JP2002168830A - 可燃性ガスセンサ素子及びその製造方法 - Google Patents
可燃性ガスセンサ素子及びその製造方法Info
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Abstract
得られる可燃性ガスセンサ素子及びその製造方法を提供
する。 【解決手段】 本可燃性ガスセンサ素子1は、固体電解
質体2と、固体電解質体2の外表面に形成される検知電
極3と、検知電極3の上に形成される電極保護層4と、
固体電解質体2の内表面に形成される基準電極とを備
え、検知電極及び電極保護層のうちの少なくとも電極保
護層に被毒物質(希硫酸等)を吸着させる。この可燃性
ガスセンサ素子を備えるガスセンサは、ディーゼルエン
ジン等の排気ガス中の被毒物質による出力変動を抑制
し、濃度既知の可燃性ガスを検知した場合において安定
した出力を得ることができる。
Description
素子及びその製造方法に関し、更に詳しくは、被毒物質
が吸着した場合でも安定した出力が得られる可燃性ガス
センサ素子及びその製造方法に関するものである。本発
明の可燃性ガスセンサ素子は、ディーゼルエンジン等の
内燃機関から排出される排気ガス中の可燃性ガスの濃度
測定用のセンサ等に用いられる。
ンバーン(ディーゼル、ガソリン)エンジン排気ガス中
の可燃性ガス成分を直接検知し、エンジンの制御や触媒
能力の監視を行う試みが検討され、その為の各種センサ
が検討されている。このような可燃性ガス成分を検知す
る技術としては、特表平8−510840号公報に、酸
素イオン伝導体を用い、表面に形成した基準電極と検知
電極間の起電力に基づいて可燃性ガス成分の濃度を検出
するセンサが開示されている。このセンサにおいては、
検知電極を構成する材料として金等の貴金属が用いられ
ている。一般に貴金属は被毒物質の吸着によって触媒活
性が劣化されやすく、例えば貴金属を用いた検知電極を
備えるセンサを用いた場合、硫黄成分やリン成分を含む
ディーゼルエンジンの排気ガス中の可燃性ガス濃度を測
定した場合は、これら被毒物質の吸着が原因で出力が大
きく変動する。このように、被毒物質の影響を受けやす
い検知電極において、安定した出力が得られる可燃性ガ
スセンサ素子が求められている。
鑑みてなされたものであり、被毒物質が吸着した場合で
も安定した出力が得られる可燃性ガスセンサ素子及びそ
の製造方法を提供することを目的とする。
が吸着した場合でも安定した出力が得られる可燃性ガス
センサ素子及びその製造方法について鋭意検討した結
果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の可燃性
ガスセンサ素子は、酸素イオン伝導性固体電解質体と、
該固体電解質体の表面に形成される基準電極及び検知電
極と、該検知電極の表面に形成される電極保護層と、を
備える可燃性ガスセンサ素子において、該検知電極及び
該電極保護層のうちの少なくとも該電極保護層に被毒物
質を吸着させたことを特徴とする。また、本発明の可燃
性ガスセンサ素子の製造方法は、酸素イオン伝導性固体
電解質体の表面に基準電極及び検知電極を形成する工程
(A)と、該検知電極の表面に電極保護層を形成する工
程(B)と、該検知電極及び該電極保護層のうちの少な
くとも該電極保護層に被毒物質を吸着させる工程(C)
とを備えることを特徴とする。
は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体であれば特
に限定されず、各種の固体電解質体を用いることができ
る。この酸素イオン伝導性固体電解質体としては、ジル
コニア系固体電解質体(イットリア安定化ジルコニア焼
結体等)、BaCeO3系固体電解質体〔Ba(Ce,
Gd)O3系焼結体等〕、LaGaO3系固体電解質体
〔(La,Sr)(Ga,Mg)O3系焼結体等〕等を
用いることができる。また、この酸素イオン伝導性固体
電解質体の形状も特に限定されず、有底円筒型、板型
(長方形型、円盤型等)、薄膜型等を適宜選択して用い
ることができる。
目的成分ガスと接触した場合に検知電極よりも高い電位
を示す電極である。基準電極を構成する成分は特に限定
されず、例えば、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、R
u、Rh等を用いることができる。これらのうち、耐食
性の高いPt、Au、Agが好ましく用いられる。上記
基準電極は、上記酸素イオン伝導性固体電解質体の表面
