施例1と同様に試験用セルを作成し、配向性の評価
をした。尚、この時作成したフィルムの膜厚は35μm
であった。その結果を表1に示す。
【0042】実施例5 (表1に示す、PLLA、一軸配向、溝構造無し、応力
有り、の実施例)無延伸のPLLAフィルム(エコロー
ジュ、三菱油脂、膜厚200μm)を加熱(恒温槽12
0℃,24時間)延伸し、一軸配向させたところ膜厚4
0μmのフィルムを得た。応力をかけた状態でガラス基
板に接着し、実施例1と同様に実験用セルを作成し配向
性評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0043】比較例5 (表1に示す、PLLA一軸配向、溝構造無し、応力な
し、の比較例)実施例5と同様のPLLA一軸延伸フィ
ルムを2枚作成した後、2枚のフィルムの延伸軸をそろ
え、応力をかけずにガラス基板に接着した。以降は実施
例1と同様にスペーサー入の液晶を注入し、配向性の評
価をした。尚、この時作成したフィルムの膜厚は40μ
mであった。その結果を表1に示す。
【0044】比較例6 (表1に示す、微生物生産PLLA、無配向、溝構造無
し、応力なし、の比較例)実施例5と同様のPLLAフ
ィルムをそのままガラス基板に接着した後、実施例1と
同様にスペーサー入の液晶を注入し、配向性の評価をし
た。尚、この時作成したフィルムの膜厚は200μmで
あった。その結果を表1に示す。
【0045】実施例6 (PHB一軸配向、溝構造有り、応力有り、電極付ガラ
ス基板の実施例)実施例2と同様に作成した一軸延伸、
溝構造のあるPHB配向膜を、上下からITO電極付き
のガラス基板に接着したものを2枚用意し、スペーサー
用ラテックス粒子を添加した液晶を注入した。この構造
を図3に示す。偏光板を通しセルを観察しながら上下電
極間に10Vの電圧を印加したところ、液晶セルの光透
過率が変化し電圧印加による液晶動作が確認された。
【0046】
【表1】
【0047】(注)配向の評価結果は下記の通りであ
る。 ◎:均一に一方向の配向を示した状態。 ○:膜面の約8割以上が均一に1方向の配向を示した状
態。 △:膜面の約1/2以上が均一に1方向の配向を示した
状態。 ×:1方向の配向が膜面の1/2以下である状態。
【0048】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の液晶配向膜
を用いることにより、ラビング無しでも液晶分子の配向
の制御が可能となり、ラビングで問題となっていた素子
の汚染問題や、静電気が発生するためによる素子破壊が
軽減され、ラビング後に行われていた基板洗浄工程の簡
略化あるいは廃止による素子の安定化,コスト低減が図
れる効果が得られる。
【0049】また、本発明は、上記の有機圧電膜を用い
た液晶配向膜を使用することにより、安定化した液晶表
示素子を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の液晶セルのセル構造を示す
概略図である。
【図2】本発明の実施例2の液晶セルのセル構造を示す
概略図である。
【図3】本発明の実施例6の液晶セルのセル構造を示す
概略図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 配向膜 3 液晶 4 ラテックス粒子 5 接着層 6 溝構造 7 ITO電極

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方に電極が形成された一対
    の基板間に液晶を挟持してなる液晶表示素子に用いられ
    る液晶配向膜であって、有機圧電膜からなることを特徴
    とする液晶配向膜。
  2. 【請求項2】 前記有機圧電膜が高分子膜からなる請求
    項1記載の液晶配向膜。
  3. 【請求項3】 前記有機圧電膜が、該膜面内で分子配向
    を保持した膜であり、該膜に面内ずり応力を与えること
    で圧電性を発現させる請求項1または2記載の液晶配向
    膜。
  4. 【請求項4】 前記有機圧電膜が溝構造を有する請求項
    1乃至3のいずれかの項に記載の液晶配向膜。
  5. 【請求項5】 前記有機圧電膜が、該膜面内で分子配向
    を保持し、かつ溝構造を膜表面に形成した膜であり、該
    膜に面内ずり応力を与えることで圧電性を発現させる請
    求項1記載の液晶配向膜。
  6. 【請求項6】 前記有機圧電膜が光学活性天然高分子関
    連物質からなる請求項1乃至5のいずれかの項に記載の
    液晶配向膜。
  7. 【請求項7】 前記有機圧電膜がポリヒドロキシブチレ
    ート、ポリヒドロキシバリレート、ヒドロキシブチレー
    ト−ヒドロキシバリレート共重合体またはポリ乳酸から
    なる請求項1または6記載の液晶配向膜。
  8. 【請求項8】 片面の一部分もしくは全面に請求項1乃
    至7のいずれかの液晶配向膜を形成させた基板と、該液
    晶配向膜と同一であっても異なってもよい液晶配向膜を
    形成させた基板とが対向配置され、該基板間に液晶が挟
    持されていることを特徴とする液晶表示素子。
  9. 【請求項9】 前記一対の基板の少なくとも一方に電極
    が形成されている請求項8記載の液晶表示素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20220196489A1 (en) * 2019-09-13 2022-06-23 Japan Display Inc. Piezoelectric sensor and manufacturing method of piezoelectric sensor

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US20220196489A1 (en) * 2019-09-13 2022-06-23 Japan Display Inc. Piezoelectric sensor and manufacturing method of piezoelectric sensor

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