に形成されていればよく、同一面上でも異なる面上(例
えば表面と裏面、外面と内面等)でもよい。また、上記
基準電極の厚さは、0.5〜3μmとすることができ
る。
ガスと接触する電極である。上記検知電極を構成する成
分は特に限定されず、例えば、Pt、Au、Ag、P
d、Ir、Ru、Rh等を用いることができる。これら
のうち、耐食性の高いPt、Au、Agが好ましく用い
られる。上記検知電極は、上記酸素イオン伝導性固体電
解質体の表面に形成されていればよく、同一面上でも異
なる面上(例えば表面と裏面、外面と内面等)でもよ
い。また、上記成分を含むものであれば、2層以上に積
層形成された検知電極とすることもできる。上記検知電
極の厚さは、好ましくは2〜50μm、より好ましくは
5〜15μm、更に好ましくは8〜12μmである。2
μm未満では上記酸素イオン伝導性固体電解質体との密
着性が低下する傾向にあり、50μmを超えると被検知
ガスが三相界面に達することが困難となり、感度が低下
する傾向がありいずれも好ましくない。
としては特に限定されないが、メッキ、ペースト塗布、
ペースト印刷等の方法が挙げられる。メッキによる方法
では、電解メッキ、無電解メッキのいずれでもよく、ペ
ースト塗布あるいはペースト印刷による方法では、例え
ば平均粒径が0.1〜22μm(好ましくは0.3〜
1.5μm、より好ましくは0.4〜1μm)の貴金属
粉末を含有するペーストを所定の位置に塗布し、温度1
000〜1500℃(好ましくは1000〜1100
℃)で焼成することにより得られる。これらの方法によ
って得られた電極は、緻密性の向上等の目的のために大
気雰囲気において更に高温処理等を施してもよい。
導性固体電解質体の一部を覆い亀裂等の発生を防止する
と同時に、検知電極を覆い外気等の環境から保護するこ
とができる。この電極保護層は、温度900℃において
固体電解質体と比較して100倍以上の絶縁性を有する
ことが好ましい。更に、94%以上の相対密度を有する
程度の気密性を備えることが好ましい。上記電極保護層
を構成する成分は特に限定されないが、一般式R2MO4
(但し、R:Al,Fe、M:Mg,Fe,Zn,M
n)で表されるスピネルや、アルミナ等多孔質セラミッ
クス等を用いることができる。これらのうちでスピネル
MgAl2O4が好ましく用いられる。上記電極保護層の
厚さは、好ましくは100〜300μm、より好ましく
は160〜240μm、更に好ましくは180〜220
μmである。100μm未満では電極保護層としての効
果が小さくなり、300μmを超えると被検知ガスが三
相界面に達することが困難となり、感度が低下する傾向
がありいずれも好ましくない。
定されず、例えば、プラズマ溶射法や、絶縁性のペース
トをスクリーン印刷等により印刷し、乾燥させた後、他
の部材とともに一体に焼成する方法等によって形成する
ことができる。このうち、プラズマ溶射法により形成す
ることが好ましい。
上記電極保護層のうちの少なくとも電極保護層に吸着さ
せることができ、更に本発明の可燃性ガスセンサ素子を
備えるガスセンサの出力を安定化させることができるも
のであれば特に限定されない。また、液体でも気体でも
よい。上記被毒物質の例としては、硫酸、亜硫酸ガス等
の無機系硫黄化合物、チオール、ジチオール、スルフィ
ド、ジスルフィド、ポリスルフィド、ヒドロポリスルフ
ィド等の有機硫黄化合物や、リン酸、三酸化リン、五酸
化リン等のリン化合物が挙げられる。これらは、1種単
独であるいは2種以上を混合して用いることもできる。
但し、液体と気体を混合して用いることは好ましくな
い。
において、上記検知電極及び上記電極保護層のうちの少
なくとも上記電極保護層に上記被毒物質を吸着させる工
程(C)において、上記被毒物質を吸着させる方法とし
ては、上記被毒物質が液体の場合、特に限定されない
が、上記電極保護層が形成された上記検知電極の部分を
液体に浸漬させる方法、上記電極保護層表面から塗布す
る方法等がある。この場合、吸着させる温度や雰囲気も
特に限定されないが、好ましくは低真空において行うこ
とが好ましい。上記被毒物質の処理の後、乾燥工程によ
って、上記被毒物質を吸着させたものを得ることができ
る。また、上記被毒物質が気体の場合においても、吸着
させる方法は特に限定されず、一定濃度の気体が充満す
る容器に静置する方法等がある。この場合、吸着させる
温度、上記被毒物質の濃度も特に限定されない。
酸水溶液を用いる場合、硫酸水溶液の濃度は、好ましく
は0.01〜0.5N、より好ましくは0.01〜0.
25N、更に好ましくは0.1〜0.25Nとすること
ができる。硫酸水溶液の濃度が上記範囲にあれば、低濃
度の可燃性ガスの出力が大きくなり、可燃性ガスセンサ
としての性能が向上する。
スセンサによって検知することのできる被検知ガスは、
使用する検知電極の材料種により異なるが、主に、炭化
水素ガスである。この炭化水素としては、飽和炭化水
素、二重結合あるいは三重結合を有する不飽和炭化水素
等である。この不飽和炭化水素の例としては、(1)プ
ロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オク
テン等のアルケン、(2)ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベン
ゾピレン等のような芳香族系炭化水素、(3)ブタジエ
ン等のジエン、(4)アセチレン、プロピン等のアルキ
ン等が挙げられる。これらは直鎖のものでも分岐するも
のでもよい。また、被検知ガスは、他のガス成分、例え
ば、水素、一酸化炭素、更には、二酸化炭素、窒素、酸
素、水蒸気、ヘリウム等を含んでもよい。上記被検知ガ
スを検知する濃度は、0〜4000ppm程度とするこ
とができる。
スセンサは、例えば、上記酸素イオン伝導性固体電解質
体と、上記基準電極及び上記検知電極の少なくとも一対
の電極と、上記固体電解質体を加熱するヒーター素子等
の加熱手段を備え、該検知電極が上記固体電解質体の表
面に形成されたものとすることができ、上記固体電解質
体の抵抗が一定となるように加熱手段を制御して、上記
基準電極と上記検知電極との起電力を測定し可燃性ガス
濃度と対応させるものである。また、ヒーター素子等の
加熱手段を用いた場合、使用温度を好ましくは350〜
750℃(より好ましくは450〜650℃、更に好ま
しくは500〜600℃)とすることでより良好な出力
を得ることができる。
具体的に説明する。 製造例(可燃性ガスセンサー素子の製造) 4.5モル%のY2O3を含有するイットリア安定化ジル
コニア(以下、単にYSZ)の粉末をゴム型に充填し、
有底円筒型に加圧成形し、得られた成形体の外表面に検
知電極リード線となるペーストを用いて厚さが10μm
となるように印刷し、これを1460℃、1時間焼成し
て、検知電極リード線が配設された有底円筒型の固体電
解質体を得た。次いで、この固体電解質体の内表面に基
準電極として、厚さが1μmとなるように白金メッキを
施した。その後、固体電解質体の上記検知電極リード線
が配設されている外表面に、円筒内のヒーター発熱部に
対応する位置に、有機金化合物ペースト(商品名;「M
ETALLO-ORGANIC GOLD PASTE
A-4615)」、エヌ・イー・ケムキャット社製)
を厚さが1μmとなるように塗布して大気中880℃で
10分間焼成して第1電極層を形成した。次いで、この
第1電極層の上に、ジルコニアがコーティングされた金
粉末(金粉末全体の0.17質量%がジルコニア)のぺ
一ストを塗布し1000℃で5時間加熱処理を施し第2
電極層を形成し、検知電極とした。その後、この検知電
極の表面にスピネルMgAl2O4をプラズマ溶射して電
極保護層を形成して、図1に示すような可燃性ガスセン
サ素子1を製造した。
は、有底円筒型の固体電解質体2の外表面に形成された
第1電極層3a及び第1電極層3aの上に形成された第
2電極層3bからなる検知電極3と、更に検知電極表面
上に形成された電極保護層4と、固体電解質体2の内表
面に形成された基準電極5とを備える。
電極保護層)を0.1N硫酸水溶液中に浸漬させ、その
ままの状態で20℃で10分間真空(1×10 -3Tor
r)中で保持し、大気中に取り出した後、乾燥させた。
この可燃性ガスセンサ素子にヒーターの温度を制御する
コントローラーと、基準電極及び検知電極との起電力を
測定するためのエレクトロメーターとを配設して可燃性
ガスセンサを作製し、下記の試験に供した。可燃性ガス
センサを600℃に加熱及び保持し、酸素ガス7%、炭
酸ガス10%、水蒸気10%、及びバランスガスとして
窒素ガスからなるベースガスに濃度を0,100,30
0,500ppmCとしたプロペンガスを加えたモデル
ガスを温度300℃、流量15L/分で流し、検知し
て、その出力(mV)を調べた。これを5回連続して測
定した。その平均値を表1に示した。次に、ディーゼル
エンジンを100時間作動させ、この可燃性ガスセンサ
を排気ガスに曝した後、上記と同様にモデルガスを流
し、検知して、その出力測定を5回行った。その平均値
を表1に示した。また、図2に濃度既知のモデルガスに
対する出力を示した。
かった以外は、実施例1と同様にして測定した。出力の
平均値を表1に示し、図3に濃度既知のモデルガスに対
する出力を示した。
試験) 実施例1で製造した可燃性ガスセンサの初期安定性の経
時変化を見るために、製造してから2、3及び4日目に
おけるモデルガスの出力を上記と同様にして5回測定し
た。その平均値を表2に示した。また、図4に濃度既知
のモデルガスに対する出力を示した。
調べる試験) 製造例で製造した可燃性ガスセンサ素子の外側電極部を
硫酸水溶液中に浸漬する際に、硫酸水溶液の濃度を0.
01,0.05,0.1(実施例1),0.25,0.
5,1Nとした以外は実施例1と同様にしてモデルガス
を3回測定した。プロペン濃度が500ppmCのとき
の出力の平均値Aと、図3における未処理の場合のプロ
ペン濃度が500ppmCのときの出力の平均値Bとの
比A/Bを感度比として図5に示す。
スに曝すことにより、プロペン濃度が100ppmCの
とき、34mVであった出力が64mVと約2倍に変動
した。300及び500ppmCでは図3に示すよう
に、約30mV高い出力を示した。一方、実施例1で
は、図2に示すように、ディーゼルエンジンの排気ガス
に100時間曝しても、大きな変動がなく、耐久性のあ
ることが分かった。次に、実施例2の初期安定性試験に
おいて、図4に示すように、可燃性ガスセンサを製造
後、放置しておいても、劣化等による出力変動は見られ
なかった。また、実施例3の被毒物質として用いた硫酸
の濃度の影響を調べる試験において、図5に示すよう
に、被毒物質を用いない未処理のものに比べて、硫酸水
溶液濃度が1N未満であれば高い感度が得られることが
分かった。
ではなく、本発明の範囲内で種々の実施例とすることが
できる。例えば、電極保護層を二層構成とし、下層のみ
に被毒物質を吸着させたものとしてもよいし、あるいは
上層のみに被毒物質を吸着させたものとしてもよい。
の検知電極及び電極保護層のうちの少なくとも電極保護
層に被毒物質が吸着していることにより、検知する可燃
性ガスに含まれる硫黄成分やリン成分等の被毒物質の影
響を受けることなく検知ガスの安定した出力を得ること
ができる。
面図である。
久性を示すグラフである。
素子の出力変動を示すグラフである。
期安定性を示すグラフである。
酸水溶液濃度による感度変化の影響を示すグラフであ
る。
知電極、3a;第1電極層、3b;第2電極層、4;電
極保護層、5;基準電極。
Claims (5)
- 【請求項1】 酸素イオン伝導性固体電解質体と、該固
体電解質体の表面に形成される基準電極及び検知電極
と、該検知電極の表面に形成される電極保護層と、を備
える可燃性ガスセンサ素子において、該検知電極及び該
電極保護層のうちの少なくとも該電極保護層に被毒物質
を吸着させたことを特徴とする可燃性ガスセンサ素子。 - 【請求項2】 上記被毒物質が硫黄成分である請求項1
記載の可燃性ガスセンサ素子。 - 【請求項3】 酸素イオン伝導性固体電解質体の表面に
基準電極及び検知電極を形成する工程(A)と、該検知
電極の表面に電極保護層を形成する工程(B)と、該検
知電極及び該電極保護層のうちの少なくとも該電極保護
層に被毒物質を吸着させる工程(C)とを備えることを
特徴とする可燃性ガスセンサ素子の製造方法。 - 【請求項4】 上記工程(C)において、被毒物質が硫
黄化合物である請求項3記載の可燃性ガスセンサ素子の
製造方法。 - 【請求項5】 上記工程(C)が、上記検知電極及び上
記電極保護層のうちの少なくとも該電極保護層を硫酸水
溶液に浸漬した後、乾燥する工程である請求項3又は4
に記載の可燃性ガスセンサ素子の製造方法。
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